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はてなキーワード: 地裁とは

2018-10-18

岡口Jの分限は残念でもないし当然

東京高裁岡口基一裁判官について最高裁戒告分限処分を下したことについて,法曹界からは岡口氏を擁護する言説ばかり喧伝されているので若干のコメントを。

彼の擁護者らは,裁判官自身表現の自由無くして市民表現の自由を守れるのか云々などといった声を上げる者がいるけれども,もしかかる主張が,裁判官特殊地位に鑑みて裁判官私的表現の自由一般市民のそれよりも強く保障されなければならない,という意味だとすれば,全くの失当である裁判官表現行為について,憲法保障する表現の自由によって保護されるべきであることは言うまでもないが,裁判官はその職責上,品位を保持し国民の信頼を得ることが何よりも求められており,その職責の点から私的行為についても一定節度あるいは限度があるというべきであり,その意味では,裁判官身分との関係では裁判官私的表現の自由一般市民のそれよりも制約されると解さなければならない。

要するに,表現の自由と言ったところで,およそどのような表現を行うことも自由であるかというと,そんなことはない。

たとえばもし仮に,現役裁判官が,Web週刊ポストの「都内の人気公立小学校 小渕優子の息子のクラス学級崩壊」という記事リンクとともに,

小渕優子の息子が一番暴れてたりして(^_^)

http://www.news-postseven.com/archives/20180309_658021.html

8:15 AM - 9 Mar 2018

Twitterに投稿した想像してみてほしい。上記ツイートは,公人でもない一人の児童について,それが政治家の子であるというだけで,個人特定して揶揄するものであり,憲法禁止する門地に基づく差別表現である。仮にこのようなツイートを現役裁判官投稿したならば,裁判官人権感覚ひいては司法制度に対する国民の信頼が害される。これが戒告で済めばむしろいくらいである。

このように,裁判官ツイートには一定節度限界がある。彼の支持者らは,この前提から争うような主張を繰り返すのであるが,全くの失当である

以上を前提に検討するに,本件で問題とされたツイートは下記の通り。

公園放置されていた犬を保護し育てていたら,3か月くらい経って,もとの飼い主が名乗り出てきて,「返して下さい」

え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・

裁判の結果は・・

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-

なお,「裁判の結果は」元の飼い主である原告の勝訴である

通常の理解力を有する一般人上記ツイートを見たときに,「岡口氏は原告請求が不当だと思っているな」という感想を抱く者が,10人中1人もいないと,言えるであろうか。

岡口氏は,上記ツイートは単に両当事者の主張を要約したに過ぎない,リンク先に対する予告編でありリンク先を読めば原告勝訴とわかる,すぐに消したか問題ない,自分裁判官であるとは明示していない,等と反論している。

しかし,原告の主張については「返して下さい」と鉤括弧を付けているのに対し,岡口氏が言うところの「被告の主張」には鉤括弧がなく,むしろ情感を込めた独自表現になっている。

(鉤括弧がなくても自身見解ではない,との言い訳をするためであろうか,岡口氏はしばしば,彼の好みに適う他人表現を,引用であることを明示せずにTwitterFacebook投稿する。)

このツイートを見たときに,「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・」という表現が岡口氏の意見であるとの印象を持つ人がいたとしよう。岡口氏や彼の支持者らは,そのような理解をした人は知能が劣るかあるいは精神異常者であると言うのだろうか。

もしそうでないとすれば,上記ツイートは,相当数の一般市民に対して「高裁裁判官から見ておかしな主張をする原告がいる」との印象を与えるものであることを認めなければならない。リンク先まで読めば,高裁判事である岡口氏が地裁判決をも批判しているとの印象を抱くであろう。

本件ツイート上記欠陥は,岡口氏やその支持者が大量の紙幅を費やして弁明したからといって治癒されるものではない。むしろ説明に大量の紙幅を要していること自体が,本件ツイートの欠陥を如実に示している。

そして,一般人ツイッター閲覧・利用方法を前提とした評価は,ツイートスクリーンショットのみから判断可能できるから最高裁としては,それ以上の事実関係に関する資料の提出を求めて審理を継続する必要は無いであろう。なお,分限裁判性質上,職権探知主義妥当するものと思われるが,岡口氏の本件に関する近時の言動や,情状資料としてのその他の事情収集されなかったのは,むしろ幸運ですらある。たとえば岡口氏がChange.orgでの署名集めを試みたがごときは,あたか裁判官署名証拠価値を高く評価するかのごとく受け取られかねない(署名基本的多数決原理であって,司法と相容れない)。署名目標である100人に達せず,証拠提出しなかったのは,国民司法に対する誤解が未然に防がれた点で幸運であった。

なお彼の支持者らは,本件の分限裁判結論をもって裁判官表現活動が萎縮する等と声高に叫ぶ。

しかし,そのような宣伝活動はあたかも本件分限裁判裁判官表現活動を厳しく制限たかの如き誤解を広めるものであって,却って裁判官表現活動を萎縮させること大である

彼の支持者らこそ,補足意見の末尾2段落音読してほしい。

5 ちなみに,現役裁判官が,ツイッターにせよ何にせよ,SNSその他の表現手段によってその思うところを表現することは,憲法保障する表現の自由によって保護されるべきであることは,いうまでもない。しかしながら,裁判官はその職責上,品位を保持し,裁判については公正中立立場で臨むことなどによって,国民の信頼を得ることが何よりも求められている。本件のように,裁判官であることが広く知られている状況の下で表現行為を行う場合には,そのような国民の信頼を損なうものとならないよう,その内容,表現選択において,取り分け自己を律するべきであると考える。

 そして,そのような意味での一定節度あるいは限度というものはあるものの,裁判官も,一国民として自由表現を行うということ自体制限されていないのであるから,本件のような事例によって一国民としての裁判官の発信が無用に萎縮することのないように,念のため申し添える次第である

2018-09-23

憲法関連の訴訟って大半が地裁で認められても最高裁行ったらハネられるものばかりで読む気なくすじゃん

2018-09-07

anond:20180907232401

俺の記憶が正しければ、女性専用車過去に二度地裁裁判の争点になっていて、

どちらも合法って判決だったんだけど、最初の一回では効果があるみたいに断じてたが、二回目では安心感がどうのって言ってたと思う。ううむという感じだ。

オレ個人電車それほど乗らないのもあって、あまり義憤も募らないが、四両のうち一両が女性専用車? ってまあキツそうだね。女性専用車増田活動は偉いと思っているが、対話している二、三人? の中には罵声がヒドい奴がいるようだ。専用車増田は無理はしないでほしい。論理性やら説得力で負けてるとは思わないので静観しているよ。

2018-07-07

死刑が不可逆的であることについての奇妙な反論

死刑存廃問題に関してはいろいろと意見があってもいいと思うし、とりわけこのような凶悪犯罪に関してやはり死刑必要ではないかという意見も当然あってしかるべきだと思う。(EUですでに廃止している国でも、国民意志としては死刑存置のほうが多かったりするし)

今回気になったのは、「死刑は不可逆である」という意見に対する下記のような反応だ。

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180706182250

懲役10年の後に冤罪わかっても不可逆じゃん。冤罪問題なら懲罰全部無理やんけ。

増田は、わずかな確率であっても、増田増田の大切な人が、冤罪で(長期の)懲役刑になること(受刑中死亡する場合も含む)を許容できますか?許容できないとしたら、(長期の)懲役刑は廃止すべきだと思いますか?

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180706182250

死刑は不可逆というのがいまいちわかんないんだよな。懲役は可逆なのか?不可逆だよね?

例えば袴田事件。もし日本司法根本から腐っていなければ、きちんと再審して名誉回復は出来たはずだった。実際は高裁再審請求棄却になってしまったけど、それでも袴田さんは二度と収監されることはない。袴田さんの失われた人生はもちろん帰ってこない。45年もの長きに渡って死に怯えながら暮らした日々は不可逆だ。しかし、地裁執行停止判決を下したことで、一定名誉回復された。死刑執行していれば、どうなっていただろうか。

四大冤罪事件といわれる、免田事件島田事件、財田川事件などもそうだ。これらは再審無罪によって正式無罪が確定し、名誉回復されている。

そもそも日本司法は、死刑が不可逆的であることを十分に理解している。名張ぶどう酒事件や、帝銀事件などに関しても、受刑者は結局、死刑執行されないままに獄死している。結果的に、冤罪の疑いがある死刑判決の多くは、刑が執行されないまま事実上終身刑という形になってしまっているのが実情だ。しかも、日々処刑されるという恐怖に怯えながらの終身刑終身刑であれば、常に再審請求のチャンスが有り、DNA鑑定のような新しいテクノロジーの出現により真相が明らかになるチャンスがあるが、死刑執行されたあとの再審開始は極めてハードルが高く、困難であり、そして仮に無罪が確定したところで、釈放されるべき被告人存在しない、ということだ。

実際、冤罪の疑いがあった飯塚事件に関しては、遺族の再審請求却下されている。死刑執行したあと「あれは間違っていました」という判決は、とても下せないだろう。

から死刑廃止しろ、と主張しているわけではない。この増田で書きたいのは、「死刑は不可逆である」という意見に対して「懲役刑も不可逆的である」という反論は成り立たないということだ。常に本人から再審請求のチャンスが有る懲役刑と、刑が執行されたあと事実上再審不可能である死刑イコールではない。

2018-06-28

狂った日本をなんとかしろ

未成年飲酒をして運転した挙げ句他人の足を切断した悪質極まりない事件の罪を軽くする地裁

高速道路侵入してきた自転車が明らかにおかしいのに、起こしたくもない事故犯罪者扱いされるトラック運転手。

おかしいだろ。

なんでこんなに日本は狂ってるの。

日本の法自体とその法を取り扱う人間が狂ってるってよく分かるじゃないか

何のための司法なのか

http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/610286

一生を台無しにしてきた飲酒運転バカと一生を台無しにされた両脚切断の人

地裁はアホなのかと未成年から刑を軽くしてどうすんの?両脚切断された人はどんな罰ゲームだよって。

こんなん未成年ばかりが得するだけやん

2018-06-16

anond:20180616095137

 法律の話をしたいのなら『個人的認識』ではなくて法律裁判例を調べるといいですよ。これを基準にして考えないと『世間的』とか『時代』とか意味がないですし危険です。もし自分でも画像を貼るなら『世間的には完全にOK』だからではなくて法的根拠を持ってやるべきだと思います

その上で当該記事を見てみました。よかったら参考にしてください。

論点著作権法上の引用32条)に当たるかどうか。

前提:引用要件重要なのは主従関係必要性区分性・出所の表示。

チェックした記事https://sakihuwahuwa.hatenablog.com/entry/gotoubun41

結論出所の明示以外は基準合致しているように見える。

主従関係

 ・明らかに自己感想が主となる著作物である

 ・画像単独で鑑賞が可能とするには、十分小さいので問題無い。

  藤田嗣治絵画複製事件http://kida.biz/law/court601017ne2293.html

 <参考>

 ・増田の『絵が無いなら見ない』というのは『絵がなければ理解しにくい』という意味なら、それこそ引用必要性があるとなる。絵を見せるのが専らの目的となっている場合引用にならないが、その判断あくま要件合致しているかどうかが基準

必要性

 ・感想対象となる人物及びシーンを引用している。

 ・漫画文章と絵が一体なものであるので、セリフとともに絵を引用するのは合理的である

  脱ゴーマニズム宣言事件地裁判決http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/663/013663_hanrei.pdf

 <参考>

 ・引用画像の分量に明確な基準を示した判例はない。主従関係などの要件を満たしているなら『引用必要最小限度のものであることまで要求されるものではない。』としている。(脱ゴー裁判

 ・ただし id:nyaaat さんのコメントのように20〜30行という弁護士見解は目安として合理的だと思う。しかいくら本文が多くても『あらすじ』など創作性が無い文章では『自己著作物が主』とは言えないのでダメ

 ・増田は4000字に一枚というが、主従関係必要性文字数よりも意味を重視する判断が多い。脱ゴー判決文(第三 当裁判所の判断/4 原告カット採録被告書籍の読者に対して与える効果)などでも、分量より意味必要性)を重視しているのは明らか。

出所の明示(48条)・明瞭区分

・各画像、文末などには表示が無い。

タイトルに『作品名』がある。作品名でも表示とすることができるが、タイトル記載があることが『明示』と見なせるのかの問題がある。

タイトル記載があるから明らかという考えは、認められる可能性もゼロでは無い。しかし脱ゴー裁判では『カットの欄外に出典が表示 』されていることを明瞭区分性の根拠の一つとしており文中での表示が望ましいと思う。

<参考>ちなみに初期のヒドデ氏なんかがやってた、漫画コマの切り抜きは、引用要件に全く当たらないので単なる無断転載。今回の記事とは問題が別。

以上

余談:ちなみに自分も『ぺたぺた画像貼り感想ブログ』を書いてます画像引用の詳しい記事を書いているのでよかったら参考にしてください。でも、自分も『初期のヒドデ氏』みたいな転載や『あらすじコピペブログ』を無くしたいと思って書いています。そういう意味で考え方は近いと思うのですが。

http://kato19.blogspot.com/2015/05/cyosakukenanime.html

追記

感想対象となる人物画像からOKってのは広すぎでは。』kido_ari さん

 脱ゴー判決文の『4 原告カット採録被告書籍の読者に対して与える効果/(四) その他の採録箇所/(1) カット1』には 『原告漫画の特徴に関する記述理解を助けるものである 』と記載があります

 感想批評)を読むにあたり、言及する登場人物文字だけで記載するより、参考資料として画像を合わせて提示したほうが明確になります意味は少し違いますが、そういう点で判決文の『理解の助けになる』と同じ文脈理解できると解釈しました。(もちろん否定する判例があれば別ですが私には見つかりませんでした)

 また同『8 原告の主張について』にある『一般著作物引用は、右1で示した引用要件を充たす限りにおいて、引用著作物の著者が必要と考える範囲で行うことができるものであり』との記載があります。これは地裁判決ですが参考になると思います。(これを明確に否定する判例を知っていれば教えていただけると幸いです)

2018-06-15

[]無期転換ルール雇い止め法理について

 国会ウォッチャーです。

 派遣法の時の質疑を振り返るシリーズで書こうと思ってたら、

https://news.yahoo.co.jp/feature/985

 こういう記事が出ていて、その反応がすごく気になりました。なので2012年に改正された労働契約法に関して当時の議論や経緯などをご紹介したいと思いました。

労政審とは

 まず基本ですが、労働政策は、労働政策審議会を通して、公労使の3者が話し合って決める事となっています。これは公契約における労働条項に関する条約に定められた原則です。労政審厚生労働省の設置法で定められた審議会で、公労使は同数委員を設置することになっています。あの高度プロフェッショナル制度でさえ、労政審から、概ね妥当とされながらも、労働者側からの指摘として、高プロは危ないという付言がされています委員は2年交代で、特に公共有識者構成政権に近い人に変えていけば、労政審答申政権に近い形で出すことは可能ですが、しか政権交代、即委員交代!ともならないわけで、労働政策の審議は基本的に慎重に行われているとは言って良いと思います。ちなみに安倍政権では、この原則に反して、労政審に諮らずに特措法を制定し、無期転換ルールの緩和を行っていますし、昨年7月には、労働代表構成員に含まない(国家戦略特区諮問会議を思いだせ!)、労働政策本部会を設置し、各分科会にこだわらない、横断的な政策諮問する、としています。詳しく書かないけど、これめっちゃくちゃ危ないですからね。高プロ立法事実とされるものは、産業競争力会議とかみたいな安倍政権が大好きな有識者会議から出てくるわけだけど、それを労政審の中に作っちゃったようなもんだから。まぁ本当に現政権議論が大嫌いなんだなぁと思いますけど、とりあえずそこは置いとく。

無期労働者を守る解雇濫用法理と有期労働者を守る雇い止め法理

 字数制限的にそれぞれを説明はしないですが、労働者は基本的使用者よりも立場が弱いので、解雇をする際には合理的であると認められる理由がないといけません。それが解雇濫用法理と呼ばれるものです。一方、有期労働者に対しても、期間満了による解雇であっても、無条件であってはならないとするのが雇い止め法理です。雇い止め法理は、無期労働本質的に違いがない場合と、有期労働者が更新合理的に期待できる場合に、解雇濫用法理を類推して適用する、というものです。これは法律に書かれていたわけではなく、幾つかの裁判事例において、確立された裁判例に基づいた規範です。原理的に有期労働者の方が要件が増えているので、保護される確率が下がっている建てつけですね。2008年のリーマンショックでは、無期雇用者も大量に整理解雇されましたが、それよりも、派遣労働者や有期雇用労働者が大量に解雇され、大きな社会問題になりました。そこで麻生政権時代に、有期契約労働者の働き方が労政審諮問され、鳩山政権時代に、有期労働契約研究会報告が出されました。

 

有期労働規制論点

 有期労働契約研究会報告では、雇い止めに関して、主に3つの論点が話し合われました。

1.入り口規制=有期契約が結べる業務業態などを規制し、原則無期、例外的に有期が可能とするか否か

2.出口規制=有期契約を結べる期間、更新回数を規制するか否か

3.雇い止め法理の明確化

 単純に労働組合民主党支持母体と言っても、組合内でもこれは意見が分かれていましたね。この3つをすべて導入しないとうまくいかないぜ!っていう主張(自治労など総評系に多かった)と、少なくともどれか一つでも合意できるならするべきだとする主張(同盟系に多かった)が当時から分かれてた。審議入りしてからは、社民党福島みずほさんや、共産党田村智子さんなどが前者の立場に立った批判を何回もやっていました。こう言う批判をしておくことは本当に大事で、当時の西村ちなみ副大臣の答弁をもとに、後述する通達が出されています

 有期労働契約研究会では、労働者の雇用を安定化させることで、生産性が向上するという学術的な指摘がなされ、規制の導入に対して前向きな報告が出されました。

労働政策審議会労働条件分科会では使用者側が猛反発

 議事録を見てもらえば分かりますが、使用者側の委員はほぼすべての規制に反対していますが、特に入り口規制の導入に関してはものすごく反発している。有期雇用雇用不安定要因ではなく、有期雇用によって雇用の安定化が図られている、だの、入り口規制をすると、企業雇用をやめるだろう、という話を延々とやっている。しまいには労働者の権利の話ばかりするな、経営者側が雇用を調整する権利はどうなるんだ、というようなことも言っている(ちなみにこの方は、高プロが1000万以上と言われると中小企業活用できないとかも言ってる方です・・・)。まぁ経営陣がそういうことを言うのは当然なのですけど、ポイントはこの法律案が労政審諮問された時はすでにねじれ国会になっていて、野党の協力なしには法案の成立はできない状況だったというところです。仮に民主党が有期労働契約研究会報告に基づいて、労働契約法改正案を提出していたとしたら成立は難しかったと思われます。そこで、入り口規制は外され、2、3のみを取り入れた法案ができ、5年以上の契約更新によって、無期転換の申し込み権が発生する、という法案になりました。これも使用者側の意見採用されていて、5年以上の有期雇用という形態禁止してはいないし(契約時にあらかじめ申し込み権を放棄させるとかいう潜脱が使いたい)、無期転換ルール説明義務なども盛り込まれなかった。民主党バカだったということは簡単ですが、労政審による審議は時間がかかるものだし、民主党がやりたいように法案を整備できた期間はものすごく短かったことにも留意必要だったと思います(例えば共謀罪なしのTOC 条約批准や、死刑廃止法制化などは平岡秀夫江田五月法相の頃にやりたがっていたけど、結局諮問したままで、法案化まで持って行けなかった)。2011年から東日本大震災対応に追われ、ねじれ国会によって国会運営は難航し、特例公債法ですら野党に譲歩しなければ通らない状況になっていた2012年に、労働契約法は、社民共産を除いた自民公みんなどの主要政党の賛成で改正されています

雇い止め法理の法定化の意味

 冒頭に紹介した記事への反応を見ると、有期雇用の人は雇い止めされてもしょうがないんだ、というような諦観が見られ、それがちょっと残念に思いました。2012年の改正では、もう一つ、雇い止め法理が労働契約法第19条に書き込まれることになりました。これはパナソニックプラズマディスプレイ事件最高裁判断をほぼそのまま法律に書き込んだものです。つまりたとえ有期雇用であっても、実質的労働が、無期雇用職員と同様であるか、雇用継続合理的に期待される場合には、雇い止めをすることはできません。これは、従前は裁判規範であったものが、明文化されたことで、経営者が遵守しなければならない法規になったということは言えます、もちろん不十分ですが。

下田村智子議員127月の質疑から

田村智子

「これからは5年で労働者を入れ替える、これスタンダードになる。こういう事態を起こさない歯止めはどこにあるんですか。」

西村智奈美

「今回は、雇い止め法理が法律に明記されるということになります使用者合理的理由のない雇い止め回避する行動を取ることがこれによって促進されるほか、その趣旨考慮した労使の話合いが促されると、これも十分期待されることであります企業の実情に応じた無期転換の自主的ルールの整備が進むことも期待されます

 改正法が成立した際には、法律に明文化されたこ雇い止め法理の趣旨と内容について周知徹底を図っていきまして、現場の労使にしっかりとそこは浸透させていきたいと考えています。」

田村

「これ、雇い止め法理って強制力はないわけですよね。それで、これもう既に起きているんです。株式会社シャノアール、これ、シャノアールベローチェ等の喫茶店を全国展開している企業ですけれども、全国のチェーン店で約五千人の非正規雇用労働者が働いています。このシャノアールは、今年3月、突然、社内通達で、有期雇用労働者に対して契約期間3か月の更新は15回を上限とすると、入社契約から通算で4年の勤務をもって満了という方針を全ての店舗に徹底しました。現在4年を超えて働いている方々は、全て来年3月で雇い止めにするという方針です。

 7年以上働いてきたAさん、直接お話をお聞きしました。これまでは更新の上限はなかった、なぜ来年3月までなのかと管理職に問い合わせたと、そうすると、法律改正に伴うものだと聞いていると、こういう説明をしているんです。Aさんは、お店の立ち上げから働いて、いいお店にしたいと意欲的に働いてきて店長代理にまでなっていると、自分は働き続ける意思からこの不更新条項は認めないということでサインしていない、だけど、サインしなかったら仕事を失うかもしれないと泣く泣くサインをしている同僚を目の当たりにしているわけですね。

 大臣、この労働契約法が変わるということで、既に五年を超えないように雇い止めをするという新しい動きが起こっています法施行後5年の話じゃないんです。8年の話でもないんです。こういう企業対応は看過するわけにはいかないと思いますが、いかがですか。

西村

「これは裁判例の一般的な傾向を申し上げるわけですけれども、一旦労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いていた場合に、使用者更新年数あるいは更新回数の上限などを一方的宣言したことによって労働者の雇用継続への合理的な期待が失われることにはならないということだと裁判例の傾向からは申し上げることができます

 また、あらかじめ設定された更新上限に達した場合でも、他の労働者の更新の状況など様々な事情総合判断して雇い止めの可否が決せられるというのが、またこ裁判例の傾向であるというふうに考えております

 ですので、不更新条項を入れさえすれば雇い止め法理の適用排除されるといった誤解を招くことがないように、従来の判例法理が変更されるものではないということを解釈通達などを通じて周知徹底を図ってまいりたいと考えています。」

田村

「現に新しい動きで、今まで不更新条項なんか入れていなかった企業がこうやってやっているんですよ。例えばこのシャノアール労働者が労働局などに訴えていったら、これ指導できるんですか。どうですか。」

金子労働基準局長 

個別のことでいろいろ御相談があれば、これは民事ルールでございますので我々の労働基準監督機関として指導するという性質のものではございませんが、総合労働相談コーナーなど、そういったことへの対応に当たって、労働局や労働基準監督署に窓口を設けておりますので、そういった相談があった場合には適切に対応していくことになると思います。」

田村智子 

「これ、労働基準違反だったら労働基準監督署が捜査権を持って会社に入ることもできるんですよ、是正指導を強く行うことできるんですよ。だけど、非正規労働者はそういう範疇にも入っていない。今回雇い止め法理を法制化したと言うけれども、これはどういうことかといったら、裁判で訴えたときに有利な条項が一つ法律の中にできましたよというだけのことなんですよ。」

 田村智子議員の指摘は正しい。結局、このシャノアール事件地裁原告敗訴、高裁原告有利の和解となったわけですが、2016年2月の話です。3年以上法廷で争える人がどれほどいるのか、という話なんですよね。この時の西村ちなみ副大臣の答弁にもある、解釈通達は24年8月10日付で出されていますが、その後の企業対象とした調査で、認知度を調べたら、使用者労働者も8割近くが正確なルールを把握していない、という結果になっていました。冒頭の記事への反応を見ても、雇い止めは、合理的理由なしには、たとえ期間満了による結果でもできないとか、そういう基本的なところで労使ともに理解されていないし、そういう状況で、使用者法律趣旨に則った運用を促すだけでは、十分に労働者の権利保護されないんですよね。当時の政府側答弁でも、不更新条項を無期転換回避のために行うことは、公序良俗に反して無効とは、答弁してるんですけど、それはあくまで答弁だし、本当に無期転換回避のためにやったのかは裁判で争わないといけないわけですよ。で、この法制化で、無期転換ルールをきっちり運用に乗せている企業も多くあるわけで、この規制が全く無駄だった、逆効果だったというのも違うのではないかなと思います。だからやっぱり入り口規制とか不更新条項規制とか、そういう規制必要だと思うし、そういう方向に議論を持っていかないといけないと考えます

次回の労働契約法改正では無期転換ルールをなくす方向に行きかねない

 労働契約法は、定期的に見直しがされる付帯がありますので、おそらく今年か来年には再び労政審で議題にのぼってくると思います現在政府の動向を見ていると、どうも無期転換ルールをなくして、むしろ同一労働同一待遇文脈で、解雇濫用法理の方をいじってきそうな気すらします。冒頭述べたように、労働政策本部会には労働者側の意見は入りません。高プロを含んだ働き方改革関連法案は残念ながら、成立してしま可能性が高いですが、派遣法とは違って、廃止した時に不利益を被る人がそれほど大きな人数になるとは思えず、十分に再改正できる段階にとどまっていると思います政治を諦めてしまっては、好き放題にされてしまますので、ぜひとも国会議論されている内容に関心を持って、誰がどういうことを言っているのか、しっかりと見ていってほしいと切に願っています

2018-06-12

anond:20180611220556

地裁が認めたDNA鑑定の手法科学原理有用性には深刻な疑問が存在している。血痕のDNA型が本人と一致しないという結果は信用できない」

そのうえで、地裁とは逆に、犯人のものとされる衣類は袴田さんのものだと考えて不合理な点はないという判断を示し、「確定した有罪判決認定合理的な疑いが生じていないことは明らかだ」と結論づけた。

(by NHKニュース)

これとは別に

「あのズボンは袴田被告は履けないサイズ」なんだからおかしんじゃねっていう意見も知っている。

ま、DNA云々というところからはずれていて、感情論的と言わざるを得ない奴らもいる。

個人的には、拷問の様な取り調べによる自白問題が有った事が明白で、

自白に信用性は無い->疑わしきは被告の有利に->無罪でいんじゃねと思うんだけどね。

2018-04-25

anond:20180425013423

それ言い出したらそもそも法律上の争訟なんですか、女をオタクと認めるかどうかってやつは

ブコメでもとっくに指摘されてるんですが

だいたいが地裁に言われるぞ的指摘してる人もいるし

2018-04-06

anond:20180406140024

地裁「んー、証拠ないのに約束ゆうてもなあ。公証人とか用意せんかったの?」

2018-04-04

公文書改ざん」って実は日常茶飯事なのでは

徳島県、決裁済み書類を書き換え 消しゴム金額修正

https://www.asahi.com/articles/ASL3Y5H4CL3YPUTB00Y.html

生活保護資料改ざん」 熊本市返還決定取り消し 地裁判決

https://mainichi.jp/articles/20180331/ddp/041/040/038000c

これだけだと「全国で2例しかないじゃないか」と言われるかもしれんが、自治体監査報告を見るとやたらと「消せる筆記具」の使用が指摘されてたりする。

実はこれは氷山の一角で、露見していない公文書改ざんが山ほどあるのではないか

2018-02-26

anond:20180226012410

誰がどんな風に思うのも自由

それでも法治国家から差別認定裁判を通すしかない。(高裁最高裁

同じように、地裁判決おかしいと認定するにも、裁判が行なわれる必要がある。

裁判を行わずには何も認定されず、個人の感想の域を出ない。


ぶっちゃけ地裁判決おかしいだけだ(と、自分は思っている)

普通に日本語読める人間なら憲法14条違反なのは明白だ(と、自分は思っている)

しろ日本法治国家ではない根拠しかなってない(と、自分は思っている)

https://anond.hatelabo.jp/20180225215536

微妙だなぁ。ぶっちゃけ地裁判決おかしいだけだぞ。普通に日本語読める人間なら憲法14条違反なのは明白で、むしろ日本法治国家ではない根拠しかなってない(法を持っていないのではなく、運用面がおかしくてお題目化している点で)。

2018-02-25

女性専用車両議論に関連した疑問のまとめ

女性専用車両違法性について。

女性専用車両についての判決文は「女性専用車両の導入については、目的手段の相当性・合理性が認められ、憲法14条に違反するとはいえない」となっている。


日本法治国家だ。

たとえ本人が認めていて、目撃者証拠バッチリ殺人であっても、裁判所判決を出すまでは、あくま容疑者であるように。

女性専用車両裁判男性差別認定されるまでは「差別的な要素を含んでいる可能性を指摘されている」という表現がせいぜいではないか


地裁判決が出てる現段階では、ややホワイト寄りのグレーであり。差別だとも差別じゃないとも断定されていないと考える。

個人的には最高裁までいっても、結果は変わらないように思う)


そのようなものに「差別であるという合意」は不可能ではないか

https://anond.hatelabo.jp/20180225105423


女性専用車両利用者は、男性感謝しろ申し訳ないと思え」などは、思想の自由侵害ではないか


女性はみんな女性専用車両に行け」は、実行するには車両数が圧倒的に足りないのではないか


痴漢対策として、女性専用車両は不十分過ぎるのではないか


男性被害者となる場合、乗車対象とされている女性子供障害者高齢者加害者場合は防ぎようがないため、さらなる対策必要ではないか


また、ラッシュ時以外に現れる痴漢を防げないことも問題ではないか


満員電車の解消は、鉄道会社だけでは実現できない。

議論する場や機会が少な過ぎるのではないか

どうやったら増やしていけるだろうか?

2018-02-18

地裁男性女性専用車両に乗ってもいい」

この情報が得られたことだけは有意義だった

高齢者障害者等の優先座席同義であり、男性女性専用車両に乗車しても、運送契約違反になることもなく、一般車両に移動する義務もないうえ、何らの罰則もない。

大阪地方裁判所平成15年(ワ)第8046号)

anond:20180218105907

元々の話に戻すのは結構ですけど、ご自身

新宿線を使っていたことがあるという記述は、読んだけど忘れてしまった感じですか?

と書かれていたのは忘れてしまった感じですか?

忘れたなら忘れたで結構ですよ。地裁の話も忘れて元々の話に戻しましょう。

anond:20180218105536

元々の質問

参考までに、どこの路線を利用してますか?

という内容だったか記憶しているが

「いつ、どのくらいの期間、どの時間帯で利用していたのか」などと、まーた別の話をしてる

あと、地裁判決を読みたいんだけど君はどこでどのように読んだの?

anond:20180218104734

その地裁判決を読みたいのですよねえ

これについては「肌感覚女性専用車のある通勤時間帯の電車を知ってる人の発想じゃない」と書くべきでしたね。そんなこと書かずとも自明だろうと考えた私の認識が甘かったです。

その通りで、あなた認識発言が誤っていましたね。(甘かった、のではなく)

実際に女性専用車がない山手線利用者だったわけですから、私の勘は当たっていたということかと。

新宿線を使っていたことがあるという記述は、読んだけど忘れてしまった感じですか?

それはあなた主観ですよね。

いきなり違う話を持ち出してきたことに対して無茶苦茶というのが主観ですか。ちょっと理解できないです

anond:20180218103748

女性専用車両が「誰でも円滑に利用」できることに背いているのならば、この痴漢被害者も円滑に利用できる方法を示していただきたい」

「誰でも円滑に利用」できることに背いてないことは、すでに地裁判決で出ているという認識です。

鉄道会社責任を持って混雑率を減らす」

鉄道会社だけで解決できる問題ではないことは自明かと。

「肌感覚通勤時間帯の電車を知ってる人の発想じゃない」などという妄想が出てきたので、それは事実ではないと反論した

実際に女性専用車がない山手線利用者だったわけですから、私の勘は当たっていたわけです。

(ちなみに「妄想」という強い言葉を使ってしまう点がいささか感情的だなあとは思いました)

そしたら今度は「女性専用車のある路線通勤時間帯の現状について、肌感覚理解」などという何か別のハードルを持ち出してきた

これについては「女性専用車がある路線通勤時間帯の現状を、肌感覚で知ってる人の発想じゃない」と書くべきでしたね。そんなこと書かずとも自明だろうと考えた私の認識が甘かったです。

もう滅茶苦茶でしょう

それはあなた主観ですよね。

ちなみに女性専用車両がある新宿線使ってたこともあります

そうですか。都営新宿線は私も使っていますよ。

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