はてなキーワード: ホワイトデーとは
http://ericca.hatenablog.com/entry/2018/12/14/020000
このブログ主は私ではないのですが昨年に似たような被害にあってしまって結構ショックだったので記録します。。。
バス会社の時代の先輩で、奥さん(もバス会社の先輩)ともお子さんとも仲良くさせてもらってて
同期の女の子も交えて一緒にゴハンに行ったりした時期もあったりして
人としてすごく尊敬していたのです。が…
「鬱は甘えでしょ」「そんなんで鬱になるなら日本中鬱だらけ」「俺の方が何百倍も辛い、でも頑張ってる」
みたいなことを言われ、さらに
「あの頃(バス会社勤務時代)はまだ10代だったのに、もうBBAだな!(先輩は私の9歳上。。)」
「そんなんじゃいずれ捨てられるよ」
と言われ、極めつけに
「今奥さんと○○○○レスなんだ」「太ってる方が抱き心地よさそう(奥さんはスレンダー美人、私はデブス)」
と。
もう本当に本当に無理で。無理すぎて。
きもいとか通り越してもはや無理でした。
連絡を一切断たせてもらいました。
今でも連絡をとっていません。
先輩は私のことを人間ではなく女体として見ていたのが本当に無理なポイントでした。
勇気をもって話した病気のことや人生の説教はまだ、なんとか我慢できたけど
顔も見たくないし声も聞きたくないし
一生関わりたくありません。
パートナーがいるのを知ってて、なおかつ自分にもパートナーがいるのを知られている上で
呆れました。
(私と付き合っていることを知った上で)好き勝手言ったり
私に嫉妬させるような行動を(彼と飲み会に行った報告、彼からのホワイトデーのお返し報告など)わざととったり
連絡もすごくしつこくて、LINEやメールが来る度に過呼吸を起こすほど嫌悪感に襲われました。
その人とも今は連絡断たせてもらってます。
どちらも過去の事なので、今さらなにかどうこうするつもりはないですが
鬱病の一因には変わりないですし一生根に持つ予定です。
パートナーに対して後ろめたい行動をとる/とらせようとする人は無理です。
ほんとは2chにスレ立てようかなとも思ったけどただただ作品への愛しさをぶつけたいだけでもあるので…
ここ7年くらいずーーーっとムーンライトノベルズのヘビーユーザー続けているのですが全く書評を見かけないので私が書きます。
ムーンライトノベルズユーザーの皆様はもう「知ってるわ!!」くらいの有名どころを攻めてるので面白くないかもしれないんですが、あくまでムーンライトノベルズ読んだことない人向けに書きますみんな読んで…
ムーンライトノベルズはただ性癖に刺さる小説もあればエロだけじゃない作品もあってサイコーです。でも良い作品は大体書籍化されてなくなってるんだよなぁ。みつを
とりあえずみんなムーンライトノベルズ読もう!!!おすすめ紹介します
とりあえず今回は長編完結作品(作者敬称略)だけおすすめしてまた次回短編とか未完結のやつ紹介します。私は本気です。
https://novel18.syosetu.com/n9999cd/
【内容紹介】
高校一年生の新田一葉は生徒会選挙で見た福沢鬼丸の事が好きになった。
なんとか両想いになろうと悪い頭を駆使して頑張るけれど運命の神様は何故かクラスメイトの夏目輝とばかりひきあわせようとする。うまくいかない事やまのごとしなのである。
(あらすじより引用)
ムーンライトノベルズ界では言わずと知れた巨匠なので知ってる人も多いとは思いますが…!!!!読みやすい文章と抜群のワードセンスで惹き込まれます…。結構笑って読めるあけすけな下ネタもあるのに、シリアスなシーンもあって深いです…。陰と陽の描き方がうまい。
主人公のイチヨこと一葉ちゃんとメテルこと夏目輝くんの恋愛模様、そしてふたりの成長物語を描いています。
この作品というか作者さんの描くキャラクターはみんな魅力的で!!!
イチヨはおバカで怪獣ばかり追いかけてぽーーっとしていてメテルによく「珍獣」と言われるような変な子なんですけど、意外によく考えてたりもするし自分のいままで知らなかった「好き」の気持ちだったり、ちょっと影のあるメテルに対して向き合う姿勢が素敵。あとイチヨの天真爛漫さ、どこか子供みたいな所が抜けないところや、素直なところが良いなぁと思います。
あとそう、場面設定というか背景設定も良いです。架空の「生古市」を舞台に繰り広げて行くんですがなんかいちいち「ナマコ仲良しどうぶつランド」とか「生古高校」略して「ナマコー」だったりとか小ネタが面白いです。
メテルくんもちょっと生意気でクールなところが可愛いです。彼の顔面のことをイチヨは「猥褻が制服を着てるだけの顔」と称するのですが一体どんな顔なんだ!?!!?!そこがこの作品でいちばん気になるところかもしれない。
https://novel18.syosetu.com/n6660bo/
その高校では有名な男がいる。しかしそいつは悪質ともいえる行動を繰り返していた。 真城紗弓は友人を傷つけられ、怒りにまかせて男をこらしめに行く。しかし、逆に興味を持たれてしまい…。
(あらすじより引用)
この作者も有名です。よく書籍化されてますが、この作品は書籍化されていません…。なんで!?!?!?!
私はこれが一番好きなのですが…。
確かに内容は浅い部分もあるので賛否あるとは思いますが、私は本当にこの作品が好きです。
この作品は何よりデートシーンが最強!!!!!!!!たぶんムーンライトノベルズの小説のなかで1番デートシーンがドキドキきゅんきゅんします。描写がリアル。
序盤で主人公の紗弓と怜が横浜へデートするシーンがあるのですがそれが本当に最強。出てくるお料理を半分こしたり、食べ歩きしたり、雑貨屋さんを見たり…と何気ないけどあるあるできゅんきゅんするし、私は高校生の頃横浜近郊にすんでたら絶対こういうデートしたかった…と泣きました。本当に泣いた。なんか抉られるくらいデートシーンが素敵なので本当にぜひ読んでほしい。
海の家でふたりがバイトする回もあるんですけどそれも最強。なんで怜お前国立受験生なら夏休みバイトは無理だろとかいうツッコミは置いといてほしい。
なんか本当にあるあるなシーンばっかりでもあるんですが情景が浮かんできてうわーこういう高校生生活もあったのかも…しれない……??????という気持ちになる。切ない。
イベントごとの描写がキッチリしてて本当に疑似体験出来る。まさに学園モノという感じ。あと食べ物の描写もいちいち美味しそうでびっくりする。美味しそう。そこにも注目してほしい。
あと地味めな紗弓がオシャレするシーンも本当に最強。よくある劇的な変身じゃないけど、お母さんとかに相談しながら頑張る紗弓が本当に可愛い。頑張る女の子って本当に最強。
というか紗弓のキャラが良いのがこの作品の最大の魅力かもしれない。
気の強いヒロインは好みが別れるかもしれないが本当に紗弓は可愛い。可愛い。
まっすぐで意思が強く正義感も強く、そのせいでトラブルもおこしてしまうのですが…友達のために先輩の怜に初対面なのに突っかかっていく紗弓は本当に魅力的です。それにメガネでポニーテールでおっぱい大きくて身長小さくて気が強いヒロイン×高身長イケメンで頭脳明晰で敬語なのにエロくて過去が暗く歪んでるヒーロー は最強じゃないですか!?!!?!
本当に最強しかいってなくて語彙力の低下が著しいのは自分でもわかってる。わかってる。
ヒーローの過去が暗いのは定番中の定番ですがそれにしても暗すぎてそれにより人間性も歪んでるんですがそれを上回る紗弓の魅力で最早私のなかでは帳消しになっています。
紗弓が本当に可愛い。エロシーンも最強紗弓が可愛い。本当に紗弓が可愛い。
エロシーンは主に後半なのがまた良いです。序盤にも少しあるけど!!!
ハ〇ヒとかか〇めとかそこらへんのヒロインが好きな人は絶対に刺さります。
現実だとありえない設定ばかりですがそこはパラレルワールドでお願いしたいです。
だから作者さんには是非とも少し設定直して書籍化して欲しい。これは多分高校生とかにウケると思います… というかおたくにウケると思う。
長くなりましたね、本当にこの作品は最強なので読んでください。
3.squall 香子
https://novel18.syosetu.com/n5220cb/
女子大生の瀬川かなたには大好きな友達がいる。かなたの恋の相談にものってくれ、料理も上手でかわいいものを選ぶのが得意なその友達、天江環はオネェ言葉の美形だった。友達のはずだったふたりの関係が、雨の日を境に変わっていく。
はいみんな大好きオネエ×女の子~~~~~~!!!!!これ数年前からかなり人気のジャンルですよね。私も好きなんですけど、ムーンのなかで1番オススメなのはこれです。
この作品を一言で表すと「雨」。しっとりとして暗くてじめじめしています。別に全編ずーっとどシリアスって訳では無いのですが、読み通すとずーっと雨雲の中にいるような気分になってきます。なんでだろう…。
登場人物がそれぞれに悩みを抱えていて、乗り越えようとする姿が本当にもどかしいです…。やるせなさと切なさとぬくもりが交差する感じで、やっぱり雨の日です。雨の日。(意味不明)
あとみんな良い子なんですが途中から出てくるキャラクターの不気味さと危うさに痺れます。一見普通の女の子なのに、どこか引っかかる…という描写が本当に上手い。
あと正反対だけど環とかなたのなかには同じ温度が流れてるんですよ、ペースが一緒。ゆっくりだけど焦りもある。そこに惹き込まれます。えっちの描写も過激ではないですがエロいです。なんかやっぱりこの作品に流れるしっとりとした空気がそうさせるのかな。
https://novel18.syosetu.com/n1382by/
(内容紹介)
会社の喫煙室から聞こえてきた会話に、平田嘉奈は思わず足を止めてしまう。声の主が職場のイケメン有望株・眞野灰路だとわかり喜ぶも、続けて聞えてきた、嘉奈を「かわいい」「好きだ」という“理由”にがくぜんとする。
あげくに──嘉奈の笑い声を録音していると、しれっと悪びれもせずカミングアウトする灰路。てかそれって犯罪スレスレ、いやアウトですからっ!
とんでもない性癖にドン引きした翌日、灰路は「バレンタインデーだから」と涼しい顔で嘉奈に贈りものをする。嘉奈の手に残された小さな箱の中身はチョコレート……ではなく、ダイヤの指輪!?
「ホワイトデーには僕の奥さんになってもらおうと思って」
はい? 意味がわかりません! 私たち、ただの同僚ですよね!?
アウト寄りの犯罪スレスレ声フェチ残念変態イケメンと、ちょっとワケあり純粋OL。
バレンタインデーから始まる、1カ月間のハイテンション恋愛攻防戦開幕!
なんかあらすじを読むといかにも~という感じがするかもしれません!!!!!でもこの作品は自分のリビドーに正直にいようというのが裏打ちされた作品だと思ってるしそうだと思います。
リビドーとは
リビドーとは、日常的には性的欲望または性衝動と同義に用いられる。世間一般的には、リビドーという言葉は押さえきれない性的欲求のようなものを指して使われる。特に男性の荒々しい露骨な性的欲求を表現する言葉としてしばしば使われ、また時には男性の性的欲望を軽蔑する意味合いの言葉としても使われる。 ウィキペディアより
リビドーに正直にいるって、なんて破廉恥で非常識!と思うかもしれません…
でも自分の好きな物や好きなことに正直でいるって、難しいけど大切ですよね。
自分の性癖だったり、性に関する悩みって誰しもあるし尽きないと思うんですよ、でもヒーローの灰二はそれに正直でいる(たまに犯罪スレスレのことまでするのはご愛嬌)んですよ、隠さない。まぁ創作だから有り得る話だとは思いますが、自分の好きなものに素直でいて良いんだって後押しされる作品です。エロいし笑えるけど、そういうことの大切さも教えてくれる作品だと私は思ってます!!
ヒロインのカナちゃんはものすごくチョロいチョロインなのですが、その灰二の性癖に向き合いつつ自分の悩みにも向き合おうとする姿勢が良いです。
というかムーンライトノベルズのヒロインみんなだいたいチョロインだから仕方ないね!!
5.イケメン夢魔が好きな女の子を夢の中でぐちゃぐちゃにしちゃう話 紅茶丸
https://novel18.syosetu.com/n4400dv/
これは本当に一言「エロい」に尽きる。まぁ設定がインキュバスな時点でエロいんですが、もう作者様の描写がエロエロのエロ。ハートが乱舞する描写なので好き嫌い分かれますが私は好きなのでどんとこいです…!
ヒーローがヒロインに対してだけデレデレのエロエロになるのがやっぱり強いよなぁ…と。目にハートが浮かんでるのが容易に想像できます。とりあえずエロいからみんな読んで。
https://novel18.syosetu.com/n4291ce/
まさか男子4人の班に女子が私1人だけだなんて。不運にもそんな組み合わせになってしまった高校1年の班。少し不安を抱えて高校生活が始まったけれど意外にも男の子達は優しかった。平穏な日々を過ごせそうだなと思っていた。でも、友達に見せてもらったある物が私を変えてしまう。
もうわけがわかりませんね。でも私は複数ものだったらこの作品が1番オススメです。
4人の男の子たちも、真面目な優等生の梛本くん、女好きで中性的な須藤くん、厳つくてちょっと乱暴な五十嵐くん、小柄でやんちゃな柏倉くん…とそれぞれバラバラです。それがまぁ良いんですけど!!
複数ものですが愛があるし、主人公が1人を選ばないところが私は好きですね。
主人公の恭子ちゃんの1歩引き気味でなおかつ優柔不断なところがまたそそります…。それなのに妄想癖があるところがまた良い!!
その妄想がだんだんと……なっていく感じがたまらないですね。複数ものでもすんなり読める、私はオススメです。
https://novel18.syosetu.com/n4773da/2/
多田美羽(ただみわ)二十三歳。ただいま彼氏を募集中です。好きなタイプの条件はイケメンである事。これを言うと大抵周りのみんなは微妙な表情になりますが、そこは絶対に譲れません。二十五歳までには寿退社する事を目指します。
これはこの作者さんの『恋愛など要らぬ人生を送りたい』https://novel18.syosetu.com/n8821cw/
のスピンオフです。
本編もオススメなのですが個人的にはこのスピンオフが本当に素晴らしい…!!!
本編ではいわゆる「イマドキ」で合コン大好きでちょっと空気が読めない作品に「よくいる」後輩OLの美羽ちゃんは私も読んでて「あー、いるいる」となりそんなに思い入れはなかったのですが…!!
このスピンオフを読むと美羽ちゃんが本当に可愛い。ちょっと空気読めないけど彼女なりに奮闘して突き進む姿が本当に健気で可愛いです。あとエロシーンも本当に好きです……彼女の意外なギャップに萌えます…!!!!!!!!!
あと彼女は本当に後先考えない、本当に後先考えずに突き進んでしまうトラブルメーカーなのでこちらもハラハラします。
ヒーローの岩井くんもこれまた良い。いわゆるイケメンではないし、地味だけどはっきりものを言う人で美羽ちゃんとはぶつかり合うんですが…!!!!!ただ地味な訳じゃなくてちょっとイヤミっぽくて無愛想な感じがまーーた良い。でもそんな!!!本当に本当に正反対なふたりが!!!!くっつく!!めっちゃトラブルあったけど!!!!くっついた瞬間はもうスタンディングオベーション、ありがとう世界!!!という感じ。とりあえず読んでください。
以上!!!!!!!!とりあえずここまで読んでくれた人ありがとうございます。ほかにもめちゃくちゃおすすめな作品いっぱいあるんですけど… というか王道の転生ものと異世界もの書いてなかった…(絶望)
次は短編と未完結で書きます。需要ないかもだけどみんなにムーンライトノベルズ読んでほしいから書きます。
なんかレビューとか紹介ってより語彙力のないオタクが感想垂れ流したみたいな感じになって非常に恥ずかしいんですけど愛する気持ちは変わらないんで是非とも!!何卒!!よろしくお願い致します。
俺はお返しの品を持って、ドッペル宅に赴いた。
自分の家にこもっていれば、お返しそのものをしなくてもいい可能性もある。
だが俺にとってホワイトデーとは、借金をした人間の給料日みたいなものだ。
支払能力があり、責任もある人間が「ただ気が乗らない」だとか、「金を出したくない」とかいう理由で、それを反故にしていい理由にはならない。
あれこれ理由をつけて、目の前の問題そのものから逃れようとするのはナンセンスだ。
「あ、マスダの兄ちゃん……どうしたの」
「ドッペル、分かっているだろう。前置きは不要だ」
俺はドッペルに箱を渡す。
中身はケーキだ。
値段はドッペルの渡したケーキとほぼ同じ。
「ドッペル、お前の言いたいことは分かる。これでは満足に足らないのだろう」
「い、いや、そんなことはないよ……」
そう言っているが、内心はそうじゃないはず。
これでは3倍にならないことは明白だからだ。
触れないし、聞こえない、匂わないし、味わえない。
実感でのみ認識できる。
では、どう認識させるか。
「このケーキはな。『何となく』で買ったものじゃない。お前が好きそうなものは何かと考えながら、複数ある候補の中から選んだんだ」
俺はそのケーキが3倍の価値だと思い込ませるために、ひたすら付加価値をつけた。
自分は苦心したのだと、お前のことを考えて選び、結果として値段自体は同じくらいになったのだと。
「う、うん。ありがとう。とても嬉しいよ」
そして、この説得は成功した。
正直なところ、賭けだった。
最終的に貰う側がどう思うかに委ねられている以上、納得してくれなければ終わりだからだ。
ドッペルが素直で助かった。
しかし、この作戦を考えていた段階からあった、違和感が未だ拭えない。
俺の真心は十分伝わったはずだ。
これで等価交換は……
俺がチョコを食えないことを知っていてのチョイス。
だから俺が同じ値段の品に真心を入れたところで、それでは3倍のお返しにはならない。
だが、気づいたところでもはや手遅れだ。
俺は、今の持ち札で等価交換を成立させねばならない。
「待て、ドッペル。これだけじゃないぞ」
「俺の愛用品だが、手入れはしてあるから新品同然だ」
俺の持ち札の中ではそれが最もマシだった。
ケーキを丁重に運ぶため、余計なものはほぼ持ってきていなかったのだ。
「あ……ありがとう!」
ドッペルの嬉々とした声、表情。
これでダメだったときはどうしようかと思っていたが、どうやらホワイトデーは無事完遂できたようである。
「ドッペル……仮に来年またくれるようなら、今度は安いのでいいからな……お返しを考えるのも楽じゃないんだ」
「え、そんなの気にしなくていいよ。マスダの兄ちゃんだって今度からは安いのでいいよ」
お手本のような「気にしなくていいよ」。
弟が帰ってきた。
「ただいまー。ドッペルに会ったけど、兄貴のお返し気に入ってたよ。すっげえ自慢してくる」
でなきゃ困る。
借金を返済したと思ったら、利子だけしか払えていなかったでは話にならない。
「そういうお前はどうだったんだ?」
「うーん……何とも言えない」
「どういうことだ?」
総論からいえば、お返しこそ貰えたものの金銭的な側面から弟はほとんど得はしなかった。
3倍返しなんていう文化は、大人たちの間では風化していたからだ。
“取り繕っても、見栄は張らない”
たぶん、そのトレンドは当事者たちにとって都合がいい範疇で適用しているに過ぎないのだろう。
詩織「新たな愛を見つけるラブ発見型新感覚ラブリーラジオです」
詩織「……いきなり ……どうしたのよ 言っておくけど…… あなた割と常に恥ずかしい子よ……」
愛海「……」
詩織「……あらあら? あら…… あらあら…… なにかしら…… その言いたげな顔は……」
愛海「ここだけ切り取られたりするの不愉快だから言っておくけど、あたしは今好きな人も恋人もいません!」
詩織「ふーん…… まあ…… 言いたいことは山ほどあるけど…… 本題じゃないのなら追求しないでおくわ……」
愛海「ただね、そのね、あのときあのタイミングあの場にいたら、10人が10人とも、
「こいつ、あたしのこと好きなんと違う?」という思わせぶりな態度をとってきたんですよ!」
詩織「あくまで…… 愛海ちゃんが好きなんじゃなく…… 相手の男子が愛海ちゃんのことを好きそうだと……」
愛海「そうなの! なんかね、掃除の時間とか手伝ってくれたり、日直の仕事手伝ってくれたり、休憩時間も喋りかけてくるし、あと時々授業中なのに目があうし!」
詩織「765プロのアイドルの方々は…… でも中の人はお年頃の女の子だからー とも歌ってらしたけどね……」
愛海「クラスの友達思い出せない彼氏もできない、とも歌ってますけどね」
詩織「……とはいえ。別に変なことしないなら…… ファンも裏方さんも演者さんも認めてくれると思うわよ……
そもそも…… 誰かを好きになるのに…… 当事者同士以外の許可が必要な理屈なんてないものだし……」
愛海「とにかく! 日頃から優しくしてくれることとか、話しかけてくれることとは嬉しいんですよ。
でも、好きとかじゃなかったんです!」
詩織「あらあら…… うふふ…… お手紙になんて書いてあったのかしら……」
詩織「うづうづ……」
愛海「直接的な言い回しじゃないんだけど、なんかこう、あたしのアイドルとしての活動が可愛いみたいなことが……」
詩織「見てくれたのね……」
愛海「そうなの! そのね、普段はあたしがアイドルだってことに触れないでくれていたの!
なのに、お手紙にはそう書かれてて……」
詩織「こういう甘酸っぱいエピソードもあるじゃない…… いいわね…… 中学生の恋って……」
愛海「でもね、やっぱり、断らないと! と思って」
詩織「寂しい……」
愛海「その、断ったの、あたしはアイドルだしお山が好きだからって」
恥ずかしくなんてないわよ…… あなたは頑張れてるし…… 立派よ……」
愛海「ところが」
詩織「えー…… ここで話終わればよかったのに……」
詩織「照れ隠しじゃないの…… 手紙もマシュマロもあるんだし……」
愛海「いや…… その…… なんていうか……」
愛海「その男子じゃなかったんです。手紙とマシュマロくれたの」
詩織「はははははははは!!!! ばっかじゃないの…… あなたばっかじゃないの! なんで呼び出してるのよ!!!」
愛海「もうね!
「は? 俺じゃねえけど? 勘違いしてね?」って言われたときの、あたしの顔!」
詩織「ははははは!!!! ほんと? それすらも照れ隠しじゃなくて?」
愛海「さすがに態度でわかりますよ…… それに、その後別のクラスの喋ったことない男子のファンがくれたものだって判明しましたし……」
詩織「えええええ、もう…… それは本当に恥ずかしい話ね…… 勝手に告白されたと思い込んで、勝手にふって…… あなたは恥ずかしいでしょうけど、好きでもないのにふられた男の子もかわいそうだわよ……」
愛海「いやもう…… 本当ごめんなさい…… こうしてラジオで喋ってプライベートを切り売りして売れたお金で何か奢るので、許してください」
詩織「これは…… さすがに胸の中にしまって淡い青春の一ページにはできないわねえ……」
詩織「まあまあ…… はははは」
愛海「もおおおおお! そこまで笑わないでくださいよ!」
こっちが好きって言わなくても好きって言ってほしい
そんな頻繁に言わなくてもいい
でも1年付き合って別の人と飲んで酔っ払った時の1回だけだから寂しい
あとお返し目的で渡したわけではないけどホワイトデー忘れられてて寂しい
3/19 追記
ホッテントリ入り、応援ありがとうございます。はてブを話題に出してこの記事を探してもらったのですが、彼氏には届かなかったので、こちらから記事を知らせました。
ホワイトデーは生菓子を予定していていつ買おうか迷ってたそうです。
今まで好きって伝える習慣がなかったようで、要検討と言われました。
無条件に愛されているということを実感したいというわがままなので、彼の言動を縛りたくはないですし、その分こちらからは目一杯好きって言い続けようと思います。
「暇そーにしてんね!」
「ごめんwあ、そーだ」
ごそごそ
「これさぁ、友チョコなんだけどー」
「ん?」
「余っちゃったからあげる!」
「いーの、マジで」
「あまってもしょうがないでしょー」
っていうやり取りがあったんだが、ホワイトデー終わってたな…
「ただいまー」
しばらくして、弟が帰ってきた。
白々しい反応だが、俺はあえて話に乗る。
「ああ、“ドッペルから”な」
だが、予想外にも弟の顔色は曇らない。
取り繕っているようにも見えない。
どういうことだ。
「へえ~、店のチラシで見たけど、それ割といい値段するよ。ドッペルのやつ、奮発したんだなあ」
弟の言葉を聞いて、俺は衝撃が走った。
あわてて中身を調べる。
……ケーキだ。
つまり、これは元からドッペルが俺に渡すつもりだったということだ。
出てきた結果を見て、思わずよろめいた。
間違っているんじゃないかと何度も画面を見返す。
「ぐわっ……やられた」
完全に失念していた。
弟の思惑にばかり考えがいって、ドッペル自身の思惑をまるで考えていなかった。
ドッペルにだって、見返りをアテにする欲はあるに決まっているのに。
これの3倍のお返し……。
俺のバイトにかけた時間が、財布からお金が消えていく幻が見えた。
それから1ヶ月間、俺は気が気でなかった。
だが、ホワイトデーのことがチラついて、どんな味だったか覚えていない。
バイトをしているときも「いま働いている数時間分の給料が、ホワイトデーに費やされるんだな……」などと度々考えてしまう。
「なんやねん、マスダ。こっちまで伝染しそうやわ」
明らかに溜め息の数が多かった俺を見かねて、一緒に働いていたカン先輩が話しかけてきた。
「ホワイトデーのお返しが高くつきそうなんですよね……」
「なんや、マスダお前。貰える側やったんかい。いやあ、隅に置けんなあ」
「そんなんじゃないですよ」
「照れなくてもええって。そういうのに縁がなさそうに見えたんやが、ワイの恋愛相談に乗れる程度の経験はしてるってか」
先輩の言い方は、やや嫌味だ。
どうも先輩は、自分の恋愛がことごとく失敗しているのは、俺に相談をしたせいだと思っている節がある。
それが根も葉もないとまで言うつもりはないが、だからといって根に持たれるというのは逆恨みだ。
「ケーキだったんですよ。しかも結構な上物らしくて。それの3倍って考えると……」
「マスダも案外、不器用なところがあんなあ。なにも大真面目に3倍の値段のものを送る必要なんてないやろ」
「んん? どういうことです」
「3000円の料理が、1000円の料理の3倍ボリュームがあるわけでも、3倍美味いとも限らんやろ」
なるほど、先輩の言いたいことも分からなくはない。
だが、それは赤の他人がつけた価値に過ぎず、鵜呑みにする必要はないわけだ。
「ですが、それで俺はどうすれば」
先輩は得意気な顔で、胸をポンと大げさに叩いてみせる。
「“真心”や」
先輩の口から観念的な言葉が出てくるときというのは、大抵は詭弁だ。
だが、今回は大真面目に言っているらしい。
「マゴコロ?」
「ワシは最近アイドルのファンやっとるが、そこで気づいたことがある」
先輩、そんなことやってんのか。
どうやら、当分の間は恋人を作るつもりがないらしい。
「あの子らの活躍は『大好き』の具現化なんや。歌がめっちゃ上手いからやない。ごっつ美人やからやない。グッズがよう出来てるわけやない。一生懸命、真心がこもっているから、ワシらはそれに金を出そうと思えるんや。つまり、真心は金になる!」
俺は天啓を得たんだ。
しかし、上手く言語化できないが、何らかの“違和感”を覚えた。
そして、それを拭えないまま俺はホワイトデーを迎えることになる。
ところかわって兄の俺は、相変わらず家で世俗にまみれない快適な時を過ごしていた。
俺は重い腰をあげると、しぶしぶ玄関に向かった。
念のため、覗き穴から来訪者を窺う。
思わずため息をついた。
そこから見えたのは弟だったのだ。
やれやれ、どうやら鍵を忘れて出て行ったようだな。
ここで深く考えずにドアを開けてしまったのは、我ながら迂闊だった。
覗き穴ごしからは気づかなかったが、肉眼で至近距離ともなると一目瞭然である。
弟ではなく、弟に変装したドッペルだ。
「バレンタイン……」
そう言うとドッペルは、おずおずと俺の前に箱を差し出した。
やたらと煌びやかなラッピングに対して、箱そのもののデザインはひどくシンプルである。
言葉が少なすぎて確信は持てないが、バレンタインと言っていたのでそういうことなのだろう。
俺はこの箱の中身、ひいては“意味”を考えていた。
答えはすぐに導き出された。
これは弟のチョコばらまき作戦の一つで、俺も候補に入れたってわけだ。
だが、弟の思惑を俺は知っているので、普通に渡しても受け取ってくれるはずがない。
そこでドッペルを介した。
俺は見分けがつくので、ドッペルだと気づいてチョコを何の疑いもなく受け取る。
これが罠なのだ。
弟に変装したドッペルは、後に俺にはチョコを渡していないとしらばっくれる。
そうなると、俺の受け取ったチョコは弟から貰ったという扱いにされてしまう。
そして、俺は弟に高いものを買わされる、と。
随分と回りくどい真似をしてきやがる。
だが、所詮ガキの浅知恵だ。
「ドッペル、これを受け取る前に確認しておきたいことがある」
「な、なに?」
「いま、お前は弟の姿に変装しているが、弟ではない。ドッペル、お前が俺にくれるんだよな?」
ただつき返すだけでは弟への報復にはならない。
モノは貰う、だがお返しはしない。
しなくていいように、弟があげたなどという可能性を完全に無くす。
「う、うん」
「よし。念のため、包みにお前の筆跡で書いてもらえないか? 『マスダの兄ちゃんへ、ドッペルより』って」
言ったとおりのことを包みに書いてもらい、俺は粛々と受け取った。
ところ変わって弟のほうでは、タオナケとの熾烈なチョコの押し付け合いが始まっていた。
「欲しいよ。ホワイトデーに何も返さなくていいならな! そういうタオナケこそ、俺から貰っておけばいいじゃないか」
戦いは拮抗していた。
タオナケには超能力があるが、「念じると5回に1回、無機物を破壊できる」というもので使い勝手が悪い。
下手に弟のモノを壊せば、お返しどころではなくなる可能性がある。
弟はドッペルを身代わりに有耶無耶にするとは言っていたものの、あくまでそれは最終手段だ。
それにチョコの押し付け合いごときで、仲間にそんなことはしたくない程度の情はある。
そもそも互いがチョコを欲していない時点で、この勝負は不毛でしかなかったのだが。
そのことをミミセンが指摘するまで、二人の戦いは続いた。
広場にいたのは以前、弟たちが色々と野暮なことをして困らせた魔法少女の人だった。
どうやら、何らかの催しと合わせてチョコを配っているらしい。
「うっわあ、あんだけ無作為に配るって、俺には絶対マネできないな」
「まあ、人気商売だからね。見返りってのは形のあるモノだけじゃないってことなんだろう」
配っているチョコはどうも魔法少女組合が販売しているチョコらしく、在庫処分なのか宣伝目的なのか分からないが、いずれにしろ利己的な思惑が絡んでいることは明らかであった。
慈善団体という名目だが、魔法少女をやっていくのは簡単ではないということなのだろう。
「タダで貰えるんだったら、俺も貰ってこようっと」
弟は列に並ぼうと魔法少女に近づくが、ミミセンが静止する。
「いや、僕たちはこれまでも魔法少女の人に図々しいことをしてきたし、今回はやめとこう」
それでもミミセンの判断が優れていることは分かっていたため、大人しくそれに従った。
「まあ、いいや、とにかくチョコを捌かないと」
「渡すアテはあるのかい?」
「とりあえず近所の知り合い、きっちりお返ししてくれる律儀な大人たちに優先して配ろうと思う」
予想外の人物からのまさかのバレンタインチョコにみんな最初の内は困惑するが、「こいつのことだからホワイトデーの見返り目的だな」とすぐに勘付く。
それでも受け取ってあげるあたり、良くも悪くも弟の人徳が成せる業である。
その道中、また知っている人物を見た。
『生活教』だとかいうのを広めている、時代遅れで薄味な新興宗教の教祖だ。
「皆様、バレンタインも宗教が関係していることをご存知でしょうか。しかし、贈答品がチョコというのは企業戦略の結果もたらされた風潮でしかありません。国によってはメッセージカード、花などを贈ることもあります」
バレンタインを話に絡めて、今日も飽きずに布教活動をしているようだった。
みんな教祖のことを胡散臭い人物だとは思っているのだが、それでも話に聞き入ってしまう者が何人か出てくる。
曲がりなりにも教祖なんてやっているわけだから、やっぱりそういった“素養”があるのかもしれない。
「恋人のための祭りという認識が一般的かもしれませんが、これも厳密に決まっているわけではありません。片思いの相手、友人、仕事仲間など様々です。つまりマクロ的な観点から見れば、チョコ以外のものを送ってもいいですし、誰に送っても問題ないのです」
いまの弟にとって、その教えは福音だった。
「こう、おっしゃる方もいるでしょう。『大事なのは真心』だと。ですが、それは目に見えませんよね。こう考えてみましょう。真心を可視化したものが贈答品なのだと。そう考えるなら、大事なのは“何を贈るか”ですよね? そこで『生活教』では、生活用品を贈答品として推奨しております……」
むしろ耳の痛いことも言っているのだが、こういうものは各々が都合よく解釈するように人間は出来ている。
「は?」
「俺たちがチョコを押し付けることもルール上ありなんでしょ?」
バレンタインは女性がチョコをあげているのがポピュラーだが、別に明確なルールがあるというわけじゃない。
弟のフレキシブルな発想に、俺はどこか感心していた。
「まあ、ナシではないだろうな……」
そう言って弟は家を飛び出していった。
当然、俺は不参加だ。
世間に振り回されない弟ならともかく、俺がやったら免疫細胞はたちまち死滅するだろうからだ。
チョコは質と量を考慮して、松竹梅でいう竹クラスで勝負を仕掛けるらしい。
「あ、マスダ、どうしたのそのチョコ。すごいじゃん」
大量に抱えていたチョコが同じ見た目の市販品であることに気づくと、ミミセンは身構えた。
弟の思惑を知らないミミセンは、その発言に頭を抱える。
見栄?
だが、こんな見え見えなことをするとは思えない。
聡明なミミセンは、弟の人格と状況から分析して結論を導き出した。
「……なるほど、貰うんじゃなくてあげる側になってやろうってことだね」
「そう。ホワイトデーの見返りは、期待値が大きいらしいからさ」
「はは、よかった。気づいていなかったら、チョコを押し付けられるところだったよ」
つまり定期的に買っているということで、見返りを期待できるほどの預金はないと考えていたからだ。
実のところ、耳栓は親が買い与えていたもので小遣いとは別口だったが、弟がどう振舞っても結局は受け取らなかっただろう。
“先約”がいたことで、ミミセンは既に警戒心を高めていたからだ。
俺がテキトーにのたまったことだが、ホワイトデーをアテにする人間というのは存外いるらしい。
「でもマスダ、気をつけたほうがいいよ。タオナケは僕たち仲間にチョコを配っている」
弟がよく連れ立つ仲間の一人には、紅一点(ということになっている)タオナケがいた。
口癖が「私、女だけど」で、ちょっと主張が強い子だと仲間たちに認識されている。
そして押しも強いと認識されていた。
つまりチョコを押し付けることに関していえば仲間内で随一なのだ。
「既に僕は貰ってしまった。当日、たぶん無理やりにでも取り立てるよ」
その取り立てがどれほどのものか推し量ることはできないが、貰った時点でホワイトデーは審判の日になるであろうことは想像に難くない。
弟はタオナケの出没を念頭に置きながら、作戦を完遂する必要に迫られたのだ。
漫然とチョコをバラまくだけでよかったはずが、一気に難易度が跳ね上がった。
しかし、弟には奥の手もあった。
「そうか……まあ、タオナケにチョコを貰ってしまっても、ドッペルが俺に変装していたということにしてやるさ」
弟の仲間には、変装が得意なドッペルという子がいた。
特に俺の弟の真似は完成度が高く、身内でも油断すると騙されることがある。
最悪、そのドッペルを身代わりにして有耶無耶にするということも考えていたのだ。
「ズルいなあ……そういえば、今日はドッペルを見かけないんだよね」
「俺も見てないな。もしかしたら、お得意の変装で隠れて機会を伺っているのかもしれない」
「ドッペルは、マスダやタオナケと違って、そんなことしないよ」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
そんな会話を二人でしながら歩いていると、町の大広場にさしかかった。
そこはいつも以上に人で溢れており、どうやら何らかのイベントをやっているようだった。
その中心には、見知った顔があった。