詩織「新たな愛を見つけるラブ発見型新感覚ラブリーラジオです」
詩織「……いきなり ……どうしたのよ 言っておくけど…… あなた割と常に恥ずかしい子よ……」
愛海「……」
詩織「……あらあら? あら…… あらあら…… なにかしら…… その言いたげな顔は……」
愛海「ここだけ切り取られたりするの不愉快だから言っておくけど、あたしは今好きな人も恋人もいません!」
詩織「ふーん…… まあ…… 言いたいことは山ほどあるけど…… 本題じゃないのなら追求しないでおくわ……」
愛海「ただね、そのね、あのときあのタイミングあの場にいたら、10人が10人とも、
「こいつ、あたしのこと好きなんと違う?」という思わせぶりな態度をとってきたんですよ!」
詩織「あくまで…… 愛海ちゃんが好きなんじゃなく…… 相手の男子が愛海ちゃんのことを好きそうだと……」
愛海「そうなの! なんかね、掃除の時間とか手伝ってくれたり、日直の仕事手伝ってくれたり、休憩時間も喋りかけてくるし、あと時々授業中なのに目があうし!」
詩織「765プロのアイドルの方々は…… でも中の人はお年頃の女の子だからー とも歌ってらしたけどね……」
愛海「クラスの友達思い出せない彼氏もできない、とも歌ってますけどね」
詩織「……とはいえ。別に変なことしないなら…… ファンも裏方さんも演者さんも認めてくれると思うわよ……
そもそも…… 誰かを好きになるのに…… 当事者同士以外の許可が必要な理屈なんてないものだし……」
愛海「とにかく! 日頃から優しくしてくれることとか、話しかけてくれることとは嬉しいんですよ。
でも、好きとかじゃなかったんです!」
詩織「あらあら…… うふふ…… お手紙になんて書いてあったのかしら……」
詩織「うづうづ……」
愛海「直接的な言い回しじゃないんだけど、なんかこう、あたしのアイドルとしての活動が可愛いみたいなことが……」
詩織「見てくれたのね……」
愛海「そうなの! そのね、普段はあたしがアイドルだってことに触れないでくれていたの!
なのに、お手紙にはそう書かれてて……」
詩織「こういう甘酸っぱいエピソードもあるじゃない…… いいわね…… 中学生の恋って……」
愛海「でもね、やっぱり、断らないと! と思って」
詩織「寂しい……」
愛海「その、断ったの、あたしはアイドルだしお山が好きだからって」
恥ずかしくなんてないわよ…… あなたは頑張れてるし…… 立派よ……」
愛海「ところが」
詩織「えー…… ここで話終わればよかったのに……」
詩織「照れ隠しじゃないの…… 手紙もマシュマロもあるんだし……」
愛海「いや…… その…… なんていうか……」
愛海「その男子じゃなかったんです。手紙とマシュマロくれたの」
詩織「はははははははは!!!! ばっかじゃないの…… あなたばっかじゃないの! なんで呼び出してるのよ!!!」
愛海「もうね!
「は? 俺じゃねえけど? 勘違いしてね?」って言われたときの、あたしの顔!」
詩織「ははははは!!!! ほんと? それすらも照れ隠しじゃなくて?」
愛海「さすがに態度でわかりますよ…… それに、その後別のクラスの喋ったことない男子のファンがくれたものだって判明しましたし……」
詩織「えええええ、もう…… それは本当に恥ずかしい話ね…… 勝手に告白されたと思い込んで、勝手にふって…… あなたは恥ずかしいでしょうけど、好きでもないのにふられた男の子もかわいそうだわよ……」
愛海「いやもう…… 本当ごめんなさい…… こうしてラジオで喋ってプライベートを切り売りして売れたお金で何か奢るので、許してください」
詩織「これは…… さすがに胸の中にしまって淡い青春の一ページにはできないわねえ……」
詩織「まあまあ…… はははは」
愛海「もおおおおお! そこまで笑わないでくださいよ!」