Dalbergia spp.、 Guibourtia demeusei、 Guibourtia pellegriniana、及びGuibourtia tessmannii (ブビンガ)に関する注釈＃15は、ローズウッドとブビンガの附属書II記載が以下を対象としている旨を示しております：

全部位及び派生物が含まれるが、以下は除く：
ａ）葉、花、花粉、果実、及び種子；
ｂ）積荷当たりの重量が10kgまでの非商業輸出；
ｃ）注釈＃4の対象である Dalbergia cochinchinensis の各部位と派生物；及び
ｄ）注釈＃6の対象であるメキシコ原産の、及びメキシコから輸出されたDalbergia spp. の各部位と派生物

楽器、ローズウッド及びブビンガ

　楽器産業と楽器製造業向け木材供給者は、ローズウッド及びブビンガの保全努力とともに、その生物学的特性や保護措置及び取引について、さらに研究していくことを強く支持しております。これらの樹木を守ることが重要です。

　楽器を作るのに必要となるローズウッドやブビンガの量はとても限られたものです。例えば、ギターやバイオリン、ビオラ、チェロ、ダブルバス、クラリネット、ピッコロ、オーボエ、フルート、サキソフォーン、そしてピアノで、ローズウッドやブビンガを使っているものは概ね、それらを実質10kgも含んでおりません。マリンバとごく少数のピアノ類ではもっと多く使われているかもしれませんが、それでも通常は楽器あたり30kgを超えることはないでしょう。バイオリン系のような特定の楽器においては、ローズウッドの使用は極めて少量でありながらも重要ですが、それは、例えば調律糸巻などに最も適した素材だからです。楽器製造業・小売業そしてミュージシャンは、生計のため、そして人類の経験を高めるアートを作り出すために、楽器の取引をよりどころにしております。総体として、ローズウッドやブビンガの全世界的取引のなかで楽器が占めている割合は、ボリュームで見れば極めて少ないのですが、発行される許可の割合は顕著なものです。

　素材価格の高騰は、楽器製造業と関連事業者（例えばバイオリン・アクセサリ製造業のような）の限界収益性をむしばみ、生計を脅かす恐れがあります。楽器は使いづづけるものですし、小売業と個人の両方で長期間にわたって売却されるものですが、強制され発行してもらう許可のための費用と負担はその都度発生します。ミュージシャンにとって、特にオーケストラや合奏団にとって、楽器の移動や売却を制限されることは、生計と芸術活動を脅かすものとなります。

　楽器や楽器部品の商業的、非商業的な移動が明確かつ完全に除外されていないことで、取引に重大な影響が生じ、国際的な文化活動は妨げられ、CITES管理当局に不必要なな負担をかけています。締約国が注釈＃15を置き換えるか修正しないことには、音楽の世界と文化は、あの最高品質のトーンを生み出す楽器を失うことになりましょう……相応の保全利益もないのにです。

ミュージシャンと楽器製造業は楽器の商業的及び非商業的な移動を認める解決方法を求めている　実用楽器には長い……数世紀でなくても数十年……もの寿命があるので、ミュージシャンである所有者によって転売されるのが通常です。自らの楽器を越境売却しようとするミュージシャンに、許可申請と文書要求を課すことは、取引を妨げ、不必要な行政的負担をもたらすこととなり、ミュージシャンの基本的な資力（ときには老後の貯え）を弱めることになります……それにともなう明白な保全利益がないのに、です。

注釈をどのように刷新し／改めるにせよ、既に限定されている管理・執行リソースを最大の保全利益をもたらす領域へ確実に集中できるように仕立てられるべきである　注釈をどのように刷新し／改めるにせよ、ダルベルギアの記載によって締約国が処理しなければならなくなった許可申請のボリュームが極めて増大していることを正すものでなければなりません。例えば、米国の管理当局が発行した許可の数は注釈＃15のために2016年から 2017年で約2倍となっていますが、その管理や執行のための予算やスタッフの増加はこれに見合ったものではありません。管理当局の過負荷は、取引と保全のどちらの観点でも望ましいことではありません。さらに言えば、これらの許可のなかには、同じ木片が無垢から完成品となるまで移動するために何度も必要となったものが含まれていると指摘しておくことが重要です。

焦点に据えるべきは産地国からの取引であって、完成楽器ではない　11.21会議決議（Rev. CoP17）では注釈にかかる指針と原則が定められましたが、締約国への提言として確実を求めているのは、注釈が本条約の３つの使用言語にて明確かつ曖昧さのないものとなること；特定の標本を除外することの保全インパクトを考慮すること；そして、執行可能性を考慮することです。そこでは、植物類の注釈を起草する際の基本指針として、２つの原則に従うことも明言されております：１）産地国からの輸出としての国際取引に初めて登場する商品に制御を集中すべきこと；及び２）野生資源の取引と需要において優勢な商品だけを含むように制御すべきこと、です。楽器は産地国の輸出としての国際取引に初めて登場する商品ではありませんし、取引において優勢とはとてもいえないものでございます。こうした原則と事実は、新たな注釈を作るうえで指針となるべきものです。Caesalpinia echinata（Paubrasilia echinata もしくはペルナンブーコとしても知られている）のための注釈＃10は「丸木、挽立材、ベニヤ薄板、弦楽器の弓を作るための仕上げ無し木材」を対象としていますが、CITES締約国はこれに同意したとき、産地国からの取引を統制することの保全的価値を暗黙のうちに認めました。同様に、CoP17のプロポーザル55（10頁目）では木管楽器に普通に用いられる D. melanoxylon が通常ビレットに半加工されたもので輸出されることを認めております。楽器とその部品類を除外することは、税関職員が世界税関機構調和システム（HS）コードに精通しておりこれを通じて容易に楽器を特定することから、執行可能であります（例えば、楽器；それらの物品の部品およびアクセサリーに関する第92章及び収集家の欲しがりそうなものとアンティークに関する第97.05章と97.06章をご覧ください）し、HS コードの使用は会議決議10.13 パラグラフｃ）及びｄ）でも奨励されております。

ダル ベル ギアとブビンガのいかなる注釈にも必須の要素とは：

楽器と楽器部品の全ての取引はCITESの許可要求から除外されなければならない。改訂された注釈の言葉は楽器と楽器部品が除外される執行レベルにて曖昧さを残してはならない。

改訂された注釈では以下を除外すべき：
- 楽器と楽器部品の商業的シッピング
- 演奏、修理、展示会への出品を含む、非商業的シッピング
- 所持品、持ち込みもしくは貨物扱いの楽器

既存の注釈＃15を残すとすれば以下の程度：
- 「非商業的」を削除
- 非商業的活動、混合積荷、重量制限、同定及び標識要件に関する考慮事項をCITES告示2017/078号で合意したように、理解しやすくする
- 全ての楽器に適用する
- 税関、シッピング、文書、及び申告手続における現在の実務との一貫性を確認

2018年 9月時点の署名者：

American Federation of Musicians of the United States and Canada.
American Federation of Violin and Bow Makers.
Bundesverband der deutschen Musikinstrumentenhersteller e.V.
C.F. Martin & Co.®
Confederation of European Music Industries.
Dismamusica.
Fender Musical Instruments Corporation.
ForestBased Solutions, LLC.
French Musical Instrument Organisation.
International Association of Violin and Bow Makers.
International Federation of Musicians.
International Wood Products Association.
一般社団法人　全国楽器協会
League of American Orchestras.
Madinter.
Music Industries Association.
National Association of Music Merchants.
Orchestras Canada.
Paul Reed Smith.
PEARLE*.
The Recording Academy.
Society of Music Merchants. The SOMM - Society of Music Merchants e. V.
Taylor Guitars.