2022-07-03

追想渡辺宙明。36年前、特撮アニメの話をしていた友人がいた。

彼は、電子戦隊デンジマンOPウエスタン調や、電撃戦隊チェンジマンOP影山ヒロノブカッコよさ、

トランスフォーマーコンボイ司令の玄田哲章の素晴らしさや永野護メカデザイン革新性を熱く語る男だった。

自動車鈑金塗装業四男だった彼は中学卒業農業高校へ進学し、それっきり疎遠になってしまった。

高校卒業後、東京税関職員になって麻薬トレーナーになったが独身で相変わらず漫画アニメ三昧の

日々を送っていると風の噂では聞いていたが、その友人がなんと結婚して36年ぶりに地元に帰っていると知り、

久し振りに当時の友人4人で会うことになった。地元日本酒蔵元クラフトビール醸造を始めて、

経営多角化で始めた日本酒クラフトビールを出すバルで会うことになった。彼は下戸ではないのだが、

まり酒に強くなく、36年ぶりに互いの近況を語り合い、俺はしこたま酔って楽しい時間を過ごすことができた。

閉店で店を追い出された後、俺は運転代行で帰る彼の車に酔った勢いで乗り込み、彼の奥さんに会いに行った。

彼の住む家は後継者がおらず空き家になった廃屋地方創生移住支援事業リフォームして住んでいるそうだ。

若い奥さんと娘4人と6人で暮らしていた。彼は仕事をしておらず、奥さんが農環センターという公民館みたいな

会場で教えるヨガ教室での謝金と、家の庭で育てた野菜と湖で釣った魚を、毎月8日と18日に開かれる

街場の市で売って得た僅かな現金収入しかないそうだ。そんなんで生活していけんの?と思ったが、

隣近所全員東京から移民でみんなで物々交換で助け合っているそうで、

よく見たら娘さんの女児服もクタクタで誰かのお古のスマイルプリキュアの変身コンパクトで遊んでいた。

何軒かの廃屋に人が住む気配を感じる山奥の見捨てられた集落を歩きながら、

心地よかった酔いもすっかり覚め、パソナ地域おこし協力隊に騙された友人への憐憫

竹中平蔵への怒りが込み上げたところで、夢から覚めた。

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