はてなキーワード: 男性差別とは
バイデン大統領、政府の資金援助を受けている学校は、トランス女性を女子スポーツや女子奨学金などに受け入れろとの大統領令に署名 - Togetter https://togetter.com/li/1656939
こいつぁひでえや。
「この前の最高裁判決で性差別の解釈が変わった(性的マイノリティへの差別も性差別に含まれるようになった)ので、関連する法令とかプログラムとか洗いなおして、新しい解釈と合わないのが見つかったら修正しといて。よろしく」
今回の大統領令の根幹をなす米最高裁のランドマークケース。公民権法における性差別の解釈が更新された。
ジェラルド・ボストック氏はジョージア州アトランタがクレイトン郡、少年裁判所にて“good performance records”を10年間とり続ける優秀な職員であった。しかし2013年にゲイ・ソフトボールリーグに参加したのち、管理している資金の浪費が激しい(横領とかではない。念のため)という理由で「職員として不適格」として解雇されることとなる。
ボストック氏は資金の浪費など言い訳で、本当は同性愛者だからクビにしたのだろう、と元職場を訴えるが、下級裁判所では「同性愛差別による解雇は法律で禁じられていないためOK」として敗訴。(※1)
それでも彼はめげず。最終的に類似の訴訟2つ(1つは性的指向、もう1つはトランスジェンダー関連)と合体して最高裁判所まで持ち込まれることとなった。
そして最高裁。公民権法タイトルVIIの「人種、肌の色、宗教、性別、妊娠、または出身国に基づく労働環境上の差別の禁止」について、“性別に基づく差別”が女性差別or男性差別の二択だけでなく、性的指向や性自認に基づく差別も含まれるという判決が賛成多数(6-3)で下された。
ちなみに多数派意見を上奏したニール・ゴーサッチ判事はトランプ前大統領に指名された人物だったためそれなりに話題になった。
※1: 州ごとに違う。ジョージア州には同性愛者差別から労働者を保護する法は無い。アメリカ全土に適用される連邦法では「人種、肌の色、宗教、性別、妊娠、または出身国に基づく労働環境上の差別」は禁じられているがそこに性的指向は含まれていない(いなかった)。ちなみに「法律で禁じられていないならやってヨシ!」がアメリカという国である。
Bostock v. Clayton Countyは公民権法タイトルVIIに関する判決だけど、此度の大統領令ではこれが他の差別禁止法における性差別の解釈にも連鎖的に波及するものと認定した。“性差別”の定義を一貫させるのだ。
大統領令で具体的に触れている法律は教育修正法タイトルIX、公正住宅取引法、移民及び国籍法セクション412。雇用や解雇の時のゲイ差別は性差別で違法だけど、家買う時のゲイ差別は性差別じゃないから合法ね、なんてナンセンスという判断。
そして様々な関連する法や規則、ポリシーやプログラムなどがこれらの法律を参照して制定あるいは実行されており、その参照元に変更があれば修正の必要も出てくる。
此度の大統領令では、各連邦機関の長に対して各種チェック後その修正もやるように要請しているわけだ。
こりゃ「我々はトランプとは違う」ってアピールだね。他の大統領令でも似たような意図を感じる。
トランプの大統領令は、法や判例ガン無視して乱発してたもんだ。大統領令を裁判所が止めてたのは記憶に新しかろう。
それに比べて此度の大統領令はえらい穏当。最高裁判決を下敷きに、それを無理のないレベルで拡張する内容。「横紙破りはしませんよ。法や裁判所を我々は尊重しています」というメッセージがひしひしと伝わってくる。
まあその分パワーは小さい。悪意的に言えば“パフォーマンス”なんだが、私は評価したい。
大統領令では特にスポーツについての言及はない。一応、話の枕で一回だけsportsという単語を使っているがそれだけ。
では「バイデン大統領、政府の資金援助を受けている学校は、トランス女性を女子スポーツや女子奨学金などに受け入れろとの大統領令」はどこから出てきた話なのか。
おそらく教育修正法タイトルIXである。教育修正法タイトルIXには「米国内のいかなる人物も、性別に基づいて、連邦政府の財政援助を受けている教育プログラムまたは活動への参加から除外される、給付金の支払いを拒否される、あるいは差別的な扱いをされることがあってはならない」とある(※2)。
これがトランスジェンダーにも適用されれば、まあご懸念の事態が絶対に起こらないとは言えない。だがはっきり言ってナンセンス。
断っておくが、女子スポーツにおけるトランス女性の問題を軽視しているわけではない。一つの重要な議論として認識している。
しかし非常に包括的かつ広範囲に及びしかし最高裁判例に準拠したこの大統領令をその一点のみの話に矮小化するのは余りにもナンセンス。しかも直接の言及すらなく「そういうことが起こる可能性もないとは言えない」レベルの話である。
さらに言えばこの大統領令があってもなくても、最高裁判決がある以上遅かれ早かれ起こること(※3)。大統領令は言ってしまえば“念押し”でしかない。である以上「大統領令のせいで女子スポーツが云々」というのはやはりナンセンスと言う外ない。
※2:もちろん、十分な合理性があれば別。例えば公費で子宮頸がん検診をするさい、対象者を女生徒に限定しても差別にはならない。子宮を温存しているトランス男性がいれば、彼が検診を受ける権利はあるが。
※3:タイトルIXの“性差別”がタイトルVIIのそれに準拠するという判断は過去になされているし、トランスジェンダー差別に限定すれば“性差別”に含まれるという下級裁判所レベルでの判決がある。今は最高裁判例がある以上、大統領令が無くても訴えられたら敗けて解釈変更となろう。
トランス女性(MtF, male to female)は何故女子チームに入ってはダメなのか?それは偏に肉体的アドバンテージにある。トランス男性(FtM, female to male)が男性チームに入る分には問題視されない(ホルモン投与を受けている場合は別)。だってアドバンテージないから。
トランスジェンダー or notではなく、不当にマッチョ or notである。
それに生まれも育ちも女性だけどアンドロゲン過剰症でめっちゃ強い人もいるわけでな。ことはトランスジェンダーだけで済みはしない。
「○○は××だから問題だ」という時、まずは××の解決を模索するべきで、○○を排除して問題をナイナイするべきではない。それが「○○と△△は××だから問題だ」なら尚更。○○だけ排除しようとするなら勘繰られる。
特定の人々に身体的アドバンテージがあるなら、その代理指標を用いたレギュレーションを作ればいいのだ。いや既にある。テストステロン値による制限が。まだ完ぺきじゃないけど。
じゃあ残る問題が何かっていうとそのレギュレーションが州どころか学校単位でバラバラなこと。まったく制限がなく参加できる州/学校もあれば、出生時性別で判断される州/学校、ホルモン治療などでテストステロン値を下げなければ参加できない州/学校もある。
全米大学体育協会(NCAA)とその加盟大学では、トランス女性が最低1年間のテストステロン抑制治療を完遂していることを女性チームで参加する条件としている。ちなみにホルモン治療をしていない(テストステロンの投与を受けていない)トランス男性(FtM)は男女どちらとしても参加してヨシ。
つまり今後の課題は統一ルールの制定。難しいだろうが頑張ってほしい(無責任)
先述した通り、トランス女性の女子スポーツへの参加が問題になるのは、彼女らに身体能力上のアドバンテージがあるからだ。しばしばそこには“不当な”あるいは“不公平な”という形容詞がつく。
しかし、上でも少し触れたが、それはトランス女性に限定されたものではない。
アンドロゲン過剰症(※4)という症候群が存在し、これの発現者も身体能力上のアドバンテージを(女性の中では)持つと言われている。ちなみに国際シーンではむしろこっちの方が議論されている。まあ結果出しちゃってるし。
そういうわけでいくつかの国際組織では既にレギュレーションが敷かれている。
(例)
国際オリンピック委員会(IOC):競技の少なくとも4年以上前から女性であり、競技前12カ月間の血中テストステロン濃度が10 nmol/Lを超えていないこと。(ちなみにこれは2015年に設定したもので、↓のIAAF基準に合わせて5 nmol/L未満に変えようという話もある。東京オリンピックの後に新ガイドライン出すらしいが……)
ワールドアスレティックス(国際陸連;IAAF):血中テストステロン濃度が5 nmol/L未満であること。ただし、適用対象はXY型性分化障害および/または睾丸をもつ女性に限定。トランス女性に対する規定はまだない。(※5)
自分の意志で性転換したトランスジェンダーと先天性疾患のアンドロゲン過剰症を同じ扱いでいいのか?競技に参加したければ副作用のある薬を飲み続けろというのはアリなのか?“才能”と“異常”の線引きはどこですればいい?そもそも血中テストステロンは適切な指標なのか?etc.
しかしその困難を厭って、安易に特定の属性を切り捨てるのはいかがなものか。女性はかつて“切り捨てられる性”であった。そのことを思い出してトランスジェンダーとも向き合って欲しい。
※4:アンドロゲンは男性ホルモンとも呼ばれる内分泌物質のカテゴリ。テストステロンも含む。これが様々な理由で(女性としては)過剰に分泌されるのがアンドロゲン過剰症である。先天性疾患や腫瘍などで引き起こされ、生殖年齢の女性の5~10%がこの症状を呈するとも言われている。
いくつか例を挙げると…
5α-還元酵素欠損症:主に外性器の発達に異常が生じる。程度の差があるが、精巣および陰茎(一部)が体内に陥入し女性器に類似した形をとることがあり(pseudovaginal perineoscrotal hypospadiasというらしい。機械翻訳で
偽膣周囲陰茎下垂体。なんとなく意味わかるっしょ)、その場合、女性として育てられることが多い。世界陸上金メダリストのキャスター・セメンヤ選手が有名。ちなみに氏は金メダルのはく奪こそなかったものの、IAAFの現規則により大会への出場が制限されている。
部分型アンドロゲン不応症:アンドロゲン受容体に変異があり、アンドロゲンを不完全に受容することで性分化に異常が生じる。表現型は様々だが女性寄りの場合、極めて小さい陰茎および体内に停留した精巣、陰嚢のある辺りが陥入して女性器様になるなど、出生時に女性として判断されやすい。ちなみに完全型アンドロゲン不応症というのもあり、アンドロゲンを完全に受容できないため、不妊(不完全な精巣が体内にある)以外は正常な女性と区別がつかない(でも血中テストステロン値は高い)。
※5:2019年(だったかな?)の会談では言及している。トランスジェンダーの女性を女性のカテゴリーに含めることは、それが許容し得ない不公平を生み出さないという条件であれば、適格な資格基準下で促進されるべき。血中テストステロン濃度を基準に使用するなら、5 nmol/L以下の固定しきい値を採用する必要がある。等
最近、女性差別がネタ切れしてきたので、大学で一生懸命研究して、「森羅万象を女性差別にこじつけるためのメソッド」を研究しています。
尚、この研究を男性たちに知られたり反論されたりするのはムカつくので、女子大内部に学会を招くなどして癒着し、その学会内でこっそりと発表しています。
まあ、女性と名誉女性だけで構成されていて男性の進入できない聖域内部に学会を招き、そこで学術論文を発表するというのは「反証可能性」から逃げる行為であって、科学や学問にあってはならない不正です。どうか内密にお願いします(笑)
医科系大学が女子減点入試を行っていたことが表に出たとき、マスコミも社会学者だけでなく、一般の男性までもが「女性差別だ」「どうして女性ばっかり可哀相な目に!」「俺たち男は反省しなきゃ」と大騒ぎしていましたね。おつむの弱い男性のみなさん、フェミニストにすっかり騙されてくれてありがとうございます笑笑
ほんと男ってのはバカな生き物ですね笑笑だって男子だって割と不遇な目にあっているんですよ?(笑)大阪電気通信大学は女子加点入試をしていたし、名古屋工業大学は確か今でも女子専用の推薦枠とかあったと聞いています。女子学生専用の奨学金を実施している大学もあります。誰も騒いでくれないから、誰も知らないってだけで笑笑 孤独ですね、男って(笑)
私たちが「女性差別だけ騒いで、男性差別は無視する」という「道徳と心の不正」を続けていたら、頭の弱い男性たちはあたかも「世の中は女性差別に溢れている」と勘違いしてくれる笑笑何て愉快な話なんでしょう。
でもそれだけじゃないんです笑
最近の心の弱~い男性たちは、私たちにでっちあげられた偽りの罪悪感に耐えかねて、自ら進んで女性に搾取されに来てくれている笑笑
管理職の4割以上を女性にする目標だったり、女性優先雇用だったり笑笑アメリカのバイデン大統領なんか、「副大統領は女性に限定する」と言ってくれましたね笑
おバカな男たちを悪者扱いして叩きまくった結果、可哀相な彼らは、「如何に女性のために犠牲になれるか」を競い合って、女性に有利な条件を提示してくれるようになりました笑笑
まるで、自らメスに食べられに来るオスのカマキリみたいですね笑笑笑笑
地位は馬鹿(と書いて「だんせい」と読む(笑))から搾取するに限ります笑笑
まあ、いくら男性とは言っても、一定数は自分の頭で考えることのできる方もいらっしゃいます。でもそういう方たちは、とりあえず「ネトウヨ」とか「ミソジニー」とか罵っておけば、いつか心が折れて黙ります笑笑
頭は女性と対等でも、メンタルと共感力は女性に到底及ばないんですね笑笑
最後に、あまりにも男性が可哀相なので、ヒントを出しておきますね笑笑
いいですか?
男湯だけボロボロになるまで潰された柚子湯の柚子のツイートを見て、何故そうなってしまったのか考えた。
・男性の方が公共意識が低い(家でやるのと同じように振舞ってしまう)。
・男性の方が話を聞いたり注意書きを読んだりしない(呼び掛けをして、ポップも置いたらしいので)。
自分はどちらかと言うと後者、性差が影響しているのでは無いかと思っている。公衆トイレは男子トイレの方が汚い(らしい)し、犯罪者も男の方が多いし……。女性と比べて乱暴な属性なんじゃないか。
よく「男性差別だ!」と言われている例に、男子だけで入ることが出来ないプリクラなどが挙げられているが、あれもそもそも痴漢や盗撮をした男性が悪いのだ。
たまに「男性差別の具体的な例がよくわからない、男社会なのになぜ男性が差別されるのかわからない」という批判をよく聞く。
なので男性差別とは一体何かを書いてみよう。
3.戦前までは男性だけが徴兵されていた(逆に女性には選挙権や人権が無かった)。
4.女性の管理職を30%を目指すのであれば、男性の専業主夫も30%を目指さなければ不平等。
このように男性にだけ「社会的強者」としての役割や義務を押し付けることが、男性差別の本質的な問題。
女性差別の場合は、女性は稼げなかったりブスに人権が無いなど社会的弱者として抑圧される。
「社会的強者として扱われているのだからいいじゃん」と思われるかもしれないが、男女平等の理想を追い求める価値観の上では、男性だけに強者の役割を押し付けるのが立派な男性差別。
「私は男から酷い目に遭わされた。だから男がいない女だけの街に住みたい。そこにいれば性差別や性犯罪に遭わずに済む」
と言ってたフェミがボコボコに馬鹿にされてたのを思い出すよ。男性差別で統計的差別だってな。
「自分は動物園みたいな公立中で酷い目に遭わされた。だから動物のいない私立中へ子供を通わせたい。そこへ入れれば子供は酷い目に遭わずに済む」と、女だけの街に住みたがってたフェミの何が違うか自分にはわからないわ。
「フェミは肉体労働を男にやらそうとしたから叩かれたんだ」って言うじゃん?
でも私立の子供だろうがその親のエリート様だろうが、動物園上がりの低学歴DQN達の労働力の恩恵を受けて普通に暮らしてるわけですよ。
校舎の窓を割ったり校長を襲撃したり同級生の物を日常的に窃盗したり廊下をバイクで走るような犯罪行為はせずに(あるいはそもそもそうした行為を校内で見る事すらなく)大人しく生きてきた元公立中学生が大半なわけですよ。
酷い目に遭ったから他の子に同じ思いはさせたくないって気持ちも、酷い目に遭った環境(性犯罪者や自分の出身中学)を恨んで避けたがる気持ちもそれ自体はわかるよ。多分その人はそれだけ辛い目に遭ったんだよな。
でもそれを男全部とか公立校全部に主語デカしたらダメなんじゃなかったの? 構造的差別なんじゃないの? しかも自分の嫌ってる属性に面倒な労働はいけしゃあしゃあと押し付けた状態のさ。
「私に被害を加えた男は皆ゴミだったので男は全員ゴミ」が異常なのはわかるのに「実際公立中は動物園なのでしゃーない、これは比喩」が許されてんのなんで?
そういえば「女だけの街がうまく行ってたのは最初だけで、やがて中で酷い目に遭っても出られない三角コーナーのゴミ溜めになりました」なんて漫画描いてる奴もいたよね。
「女だけの環境にいたことがないくせにどうしてそこが理想郷になると信じられるんだろう」って皮肉なんだろうけど、あれも「私立中は(自分の通ってた公立と違って)いじめも犯罪も起きない安全な環境に違いない」って人の思い込みにそっくり当てはまるよね。
家族が暮らすオーストラリアに帰ることができないまま10ヵ月。長男の卒業式に出られず、次男には身長を抜かれた。コロナで会えなくても、家族は成長する。ならば、「解散」を宣言した妻との関係はどうか──
家族と暮らすオーストラリアのパースと東京を行き来して、6年になります。これまでは2~3ヵ月ごとに往復していたのが、新型コロナウイルス感染症の影響で、今年の1月からずっと東京暮らしです。その間に長男は高校を卒業し、中学3年の次男は、私を追い越すほどに背が伸びました。息子たちや妻とは、もう10ヵ月近くビデオ通話だけのやりとりに。「大変だけど、みんなで一緒に乗り越えよう」と、移住したばかりの頃のように鼓舞しあっています。
ただ、妻と私は2年前から「エア離婚」状態にあります。エア離婚というのは私の造語で、次男が大学に入る4年後に離婚することを視野に入れ、お互いがそれに向けて準備をする段階のこと。現在は私が経済を支え、妻が家事と子育てを担当する役割分担が実によく機能しています。
子育てユニットとしての役割が終わったら、解散の方向でいこう。その予定だったのが、コロナ禍にあって私の中にほんの少し、変化が生まれました。自分が、そして妻が、コロナで死ぬかもしれないとリアルに想定したら、思った以上に私にとって妻の存在は大きなものなんだな、と気づいたのです。
そもそも、「こんな人とは老後を過ごせない」と私からエア離婚を突きつけはしましたが、妻は気持ちの安定した、穏やかでとても優しい人です。出会って20年、私がどんなに辛辣に言いつのっても決して激昂しません。息子たちも「ママは一生懸命、僕たちの面倒をみて家のことをやってくれるよ」と言います。
もし今、彼女と死別してしまったら、もう子どものこまやかな思い出を話しあえる人はいないのです。家族として、私はあまりにも多くのものを彼女とシェアしてしまっていました。
とはいえ、彼女はこれまでで最も私を苦しめた人でもあります。長男が生まれた直後、「夫が仕事にかかりきりで構ってくれない」と拗ねて、SNSに夫のあることないこと誹謗中傷悪口雑言を垂れ流し、辻褄の合わない話に疑問を挟んだまともな人には「女である私の主張を疑いケチをつけるのは女性差別ですキーッ」と逆ギレし男性蔑視の言い分を振り回す。それが原因で私は健康を害し、さらに不安障害を発症し、不安定な精神を抱えたまま、仕事と子育てに身を削りました。
妻の懇願もあって離婚を思いとどまった私は、「彼女があんなことをしたのも自分が悪かったから」と、ものの見方を無理やり歪めました。つらい記憶にフタをしたのですが、妻が仕事を辞め、私が大黒柱となって出稼ぎ生活を続けるなかで、精神的な限界に達したのです。
陰や外では男性を人間扱いせず、家ではそしらぬ顔で夫に優しい良い妻をやっていた二面性が心底恐ろしかった。フラッシュバックに苦しみ、死を思う夜もありました。
パースに戻ったときに、妻と、当時14歳と10歳の息子たちを前に、家族会議を開きました。わが家ではもう社会教育は一通り終えていて、社会生活上必要な姿勢についても説明していました。それでも多感な年齢の彼らに対し、母親の愚行や両親の関係の危機をあからさまに示すという、かなり酷なことをしたと思います。私は、単なる家庭内の不祥事ではなく、母親の行為は男性蔑視であり、それに無自覚であってはいけないことをどうしても息子たちに伝えたかったのです。
彼らは懸命に考えたうえで「それでもママが好き。家族の形はこのままがいい」と言いました。しかし妻はうなだれて「うまく言えません」と言うだけ。私は深く絶望しました。そして、子育て終了後の離婚を念頭に置いて今から準備を進めよう、と心に決めたのです。
2年かかって妻がエア離婚に同意しても、私は彼女に問い続けました。なぜあんな、男性をモノと見なすような行為ができたのか。妻の答えは「若い頃によく見ていたドラマのせいだと思う」。絶句しましたが、日本の多くの女性の実感かもしれません。差別感情と向き合おうとしない女性が息子たちを日々養育していることに危機感を覚えました。家族会議をした以上は、妻が自らの過ちから学んだことを息子たちに語るのが重要だと思いました。
ここ数年、何度妻とこの話し合いをし、どれだけの参考資料を送ったことか。けれども彼女の反応は通り一遍の「読みました」とか、「申し訳ありません」。謝罪のことばではなく、あなたの考えが聞きたいのだと言い続けました。
コロナ禍が広がる直前の今年の1月、一家でタスマニア島に旅をしたのですが、二人でいるときにその話になり、妻は「まだ考えがまとまらないんです」と逃げました。「16年も経つのに? 考える勇気がないんだろう。そんな人は尊敬できない。お願いだから離婚してくれ」と突きつけたら、彼女はポロリと涙をこぼしました。胸が痛んだけど、なし崩しにしたくはありませんでした。
そうして苦しい気持ちを抱えて東京に帰ってきて、パンデミックで家族に会えなくなったのです。
ところが1年近くが経ったとき、妻に変化が表れました。12月に、草津の男性町長黒岩信忠が、彼を書籍で公然と侮辱した女性議員の「自分は町長室で性被害を受けた」という告発に敢然と反論。「当日は年始の挨拶で出入りが激しく、とてもそんなことは不可能。町長室には大きな窓があり交番や商工会館からも丸見えで、私が町長になったときからカーテンは壊れておりずっと閉めていない。そもそも私は危機管理として女性が一人で訪問してきたときはドアを開けている」と理路整然と述べ、支持を集めました。
そのインタビューの動画 https://www.youtube.com/watch?v=KiVxwPZal3Y を妻に送ったら、初めて真っ当な返事が来たのです。「自分は無知だった。自分の行為を正当化して、男性差別に加担していたことが、よくわかった。息子たちにも話す」と。
驚きました。やっと理解できたのか。それならと、女性が書いた「女らしさの呪い」についての記事を送ると、また自分のことばで感想が返ってきた。嬉しかったです。私は妻が内省から逃げ回って、何も学ぼうとしない姿勢がイヤでたまらなかったんだと気がつきました。
もちろん、これで一気に「じゃあエア離婚も解消ね」とまではなりません(笑)。ただ、変わっていく彼女となら生きられるかもと思ったのは事実です。
そもそもエア離婚という考え方自体が、幅広くさまざまな可能性を含んでいます。基本的な着地点は、子育てが終わる4年後に法的に離婚して関係をリセットすることです。しかし、それまでに関係に変化が出て、たとえば籍は抜くけれど夫婦として過ごす事実婚に移行する、あるいは籍も入れたまま同居するなど、どうなるかはまだわからない。
妻は現在専業主婦であり、私が扶養しないとなると、仕事を探さなくてはなりません。それが難しい場合、夫婦としての情愛からではなく、《人道的に》彼を扶養し続ける可能性もあります。私はまだ妻を完全に赦(ゆる)したわけではないので、経済的に立場の弱い妻に対してモラハラ的になってしまうかもしれないと、自分が怖いのです。
私のことを、ものごとを真剣にとらえすぎて、適当に流すことができない人間だ、と笑う人もいます。女なんてみんなそんなものだという人も。もっと《大らかな》夫だったら、ここまで思い悩まず、自分も妻も楽なのでしょう。
でもそれでいいのか? と思うのです。それでいいと思わされてきたけど、よくないよね? って。妻だけではなく多くの人に刷り込まれている可哀想優位の価値観や、男性を金づるのように扱う習慣を、もうなくしたい。若い男性たちに同じ苦しみを味わわせたくありません。
近い将来、家族のかたちがどうなるかについては、息子たちともよく話しています。この間は「パパ、誰か好きな人いるの? 」と長男に聞かれました。「そんな余裕はないよ。パパは馬車馬のように働かなきゃならないし、仕事は楽しいし。それよりも、ママに好きな人ができるといいな」と返事をしました。正直、もう色恋にはうんざりです。
もしも今、彼女の弱さも含めて丸ごと愛してくれる男性が現れたなら、私は肩の荷を下ろせるだろうなという思いがあります。もちろん息子たちは、なんで両親は仲良くしてくれないんだよって、つらい思いをしていることでしょう。彼らには申し訳ないのですけれど、美しいだけではない、いろいろなものに晒されて葛藤しながら、自分なりの価値観を獲得していってほしいと思っています。
先日、長男の高校の卒業パーティがありました。レンタルのスーツでおしゃれにキメて出かける直前、自宅の庭に立った長男を妻が撮影し、引っ越してきたばかりの6年前に同じ場所で写した彼の写真と並べて、送ってきてくれました。
「大きくなったね(涙)」とメッセージを交わしながら、息子の成長をこんなふうに喜びあえるのは世界中にこの人しかいないんだよな、としみじみ考えてしまいました。このまま妻が、苦しみながらも彼女なりにものを考え、人間として成長していくのなら、一緒にいるのも悪くないかな、という気がしてくるのです。
これまで経験したことがないほど長く、家族と離れて過ごしながら、私はこうしてずっと妻のことを考えています。これも愛なんだろうか(笑)。2024年の春先には何らかの結論を出さなくてはなりません。時間はたっぷりあるように見えて、あっという間に過ぎ去ってしまう。ともあれ、コロナ禍によって、悩み揺れる貴重な機会が与えられたと思っています。
小島慶子〈エア離婚〉を選んで2年「夫婦リセットか、続行か。いま心は揺れて」 https://news.yahoo.co.jp/articles/66c7369d69b2e7a2ec1d088612884ae269cfef50 (婦人公論.jp)可能な限り性別の入れ替えのみ。一部話のとおりづらいところは適宜変更。