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2024-08-04

XY染色体ボクサー問題の詳しい背景

今のところ一番科学的背景もしっかり書かれていて参考になる記事

全体的にみると、IOCがクソという結論しかならんな…

https://quillette.com/2024/08/03/xy-athletes-in-womens-olympic-boxing-paris-2024-controversy-explained-khelif-yu-ting/

なぜ彼女たちの女子カテゴリーへの出場資格問題になっているのか?

国際ボクシング協会IBA)は7月31日声明を発表し、「認められた」テストにより、ケリフと林が女子競技資格基準を満たしていないことが証明されたと説明した。IBAによれば、これはテストステロン検査ではなく、遺伝子検査のことだという。

2023年3月24日IBAは林玉婷選手とイマーヌ・ケリフ選手IBA女子世界ボクシング選手ニューデリー2023から失格とした。この失格処分は、IBA規則に定められた女子大会への参加資格を満たしていなかったことによるものである。綿密な審査の結果下されたこの決定は、競技の公正さと最大限の完全性を維持するために極めて重要かつ必要ものであった。

注目すべき点は、選手たちはテストステロン検査を受けたわけではなく、別途認められた検査を受けたこである。この検査は、両選手必要資格基準を満たしておらず、他の女子競技者よりも競技上の優位性があることを決定的に示すものであった。

2023年3月24日IBAが下した決定は、その後2023年3月25日IBA理事会によって批准された。この決定の公式記録は、IBAウェブサイトからアクセスできる。

失格処分は、両選手に対して行われた以下の2つの検査に基づいている:

林玉婷はIBAの決定をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴しなかった。イマネ・ケリフは当初CASに上訴していたが、途中で上訴を取り下げたため、IBAの決定には法的拘束力がある。

IBA関係者は別途、両選手がXY染色体を持ち、テストステロン("高T")レベルが高いことを付け加えている。

「高T」とは、女性カテゴリーに属するアスリートについて語るときに、女性範囲を逸脱したテストステロン値を表現する方法ひとつである。すぐ下の図1からわかるように、男性女性のTレベルは13歳くらいで分岐します。下の図1と図2の両方から思春期初期以降は男性女性のTレベルに重なりがないことが明らかであるドーピング男性であることは、成人アスリートが "高T "である可能性のある2つの方法である

5-ARDおよびPAISのアスリートは、XY染色体補体を持っており、精巣があり、精巣は正常な女性範囲外のテストステロンを産生し、アンドロゲン受容体はその「高T」を読み取り、処理する。その後、彼らの循環Tレベルは、通常のパフォーマンス向上効果を持ち続けます

言い換えれば、5-ARDアスリートトランス女性および性的標準的男性女性比較した以下の図3に示すように、男性標準からの変化(外性器の未発達など)は競技パフォーマンスには無関係である彼女たちが女性競技に参加するときは、男性の優位性を発揮する。

ケリフと林はDSD女子カテゴリーに不適格なのか?

この質問に対する答えは、現在3つのバージョンがある。

ひとつは、IOC信頼性に欠けると主張するIBAのもので、ケリフとリンにはDSDがあり、不適格であるというものだ。つまりIBAまたはその代表者は、彼らが男性優位の遺伝男性であると言っている。後者一般的に、彼らのTが生物学的に利用可能であることを意味し、アンドロゲン不感症ではないことを意味する。

もうひとつは、ソーシャルメディアや一部の報道トレンドになっている、ケリフとリンはXX染色体、卵巣、すべてにおいて完全に女性であるという、根拠もないコメントである選手たちの表現型が男性であるという点は認めるが、多くの女性(彼らはトランス女性を含むと広義に読む傾向がある)が男性的な表現型を持っており、これはその前提を受け入れるだけの問題だと言う人もいる。

3つ目は、IOCの高度に暗号化された声明を注意深く解析すると、IOC現在立場であるように思われる。ケリフとリンには男性優位のXY DSDがあるかもしれないが、彼らは生まれとき女性として識別され、現在もそのように識別され続けているため、女性なのだ

IOCはここ数日、ケリフとリンへの攻撃を嘆くことに多くの時間を費やしている。本当にひどいことだ。しかし、この不安定な状況は、ほとんどIOC自身が作り出したものだ。スポーツにおけるセックスジェンダーとの複雑な関係を考えれば、予想されたことではあるが、どうしようもなく複雑なメッセージを送っている。

IOC6月大会における選手表現性別に基づく表現使用することを禁止し、女性であることを自認する性別多様性XYアスリートの扱いを明確にするよう求める言語ガイドを発表した。

この言語ガイドは、2021年IOCがとった、性別が多様なXYアスリートは、男性であるという理由だけで、アリーナ男性優位とみなされるべきではなく、男性のTレベルは、最高の男性と最高の女性の間のパフォーマンスギャップの主な原動力として、科学的によく理解されている役割にもかかわらず、失格とされるべきではないという立場から導かれたものである

このアイデアは、キャスター・セメンヤやリア・トーマスのようなXYのアスリートに関する論争を、関連する生物学と、それについて話すために私たちが使う言葉を消すことによって、女性カテゴリーから消し去ることだった。

もちろん、IBAがケリフとリン女性カテゴリーに入れたことをIOCに指摘した時点で、IOCはこのまま逃げ切るつもりはなかった。しかし、IOCは事前に自らの手を縛っていたのである。そのため、IOC広報担当者の口から語られたことの多くは、「内部事情」と「手品」の組み合わせであると私は思う。

それでも、『Inside the Games』のアレックス・オラー氏による8月2日付の優れた記事は、この質問に対する2つのXY DSDバージョンの答えのうち、どちらかを選んでいる知識豊富記者たちが間違っていない可能性が高いことを物語っている。Oller氏のレポート全文(およびInside the Games全般)を読むことをお勧めするが、要約すると次のようになる:

形式的には、IOCはケリフとリンパスポート記載されている性別採用している。これはIOC現在性別テストと考えることができ、法的な性別性別および/または女性カテゴリー資格代理として使用している。

IOCはまた、ケリフとリンパスポート記載されているもの性別と一致していないことを示すものは何も見ていないと述べている。もちろん、IBA声明はそうではないと述べているが、IOCは、IBA声明が「恣意的」な手続きによって得られたものであるため、IBA声明は信用できないとしている。

同時にIOCは、木曜日にケリフが初優勝した後、自らのウェブサイトから、少なくともケリフは-林もそうでないにせよ-T値が高いという表記を削除したことを認めている。その説明のために、T値は関係ない、女性でもT値が高い選手はたくさんいる、と一部で述べている。

T値が高い女性アスリート(多嚢胞性卵巣を持つアスリートを含む)は、T値が女性範囲外でもなく、男性範囲内でもなく、女性範囲の上部にある。彼らの性別は疑わしいものではない。上で説明したように、女性カテゴリー競技しようとするアスリートの「高T」は、国際的スポーツでは、外因性アンドロゲンによるドーピングか、生物学的に利用可能内因性アンドロゲンによる男性であることを意味する。ケリフもリンドーピングをしているという事実はない。

余談だが、多くの連盟IOCが長年にわたってTを性差代用として使ってきたのは、それが優れたものからである。法的な性別よりも生物学的な性別を求めるのであれば、パスポートよりも正確であることは間違いない。

IOCはまた、実用的かつ無差別的に正しく判定する方法がないこと、そして科学的にケリフと林が女性であるというコンセンサスが得られていることから性別判定を断念したと述べている。

ここでのIOC発言整合させることは、内部の人間であっても不可能である専門家選手ファイルを見させたのか、そうでないのか。もしそうでなければ、科学的なコンセンサスを得ることはできない。

オリンピックムーブメント政治は、少なくとも2つの点で、この物語に大きな影響を与えている。

その第一は、IOCIBAの戦いである。IBAは偶然にも、ドーピングウクライナ戦争に対するIOC姿勢に敵意を抱いている。

もうひとつは、IOCトランス権利擁護派と協調し、性差に基づく女性カテゴリー擁護する人々に反対するという政策選択したことだ。ここでIOCIBAだけでなく、世界陸上や世界水泳といったオリンピックムーブメントで最も重要連盟とも対立している。IOCとは異なり、これらの連盟は、女性アスリートのための公正さと女性カテゴリーの維持を優先することを決定している。

女子陸上競技問題において、IOC指導者としての義務放棄している。

遺伝男性遺伝女性凌駕することに関して、明白な証拠を皆に待たせるのは間違っている。

2021-05-25

anond:20210525183558

それはちょっと誤解を生む書き方だよ。

GBTではないが、男性としての遺伝子を持って生まれた。

その因子が発現せずに女性として育てられた南アフリカキャスター・セメンヤという選手がいる。

彼女(こう言わせてもらう)の東京オリンピックへの参加は認められなくなったし、スイス仲裁裁判所もそれを容認した。

2021-01-28

anond:20210127175152

南アフリカキャスター・セメンヤ選手のような例にについてはどうなんだろうね。

本人の性自認女性で、生物学的性は男性(これが明らかになったのは彼「女」が20歳の時)。

リオオリンピック金メダル剥奪されずに済んだけど、もう陸上選手としてはやっていけなくなっている。

2021-01-27

バイデン大統領令トランスアスリートの話

バイデン大統領政府資金援助を受けている学校は、トランス女性女子スポーツ女子奨学金などに受け入れろとの大統領令に署名 - Togetter https://togetter.com/li/1656939

こいつぁひでえや。

大統領令の要約

「この前の最高裁判決性差別解釈が変わった(性的マイノリティへの差別性差別に含まれるようになった)ので、関連する法令とかプログラムとか洗いなおして、新しい解釈と合わないのが見つかったら修正しといて。よろしく

全文:https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2021/01/20/executive-order-preventing-and-combating-discrimination-on-basis-of-gender-identity-or-sexual-orientation/

詳細

Bostock v. Clayton County, 590 U.S. ___ (2020)

今回の大統領令の根幹をなす最高裁ランドマークケース。公民権法における性差別解釈更新された。

ジェラルドボストック氏はジョージア州アトランタクレイトン郡、少年裁判所にて“good performance records”を10年間とり続ける優秀な職員であった。しか2013年ゲイソフトボールリーグに参加したのち、管理している資金の浪費が激しい(横領とかではない。念のため)という理由で「職員として不適格」として解雇されることとなる。

ボストック氏は資金の浪費など言い訳で、本当は同性愛者だからクビにしたのだろう、と元職場を訴えるが、下級裁判所では「同性愛差別による解雇法律で禁じられていないためOK」として敗訴。(※1)

それでも彼はめげず。最終的に類似訴訟2つ(1つは性的指向、もう1つはトランスジェンダー関連)と合体して最高裁判所まで持ち込まれることとなった。

そして最高裁公民権タイトルVIIの「人種、肌の色、宗教性別妊娠、または出身国に基づく労働環境上の差別禁止」について、“性別に基づく差別”が女性差別or男性差別の二択だけでなく、性的指向性自認に基づく差別も含まれるという判決が賛成多数(6-3)で下された。

ちなみに多数派意見上奏したニール・ゴーサッチ判事トランプ前大統領指名された人物だったためそれなりに話題になった。

※1: 州ごとに違う。ジョージア州には同性愛差別から労働者保護する法は無い。アメリカ全土に適用される連邦法では「人種、肌の色、宗教性別妊娠、または出身国に基づく労働環境上の差別」は禁じられているがそこに性的指向は含まれていない(いなかった)。ちなみに「法律で禁じられていないならやってヨシ!」がアメリカという国である

そして大統領令へ……

Bostock v. Clayton County公民権タイトルVIIに関する判決だけど、此度の大統領令ではこれが他の差別禁止法における性差別解釈にも連鎖的に波及するもの認定した。“性差別”の定義を一貫させるのだ。

大統領令で具体的に触れている法律教育修正タイトルIX、公正住宅取引法、移民及び国籍法セクション412雇用解雇の時のゲイ差別性差別違法だけど、家買う時のゲイ差別性差別じゃないか合法ね、なんてナンセンスという判断

そして様々な関連する法や規則ポリシープログラムなどがこれらの法律を参照して制定あるいは実行されており、その参照元に変更があれば修正必要も出てくる。

此度の大統領令では、各連邦機関の長に対して各種チェック後その修正もやるように要請しているわけだ。

此度の大統領令の意図

こりゃ「我々はトランプとは違う」ってアピールだね。他の大統領令でも似たような意図を感じる。

トランプ大統領令は、法や判例ガン無視して乱発してたもんだ。大統領令を裁判所が止めてたのは記憶に新しかろう。

それに比べて此度の大統領はえらい穏当。最高裁判決を下敷きに、それを無理のないレベル拡張する内容。「横紙破りはしませんよ。法や裁判所を我々は尊重しています」というメッセージがひしひしと伝わってくる。

まあその分パワーは小さい。悪意的に言えば“パフォーマンス”なんだが、私は評価したい。

トランスアスリートの話はどこから?おそらく教育修正から

大統領令では特にスポーツについての言及はない。一応、話の枕で一回だけsportsという単語を使っているがそれだけ。

では「バイデン大統領政府資金援助を受けている学校は、トランス女性女子スポーツ女子奨学金などに受け入れろとの大統領令」はどこから出てきた話なのか。

おそらく教育修正タイトルIXである教育修正タイトルIXには「米国内のいかなる人物も、性別に基づいて、連邦政府財政援助を受けている教育プログラムまたは活動への参加から除外される、給付金の支払いを拒否される、あるいは差別的な扱いをされることがあってはならない」とある(※2)。

これがトランスジェンダーにも適用されれば、まあご懸念事態絶対に起こらないとは言えない。だがはっきり言ってナンセンス

断っておくが、女子スポーツにおけるトランス女性問題を軽視しているわけではない。一つの重要議論として認識している。

しかし非常に包括的かつ広範囲に及びしか最高裁判例準拠たこ大統領令をその一点のみの話に矮小化するのは余りにもナンセンスしかも直接の言及すらなく「そういうことが起こる可能性もないとは言えない」レベルの話である

さらに言えばこの大統領令があってもなくても、最高裁判決がある以上遅かれ早かれ起こること(※3)。大統領令は言ってしまえば“念押し”でしかない。である以上「大統領令のせいで女子スポーツが云々」というのはやはりナンセンスと言う外ない。

※2:もちろん、十分な合理性があれば別。例えば公費子宮頸がん検診をするさい、対象者女生徒限定しても差別にはならない。子宮を温存しているトランス男性がいれば、彼が検診を受ける権利はあるが。

※3:タイトルIXの“性差別”がタイトルVIIのそれに準拠するという判断過去になされているし、トランスジェンダー差別限定すれば“性差別”に含まれるという下級裁判所レベルでの判決がある。今は最高裁判例がある以上、大統領令が無くても訴えられたら敗けて解釈変更となろう。

とは言え問題っちゃあ問題

トランス女性(MtF, male to female)は何故女子チームに入ってはダメなのか?それは偏に肉体的アドバンテージにある。トランス男性(FtM, female to male)が男性チームに入る分には問題視されない(ホルモン投与を受けている場合は別)。だってアドバンテージいから。

トランスジェンダー or notではなく、不当にマッチョ or notである

それに生まれも育ちも女性だけどアンドロゲン過剰症でめっちゃ強い人もいるわけでな。ことはトランスジェンダーだけで済みはしない。

「○○は××だから問題だ」という時、まずは××の解決模索するべきで、○○を排除して問題ナイナイするべきではない。それが「○○と△△は××だから問題だ」なら尚更。○○だけ排除しようとするなら勘繰られる。

特定の人々に身体アドバンテージがあるなら、その代理指標を用いたレギュレーションを作ればいいのだ。いや既にある。テストステロン値による制限が。まだ完ぺきじゃないけど。

じゃあ残る問題が何かっていうとそのレギュレーションが州どころか学校単位バラバラなこと。まったく制限がなく参加できる州/学校もあれば、出生時性別判断される州/学校ホルモン治療などでテストステロン値を下げなければ参加できない州/学校もある。

全米大学体育協会(NCAA)とその加盟大学では、トランス女性が最低1年間のテストステロン抑制治療を完遂していることを女性チームで参加する条件としている。ちなみにホルモン治療をしていない(テストステロンの投与を受けていない)トランス男性(FtM)は男女どちらとしても参加してヨシ。

まり今後の課題統一ルールの制定。難しいだろうが頑張ってほしい(無責任)

テストステロン制限

先述した通り、トランス女性女子スポーツへの参加が問題になるのは、彼女らに身体能力上のアドバンテージがあるからだ。しばしばそこには“不当な”あるいは“不公平な”という形容詞がつく。

しかし、上でも少し触れたが、それはトランス女性限定されたものではない。

アンドロゲン過剰症(※4)という症候群存在し、これの発現者も身体能力上のアドバンテージを(女性の中では)持つと言われている。ちなみに国際シーンではむしろこっちの方が議論されている。まあ結果出しちゃってるし。

そういうわけでいくつかの国際組織では既にレギュレーションが敷かれている。

(例)

国際オリンピック委員会(IOC):競技の少なくとも4年以上前から女性であり、競技12カ月間の血中テストステロン濃度が10 nmol/Lを超えていないこと。(ちなみにこれは2015年に設定したもので、↓のIAAF基準に合わせて5 nmol/L未満に変えようという話もある。東京オリンピックの後に新ガイドライン出すらしいが……)

ワールドアスレティックス(国際陸連IAAF):血中テストステロン濃度が5 nmol/L未満であること。ただし、適用対象はXY型性分化障害および/または睾丸もつ女性限定トランス女性に対する規定はまだない。(※5)

ルール制定にはまだまだ議論必要だ。

自分意志で性転換したトランスジェンダーと先天性疾患のアンドロゲン過剰症を同じ扱いでいいのか?競技に参加したければ副作用のある薬を飲み続けろというのはアリなのか?“才能”と“異常”の線引きはどこですればいい?そもそも血中テストステロンは適切な指標なのか?etc.

しかしその困難を厭って、安易特定属性を切り捨てるのはいかがなものか。女性はかつて“切り捨てられる性”であった。そのことを思い出してトランスジェンダーとも向き合って欲しい。

※4:アンドロゲン男性ホルモンとも呼ばれる内分泌物質カテゴリテストステロンも含む。これが様々な理由で(女性としては)過剰に分泌されるのがアンドロゲン過剰症である。先天性疾患や腫瘍などで引き起こされ、生殖年齢の女性の5~10%がこの症状を呈するとも言われている。

いくつか例を挙げると…

5α-還元酵素欠損症:主に外性器の発達に異常が生じる。程度の差があるが、精巣および陰茎(一部)が体内に陥入し女性器に類似した形をとることがあり(pseudovaginal perineoscrotal hypospadiasというらしい。機械翻訳

偽膣周囲陰茎下垂体。なんとなく意味わかるっしょ)、その場合女性として育てられることが多い。世界陸上メダリストキャスター・セメンヤ選手が有名。ちなみに氏は金メダルのはく奪こそなかったものの、IAAFの現規則により大会への出場が制限されている。

部分型アンドロゲン不応症:アンドロゲン受容体変異があり、アンドロゲンを不完全に受容することで性分化に異常が生じる。表現型は様々だが女性寄りの場合、極めて小さい陰茎および体内に停留した精巣、陰嚢のある辺りが陥入して女性器様になるなど、出生時に女性として判断されやすい。ちなみに完全型アンドロゲン不応症というのもあり、アンドロゲンを完全に受容できないため、不妊(不完全な精巣が体内にある)以外は正常な女性区別がつかない(でも血中テストステロン値は高い)。

※5:2019年(だったかな?)の会談では言及している。トランスジェンダーの女性女性カテゴリーに含めることは、それが許容し得ない不公平を生み出さないという条件であれば、適格な資格基準下で促進されるべき。血中テストステロン濃度を基準使用するなら、5 nmol/L以下の固定しきい値採用する必要がある。等

2020-06-13

anond:20200613102527

南アフリカキャスター・セメンヤ選手についてはどう考えているの?

彼女は見た目は女性のもので本人も周囲も女性として育ててきたけど、世界陸連が検査した結果として生物学的には男性であることが判明したんだよね。

増田の考えだと、セメンヤ選手も生まれつきの女性アスリート全員の権利とチャンスを侵害しているのかな?

2019-05-03

陸上=CAS、セメンヤの訴え退ける 男性ホルモン制限巡り”をめぐって

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は1日、五輪陸上女子800メートル金メダルを獲得したキャスター・セメンヤ(28、南アフリカ)の、男性ホルモンの値の高い女子選手出場資格制限する新規撤回を求める訴えを退けた。

https://jp.reuters.com/article/semenya-lose-idJPKCN1S804K

いくつかの命題理解してから考えていく必要があります

第1に、(おそらく)スポーツ世界で男女を分けることは差別ではないということ。

男女平等重要価値とされている現代で、なぜスポーツだけは男女が競わないのか。いうまでもなく男女の間に無視できない生まれながらの体力の差があるからです。上半身の強さに関して女性男性の差は標準偏差が3です。つまり街で1000人の男性無作為抽出した場合、998人は平均的な女性よりも強い上半身を持っています。平均的な男性上半身の筋力は女性よりも80%多く、足の筋肉量の差は50%です。男性女性よりも脂肪が少なく、骨密度が高く、持久力や痛みに耐えるために重要赤血球も多い。女性男性よりも骨盤の幅が広いため、脚の付け根から膝までの角度が男性よりも大きくなります。そのため走ったりジャンプしたりする場合に使われるエネルギーが地面に垂直に伝わらず、前進、上昇のためのエネルギー効率が悪くなります。男女差は上半身を使った競技、瞬発力を要する競技で大きく、それ以外ではより小さい傾向があります。具体的にいうと格闘技、投擲系で極めて大きく、跳躍系で大きく、走る競技でより小さく(なお走る競技20メートル以上なら瞬発力のみではダメです)、もっとも小さな競技は長距離競泳です(ある程度の脂肪浮力の点で、丸みのある身体抵抗の点で、広い骨盤が接水面積の点で、多少のアドバンテージになっているのでしょう。)。ハンマー投げ世界記録の男女差はハンマーの重量を考慮すると51%差がありますが、走り幅跳びでは19%、ほとんどのランニング種目で11%、水泳800メートル自由形では6%です。世界トップ女性アスリートでも、記録はおおむね日本中学男子トップクラスと同レベルです。吉田沙保里男子高校生と対戦したらあっという間にフォール負けでしょう。「そもそもスポーツで男女をわけること自体差別である」という意見もあるのかも知れませんが、もしも男女でわけなければ、およそ半分の人は、女性として生まれた瞬間にアスリートになる道を事実上絶たれることになります

第2に、テストステロンには明確な男女差があり、かつテストステロンの値がスポーツパフォーマンスに影響を与えるということ。

95%が睾丸で作られるテストステロンレベル連続スペクトルにならず、女性が分泌するテストステロン血液1デシベルリットルあたり75ナノグラム以下で、男性は240から1200ナノグラム(つまり男性の下限値は女性の上限値よりも200%以上も高い)、例外的に副腎等からレベルテストステロンを分泌している女性トップアスリートでもそのレベル一般男性の下限に達しない程度であるとされています。また、スポーツパフォーマンスの複雑さゆえにテストステロンアスリートに与える影響を正確に説明できる科学者はいないものの、テストステロン値が影響を与えること自体はおそらく確実です。テストステロンレベルを下げて身体女性に変えるホルモン療法を始めたアスリートパフォーマンス短期間で急激に落ちることが確認されていますテストステロン人為的な投与は、典型的ドーピング一種です。

第3に、第1、第2とやや矛盾するが、男女の差は実は相対的ものであるということ。

受精の際に性染色体がXYとなるかXXとなるか。XYなら男性、XXなら女性だが、これは遺伝的な性であって、性別はそれだけでは決まりません。胎齢4~5週で性腺が卵巣になるか精巣になるか。Y染色体があってもSRY遺伝子がなければ、あっても働かなければ卵巣が作られるし、Y染色体がなくても遺伝情報の特殊性で精巣が作られる場合がある。胎齢6~7週でミュラー管が卵管や子宮、膣になるか、ウォルフ管が精管、精嚢、前立腺になるか。精巣が作られてもミュラー抑制因子がなければ子宮や膣が作られるし、テストステロンの分泌がなければウォルフ管が精管や精嚢に発展しない。外性器が陰核や陰唇、陰茎や陰嚢のどちらになるか。胎齢8週間まではどちらにも分化できるが、テストステロンが働かなければ陰茎や陰嚢は作られない。脳の性中枢がどちらになるか。胎生90日頃までテストステロンが少ないと視床下部女性認識する。それ以前の過程女性でもテストステロンが過剰であれば男性認識する。すべての過程で「男並みに」テストステロンが分泌されていてもアンドロゲン不応症ならそれが性分化のために働かない。さらに生まれから男の子として育てられるのか、女の子として育てられるのか。親の教育方針環境問題ですね。男性女性は確かに違うけど、偶然に左右されつつ、これだけ複雑な過程を経て分化していく。「女子男子は違う」「テストステロン値は連続にならない」のは事実だけど、それだけで男女の差が説明できるものではないし、そもそも男女の差はそれ自体相対的ものに過ぎないとも言える。だからトランスジェンダー」と呼ばれる人がいるわけです。

第4に、これまた第1、第2の点を混ぜっ返すことになるが、生まれもった素質によりある種の公平さが失われるというのであれば、スポーツは多かれ少なかれそういうものであるということ。

女子であっても身長が180㎝以上に伸びなければリベロになる場合を除き世界的なバレーボール選手としての未来はほぼなくなります陸上トラック競技五輪世陸の決勝のスタートラインをみれば、ほとんどの種目で人種的特質が程度の差こそあれ影響しているのは否定できません。モンゴロイドトラック種目で金メダルを取るのは不可能とまでは言えないけれども相当に難しいでしょう。将来にわたってピグミー出身NBA選手は生まれそうにない。さらに障がいがあればほとんどの競技で障がいのない人とは競えません。

以上すべてを踏まえて、今度のCASの決定をどうとらえるか。そもそもIAAFは正面切って「セメンヤ選手を標的にした」とは公言しないが、「400メートルからマイルまでの距離」というターゲットからは、800メートルで「絶対女王」に君臨し、最近は1500メートルにも進出してきた彼女を想定していることは誰の目にも明らかなので、彼女を例に考えてみます

一部の報道が正しければ、セメンヤ選手は、遺伝子はXXで、膣があるが、卵巣と子宮を持たずに精巣を持ち、通常の女性の3倍-平均的な男性の下限レベル-のテストステロンを分泌し、パートナー女性です。彼女の持って生まれ一般女性と異なる「男性に近い」特質が、競技者としてのアドバンテージになっていることはほぼ確実で、勝利をめざして彼女と競う他の競技者が不公平感を覚えるのは、理解できます。かつて彼女と競うことに不満を漏らした選手世間から強い批判を受けましたが、例えばセメンヤ選手が、陸上800mの選手ではなく、ボクシングMMA選手だったらどうでしょう。同じ体重であっても圧倒的な体格を持つ女性が、典型的女性選手を滅多打ちにしてノックアウトする凄惨なシーンが展開されればどうでしょう。強い選手だと喝采するどころか、感情的にはなかなか受け入れられない部分があると思います

しかしながら、上記のとおり、生まれもった素質によりある種の公平さが失われるというのであれば、スポーツは多かれ少なかれそういうものです。とすると、いずれの性に分類するかの前に-セメンヤ選手はもしも男子競技に参加すれば五輪の参加標準に遠く及びません。日本高校生に混じってインターハイの決勝に残れるかどうか微妙、というレベルです-セメンヤ選手のみが生来の体質ゆえに希望する競技に参加できないというのは避けなければなりません。

スポーツ勝負事です。勝利を、記録の向上をめざさなスポーツは、スポーツ重要部分を欠いています。だがスポーツには公平さという価値があります。勝ちさえすればよい、記録がよければよいといわんばかりに、競争における公平な条件を無視する人も、優れたアスリートではありません。そしてスポーツ社会的存在です。勝負と記録にこだわり、競技における公平さを追及するあまりプライバシー尊重人種差別禁止個人尊厳といった社会で認められた価値を軽視し、限られた人にのみ開かれ、あるいは一部の人人権を傷つけるのも、正しいスポーツのあり方ではない。

ジャッキー・ロビンソン人種の壁を打ち破る前のMLBのように、かつてスポーツには有色人種を閉め出した時代がありました。特定の種目について女子ゆえに参加を禁止された時代がありました。でも現在はこういう扱いはありえません。「黒人と競わされるなんて不公平だ」「女はこの競技をするな」などという発言は許されない。セメンヤ選手のような事例をどう受け入れていくのか、競技団体のみの判断ではなく、社会彼女のような人をどう受け入れていくのかという問題として考えなければならない。

いろいろ考えるべきことは尽きないし、悩ましい問題で、今後考えが変わらないとも断言できないのですが、私はやはりセメンヤ選手は「女」として競技に参加すべきと思います。それは人は持って生まれ資質規定されつつ自認する「性」で自己実現を図るべき権利があり、その権利尊重することは、個人尊厳としてこの社会においてもっと重要原理からです。IAAFの決定、CASの裁定には賛成できません。

追記

codingalone 良いまとめをありがとうございます。過渡期って感じあるよね

ありがとうございます陸上距離大好き、女子陸上も大好きのヘテロ男性です。自分10年前なら鼻で笑っていたかも知れません。今でも悩んでいます

追記

「これは世界喚起を促すための闘いで、競技スポーツの枠を超えたもの人間尊厳と誇りの問題で、世界喚起を促すためにやるべきこと」

https://www.afpbb.com/articles/-/3223542

この文章を書いた後で、セメンヤ選手自身がこう発言しました。こういうことなのだと思います

 
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