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はてなキーワード: 懇願とは

2020-05-06

anond:20200506160755

似たような境遇(おれは大学中退バンド〜親の懇願で復学してからの年増就職)だが、今は単純に親に感謝してるぞ。

格差階層固定化しつつある(親が高収入なら子ども学歴高く高収入になる傾向強い)っていうのは、こういうことかと実感してる。

なお、おれは今の仕事たまたま創造性も発揮できて楽しめてるので、こんなにひねくれてないだけかも。

2020-05-04

早稲田行きの荒川線ほとんど空っぽなまま夜の王子駅に入ってくるのを見ると、東十条の夜を思い出す。

真夜中に電話をかけてくるのはだいたい振付師で、出ると必ず「寝てた?」と聞く。こちらが寝ていたとしても別に対応を変えようとはしていない。挨拶がわりに今どこと聞くと、永福町アパートからかけていることもあれば、聞いたこともない名前の街にいることもあった。

新潟燕市から夜中の二時過ぎにかけてきた日、東十条クルド料理レストランができたのと振付師はいった。半分寝ながら「ああ、ああ」と返事しているうちに、翌週の夕方に同行することになっていた。

レストランは駅近くの雑居ビルにあった。細い階段を登ると、青い壁に赤を基調としたタペストリーがかけられ、トルコ製らしいランプが天井から吊るされた店内は薄暗かった。

二人とも果実蒸留酒を飲みながらピーチ味のシーシャを吸って馬鹿話をした。振付師は蔦の模様がついたノースリーブワンピースを着て、耳には銀色のチェーンピアスが揺れていた。

「ね、知ってる? カニコーセンの人」

カニコーセン?」

「あの、小説の」

小林多喜二?」

「そそ、タキジキジ。やばくない?」

「……?」

「お客さんの事務所の子がね、今度カニコーセンの舞台に出るからって、マネージャーさんが招待券くれて。で、帰りに駅ビル原作文庫本買って、バスの中で読んでたのね」

「読んだんだ。どうだった?」

「やばかった。いろいろ。で結局、タキジって殺されちゃうんだよね」

「ああ、特高に捕まって拷問されたんだっけ」

「うん、遺体の脚を見るとね、釘か畳針でグサグサ刺した痕だらけだったんだって。いったいどんだけ憎まれてたんだっていう」

「あの人の書いたものが、それだけ当時の警察機構を動揺させた、ということでもあるのかもね」

振付師はグラスを空けるとこちらに向き直ってまっすぐ見た。

「30歳だよ。タキジ死んだの。今の私たちよりも若かったんだよ。それでどれだけの仕事をした? どれだけの人に影響与えた? タキジが生きてる間にカニコーセンは何か国語にも翻訳されて、世界の人が読んでるんだよ? あの時代だって、今だって20代でそれだけのインパクト出せた作家って、そんなにいないんじゃない?」

「うん、いないだろうね」

燃え方が足りない」

「足りない?」

もっとたくさんの人に、私が伝えるはずのことを、私の仕事で、全力で伝えたい。そのためには死に物狂いでいまやってなきゃいけないのに、なにやってるんだろって、思うことがあるんだよ。もう無我夢中で、身体自分の熱で焼き切れて無くなってしまうくらいに、全力でやってなきゃいけないはずなのに、私はまだなにもやってない」

毎日家と会社を行ったり来たりしてるだけの僕からすると、日本中を飛び回ってるきみは、ものすごく燃えてるように見えるんだけど」

振付師は無言で何度も頭を振った。と思うとこちらの手を取って、荒々しくかぶりつく犬のような真似をした。

東十条商店街には縁日が出て、りんご飴、ヨーヨー釣りプラスチックのお面が裸電球の光を反射していた。振付師金魚すくい水槽を見つけると、やりたいと言ってその前にしゃがんだ。出張が多いのに世話できるのかと聞くと、預けるから大丈夫だもんと言った。

西日暮里ホテルに入ると、洗面所シンクに水を溜めて、小指の先ほどしかない緋色の魚が入ったビニール袋を静かに沈めた。そうするのが金魚にとってよかったのか、二人ともわからなかったけれど、ホテルの部屋に篭っている間に死んで欲しくはなかった。

その後のことはよく覚えていない。いつも通りだったかもしれないし、もっと強く噛んで欲しいと執拗懇願されたのはそのときだったかどうか、また別の時だったか、いまとなってははっきりしない。

そのとき金魚はいまだに元気で、振付師熊本に一か月行ってくるといって置いていってから、結局預かりっぱなしになっている。冷蔵庫脇の水槽で年を追うごとに肥えて、握りこぶしほどの大きさになった。

2020-05-02

[]anond:20200502065319

14歳初体験が無色だった話

このコロナ禍でテレビ局は収録を行えず、音楽番組歴代のヒットソングを流し続けている。

私はこの手の音楽番組は嫌いじゃない。小中学生時代うんざりするほど聴いた曲を「懐かしむ」という新鮮な感覚で聴けるようになった今は、テレビの中の歌手と大合唱するのが楽しくて、つい観てしまう。

この日もまた、その手の音楽番組で盛り上がっていた。学生時代、熱心に聴いていた00年代のヒットソングメドレーとなると、私は息つく暇もなく歌声を重ねる。

歌詞を見ずとも完璧に歌えるその数々に酔いしれ、天井を仰ぐご機嫌な私の歌声は、ある曲がかかった途端ピタリと止んだ。

2005年のヒットソングレミオロメンの「粉雪」。この曲は、当時14歳だった私の「初体験」を彩るテーマソングだ。仰いだ天井とそのイントロが、あの日ラブホテル天井だんだんと思い出させる。

中学校生活の終わりをもうすぐ迎える私は焦っていた。その焦りとは、受験や、進学で離れ離れになる友達との別れに対するものではない。「初体験」を済ませていない自分に対する、ハッキリとした焦りだった。

私の周りの女の子たちは皆早くて、それぞれどこかで仕入れた「年上の男」とさっさと初体験を済ませていた。

中には「2回目は公園でヤった」とか、「毎日学校トイレでパコってる」と語る者もいて、私は公園トイレに行く度に「ここでパコパコ…」と感心していた。

一方私は、友達の家でファミチキを食べて帰るだけの中学生。身なりはギャルで、毎日公園トイレでパコっていそうなのに、処女なのだ

私は心底情けなかった。親から毎日公園トイレでパコっていると思われているのか、夕食の時に突然「コンドームは付けなさい」と注意される自分が。「まだパコってねえよ!」とも言い返せず、部屋にこもってeggアニマルトークを読む日々が。

そもそも、中2の時に「塾に行きたい」と親に頼んだのが間違いだった。周りの女の子たちと同じように、夜中にどっかの年上の男にナンパされ、雑木林初体験を済ませることを夢見ていた私は、夜遊びをするために塾に通うことを思いついたのだ。

それで私は、親に「高校に通いたいから塾に通わせてくれ」と懇願した。雑木林でパコりたい私の目論見を知ってか知らずか、親は「そうか、そうか!」と快諾し、私に2人の家庭教師を付けた。

高校に通いたいなんて嘘をつかずに、「雑木林でパコりたいから塾に行くフリをしたいんだ」と正直に言えばよかったバカからと2人も家庭教師を付けられ、週4日、16時から始まる授業に間に合うように、家に帰る生活を送ることになるとは。

からといって、親に反発することはなかった。「お金がない」と言いながら月謝を払う親を裏切ることはできなかったし、口火を切ったからにはやってやるというギャルの意地があったから。

そうして夜遊びと無縁な日々を送った私は、2人の優しい先生のおかげもあって、中3の夏頃に実施された定期テストで89点という高得点数学で叩き出した。

それ以外は50点前後というしょっぱい点数で、この奇跡の89点は功を奏さず、成績の5段階評価オール1からオール2に上がる程度だったが、私の中にはいしか高校に行きたい」という思いが芽生え始めていた。噓から出た実とはまさにこのことである

そうなると志望校を決めなければならない。しかし、私の学力でいける校則のゆるい高校を探すのは困難を極めた。いくらページをめくっても、「ゥチの高校鬼ギャルの格好ができるょ↑↑」とか、「ルーズは120センチまでォッケー⭐︎」と、eggのノリで高校を案内しない『首都圏高校受験案内』に何度失望したことか。

選べる身分ではないことに気付き始めた頃、私はインターネットの力に頼った。すると早速、OB受験生の質問に答えてくれるという優しい掲示板を探し当て、「ゥチの行ってた高校ギャルの格好ができるょ↑↑って人L lますヵゝ??」と書き込んでみた。

しばらく経って、スレッドが埋まりかけた頃、ようやく1件のレスがついた。「教えてあげるから、会わない?」という、見るからに怪しいレスだった。

その怪しさに、私は戸惑うよりも先に沸き立った。「この怪しいレスをつけた人に会えば、初体験を済ませられるかもしれないぞ」と。このバカは、いくら優秀な家庭教師でもなおせなかったのだ。

私はうぶなふりをして、20歳の男のメールアドレスを聞き出し、「静かなところで話したいから、ホテルで会わない?」という誘いに乗った。ああ、お父さんごめんなさいなんて、一瞬も考えなかった。

私にもついにこの時が来たかと思うと、感慨深いばかり。土曜の昼間のラブホテルだなんて、夜中の雑木林より立派じゃないか誕生日を間近に控えた14歳の冬にして、ようやく初体験を済ませることになったのだ。

いつもより濃い化粧と派手な服に身を包んだ私は、待ち合わせ場所の改札前で20歳の男を待っていた。あと10分もすれば、初体験相手が改札の向こうから現れる。

周りの女の子たちには、インターネット出会った男と昼間にパコったなんて恥ずかしくて言えないから、夜中にナンパしてきたギャル男とラブホでパコったと言おう。そういろいろと考えていると、後ろから「あの…」という細い声が聞こえた。

振り向くと、うつむいた男が立っている。私は、その男が何者かということより、「私より髪が長いなあ」というぼんやりとした感想を抱いて、返事もせずにその長髪を眺めていた。

すると男は「…行こうか」と言って歩き出した。私はようやく「この男が私の初体験の男なのだ」ということに気付き、何とも言えぬままなびく髪を追いかけた。

道すがら、男は何かを話しかけてくるのだが、喧騒に遮られて聞こえない。その何かが物騒なことだったらどうしようと、この期に及んで恐怖を感じた。

それでも私は、時々見える男の表情が笑顔であることだけを頼りについて行く。男の声がはっきりと聞こえたのは、ラブホテルロビーに入ってからだった。

男は「どこでも良いよね」と言って光るボードボタンを押すと、小さなから鍵を受け取り、エレベーターボタンを押した。その一連の流れを見て、こう言っちゃなんだが、こんなもさい男でも慣れているんだなと変に安心した。

部屋に入り腰掛けた瞬間、私はどんな顔をしていればいいのかわからなくなって、一気に緊張した。もしかしたら本当に高校について教えてくれるだけかもしれないけれど、黙ってテレビを眺める男の様子からはその気配を感じられない。

男が突然、「俺、宮崎あおいが好きなんだよね」と呟いた。テレビを見ると、宮崎あおいが何かの新商品をとびっきりの笑顔宣伝している。そして、「シャワー浴びてくる」と言って風呂場へ消えていった。

その時、なぜかわからないけど落ち込んだ。この感情は、同級生男の子告白をした時、「今は勉強に集中したいから」と言ってフラれた悲しみに似ている。だけど、それとは全く違う。なぜかわからないけど、泣きそうになった。

タバコ匂いシャンプー香りが入り混じる部屋で、私はシャワーの音が止むのを待った。そして、揺れる長い髪と、かすめるラブホテル天井を、私はぼんやりと見つめていた。

別れ際、男の顔が聖徳太子に似ていることに気付いた。参考書でよく見た顔だからか、それとも肌を重ねた相手からか、この時になってようやく男に親近感が湧く。しかし男は名残惜しむことなく、私の「ありがとうございました」をかき消すように「じゃあ」と言って、改札を抜けていった。

私は、股が痛くて歩きづらいことや血は意外と出ないという、ありきたりな初体験の事後を実感したけれど、この心と体にしっくりくる初体験感想は見つからず、モヤモヤした。

それからしばらくして、いよいよ志望校が決まった頃、私はまだ何かに焦りながら音楽番組をよく観ていた。誰かの曲の歌詞や声、MV演出といった美しいものに、あれからずっと見つからなかった初体験感想を当てはめて、早く落ち着きたかったのかもしれない。

そして私は、「粉雪」を歌うレミオロメンボーカルを見て「聖徳太子に似ているな」という感想を抱いた時、ようやく落ち着いた。求めていた美しいものではない、その味気ない感想が、初体験感想としてしっくりくるものだったのだ。

揺れる長い髪やかすめた天井宮崎あおい最後になぜか聖徳太子に似ていることに気付いて沸いた親近感、「何がありがとうございますだったんだろう」と考えながら歩いた帰り道、全てが無色だったことに気付いたのだ。

聖徳太子に似ているような気がするレミオロメンボーカルが、私の初体験を彩る色はなかったことを知らせるように、心と体の深いところで鳴り響いただけなのだ

天井ぼんやりと見つめている間に、音楽番組10年代のヒットソングメドレーを流していた。初体験を白く染められたなら、この天井よりももっと高いところに返せるのになあ、などと考えている間に。

14歳初体験が無色だった話

このコロナ禍でテレビ局は収録を行えず、音楽番組歴代のヒットソングを流し続けている。

私はこの手の音楽番組は嫌いじゃない。小中学生時代うんざりするほど聴いた曲を「懐かしむ」という新鮮な感覚で聴けるようになった今は、テレビの中の歌手と大合唱するのが楽しくて、つい観てしまう。

この日もまた、その手の音楽番組で盛り上がっていた。学生時代、熱心に聴いていた00年代のヒットソングメドレーとなると、私は息つく暇もなく歌声を重ねる。

歌詞を見ずとも完璧に歌えるその数々に酔いしれ、天井を仰ぐご機嫌な私の歌声は、ある曲がかかった途端ピタリと止んだ。

2005年のヒットソングレミオロメンの「粉雪」。この曲は、当時14歳だった私の「初体験」を彩るテーマソングだ。仰いだ天井とそのイントロが、あの日ラブホテル天井だんだんと思い出させる。

中学校生活の終わりをもうすぐ迎える私は焦っていた。その焦りとは、受験や、進学で離れ離れになる友達との別れに対するものではない。「初体験」を済ませていない自分に対する、ハッキリとした焦りだった。

私の周りの女の子たちは皆早くて、それぞれどこかで仕入れた「年上の男」とさっさと初体験を済ませていた。

中には「2回目は公園でヤった」とか、「毎日学校トイレでパコってる」と語る者もいて、私は公園トイレに行く度に「ここでパコパコ…」と感心していた。

一方私は、友達の家でファミチキを食べて帰るだけの中学生。身なりはギャルで、毎日公園トイレでパコっていそうなのに、処女なのだ

私は心底情けなかった。親から毎日公園トイレでパコっていると思われているのか、夕食の時に突然「コンドームは付けなさい」と注意される自分が。「まだパコってねえよ!」とも言い返せず、部屋にこもってeggアニマルトークを読む日々が。

そもそも、中2の時に「塾に行きたい」と親に頼んだのが間違いだった。周りの女の子たちと同じように、夜中にどっかの年上の男にナンパされ、雑木林初体験を済ませることを夢見ていた私は、夜遊びをするために塾に通うことを思いついたのだ。

それで私は、親に「高校に通いたいから塾に通わせてくれ」と懇願した。雑木林でパコりたい私の目論見を知ってか知らずか、親は「そうか、そうか!」と快諾し、私に2人の家庭教師を付けた。

高校に通いたいなんて嘘をつかずに、「雑木林でパコりたいから塾に行くフリをしたいんだ」と正直に言えばよかったバカからと2人も家庭教師を付けられ、週4日、16時から始まる授業に間に合うように、家に帰る生活を送ることになるとは。

からといって、親に反発することはなかった。「お金がない」と言いながら月謝を払う親を裏切ることはできなかったし、口火を切ったからにはやってやるというギャルの意地があったから。

そうして夜遊びと無縁な日々を送った私は、2人の優しい先生のおかげもあって、中3の夏頃に実施された定期テストで89点という高得点数学で叩き出した。

それ以外は50点前後というしょっぱい点数で、この奇跡の89点は功を奏さず、成績の5段階評価オール1からオール2に上がる程度だったが、私の中にはいしか高校に行きたい」という思いが芽生え始めていた。噓から出た実とはまさにこのことである

そうなると志望校を決めなければならない。しかし、私の学力でいける校則のゆるい高校を探すのは困難を極めた。いくらページをめくっても、「ゥチの高校鬼ギャルの格好ができるょ↑↑」とか、「ルーズは120センチまでォッケー⭐︎」と、eggのノリで高校を案内しない『首都圏高校受験案内』に何度失望したことか。

選べる身分ではないことに気付き始めた頃、私はインターネットの力に頼った。すると早速、OB受験生の質問に答えてくれるという優しい掲示板を探し当て、「ゥチの行ってた高校ギャルの格好ができるょ↑↑って人L lますヵゝ??」と書き込んでみた。

しばらく経って、スレッドが埋まりかけた頃、ようやく1件のレスがついた。「教えてあげるから、会わない?」という、見るからに怪しいレスだった。

その怪しさに、私は戸惑うよりも先に沸き立った。「この怪しいレスをつけた人に会えば、初体験を済ませられるかもしれないぞ」と。このバカは、いくら優秀な家庭教師でもなおせなかったのだ。

私はうぶなふりをして、20歳の男のメールアドレスを聞き出し、「静かなところで話したいから、ホテルで会わない?」という誘いに乗った。ああ、お父さんごめんなさいなんて、一瞬も考えなかった。

私にもついにこの時が来たかと思うと、感慨深いばかり。土曜の昼間のラブホテルだなんて、夜中の雑木林より立派じゃないか誕生日を間近に控えた14歳の冬にして、ようやく初体験を済ませることになったのだ。

いつもより濃い化粧と派手な服に身を包んだ私は、待ち合わせ場所の改札前で20歳の男を待っていた。あと10分もすれば、初体験相手が改札の向こうから現れる。

周りの女の子たちには、インターネット出会った男と昼間にパコったなんて恥ずかしくて言えないから、夜中にナンパしてきたギャル男とラブホでパコったと言おう。そういろいろと考えていると、後ろから「あの…」という細い声が聞こえた。

振り向くと、うつむいた男が立っている。私は、その男が何者かということより、「私より髪が長いなあ」というぼんやりとした感想を抱いて、返事もせずにその長髪を眺めていた。

すると男は「…行こうか」と言って歩き出した。私はようやく「この男が私の初体験の男なのだ」ということに気付き、何とも言えぬままなびく髪を追いかけた。

道すがら、男は何かを話しかけてくるのだが、喧騒に遮られて聞こえない。その何かが物騒なことだったらどうしようと、この期に及んで恐怖を感じた。

それでも私は、時々見える男の表情が笑顔であることだけを頼りについて行く。男の声がはっきりと聞こえたのは、ラブホテルロビーに入ってからだった。

男は「どこでも良いよね」と言って光るボードボタンを押すと、小さなから鍵を受け取り、エレベーターボタンを押した。その一連の流れを見て、こう言っちゃなんだが、こんなもさい男でも慣れているんだなと変に安心した。

部屋に入り腰掛けた瞬間、私はどんな顔をしていればいいのかわからなくなって、一気に緊張した。もしかしたら本当に高校について教えてくれるだけかもしれないけれど、黙ってテレビを眺める男の様子からはその気配を感じられない。

男が突然、「俺、宮崎あおいが好きなんだよね」と呟いた。テレビを見ると、宮崎あおいが何かの新商品をとびっきりの笑顔宣伝している。そして、「シャワー浴びてくる」と言って風呂場へ消えていった。

その時、なぜかわからないけど落ち込んだ。この感情は、同級生男の子告白をした時、「今は勉強に集中したいから」と言ってフラれた悲しみに似ている。だけど、それとは全く違う。なぜかわからないけど、泣きそうになった。

タバコ匂いシャンプー香りが入り混じる部屋で、私はシャワーの音が止むのを待った。そして、揺れる長い髪と、かすめるラブホテル天井を、私はぼんやりと見つめていた。

別れ際、男の顔が聖徳太子に似ていることに気付いた。参考書でよく見た顔だからか、それとも肌を重ねた相手からか、この時になってようやく男に親近感が湧く。しかし男は名残惜しむことなく、私の「ありがとうございました」をかき消すように「じゃあ」と言って、改札を抜けていった。

私は、股が痛くて歩きづらいことや血は意外と出ないという、ありきたりな初体験の事後を実感したけれど、この心と体にしっくりくる初体験感想は見つからず、モヤモヤした。

それからしばらくして、いよいよ志望校が決まった頃、私はまだ何かに焦りながら音楽番組をよく観ていた。誰かの曲の歌詞や声、MV演出といった美しいものに、あれからずっと見つからなかった初体験感想を当てはめて、早く落ち着きたかったのかもしれない。

そして私は、「粉雪」を歌うレミオロメンボーカルを見て「聖徳太子に似ているな」という感想を抱いた時、ようやく落ち着いた。求めていた美しいものではない、その味気ない感想が、初体験感想としてしっくりくるものだったのだ。

揺れる長い髪やかすめた天井宮崎あおい最後になぜか聖徳太子に似ていることに気付いて沸いた親近感、「何がありがとうございますだったんだろう」と考えながら歩いた帰り道、全てが無色だったことに気付いたのだ。

聖徳太子に似ているような気がするレミオロメンボーカルが、私の初体験を彩る色はなかったことを知らせるように、心と体の深いところで鳴り響いただけなのだ

天井ぼんやりと見つめている間に、音楽番組10年代のヒットソングメドレーを流していた。初体験を白く染められたなら、この天井よりももっと高いところに返せるのになあ、などと考えている間に。

2020-04-28

探し物は何ですか

だいぶ前(多分数年前?)、確かTwitterで流し読みしてそれっきりになってしまった話を探している。知っている人がいたら情報が欲しい。

ヤクザに売られた女性の話。話をまとめるのが不得意であるのとうろ覚えということもあり箇条書きで覚えている事を挙げてみる。

投稿主は店番をしていて、ふと入ってきた年配の女性自分の身の上話を始める。という始まり方。

女性の両親はヤクザから借金をしていて、度々取り立てに遭っていたという。

・ある日、取り立てに来たヤクザ提案をする。このまま借金を返し続けるか、借金をチャラにする代わりに娘(女性)を嫁に寄越すか。両親は娘を売ることに決めた。

それから女性ヤクザの妻として生活を始める。舎弟?は気さくに話しかけてくれるが打ち解ける気にはなれなかった。

・ある日、ヤクザ同士の紛争が勃発。夫に「お前はクローゼット?の中に隠れてろ。絶対に出てくるな。」と言われる。外では銃や喧嘩の音、怒号が飛び交っている。

紛争が終わり、クローゼットから出てこれた。「もうこの生活に耐えられない。離縁してくれ。離縁が無理なら今すぐ殺してくれ」と夫に懇願する。

・夫は離縁に承諾。離縁後の生活に困らないようにと家や車などを用意してくれる。

・離縁後は日舞茶道芸事を嗜んでいたので教室を開くことで収入を得ることができた。

・両親の居場所も教えてくれたが、自分を売った人なので今更と思い会いに行くこともなかったので両親のその後は知らないまま。

・あれから再婚する気は起きずずっと独り身のまま。今となってはドラマ映画を見ていたような気分だ。

まぁこんな感じで何回にも分けられて投稿されててだいぶ長かったような気がする。

知ったから何だというわけでは無いが、何となくふと思い出してもう一度読んでみたいと思ったのでこの記事を書いた次第。

2020-04-22

橋下徹テレビ生放送で「一人で死んでくれ」と懇願するも、ネット民達は冷ややかな反応

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5708893

 

青葉さんも政府からアベノマスクを賜っていれば

日本日本人はこんなにも俺に温かく接してくれると涙を流し事件など考えもしなかったであろう

2020-04-19

出自だってのに

公園で悠長にラガーあおってんじゃねぇよ

パパとも風情がよ

テメェら自覚ねぇだろうけど

危険行為だよ完全に

この非国民が!

こちとら

毎日毎日在宅ワーク

不用意に家から出ないようにしてる

昨日の雨から今日の陽気

そりゃ誰だって外に出たくなる

百歩譲って気持ちはわかる

家の近所にある某都区内の防災公園

今朝からテレビで封じ込めていたけれど

子供たちに懇願され

マスク②お友だちに合っても遊ばない③30分だけ④帰ったらうがい手洗いを条件に

渋々連れてった

まぁ、人、ヒト、ひと!

普段はせいぜい50人くらいいるかいないか公園

150人くらいの人

多くは外周路を歩いたり

キャッチボールをしたりだが

中にはブルーシートサンシェードをして

宴会じみたことをしてる輩もいる

その中に、保育園行事にも

毎回カープユニフォームで参加するパパさんが、

冒頭のようにパパ友同士でキリンビールなんか

おっちゃっててるわけ

もうね、バカかとアホかと

てめぇみたいな輩がいるか

保育園に預けられずにこちとら家で毎日

子どもらを見る羽目になるんだよ

自覚しろ

子ども連れて公園ビールをあおる

その危険さ加減を

普段カープユニフォーム着て

何やってるかしらねぇけど

カープファン迷惑から

せめてユニフォーム脱いで飲めよ

保育園で日夜一所懸命働いてる保育士さんに謝れ

万が一コロナが出たら、

そういうヤツに限って保育園非難するんだろうな

なんだかやるせねーなー

いけすかねーなー

そう思って踵を返して

速攻で公園を後にしたけど、

家に帰ってやり場のない怒りにモンモンモンとしている

東京医療崩壊寸前(看護師の嫁、談)ってのに

なんなんだろーこれもー

はよねな

出自だってのに

公園で悠長にラガーあおってんじゃねぇよ

パパとも風情がよ

テメェら自覚ねぇだろうけど

危険行為だよ完全に

この非国民が!

こちとら

毎日毎日在宅ワーク

不用意に家から出ないようにしてる

昨日の雨から今日の陽気

そりゃ誰だって外に出たくなる

百歩譲って気持ちはわかる

家の近所にある某都区内の防災公園

今朝からテレビで封じ込めていたけれど

子供たちに懇願され

マスク②お友だちに合っても遊ばない③30分だけ④帰ったらうがい手洗いを条件に

渋々連れてった

まぁ、人、ヒト、ひと!

普段はせいぜい50人くらいいるかいないか公園

150人くらいの人

多くは外周路を歩いたり

キャッチボールをしたりだが

中にはブルーシートサンシェードをして

宴会じみたことをしてる輩もいる

その中に、保育園行事にも

毎回カープユニフォームで参加するパパさんが、

冒頭のようにパパ友同士でキリンビールなんか

おっちゃっててるわけ

もうね、バカかとアホかと

てめぇみたいな輩がいるか

保育園に預けられずにこちとら家で毎日

子どもらを見る羽目になるんだよ

自覚しろ

子ども連れて公園ビールをあおる

その危険さ加減を

普段カープユニフォーム着て

何やってるかしらねぇけど

カープファン迷惑から

せめてユニフォーム脱いで飲めよ

保育園で日夜一所懸命働いてる保育士さんに謝れ

万が一コロナが出たら、

そういうヤツに限って保育園非難するんだろうな

なんだかやるせねーなー

いけすかねーなー

そう思って踵を返して

速攻で公園を後にしたけど、

家に帰ってやり場のない怒りにモンモンモンとしている

東京医療崩壊寸前(看護師の嫁、談)ってのに

なんなんだろーこれもー

はよねな

2020-04-16

anond:20200416071307

5年前の情報申し訳ないけど、サポセン電話して事情説明して●日に払いますから回線止めないでください。って懇願したら延長してくれるよ。

ソフバンで働いてて支払い相談に来る客ちょいちょい居て店じゃ何も出来ないかサポセン電話させてたけど成功率は8割位。支払い実績が悪いと断られる。

一応引き落とし日に落ちなかった場合、その日から2ヶ月後までは回線は停止しないけど。

2020-04-08

anond:20200408223942

君は匿名で恥ずかしいね

橋下徹テレビ生放送で「一人で死んでくれ」と懇願

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5708893

死ねというなら君も実名責任を持っていうべきだ

匿名死ねなんて秘境

2020-03-21

anond:20200321122931

この意見にも同意。本当にフィクションキャラクター現実と同じように思いやるなら、作者は連載を止めるべきだし、読者は「殺さないで」の懇願署名を集めるべきだった。

2020-02-26

情報弱者の炙り出し

良かれと思って回してくれたのであろう「新型コロナウイルスに関する最新情報を、医療関係者から聞きました!」っていうLINE

  

読み進めると、新型コロナウイルスは熱に弱く、27-28度で死滅と書いてある。

……?じゃあ体内に入った時点で死ぬじゃん?

  

とりあえず書いてあることのソースを調べてみようと厚生省のページを見ても何も無く、ググってニュースに搾ってみても何も出てこない。SNSを見ると拡散されている。

なるほど、これは善意を使った悪質な拡散

って訳で送ってくれた相手には何も言わずに、もちろん拡散することも無く終わろうとした。

しかし残念なことに、親から同様のLINEが入る。あの人の事だ、これが真実だと思い込んだのだろう。仕方なしに信憑性が低いことを伝えると怒っていた。

  

頼むからその情報の出処が明らかでないものは信じないでくれと懇願した。

2020-02-25

民主党信者安倍無能悪霊退散民主党政権再来懇願

自民党信者民主党時代鳩山災害国家滅亡迅雷熱湯浴

公明党信者ナンマンブナマンダブ」

やっぱ主要政党信者は糞やな

IQ100あったら泡沫政党投票するって言われるわけだ

anond:20200225043100

あーごめん

一人は単にお人好しだから懇願すれば大概のことはやってくれるだろって程度で

お互い絶対助け合うっていう盟友といえるのは一人だわ

2020-02-24

日本コロナ対策

日本コロナ対策基本的コロナ流行を認めないことだから、万一肺炎になった場合コロナと確定診断しないでくださいと懇願すれば治療してもらえる。

コロナを匂わすとまぁ放置されるだけだろうな。

2020-02-13

anond:20200213224350

100人に100万配りますみたいなツイートに「親父に○○してあげたいんです!お願いします!」みたいな懇願リプ送ってる人見るとかわいそうになる

2020-02-09

教員の夫が仕事辞めたいと言い出した

来年あたり今の仕事辞めようと思うんだよね」と言われた。

夫は39歳で公立中学教員をしている。子供はいない。クラス担任をやらされる年度とやらされない年度があり、

担任をやらされている年度は、家に帰る時間が19時をすぎたり、土曜か日曜にサービス出勤したり確かに大変そうではある。夕食時は仕事愚痴を聞いてあげるのが定例だ。

そして来年度も担任やらされる筋が濃厚なんだそうな。

私としては絶対に辞めてほしくない。本音を言うと今より生活水準が落ちてしまうのを恐れている。

夫の年収は600万ほど。都会の人から見れば39歳で600万は少なく見えるかもしれない。だが地方では上流なほうだ。

地方でこれくらいの給与が見込める民間企業なんて電力会社系列銀行ぐらいしかない。あるいは大企業地方支社か。

教員免許ぐらいしか資格のない39歳がそれらに入れるはずもなく、今より待遇が悪くなるのは明らかだ。

それに、今より労働時間が伸びるのではないかと思う。

なんだかんだ夫は土日休めている。前述の通りサービス出勤はあるものの、これは誰かに強制されているわけでなく仕事を期限までに終わらせるために、あくま自分裁量でおこなっているものだ。数時間ほどで帰ってくるし。

ところが地方民間企業というものは完全土日休み会社がかなり少ない。

私は独身だったこ転職経験があるのだが、転職サイト掲載されている会社は隔週土曜休みばかりだし、ハローワークでは完全土日休みを条件に検索すると、業界経験OK求人はごっそり消える(夫は教育業界自体が嫌で他業種に行きたいと言っている)。

"夫が仕事辞める"などのワード検索すると「仕事続けて精神病むくらいなら辞めてもらったほうがいい」だとか「辞めて収入減った分家計のやりくりを頑張りましょう」みたいなこと言ってるサイトがヒットする。

まあもともと稼ぎの少ない人なんならそう気楽でいられるかもしれないが、私は夫の経済力に惹かれている面があるので、もし転職して低収入になったら夫を好きでなくなってしまうかもしれない。

それともまさか転職すらしないつもりじゃないだろうな?私の手取り月収15万にすがりたいのだろうか?なんで一回り年上の男を養ってやらにゃならんのだ。介護かよ。

とはいえ私にも反省すべき点がある。私は3勤3休のシフト休み会社で働いていて、平日が休みになるのだが、夕食をつくることと洗濯機を回すぐらいしかろくに家事をしていなかった。

家の掃除は土日に夫がやっていた。ゴミ出しも私より早く起きて出勤する夫にまかせっきりだった。

土日に夫がしっかり休めるよう、私が平日休みの間にあらゆる家事を済ませておくべきだったのではないか

仕事を辞めないよう懇願するための対策として家事を頑張ろうと決意した次第である

将来的には私が仕事を辞めて専業主婦になりたい。

2020-02-01

anond:20200131205712

この3つのセリフを続けて同じ相手に言う、とすると最低のクズだな。

助ける→3cmだけと懇願→温かいナリ

2020-01-29

犬の思い出

大学生の時、鹿児島離島バイトをやっていた。

民宿の泊まり込みで夏休みうぇーいしてくる連中の相手仕事内容で、

時々、男同士で喧嘩や、レイプまがいの事件もあったりしたが、それ以外は平和だった。

ある時、民宿のまわりを野良犬がやってくるようになってきた。

ビーグルのような灰色茶色雑種

誰かが餌付けしちゃったようで、また餌でもくれるのかといった顔をしてやってくる。

痩せてかわいそうなので、時々飯をあげていた。

ある時、5人づれの女子大生が1週間泊まりに来た。

そのうちの赤いネガネのふちをしたオタクっぽい女の子が一人が犬嫌いだった。

僕は彼女が好きになった。

ごはんをたべてから、浜辺でふたりきりになって盛り上げっているところにその犬がやってきた。

女の子は犬が気になって仕方がなくないようで、ちらちら見て、

なんとか犬をやってほしいと懇願してきた。

犬をどうにかして。お願いどっかへ犬をやって。ああ、犬が怖くてしょうがないということだった。

僕はその辺にあった流木を片手に近寄った。

犬はまた餌でもくれるのかとおもい、

無邪気に、はーはーと舌をだして僕に近づいてきた。

若さとは性欲のことだと思う。

僕は流木をおもいっきり振りかざし、犬の頭をめがけて殴った。

犬を殺って欲しいから、犬を殺るのだ。

鈍く頭蓋骨が折れる音と、波の音がかさなって目の前の死んだ犬が現実のものじゃないような気がした。

生きていれば動物なのに、死んだら物体になるのが、

不思議哲学的ななにかを得た気分になっていた。

メガネ女の子は、目の前で犬が撲殺された事実が、

急に怖くなったのか、そそくさと逃げていった。

僕はおいかけることもなく、棒をもったまま呆然と立ちすくした。

その日は何故か勃起したまま収まらなかった。

2020-01-24

謝罪を受け入れられなかった

昔付き合ってた人。

実家菓子折り持って挨拶に来たけど、結局自分浮気相手だった。

本命彼女というひとから電話越しで罵声を浴びせられて、彼の家に置いてあった私物はハサミでズタズタに切られて捨てられたらしい。

本命が家に来るときは押入れの中に全部押し込めていたとのこと)

仕事からと言われ会えなかった12/24も、本命彼女ホテルでディナーをして、25日の夜は私がケーキを持って彼の家に出向いて食事を作った。

彼曰く「増田ちゃん彼女がいてもいいからといって体の関係懇願した」らしい(と本命彼女に聞いた)

告白は彼からだったし、周囲の友人にも緘口令をしいていたらしい。

両親は激怒していたが、私は呆然として泣くだけしかできなかった。

その彼から久しぶりに連絡が来た。

本命彼女結婚するはこびとなり当時のことを謝りたいのだという。

「当時は自分のことばかり考えていた。子供だった、ごめん」と。

以下私の返信。

「許せないです。人として最低な行為をしたくせに虫が良すぎる。

自分気持ちを楽にするための謝罪しかない。存在すら思い出したくない。

正直お前のような人間のクズも、真相知ってもなお罵倒してきた女もさっさと死ね

子供が生まれたら全員事故にでも遭って一生苦しめ。」

別れる際に相当女から罵倒されたのでその恨みもあったし、

それ以来まともに男性と付き合えなくなった。

からは「謝ったのに最低。人としておかしい」とだけ返ってきた。

あーやっぱこいつ最低だわ。

2020-01-17

センター試験の思い出

人生ターニングポイントと呼べる瞬間があるとしたら、私にとってそれはセンター試験だ。

10年以上前1月、朝から雪が降っていた。東京から滅多にないのに。そういえば去年も雪の日だったな、何かの運命かな、とぼんやり思った記憶がある。

浪人して、1年ぶり2度目の受験だった。

***

現役で受けた大学は全敗。初めてのセンター試験も散々だった。

勉強を全くしていなかったから当然の結果。でも、それまで順風満帆に走っていた「人生のレール」から脱線したというか、レールそのもの消失したような途方もない虚無感に襲われたのを覚えている。初めての経験だった。

公立後期の不合格を見届けた後、親に懇願して浪人生となった。それからは、怠惰だった高校3年間を取り戻すかの如く、予備校で朝から晩まで勉強漬けの日々を送った。

心を入れ替えた、というと語弊がある。気を抜くとまた現れる虚無感が怖くて仕方なかった。眠る前に漠然とした不安に襲われる夜も幾度となくあったし、浪人生という以外に肩書きがない不安は常につきまとった。それらを紛らわすには勉強しかない、それだけだった。

見失ったレールの続きは、この大学受験の先できっと見つかる、そう愚直に信じて過ごした1年間だった。

***

迎えた2度目のセンター試験本番。

前日、私は例に漏れず緊張していた。布団に入っても「また散々な結果だったら?」と失敗する未来ばかり想像した。でも気がつくと熟睡していて、朝になって我ながらその図太さに驚くとともに、「もうなるようになれ」と吹っ切れた。

試験会場は大学の大講堂で、私の席は最前列だった。目の前の教壇には複数試験官がいて、無駄に緊張したのを覚えている。でも、今思えば視界に他の受験生が入らないぶん、試験に集中できて良かったのかもしれない。

そう、後でわかることだけど、試験結果は控え目に言って上出来だった。各科目で凸凹はあったものの、総合では過去のどの模試よりも良い点数だった。

ただ、2日間の日程を終えた直後はそんなこと知る由もなく、とにかく安堵した。やりきったという達成感と微かな手応えもあった。そして何より、今日この日に実力を出し切れた「環境」に感謝していた。

そうだ、これは環境のおかげだと、なぜかそのとき唐突に悟った。あれだけ勉強してきたのに、自分の頑張りだとか、努力の賜物だとは一切考えず、今この場所にいることが全てだと感じた。

思えば1年前、両親が浪人を許してくれたことに始まり予備校に通えたこと、長い間勉強に専念できたこと。応援してくれる人がいたこと。健康でいれたこと。今日、雪の中交通機関が動いてくれたこと。そして、無事にこの会場で受験できたこと。

どれも当たり前じゃないし、これを「運が良かった」の一言で片づけるのは勿体ない。私一人の力ではどうにもできない、有り難いことばかりではないか

そんな当たり前のことに気付いて、私はいてもたってもいられなくなった。この感謝気持ちを今すぐ誰かに伝えたい。そう思って、全科目が終わり皆が一斉に会場を後にする中、私は出口とは真逆の、試験官のいる教壇に向かった。

「2日間、お世話になりました。ありがとうございました」

「ああ、こちらこそ。帰り道、気をつけて」

短く他愛のないやりとり。でも私はそのとき、この瞬間を一生忘れないだろうと思った。

ブラック企業ブラック社員ブラッククライアントも滅びればいい

https://anond.hatelabo.jp/20200116105352

こんなバカ会社あるんだな。

去年、「働き方改革」の説明会あったけど、取締役から「お願いだから有給とって。手が繋がっちゃう」って懇願されたぞ。

この元増田さ。

会話録音して、さっさと労基に飛び込め。

結果、経営者の手が繋がろうと、首が飛ぼうとも、駆け込んだ社員責任じゃない。

この会社管理職も、労働基準法もわかってない、めちゃくちゃ恥ずかしい人たちの集まりなんだから

自分中小企業管理職やってるが、部下に有給取らせないなんて言ったことがない。

しろ会社来たくなかったら、ズル休みで使っていいよって言ってる(部下は冗談だと思っているようだが、私は真面目だ)。

キミは自分立場理解していない。みんなキミを頼りにしている。そして誰も他に仕事をかかえる余裕なんてない。

キミが休むとみんなが困るんだよ。中でも一番困るのは誰か。それはお客様だよ。

納期が遅れるということはお客様への背信行為だよ。お客様から1日でやれといわれたらそれは何が何でも1日なのだお客様が困ると言ったら困るのだ。

恥ずかしくもなく、嘘言ってんじゃねーよ。

たった一人、社員が休んだだけで困らねーよ!

誰が死のうと生きようと、会社はどうにかなるもんだ!会社組織というのはそういうもんだ!

社員に罪悪感を埋め込むような発言してるんじゃねーよ!

無能管理職の決まり文句すぎて、草しか生えないわwww

何も言わず納期が遅れるのはやばいけど、そこをコントロールするのは管理職の役目だろうが。部下に押し付けるんじゃねえ。

ごく普通管理職なら、「こいつしかできない」仕事なんで作り出さない。

できる限り「複数ができる」仕事に変えるのが、管理職仕事なんだよ。

鵜飼いみたく、いつも部下の首を絞めて仕事させればいいってもんじゃないよ。

それに、1日でできないものを1日でやれと言うクライアントは、飛んだブラッククライアントだ!

クライアントからの無理強いをなんでも受け入れるんじゃねえよ、バカタレ。

深刻な問題みたいなこと言ってるが、みーーーんな、管理職コントロールすればどうにかなる話じゃねえか。

なに部下に全部押し付けようとしてるんだよ。

元増田、こんなの真面目に受け入れるな。

こいつは、お前や部下をコントロールしたいだけで、管理職としての責務をひとかけらも果たしていない。ドクズだ。

さっさと労基に駆け込んで転職しろ

その会社は異常だ。異常な会社いるから、世の中の「働き方改革」がおかしいと思うんだ。

鶏が先か卵が先か…って話だけど、

ブラック企業はブラック社員を作り、

ブラック社員ブラック企業を生きながらえさせる。

そして、ブラッククライアントをのさばらせる栄養源になる。

どうにかならんもんかね。

2020-01-13

成人式に行くか行かないか迷っているお前へ

もう成人式わっちゃったけどさ。

お前だよお前、10年前の俺よ。

何となく生きてきて、友達がいない訳じゃないけど、かと言って定期的に遊ぶ友人もいない、そもそも会いたいと思う知人が思い浮かばず、天気が悪いとか着ていく服が無いとかいうしょーもない理由自分を納得させて、結局成人式には行かなかったお前。

お前は成人式に行かなきゃいけなかった、行ったら実は楽しいなんて甘い未来が待っている訳じゃない、お前は成人式のようなハレの日でも友達がいないということがどういう結果をもたらすのか、それを20歳で知っておかなければならなかった。

お前はFacebookで後から知ることになるが、お前が何となく仲良くしていたが心の奥で見下していたオタクたちは、成人式でも楽しそうに集まって、それぞれ卒業した後も定期的に飲み会を開いているぞ。

見てみぬフリをしていたクラスいじめられっ子留学して成人式なんて全く関係無いといった素振りで、完全に過去を捨ててすっかり違う顔付きで前を向いているな。

お前みたいな行くか行かないかすら迷っているヤツが一番ダメなんだ、何となく自分大丈夫と思って新しい関係を築こうともせず、ダラダラと生き続けるんだ。

大学卒業後に就職しても何となく馴染めずにいるが自分では「当たり障りない」関係を築けていると思っているお前よ、お前は本当は職場孤立していて、段々といないもののように扱われるようになるぞ。

そんなお前でも付き合っている女はいるな、数年後にお前はその女を妊娠させて結婚することになる。

でもお前は誰一人として呼べる人間が思いつかないせいで、相手の親すらも懇願するのに自分プライドを優先して結局結婚式をしないことにするな。

後々にこのことが発端で始まった言い争いが激しくなり、誰もお前の味方をすることは無く最終的にお前は離婚することになる。

離婚する数年前には、お前は父親危篤の知らせを聞くが貯金も無いせいで飛行機代が出せず、お金を無心できる友人知人もいないせいで夜行バスで行く選択肢を選び、たった数時間の差で親の死に目に間に合わないぞ。

そしてお前は昨年末に高熱を出して寝込むことになるが、タイミング悪くスマートフォンの充電器が壊れていて職場に連絡しないまま3日ほど無断欠勤をする。

快復して出社したお前は「遊んでいるのを見た」という根も葉もない無い噂を否定してくれる同僚や先輩を作らなかったせいで、あっさりとクビになってしまった。

お前は一人で生きれると思っているな、そもそも一人ではないとすら思っているな。

お前は成人式に行かなければならなかった、そこで祝い事の催しの中でも孤独に一人でいることのみじめさを、つらさを知り、何が何でも30歳までに自分を変えなければいけなかった。

2020年ある意味人生の節目には良い年だな。

お疲れ様

メンヘラ

メンヘラ気質の嫁と軽く喧嘩になって、

日頃からストレスのはけ口にされているので、

自分ストレスはどうしたらいいんや、、、、

というのを懇願したところ、

心療内科行って薬もらって飲め、

と言われて本当に辛い。

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