民宿の泊まり込みで夏休みにうぇーいしてくる連中の相手が仕事内容で、
時々、男同士で喧嘩や、レイプまがいの事件もあったりしたが、それ以外は平和だった。
誰かが餌付けしちゃったようで、また餌でもくれるのかといった顔をしてやってくる。
痩せてかわいそうなので、時々飯をあげていた。
そのうちの赤いネガネのふちをしたオタクっぽい女の子が一人が犬嫌いだった。
僕は彼女が好きになった。
晩ごはんをたべてから、浜辺でふたりきりになって盛り上げっているところにその犬がやってきた。
女の子は犬が気になって仕方がなくないようで、ちらちら見て、
なんとか犬をやってほしいと懇願してきた。
犬をどうにかして。お願いどっかへ犬をやって。ああ、犬が怖くてしょうがないということだった。
僕はその辺にあった流木を片手に近寄った。
犬はまた餌でもくれるのかとおもい、
無邪気に、はーはーと舌をだして僕に近づいてきた。
若さとは性欲のことだと思う。
犬を殺って欲しいから、犬を殺るのだ。
鈍く頭蓋骨が折れる音と、波の音がかさなって目の前の死んだ犬が現実のものじゃないような気がした。
急に怖くなったのか、そそくさと逃げていった。