はてなキーワード: IS-LMとは
経済が悪化している原因を単純に財務省の責任に帰する考え方は、極めて荒唐無稽な陰謀論であり、実際の経済状況を正確に反映していない。
このような単純化された見方は、複雑な経済システムの実態を無視しており、学術的にも実証的にも全く支持されない。
財政政策の理論的枠組みと実証分析を考察すると、財政政策の有効性は限定的であることが明らかである。
新古典派総合の視点からは、IS-LMモデルにおいて財政政策の有効性はLM曲線の傾きに依存し、リカードの等価定理は財政政策の有効性に疑問を投げかけている。
新ケインズ派モデルでも、動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルにより短期的な財政政策の有効性が説明されるものの、その効果は限定的である。
日本における実証研究では、構造VAR分析や DSGEモデルによる分析により、2000年代以降の政府支出乗数から政策の効果が極めて限られていることが示されている。
財政政策の制約と有効性を考えると、財政の持続可能性に関する懸念から財務省の政策選択肢は著しく制限されている。
動学的効率性条件や債務残高対GDP比の安定化条件を考慮すると、日本の財政状況は極めて厳しい状況にある。
さらに、構造的問題と財政政策の限界を考えると、生産性の停滞や人口動態の変化など、財政政策では直接対応できない構造的要因が経済停滞の主因となっていることは明白である。
全要素生産性(TFP)成長率や労働生産性の低迷、人口オーナスの進行、社会保障費の増大などは、財務省の政策だけでは解決できない根本的な問題である。
したがって、経済停滞を単純に財務省の責任とする見方は、学術的にも実証的にも全く根拠がない荒唐無稽な陰謀論であると断言できる。
このような単純化された見方は、複雑な経済システムの実態を無視しており、建設的な議論や効果的な政策立案を妨げる有害な考え方である。
経済停滞の解決には、財政政策の枠を超えた包括的なアプローチが必要である。
生産性向上のための規制改革、人的資本投資の促進、イノベーション政策の強化、そして持続可能な社会保障制度の構築など、多面的な取り組みが求められる。
"「もう堤防には頼れない」 国頼みの防災から転換を" 日本経済新聞 2019/10/14 0:38[有料会員限定]
"堤防の増強が議論になるだろうが、公共工事の安易な積み増しは慎むべきだ。台風の強大化や豪雨の頻発は地球温暖化との関連が疑われ、堤防をかさ上げしても水害を防げる保証はない。人口減少が続くなか、費用対効果の面でも疑問が多い。西日本豪雨を受け、中央防災会議の有識者会議がまとめた報告は、行政主導の対策はハード・ソフト両面で限界があるとし、「自らの命は自ら守る意識を持つべきだ」と発想の転換を促した。"
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50958710T11C19A0MM8000/
自然災害まで自己責任となると、そもそも国家とはなんのためなのかと思いますが、その点はともかく公共事業の積み増しはそんなに悪いことでしょうか?
公共事業関係費予算は「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権が予算編成を行った平成22、23、24年度の当初予算において大幅に減少しましたが、東日本大震災の被害を受けた災害復旧対策を計上した平成23年度補正予算で大きく増えました。その後「第二の矢」として国土強靱化を含む積極的な財政政策を掲げるアベノミクスのスタートにより平成25年度予算では災害復旧以外の公共事業費も増えました。しかしながらその後は税収が順調に伸びているのに基本的に6兆円にフィックスされたままです。現在の予算規模は昭和53年、40年前と同じ規模です。私は、アベノミクスの「第二の矢」は口先だけだと思っています。令和元年からは3カ年緊急対策として上乗せ分がありますが、消費税増税を睨んだマクロ経済対策の一環でしょう。
おそらくネットでは台風19号の被害を受けて、民主党批判にからめてスーパー堤防がどうの、八ッ場ダムがどうのという議論があるのだと思いますが(確認はしていません)、私は個々の対策については効果を判断するだけの知識はないので、そこは専門家がきっちり議論してほしいと思います。問題にしたいのは、こうも災害が続くと、人の命を守るために「国土強靱化」の加速が必要なのではないか、財政再建を強調して公共事業予算を昭和50年代と同じかそれ以下に留めておくことが、財源として国債発行によるべきでないという意見が、現在のマクロ経済環境のもと相当なのかということです。
むろん、専門家の議論に基づいたワイズ・スペンディングが前提ですが、必要な対策を施さないまま大きな被害が生じれば、復旧のために予算が使われるのですから、防災対策としての公共事業費と復興のための公共事業費は、「人が死ぬ前に出すか、人が死んでから出すか」の違いでしかありません。「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、公共事業費を当初予算で5兆円以下にまで削減した民主党政権が、東日本大震災の復興のために3兆円近くの補正予算を組んだのがその実例です。
そして公共事業によりまず恩恵を受けるのは、地方に住む高卒以下の限られた学歴しかない労働者、次いで災害の危険にさらされている地方の住民です。彼らは1997年からしつこく続くデフレ圧力のもと、もっとも大きな経済的な困難に見舞われた人たちです。
ところで、公債発行による財政支出の拡大は、そもそも何が悪いのでしょうか? 公債は、償還期限が来ても借り換えができれば問題ないので、個人の借金と異なり、国が続いている限り、返済して残高をゼロにする必要はありません。
にもかかわらず公債発行が問題になる理由は、第1に民間投資を阻害してクラウディング・アウトを生じさせることです。そのメカニズムについてはマクロ経済学の教科書でIS-LM分析をみていただきたいのですが、利子率がゼロ近辺かそれ以下に達し、LM曲線が水平に近い状況、「ゼロ金利制約」「流動性の罠」が発生しているときには、クラウディング・アウトは生じません。現在の日本はその状態にあります。
第2に大量の公債発行が続くと、財政支出に占める公債費の割合が上昇し、財政硬直化の原因になることです。しかしながら、2000年度の財政支出に占める公債費の割合は24%であったのに対して、2019年度は23.6%です。公債費の割合は近時特に上昇しているわけではありません。近年、新規国債発行額、公債依存度はいずれも低下しています。利払いは年間9兆円弱、これは昭和59年と同じ水準です。財政の健全性はフローとの比率でみるべきですが、GDPにしめる利払いの割合は史上最低レベルにあります。
第3に、負担を将来世代に転嫁して、世代間の公正を阻害することです。よく言われる「子孫に借金を残すな」というフレーズは多分これを指しています。しかしながら、国債が外国人にもたれている場合は、償還の際に外国に資産が流出しますが、日本国内に留まる場合は、仮に償還の資金を増税でファイナンスしても、税金を払うのも償還を受けるのも日本人です。利用可能な資源の総額は変わりません。現在日本の国債の90%は日本国内で保有されています。しかも半分は日銀です。さらに、防災・減災対策としての公共事業により、子孫は災害に強い社会資本を享受することができます。受益するのが子孫であれば借金を子孫に残しても不合理ではありません。
すべての政策決定には必然的にリスクがあります。確かに政府債務の増大は破綻リスクを高めます。問題は将来実現するかも知れない、実現しないかも知れないリスクを考慮して、実現し、実現しつつあるリスクに対処しないでよいのか、ということです。私は現在の環境-自然災害の多発、慢性的なデフレ圧力と需要不足、その結果としての地方の疲弊・限られた学歴の労働者の困難・超低~マイナス金利-で、国債発行による公共事業の積極的な拡大は、是非とも必要だと考えています。
「国土強靱化いつやるの?今でしょう!」どうか政治家のみなさま、よろしくお願いします。
"れいわ新選組と立憲民主党 どちらが正しいか (自民党とどちらが正しいかも追記しました) "
https://anond.hatelabo.jp/20190622204530
"金融政策はこれからもマクロ経済の安定化ツールであり続けることができるのか サマーズとクルーグマンのツイートより"
https://anond.hatelabo.jp/20190824134241
(追記)
ご参考までに。
"公的債務に対するより寛容な態度を批判する人たちがまちがっている理由" オリヴィエ・ブランシャール&アンヘル・ウビデ 2019年7月15日8:00 AM
"世界経済は金融政策のブラックホールのリスクにさらされている-政府は長期停滞を食い止めるためにもっと借金を" ローレンス・サマーズ 2019年10月12日フィナンシャル・タイムズ
https://www.ft.com/content/0d585c88-ebfc-11e9-aefb-a946d2463e4b
https://www.newsweekjapan.jp/noguchi/2019/07/mmt2.php
への批判
筆者は貨幣供給を内生的、外生的とよんでいて、その対立だと述べている。ただ、内生的、外生的というのが、何を指しているのかいまいちわからなかった。
内生的操作をベースマネーでの操作、外生的というのを、金利操作を通じた信用乗数操作なのかなとは感じるが。
マネーサプライ×貨幣の流通速度=国内総生産(=総需要=総供給)−②
の式がある。
信用乗数は、銀行が融資を増やすこと(信用創造)による通貨増(銀行が預けられた金を元に、貸出をしても預けられた金は銀行にあり、預金者が自由に使える。よって、貸出分と、預けた分で金の量は増えてる)
貨幣の流通速度は通貨が取引に回される回転数。金の回転のこと。
中央銀行はベースマネーを操作できる。ただし、日本全体での貨幣量であるとマネーサプライである。
信用乗数は本来、金利の調整である。ただ、金利というのも金の需要(資金調達)と供給(貯蓄)のバランスでは本来決められる。
現在、金利が非常に低くても、融資、増資など資金調達が増えない状態にある。IS-LM分析(I:投資,S:貯蓄,L:流動性選好,S:貨幣供給)に見ると、金利が低いため、LM線が水平の部分にかかっていて、
融資による信用創造が起きない。だから、外生的操作も機能しなくなっている。リーマン・ショック後、世界各国は内生的操作であるベースマネー操作をした。そんなことをしたらハイパーインフレになってしまう!と言われた。実際には、マイルドインフレ自体も成せていないが、それ以前のデフレからは少し抜けた。
さて、この状況を見て、流動性の罠だから、外生的操作(信用乗数操作)は限界で、内生的操作(ベースマネー増加)が意味がある。という議論だ。
という論が強くなった。だから、それが内生的、外生的の議論であろう。内生的、外生的が、僕の想像した定義と合っていればだが。
なので、筆者のIS-LM分析は間違ってると思う。ゼロ金利に近いがLM曲線が横に寝ている状態にあるから利子率が上昇しないってこと。現在のLM曲線は流動性の罠の水平と見るべきだろう。
まあ、日本ではマイルドインフレを成せなかったのは消費税増税の悪影響もあったが。
さて、ここで、ベースマネー、信用乗数、貨幣の流通速度の統計を見てみよう。(画像貼れないので各々検索ぅ!)
ベースマネー急上昇、信用乗数低下、貨幣の流通速度低下。が起きている。
だが、もう一度①,②の式へ戻ってみよう。
インフレ、デフレは、あくまで総需要、総供給の関係とすると、②式が重要。そして、貨幣の流通速度は定数だと考えられていたが、実際は変数で、低下している。
貨幣の流通速度側の対策もしないとならない。そして、政府支出自体が貨幣の流通速度の一要素なので、最終的な総需要、総供給に影響を及ぼせるということ。つまり、マイルドインフレに導けるということだ。
だからこそのマネタリスト批判ということもあるだろう。マネタリストは、数量貨幣説を持ち出すが数量貨幣説はまさに①.②の式であり、最後の貨幣の流通速度まで関わってこそ意味があるものだからだ。
貨幣の流通速度が低下している基では成り立たない。マネーサプライと貨幣の流通速度を同時に対策しないとならないということだ。そこで、マネーサプライ偏重のマネタリストが批判されているのだろう。数量貨幣説を根拠にしつつ、貨幣の流通速度が定数だという誤った仮説をもって、数量貨幣説を無視しているから。
なので、現在の金利をそのまま維持するように誘導して、ベースマネー、及び、貨幣の流通速度の対策両方をすることになる。それが、ベースマネーを発行させての財政出動だ。
というのが、筆者への批判。
ただし、僕もMMTも完全に賛同しているわけではない。新自由主義に比べればはるかに良いとは思っているが。
ひとつは、輸入、及び外貨借金の増大に対する影響。もうひとつは、IS-LMのL:流動性選好の問題だ。
資金過不足統計上(貯蓄投資バランス、ISバランス内部)の振る舞いから示す。
ISバランス上、政府が資金不足=資金需要=資金調達=ISバランス投資と、他の主体が資金余剰=資金供給=ISバランス貯蓄は一致する。
(この式の理由はマクロ経済学の入門の本、サイトならならどこにも書いてるから、ISバランス、貯蓄、投資あたりで検索ぅ)
MMTによる財政出動は、ISバランス上、国内の預金を元に政府が国債を発行するのと変わりがない。なので、政府が資金不足側にかたよる。そうすると、他の主体である家計、企業、海外が資金余剰側にかたよる
別の言い方をすれば、政府が支出して、国内企業、家計が儲かれば、いろんなことに金を使って、最終的には誰かの懐に落ち着くよね。ということ。
国内家計、国内企業ならいいのだが、海外から物を買うとなると少し問題がある。というのは、日本の家計、企業はあくまで日本円で買ってるが、海外相手にはそれを外貨に変えて、支払ってるからだ。
また、輸入が輸出より大きい時は外貨を借金で調達している。財サービス、利益収入などをひっくるめて、海外の収支全部の合計を経常収支という。差分で赤字が出た時は自国通貨が流れ出ているか、借金をしているかのどちらか。
まあ、なので、基軸通貨国であるアメリカはMMTによる財政政策に躊躇することはない。自国通貨が海外に流れでても、発行すりゃいいだけだから痛くも痒くもない。
この外貨による借金(経常赤字)が積み重なると、やばい財政破綻となる。ギリシャ、アルゼンチンなどは経常赤字の積み重ねで、もうこれ以上借金ができないという時に輸入が急ブレーキがかかり、自国通貨が下落した。
なので、日本国民、日本企業があくまで、日本製品を選び続けるぐらい日本企業が強くないとならない。
これは何かというと、銀行預金にして、銀行が貸し出すなり、あるいは、誰かの出資依頼に答えて出資するか、あるいは銀行にためておくかの問題だ。
金利が低下すると、融資、出資しても焦げ付いて意味がない可能性があるので、誰かの資金需要に答えずに貯めこむままでいておく。
というしてん。ただ、僕はここに、フリーハンドの法人税減税、累進所得税減税の影響も絡んでいる。
富裕層は必需品は買っているから、金を貯めこむ比率が高まる。企業はそもそも消費の主体ではない。適切な設備投資案件がないと思えば貯めこんでしまう。
そういう特性があるのにバカバカこの貯めこむ主体を減税してきた。
だから、流動性選好で金利が低下したという影響に加えて、そもそも流動性選好で、LM曲線を寝かす働きが
フリーハンドの法人税減税、累進所得税減税にあるのではないか?というのもある。
とすると、あくまで、法人税減税、累進所得税減税をやめて、元に戻す。ただし、具体的に何か設備投資に繋がる支出や消費であれば減税するという形にして、LM曲線の流動性選好を操作してやる必要もあると思う。
先の、日本国民、日本企業が日本製品を選び続けるぐらい強ければ財政破綻は起きないと述べた。だが、フリーハンドの法人税減税は、設備投資低下につながっている。
経常収支は黒字だが、貿易収支は赤字を出すようになっている。液晶が敗れ、液晶の次の技術である有機ELは液晶で地場を作って有機ELにかけた海外の会社のものになりました。
リチウムイオン蓄電池も日本負け気味だし、この感じだと、リチウムイオン蓄電池で地場をつくた会社が全固体電池でも勝つのかもねと思ってる。
参議院議員選挙が近づき、れいわ新選組の山本太郎議員がした減税のためなら安倍内閣とも組むとの発言が支持者の間で炎上する一方、立憲民主党が経済政策を発表するなど、経済がニュースになった1週間でした。山本太郎議員は「2%を目指して物価を上げる」を公約にし、立憲民主党は「上げるべきは物価ではない、賃金だ」を公約にしています。どちらが正しいのでしょうか?
おまんじゅうが10,000個の経済があったします。1コ100円ならGDPは1,000,000円です。
これが翌年90円に値下がりしたとします。数量が同じであればGDPは900,000円です。物価全体が下がることを「デフレ」といいます。
「名目成長率」はマイナス10%ですが、これは物価が10%下落したからで、それを差し引いて考えた「実質成長率」は0%で、名目成長率<実質成長率となりました。
ところでおまんじゅうの値段が下がれば、同じお金でおまんじゅうが余分に買えるようになったのだから、とてもよいことのように思います。でも、来年の物価が下がるとしたら、企業は人を雇うでしょうか。お金を金庫にしまっておけば同じお金でも来年は価値があがって余分に物が買えるようになるのだから、人なんて雇いませんよね。借金して投資するなんてトンデモない。返済の負担が重くなるのですから。投資が落ち込み、雇われる人が少なくなります。雇われる人が少なく、お給料の総額が減れば物を買う人が少なくなり、次の年はさらに消費も落ち込みます。さらに物の値段が下がるのだから、ますますお金は使われなくなります。こうして物価の下落と経済の縮小がらせん階段を下っていくように進むありさまを「デフレスパイラル」といいます。企業の「内部留保」が増えているのはデフレだからです。
民主党政権時代、物価はほぼ全期間下がり続け、名目成長率は常に実質成長率を下回っていました。だから民主党政権時代は、現金を持っている人、安定した職がある人は「物が安くなった」と幸せでも、不安定な職しかつけなかった人、これから職に就こうとする人にとっては最悪で-デフレになれば売上も下がりますが仕入れも下がります。ただ同じように下がらないものがあります。それは「借金」と「賃金」です。借金は物価が下がっても減りませんし、正社員の賃金には下方硬直性があります。それゆえデフレ化で企業にとって借金と並んで一番負担に感じられるのは賃金です。だからデフレになると新卒の採用と不安定な就労層の雇用が一番打撃を受けるのです。-安月給で長時間労働を強いるブラック企業が全盛でした。
物価が上がればどうでしょうか?お金を持ったままだと来年価値が減ってしまいますから、人を雇ってより儲けなければなりません。だから企業はより人を雇うようになります。
デフレを放置した民主党政権下で雇用がヘロヘロだったのも、2014年に成長率の名実逆転を解消し(17年ぶり)、2017年に需給ギャップを解消した(9年ぶり)安倍政権下で雇用が劇的に改善したのも、経済学的にはまったく理に適っています(なお、先日朝日新聞に"年収200万円未満が75% 非正規のリアルに政治は"という記事がありましたが、この記事がアベノミクスによっても雇用に成果がでていないというのであれば明確に誤りです。また雇用環境が改善したのは少子高齢化や団塊世代の大量退職のせいだという人がいますが、それも誤りです。この記事はその点を説明するためのものではないので、詳しくは論じませんが、失業率の分母は生産年齢人口ではなくて労働力人口で、労働力人口は民主党政権化では増えておらず、安倍政権下では増え続けているとだけ指摘しておきます。)。
党首討論で、枝野議員は、「経済の数字の最終成績はどこなのかと言ったら、やはり実質経済成長率。2010年から12年の実質経済成長率は1.8%。2013年から18年は1.1%。これが客観的な経済のトータルの総合成績であることは、自信をもって申し上げたい。」と発言し、安倍首相に「実質成長の自慢をなされたが、名実逆転をしている実質成長の伸びは、デフレ自慢にしかならない。」と諭されていましたが、まさにそのとおりです。立憲民主党は物価を上げずに賃金をあげて雇用も増やすとしていますが、それは卵を割らずにオムレツを作りますといってるのと同じです。
では、上がった方がいいとして、毎年10%も20%も上がるのがよろしくないのは当然として、なぜ2%なのでしょうか?
理由は3つです。まず、それが経済成長にとって最適というのが現時点のコンセンサスだからであり、為替レートの安定のためであり、デフレに陥らないためです。
FRBは「年2%」が物価の安定と雇用の最大化という2つのマンデートを達成するには最適としています。
"The FOMC noted in its statement that the Committee judges that inflation at the rate of 2 percent (as measured by the annual change in the price index for personal consumption expenditures, or PCE) is most consistent over the longer run with the Federal Reserve's statutory mandate."
https://www.federalreserve.gov/faqs/money_12848.htm
ECB(欧州中央銀行)は中期的に「2%を超えない、但しそこに近いところ」を目指しています。
"The primary objective of the ECB’s monetary policy is to maintain price stability. The ECB aims at inflation rates of below, but close to, 2% over the medium term."
https://www.ecb.europa.eu/mopo/html/index.en.html
イングランド銀行(イギリスの中央銀行)もすべての人の将来の計画を立てるのに資するとして「2%」をターゲットにしています。
"To keep inflation low and stable, the Government sets us an inflation target of 2%. This helps everyone plan for the future."
https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy/inflation
オーストラリア準備銀行(オーストラリアの中央銀行)も「2~3%」のインフレ率を目指しています。
"The Governor and the Treasurer have agreed that the appropriate target for monetary policy in Australia is to achieve an inflation rate of 2–3 per cent, on average, over time. This is a rate of inflation sufficiently low that it does not materially distort economic decisions in the community. "
https://www.rba.gov.au/inflation/inflation-target.html
世界の中銀が2%にしているのはそれが経済成長と物価の安定のためには最適というのがコンセンサスだからですが(1つめ)、そのなかで日本だけがそれより低い目標を掲げるということは、ちょっと物価が上がると他国に先駆けて引き締めますと事前にアナウンスしているのと同じことになりますから、事あるごとに円高が進んでしまいます(2つめ)。
3つめの理由は、いったんデフレに落ち込むとなかなか抜け出せないからです。日本の経営者はアベノミクスでデフレが解消しても内部留保を取り崩すことには慎重なままです。経営者もマクロ経済学を理解しているわけではないので、この20年間合理的だった経営=金をできるだけ使わない=が行動原理として染みついてしまっています。そして高齢化が進行し、低成長が常態になって、常にデフレ圧力がかかっている環境で、インフレ目標をたとえば1%などに設定して、低い物価上昇率をもって金融緩和を止めてしまうと、すぐにデフレに陥ってしまうのです。その失敗を日本は2000年と2006年に経験済みで、最近だと昨年末にECBが同じミスを犯しました。
麻生財務大臣から財界の幹部や朝日新聞まで、ことあるごとに「2%なんて無理なんだからさっさとその目標を放棄せよ」と提言していますが、彼らより山本議員の方が正確に経済を理解しています。
物価が上がった方がいいというのは、私たちが生活で感じる直感とは異なります。私も物の値段は下がった方がうれしいです。但し、直感にしたがった行動が、悪い結果をもたらすことはしばしばあります。法学、経済学、社会学、それを知ることに学問の価値があるのだと思います。
(追記)
dc42jk 現在の経済状況からは金融緩和と財政拡張政策の両方が必要だと思う。その両方を掲げているのはれいわしかない。自民も金融政策に触れてないし立民は金融引締めを示唆している。
まさに。賃金の上昇はどうしても物価の上昇に遅れますし、デフレ脳に染まった経営者を変えるのは簡単ではないので、デフレ脱却の過程ではどうしても、特に安定した雇用を得ていた層の実質賃金が低下します(新たに職を得た人が増えたので、総雇用者所得は増えてはいますが)。それを補うために積極的な財政支出が求められるのですが、1年目を除き高齢化に伴う社会保障費増以外の財政支出の拡大を渋ったのが安部政権の最大の問題点です。現在、国債は新規発行のたびに0.1%程度しかクーポンがつかないのにその4倍も5倍も札が入り(落札利回りはマイナス)、政府債務の調達はただ同然、これはデフレ現象そのものである民間部門の過剰貯蓄、特に企業のISバランスのI<S化と表裏一体です。ご指摘のとおり金融緩和とあわせて財政拡張をしない手はないのに、その両方を掲げているのは国債を財源に、奨学金をチャラにして、最低賃金1500円を政府が補償し、公務員を増やし、公共事業を積極的に行いますとしているれいわ新撰組だけです。
(ご参考)
「日本の財政政策の選択肢」オリヴィエ・ブランシャール・田代毅(2019年5月)
https://piie.com/system/files/documents/pb19-7japanese.pdf
「景気の回復が感じられないのはなぜかー長期停滞論争」ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキ 、ポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン(山形浩生:翻訳)(2019年4月)
"Macroeconomics"(12th Edition) " Robert J Gordon (2013年)
https://www.amazon.com/Macroeconomics-12th-Pearson-Economics-Hardcover/dp/0138014914
(未翻訳ですがアメリカの代表的なマクロ経済学の教科書です。IS-LM分析の箇所で日本に対する処方箋が取り上げられています。"combined monetary-fiscal policy expansion""The IS and LM curves shift rightward together"れいわの政策はそれに合致しています。)
(追記2)
左派・リベラルはほんとうに山本太郎に乗ってほしい。今まで何か提言する度に、財源はどうするんだ、そんなことして景気はだいじょうぶなのかと突っ込まれ、やれ法人税の増税だ、富裕層の増税だ、行政改革で埋蔵金だと、見当外れなことを言うだけで(法人税は支払うのは企業ですが負担するのは庶民です。富裕層の増税は格差縮小の意味はあっても財源にはなりません。埋蔵金なんて結局みつからなかったし、公務員減らせば貧しくなるだけです)、結局有効な提案を何ひとつできませんでした。何を言っても信用されないのはそのせいです。
そこに、自民党と異なる価値観を唱えながら、景気はむしろ良くします、財源はありますという政治家が現れました。しかもブランシャールやサマーズ、ゴードンのような権威ある学者の提案と軌を一にしている。これに乗らない手はないでしょ?
(追記3)
立憲民主党は「アベノミクスによって事実上の財政ファイナンス化した弛緩した金融政策について、市場と丁寧に対話しつつ、正常化を図っていく。」要するに、日銀による長期国債の買い入れ=量的緩和は財政ファイナンスであり、やめますとしています。そのうえで消費税増税凍結を訴えています。国債発行も減らして消費税増税分の2兆円もあきらめる、足りない分は金融所得と法人税に課税するというのだから、その二つの税金は大幅にアップするということになります。金融所得に対する課税強化はリスクプレミアムを高めるので、日銀による買入れ縮小と同じく金融引き締め効果があります。すべての経済学の教科書に書いてあるとおり、法人税を支払うのは企業ですが、負担するのは庶民です。
彼らの政策を実現したらどうなるか。FRBが利下げを示唆し、ECBが量的緩和への復帰を口にしているなか、日本だけ量的緩和をやめます、リスクプレミアムを高めます、金融は大幅に引き締めますというのだから、円高が急速に進みます。物価上昇率は下落し、またデフレに戻るでしょう。企業業績は悪化し、円高で特に製造業が打撃を受け、そこに増税が追い打ちをかける。雇用がシュリンクし、製造業の海外移転が拍車をかける。特に地方の高学歴でない層の雇用やこれから就職する人たちの雇用環境が大幅に悪くなります。民主党政権のころの方が実質成長率が高かったから良かったと今でも主張する人たちなので当然なのかも知れませんが、彼らは要するに民主党政権当時に戻します、と言っています。同じく消費税増税に反対していても、デフレが最大の問題だとするれいわ新選組(「新撰組」じゃなくて「新選組」でした。ややこしいのは良くないと思いますが…)とは方向性がまったく違います。
番号 | 目次 | 学習計画日 | 学習実施日 |
---|---|---|---|
1-01 | 経営と戦略の全体像 | 2/27 | 2/27 |
1-02 | 戦略の策定と企業戦略 | 2/28 | 2/28 |
1-03 | 事業戦略 | 3/1 | 3/1 |
1-04 | 現代の戦略 | 3/2 | 3/2,3/4 |
1-05 | 組織の構造 | 3/6 | ? |
1-06 | 組織と人材 | 3/7 | ? |
1-07 | 人的資源管理 | 3/8 | ? |
1-08 | 労働関連法規 | 3/13 | ? |
1-09 | マーケティング概要とプロセス | 3/14 | 3/29 |
1-10 | 製品戦略 | 3/21 | |
1-11 | 価格・チャネル戦略 | 3/22 | |
1-12 | プロモーション・応用マーケティング | 3/23 | |
2-1 | 財務諸表 | 3/24 | |
2-2 | 簿記の基礎知識 | 3/27 | |
2-3 | 税務・結合会計 | 3/28 | |
2-4 | キャッシュフロー計算書 | 3/29 | |
2-5 | 原価計算 | 3/30 | |
2-6 | 経営分析 | 4/3 | |
2-7 | 投資評価 | 4/4 | |
2-8 | 資本市場と資本コスト | 4/5 | |
2-9 | 現代のファイナンス | 4/6 | |
3-1 | 生産管理と生産方式 | ||
3-2 | 工場計画と開発設計 | ||
3-3 | 生産計画と生産統制 | ||
3-4 | 資材・在庫管理 | ||
3-5 | IE | ||
3-6 | 生産のオペレーション | ||
3-7 | 店舗立地と店舗設計 | ||
3-8 | マーチャンダイジング | ||
3-9 | 物流と流通情報システム | ||
4-1 | コンピュータの基礎 | ||
4-2 | ファイルとデータベース | ||
4-3 | システム構成とネットワーク | ||
4-4 | インターネットとセキュリティ | ||
4-5 | 経営と情報システム | ||
4-6 | 情報システムの開発 | ||
4-7 | プログラム言語とWebアプリケーション | ||
5-1 | 消費者行動と需要曲線 | ||
5-2 | 企業行動と供給曲線 | ||
5-3 | 市場均衡 | ||
5-4 | 不完全競争と市場の失敗 | ||
5-5 | 経済指標と財市場の分析 | ||
5-6 | 貨幣市場とIS-LM分析 | ||
5-7 | 労働市場と主要理論 | ||
6-1 | 特許権と実用新案権 | ||
6-2 | 意匠権と商標権 | ||
6-3 | 著作権と不正競争防止法 | ||
6-4 | 株式会社の機関設計 | ||
6-5 | 株式会社の設立と資金調達 | ||
6-6 | 事業再編と持分会社 | ||
6-7 | 契約とその他の法律知識 | ||
7-1 | 中小企業の動向 | ||
7-2 | 中小企業の稼ぐ力 | ||
7-3 | 小規模事業者の動向 | ||
7-4 | 政策の基本と金融サポート | ||
7-5 | 経営基盤の強化 | ||
7-6 | 中小企業の経営安定化 | ||
7-7 | 経営革新と創業支援 |