https://www.newsweekjapan.jp/noguchi/2019/07/mmt2.php
への批判
筆者は貨幣供給を内生的、外生的とよんでいて、その対立だと述べている。ただ、内生的、外生的というのが、何を指しているのかいまいちわからなかった。
内生的操作をベースマネーでの操作、外生的というのを、金利操作を通じた信用乗数操作なのかなとは感じるが。
マネーサプライ×貨幣の流通速度=国内総生産(=総需要=総供給)−②
の式がある。
信用乗数は、銀行が融資を増やすこと(信用創造)による通貨増(銀行が預けられた金を元に、貸出をしても預けられた金は銀行にあり、預金者が自由に使える。よって、貸出分と、預けた分で金の量は増えてる)
貨幣の流通速度は通貨が取引に回される回転数。金の回転のこと。
中央銀行はベースマネーを操作できる。ただし、日本全体での貨幣量であるとマネーサプライである。
信用乗数は本来、金利の調整である。ただ、金利というのも金の需要(資金調達)と供給(貯蓄)のバランスでは本来決められる。
現在、金利が非常に低くても、融資、増資など資金調達が増えない状態にある。IS-LM分析(I:投資,S:貯蓄,L:流動性選好,S:貨幣供給)に見ると、金利が低いため、LM線が水平の部分にかかっていて、
融資による信用創造が起きない。だから、外生的操作も機能しなくなっている。リーマン・ショック後、世界各国は内生的操作であるベースマネー操作をした。そんなことをしたらハイパーインフレになってしまう!と言われた。実際には、マイルドインフレ自体も成せていないが、それ以前のデフレからは少し抜けた。
さて、この状況を見て、流動性の罠だから、外生的操作(信用乗数操作)は限界で、内生的操作(ベースマネー増加)が意味がある。という議論だ。
という論が強くなった。だから、それが内生的、外生的の議論であろう。内生的、外生的が、僕の想像した定義と合っていればだが。
なので、筆者のIS-LM分析は間違ってると思う。ゼロ金利に近いがLM曲線が横に寝ている状態にあるから利子率が上昇しないってこと。現在のLM曲線は流動性の罠の水平と見るべきだろう。
まあ、日本ではマイルドインフレを成せなかったのは消費税増税の悪影響もあったが。
さて、ここで、ベースマネー、信用乗数、貨幣の流通速度の統計を見てみよう。(画像貼れないので各々検索ぅ!)
ベースマネー急上昇、信用乗数低下、貨幣の流通速度低下。が起きている。
だが、もう一度①,②の式へ戻ってみよう。
インフレ、デフレは、あくまで総需要、総供給の関係とすると、②式が重要。そして、貨幣の流通速度は定数だと考えられていたが、実際は変数で、低下している。
貨幣の流通速度側の対策もしないとならない。そして、政府支出自体が貨幣の流通速度の一要素なので、最終的な総需要、総供給に影響を及ぼせるということ。つまり、マイルドインフレに導けるということだ。
だからこそのマネタリスト批判ということもあるだろう。マネタリストは、数量貨幣説を持ち出すが数量貨幣説はまさに①.②の式であり、最後の貨幣の流通速度まで関わってこそ意味があるものだからだ。
貨幣の流通速度が低下している基では成り立たない。マネーサプライと貨幣の流通速度を同時に対策しないとならないということだ。そこで、マネーサプライ偏重のマネタリストが批判されているのだろう。数量貨幣説を根拠にしつつ、貨幣の流通速度が定数だという誤った仮説をもって、数量貨幣説を無視しているから。
なので、現在の金利をそのまま維持するように誘導して、ベースマネー、及び、貨幣の流通速度の対策両方をすることになる。それが、ベースマネーを発行させての財政出動だ。
というのが、筆者への批判。
ただし、僕もMMTも完全に賛同しているわけではない。新自由主義に比べればはるかに良いとは思っているが。
ひとつは、輸入、及び外貨借金の増大に対する影響。もうひとつは、IS-LMのL:流動性選好の問題だ。
資金過不足統計上(貯蓄投資バランス、ISバランス内部)の振る舞いから示す。
ISバランス上、政府が資金不足=資金需要=資金調達=ISバランス投資と、他の主体が資金余剰=資金供給=ISバランス貯蓄は一致する。
(この式の理由はマクロ経済学の入門の本、サイトならならどこにも書いてるから、ISバランス、貯蓄、投資あたりで検索ぅ)
MMTによる財政出動は、ISバランス上、国内の預金を元に政府が国債を発行するのと変わりがない。なので、政府が資金不足側にかたよる。そうすると、他の主体である家計、企業、海外が資金余剰側にかたよる
別の言い方をすれば、政府が支出して、国内企業、家計が儲かれば、いろんなことに金を使って、最終的には誰かの懐に落ち着くよね。ということ。
国内家計、国内企業ならいいのだが、海外から物を買うとなると少し問題がある。というのは、日本の家計、企業はあくまで日本円で買ってるが、海外相手にはそれを外貨に変えて、支払ってるからだ。
また、輸入が輸出より大きい時は外貨を借金で調達している。財サービス、利益収入などをひっくるめて、海外の収支全部の合計を経常収支という。差分で赤字が出た時は自国通貨が流れ出ているか、借金をしているかのどちらか。
まあ、なので、基軸通貨国であるアメリカはMMTによる財政政策に躊躇することはない。自国通貨が海外に流れでても、発行すりゃいいだけだから痛くも痒くもない。
この外貨による借金(経常赤字)が積み重なると、やばい財政破綻となる。ギリシャ、アルゼンチンなどは経常赤字の積み重ねで、もうこれ以上借金ができないという時に輸入が急ブレーキがかかり、自国通貨が下落した。
なので、日本国民、日本企業があくまで、日本製品を選び続けるぐらい日本企業が強くないとならない。
これは何かというと、銀行預金にして、銀行が貸し出すなり、あるいは、誰かの出資依頼に答えて出資するか、あるいは銀行にためておくかの問題だ。
金利が低下すると、融資、出資しても焦げ付いて意味がない可能性があるので、誰かの資金需要に答えずに貯めこむままでいておく。
というしてん。ただ、僕はここに、フリーハンドの法人税減税、累進所得税減税の影響も絡んでいる。
富裕層は必需品は買っているから、金を貯めこむ比率が高まる。企業はそもそも消費の主体ではない。適切な設備投資案件がないと思えば貯めこんでしまう。
そういう特性があるのにバカバカこの貯めこむ主体を減税してきた。
だから、流動性選好で金利が低下したという影響に加えて、そもそも流動性選好で、LM曲線を寝かす働きが
フリーハンドの法人税減税、累進所得税減税にあるのではないか?というのもある。
とすると、あくまで、法人税減税、累進所得税減税をやめて、元に戻す。ただし、具体的に何か設備投資に繋がる支出や消費であれば減税するという形にして、LM曲線の流動性選好を操作してやる必要もあると思う。
先の、日本国民、日本企業が日本製品を選び続けるぐらい強ければ財政破綻は起きないと述べた。だが、フリーハンドの法人税減税は、設備投資低下につながっている。
経常収支は黒字だが、貿易収支は赤字を出すようになっている。液晶が敗れ、液晶の次の技術である有機ELは液晶で地場を作って有機ELにかけた海外の会社のものになりました。
リチウムイオン蓄電池も日本負け気味だし、この感じだと、リチウムイオン蓄電池で地場をつくた会社が全固体電池でも勝つのかもねと思ってる。