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2019-06-23

anond:20190623013754

経済数字の最終成績はどこなのかと言ったら、やはり実質経済成長率。」といってるのだからあきらか。ミスリードではない。立憲民主党こそインフレ目標を掲げるのか掲げないのか、はっきり示さないのはミスリード

2019-06-22

れい新選組立憲民主党 どちらが正しいか (自民党とどちらが正しいか追記しました)

参議院議員選挙が近づき、れい新選組山本太郎議員がした減税のためなら安倍内閣とも組むとの発言が支持者の間で炎上する一方、立憲民主党経済政策を発表するなど、経済ニュースになった1週間でした。山本太郎議員は「2%を目指して物価を上げる」を公約にし、立憲民主党は「上げるべきは物価ではない、賃金だ」を公約にしています。どちらが正しいのでしょうか?

おまんじゅうが10,000個の経済があったします。1コ100円ならGDPは1,000,000円です。

これが翌年90円に値下がりしたとします。数量が同じであればGDPは900,000円です。物価全体が下がることを「デフレ」といいます

名目成長率」はマイナス10%ですが、これは物価10%下落したからで、それを差し引いて考えた「実質成長率」は0%で、名目成長率<実質成長率となりました。

ところでおまんじゅうの値段が下がれば、同じお金おまんじゅうが余分に買えるようになったのだから、とてもよいことのように思います。でも、来年物価が下がるとしたら、企業は人を雇うでしょうか。お金を金庫にしまっておけば同じお金でも来年価値があがって余分に物が買えるようになるのだから、人なんて雇いませんよね。投資が落ち込み、雇われる人が少なくなります。雇われる人が少なく、お給料の総額が減れば物を買う人が少なくなり、次の年はさらに消費も落ち込みますさらに物の値段が下がるのだからますますお金は使われなくなります。こうして物価の下落と経済の縮小がらせん階段を下っていくように進むありさまを「デフレスパイラル」といいます企業の「内部留保」が増えているのはデフレからです。

民主党政権時代物価はほぼ全期間下がり続け、名目成長率は常に実質成長率を下回っていました。だから民主党政権時代は、現金を持っている人、安定した職がある人は「物が安くなった」と幸せでも、不安定な職しかつけなかった人、これから職に就こうとする人にとっては最悪で-デフレになれば売上も下がります仕入れも下がります。ただ同じように下がらないものがあります。それは「賃金」です。正社員賃金には下方硬直性があるからで、それゆえデフレ化で企業にとって一番負担に感じられるのは賃金です。だからデフレになると新卒採用不安定就労層の雇用が一番打撃を受けるのです。-安月給で長時間労働を強いるブラック企業が全盛でした。

物価が上がればどうでしょうか?お金を持ったままだと来年価値が減ってしまますから、人を雇ってより儲けなければなりません。だから企業はより人を雇うようになります

デフレ放置した民主党政権下で雇用ヘロヘロだったのも、2014年に成長率の名実逆転を解消し(17年ぶり)、2017年需給ギャップを解消した(9年ぶり)安倍政権下で雇用が劇的に改善したのも、経済学的にはまったく理に適っています(なお、先日朝日新聞に"年収200万円未満が75% 非正規リアル政治は"という記事がありましたが、この記事アベノミクスによっても雇用に成果がでていないというのであれば明確に誤りです。また雇用環境改善したのは少子高齢化や団世代の大量退職のせいだという人がいますが、それも誤りです。この記事はその点を説明するためのものではないので、詳しくは論じませんが、失業率の分母は生産年齢人口ではなくて労働力人口で、労働力人口民主党政権化では増えておらず、安倍政権下では増え続けているとだけ指摘しておきます。)。

党首討論で、枝野議員は、「経済数字の最終成績はどこなのかと言ったら、やはり実質経済成長率2010年から12年の実質経済成長率は1.8%。2013年から18年は1.1%。これが客観的経済トータルの総合成績であることは、自信をもって申し上げたい。」と発言し、安倍首相に「実質成長の自慢をなされたが、名実逆転をしている実質成長の伸びは、デフレ自慢にしかならない。」と諭されていましたが、まさにそのとおりです。立憲民主党物価を上げずに賃金をあげて雇用も増やすとしていますが、それは卵を割らずにオムレツを作りますといってるのと同じです。

では、上がった方がいいとして、毎年10%も20%も上がるのがよろしくないのは当然として、なぜ2%なのでしょうか?

理由は3つです。まず、それが経済成長にとって最適というのが現時点のコンセンサスからであり、為替レートの安定のためであり、デフレに陥らないためです。

世界各国の中央銀行インフレ目標は2%です。

FRBは「年2%」が物価の安定と雇用の最大化という2つのマンデートを達成するには最適としています

"The FOMC noted in its statement that the Committee judges that inflation at the rate of 2 percent (as measured by the annual change in the price index for personal consumption expenditures, or PCE) is most consistent over the longer run with the Federal Reserve's statutory mandate."

https://www.federalreserve.gov/faqs/money_12848.htm

ECB欧州中央銀行)は中期的に「2%を超えない、但しそこに近いところ」を目指しています

"The primary objective of the ECB’s monetary policy is to maintain price stability. The ECB aims at inflation rates of below, but close to, 2% over the medium term."

https://www.ecb.europa.eu/mopo/html/index.en.html

イングランド銀行イギリス中央銀行)もすべての人の将来の計画を立てるのに資するとして「2%」をターゲットにしています

"To keep inflation low and stable, the Government sets us an inflation target of 2%. This helps everyone plan for the future."

https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy/inflation

オーストラリア準備銀行オーストラリア中央銀行)も「2~3%」のインフレ率を目指しています

"The Governor and the Treasurer have agreed that the appropriate target for monetary policy in Australia is to achieve an inflation rate of 2–3 per cent, on average, over time. This is a rate of inflation sufficiently low that it does not materially distort economic decisions in the community. "

https://www.rba.gov.au/inflation/inflation-target.html

世界の中銀が2%にしているのはそれが経済成長と物価の安定のためには最適というのがコンセンサスからですが(1つめ)、そのなかで日本けがそれより低い目標を掲げるということは、ちょっと物価が上がると他国に先駆けて引き締めますと事前にアナウンスしているのと同じことになりますから、事あるごとに円高が進んでしまます(2つめ)。

3つめの理由は、いったんデフレに落ち込むとなかなか抜け出せないからです。日本経営者アベノミクスデフレが解消しても内部留保を取り崩すことには慎重なままです。経営者マクロ経済学理解しているわけではないので、この20年間合理的だった経営=金をできるだけ使わない=が行動原理として染みついてしまっています。そして高齢化が進行し、低成長が常態になって、常にデフレ圧力がかかっている環境で、インフレ目標をたとえば1%などに設定して、低い物価上昇率をもって金融緩和を止めてしまうと、すぐにデフレに陥ってしまうのです。その失敗を日本2000年と2006年に経験済みで、最近だと昨年末ECBが同じミスを犯しました。

麻生財務大臣から財界幹部朝日新聞まで、ことあるごとに「2%なんて無理なんだからさっさとその目標放棄せよ」と提言していますが、彼らより山本議員の方が正確に経済理解しています

物価が上がった方がいいというのは、私たち生活で感じる直感とは異なります。私も物の値段は下がった方がうれしいです。但し、直感にしたがった行動が、悪い結果をもたらすことはしばしばあります法学経済学、社会学、それを知ることに学問価値があるのだと思います

追記

dc42jk 現在経済状況から金融緩和財政拡張政策の両方が必要だと思う。その両方を掲げているのはれいしかない。自民金融政策に触れてないし立民は金融引締めを示唆している。

まさに。賃金の上昇はどうしても物価の上昇に遅れますし、デフレ脳に染まった経営者を変えるのは簡単ではないので、デフレ脱却の過程ではどうしても、特に安定した雇用を得ていた層の実質賃金が低下します(新たに職を得た人が増えたので、総雇用所得は増えてはいますが)。それを補うために積極的財政支出が求められるのですが、1年目を除き高齢化に伴う社会保障費増以外の財政支出の拡大を渋ったのが安部政権の最大の問題点です。現在国債新規発行のたびに0.1%程度しかクーポンがつかないのにその4倍も5倍も札が入り(落札利回りはマイナス)、政府債務調達はただ同然、これはデフレ現象のものである民間部門の過剰貯蓄、特に企業ISバランスのI<S化と表裏一体です。ご指摘のとおり金融緩和とあわせて財政拡張をしない手はないのに、その両方を掲げているのは国債を財源に、奨学金をチャラにして、最低賃金1500円を政府補償し、公務員を増やし、公共事業積極的に行いますとしているれい新撰組だけです。

(ご参考)

日本財政政策選択肢オリヴィエブランシャール・田代毅(2019年5月

https://piie.com/system/files/documents/pb19-7japanese.pdf

「景気の回復が感じられないのはなぜかー長期停滞論争」ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン山形浩生翻訳)(2019年4月

https://www.amazon.co.jp/%E6%99%AF%E6%B0%97%E3%81%AE%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E3%81%8C%E6%84%9F%E3%81%98%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%8B%E3%83%BC%E9%95%B7%E6%9C%9F%E5%81%9C%E6%BB%9E%E8%AB%96%E4%BA%89-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA/dp/4790717313

"Macroeconomics"(12th Edition) " Robert J Gordon2013年

https://www.amazon.com/Macroeconomics-12th-Pearson-Economics-Hardcover/dp/0138014914

(未翻訳ですがアメリカ代表的マクロ経済学教科書です。IS-LM分析の箇所で日本に対する処方箋が取り上げられています。"combined monetary-fiscal policy expansion""The IS and LM curves shift rightward together"れいわの政策はそれに合致しています。)

追記2)

左派リベラルはほんとうに山本太郎に乗ってほしい。今まで何か提言する度に、財源はどうするんだ、そんなことして景気はだいじょうぶなのかと突っ込まれ、やれ法人税増税だ、富裕層増税だ、行政改革埋蔵金だと、見当外れなことを言うだけで(法人税は支払うのは企業ですが負担するのは庶民です。富裕層増税格差縮小の意味はあっても財源にはなりません。埋蔵金なんて結局みつからなかったし、公務員減らせば貧しくなるだけです)、結局有効提案を何ひとつできませんでした。何を言っても信用されないのはそのせいです。

そこに、自民党と異なる価値観を唱えながら、景気はむしろ良くします、財源はありますという政治家が現れました。しかブランシャールやサマーズ、ゴードンのような権威ある学者提案と軌を一にしている。これに乗らない手はないでしょ?

追記3)

立憲民主党は「アベノミクスによって事実上財政ファイナンス化した弛緩した金融政策について、市場と丁寧に対話しつつ、正常化を図っていく。」要するに、日銀による長期国債の買い入れ=量的緩和財政ファイナンスであり、やめますとしています。そのうえで消費税増税凍結を訴えています国債発行も減らして消費税増税分の2兆円もあきらめる、足りない分は金融所得法人税課税するというのだから、その二つの税金は大幅にアップするということになります金融所得に対する課税強化はリスクプレミアムを高めるので、日銀による買入れ縮小と同じく金融引き締め効果があります。すべての経済学の教科書に書いてあるとおり、法人税を支払うのは企業ですが、負担するのは庶民です。

彼らの政策を実現したらどうなるか。FRBが利下げを示唆し、ECB量的緩和への復帰を口にしているなか、日本だけ量的緩和をやめますリスクプレミアムを高めます金融は大幅に引き締めますというのだから円高が急速に進みます物価上昇率は下落し、またデフレに戻るでしょう。企業業績は悪化し、円高特に製造業が打撃を受け、そこに増税が追い打ちをかける。雇用シュリンクし、製造業海外移転拍車をかける特に地方高学歴でない層の雇用やこれから就職する人たちの雇用環境が大幅に悪くなります民主党政権のころの方が実質成長率が高かったから良かったと今でも主張する人たちなので当然なのかも知れませんが、彼らは要するに民主党政権当時に戻します、と言っています。同じく消費税増税に反対していても、デフレが最大の問題だとするれい新選組(「新撰組」じゃなくて「新選組」でした。ややこしいのは良くないと思いますが…)とは方向性がまったく違います

 
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