はてなキーワード: 拡散とは
ラーメンなどの麺類をわさわざ人に聞こえる音を立てて食べる連中がいる。それを指摘されても改めないどころか、屁理屈をこねて逆ギレする連中もいる。彼らの害は主に2つある。
第一に、単純にマナーが悪い。食事中に不必要な音を立てないというのは、国や地域に関係のない普遍的なマナーである。麺を啜る行為は、明らかにこれに反する。多くの人にとって、見ていて気持ちの良いものではない。
第二に、彼らはデマを広めている。彼らの中には、「日本では麺をすするのがマナー」「麺をすすって食べるのは日本の文化」などの嘘を根拠に、自身の不作法を正当化する人がいる。言うまでもなく、そんな「マナー」や「文化」は存在しない。こういうのは、どこかの国が起源を主張したがるのと同じで、大変みっともない。その嘘を真に受けた第三者がさらにデマの拡散に加担することにもなる。
今度はココイチで「バイトテロ」、不衛生行為をSNSで限定公開→予期せず拡散
https://news.yahoo.co.jp/articles/926296f4f7858d300d63f20b7580cc9f7451126d
なぜなら魅力がないからだ
ああいうのをさも正しさの問題であるかのように吹聴する輩が多いが、結局はされる側の魅力とする側のヘイトありきであることを、俺は知っている
周りの人間もTwitterの連中も、それからたぶんはてな民も、元グラビアアイドルのわめきにはシュバっても、俺のためにはたぶん何もしない
数日前に上記のクソ煽り記事が話題になったわけだが、実は同じような記事が先月末にも投稿されている。
投稿者が同一人物であるとは断定しないが、書かれている内容や言葉のチョイスはかなり似ている(あるいは似せているのか)。ちなみにこれを書いている時点で二件の非公開ブックマークがついている。
先月末の記事に関してだが、わざわざ「フェミニスト」と「宇崎ちゃん」というバカがよく食いつきそうなワードを組み合わせているあたりここに数年前から常駐している可能性もある。煽動が透けて見える文体なので、またぞろ対立を煽って燃やしたいのだろうかとも勘繰ってしまった。
正直この手のクソ煽り記事を見るたびに書き手の「食いつかせたい欲」が伝わってきてウンザリするし、バズったらバズったで一部のクソ煽りまとめブログが喜んで飛びつきそうだなと感じてしまう。
というかこんなクソ煽り記事に乗っかるマヌケなんかそんなにいねえよなと思っていたんだが、その予想は見事に外れ件のクソ煽り記事は伸びまくってしまった。
書いたマヌケを喜ばせるだけなのでこの件にはあまり触れたくはなかったが、複数のクソ煽りまとめブログ等でも既に拡散されてしまっているので一応言っておきたいことがある。
マヌケに餌を与えるな。
お前らがいま使っているこのサイトには、あの手この手で「釣ろう」「燃やそう」「煽ろう」「注目されよう」と考えるマヌケと、それに疑問を抱かずほいほい乗っかって拡散してしまうマヌケが存在している。
前者が問題なのは言うまでもないが後者も同じくらい厄介な存在だ。こいつらが上手いこと噛み合ってしまうと今回のような事態が引き起こされてしまうからだ。
注目エントリとして上がってきた記事が数年前のモノであることにも一切気付かず大真面目にコメントするようなヤツは特に気を付けろ。
今回の件だが、せめて最初の方で「お前らこんなクソ煽り記事に餌を与えるな」という注意喚起コメントをしてくれる優しい賢者がいればまだマシだったろう。
だが賢者はマヌケの書いたクソ煽り記事をちゃんとスルーできるので、クソ煽り記事には非賢者ばかりが集まり当然人気コメントもアレなものばかりになってしまうことが多い。悲しいね。
そういうクソ煽り記事に書いてあることをそのまま鵜呑みにしてコメントしたりブックマークしてしまう人間がある程度いるのはわかる。誰だってそういう事はあるし俺だって経験はある。
だがそういうちょっとした事の積み重ねから真偽不明の情報が拡散してしまう場合もある。ここがデマや陰謀論の温床と化してしまう可能性もある。(件の記事が「デマ」だと言っているわけではない。真偽は不明)
そして情報というのは広まるほどに訂正も難しくなってしまう。いくら後からバーボンハウスがどうのと言ったところでここまで広まってしまっては全員に改めて訂正を伝えるのは至難の業だろう。実際バーボン記事の存在にすら気付いていないコメントも見受けられたし、バーボン記事のほうもあまり伸びていない。内部のリアクションですらこれなのだから、外部の人間にちゃんと伝わるはずもない。(これは件のクソ煽り記事を書いたマヌケに言っている)
重ねて言うが件のクソ煽り記事の真偽は俺も判断しかねる。そこには言及しない。だが、このサイトは上記のような事態が起きやすく、そしてクソみたいな煽動記事を書きやすい場だということは伝えておく。匿名投稿できる場と拡散装置(はてなブックマーク)がセットになっている以上そういう記事がどうしても拡散されやすくなってしまうという話。
この件に限らず「匿名の有識者」みたいなやつの記事もあんまり鵜呑みにするなよ。
所詮ここは匿名日記サイトなんだから話半分で聞いとけ。特に夫婦関係の話なんか全部俺が書いてんだから。
件のマヌケもバーボン記事で初犯だなんて抜かしてやがるが何度も同じことをやってきた可能性だってある。
こういうことに味をしめたやつは記事へのリアクションやバズりの快楽を味わうために同じことを何度も繰り返してしまうからだ。
忘れた頃にまた同じような内容のクソ煽り記事を出してくる可能性も十分にあるので気を付けてほしい。
過去にそういうことを散々やっていた俺が言うんだから間違いない、信じろ。信じるな。
兎も角、マヌケの書いたクソ煽り記事は安易にブックマークせずに様子見しようねという話でした。
もし本当にこんな真偽不明の情報を鵜呑みにしているのだとすればそれもまた地獄だな。
sugawara1991 どの勢力だろうが関わること即リスク。じゃあ大陸向けを諦めれば済むわけでもなく、本邦向けでやっていても目を付けられたが最後、数の暴力で処されるの地獄味ある
実際に桐生ココ周辺を荒らしまくった連中はヤバいと思うが、こんな誰か書いたかわからんような真偽不明の煽り記事にツッコミを入れるでもなく、ただただ拡散に手を貸してしまう人間もまたヤバい。もしもこの情報が伝言ゲームによって「明確な事実」として多くのバカに定着したら、もしもバカによる中国非難のための「根拠」になったらとしたら地獄味あるわ。地獄味ってなんだよ。
無駄に焚き付けてくるクソ煽り記事を読んで出てくる言葉がこれなあたり成熟した大人だなという印象。これが人気コメントなのか。
death6coin “今ウマ娘がヒットしたことでかなり切れまくっており、ウマ娘アンチ活動が猛烈に盛り上がってる。”何が嫌いかで自分を語ってしまうところがやはりオタクか・・・
あんたこういうクソ煽り記事にいつも真っ先にコメントつけてるよな。
確認できる限りでは当該記事にもあんたが最初に上記のコメントをつけている。
death6coin そうだとしても増田が偉いわけじゃないよねwww
https://b.hatena.ne.jp/entry/4703577789932526754/comment/death6coin
これとか最近増えてる露骨なオタク煽り系記事なんだけど、確認できる限りこれにも最初にコメントしている。
death6coin “ところで、俺も一つだけ確認した。中国の女フェミニストが、初音ミクさんの貧乳を女性社会進出の象徴として応援してるのだけはガチです。”www
今回、はてなブックマークスパムと言っているのは、下記のような事象のことです。
https://anond.hatelabo.jp/20210302063200
個人の日付欄と言っていいのか分からないが、そこに対してスターをしてきて、ユーザに「スターが付いたよ!」という連絡をしてくるが、実際は、機械的にスターを付けており、特定のリンクへユーザを誘導するのが、目的であった。
https://anond.hatelabo.jp/20210126115837
これを投稿したのは、今年の1月あたり。
この頃は、自分のところに7日に一回ぐらいのペースできていた。
記事にも書いたが、この1月あたりには、機械的にアカウント作成からのスパムというよりかは、アカウント乗っ取りからのスパムが多くなっていた。
記事上では、ヤバくない?というのをはてなにメールで送っていた。
自分のところに来て履歴に残っているスパムは、57日前の「TigerLuva」というユーザ名のスパムだけである。
このスパム、実のところ、今まで散々来ていたスパムと様子が違う。
まず、機械的に作成された可能性が高いスパムであること(プロフィールがない・他のサービスを利用していないなど)。
そして、このアカウントでは、「ブックマーク1」「お気に入り0」「お気に入られ0」と言うブックマーク記録しかないこと
今まで散々スパムウォッチしてた人なら、知っているとは思うが、この手のスパムのブックマーク記録は、大体「お気に入り」がカンストの500に達していることが多い。(というか、これがほとんどだった)
一つ例に出すと、「scully1888」というアカウントが存在するのだが、こいつは履歴からして典型的なスパムであることが分かる。
この手のスパムは、「お気に入られ」「お気に入り」でつながっているが、「お気に入り」で、自身のアカウントの存在を拡散、「お気に入られ」に入っているアカウントは、スパムのアカウントと言う形でつながっている。
これが今まで延々と繋がってきていたのだが…「doriant」が紐づけているアカウントを見ていくと、途中から通常稼働中のアカウントにぶつかり、そこから、スパムのつながりが無くなる。
(ちなみに、乗っ取られているアカウントの判別も、この「お気に入られ」「お気に入り」の関係で判別可能。「お気に入り」にスパムが存在していれば、乗っ取られている)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfRYGLJZOhh7e5PP0EAZX-3shTwpa92mErzSOlOUdMIJI0rtg/viewform
普通は、アンケート結果の利用方法や情報の管理について同意をとるんだけど、とってない。
また、東大生以外からの回答があった場合、その回答を排除できない。
もし、大量の非東大生のアンケートが集まったとした場合、どう対応するんだろうか?
みんな回答に”にゃー”と回答した場合、東大生は猫が多いといった誤ったラベル付けをしてしまうことになる。
防衛省の予約サイトに文句を言いながら自分たちは適当な仕事をするのは、職業人としていかがなものかと思う。
ちなみに、東大関連の連絡先に、このアンケートを拡散してくださいっていうメールを送り付けまくっている様子で、それはそれで問題だろうとなっている。
本当にAERAがやっているんだろうか?
『にわかでABしか知らないけどABは無断転載が多い〜〜以下お気持ち長文〜〜でもあなたは無断転載に否定的な意見をされてて救われたありがとう』
いやもうひでえ〜〜
絶対このジャンルにもABにもハマんね〜〜〜〜って決意が固くなった
その同じ無断転載否定仲間に泣きつく前に無断転載注意せんかったん???
まあ後で色々見て回ったけどしたけど無視された可能性は否めないジャンルだった
次にAB推しの人々
無断転載いっぱい出てくるね!
え、こわ
すごいぞ
「ABが喧嘩して仲直りセッ◯ス後のAのこの顔ですよ(漫画のコマバーン!)」
「最新話のこのページ最高AB完全夫婦(最新話見開きバーン!)」
マロ投げられた人が2020年のした「無断転載は禁止されてるよ。やめようね」ていうね
知らなかったらしょうがない!反省できるAB民は民度高い!このジャンルいてよかった!←ん?
AB名指しすんな←ん?
界隈とか民度で一括りにすんな←ん?
無断転載禁止って、普通漫画の奥付けに書いてるものだし女オタってその辺厳しくない?え?よく◯◯さんの素敵イラストが無断転載されたトレスされたフガーッ!訴訟!慰謝料!してるイメージなんだけど
本当に民度の高いジャンルなら少なくとも創作者は無断転載しないはずだと思いますまる
一括りにすんなもクソも無断転載が高評価つくジャンルってつまりそれだけ無断転載許容派おるんやろ????え?何アレ全部自演?存在消されてる?
数コマならいいって……拾い画です!って漫画知らない人に使われる可能性考えない……?
えーっと、出典元明記せずに出された画像の何が宣伝になるのかな?
女オタクの閉じたほぼ同ジャンルのTL上で妄想とセットでされた画像って誰向けの宣伝なの?
仮にジャンル外に拡散できても正規ルートに導線引かず無断転載見て見てするジャンルなんだなとしか
無断転載マンいるかな〜〜と探してるときに出会ったAB民に注意喚起しても無駄とわかったマロ返信見つけた
多分当時の最新話の無断転載
本誌木曜発売だから多分発売翌日
AB女〜〜おめ〜〜おもしれ〜〜女だな〜〜
ちょうど別口で本誌ネタバレお気持ち表明炎上見た後だから余計笑っちゃった
このジャンルって本誌買うと転載していい権利もついてくんの?知らなかったごめん
10月にアニメ化するけどもう覇権取った気でいらっしゃるAB民へ
学級会はじまって「進化」したんじゃねーよ
頭の中お花畑ですか?
まとめ
AB絶対履修せんとこ〜〜〜〜
中野区中央は狭い敷地に同じような家が同じように建ち、みっしりと並んだ区画が続く。歩いているうちに自分がどこへ向かっているのかわからなくなる。東京の住宅地はそんなものだといえばそうだが、中央と名乗るからには、もうすこし街らしい華やかさがあってもよさそうなものではないか? 中野区中央は、その種のにぎわいとは無縁な場所だった。
べつに好き好んで中央まで歩いて来たわけではない。職場の寺元さんがこの1週間ほど出勤せず、連絡もとれない。社長に渡された住所のメモと住宅地図のコピーを頼りに寺元さんの居所を探し、様子を探るよう、依頼を受けて来た。他に社員は私しかいなかったからそうなったわけだ。
ファート商会という会社が私たちの職場だった。本社は中野にあり、放屁の気体用保存容器を製造販売している。このシリンダー状の容器に放屁を閉じこめておくと、どれほど時間が経っても、栓を開けさえすれば、気体が肛門を通って出てきた瞬間のフレッシュな臭気を嗅ぐことができる。このような器具にどれほどの需要があるものかと、最初私は半信半疑だった。が、細々と着実に注文が入り、会社は今まで生き延びてきた。
中野では誰もがその日を生き延びるのに精一杯だった。いちど中野駅で電車が止まれば、もう中野を出て行くことはできなかったからだ。
もう何年も前の話だ。夕方、私は仕事を終えて秋葉原から総武線に乗り、荻窪のアパートへ帰ろうとしていた。電車は中野で停まり、ドアが開いた。もともと中野での停車時間は不自然に長かった。新たに乗り込んでくる人はおらず、車内に放置された乗客は、列車が再び動き出すまで忍耐強く黙っているのが常だった。だがその日の停車時間は長すぎた。15分を過ぎた頃から、いらいらと外の様子をうかがったり、ホームへ降りたりする乗客が出はじめた。それでも列車は動く気配がなかった。30分が経過した頃、当駅で列車は運行を終了する旨のアナウンスが流れ、乗客は全員が外に出された。それ以来、私たちは中野で暮らしている。
中野は孤絶している。東京の他の区からも、日本の他の地域からも隔離されたままだ。新宿よりも西に向かう列車を選択的にブロックするよう、政府からJR東日本へ命令があったとかいう噂だ。感染症の拡散を防ぎ、テレワークの普及を急ぐためらしかった。通勤を控えるようにこれまでさんざん忠告したのだから、都心へ通勤した輩はもう帰宅させなくてもよろしいというわけだ。だが噂は噂で、なぜ中野以西への鉄道運行が突然終了したのか、本当のことを知る人はいない。少なくとも中野にはいないと思う。
中野で足止めされたら、人生を中野でやり直すしかなかった(生き続けていくのであれば)。テレワークをしていなかった乗客は一瞬で路頭に迷った。中野で住みかを見つけ、仕事を見つけ、生活の糧を得ていくしかなかった。
練馬、杉並、新宿と中野の境界には有刺鉄線を張ったバリケードが設置され、高いコンクリート壁の建設が始まっていた。20式小銃を抱えた警備隊が昼も夜もバリケードの前を行き来していた。こうした措置に抗議したり、やけを起こしたりして境界へ突入する人はときどきいたが、その場で「管理」され、戻ってくることはなかった。「管理」されたくなければ、望んで降りたわけでもない中野で生きていく他はなかった。
ファート商会は、中野へ流れ着いた人間で始めた会社だった。偶然に同じ場所に居合わせた三人、空き家になっていた蔦だらけの木造家屋を見つけて寝泊まりしていた三人だった。私たちは手持ちの金を出し合って米を炊き、駅前の広場で獲った鳩を焼いて共同生活を送った。放屁を保存するシリンダー型容器というアイディアを出したのは、社長の鬼澤さんだった。本人の話では、食品の品質検査に使う精密機器の会社に勤めていたそうで、その方面の知識は豊富だった。最初は中国から大量に取り寄せたシリンダーを小箱に詰め替えて転売していた(中野から移動はできなかったが郵便物は届いた)。仕入元と取引を重ねるうちに、小ロットでも自社ロゴマーク入りの製品を作ってもらえるようになった。
その頃には空き家の相続人を名乗る人物から弁護士経由で文書が届いて、私たちは追い出された(急激な人口増加のため中野の地価は上がったらしい)。駅近くの雑居ビルにたまたま空きがあったのでそこに移り、事務所で共同生活をしながら放屁の保存容器を日本中に送り続けた。事務所とは名ばかりで、中国から届いた段ボール箱が積み重なる室内には洗濯物が下がり、夕食の豚肉を焼くにおいが漂っていた。
三人がそれぞれに部屋を借りて事務所から引越したのは、それからさらに一年ほど経ってからだ。そうするだけの資金がようやくできた、そろそろ仕事とプライベートを分けたい、当面は中野から出られる見込みがなさそうだ、といった思惑や妥協が交差した結果、私たちはそろって職住同一から職住近接の体制へ移行したのだった。
鬼澤さんに渡された地図のコピーを見ても、寺元さんの住みかはさっぱりわからない。どの角を曲がっても同じような家並みばかりで、ときおり家の塀に貼ってある番地表示板だけが現在地を知る手がかりだった。ひと昔前までは、スマートフォンで地図アプリを見れば迷わずにいろいろなところへ行けた。中野に閉じこめられてから、その類のアプリはなぜかいっさい起動しなくなった。だから中野で住宅地図は貴重品になっていた。
何度も同じ所を行ったり来たりして、ようやく見つけた寺元さんの居宅は、路地の奥にあった。旗竿地というのか、家と家の間を通って行くと不意に現れる隙間がある。そこへはまりこむようにして古アパートが建っていた。鉄柵にかかるプラ板に、かすれた文字で「シャトーひまわり」と書いてある。柵のペンキはささくれ立った指の皮のように、いたるところから剥けて、露出した地金から赤錆が吹き出していた。一階の通路には落ち葉が吹き溜まり、繰り返し人が通った箇所では砕けて粉になっていた。各戸の前に置かれた洗濯機のカバーは、もとは水色だったらしいが、雨と埃をかぶり続けて黒くなっていた。
103号室には表札も呼び鈴もついていない。寺元さんの居所はここらしいが、本当にそうであることを示す手がかりはない。ドアをノックしたら全く無関係な他人が出てきて、警戒心に満ちた視線を向けてくるかもしれない。そういう可能性を考えると、ドアをコツコツとやる力が自然に弱々しくなる。返事はない。中に人の気配があるのかどうかも分からない。洗濯機の上にはすりガラスの小窓がついているが、その奥で人影が動く様子もない。小声で名前を呼びながら再びノックしてもやはり返事はなかった。
寺元さんは出かけているのだろうか。あるいは先週あたりに部屋の中で倒れて誰にも気づかれず……不意にそんな想念にとりつかれたが、辺りは埃っぽい臭いがするだけだ。やはり出かけているのだろう。
その場を離れようとして歩き始めた瞬間、背後で音がした。振り返ると、寺元さんがドアの隙間から半分だけ身を乗り出し、こちらを見ていた。禿げ上がった丸顔はいつもより青白く、無精ひげの生えた頬がこけて見えた。「田村さん、なんで……ああ、そうか……まあ、ここじゃなんなので、どうぞ……」
「散らかってるけど」
といいながら寺元さんは私を部屋に招き入れたが、中は私の部屋よりもきれいに片づいていた。ローテーブルの上にはA4サイズのポスターみたいなものが散らばっていた。猫の写真の下に黄色い枠が印刷してあり、「さがしています」という文字が見えた。
「先週から急にいなくなっちゃってね、ずっと探してたんだけど……」
猫を飼いはじめたと寺元さんが言ったのは半年ぐらい前だったか。ランチの時に写真を見せてきたのを覚えている。たしか、ニティンとかいう名前だった。額の毛が富士山のような形に、白と黒に分かれている猫だ。
「この近所では、見つからない感じ?」
「毎日そこらじゅうの路地に入って見て、電柱にポスターも貼ったんだけどね。今のところ手がかりはなくて……」
寺元さんは俯いたままTVのリモコンをいじくり回していた。目の下にできた隈が濃かった。
中野では孤独死が増えているらしい。突然にそれまでの生活、人間関係から切り離され、中野に閉じこめられた人々が、生き残りをかけてあがき続け、一息ついたあとに待っていたものは、容赦のない孤絶だったというわけだ。
職場への連絡も忘れ、一週間にわたって捜索を続けていた寺元さんと猫との個人的な結びつきは、どれほどのものだったのだろう。そして突然に去られたと知ったときの衝撃は……いや、仕事を忘れていたのではなくて、猫を探すために休むと言えなかったから、連絡できなかったのかもしれない。猫の存在が、どれほど寺元さんの柔らかいところに入り込んでいたか、誰にも知られたくなかったから、中野ではそれなりに気心が知れているはずの私たちにも、失踪事件とそれがもたらした内面の緊急事態について、口を閉ざしていたのではないだろうか……
「鬼澤さんには、寺元さんが体調崩して寝込んでたとか言っておくので、ニティンの捜索、続けてください」
「気遣わせちゃって、ごめん。僕の方からも、後で連絡入れておこうと思うから……」
寺元さんはアルミサッシを静かに開け、冷蔵庫から麦茶を出した。梅雨時の空気で蒸し暑くなり始めた部屋にかすかな風が入ってきた。窓の外に見えるのは隣家の壁ばかりで、申し訳程度についたコンクリート製のバルコニーの下には、古い落ち葉が厚く積もっていた。その隙間に何か、木の根か、古い革製品のような、黒に近い焦げ茶色のものが突き出ている。表面には緑の苔か黴のようなものが吹いて、時折、びくり、びくりと脈動しているように見える。
「寺元さん、そこに、何かいるみたいなんだけど」
「ああ、それ、引っ越してきたときからずっとそこにあって……え、動いてる?」
その「何か」の動きはしだいに大きくなり、周辺の落ち葉がめくれて露出した土には蚯蚓や百足が這っていた。そこに埋まっていた朽木のようなものは、地表面に見えていた一部分よりもはるかに大きかった。それは蛹のように蠕動しながら室内へどたりと入ってきた。麦茶のグラスが倒れ、中身がフローリングの上に広がった。
その「何か」は動き続けるうちに表皮が剥がれて、琥珀色をしたカブトムシの蛹的なものが姿を現した。痙攣的な動きはしだいにゆっくりと、動物らしい所作が読みとれるようなものになってきた。やがて内側から被膜が裂け、現れたのは肌だった。真白なその表面へしだいに赤みが差してきた。寝袋のように床へ残された被膜から、人型をしたものが起きあがる。
それは姉だった。間違いなく姉だった。17歳の夏の夕方、高校の帰り道、自転車ごと、農道のどこかで消えた姉。警察が公開捜査に踏み切り、全国の交番に写真が貼り出されても、けっして戻ってくることのなかった姉。落ち着いたピンク色のフレンチスリーブワンピースを着て、薔薇色の頬に薄い唇と切れ長の眼が微笑み、当時の面影はそのままに、だが記憶の中の姉よりもはるかに大人びた姉が私を見ていた。
「背、伸びたじゃん」
といいながら姉が私の腕に触れた瞬間、思わず涙がこぼれた。
「そうか、田村さんのお姉さんだったのか。だからずっとそこに……」
寺元さんは何か遠く、眩しいものを見るような目で、姉と私を見ていた。
姉は寺元さんに微笑みかけながらも決然と言った。寺元さんは照れくささと寂しさの入り交じったような顔で笑った。が、不意に真顔に戻った。
かすかに、猫の鳴き声のような音が聞こえる。涼しい夕方の空気が窓から入ってくる。
どこか遠いところを見ながら姉が言う。
「もうそんな季節か」
中野ディオニューシアまつりは毎年初夏に行われる。今年もたくさんの供物を捧げた行列が、狂乱状態の男女が、鍋屋横町を練り歩くのだろう。中野で過ごす何度目の夏になるだろう。いつの間にか、夏の風物詩を繰り返す季節の一部として、中野で受け入れつつある私がいた。