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2016-08-23

五輪組織事務総長発言の残念なところ

例の安倍マリオの件について、

武藤五輪組織委員長が「森委員長安倍首相提案したと聞いている」とかいう話をしたというニュースがあって、

あちこちで「森元、お前が考えたわけじゃないだろう」「うまくいったときだけ『俺の手柄かよ』」といった感じで

盛大にたたかれている。

森元さんの徳の無さというか、

「あの人、失敗したときは『俺は知らない』っていうくせに、成功したときは『俺のおかげ」っていうタイプだよね」

というのが、日本国民多数派認識なのが、よく分かる。

過去言動に基づいた、信頼と実績のなせる業だろう。



これがもし

組織委員会のなかでも、現役の首相があのようなビデオにでることに反対する意見もあったが、現場製作者たちの気持ちを組んだ森委員長が、

最終的にOKと判断されたたうえで、安倍首相を説得したと聞いている」

かい発言だったら、評価は少し違ったんじゃないかなあ? とか思う。

自分だったら、「あれ、今回、森元さん役に立ってんじゃん」と思ったかもしれない。

事務総長氏も、立場上、なんとか森元さんの功績を喧伝したくてマスコミにこの話を披露したのかもしれないが、

だとしたら、世論にもたらす結果は逆だったわけで、お気の毒としか言いようがない。

2015-11-26

トルコによるロシア軍撃墜 - 分かっていること

Turkey's downing of Russian warplane - what we know

2015年11月25日23時15分閲覧)

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-34912581



トルコによるロシア軍撃墜 - 分かっていること


(画像ロシア軍用機によるシリアから越境トルコ領空侵犯否定した)

ウラジミールプーチンロシア大統領シリアトルコ国境地帯でのロシア軍機を撃墜したトルコ非難した

ロシア政府9月にバッシャール・アル・アサド大統領敵対勢力に対する空爆を始めて以来、ロシア機がシリア撃墜されたのはこれが最初である

何が起きたのか?

ロシアトルコの双方とも、トルコ=シリア国境地帯で、トルコ軍F-16によって、11月24日ロシアSu-24(全天候型攻撃機)が撃墜されたと述べている。

動画トルコ国境付近シリアで墜落した航空機

ウラジミールプーチンロシア大統領は、空対空ミサイルを発射された時、航空機(2人乗)が高度6,000m(19,685フィート)で飛行していたと述べた。

シリア政府軍反体制勢力が戦闘中シリアラタキア県の山岳地帯、Jabal Turkmenに航空機は墜落した。


なぜ撃墜されたのか?

地図ロシア軍トルコ軍双方の主張するロシア機の航跡

トルコ国連代表Halit Cevikは国連安全保障理事会への書簡http://www.scribd.com/doc/291002800/Turkey-Letter-to-UNSC-on-Shooting-Down-SU-24-Plane-Nov-24-2015)に次のように記している。

タイ県のYayladagi市付近トルコ領空に2機の国籍不明機が接近した。不明機に対し、「緊急」チャンネル経由で5分間に10回以上の警告を行い、進路変更を行うように求めた。

2機は警告を無視し、現地時間09:24:05(世界標準時07:24:05)から17秒間、トルコ領空に2.19km(1.36マイル)および1.85km(1.15マイル)侵入した。

領空侵犯後、1機目はトルコ領空を出た。2機目は、該当空域の戦闘哨戒任務にあたっていたトルコ軍F-16戦闘機領空内で攻撃され、国境地帯シリア側に墜落した」

また、トルコ軍ロシア機をレーダーで捕捉した航跡図とするもの公表して、トルコ南部の突出部を横切っていることを示した

画像トルコ軍F-16戦闘機は「交戦規則に従って」行動したと述べた)

しかし、プーチン大統領は、攻撃を受けたときSu-24トルコとの国境から1km(0.6マイル)離れたシリア領内にいて、墜落地は国境から4km離れているとも付け加えた。

ロシア国防省は、撃墜された航空機は、任務中、国境シリア側に留まっており、トルコ領空侵犯しておらず、警告も受けていないと強調した。

Su-24の飛行経路がどんなものだったか示す動画https://www.youtube.com/watch?v=KGlJFoIBKQw)を公開している。

複数アメリカ軍当局者は、撃墜された航空機領空外に留まるように警告されていたこと、および、数秒間トルコ領空に入っていたことを示す兆候があると語った。

(関連記事撃墜過剰反応なのか? http://www.bbc.com/news/world-middle-east-34914375

日本語訳http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-34918731

乗員に何が起きたのか?

トルコメディアによって公表された動画では、炎上する機体が急速に墜落するとともに、Su-24乗員2名(パイロットと航法士官)が脱出する様子が含まれていた。

画像ロシア軍Su-24ラタキア県の基地からシリア各地に数百回出撃している)

トルコによれば、シリアトルクメン人居住地域は過去数週間、ロシア軍機によって爆撃されていた。トルクメン人構成されていた現地の反政府軍は、脱出した乗員がシリア政府支配地域パラシュートで降下しようとしているので、発砲した。

乗員の一人は着地した時点で既に死んでいた、と反政府軍は述べている。

ネットで公開された動画では、地面に横たわる動かないパイロットスーツ姿の男性を、数人の兵士が取り囲んでいる様子が含まれている。

翌日、ロシア戦死したのはパイロットのOleg Peshkov中佐だと確認した。

画像シリア反政府軍兵士は、Su-24の乗員がパラシュートで降下中するところを撃ったと言っている)

一方、航法士官のKonstantin Murakhtin大尉は、シリア政府軍によって救出され、ラタキア県のロシア使用するHumaymim空軍基地へと移送された。

救出作戦中、Mi-8ヘリコプターで移動中に攻撃を受け、ロシア海軍歩兵のAleksandr Pozynichは戦死した。

(関連記事シリアトルクメン人とは何者なのか? http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-34910389


なぜロシア機はそこにいたのか?

ロシアシリア内戦の直接関与している国のひとつである2011年3月に始まった内戦では、25万人以上の死者が出ている。

ロシア政府アサド大統領を支持しており、アサド政権を維持するために空爆を行なっている。ロシア政府は「テロリスト」だけを標的にしていると言う。特にジハード主義者のIS戦闘員念頭に置いていると。しかし実際には、西側支援された反政府軍攻撃するのがロシア軍主任務になっている。

地図シリア国内の勢力分布図に、ロシア軍および米軍主導の空爆地点を記載

一方、シリア反政府軍は、アサド大統領敵対するトルコ支援を受けている。

トルコ政府は、米軍主導の有志国連合がISへの攻撃を行うために、自国内の空軍基地使用も認めている。

(関連記事シリアでの終盤戦、ロシア戦略とは? http://www.bbc.com/news/world-europe-34474362

(関連記事シリア危機関係各国の立場とは? http://www.bbc.com/news/world-middle-east-23849587

日本語訳http://anond.hatelabo.jp/20151127023940


ロシアはどう反応したか

プーチン大統領は、撃墜されたSu-24は「脅威ではなかった」と主張するとともに、火曜の出来事は「重大な影響」をトルコにもたらすだろうと警告した。

また、該当機はラタキアでISを「予防するための攻撃」に参加していたとした。

さらに、ISの支配地域から大量の石油トルコに運び込まれ、それがISの重要資金源になっていることをロシア確信しているとも述べた。

「これはテロリスト共犯者による裏切り行為だった」とプーチン大統領は述べた。

確かに、トルコ方針シリア反政府軍に参加する兵士武器の領内通過を認めており、その行き先にはIS支配地域も含まれる。しかし、当局者はISを支援するものではないとしている(動画リンクhttps://www.youtube.com/watch?v=iAcqY0UJvEY

また、シリア反政府活動家達は、墜落現場周辺でのISの活動は極小か皆無であると言明している。



NATOトルコを支持しているか

画像NATOロシア撃墜事件後、トルコと緊密に連絡していると発表した)

NATO加盟国ロシアもしくはソ連機を撃墜したのは、1950年代以来である

NATO意志決定機関である北大西洋条約機構理事会が緊急開催された。その後、事務総長イェンス・ストルテンベルグは次のように宣言した

「我々はトルコと一致団結しており、その領域保全NATOによって支援される」

動画レジェプ・タイップ・エルドアン大統領「今回の行動はトルコ交戦規則完全に一致したものだ」)

トルコ大統領レジェプ・タイップ・エルドアンは、「誰であれ、トルコがその国境線を防御する権利尊重するべきである」と警告した。

He also noted that Turkey's actions were fully in line with the new rules of engagement adopted after Syria shot down a Turkish jet in 2012.

さらに、彼は、今回のトルコ軍機の行動は、2012年シリア軍機を撃墜した後で定められた新しい交戦規則に完全に従っていると述べた。

これは、シリアからの接近するものはすべて敵対的脅威と看做すとしている。

(関連記事NATO、その概要 http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-18023383

2015-09-08

五輪エンブレムをめぐるホッテントリについて」がわかりにくい理由

http://anond.hatelabo.jp/20150907223211

個人的釈然としない部分がいくつかあるので整理・言及したい。

増田氏の主張は以下の通りである

-----

1. 「劇場ロゴパクリ」は争点になっていない。五輪エンブレムとして採用するか否かが争点

2. 類似性(似ている/似ていない)が認められるかどうかということが話題となった

3. パクったかどうかに関係なく、単に似ているということで著作権上の問題が生じる

4. 他の案件におけるパクリ(盗用)はあった

5. 「劇場ロゴパクリ」はなくても、チヒョルト展のパクリはあったと認定できる。その根拠は次の二つである

5-1. 文字とは無関係の装飾要素かつまったく不要な赤丸が原案の右下にあったか

5-2. 「(佐野氏がチヒョルト展を訪れた事実を認めた上で佐野氏がチヒョルト展のロゴを)覚えてない」と弁解したことについて、彼は嘘をついている、プロならばこれほどのデザインをあっさり忘れるはずがないから

6. 深津氏は争点になってないものについて解説しており、深津氏の見解のもの意味を持たない。

7. 「劇場ロゴとのパクリではない」なんていうどうでもいいことを持ち出して、「専門家の言うことを聞け」と述べるような深津氏の主張は妥当ではない

8. 深津氏の見解の主要な点は「専門家に任せるべきだ」とした部分にあるが、最終案を決めたのは素人である武藤事務総長であるため、深津氏の主張は成立しない

9. ベルギー劇場ロゴとの類似性が認められるかどうかという法的争点を抱えている状況の中、佐野氏の他の案件におけるパクリが判明。加えて、原案と最終案はまったく違うものであるほか、最終案を決定したのは事務総長ということが判明した。これをふまえて、「五輪エンブレムとして採用するには適切ではない」という民意が生じた。

10. 9 を無視して「専門家判断に任せよ」という深津氏の主張は問題デザインの面だけに限定しており、きわめて視野が狭い。まったく問題所在理解していない。

11. 今回のエンブレムは、エンブレムデザインとしての良し悪しで決まったのではなく、展開力で決まった

12. (原案の)丸と三角と四角というデザインはあまりにも単純で凡庸であり、これを「美しい」「見事だ」と思うようなデザイナーはいないだろう。専門家民衆の声と自分の心の声を聞くべき

13. 心の底では「くだらん」と思いながらはっきりと口に出せない。「展開力が優れている」と言われると「なるほど」と言って承諾するだけで「エンブレムとしてはあまりにも凡庸な図形だ」という本音を口にできない。

14. そんなデザイナーたちの良心というものを信用できない

id:sisya 氏のコメントに対し:

15. 「(劇場ロゴと)似ているか依拠しているか」というような話題は争点ではない

16. この事件問題点は、ベルギー裁判で勝つかどうかじゃない

17. 著作権問題にしていない。そもそもベルギーロゴとの関係問題にしていない。ベルギーロゴとの関係などはどうでもいい

id:bros_tamaコメントに対し:

18. “五輪エンブレムデザインで何が問題であったのか”ということは今回の騒動ではほとんど意味がないことだというふうに評価している

19.パクリデザイナー作品五輪正式採用することの倫理的な是非」が問題

20. 美術的な問題はない。美術的なことをいくら論じても、今回の騒動には何の関係もないというのが本項の趣旨

21. 劇場ロゴとの類似性とかパクリとかはほとんど話題になっていない

22. 深津氏の見解否定しているわけではなく、本質とは関係ないとして軽視しているだけ

id:Eizo0000 氏のコメントに対し:

23. この問題専門家(つまりデザイナー)に委ねるべきで、大衆がこの問題に口出しするべきではない、という発想を問題視している

id:honma200 氏のコメントに対し:

24. 問題本質は、法律違反をした(あちこちで画像の盗用をした)作者のデザイン五輪採用するかどうかという倫理的な部分にある

25. 23 の主張も、深津氏の記事が訂正されたことによりかなり色褪せてきたとも言える。

-----

全体を通して、おそらく増田氏は「犯罪者である佐野氏がデザインしたエンブレム採用することは倫理的問題がある」ということを言いたかったのだろう。

しかしながら、その結論に向けて展開した論理が歪んでいること、根拠が不十分であったりすること、本筋とは関係ない論理が混じっていること、

話題」「争点」「問題」といった言葉の使い分けが曖昧であることが、エントリのわかりにくさや理不尽さを生じているのではないかと考える。

冒頭で個人的釈然としない部分があると述べた。論理が歪んでいるのが気持ち悪いと思う私的な感情から、その部分について指摘していきたいと思う。

増田氏が取り扱う問題と深津氏が記事が取り扱うことが違うということを増田自身認識していない

増田氏は、深津氏の記事を「劇場ロゴパクリではないと言っているだけ」としたが、この時点から既にズレが生じている。

記事は、「五輪リエージュロゴは似てない」と考えるデザイナーがどうしてそのように考えるかといった点にフォーカスしたものに過ぎず、増田氏が取り扱いたい問題については言及していない。

増田自身も、ロゴデザインがどうとか劇場ロゴと似ているかとか著作権がどうとかは争点ではない(主張1、15、16、17、18、20)、

自身の取り扱いたい問題本質とは関係ないとしている(主張22。これらの主張だけを見れば主張6 も「(増田氏にとって)意味を持たない」として解釈することができる)。

それなのにも関わらず、自身問題とすることを深津氏の記事と結びつけたために、6、7、8、10 といった見当違いな主張が生まれ、(はてブコメント欄観測する限り)読む側に混乱が生じたのではないだろうか。釈然としない。

■各人のコメントに対する返答の的はずれさ

3、4 に対し、id:sisya 氏は「単に似ているだけでは盗用にならず、依拠しているかどうかが重要」とコメントされたのではないだろうか。

そのことについては深津氏の記事の「前提知識1」の項に書かれており、それを踏まえてid:sisya 氏は「参照元エントリ全然読解できていないように見える。」「もう少し元記事を読み返すことをお勧めする。」と述べたと思われる。

そう考えると、id:sisya 氏に対する返答は的外れである

id:bros_tama 氏の「あの記事は“五輪エンブレムデザインで何が問題であったのか”について書かれているんです」というコメントに対し、

「それはわかっている」「本質とは関係のないことをいくら解説しても、そんなことはどうでもいいことだ」と返答しながらも、なぜ自身問題とすることを深津氏の記事と結びつけたのか。

その矛盾id:bros_tama 氏がコメントをする動機となったと思われるが、いかんせん増田氏の返答は的外れである釈然としない。

根拠不十分

4 については、実際にトートバッグの件について佐野氏側が「第三者デザイントレースしていたことが判明」と発表していることから、間違いのない認識だろう。

しかしながら、5 については何の根拠もない。その根拠とする5-1 についても5-2 についても不確かではないか。釈然としない。

■「それ、あなた感想ですよね」(ひろゆき風)

ちょっと主語が大きすぎるのではないかと思う(主張9、12、13)。自身の思いを投影しただけに過ぎないと感じる。釈然としない。

不要論理

犯罪者である佐野氏がデザインしたエンブレム採用することは倫理的問題がある」という結論に向かう上で、6、7、8、101112、13、14 は必要のない論理ではないか。

深津氏がいわれもなく謗られたと受け取る可能性がある内容を記述することに何の意味があるのか。釈然としない。

犯罪者呼ばわり

トートバッグの件について、佐野氏側はトレースした事実を認めたが、それ以外の案件についてはまだはっきりとした裏付けはとれていない。

何らかの罪に問われたわけではない現在の状況下において、一個人を「大犯罪者」と呼ぶのは果たしていかがなものか。一個人が一個人を断罪することは危険ではないかと私個人は思う。釈然としない。

■ずれる結論

犯罪者である佐野氏がデザインしたエンブレム採用することは倫理的問題がある」(以下、結論Aとする。)という結論に向けて論理を展開したかと思いきや、

id:Eizo0000 氏のコメントを受けて「この問題専門家(つまりデザイナー)に委ねるべきで、大衆がこの問題に口出しするべきではない、という発想を問題視している」(以下、結論Bとする。)と結論を変更した。

その後、深津氏が記事結論部分の表現を変更したことを受け、増田氏は「問題視したことは、かなり色褪せてきたとも言えます。」「「大衆デザインには無知なんだから口出しするな」というような方針が、少しは改まったのだとすれば、本項は一定役割があったと言えるでしょう。」と追記。

なんだ、結論Bを言いたかったのかと思いきや、さらにその後のid:honma200 氏のコメントを受けて、再び結論Aを書き連ねる。これでは、結局言いたいことが錯綜しても仕方ない状況だ。釈然としない。

■まとめ

横暴な論理を振り回すことは非常に危険行為ではないかと思いますしかしながら、増田氏が問題視する倫理面に切り込んでいくことは重要と思うので、これについて僕も書けたらよかったのですが、見識がなく断念しました。どなたかお願いします。

2015-09-07

五輪エンブレムをめぐるホッテントリについて

深津貴之 氏の見解が多くのブクマを集めている。

   http://bylines.news.yahoo.co.jp/takayukifukatsu/20150907-00049112/

   http://b.hatena.ne.jp/entry/bylines.news.yahoo.co.jp/takayukifukatsu/20150907-00049112/

 

実はこれは、「劇場ロゴパクリではない」と言っているだけだ。上手にていねいに解説しているが、話の趣旨のもの組織委の見解と同じだ。その点は、増田が指摘したとおり。

 似ているとか似ていないとか最初に言い出したのは誰なのかしら

 

しかしながら、組織委の見解はピントがずれているし、その意味では、深津貴之 氏の見解もピントがずれている。そのことを解説しよう。

 

 1.劇場ロゴパクリは争点ではない

劇場ロゴパクリはもともと争点となっていない。これを話題にしたのは一部の人だけ(もしくは初期だけ)だ。

 

では、何が話題になったか? 次の二つだ。

  (1) 劇場ロゴとの類似性

  (2) 他の画像パクリ(盗用)

 

前者は、著作権問題だ。これは、パクったかどうかに関係なく、単に似ているということで、著作権上の問題が生じる。このことは、劇場側の弁護士が主張したことだ。

後者は、サントリーのバッグや、五輪の展開例や、多摩美ポスターなどで、画像の盗用があったことだ。これを「パクリ」と指摘した。

要するに、「劇場ロゴとの類似性」もあったし、「パクリ」もあったのだが、「劇場ロゴパクリ」は、もともと争点になっていないのだ。

その意味で、深津貴之 氏の見解のもの意味を持たない。ありもしない仮想敵攻撃しているだけだ。藁人形論法であるにすぎない。

劇場ロゴパクリ」というものを、彼がいくら否定しようが、それは、ありもしない怪物攻撃するドン・キホーテと同様であり、もともと存在していない対象否定しているだけにすぎない。

 

 2.チヒョルト展のパクリ

劇場ロゴパクリ」はなくとも、チヒョルト展のパクリはあったと認定できる。なぜなら原案では、右下に余計な赤丸があったからだ。

このような赤丸は、文字とは無関係の装飾要素であり、まったく不要ものだ。実際、他の文字では、このような余分な要素はない。

  http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/b/bunbuntokuhoh/20150828/20150828225213.jpg

なのに、T という文字でだけ、余分な赤丸の要素が追加されている。この文字だけにある特異な現象だ。

このことからしても、これがチヒョルト展のパクリであることは明白だろう。

(仮にパクリでなければ、赤丸は中央上または中央下にあるはずだ。それが佐野デザインの9分割のポリシーからだ。)

 

さらに、状況証拠もある。「そんなことは覚えていない」と弁解したことだ。素人じゃあるまいし、プロならば、これほどのデザインをあっさり忘れるはずがない。

とすれば、「覚えていない」と言った時点で、嘘をついている。あるいは、ジョブズ並みの「現実歪曲空間」に入っていることになる。そのいずれだとしても、パクリはあったことになる。(ただし本人が正直に申告していないだけだ。)

 

 3.専門家に任せるか?

深津貴之 氏の見解の主要な点は、「専門家に任せるべきだ」ということだ。

1. 大衆によるデザイン判断は、デザインの一側面しかジャッジできない。

2. 多面的ジャッジするためには、専門家への信任が必要

 

しかしながら、今回の最終案を決めたのは、専門家である審査員ではなく、素人である武藤事務総長だった。

   http://www.yomiuri.co.jp/national/20150904-OYT1T50016.html

ゆえに、「(決定を)専門家に任せるべきだ」という主張は成立しない。現実には専門家には任せられず、素人勝手に決めてしまたからだ。(そして佐野最終案に決まった。)

 

また、今回の主要な争点は、デザインの良し悪し(デザインジャッジ)ではなくて、五輪エンブレムとして採用するか否かだった。

デザイン的に良し悪しを判断する(ジャッジする)のならば、専門家が決めてもいいだろう。しかし人々が批判したのは、デザインの良し悪しではなくて、五輪エンブレムとして採用するか否かだった。そこでは、次の諸点が問題となった。

  ・ ベルギー劇場と法的争点をかかえている。

  ・ その法的争点は、類似性の有無であって、パクリの有無ではない。

  ・ トートバッグではパクリが判明した。(彼は犯罪者だと判明した。)

  ・ さらに、続々とパクリが判明した。(彼は大犯罪者だと判明した。)

  ・ 原案と最終案がまったく違うと判明した。(組織委は嘘をついた。)

  ・ 原案では、最終案にある大きな円がなかったと判明した。

   (大きな円を選考理由とした初期の説明は嘘だったと判明した。)

  ・ 最終案を決定したのは審査員たちでなく事務総長だと判明した。

   (制度を逸脱した暴走であると判明した。非合法ふう。)

 

これらの問題が続々と判明した。このことから五輪エンブレムとして採用するには適切ではない」という民意が生じたのだ。こういう民意無視して、「専門家判断に任せよ」というのは、問題デザインの面だけに限定しており、きわめて視野が狭い。まったく、問題所在理解していないと言える。

自分の専門領域のことしか理解できない人を「専門馬鹿」と呼ぶ。

今回の問題は、「劇場ロゴをパクったかどうか」というデザイン界だけの問題ではないのだ、と理解するべきだ。そもそも、「劇場ロゴをパクったかどうか」というのは、もともと争点になっていなかったと言える。(劇場だって、そのことを争点としない旨を主張している。商標法違反ではなくて、著作権法による類似を争点とすると主張している。)

今回の問題は、上で列挙したようなさまざまな問題が絡み合っている。ここで「劇場ロゴとのパクリではない」なんていうどうでもいいことを持ち出して、「専門家の言うことを聞け」と述べるような主張は妥当ではない。むしろ専門家こそ、民衆の声を聞くべきだ。

 

最後に一つ。

深津貴之 氏はデザインのことは専門家に任せるべきだと主張する。しかし今回のエンブレムは、エンブレムデザインとしての良し悪しで決まったのではない。展開力で決まったのだ。つまり、布地の柄物のパターン出来映えのような見方によって決まったのだ。

そもそも、(原案の)丸と三角と四角というデザインは、あまりにも単純で凡庸であり、これを「美しい」「見事だ」と思うようなデザイナーはいないだろう。なのに、心の底では「くだらん」と思いながら、はっきりと口に出せない。「展開力が優れている」と言われると、「なるほど」と言って承諾するだけで、「エンブレムとしてはあまりにも凡庸な図形だ」という本音を口にできない。

自分の(デザイナーとしての)内心の声を聞くことができず、説明された「展開力」なんていう言葉を信じてしまうようでは、デザイナーたちの良心というものを信用できないのである

専門家は、民衆の声を聞くべきだ。そしてまた、自分の心の声を聞くべきだ。「あの原案はあまりにも凡庸だ」と、自分の心の声が訴えているはずだ。

 


 

 追記。

 

id:sisya 参照元エントリ全然読解できていないように見える。単に似ているだけでは盗用にならず、依拠しているかどうかが重要。もう少し元記事を読み返すことをお勧めする。

 

本項の話を全然読解できていないように思える。「(劇場ロゴと)似ているか依拠しているか」というような話題は、争点にはなっていないというのが、本項の趣旨だ。そんなことはどうでもいいから関係ない、という趣旨

 

だいたい、そんなことは、たいていの人は話題にしていない。著作権を争点にしているのは、ベルギー弁護士だけだ。日本人ほとんどは、そんなことに関心を持っていない。関心を持っているのは、id:sisya さんや id:allezvous さんぐらいだ。

 

この事件問題点は、ベルギー裁判で勝つかどうかじゃない。そんなことを話題にしている人は、ほとんどいない。(そもそも裁判が成立するかどうかもはっきりとしない。訴えの利益がないので、却下されるかもしれない。そうなったら、著作権を争点にするのは、すべて空論になる。)

 

もちろん、本項でも、著作権問題にしていない。そもそもベルギーロゴとの関係問題にしていない。(ベルギーロゴとの関係などはどうでもいい、という趣旨。)

 

id:allezvous 著作権侵害要件たる依拠性を検討できない分析なぞ意味はない。

 

依拠性によらず類似性だけで著作権法違反を問える、と主張しているのは、私ではなくて、ベルギー弁護士 http://bit.ly/1VMxON2 です。詳細は、このリンク先にある週刊新潮記事に書いてあるので、そちらを読んでください。

一般に、ロゴのような単純な図形では、依拠性というものは(証明のしようがないので)問われず、類似性けが問題となります。たとえば、ミッキーマウス著作権では、単に似ているだけで問題視されます。いくら「真似したわけじゃない」と主張しても、「似ている」だけで問題視されます

なお、本項では、著作権についての「分析」なんかしていません。著作権は本項では話題になっていません。ついでの形で、1行か2行、ちょっと引用ふうに言及しただけです。

 

id:bros_tama あの記事は“五輪エンブレムデザインで何が問題であったのか”について書かれているんです.本来どうすべきであったか,解決のためにはどうする,とかはこれを踏まえて考えなくちゃいけないんだよね,という話です

 

それはわかっているし、本項もその趣旨で書いてあります

それを前提とした上で、“五輪エンブレムデザインで何が問題であったのか”ということは、今回の騒動ではほとんど意味がないことだ、というふうに評価しています五輪エンブレムデザインなんか、あまり重要ではないんですよ。デザインじゃなくて、これを採用するかどうかが問題なんです。

端的に言えば、「パクリデザイナー作品五輪正式採用することの倫理的な是非」です。ここでは倫理的問題があるだけで、美術的な問題はありません。美術的なことをいくら論じても、今回の騒動には何の関係もない、というのが、本項の趣旨です。

本質とは関係のないことをいくら解説しても、そんなことはどうでもいいことだ、という趣旨です。


 

誤解があるかもしれないので解説しておくと、私は別に、深津貴之 氏の見解否定しているわけではない。素人向けに専門家が詳しくデザインのことを解説しよう、という努力は立派なものだと思うし、有益でもある。

ただしそれは、あくまで今回の騒動のオマケふうのエピソードとか裏話であるにすぎない。楽屋裏の話。こっそり井戸端酒場でおしゃべりするための話題

今回の騒動は、佐野デザイン五輪エンブレム正式採用するかどうか、ということだ。それは、「採用しない」という形で、一挙に解決した。これだけが問題であったからだ。

一方、劇場ロゴとの類似性とかパクリとかは、ほとんど話題になっていない。だから、こんなことはどうでもいいことだ、というふうに評価している。

深津貴之 氏の見解を(間違っているとして)否定しているのではなく、(本質とは関係ないものとして)軽視しているだけだ。勘違いしないでほしい。

 


 

その後、状況が少し変化したようです。次の質問に答えようとして、気づきました。

 

id:Eizo0000 何と戦ってるんだ。

 

この問題専門家(つまりデザイナー)に委ねるべきで、大衆がこの問題に口出しするべきではない、という発想を問題視しています。そのことは、本文中で引用した箇所で、下記のことです。

1. 大衆によるデザイン判断は、デザインの一側面しかジャッジできない。

2. 多面的ジャッジするためには、専門家への信任が必要

 

しかしながら、この箇所は、今では次のように書き直されました。

1. 大衆によるデザイン判断は、外見やキャッチーさに集約されていまう。デザインの一側面しかジャッジできない。

2. 多面的ジャッジするためには、デザイナや弁護士など専門家への信任が必要

 

深津貴之 氏が、元の文章を書き改めたので、本項において問題視したことは、かなり色褪せてきたとも言えます

大衆デザインには無知なんだから口出しするな」というような方針が、少しは改まったのだとすれば、本項は一定役割があったと言えるでしょう。

 

  ※ 「集約されていまう」というタイポは、原文のままです。

    引用部分はコピペしました。

 

id:honma200 結論とかまとめを書かないから散らかりすぎてて良く分からん

 

まとめ:

この問題本質は、最終案が劇場ロゴパクリであるかどうかではなくて、考案者があちこちで画像の盗用をしたという問題である。つまりデザイン問題ではなく、法律違反をした作者のデザイン五輪採用するかどうかというという倫理面の問題である。したがって、この問題デザイン専門家に任せておけば済むというわけには行かない。「デザイン専門家に任せよ」という主張は、今回の問題本質からは外れている。

 

  

2015-09-01

組織委員会トップは優秀だった。パクリマン佐野エンブレム問題

パクリデザイナー佐野の件で、エンブレム取り下げが決まった。

さきほど東京オリンピック組織委員会の会見生中継を見たのだけど、

事務総長武藤さん、すごく優秀な人なんだなと思った。

案件としてはかなりセンシティブな内容にもかかわらず、

組織委員会審査委員代表永井パクリマンの佐野

それぞれの立場発言概要スタンスなどを無難にまとめて詳細に状況報告を行った。

組織委員会デザイナー専門家ではない。デザイナー専門家である永井さんが『これはパクリではない。でも一般国民には理解されないかもしれない』と判断したので取り下げた」

ときっちり責任逃れも行った。

今後の流れについても誠意が感じられるような説明を行った。

カンペキに近い対応をされてしまって残念でならない。

もう少し無能な方を用意できなかったのか。本当に残念でならない。

2014-11-01

威力業務妨害ヘイトスピーチ実害1500万円 言論テロに屈服?

元朝日記者の講師契約打ち切りか 脅迫事件の北星学園大(10/31 07:30、10/31 07:56 更新)

札幌市厚別区の北星学園大に、元朝日新聞記者非常勤講師の解雇を要求する脅迫状などが届いている問題で、教職員らで30日に結成した「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」は、同大が来春、この講師との契約を更新しない方向で検討に入ったことを明らかにした。

有志の会によると、田村信一学長が29日、学内の会議で初めて表明した。講師を雇用し続けるには、人的、財政的な負担が大きすぎ、来年度の入試も不安、との理由を挙げたという。学長は11月5日に予定している評議会に諮問し、理事会の意見を聞いた上で、学長として最終的に判断するとの考えを示したという。

この講師は2012年からこれまで、1年ごとの契約を2回更新している。同大北海道新聞の取材に、「内部の会議での話なので、内容は答えられない。(講師の契約については)学内手続きにのっとって進める」と話した。

大学関係者によると、北星大は脅しの電話、メールに対応する職員や警備員を雇ったため、1500万円前後かかった。爆破予告により、授業や入試が妨害されることも心配している。

攻撃されている非常勤講師は1991年、朝日新聞に韓国の元慰安婦の証言を韓国紙に先駆けて報じた。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/571712.html

朝日新聞元記者を来年度雇用しない意向 北星学園大学2014年11月1日04時02分

慰安婦問題記事を書いた朝日新聞元記者の植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に、植村氏の退職を求める脅迫文が届くなどした問題で、田村信一学長は31日、植村氏との来年度の契約について、更新しないことを検討していると表明した。

田村学長がこの日、記者会見して明らかにした。学長は、29日にあった副学長、各学部長、事務局長らとの会議で、植村氏との来期の契約を更新しない考えを持っていることを伝え、ほかの参加者からも賛同を得られたという。

11月5日にある大学最高意思決定機関の評議会と、中旬に開かれる理事会でも各メンバーから意見を聴くといい、その上で理事長と話し合い、12月上旬までには決めるという。

田村氏は更新しない意向を固めた理由について、警備強化などで財政負担が厳しい▽教職員が対応で疲弊している▽入試の際、受験生を巻き込んでまで「厳戒態勢」を続けるのは難しい――などの理由を挙げた。

その上で「今期については植村氏との契約を守っており、来期の更新がなくても外圧に屈したことにはならない」と説明した。一方で、「今でも抗議電話はある。我々も小さな大学であり、学生確保も安泰ではない」と語った。

こうした対応に反発する一部の教職員は30日、「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」を設立メンバーは「更新しなければ、外圧に屈したと受け取られる」と話した。

また、有識者らが結成した「負けるな北星!の会」も31日夜、札幌市内でシンポジウムを開催し、約220人が参加。同会メンバーは「言論テロに屈したように見られることになれば、社会へ与える影響は大きい」と述べた。

http://www.asahi.com/articles/ASGB06D5GGB0IIPE03D.html

慰安婦問題:北星学園大 元朝日記者処遇巡り学内相反 2014年10月31日 06時30分

従軍慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫状が届いた問題で、田村信一学長が来年度以降は植村氏を雇用しないとの考えを学内の会議で示していたことが、関係者への取材で分かった。

大学側の動きに危機感を持った教授らが30日、「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」を結成。メンバーの教員は毎日新聞の取材に「脅迫者の要求に応じれば被害は拡大する。踏みとどまらないといけない」と話した。

関係者によると、学部長らで構成される全学危機管理委員会が29日に開かれ、田村学長が「財政的、人材的問題」と「入学試験が心配」などの理由を挙げ、「来期の雇用はない」と述べた。11月5日に開かれる臨時の大学評議会に諮問。大学評議会理事会での意見聴取などを経て、最終的には田村学長が決定するという。

植村氏は2012年4月から非常勤講師を務め、留学生向けの講義を担当している。

毎日新聞は北星学園大に文書で取材を申し込んだが回答がない。【山下智恵】

http://mainichi.jp/select/news/20141031k0000m040172000c.html

慰安婦:元朝日記者に応援団「脅迫文で講師辞めないで」 2014年10月03日 07時30分

北星学園大(札幌市厚別区)に元朝日新聞記者非常勤講師を辞めさせなければ学生に危害を加えるとの脅迫文が届いた問題で、作家の池澤夏樹さんら識者が呼びかけ人となり、解雇しないよう同大を応援する「負けるな北星!の会(マケルナ会)」が6日に結成され、東京都札幌市記者会見を開く。

元朝日新聞記者非常勤講師は1991年8月11日の大阪本社版社会面で元従軍慰安婦の証言を報道した植村隆氏(56)。

同大によると、植村氏は2012年4月から、非常勤講師として留学生向けの講義を担当。今年3月中旬から、植村氏の採用を疑問視したり辞めさせるよう求めたりする電話や電子メールなどが大学に届き始めた。5月と7月には脅迫文が届いたほか、「大学を爆破する」との脅迫電話など、1日に数十件寄せられる日もあったという。

こうした状況に「脅しによる解雇が通れば、私たちの社会をも脅かすことになる」と案じた札幌市内の女性が9月、同大を応援するメールを送るよう知人らに提案。支援の輪が広がり、会の発足につながった。池澤さんのほか、山口二郎法政大教授らも呼びかけ人となり、2日現在、上田文雄札幌市長100人以上が会の趣旨に賛同している。

脅迫文については、同大から相談を受けた道警札幌厚別署が威力業務妨害容疑を視野に調べている。同大田村信一学長は「大学の自治を侵害する卑劣な行為で、毅然(きぜん)として対処する」との文書を出し、「学生や植村氏との契約を誠実に履行すべく、万全の警備態勢を取りながら後期の講義を継続する」としている。【山下智恵】

http://mainichi.jp/select/news/20141003k0000m040135000c.html

学者や弁護士ら、脅迫状届いた大学を支援する会 2014年10月7日03時39分

北星学園大(札幌市)に、非常勤講師を務める元朝日新聞記者を退職させるよう脅迫状が届いた事件を受けて、学者や弁護士ジャーナリストらが6日、同大を支援する「負けるな北星!の会」を結成した。東京都札幌市記者会見を開き、「学問と言論の自由を守るため市民は結束すべきだ」と訴えた。

この元記者は今春、朝日新聞社早期退職した植村隆氏(56)。2年前から北星学園大の非常勤講師を務めている。

呼びかけ人には元共同通信編集主幹の原寿雄さんや精神科医香山リカさん、北海道大学院准教授中島岳志さんらが名を連ねる。野中広務・元自民党幹事長上田文雄札幌市長ら約400人が賛同しているという。

東京での記者会見で、呼びかけ人の一人で弁護士海渡雄一さんは「言論を暴力で封じ込めるのはテロリズム。テロが放置されないよう市民も結束して『許さない』というメッセージを社会に送るべきだ」。小森陽一・東大院教授は「学問の自由の封じ込めで、憲法違反だ」と主張した。市民文化フォーラム共同代表の内海愛子恵泉女学園名誉教授は「外部からの脅迫で大学がいかようにでも動くという先例を作ってはならない」と訴えた。

小林節・慶応大名誉教授は、ネット上に元記者の長女の写真などがさらされていることに触れ「10代の女の子顔写真や名前までが公開され、自殺を教唆する書き込みもされている。テロとしか言いようがない」と語気を強めた。

会は今後、北星学園大を支援するための署名活動や集会を呼びかけていく。

     ◇

同会は呼びかけ人のメッセージを発表した。

池澤夏樹さん(作家)

たくさんの人が一人の人を非難している。その非難に根拠がないとしたら、もっとたくさんの人が立ち上がってその人を守らなければならない。

ぼくは喜んでその一人になる。

ぼくたちは言葉を使う。暴力は使わない。

■原寿雄さん(元共同通信主幹)

植村さんの勤務先である北星学園大学への脅迫に加え、娘さんに対するひどい脅迫めいたバッシングは、単なるヘイトスピーチではなく、明らかな犯罪だ。こういうことが見過ごされるようになったら、日本社会の自由な言論が封じられ、ものが言えなくなる。これは、大学の自治だけの問題ではなく、日本社会の大問題である

森村誠一さん(作家)

戦時報道の問題で、今「朝日」が他のマスメディアバッシングの的にされています。同業者が同僚の報道内容を餌にして叩(たた)きまくっているのは、「叩けば売れる」からです。次は自分が的にされるかもしれないのに、“武士の情”どころか、売上第一主義で叩きまくっています。

しかし反対者が「朝日」の元記者と家族・学生に至るまで、暴力的脅迫をあたえるとなると、思想、表現、報道、学問などの自由を弾圧するテロ行為となります。

日本はいま憲法をめぐって永久不戦と集団的自衛権が争っています。この両派のどちらからでも、反対思想、反対表現者に対するテロリズムが発生すれば、テロ派が民主主義の天敵であることを自ら露悪することになります。植村隆氏に対する暴力的弾圧を、広島、長崎、三百万を越える犠牲を踏まえて得た民主主義の名にかけて、絶対に許すべきではありません。

     ◇

呼びかけ人は以下の通り。

池澤夏樹(作家)

伊藤誠一(弁護士、元日弁連副会長

内田樹神戸女学院名誉教授

内海愛子市民文化フォーラム共同代表)

太田原高昭(北海道名誉教授、元北星学園大助教授

岡本仁宏(関西学院大教授、ワシントン大客員研究員

荻野富士夫(小樽商科大教授)

小野有五北海道名誉教授、北星学園大教授)

海渡雄一(元日弁連事務総長

桂敬一(元東京大教授)

加藤多一(絵本作家

神沼公三郎(北海道名誉教授

香山リカ(立教大教授)

姜尚中聖学院大学長)

神原勝(北海道名誉教授

古賀清敬(牧師・北星学園大教授)

後藤乾一(早稲田大名誉教授

小林節(慶応大名誉教授弁護士

小森陽一東京大大学院教授)

斎藤耕(弁護士

佐藤博明(静岡大名誉教授・元学長)

新西孝司(元高校教師

鈴木賢北海道大教授)

高橋哲哉東京大大学院教授)

田中宏(一橋大名誉教授

千葉真(国際基督教大教授)

中島岳志北海道准教授

中野晃一(上智大教授)

西谷修(立教大特任教授)

西谷敏大阪市立大名誉教授

原寿雄(ジャーナリスト、元共同通信編集主幹)

秀嶋ゆかり弁護士

福地保馬(北海道名誉教授、医師)

藤田文知(元BPO放送倫理・番組向上機構〉)

藤原宏志(元宮崎大学長)

真壁仁(北海道大教授)

松田正久(前愛知教育大学長)

水越伸東京大教授)

森村誠一(作家)

山口二郎(法政大教授)

結城洋一郎(小樽商科大名誉教授

渡辺達生弁護士

和田春樹(東京大名誉教授

http://www.asahi.com/articles/ASGB67JQTGB6PTIL03H.html

負けるな北星!の会 中野晃一氏と山口二郎氏「日本式マッカーシズム学問の自由への脅迫」 日本外国特派員協会

Koichi Nakano & Jiro Yamaguchi: "Japan-style McCarthyism and Threats to Academic Freedom"

http://www.youtube.com/watch?v=TNjWHwCQbcE

中野晃一

https://twitter.com/knakano1970

中野晃一 Koichi NakanoさんはTwitterを使っています: "情勢は極めて厳しいですが、引き続き北星学園が負けないよう応援を。まだ学内で頑張っている方たちがいます。 “@doshinweb: 北星学園大、元記者の契約更新せず 学長、脅迫問題で方針 http://t.co/yYVgdbsJBS”"

https://twitter.com/knakano1970/status/528353795776843776

山口二郎

https://twitter.com/260yamaguchi

山口二郎 自由を守る 2014年10月06日

先日、本欄で日本におけるマッカーシズムの出現を指摘したが、事態は一層悪化している。元朝日新聞記者で、記者時代に従軍慰安婦について記事を書いた植村隆氏及び家族に対する人身攻撃が常軌を逸している。

植村氏は、今年春から関西の私立大学の教授に就任する予定だったが、右派メディアの攻撃によって辞退を余儀なくされた。現在は、札幌にある北星学園大学非常勤講師を務めているが、関西の一件で味をしめた右翼の脅迫によって、来年度の継続が危ぶまれる状況となっている。植村氏の書いた記事に批判があれば、言論で戦えばよいだけの話である。学生や家族まで巻き込んで危害を加えるなどと脅迫することは、言葉によるテロである

現状を憂うる学者やジャーナリストが集まって、北星学園大学学問の自由を守るよう支援する運動を始めることとした。今の大学への攻撃を見ていると、戦前の天皇機関説事件や蓑田胸喜一派による自由主義者追い落としを思い出す。まさに戦端は開かれた。ここで右翼の横暴を止めなければ、これから日本における学問の自由は崩壊することになるだろう。

意見は違っても、言論には言論で対抗するのが自由主義の本質である。本紙の読者の方々にも、ぜひ関心を持っていただくようお願いする。

東京新聞10月5日

http://yamaguchijiro.com/?day=20141006

慰安婦報道めぐり脅迫文 2大学に元朝日記者の退職要求 2014年10月1日03時00分

北星学園大(札幌市厚別区)に今年5月と7月、慰安婦問題に関する記事を書いた非常勤講師元朝日新聞記者(56)の退職を求め、応じなければ学生に危害を加えると脅す文書が届いていたことが捜査関係者への取材で分かった。大学側から相談を受けて、北海道警札幌厚別署が威力業務妨害の疑いで調べている。

捜査関係者によると、文書は学長ら宛てで、5月29日と7月28日に郵送で届いた。印刷された字で「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける」「釘を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと書かれ、元記者や朝日新聞の報道を批判する内容。それぞれ数本の虫ピンが同封されていたという。大学関係者によると、9月中旬に「爆弾を仕掛ける」との内容の電話もあったという。

元記者は91年8月、元慰安婦の証言を韓国紙などに先駆けて報じていた。

また、帝塚山学院大(大阪府大阪狭山市)にも9月13日、慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者人間科学部教授(67)の退職を要求する脅迫文が届いていたことがわかった。大学被害届を提出、府警が威力業務妨害容疑で調べている。元記者は同日付で退職した。

府警や大学によると、同大狭山キャンパスに法人理事長や学長らに宛てた封書が計4通届き、それぞれA4判2枚の文書に「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。釘を入れたガス爆弾を爆発させる」などと記され、釘1本が同封されていたという。

元記者は韓国・済州島で女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を数本書いていた。朝日新聞社が8月、吉田氏に関する記事を取り消した際、吉田氏の証言を最初に取り上げた記事の筆者を匿名でこの元記者と記したが、その後、元記者でなかったことが確認された。

http://www.asahi.com/articles/ASG9Z63FLG9ZUTIL060.html

慰安婦報道 元記者の家族も攻撃 2014年10月7日03時38分

慰安婦報道にかかわった元朝日新聞記者が勤める大学へ脅迫文が届き、警察が捜査を進めている。インターネット上では、元記者の実名を挙げ、「国賊」「反日」などと憎悪をあおる言葉で個人攻撃が繰り返され、その矛先は家族にも向かう。暴力で言論を封じることは許せないと市民の動きが始まった。

この元記者は今春、朝日新聞社早期退職した植村隆氏(56)。2年前から続けてきた北星学園大(札幌市厚別区)の非常勤講師を現在も務めている。

大学は9月30日、学生と保護者に向けた説明文書の中で初めて、植村氏の退職を求める悪質な脅迫状が5月と7月に届き、北海道警被害届を出したことを明らかにした。3月以降、電話やメールファクス、手紙が大学教職員あてに数多く届き、大学周辺では政治団体などによるビラまきや街宣活動もあった。

同僚教員は言う。「もはや植村さんだけの問題ではない。大学教育、学問の自由が脅かされている」

攻撃は北星学園大にとどまらない。帝塚山学院大(大阪府大阪狭山市)にも9月13日、慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者人間科学部教授(67)の退職を要求する脅迫文が届き、府警が威力業務妨害容疑で調べている。元記者は同日付で退職した。

ネット子どもの写真や実名

「反日」「捏造(ねつぞう)記者」といった言葉で、北星学園大に勤める植村氏を中傷するネット上の書き込みが目立ち始めたのは今年1月末だ。

週刊文春」2月6日号が「“慰安婦捏造朝日新聞記者お嬢様女子大教授に」との記事を掲載していた。かつて慰安婦の報道にかかわった植村氏が、4月から関西の大学で教鞭(きょうべん)を執ると伝え、植村氏が書いた記事について「捏造記事と言っても過言ではありません」との研究者コメントがつけられていた。

ネット上で、大学へ抗議電話やメールを集中させる呼びかけが始まった。3月、大学側が「採用予定だった植村氏との雇用契約は解消されました」とホームページで公表すると、ネットには「吉報」「ざまぁ」の書き込みが相次いだ。

植村氏によると、その後、自宅に面識のない人物から嫌がらせ電話がかかるようになった。ネットに公開していない自宅の電話番号が掲載されていた。高校生の長女の写真も実名入りでネット上にさらされた。「自殺するまで追い込むしかない」「日本から、出ていってほしい」と書き込まれた。長男の同級生が「同姓」という理由で長男と間違われ、ネット上で「売国奴のガキ」と中傷された。

嫌がらせや中傷は今もやまず、植村氏が弁護士を通じてひどい書き込みの削除をプロバイダーに求めているが、削除が追いつかないという。

■各紙、足並みそろえて批判

朝日新聞は10月1日付朝刊で元記者の勤務先の大学に脅迫文が相次いで届いたことを報じた。2日付で「大学への脅迫 暴力は、許さない」と題した社説を掲げたほか、毎日、読売、産経の各紙も社説で取り上げ、厳しく批判した。

朝日の慰安婦報道を紙面で批判してきた産経は同日付で「大学に脅迫文 言論封じのテロを許すな」と題した「主張」を掲載。「報道に抗議の意味を込めた脅迫文であれば、これは言論封じのテロ」「言論にはあくま言論で対峙(たいじ)すべきだ」と訴えた。

毎日は3日付の社説大学への脅迫 看過できない卑劣さ」で、今回の事件の背景には「一部の雑誌やネット上に広がる異論を認めない不寛容な空気がある」と指摘。「ヘイトスピーチ(憎悪表現)にも相通じる現象だ」とした。

読売も3日付で「大学への脅迫文 言論封じを狙う卑劣な行為だ」と題する社説を掲載した。

■家族や職場への攻撃は卑劣だ

植村隆元朝日新聞記者の話〉 1987年5月、朝日新聞阪神支局に男が押し入り、散弾銃で当時29歳の記者が殺された。私は彼の同期だ。問答無用で記者が殺されたあの事件と今回のケースは異なるが、身近に思えてならない。家族や職場まで攻撃するのは卑劣だ。私が書いた元慰安婦に関する記事に批判があるが、記事を捏造(ねつぞう)した事実は断じてない。今後、手記を発表するなどしてきちんと説明していきたい。

テロ行為にも等しい

五野井郁夫高千穂准教授政治学)の話〉 民主主義の要である言論の自由を暴力で屈服させるテロ行為と等しく、大変危険だ。ネットや雑誌で「売国奴」「国賊」という言葉が飛び交う中、短絡的なレッテル貼りが今回の事件を惹起(じゃっき)していると考えられる。言論を暴力で抑圧してきた過去を日本社会は克服したはずなのに、時代が逆戻りしたかのようだ。私たちはこうした脅しに屈してはいけない。

■社会への不満、背景に

鈴木秀美・大阪大教授(憲法・メディア法)の話〉 嫌韓・反中やヘイトスピーチにつながる排他的な考えのはけ口として、朝日新聞関係者を攻撃する構図がある。背景に現在の社会への様々な不満も重なっている。雑誌が「売れる」ことだけを考え扇情的記事を書き、こうした暴力性をあおっている側面もある。メディアにはものごとを冷静に考える材料となるような建設的な議論が求められる。

■脅迫は許されない

八木秀次・麗沢大教授(憲法学)の話〉 慰安婦問題を報じた元記者が中傷されていることを当事者の朝日が問題視して、読者の理解を得られるだろうか。普段、企業や役所の不祥事を厳しく追及しているのだから、執筆の経緯を元記者が自ら説明すべきだ。ただ、個人を「さらし者」にして攻撃するネット文化にくみすることはできない。脅迫は許されないし、職を奪うまでの行為は行きすぎている。

国際的評価を下げるだけ

古谷経衡(つねひら)さん(著述業)の話〉 朝日の Permalink | 記事への反応(1) | 23:12

2013-09-01

シリア化学兵器保有から軍事介入までの私的まとめ

時系列


2012年7月23日

ロイター

シリア化学兵器保有認める、軍事介入への使用示唆も| Reuters

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86N00T20120724


シリア外務省のマクディシ報道官化学兵器保有と外国軍事介入に使用する可能性についてコメント


2012年8月20日

CNN

大統領シリア化学兵器使用に警告 武力行使念頭

www.cnn.co.jp/world/35020664.html


いわゆるレッドラインについて。

アサド政権に対して通告してきた通り、我々は化学兵器の移動や使用が目に入った時点で、越えてはならない一線を越えたとみなす」(オバマ大統領)


2012年12月2日

NY Times

Syria Moves Its Chemical Weapons, and U.S. and Allies Cautiously Take Note

http://www.nytimes.com/2012/12/03/world/middleeast/syria-moves-its-chemical-weapons-and-gets-another-warning.html

シリア化学兵器使用の兆候か 米情報当局が懸念

CNN

http://www.cnn.co.jp/world/35025181.html


化学兵器使用の懸念を伝える(兆候のみ)


2012年12月23日

IRIB(イラン・イスラム共和国放送 / イラン国営)

シリア、同国のテロリストによる化学兵器の使用について警告

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/34082-%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%80%81%E5%90%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%81%AE%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%AD%A6%E5%91%8A



おそらく、このタイミング最初に使用されたものと思われる。

イラン反体制側の使用と主張。リビアで盗み出された化学兵器は、シリアの暴徒やテロリストたちの手に渡っている、と。


2012年12月25日以前

アルジャジーラ反体制勢力側から情報としてシリア空軍から化学物質を搭載したロケット団を投下と報道


The Voice of Russia

シリア反体制派:政府軍化学兵器を使用した

http://japanese.ruvr.ru/2012_12_25/shiria-hantaiseiha-seifugun-kagakuheiki-shiyou/


2013年1月15日

ロイター

シリア化学兵器使用と米誌報道、米政府は否定的見解

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK830895520130116


この時点ではNSC化学兵器使用を認めていない。


IRIBもこれには好意的な反応。


米、シリアでの化学兵器の使用を否定

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/34575-%E7%B1%B3%E3%80%81%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%81%AE%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A


このあと、IRIBは度々反体制勢力による化学兵器保有・生産リビアからの入手をほのめかす報道


2013年1月30日

イスラエルダマスカス郊外科学研究施設を空爆


AFP

イスラエルシリア空爆を暗に認める

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2925432/10214232


レバノンへの化学兵器流出を止めるため、との見方。限定的。


2013年2月18日

ロイター

シリア戦争犯罪でICCに付託要請国連調査団が安保理

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91I00920130219


調査団は、殺害や拷問などの戦争犯罪政権側と反体制派双方に見られる


コメント。ただし、シリア国内での調査は行われていない。化学兵器についてはコメントなし。


2013年3月2日

ロイター

国連事務総長シリア化学兵器保有を懸念| Reuters

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82101L20120302


3月19日アレッポ北部などで使用したとの情報

ロシアNOW

シリア化学兵器を使ったのはどちらか?

http://roshianow.jp/politics/2013/03/22/42033.html


The Voice of Russia

シリア化学兵器使用

http://japanese.ruvr.ru/2013_03_19/108399085/


3月20日

CNN

シリア化学兵器使用か、政府反体制派が双方を非難

http://www.cnn.co.jp/world/35029732.html

ただし


4月首都ダマスカスなどで使用したとの情報


WSJ

シリア化学兵器を使用か

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324309104578431510694834152.html


5月ごろに化学兵器を複数回使用したとの情報


afp

シリア軍による化学兵器使用、「疑惑が高まっている」 仏外相

http://www.afpbb.com/article/politics/2946600/10792831

ジャーナリストによる証言も。


cnn

トルコ、「化学兵器」被害の患者存在明かす シリア内戦

http://www.cnn.co.jp/world/35031925.html


この辺から、少なくとも使用は間違いない状況。ただしどちらが使用したかは確定的な証拠はない。(シリア国内での調査ができないので)


6月4日


時事通信

化学兵器、4回使用に「根拠」=戦闘は「新局面」-国連調査団

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201306/2013060400776


国連が「信じるに足る根拠がある」とする報告書を公表。現地査察は行っていない。3,4月に起きた戦闘で使われたとの報告。


6月13日


cnn

政府シリアは「一線を越えた」 化学兵器使用と断定

http://www.cnn.co.jp/usa/35033394.html


一方でロシアはその情報を認めない。


WSJ

ロシア、米の武器供与に反発─シリア化学兵器使用は「説得力なし」

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578546861074009782.html


国連潘基文事務総長アメリカ反体制側への武器供与決定に反対、現地調査で事実証明する必要と強調。



7月9日

afp

シリア反体制派が化学兵器を使用」、ロシア国連大使が報告書

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2955110/11022598


今度は逆にロシアによる反体制派の化学兵器使用との主張。 西側諸国はこれに反発。この時点で10件の使用を報告。


7月10日

反体制派がこれに反発。ただし、アレッポ北部以外には触れてない。


ロイター

シリア反体制派が化学兵器使用を否定、ロシア報告書に反論

http://jp.reuters.com/article/jp_mideast/idJPTYE96A06Y20130711


7月18日

シリア国連による調査受け入れを表明

IRIB

国連シリア化学兵器調査団が、シリア訪問

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/38715-%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%B5%E5%99%A8%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%9B%A3%E3%81%8C%E3%80%81%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%92%E8%A8%AA%E5%95%8F


7月27日

毎日新聞

シリア:化学兵器調査へ、アサド政権合意国連調査団

http://mainichi.jp/select/news/20130728k0000m030052000c.html


最後段落

在英の反体制組織シリア人権観測所」によると、アレッポ郊外では24日ごろ、反体制派に加わるイスラム過激派投降した政府軍兵士51人を殺害した。

記事の内容的に少し違和感を持ったので抜粋




8月1日国連の現地調査団派遣に合意


AFP

シリア化学兵器使用疑惑国連調査団受け入れへ

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2955110/11022598


12日にも受け入れかとの報道


8月18日

AFP

国連調査団がシリア入り、化学兵器使用を調査

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2962475/11204973


調査団がダマスカス入り。2週間の調査の予定。

19日にも化学兵器が使用された模様。双方とも相手側を非難。


8月21日

CNN

シリア化学兵器使用の情報、1300人死亡か

http://www.cnn.co.jp/world/35036249.html


Huffington Post

【閲覧注意】化学兵器で1300人死亡か シリア反体制派、アサド政権への非難強める

http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/21/syria_chemical_weapon_n_3792176.html


今回の流れを決定づけた、重要な事件。ただし、人数については反体制シリア国民評議会による発表


8月23日

AFPシリア化学兵器攻撃」目撃者証言、青ざめた窒息遺体 吐き気や目の痛みも

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2963440/11234526


医療スタッフ二次被害にも触れている。


一方、この時点ではオバマ大統領軍事介入に慎重な発言。

ロイター

オバマ大統領シリアへの軍事介入に慎重姿勢崩さず

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE97M02720130823


米国がいずれ、シリア国内における複雑な宗派対立を解消できるとの考えは行き過ぎだ」



8月24日

産経新聞

シリア化学兵器」に4つの謎 調査団が活動中なのに…政権側優位なのに…

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130824/mds13082408450001-n1.htm


使用されたダマスカス近郊アイン・テルマがどちらの支配地域意見が分かれる。


8月26日

NHK

シリア化学兵器問題 国連 調査は継続

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130827/k10014056831000.html


21日の攻撃について26日から国連が現地調査するものの、向かう途中で銃撃に合う。


8月27日

WSJ

米英仏、シリア軍事介入準備ほぼ完了―アサド政権は対決姿勢崩さず

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324361104579039493731361738.html


23日の時点では慎重だったオバマ大統領もこの時は踏み込んだ姿勢に。


8月29日

議会、対シリア軍事介入認めず 米単独で行動も

http://www.cnn.co.jp/world/35036572.html


当初、英議会を通す前に限定的な攻撃を行うか、との観測すらあったが、結局下院の判断を待つことに。もともと無理筋だったので議会に諮った時点でキャメロン首相は攻撃不参加の腹づもりだったのかもしれない。


8月31日

ちょっとソースが見つからないが、テレビCNNではオバマ大統領が米下院電話攻勢。働きかけを強めてるとのこと。


読売新聞

国連調査団シリア出国…米国議会に説明

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130831-OYT1T01057.htm


CWC 化学兵器禁止条約

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc/jyoyaku/pdfs/05.pdf

9 「この条約によって禁止されていない目的」とは,次のものをいう。

.d 国内暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的



メモ

国連査察が正確かつ包括的に行われるかにかかってるといえるが、これに賭けるには少々イノセントか。

通過儀礼にならないためにはスピードの問題が大きい。

双方ともに使用している可能性も。


化学兵器の出どころ、入手経緯

アサド政権側は大規模な生産体制があるとの報道。500トンとも1000トンとも。

反体制側はリビア経由での入手との話も。また、アサド政権反体制側も生産能力があると主張。


誰が使用したか

そもそも反体制側が本当に化学兵器を入手しているのか、というところを含め不明。化学兵器もいろいろあり、扱いやすさや攻撃能力も違う。ただ、8月21日の使用がどちらの手によるものなのかは今後最大の焦点になると思う。それ以前での使用では、政府軍が味方の陣地内に着弾させてしまったとの情報もあり、ミスなのかそれとも。


アメリカは何のために介入するのか

ここが一番良くわからない。確かに去年8月の警告から何度も、使用または移動で一線を越えたとみなすと言っている。イデオロギー保護・拡大という時代でもあるまいが、イスラエル1月30日の攻撃で警告どおりに行動に移したというのは影響しているのかもしれない。

少なくとも、反体制派が一方的な善というのはありえない。また、アルカイダ反体制派に協力しているという奇妙な構図もある。

もうひとつ戦闘が終了したあとも、この中東地域ではアメリカ統治がうまくいかないのは民主党オバマ大統領が良くわかっているはず。(それがある意味危険を伴うにもかかわらず。9.11の遠因を忘れたわけではあるまい)

本丸イランとみるべきか。にしては予定している規模が小さい。

にしても、なぜこのタイミングなのか。

まり遅くなると制裁意味が無いとの観測もあるが、それなら規模が小さくてももっと早い段階で介入すべきだった。

軍事施設を民間人居住区に移す時間を与えないためという側面はあるだろうが。

8月31日になってオバマ大統領軍事行動について議会承認を求めることに。若干軟化か。



ロシアはなぜ安保理決議に反対するのか

シリア同盟関係にあるが、この化学兵器の使用に関しては国連による真相究明が先だと一貫して主張している。もちろん、それは初期にアサド政権自体が国連の調査を求めたからで、その後の反体制側による政権側の化学兵器使用の証拠があるとの報道以降は逆に受け入れを拒否するようになったのだが、ロシアは突き放す発言も目立つ。21日の件に関しては国連の調査が始まったばかりのタイミング政府軍が行うわけがないと主張。

2013-08-29

http://anond.hatelabo.jp/20130829172101

平和的に事態を好転させる立場にいるはずの国連打つ手なしで、事務総長現実逃避して日本ちょっかい出してるような現状はどう思いますか?

国連の人たちがもっと死ぬ気で働けばいいって感じですかね?

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