はてなキーワード: 洗面所とは
俺は塾講師だ。この業界、さっさと休みにしてしまったところも結構あるんだが、俺の務めているところは開けている。春期講習のシーズンに閉じるなんて、余程の資本でなければ難しいから。
その代わり、出来得る限りの対策をしよう、という話になった。まず生徒同士の距離を広くし、対面に決してならないように席の配置を改めた。1回の授業あたりの生徒数も制限をかけた。授業間には窓を完全開放して換気し、全ての座席を塩素系漂白剤の希釈液(ノロ騒ぎのときに使われてたアレな)で拭いている。まあこれは、こっちが休業しなければならないかどうかの瀬戸際なんだから、そりゃあ徹底するよな。問題は生徒の方なんだ。
もちろん、生徒側にも対策をさせなければならないので、最初に各保護者に以下のように通知した。
ところが……だ。まずマスクをしてこない生徒がいる。結構多い。次善の策として、マスクをしていない生徒には来てすぐにうがいをしてもらうことにした(正直効果ないと思うが)。あと、特に小学生に多いんだが、マスクが邪魔なのか頻りに触ったり、鼻を出したり、甚しきに至っては外してしまったりする。マスクに触る度に他の生徒の前で手を消毒してやると、触るのは控えるようになるけれど、ふと目をやるとマスクをしていなかったりする。これじゃ駄目だよな。せっかく親が苦労して探してきてくれてるんだろうに。
マスクの有無に関わらず、まず洗面所に直行させて手を洗わせる。ハンドソープはもともと常備してあるので、それで手を洗わせるわけだが、まーその洗い方が酷い。まともに洗える生徒は……ああ、一人だけいたな。確か親が看護師だった筈だが、この子だけは完璧な洗い方を披露してくれて、思わず見て唸った。しかしそれ以外の生徒は、手にピンポン玉位の泡を乗せ、表と裏に塗りつけて数度手を往復してジャー。おしまい、だ。あまりにそれが多いので、手の洗い方を教える気も失せてしまった。まあアルコールで……と思ったが、こういう生徒はアルコールでも同じことをやる。結局十分な手指の消毒ができない状況だ。
アホガキが……と毒突きたくなったが、これってよく考えたら親がそうやってるんだろうな。少なくとも、我が子がそうやって手を洗ったりアルコールで消毒していたりするのを見て満足しているんだろう。これが何を示しているか、というと、つまりは大人も含めて、日本人全体の認識がその程度だ、ってことなんだよな。
まあとにかく、日々これを見ているので、自信をもって言える。日本人、他の国の人達と比べてそう衛生観念、というか防疫の観念において優れてるってわけじゃないんだよ。たまたまハグやチークキスとかいう習慣がないってだけで、他はそう大したことはない。だからこの先COVID-19がどうなるか、俺はとてもじゃないが楽観的にはなれないんだ。
これから社会人になる人達に、一つ講師が教えてくれないマナーの話をしておこうと思う。
最終面接を突破して油断している人もいるかもしれないが、社会人にとってマナーは日常だ。
配属されたあと、非常識なムーブをしてしまって上司に目を付けられようものなら、
せっかくの新社会人生活が評価マイナスからのスタートになってしまうだろう。
鼻くそほじりもその一つだ。
社会人はみんな「わたし鼻なんてほじりません」という顔をしているが、そんなわけがない。
鼻をかむだけでは、入り口はともかく、ちょっと入った所にある鼻くそは取れない。
傍から見たら鼻くそがチラチラ見えてるクソチラ野郎になるのが関の山だ。
そうなっていないのは、皆こっそり鼻くそをほじって綺麗にしているか、ティッシュを鼻に詰める勢いで鼻をかんでいるかの二択しかない。
しかし奥の鼻くそまで取れるほどガッツリ鼻をかむとなったら、それはもうティッシュ越しに鼻をほじってるのと同じで、はっきり言って人前でやるのは憚られるほど見苦しい有様になる。
しかもこのやり方は、ティッシュを取り出すムーブと一度鼻をかむ音によって注目を集めた後に鼻の穴にティッシュを食い込ませるので、二重に見苦しい。
そんな事をするくらいなら、こっそり鼻くそをほじった方がましだ。
「一皮剥けば美人も髑髏」というが、これは「一皮」がいかに重要かを示している。
社会人は、絶対に一皮を剥かない。一皮を剥かない事によって社会人である資格を保持しているのだ。
うちの社長は酒の席で一皮剥いてしまったせいで即日辞任に追い込まれた。
マンガのようなパワハラが許されるのは、ブラックかせいぜい「濃い網掛け」レベルのグレー企業までの話であって、
「薄い網掛け」程度に白に近づいてくると、管理職といえども人前で鼻くそをほじるのはゆるされない。
ではどこでほじるのか?
候補としては3か所だ。
・洗面所
・トイレの個室
この中で極力避けたいのはエレベーターだ。
エレベーターは扉が閉まってしまえば「一人である事が保証された空間」なので、
中で鼻をほじろうがスクワットしようが絶対に人目に付くことは無い。
安心して鼻をほじれる。
が、ここでほじった場合、鼻くそを処理するには食うしかない。これは少々衛生的にどうかという所だ。
洗面所であれば目の前に蛇口とハンドソープがあるし、トイレの個室であればトイレットペーパーで拭うという選択肢がある。
洗面所は理想的に思えるかもしれないが、エレベーターやトイレの個室ほど「一人である事」が保証されていない。
急に入ってくる人がいた場合に備えて、聞き耳を立てながらほじらなければならない。これはいささか落ち着きにかける。
従って、理想的にはトイレの個室だ。ここならば落ち着いてほじれる上に、トイレットペーパーで処理もできる。
※なお、トイレットペーパーはティッシュほど柔らかくないので、トイレットペーパー越しに鼻をほじるのはお勧めしない。ゴワゴワした紙によって思わぬ怪我をする可能性がある。
しかし、職場によってはトイレの大に入るのをサボりと見做して厳しくチェックしている場所もあると聞くので、特に鼻汁が止まらない状態の人にとっては、実行頻度に難が出る可能性もある。
そうなったら仕方ないので、机の下に落とした物を拾うふりでもして頭を隠してほじろう。
大学生の常識は社会人の非常識だったりするので、マナーは万全にして清潔感のある新人というイメージを死守していこう。
ではまた。
新宿とか池袋とか秋葉原とかの駅や商業施設(家電量販店)などのトイレで
俺だけでなく多数の人間も目撃しているはずだ(気にしていない、記憶にとどめてないだけで)
俺はここ10数年在宅勤務だが、毎日出勤する身分だったらもっと大量に見ているはずだろう
(悪い偏見だが、地方ほどおっさんは清潔観念がゆるいイメージ)
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ちな、俺がこの問題を気にするようになったきっかけは感染症と関係なく
俺はよく公共機関のトイレの洗面所でコンタクトレンズを洗って装着するので
「俺が洗面台を占拠してるせいで手を洗わず出ていくのか?」と罪悪感を覚えていたが
俺が使ってる横の洗面台が空いていてもスルーして出ていく男があまりにも多いので
世の中には一定数何があっても手を洗わない男がいると確信するようになった
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生まれてこの方、「トイレで手を洗わず出ていく男を見たことがない」て人もいるだろう
ただ、それは気にする機会がなかったから記憶に残ってない可能性もありえる
俺の場合は上記の理由で「俺が洗面台を占拠してるせい? 俺のせい?」
できれば貴兄も
数か月意識的に駅や商業施設の自分以外のトイレ利用者を観察してから
無論「お前の一人の妄想だろ」と話を打ち切ってくれても構わない
https://www.yoshida-pharm.com/2018/letter128/
インフルエンザ感染の予防について、マスクの着用と手洗いによる予防効果に関するランダム化比較対象試験を行った報告があります5)。米国の学生寮にいる1437名の学生を対象に、マスク着用群、マスク着用+手指衛生群、コントロール群に分け、6週間にわたり試験が行われました。参加者全員に対し適切な手指衛生方法と咳エチケットに関する基礎的な教育が行われ、加えてマスク着用群には適切なマスク着用に関する資料が提供されました。また、マスク着用+手指衛生群には適切な手指衛生とマスク着用に関する資料が提供され、さらに調査期間中はアルコール系手指消毒薬が支給され手指衛生に使用しました。結果として、マスク着用+手指衛生群がコントロール群より有意にインフルエンザ様症状の発生率を低下させ、マスク着用と手指衛生の両方の実施が効果的であったと報告されています。
また、インフルエンザの家庭内感染について、香港の家庭を対象に、手指衛生群(マスク着用なし)、サージカルマスク着用+手指衛生群、コントロール群で比較を行った報告があります6)。まず参加者全員に対して健康的な食事と生活習慣の重要性について教育が行われました。手指衛生群、サージカルマスク着用+手指衛生群に対しては、患者を含むすべての家族に対して伝播を減らすための適切な手指衛生の潜在的効果について教育し、洗面所へ行った後やくしゃみや咳をした後、手が汚れた場合に、通常使用している石けんの代わりに提供した液体せっけんを使用するよう指導しました。また、家へ帰った時や汚染された場所を触った後はすぐにアルコール手指消毒薬を使用することも指導しました。サージカルマスク着用+手指衛生群に対しては、患者とすべての家族に対し、全員がマスクを着用すれば家族間接触での伝播が減少する潜在的効果について教育し、7日間、食事や就寝時を除き家庭内でできるだけマスクを着用するようにし、また、患者が家庭外で家族といるときも着用するよう依頼しました。調査の結果、マスク着用の有無に関わらず、手指衛生はインフルエンザの家庭内感染を減らす傾向が見られたものの、コントロール群と比べ有意差は見られませんでした。サージカルマスク着用+手指衛生群では最初の患者の発症後36時間以内に実施された場合には、コントロール群と比較して家庭内感染の有意な低下がみられたと報告されています。
手指衛生やマスク着用に関する報告を総合して検討すると、感染予防には手指衛生のみやマスク着用のみなど単独の方法ではなく、手指衛生にマスク着用などを追加することによる複合的な感染予防がより有効であると考えられています7)8)9)。
5) Aiello AE, Murray GF, Perez V, et al.:
Mask use, hand hygiene, and seasonal influenza-like illness among young adults: a randomized intervention trial.
J Infect Dis. 2010;201:491-498.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20088690
6) Cowling BJ, Chan KH, Fang VJ, et al.:
Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households:a randomized trial.
Ann Intern Med. 2009;151:437-446.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19652172
7) Jefferson T, Del Mar C, Dooley L, et al.:
Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses:systematic review.
BMJ 2009;339:b3675.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19773323
8) Wong VW, Cowling BJ, Aillo AE.:
Hand hygiene and risk of influenza virus infections in the community:a systematic review and meta-analysis.
Epidemiol Infect. 2014;142;922-932.
いつからかトイレの洗面所にはペーパータオルがなくなった。環境問題に配慮した結果だろう。でも、風邪やインフルに感染した人を治療するためにも、決して少なくないコストと環境負荷が生じている。今回の新型ウイルスでその負荷は大幅に跳ね上がる。ペーパータオルは復活させるべきだと思う。
「手」による接触は感染症の主な感染ルートだ。防ぐには手を洗う必要がある。公衆トイレや店舗のトイレなどでも石鹸やアルコールが置いてあることが多く、手を洗い清潔にすることは簡単だ。でも、清潔に保ったまま外に出るのは難しい。ドアノブのある扉だとほぼ不可能とさえ言える。トイレのドアノブは、満足に水分を拭き取れていない人が繰り返し触るので、かなり危険な物体だ。消毒用アルコールで濡らした手で開けるなどの裏技もあるが、普通にどこでも使えるのはペーパータオルを使う方法一択だ。
そもそもどうやって水分を拭き取るのか。ハンカチが清潔なのは、洗濯後の初回だけだろう。使用後の湿ったハンカチは、暖かいポケットの中でどんどん細菌まみれになっていくし、濡れた手をポケットに入れるのも望ましくない。おそらくポケットを濡らさないためにだろう、ハンカチをくわえて用を足す人を見かけるが、毎回未使用のものを使うのでない限り、絶対やめるべき行為だ。エアドライヤーは不潔な水分を吹き飛ばして撒き散らす代物だし、大して乾かないので近い将来なくなるだろう。ここでも唯一の解はペーパータオルだ。用を足す前にポケットの取り出しやすい場所にペーパータオルを差し込んでおけばよい。それ以外だと、ウイルス感染を防ぐために細菌感染は受け入れることにしてハンカチを使うか、露出しているズボンやシャツの表面ならそれほど細菌も増殖しないので、こっそり服やズボンで拭くなど、イマイチな方法ばかりだ。
このように個人的な対策でトイレでの自衛は可能だが、周りに蔓延してしてしまっては防御は難しい。日夜続くトイレでの不用意な人たちの病原体の交換会を止めるには、洗面所のペーパータオルホルダーを復活させるしかない。
私の働く事務所は上司と離れた小部屋で、ちょっとした流しや洗面所があり、隣の大部屋で働く人にはちょっとした息抜きのできる場所と思われているらしい。まぁ確かに大部屋は上司の目が光っているし、人がわさわさし過ぎて落ち着かないとは思う。
で、時々息抜きに来るのがいるんだな。日頃忙しい人がちょっと離れた場所に来て少しだけ仕事と関係ないおしゃべりをして帰っていくのはいい。が、たまに自分のせいなのにいかにも他人が悪いかのような愚痴を言って来るのとか、やたらと長居してサボっているとしか思えないヤツが来るとイラつく。
特に非常勤の女でなぜか「自分は美しい」と思っているらしいのが来るとうざい。いちいち鏡を見て自分の髪型や化粧についてぶつぶつ言い、こっちが「そんなことないよ。キレイだよ」と言うのを待っている。彼女を綺麗だと言う人もいるが、私は彼女の顔立ちが好みでない。ただでさえつり目でキツイ顔なのに細いもんだから狐のように見える。しかも女は細くてなんぼと思っているらしく、ちょっとでも顔に肉がつくと「太った」「顎が二重になった」とぼやく。婉曲に「ちょっと丸顔になってもいいんじゃない?」と言ってもそこを妥協したら女がすたるとばかりに納得しない。「そのままだとキツネ女だよ」と言いたいけどさすがに言えない。
大部屋の人々は忙しいけどコミュ力が高くて誉め上手だ。飲み会の席で彼女を「女子力高そう」「いつもお洒落にしてるよね」と持ち上げるからますます調子に乗ってしまった。確かに肌と髪は綺麗だ。若いからそんなにしゃかりきにならなくても綺麗でいられるはずなんだが、基礎化粧品とかにもこだわって高いのを使っているらしい。そしてBAにすぐに洗脳され、お気に入りの化粧品を職場のあちこちで宣伝して歩く。
あまりにも鏡の前でのセルフチェックとビューティーに関するトークがうざいので、「そんなの気にしてるの自分だけだから。周りはそんなに見てないよ」とか言ったら「いや、女子力大事です。○○さんとか絶対見てますよ」とか反撃してくる。確かに私はお洒落に無頓着過ぎるかも知れないし、○○さんは他人のファッションとか化粧とかよく見ていそうな人だ。が、お前のは女子力通り越して自意識過剰だと思う。まぁケンカしても仕方ないので「じゃあ○○さんは私が最近すごく太ったのに気付いてるんだけど、気を使って言わないのかな?」と話をそらしてみた。
仕事の面で彼女は雑なところや面倒を人に押し付けるところがあるので、そういう女子力高いアピールはかえって鼻についてしょうがないんだけど、これは単に私が彼女のことを嫌いなだけだろうか。
よく使い始めて10年ぐらい経つと冷蔵庫やら洗濯機やらがいっぺんに故障すると聞いていたけど、我が家にもそんな時期が来たらしい。
独り暮らしなので、家族で住んでいる人より壊れるタイミングが遅い感じなんだけど、家電品がちょっとずつ駄目になっていく。最初は冷蔵庫だった。自動製氷機能が利かなくなり、100円ショップで製氷皿を買って普通にそこに水を入れて凍らせるようになった。冷蔵庫としては普通に使えるので買い替えることなくそのまま使っている。
案外ダメージが大きかったのがテレビ兼パソコン用ディスプレイ。リビングの一番いい場所に置いてあるのに、そこでテレビが見られないのが不便。親画面でパソコン作業をしながら子画面でテレビを見られるところがお気に入りだったが、今はもうこういうディスプレイは売っていないと思う。
やむを得ず外付けテレビチューナーを購入。ついでに外付けHDDも買って録画ができるようにした。が、配線が一通り終わったと思ったらディスプレイの電源が入らない。どうせ壊れるならチューナーを買う前に壊れてくれれば新しいテレビかディスプレイを買ったのに。どうも電源ケーブルの接触がよろしくないらしく、何度かつなぎ直したら使えるようになった。が、今度はパソコンのディスプレイとしてうまく動かない。パソコンから来るデータをうまく認識できないらしい。一難去ってまた一難。
今のところ洗濯機は使用頻度が低いせいか無事だけど、アイロン台が歪んで傾いていたり、洗面所の収納の扉が壊れてうまく閉まらなかったり、小さな不具合が続いている。古いものを捨てて新しいものを買えば済むものもあるけど、捨てられない女としてはこれがなかなか難しい。
次に壊れるのは何だろうか。
幼児の面会が禁止されている産院だった為、お見舞いに行けなかったヒロコは、サキの退院を心待ちにしていた。
お祝いを手に、ヒロコはサキの家を訪ねた。
「ありがとう。片付いてなくて悪いけど上がって」
サキはほんの少し疲れの見える、けれど元気な笑顔で迎えてくれた。
「わぁ可愛い。ほら、赤ちゃんだよ、ユウ。寝てるから静かにね」
「あとで起きたら抱っこしてあげて。ユウちゃん、お菓子どうぞ」
部屋の隅でミニカーを走らせていたケンタにも声を掛けるが、ケンタは小さく首を振るだけだった。
「ケンタくん。一緒に食べない?」
ヒロコも声を掛けたがケンタは反応しない。
サキは苦笑いしながらコーヒーの入ったカップをヒロコの前に置いた。
ユウにはリンゴジュースだ。
ヒロコが制する間もなく、ユウはお菓子を口に運んでニコニコしている。
「ユウちゃん、慌てて食べると喉に詰まるよ。沢山あるからゆっくり食べてね。…ケンタの事は気にしないで。赤ちゃん返りしちゃったみたいでね、構って欲しいくせにずっとああやって拗ねてるの。ねー?赤ちゃんケンタちゃーん?」
サキがからかうように声を投げるとケンタは口をへの字に曲げてテーブルにお尻を向けた。
「ね?退院してからずっとこう。もうお兄ちゃんになったんだからそんなに甘えられても困るんだよねぇ。私だって赤ちゃんで手一杯なのに。放っておいていいよ。お腹が空いたら勝手に食べるから」
ふぇぇ…と新生児独特の小さな、けれども弱々しくはない泣き声が耳に届く。
ユウが反応して振り向いた。
「あかちゃ!ないてう!」
「赤ちゃんて泣き声も可愛いね。もうユウなんて泣いてもうるさいだけだもん」
抱っこしていい?とサキに確認して、ヒロコは赤ん坊を抱き上げた。
軽い。
ヒロコが頬をつつくと赤ん坊はきゅっと目を瞑り、口が緩やかに開いた。
生理的微笑だ。
ヒロコの頬も緩む。
「じゃあもう1人産めばいいじゃない」
サキがヒロコの脇を小突く。
「欲しいけどこればっかりはね」
ヒロコは苦笑いして上を見上げた。
「私の事を選んでくれる赤ちゃんいないかな~。降りてきて~!なんちゃって」
「今、空から見てるかもよ~」
その時ケンタがポツリと言った。
「赤ちゃんなんて嫌い」
サキが溜め息を吐いた。
「またそんな事言って…。ケンタ、ママが大変なのは見てわかるでしょう?お兄ちゃんらしくして欲しいな。ね?ママを困らせないで」
「まぁまぁ、ケンタくんも寂しいんだよ」
リビングの気まずくなった空気を和ませようとヒロコは明るい声を上げた。
「ケンタくん、知ってる?赤ちゃんて、ママを選んで産まれて来るんだよ。きっとこの赤ちゃんもケンタくんとケンタくんのママに会いたくて産まれて来たんだよ。ケンタくんだってそうだったでしょう?」
「そんなのしらない」
ケンタはふてくされた顔で横を向いた。
「忘れちゃってるだけなんだよ。ケンタくんだって赤ちゃんが産まれることまで空の上でわかってて今のママの所に来たんだよ。ユウはちゃんとママを選んで来たって覚えてるもんね?」
ヒロコがユウを振り向くとユウは急に自分に話を向けられた事にきょとんとしていた。
「ユウ、ママを選んで来たの、覚えてるよね?」
ヒロコに重ねて問われ、ユウはやっと頷いた。
「おそらのおじいちゃん」
「ええ?ユウちゃん覚えてるの?」
サキが驚きの声を上げた。
「そうなのよ」
「あの絵本を読んでたらね、ユウもここにいたって言い出したの。空の上から見てたって…」
サキが感嘆の息を吐いた。
「凄い…。本当に覚えてる子っているのね」
「私も驚いちゃって」
ヒロコも深く頷く。
「いいなぁ。ケンタなんか全然知らないって言うし、さっきもあんな事言うでしょ?この子には産まれる前の事を覚えておいて欲しいなぁ」
ケンタはそんな会話など聞こえないかのように部屋の隅でまた1人遊びに戻っている。
──
ひとしきり話した後、新生児のいる家に長居しては悪いと、ヒロコは腰を上げた。
「さ、ユウ、行こうか」
辺りに散らかったおもちゃを片付けながら声をかけると、ユウは口をへの字に曲げて手にしたおもちゃに力を込めた。
帰りたくないと言う意思表示だ。
ヒロコはつかつかとユウの側へ寄り、おもちゃを取り上げると箱へ戻す。
「やぁだぁ~!!」
ユウがわぁんと声を上げた瞬間、ヒロコはその頬を迷いなく叩いた。
パチンッと言う乾いた音が響き、ケンタがハッと顔を上げた。
サキも「え…」と声を漏らす。
叩かれた痛みに更に泣き声を大きくするユウをヒロコはぎゅっと抱き上げる。
「ユウ。痛かったよね。ごめんね。でもママの手も痛かったんだよ。ママだって嫌だけどユウがワガママ言うから仕方なく叩いてるの。わかるよね?ユウも叩かれたくないでしょう?」
ゆっくりと低く、含むように諭すヒロコ。ユウは涙目を開いて、うん、と頷いた。
「わかったね。じゃあ帰ろうか。」
「うん」
掛ける言葉が見付からず目を泳がせているサキににこりと笑うヒロコ。
「驚かせてごめん。最近は私も我慢しないで正直に怒ることにしてるの。叩くのはよくないけどちゃんと理由もあるし、説明すればユウも今みたいわかってくれるから」
「そ、そっか。うん、いきなりだからびっくりしたよ…」
「ちゃんと愛を持ってやることは子供にも伝わってるんだよってあの作家さんも言ってたから大丈夫」
ヒロコの自信に溢れた顔を見て、サキはふっと息を抜いた。
「ヒロコ、変わったね。この前来たときは凄く疲れてたから心配だったけど、ちょっと安心した。しっかり考えて育児出来てるの偉いよ!私も頑張らないとって思った」
「色々ありがとうね。サキが話聞いてくれたおかげだよ。また辛いときは頼っていい?」
サキは「もちろん」と応じた。
ヒロコはユウの手をギュッと握り、その暖かさを噛み締めながら帰路に着いた。
──
それから数ヶ月、目に見えてユウのイタズラは減っていた。
いや、ヒロコの意識が変わった事でイタズラが以前ほど気にならなくなったのかも知れない。
自分は背負い過ぎていたのだと気付いて、ユウへの接し方を変えてから育児がうまくいっていると感じていた。
ヒロコがそんな物思いに耽っていると洗面所の方から不穏な物音が聞こえた。
ふと見るとさっきまで目の前にいたはずのユウの姿が消えている。
ヒロコは溜め息を吐きながら洗面所へと向かった。
一体何をどうしたのか、ユウは洗面台の前に出来た水溜まりにびしょ濡れで座り込んでいたのだ。
「ユウは本当に悪い子だね…」
ヒロコが声を掛けるとユウはびくりと体を震わせた。
ヒロコは躊躇いなくその頬に手をあげる。
ヒィン…と小さな声を漏らしたユウの瞳から涙がポロポロと零れた。
「ユウはママに叩かれたくて生まれてきたのかな。ユウのせいでママの手が痛くなっちゃった」
「ママ…ごめんしゃい…」
か細い声でしゃくりあげながらユウはヒロコを見上げる。
ヒロコはため息を吐いてユウの前にしゃがみこんだ。
「ママは、ユウがママを選んでくれた事、本当に嬉しいんだよ。だからがっかりさせないで。ちゃんとママの事喜ばせてっていつも言ってるでしょう?」
ヒロコが諭すように言うとユウはこくりと頷いた。
ほら、怒鳴る必要なんかない。心で話せば子供に伝わるんだ、とヒロコは実感していた。
「ユウはママの事嫌いなの?」
「すき…ママのこと、すき…」
ユウは絞り上げるように言葉を紡ぐ。
ヒロコはにっこりと微笑んだ。
「よかった。ママもユウが大好きよ。じゃあ一緒にお片付けしようか」
ヒロコはユウの肩を抱き寄せた。
手が触れる瞬間、ユウの体が硬直したように感じたのは水に濡れた寒さからだろう。
ヒロコはいそいそとユウの着替えを用意した。
このくらいの悪戯なんて何でもない。子供のしたことをいちいち怒鳴っても仕方無いんだから。
ヒロコは余裕を持ってそう思える自分に満足していた。
子供に愛され、子供を愛する事はなんて素晴らしいんだろうと満ち足りていた。
ヒロコは幸せだった。
~完~
前半はこちら↓
・階段を登ろうとして一段目を踏み外す頻度が増えたことに気付いたとき
・デス・ストランディングの文字が小さすぎてハズキルーペを買ったとき
・DMMの購入リストが人妻NTR漫画と官能小説で埋め尽くされているのを見たとき
・Amazonの購入リストが健康関連の商品で埋め尽くされているのを見たとき
・楽天の購入リストが地ビールとワインとピッツァ関連ばかりだと気付いたとき
・食事のついでにビールを2~3本軽く開けるということができなくなったとき
・寒い季節に耐え続けるのが本気でしんどいと感じるようになったとき
・どうすれば洗面所と風呂場でヒートショック死しないようできるか考え始めたとき
・結構いい値段のするオイルヒーターをいくつも愛用するようになったとき
・家のアルミサッシ窓を全て高性能トリプルガラス樹脂窓に変えたとき
・その様子を他の客に笑われてもしばらくのあいだそれに気付かなかったとき
・若い時にジャンボ系のパフェとかをちゃんと食べておけばよかったと思ったとき
・週3~4ぐらいでラーメン屋に行っていたのにせいぜい月1ぐらいになったとき
・丸亀とキッコーマンの存在を心底ありがたいと思うようになったとき
・米津を歌うたうために近所のカラオケ屋さんに毎週末通うようになったとき
最近は下ネタ的な内容に世間が寛容ではない気がして覆面をかぶってここにやってきた。
数か月に一度欧米の人のエロ動画見たくなり色々探すのだが、皆高橋名人が憑依したかのようにクリトリスを連打している。
十代の頃に初めてその映像を見た時は「裸の金髪の女性が叫びながらクリトリスを連打している」というだけで
無条件に興奮し、女優のこするスピードに合わせて右手も嬉しそうに動いていた。
しかし最近ではその連打っぷりを見て興奮するのではなく、小学生の頃ファミコンのコントローラーを連射していたあの懐かしい日々を
思い出すことが多く、女優さんの「ファック」という叫び声もなぜか夕暮れ時のカラスの鳴き声に聞こえてしまい、私はそっとブラウザを閉じて
今の私はあの時の私がなりたかった私だろうか。
そんなことを考えながら、私はsquirtingと入力するのだった。