はてなキーワード: ぼそぼそとは
だってそうでしょ?
顔は良くないし胸もそれほどないし
実家だって太くないから看護学校に入学して、あまつさえ中退する金もない
でも彼女みたいに話題をかっさらうことはおろか、炎上だってできやしない。
日陰で団子虫の様に丸まって、ぼそぼそ数十フォロワーの世界で呟くことしかできない。
彼女みたいにメンタルが折れやすい癖して、すぐに復活なんかしたりしない。
突然人の5倍の仕事が降ってきたときに、乗り越えることすらできない。
完全に夢見りあむの下位互換なんだ、私は。
でも、私だけじゃないよね。
何人そうかまでは分からないし分かりたくもないけれど。
みんなだって、そうでしょう?
夢見りあむの下位互換なんでしょう?
うどんと向き合ってました。
といっても製麺機の調子を見るためにまずは成功体験というわけで、
うどん打ってみまくってたのよ。
結果ちゃんとみずみずしい腰のある美味しいうどんができました。
冬場は水気持ち多めが良いみた。
レシピでは90ccとあるけど湿度の低いときとかは多目外衣みたいなのよね、
といっても十割は超難易度高いので、
結果してはまだまだだけど、
初回に作ったお蕎麦よりもマシだったわ。
このそば粉5割りというのは守りたいわ。
でも出来たら出来たでその分また消化しなくちゃいけないんだけど、
今度は今度でうどんを茹でる鍋のお湯がすぐにドロドロになる問題発生なのよ。
おうどん屋さんのうどん茹でる釜はあんまりそんなに頻繁にお湯取り替えてないみたいじゃない?たぶん。
水を足してるんだとおもうんだけど、
だからコンロのすぐ近くに蛇口があってすぐ水入れれたりできるじゃない。
まあお家うどんなのでそこまでこだわらなくていいんだけど、
またじゃんじゃん製麺していきたいわ。
結構慣れてきたら茹で上げまでで30分ぐらいで、
慣れたら楽なのかもね。
こればっかりは時間短縮出来ないのよね。
丁寧に洗わなきゃだしねこれが大変よ。
あとは大きな小麦粉入れにバッと大きなスプーンで小麦粉が取り出せてすぐ量れるようにすることだけできたら、
もっと手早く出来るわね。
うふふ。
こないだ赤いドラゴンフルーツを食べたら、
大の便が真っ赤だったので、
しかもドラゴンフルーツ食べてたこと忘れてたのでマジで血便かと思っちゃったわ。
気を付けなくちゃね。
そんなわけでどんなわけだよと思いつつ、
大麦の混ぜ込んであるプチプチ食感のおにぎりに最近ハマってるので
おすすめよ!
グレープフルーツを輪切りにして、
今回はちゃんと搾らないで輪切りにして使ってみたわよ。
身体は冷やしすぎないようにね、
なんかそんなこと気を遣ってる人はやたら夏でも白湯飲んでる気がするのよね。
すいすいすいようび~
今日も頑張りましょう!
いきなりですが自分は今回が同人イベント初参加だったのです。正確に言えばお○かけライブなんかには顔を出していたりしていたのですがあのイベントはグッズ参加だったりファンの交流会としての側面が強かったりしたので本を売買するのがメインであろう同人誌即売会への参加はこれが初めてということになります。
「分からねえ……分からねえよ! 自分には何が正解なんだかひとっつも分かりゃしねえ! いったいどうすりゃいいってんだ!」
このようなハラハラドキドキを抱えつつ準備を進めます。まずは小銭です。イベントでは300円や700円など100円玉硬貨があった方が支払いやすそうな価格の本が大量に並んでいそうなことは予想できました。ならば両替だ! と銀行に行ってぼそぼそとした陰気な声で「アノー……リョウガエタノンマース……」とか言わなきゃならないのか、憂鬱だな……とこの時点でコミュニケーション能力に難のある自分はテンションが下がりましたがここは快適な薄い本漁りまくりタイムのため、と銀行にて両替を敢行。無事に大量の100円玉と500円玉を入手するに至ったのです。
次はカバンです。カバンが無ければ本を入れられません。丈夫で大きいカバンの予備が無かった自分はその足で雑貨屋へと向かいました。ファッションセンスというものと無縁なので店員さんに勧められるままシャレオツっぽいものを買ってしまって「どうすんぞこれに合う服とかねーし! 合わねえし!」と内心焦りながら会計を済ませます。とりあえずなんとなく合いそうなものを近くの服屋で見繕いましたが終わった今となってはこのチョイスが正解だったのかどうか大いに疑問が残ります。やっぱ一人で買い物なんかするもんじゃねえや!
あんまり規模が大きいと迷っちゃうかもしれないし、だからって寂しいのもなんだかなあと優柔不断な自分は迷います。泊りがけという選択肢はありません。日帰りです。日帰りは決定事項なのです。仕方ないのでピクシブにてサンプル巡りをします。
「……二日目だな。これは二日目だな。というか他の日にあまりにも人が……気のせいか?」
この時点では配置図は出ていませんでしたが、気のせいではありませんでした。しかしこれはこれで多そうだなあ大丈夫かなあと不安になりつつサークルチェックを進めます。と言ってもナンバーが出て居なかったのでカップリング別にサークル名をメモしておいたぐらいだったのですが。
ゴールデンウィークなんだよなあ、自由席って空いてるかなあ、いざとなったらこだまに乗るぞ! 不安が頭をよぎるたび、自分はイケるイケるとそれを頭の隅に押しやります。不安いっぱいでは恐怖に駆られてせっかくの買い物も思うように楽しめないだろうからという浅はかな考えですが、そうでもしないとこのときの自分は夜も眠れそうになかったのです。
朝早くに起き下手なメイクを施し慣れないスカートを履き荷物をせかせか準備します。財布はイベント用と普通に使う用を2個持ち、なんだかファンシーなデザインの大きいカバンを肩に引っさげ、支度は整いました。朝飯代わりのウイ○ーインゼリーを胃袋に流し込み士気を高めます。
怖え……人いっぱい居るとこ怖え……でも! 行かないと、そこにパラダイスがあるから! 自分は行かなければならないんだ! このような寒いことを考えでもしないと冷静ではいられませんでした。引きこもりをこじらせるとこのようになるので皆さんも気を付けてください。要らぬ心配だとは思いますが。
市内電車に乗って新幹線が停まる駅まで向かい、駅に着くと切符を買ってそわそわしながら列車を待ちます。し、新幹線か、慣れてないからなあ。席空いてるかなあ。立ちっぱは辛い距離だよなあ。考えている間に列車は到着しました。中を覗くと若干の空席があるようでした。よっしゃ! などと言おうものなら不審者まっしぐらなのでここはぐっと抑え、乗り込みます。
乗っている間は携帯をいじったり腕を組んで妄想に励んだり携帯用固形食をかじったりするぐらいで特にどうということも無かったのですが、寝ると荷物をすられやしないかと神経過敏な自分は警戒し続けていたのであまり気が休まりませんでした。とはいえ一人なので寝ないのが当たり前と言えなくもない気がします。
名古屋駅に着くと、そこは未知の国でした。「……デカい!?」というのは規模に対しての感想です。名古屋ってどんなところだろう、味噌? 味付けが濃い? モーニングが豪華? 程度のにわか知識しか無かった自分は大いに驚き、迷いはしないかとビビりました。が、案内板通りに進むことで無事方向音痴の自分も乗り継ぎ切符を買い豊橋駅に向かうことが出来ました。今回は観光出来ませんでしたが、次に来るときは周囲を散策してみたいなと思っております。
豊橋駅に着くと外がなにやら騒がしく、ふらふらと声のする方へ向かって行くとイベントをやっておりパフォーマンスとしてよさこいらしきダンスを披露していました。そのままぼけーっと眺めていましたが、はっと腕時計を見るともうすぐ開場時刻! しかもここバス出るとこと反対出口! 気づいた自分は慌てて早歩き。「待ってろよST豊橋2、もうすぐ自分はそこに着くんだぞ! 逃げるなよ!」逃げねえよ、と思うだけの冷静さはもう既に頭から無くなっておりました。
早足で外に出るとYOUの案内板を持ったスタッフが見え、その方の指示する方向へ向かいます。この時点で同じ目的と思われる方々に取り囲まれていました。会話の内容から彼女たちが誰萌え、あるいはどこ校萌えであるのかが窺い知ることが出来なんだか暖かい気持ちになりましたが、同時に一人で歩く自分に対しどこか寂しい気持ちになりました。しょうがないですよね、ぼっちで来たんですから。
「バスが……立派だ!!」
第一印象がコレか、と思われるかもしれませんが立派でした。観光バスを借りるとは、……儲けてやがるな!? などと下衆な感想を抱きましたがそこは脳内で流して乗り込みます。既に車内には何人か待機しており、彼女らもまたこれから向かう会場に対しての予想などを並べ立てていました。なんせ地図で見た限りは倉庫でしたから、会場として機能するのか不安もあったのだと思われます。かくいう自分もその通りで、大丈夫かなあとぼんやり考えながらバスに揺られていました。さあ会場はもうすぐそこです。
「うわ外観めっちゃ倉庫やん!」まんまじゃねーか、な感想は置いておきます。手荷物検査を受けるとシールを渡され目立つところに貼っておくようにと念を押されました。流石にセキュリティは厳重です。なんだかピリピリした雰囲気だなあと思いながら入口から会場の様子を窺います。
そこに居たのは300スペース超のサークル参加の方々と、今日を楽しみに集まってきた一般参加の方々、その方々の熱気で構成された異空間、夢が形になった場所でした。ここにいる人たちは趣向の差はあれどおおむね同じ目的で参加しているんだなあ、そのことを実感し感動しました。生の空気というものはいいんだなあ。同人誌なんて通販で買えばいいじゃん、そのように冷めた気持ちが自分の中にあったことは否定できません、しかしこのときをもってそのような斜めに構えた気持ちは消え去ったのです。この熱を自分の肌で感じ、自然とそのようになったのでした。
ややまごつきながらパンフレットを買い、きょろきょろとあたりを見回しながら会場の隅に向かいます。パンフレットの配置図へ事前にチェックしておいたサークルをマーカーで引き、いざ出発! 果たして無事に買うことが出来るだろうか、そう思いながら横目で受付近くを見ているとなぜか地元の団体さんがはんぺんを配っていました。後で聞くとこのはんぺんは無料だったようで、というか放送でもそんなことを言っていたようで、しかも美味しかったという感想もあり、もらっておけばよかったかなあなどと今更現金なことを考えています。
目当てのCPの島に来ると当たり前ですが同じCPが固まっていて、そこで買い物をしている方を見て「あ、同じCPが好きなんだな」と思うとなんとなく嬉しく思いました。自分ではあまり買わないCPでもポスターやポップが来られているとついつい寄ってしまい「よし買いだ!」と買わせてしまう、そんな勢いや愛にも満ちていました。幸せな気分で今日一番の目当てだったサークルさんの所に足を運びます。無事に帰るだろうか、緊張しながらスペースに向かうと……。
誰も居ない。あれ、間違えたかな、と机に張り出されているナンバーとサークル名を見ました。間違っていません。すかさずツイッターで確認を取ります。今日になって急遽欠席が決まったようでした。しょぼくれましたが、気を取り直し他のサークルさんの元へ向かいます。ここで挫けてはいられません、目当ての本は他にもたくさんあるのですから。分かってはいても、やっぱり残念でした。またの機会があれば今度こそ、と思いつつ探索を続けます。
「おおう、やはり色がどこも派手だなあ。こういう彩のあるジャンルは見てるだけでも楽しくていいよね」
なんて他人事なコメントだと思われるかもしれませんが、現実の光景だというのに目の前で行われているイベントにリアルさを感じることが出来なかったのです。そこはさながら夢の国、すっごい遊園地。異世界でした。普通にレイヤーさんが歩いているのを見て○○が歩いてる……そんな風に茫然とするしかなかったのです。BGMとしてキャラソンがかかりまくり、人はごったがえし、そこらじゅうで普段は出来ないジャンルトークを楽しんでいる。夢のようでした。同人イベントっていいなあ、漠然と抱いていた憧れはここで実感に変わったのです。
コピー本コンテストに投票したり、同人誌なのにすごい厚いよ!? とアンソロジーを見て驚愕したり、「だって○○受けってここしかないじゃん……」とジャンル友達にぶっちゃけトークをしているのを聞いて複雑になったり、桃リコが可愛かったり、こんなCPあったんだーと驚いたと思っていたらいつのまにか買っていたり、委託本にも手を出したり、同じところをぐるぐる回って「へへへこのCPもいっぱいいるじゃんすげーじゃん」と悦に入ったり、……とにかく、普段では絶対に発散できない類の衝動を思いっきり発散できる場所であり、幸せが形になった場所でした。
「そういえば、このジャンルはしばらくイベントが開催できなかったんだよなあ……」
噛みしめます。無事に開催できて本当に良かった。これだけの人が喜びを分かち合える空間が壊されなくてよかった。どうかもう、中止などという悲しすぎることが起こらないように。改めて祈りました。
そろそろ会場を後にしなければ。腕時計を確認すると会場を出てバス乗り場に向かいます。クレープの屋台などが出ていましたが、どうも待ち時間的に食べられそうになかったので泣く泣く断念。ちくしょう、時間に余裕を持って行動しないとな。
バスに乗り込むとイベントの熱が冷めやらぬ人たちが熱心に語り合っています。これが公共の交通機関であれば眉をひそめられることなのでしょうが、ここはイベント専用の車内です。思う存分余韻を分かち合会えるこの空間もまた乙なものだなあと思いました。ただ、送迎用にバスを用意するなんて普通は無理だよなあとも思います。アフターがしたいならやはり2次会にしておいた方が良いようです。自分はぼっちなのでどうにもなりませんが。
バスから降りると、一気に現実に引き戻されました。もう夢は終わったんだ。でも、自分には思い出が出来ました。代えの利かない大切な思い出です。また行きたいな。今度もこのジャンル、いや別のジャンルか、ジャンル無しの大きいイベントにも勇気を出して行ってみようか。今までは恐怖が先立ちどうしても踏み出せなかった一歩をやっと踏み出したこの日、自分の世界は広がった気がします。今回のイベントに参加できてよかった。心からそう思っています。
最後に、主催のスタジオYOUさん、イベント開催お疲れ様でした! また次も頑張ってください、応援してます!
愚痴だとか自分の中の暗い部分とか、そういうツイートをする垢を消してきた。
元々はそういうアカウントでもないし、全員身内だがフォロワーもいるアカウントなのでTLに人がいることも当然あるし、身内同士で盛り上がっていることもある楽しい垢だった。ただ、一度TLの雰囲気が病み垢(というのが適切かはわからないが)のようになってから、ぼそぼそとそういったツイートをする垢になっていった
だが、いつしかそういったツイートをするのは自分だけで、はじめは共感などのいいねをされることもあったが、最近はうんざりされたのか、何も反応がなかった。当たり前のことだ。人のネガティブな気持ちにいちいち目を向けていては疲れてしまう。
それはわかっていても、自分ではどうしようもないから助けが欲しくてツイートをやめられなかった。
なのに、昨日 突然辞めてもいいんじゃないかと思えてきた。だから また呟きたくなっても呟けないようにと思ってアカウントごと消してきた。
身内の中でも特にある程度許している範囲の広い身内しかいないアカウントだったので、居心地が良かったし、消したら消したで何かと不便だと思い、中々踏み切れなかったが、自分の中の何かがすっぱりと切れ 消えてしまったのですんなりと削除できた。
何となく、身辺整理だとか何だかそういったものをした気分だ。これが自分にとって最良の消え方だと、無理やり思い込もうとしているのかもしれないが、そう感じている。
TLの人たち。今までご迷惑おかけしました。不快な思いばかりさせましたね。ごめんなさい。
救われたい。
19回目の誕生日、斎藤さんに会った。もう二度と会うことはないと思っていたのに再会は突然訪れた。
今日で授業が終わって、夏休みだから実家に帰ろうと高速バスに乗った。バスは夏休みを利用して遊びに来た中高生やらサラリーマンやらでいっぱいで、後から乗った私は仕方なく補助席となった。そしたら隣が大学生っぽくて、寝たふりしておっかかってた。(乗った時は毎回して、反応を楽しんでいる)
その人はすごくいい匂いで、落ち着く匂いの中にムスクみたいな官能的な匂いがあって、どこかで嗅いだことのある匂いだった。考えていたら相手ももたれかかってきて匂いが強く鼻をかすめる。薄いTシャツから熱が伝わってきたこの匂いはもしかして。。
「斎藤さんですか?」
少し間が空いて、そうだよと返ってきた。少しびっくりした顔をした斎藤さんが、可愛かった。奇跡的な再会をして、私が辞めてからバイトで新しい人が入ったとか、実習のことだとか、ピザ屋の宅配のバイトがしたいとか。私が話をふると斎藤さんは時々こちらを見ながらメガネを触ってぼそぼそと喋って、相変わらずネガティブな話をずっとされた。なんとなく受験を受けてトップ校に入学して、運良く国立大に入ってだらだらと夏休みを送る斎藤さん。平凡な斎藤さんが、殺したいくらい羨ましくて、いい匂いがして愛おしかった。私は斎藤さんが大好きで、そうと知ってても冷たい斎藤さんに絶望していたんだった。
けれど不甲斐なくて賢くて運がよくて爽やかで脆くて、斎藤さんは素敵だった
時間はあっという間に過ぎて、下車する時がきた。大学に寄るって言うから一緒に降りると言ったのに自転車で来たからと断られて、仕方なく家の近くで降りた。
大学へは車で行ってるの知ってるのに。やはり斎藤さんは冷たかった。お茶もしたかったのに。海も行きたかったのに。
付き合ったってどうにもならない。将来性もない。つまらない人だ。つまらないの根底にあるのは中学で起こった彼へのイジメらしい。私はいじめを受けて、デビューを果たしてきた人間だ。
だからこそ自分は選ばなかった平凡な道に進んだ斎藤さんが大好きで、忘れられなくてこんなところに気持ちをぶちまけてしまいたくなる。
十二月二十四日。昼頃からちらほらと雪が舞いはじめ、夕方深沢君があろえを引き取りに家に訪れるころには本格的な雪模様となっていた。
彼は恋人を連れていた。私やあろえも何度か会ったことがある元気のいい女の子で、あろえを見ると、かわいい、かわいい、と喜び、あろえはすかさず同じ言葉を返す。
まだパーティには少し早かったので、家にあがって貰ってお茶を出した。深沢君の恋人はあろえのために今日来てゆく服を選ばせて欲しいと言い、あろえと一緒に二階に上がって行った。
すぐに、二人の話す楽しげな声が聞こえてくる。
「勘がいいんですよ。それにしても、凄いですね。ツリーも立派ですし」
あろえがすっかり工作に魅せられてしまって、この一週間、頼みもしないのに毎日輪飾りばかり際限なく作っては笑顔で私のところへ持って来るので、飾り付けないわけにはいかなかったのだ。
「習慣になっちゃったんですね。クリスマスの後も、きっと作りたがりますよ」
「そういえば、今年は学生最後のクリスマスイブなのに、プライベートに使わないでいいんですか?」
「最後だからこそ、学校のみんなと過ごしたいなと思ったんですよ」
少し寂しそうに言う深沢君は、年が変わり春になれば大学を卒業してしまう。そしてその後は実家に帰って中学校の先生になることが決まっていた。評判の良いボランティアである彼は、きっと良い先生になるだろう。
「ちょっと早いけれど、お疲れ様でした。深沢君のおかげであろえは色んなことが出来るようになりました」
「いや、僕なんか全然大したことしてませんよ。本人や周りの人がみんな頑張ったからです。いつも力不足を感じてますよ」
深沢君は照れくさそうに頭を掻いた。
私が言うと、深沢君は困ったように笑った。
やがて着替えを終えたあろえが階段を下りてくる。選んでもらった服は組み合わせのセンスが私なんかよりもずっと良くて、同じ服なのに普段よりずっと可愛いく見える。
そしてあろえたちが行ってしまうと、家の中が急に静かになってしまった。考えてみたら家に居るときはいつもどこかにあろえがいた。一人ぼっちになんて一体いつ以来になるのか、はっきりと思い出せない。
シャワーを浴びて、体を洗う。丹念に洗う。そんな自分がちょっと恥ずかしい気もするが、それは考えすぎというもので、こんなの何も特別な意味などない大人の女性として当たり前の身だしなみだ。そうに決まっている。下着だって、一番良さそうなやつを選んでやるのだ。やるのだ。
それからメイクをして、髪の毛をセットして、着てゆく服をもう一度選び直していたら、いつの間にか時間がなくなっていた。だいぶ余裕を見ていたはずなのに。月島君が車で迎えに来る予定になっている。私は慌てて服を決め、コートまで着込み準備を済ます。そして椅子に腰掛けると変に緊張してしまって今度は一秒がやたら長い。時計のカチカチする音が、普段よりずっとスローテンポに聞こえる。表の道路を車が通るたびに、彼じゃないかと思って立ち上がりそうになる。
やがて訪れた彼の車に乗る。見知った街なのに、どこをどう走ったのかさっぱり覚えていない。駅の近くにあるその小さなイタリアンレストランの前で車から降りたとき、はじめて、自分たちがどこへ向かっていたのかを理解した。
月島君の大きな背中を身ながら店内に入ると静かで品の良い音楽が聞こえてくる。席に座ってまもなくシャンパンが運ばれグラスに注がれる。細長いグラスのピンク色の液体の中を底から水面に向かって気泡が泳いでいる。私たちは小さくお互いのグラスの縁を合わせて、一口含む。
美味しくて、ラベルを確認したらどこかで聞いたような銘柄だった。高いのだろうか? そう思うとやたらと緊張してしまって、あとは何を食べているのかさっぱり解らなくなってしまった。
食事がほぼ終わって二本目のシャンパンをゆっくり飲みながら、高校時代の話をしていた。月島君が野球部で汗くさい放課後を過ごしていたとき、私は美術部でテレピン臭くなっていた。
あの頃月島君が付き合っていた女の子の話を仕向けると、彼は仕返しに私と仲の良かった男の子について尋ねて来た。随分大昔のような気がする。世の中の何もかもをわかったようなつもりで、そのくせ何もわかっていなかった青臭い時代の話だ。
「あのころも随分大人だっていう印象があったけど、八坂さんはいまでも大人な感じがするね」
「それは老けてるってこと?」
いい年して、こんなデートなんかでのぼせ上がって、何を食べているのかもわからなくなってしまう私が、大人の筈はない。せっかくこんなに高い料理を頂いたのに。
もし私がそんなふうに見えているのなら、それはただ大人のふりが上手いというだけのことだろう。いつも幼くてわがままな自分にてこずっている。そんな話をしたら、
「今日はのぼせてくれてるんだ」
「化粧室行ってくる!」
恥ずかしさにいたたまれなくなってハンドバッグを掴むと、慌てて席を立った。鏡に向かうと、私の顔は月島君よりもずっと赤くなっている。蛇口をひねり流れる水で手を冷やし、深呼吸をして気分を落ち着ける。お酒なんか飲んだのは今年のお正月以来だから、殆ど一年ぶりだ。ふわふわして楽しい気分だ。これはお酒のせいだけなのだろうか。
「でも、もうお腹一杯だわ」
「そうだね。包んで貰おう」
「雪が、だいぶ強くなって来たね。この分だと明日は除雪車が要るな」
彼の視線につられて窓の外を見ると、羽毛の様な雪がゆっくりと舞い落ちていた。雪かきとなったら、スコップを新しく買わなければならない。去年のは、あろえがおもちゃにしてどこかになくしてしまった。今年はよく教えておかなければ、また同じことを繰り返すだろう。
「妹さんは……」
彼が、ふと呟いた。
「え?」
顔を向けると、月島君はまっすぐに私の顔を見つめている。
「妹さんは、今日は何時までに迎えに行けばいいの?」
ボランティアの人が明日まで面倒見てくれる、と答えかけて、彼の真剣な表情の意味に気が付いた。もし、私が今日は迎えに行かなくてもいい、と言ったなら、それが自分のどんな意思を示すことになるか、解ってしまった。
私の表情がこわばったのを見て、月島君は表情をゆるめ、グラスを手に取る。私に考える時間をくれたのだ。ほっとする。
しかし、どうしよう、どうしよう、そればっかりが頭のなかでぐるぐる回って上手に考えられない。
「あ、預かってくれてる人に訊いてみるね」
無理矢理愛想笑いを作ると、携帯電話を手に取った。心臓の鼓動が早くなり、顔に血が集まってくるのがわかる。緊張しすぎだ。まったく予想しなかったわけじゃないんだ、別に拒む理由もないんだ。私は今さら何をうろたえているの?
「八坂さんですか?」
彼の口調はいつになく硬かった。
「そうですけれど、あろえは何もしていませんか?」
何か変だ。
「もし何かあったのなら、教えてください」
「本当ですよ。ただ、突然の電話だったからびっくりしちゃって……」
とてもそうとは思えなかった。確かに彼の口調はもう普段通りに戻っている。だけれど違和感は拭い得ない。だいたい、楽しく過ごしているにしては彼の声の後ろが妙に静かだ。どこにいるのだろう?
月島君と視線が合う。思わず真剣な表情になってしまった自分を申し訳なく思い、目をそらしてから会話を続ける。
「何かあったんですね。それで、私に言えないってことは、あろえに何かあったんではなくて、あろえが何かしたんですね?」
「まいったな、本当にそんなんじゃ……」
「いま、どこにいるか教えてください」
「一緒にいます」
「ごめんなさい」
「気にしないで」
彼は首を振ると、すっと立ち上がる。
「妹さんに何かあったんだね。行こう。俺もついて行くよ」
「そうか」
「きょうはごめんなさい。誘ってくれて嬉しかった」
「うん」
彼の微笑からあからさまに失望が読み取れて、胸が苦しかった。新しいコートとブーツが、やたらと硬く感じる。
そんなことが出来るわけない。私はもう病院に向かっていることを告げる。そう遠い距離ではないから、すぐに到着した。
一カ所だけ明かりの灯っている救急用玄関に回ると、入り口のところに深沢君が立っていた。普段着のままで上着を身につけず、ズボンのポケットに手を突っ込んで肩をすくめながら、寒そうに白い息を吐いている。声をかけると、
震える唇で言った。
彼は救急車に乗ってここへ来た。怪我人は、彼の恋人だった。コンクリートの上で転倒して、腰を打った。骨には異常がなかったけれど、いますぐに起きあがるというわけにもいかないらしい。痛み止めを飲んで、ついさっき寝付いたそうだ。
「階段に雪が積もっていて、足を滑らせたんです」
はじめはそうとしか言わなかったのを問い詰めると、やはり、あろえが原因だった。階段を上りかけた彼女の服を、あろえが急に引っ張ってバランスを崩させたのだ。そして結果として階段から転落した。
「僕たちが不注意だったんです。あろえちゃんが人を呼ぶとき服や腕をつかんだりすることがあるのは、ちゃんと知っていたはずなのに」
湯気のたつ紙コップで両手を温めながら、彼はそう言った。
行為自体は子供もよくやることだが、あろえの体格は子供のものではない。身長は深沢君の恋人と同じか、ことによるとあろえのほうが少し高いかもしれない。そんな人間に階段の途中でいきなり引っ張られたら、注意していたとしても、転倒は不可抗力だったはずだ。
私はぞっとして背筋が冷たくなる。もし一歩間違えていたら、もっと酷い結果を導いてことは容易に想像出来た。
「申し訳ありません」
「いや、頭なんか下げないでください。こっちこそ、せっかくのクリスマスだったのに、こんなことになってしまって」
「そんな」
「僕がついていたのに。あろえちゃんは、ただいつも通りにしていただけなんですよ。それなのに。やっぱり僕は、向いていないんでしょうね。今日は僕はここで夜を明かしますよ。八坂さんは帰った方が良いですよ。ちゃんとした時間にあろえちゃんを寝かさないと」
彼は元気づけようと笑ってくれたが、普段ほどの力がない。そしてコップの中身をすすった。
自信を失い落ち込む彼を初めて見て、覆い隠せない彼のショックを知った。私は何も声をかけるべきだと思ったけれど、いまの私の役割から何を言ったらいいか解らなかった。
あろえは病院の長椅子に腰掛けて絵本を読んでいた。傍らには若い看護師が座ってそれを見守っている。
「姉です」
「あなたがお姉さん? この子、さっきまで落ち着かなかったんだけれど、この絵本が気に入ってくれたみたいで、ずっと真剣に見てるの」
「そうですか、面倒みていただいてすみません」
「自閉症なんですってね。こんなに大きい子、家にいる間ずっと面倒見てるのは大変でしょう。パニックが起きたときとか、大丈夫なの?」
「親御さんも家にいないんですってね。大変ねえ」
「………」
「出来れば、ちゃんと話し合って一緒に面倒みたほうがいいですよ。やっぱり、身内の人が一致団結しないと。でも、そうは言っても簡単にはいかないのよね。大変ねえ。綺麗な格好して、あなた、今日どこか出かけていたんでしょう?」
同情されて私は、より一層みじめな気分になった。あろえは、すぐ傍で自分のことについて話されているのにも気が付かず、絵本を見つめている。自分が何をしたか、ちっとも理解していないのだろう。
「あろえ、もうやめなさい」
あろえは、顔をあげた。
「帰ります。もうやめなさい」
「ダメです」
「やめなさい」
強く言っても、あろえは返事をしない。
「聞こえないの?」
「きこえないの」
「よっぽど気に入っちゃったんですね。もう少しだけここに居ますか?」
いつのまにか深沢君が近くに来ていた。私たちは、いまこの状況の彼にまで、気を遣わせてしまっている。恥ずかしくなった。
「いいんです。ほら、やめなさい」
「ダメです」
その返事にもう耐えられなくなって、私は絵本をあろえの膝の上から取り上げた。奪い返そうと伸ばしたあろえの手を掴む。
あろえは私の口調からようやく異変を察したのか、不安な表情を浮かべ、
口の中でぼそぼそと呟いた。私は取り上げた絵本を看護師さんに渡す。
「八坂さん……」
私は頭を下げてから、まだ絵本に未練を残し見つめているあろえの手を強く引いた。
https://www.saibunkan.co.jp/lechocolat/soft/ka_swan/images/preswan.htm
https://anond.hatelabo.jp/20180314204633
これと同じことを考えたことがある。
焼きそばが好きという人はそれなりにいると思うが、好きのレベルが他の麺類とは
違うのではないか。うまく言えないが、母親の味とか学生時代に食べた味等のノスタルジー
による好みなのでないだろうか?
大嫌いというほどではないが、麺類のメニューを並べられてどれか選べと
ちなみに、中華風やロメスパは含まないソース焼きそばのみを対象にしている。
・麺が駄目
何故蒸し麺なのか?コシもないし、ぼそぼそとした食感。しかも油臭い。
これって調理のしやすさうを優先して味は二の次ってことだよね。
もし味を追求するのであれば、ゆで麺でもいいと思うが、ほとんどの店では
相変わらず、蒸し麺を使っている。
https://www.toridoll.com/shop/nagata/
・ソースの味が単調
どれもソース味。恐らく複数の店からソース焼きそばを並べられても
醤油ラーメンを同じように比較した際は明確に個性が分かれる。なぜなら醤油ダレそのもの
に対する工夫やスープや麺との相性を各店で工夫を施しているから。
パスタにおいても、例えばペペロンチーノではニンニクの火の通し方、塩の量、乳化の技術で
明確に味の違いが出る。
焼きそばも調理技術によって旨さの違いはあるのであろうが、ソース味一辺倒で
つまり、料理人にとってポテンシャルを感じにくいと推察できる。
だが、裏を返せば焼きそばというカテゴリはだれも旨さを追求していないフロンティアであるとも
言える。長田本庄軒が神戸のぼっかけそばをベースにゆで麺を採用して個性を出しているのは
良い例だと思う。