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あおちゃんぺさん「そっち派お得意のパレードやったろか??」日本共産党と深く関わりのある埼玉県水着撮影会問題、識者・著名人の反応まとめ。ポリタスTVで活躍の津田大介氏他 youtu.be/p4nJKozleaU #日本共産党 #さいたま #埼玉 #水着撮影 #水着撮影会
島袋悠飛@社会派坂道グループオタク◢│⁴⁶/乃木ヲタ兼Buddies兼おひさま
@yamato2217
埼玉県で開催予定だった水着撮影会、アイドル撮影会を日本共産党埼玉県議団と行政側(大野県政側)が弾圧したことに関してだけど、過激すぎるフェミニズムを強要して、逆に女性の人権や自由を踏みにじっていることに気が付かないのか?共産主義者やサヨク界隈は...理解不能。
不採用だった。全力は尽くしたが、致し方ないと思った。約一週間後、mixi日記でキャプテン君が住友商事の内定を取ったことがわかった。第一志望だったので、そこに行くらしい。その日記には、いろいろと別世界のことが書いてあった。
・去年の秋、大学に五大商社の人が来て、体育会の部活に挨拶に来た。その時に一緒に食事をして、「ぜひ弊社に!!」とスカウトを受けた(五社中の三社)。
・ほかに受けた化学メーカー(東レ)の最終面接では、「御社は第二志望です。住友商事が第一志望です。そこに落ちたら弊社にお世話になります」とはっきり宣言したうえで内定を獲得。
・三菱商事も、三井物産も、伊藤忠商事も、選考を途中で辞退。自分とは合っていないと感じたため。
この時ほど、人間力というものの差を実感したことはない。アイツはすごかった。俺とはレベルが違う。俺はサッカーしか頑張ってこなかったけど、あいつはサッカーだけじゃなくって、受験勉強だって、人間関係の構築だって頑張れる人だった。
いやアイツは、どんなことにも本気で取り組むことができる。それでいて人間が好きだ。そういうエリートなのだ。当時も今も、俺はキャプテン君が羨ましい。俺もそんな人間になりたかった。なれなかった。
もし、今どこかでキャプテン君が俺の増田日記を観ていたとしたら、匿名でいいからコメントがほしい。誰だとわからないように隠してくれて構わない。
今では俺は、こんなに落ちぶれてしまった。正社員じゃないし、年間収入だって今のキャプテン君の五分の一に満たないだろう。クビになる可能性だってある。毎年、戦々恐々だ。
今でもサッカーが好きだ。自室の中にはサッカーゴールが置いてあるし、試しに蹴ってみることもある。部屋の壁にぶつけないよう、慎重に、慎重に蹴っている。たまに飛び出してしまうこともあるけど。
キャプテン君はどうだろうか。今でもサッカーをやっているのだろうか。とにかく今は、二十年前の思い出が懐かしくて、愛おしい。涙が止まらない。
第一志望の企業を不採用になった後は、坂道を転がるみたいだった。入りたい会社を受けども受けども、内定は得られない。二次面接までは行くのだが、そこではなんというか、明らかにやる気みたいなのが足りてなかった。
春を過ぎた頃だったか。同じ京都にあるITベンチャーを受けに行った。詳しい時期はもう覚えてない。はっきり言ってしまうが、㈱はてなだった。実は大学生の頃からはてなユーザーだったりする。
俺と同じ大学出身の人が面接をしてくれて、縁を感じた。エントリーシートも筆記試験も一次面接も、特に問題なく進んだけど、二次面接で一気に苦しくなった。
志望動機とか、会社を将来どうしたいとか、自分が将来どうなりたいとか、そういうことを喋れなかった。しどろもどろだった。どう考えてもこれは落ちた――そう思った。
相手の面接官は、「自分が入りたい会社というのはね、自分が将来どんなキャリアを描きたいのか、どんな人間になりたいのか、そういうところから逆算して決めていくんですよ」「今のままだと、増田くん、僕らの仲間になれないよ。ほかの会社だって難しいんじゃないかな」「もっと、ゆっくり立ち止まって考え直そう。増田君がどの会社に行くとか関係ない。真剣に考えて」と、人生のアドバイスまでしてくれた。
後日、大学のパソコンにログインすると、二次面接の結果通知がきていた。『合格』だった。次の選考に進めるらしい。これが最後通牒だと思った。「次でなんとかしろ」。そういうメッセージだった。
結局、俺はダメだった。はてなは辞退したし、ほかの選考が続いていた会社も悉く落ちて、ようやく内定を得られたのは夏の終わりだった。烏丸御池の辺りにある小さい広告会社だった。※今は別の場所に引っ越している。
この頃には、千亜子ともあまり会わなくなっていた。就活期間中は、お互いに忙しいから会えなくて当然なんだけど、まさか俺のせいでここまで会えなくなるとは。
千亜子は、その年の初めから一気呵成に就活に励んでいた。それで、俺より四か月も早く内定を決めていた。千亜子がスチュワーデス(CAのこと。当時は呼び方の過渡期だった)に内定したと聞いて、やはり只者じゃないなと感じた。劣等感だった。
この頃の自分というのは、なんかもう、劣等感がすごかった。就職活動でサッカーはできないわ、千亜子には会えないわ、勉強だって最後の単位を取り終えるあたりで躓いていた。
フツーの人生だったけど、それなりに成果を得てきたつもりだった。持ってる側のつもりだった。でも、俺はダメだった。今でいう抑うつみたいな状態になっていた。
秋になると千亜子と会うようになっていたのだが、よそよそしくなっていた。俺が内定した会社を告げると、「あー、よかったね。一緒に東京行けないのは残念」と言っていた。
もうすぐ最後のインカレという時期だった。ある日のアルバイト帰り、千亜子とキャプテン君が働いている河原町通りの飲食店の近くを通ると、千亜子がいた。ほかの大学生数人と一緒だった。私服だったし、おそらく飲み会帰りだろう。
店の近くまで行ったところで、自動ドアが開いた。すると千亜子が中に入って行って、上の階へと小階段を昇ろうとする男子学生(※キャプテン君ではない)の背中を掴んで、ぐいっと引きずり降ろしていた。
ちょっと驚いたけど、別に険悪な雰囲気でもなかった。それで、何やら彼と顔を近づけて話を始めた。この後の段取りとかを話してたんだろうか。俺のすぐ傍にいたほかのアルバイト友達と思しき学生が、こんなやり取りをしていた。
「そういえばキャプテンさん、最近千亜子さんにアタックしてる」
「二人とも一流企業だし。似合ってると思う」
こんな話をしていた。※当時の日記に書いてあった。
惨めな気分だった。俺が千亜子と釣り合ってないのは確かだ。内定した会社のランクが違うから。俺は就職活動に失敗した。インカレだってスタメンに選ばれなかったし、アルバイト先でも俺よりすごいやつは何人もいる。
人生で、ここまで負けまくるのは初めてだった。「畜生」と思ったけど、当時の俺にはどうにもできない。
千亜子にフラれたのは、新年が明けてすぐだった。大学のカフェテリアで、夕方に一緒にコーヒー飲んでる時に、「卒業するし、そろそろ終わりにしない? いい人、いるんでしょ。知ってる」と言われた。
今日、そんな予感はしていた。サッカーの試合勘みたいなもので、雰囲気でなんとなくわかる。今年の初詣は千亜子の予定が合わずにダメだった。おそらくキャプテン君と一緒に行っていたのだろう。
当時、『いい人』はいなかったけど、「そうしよう。お幸せに」って言ったら、「お互い、これからの人生でいい思い出にしていこうね」と千亜子が言った。
当時の日記には、そんなことが書いてあった。記憶や言葉をごまかしてはいないはずだ。当時の俺は、そこまで弱い人間ではない。40を過ぎて今それを読んでいる。やはり涙が止まらない。
これで結びになる。
就職してからの俺は、うまくいかなかった。仕事の才能は平凡のようだった。しかし、大学時代の失敗を引きずっていたせいで使えない人間だった。「あんた、サッカーすごかったんやないん?」みたいなことは何度も言われた。また、同じ会社で「学生サッカー選手権で活躍するところを観た」という同年代の社員もいた。
確かにそうだったかもしれないが、最後に出たインカレだって、負けかけの試合で後半でお情けで出してもらったくらいで、別に凄いわけでもない。アルバイトだって、ずっと居酒屋で頑張っていて、そこで最後に新しい彼女作れるかなって頑張ったけど、五人以上にアタックして全く相手にされなかった。素の自分というのは、モテる方ではなかった。ちょっとサッカーができるくらいで女にモテようなんて傲慢だった。
そんなこんなで、気持ちが沈んだまま新年度の四月を迎えたのだ。でもって、実社会で通用するはずもなく、新卒で入った広告会社は二年で辞めて、後はずっと契約社員とか派遣社員だ。
キャプテン君と千亜子は、俺が広告会社を辞める頃に結婚した。mixiの日記を読んだけど、それはもう凄い結婚式だったらしい。総合商社勤めだけあって、マイミクだったら無条件に結婚式招待OK!! という宣伝をしていた。会場までは知らないが、きっと東京都内のオシャレな会場だったに違いない。
俺は行かなかった。お金がないのもあるが、なんかもう、人生が面倒くさかった。
不惑になった今でも、当時の俺の何が悪かったんだろうと振り返ってる。昨年末も、実家にあった段ボール箱を引っ張り出して、当時の日記を読んだ。大学二回生から付けている日記を、半日かけて読んでいったのだ。この増田日記のベースになってる。
俺の何が悪かったのか? 三点にまとめると、次のようなところか。よくない行動のハットトリックみたいだ。
・就活で失敗した程度で凹んだのはおかしい。どんな会社に入ろうと未来はあった。
・どんな自分でも自分自身なんだって気が付いてなかった。失敗したって、自分という人間の価値が下がるわけじゃない。むしろ、失敗前の自分<失敗後の自分だ。それがわかっていれば卑屈になることもなかった。俺は挑戦したのだ!! そんなメンタルだから、就活もサッカーも恋愛もうまくいかなかった。
・サッカーができるくらいで調子に乗っていたこと。どれだけサッカーができようが、それは実社会で必要とされる力の一部分にすぎない。大事なことはもっとある。
・もっと自分を認めること。生きているだけでもすごいんだと、自分を褒めてやりたかった。人間にはみんな価値があるのだ。
いや、四つあるんかーーーーい!! と、大学時代の俺だったら、陣内智則みたいにツッコミを入れていただろう。今はそんな気力もない。
あの頃に戻れたら、とは思わない。いや、本当は戻ってみたいけど、それは間違いだ。これまで負け犬なりに努力してきた自分を否定したことになる。過去の自分を裏切ってる。だからダメだ。
今の俺は、あの時よりも成長してる。だったら、もっと成長できる!! もっと頑張ったら、幸せになる未来があるのかもしれない。結婚はできそうにないけどな。
ここまで読んでくれた人、ありがとう。何人読んでるかはわかんないけど。
気持ちの整理をつけることができた。また来週からは、しみじみと社会人生活をやっていきたい。
どうすれば幸せになれるんだろうかと考えて、ひとまず、今年の春から地元の草サッカークラブに入ってみた。自分自身が練習してるのもあるけど、子ども達に教えることもある。
ひとまずは、こんなところでいいのだろうか。まあ、ゆっくりやってみよう。幸せでありたい。増田やブックマーカーのみんなも幸せにな。
木造家屋が立ち並び、入り組んだ路地で出来た学生街はもう夜になっていて、暗い街路は小さな店の中の明かりから漏れる光だけで照らされていた。そこここに古書店が点在しているのであちらやこちらの店を覗いてみるのだが、そもそも何を買えばいいのか分からない。ある学生は水木しげるの漫画を大事そうに抱えていたから、あれを教科書としていいのかと思うが、同じ本は見つからない。
貧民街であるこの学生街は山の中腹にあって、山頂には某有名大学の小中等部があり、小さなショッピングモールやレストラン、洋菓子店などがあって小振りではあれどハイソサエティな街を形成している。
一方、山裾に降りていくとそこには国道が通っていて、その沿道には飲食、衣料、家電というお馴染みのチェーン店が並んでいるという全国どこででも見られる町並みであった。
しかし山裾の町から学生街を通って山頂の街までは車でなければ移動できない。歩いてはとても行き来できず、バスもあまり通っていない。山頂に住む人達は高価な車を持っている人達だから困らないのだろう。俺も車を手に入れないと。そして教科書も。
学生街の打ち捨てられた自動車修理工場に新入生たちは集まっていて、皆が車を持っている。そこで山裾の町にあるTSUTAYAでDVDを借りると車もついでに貸して貰えると聞き坂道をてくてく下って行ってみたのだが、よく聞くととても自分には払える料金ではない。
俺だけが車も持てず教科書も手に入れられないでいて他の同級生たちより一歩も二歩も出遅れている。なぜいつもこうなのだろうか。
山頂の街へ行くスクールバスには裕福な家庭の子息によくあるツルンとした顔の品の良さそうな子供たちが乗っている。なぜ俺はあんな風に生まれなかったのだろうか。それにしても車と教科書を手に入れなければならない。
駅ビルでエスカレーターに乗ろうと移動していたら、向う側の緩い坂道になっている通路を、車いすに乗った若い男性が登ろうとしていた。
私は障碍者支援の授業を思い出し、そういえばこういう時とりあえず助けが必要かどうかを視線でコミュニケーション取るって言ってたな…と思い出し、「手伝いましょうか」の念を込めてその人を見てみた。
その人は私の視線にすぐに気が付いたが、完全無表情だった。想像と違う展開だ。
はた目からは大変そうだったので、やはり手伝いに行こう、と来た道を少し戻りかけた。
待てよ、と思った。
私は女性である。こういう時、若い男性って女性に手伝われるのが屈辱的だったんじゃなかったっけ。
今までの経験上、男性が一人でやろうとしていることを女性が手伝うと、男性は自信を無くしたり怒ったりしていた。
戻りかけた道をまた引き返し、私はエスカレーターに乗った。
あれでよかったのだろうか。と思った。
本当は手伝う勇気が出なかったからあんな理屈が湧いてきたのでは。
あの人はどう思っただろうか。一度無言で見てきて、引き返そうとしたが、結局手伝わずに行ってしまった人。
どうすればよかったのだろうか。
渋谷のタワレコに久々行ったら各種推し活専門店みたいな感じになっててビックリ
音楽好きおしゃれさんが通うお店というイメージだったが、今や坂道・ジャニーズ・K-POP・アニメなどなどが並んでた。
推し活グッズはジャンル豊かで老若男女を問わないこの世。昔のオタクという言葉が持つ暗いイメージはもはや、ない。
子供もようやく大きくなってきてまだまだ心配事はあれど幼児期と比べると随分手が離れた。
そこへ彗星のように現れた推し!半世紀ほど生きてきて初めての推し!
でも人気あるグループだからコンサートのチケットが取れず何十も応募してようやく取れたのが地方の2days中2days
夫婦話し合いの結果、理解が得られず1day弾丸参加となった(新幹線の距離)
やっと当たったチケットを手放す辛さ、オタクにならわかってもらえるかな
「東京なら好きなだけ行きなよ」って伴侶は言うけど、いや当たんないっつーの!当ててみろっつーの!
「コンサートなんて一回行けばいいでしょ」いやいや推しになら何度でも会いたいっつーの!全通って言葉知ってる?
私だったら当たったなら行ってきなって許すけど私はどうして反対されるんだろう
(理由を聞いてもいろんな事を言うので本当の所は気に食わないんだと思う)
1日行けるだけでも幸せなのに、芽生えてしまった辛い気持ちが消えない
黒い感情から目を離そうとしてもオリのようにたまってくこの感覚
早いとこ消えてくれるといいんだけど
皆さんの家庭ではどうですか?
茂木健一郎 @kenichiromogi
ジャニーズ事務所の問題は、ジャニーさんのこともそうだけど、歌も踊りもへたくそな若い男の子たちの学芸会のパフォーマンスを、「スター」というキャラ設定で垂れ流しして、番組のMCや大河の主役に起用して、日本のエンタメのレベルを落としてきたことへの検証こそメディアはやってほしい。
午前7:17 · 2023年5月12日 393.4万 件の表示 1,979 件のリツイート 2,022 件の引用 1.2万 件のいいね 623 ブックマーク
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1656785537288785920
言い方キツいけどこれは本当にそう。
前に「日本の映画やドラマの演技はなぜ下手なのか?」という話題があったけど原因はアイドル文化だよ。
専門の俳優でなくアイドルがキャスティングされることで本人の拙さはもちろん周りに求められるレベルも下がる。
しかもあれはやらせないでくださいこれはNGですと内容まで口を出す。
結果として脚本も演出も撮影も衣装も音楽もCGも演技も照明でもすべてが「このぐらいでいいか」になる。
気がつくと邦画は世界に出ていけるようなレベルではなくなってたよね。
プロフェッショナルでなくアイドルが起用されるので全体のレベルが下がりプロも育たない。
YouTubeでJ-POPの歴代ランキングを見るとジャニーズだらけで改めて驚くよ。
ファン以外からするとちょっと聞くに耐えるレベルではないものが音楽シーンの上位を占めてる。
KPOPがレベルの高いパフォーマンスで世界を席巻している今なおさらキツく感じられる。
映画にしても韓国はうまくやったよね。ちゃんとクオリティを追求してる。
ちょうど推しの子がヒットしてるけどアイドル業界の内情を題材にしたのは慧眼。
誰もが目を奪われるよそりゃ。
出張で三月の終わりに長崎へ行った。二日間の出張で初日に仕事を終わらせ、二日目は自由時間だった。二日目のその日は朝八時頃にホテルのチェックアウトを済ませ外に出た。
コンビニでチュロッキーとコーヒーを買った。コンビニで売っているものは、食べるとうんざりさせられるようなものばかりだけれど、チュロッキーだけは例外だ。港の公園まで十分くらい歩いただけだったけど、もう何日も食べていないみたいにお腹が空いきて、少し気分が悪くなっていた。折角の日を体調悪いままで過ごすことになるんじゃないかと心配したくらいだった。
海辺のベンチに腰をおろし、波だとか、船着き場の船を眺めながらチュロッキーとコーヒーを味わっているうちに、体が温まってきて、だんだん良い気分になってきた。その瞬間、今日は完璧な一日になるってことが、たちまちにわかったんだ。たまにそういうことってあるじゃない。今日がそういう日だったんだな。
港近くの長崎県立美術館に立ち寄った。ちょうど猫の写真展がやっていたからね。でも、「子猫の写真展」ていうタイトルには少し不安になったな。猫のことはとても好きなんだけど、子猫の写真だけは嫌いなんだ。全体的に明るい画面で、ぼやけた背景につぶらな瞳の子猫が不安げな表情を浮かべている写真なんていうのは見ているとイライラしちゃうんだ。でも、そんな不安は展示を見たらあっというまに吹き飛んだよ。そんなイライラするような写真は一切なくて、すごく楽しめたな。特に気に入ったのは、コーヒー農家で暮らす人と猫の写真だな。カゴの中で白い猫が寝ていて、その上にどっさりと赤いコーヒーの実が乗っているんだ。猫は埋められて顔だけ覗いているんだが、その寝顔の穏やかさといったらなかったな。でも、実際僕の心を捉えたのは、猫ではなく人だった。そのカゴにさらにコーヒーの実を盛ろうとしている人の手だ。手だけが写っているんだが、指は太く、表面は木のように真っ黒であちこちひび割れている。その硬そうな手がコーヒーの実を盛った後、猫の白く柔らかい毛を撫でるところを想像したんだ。撫でている写真ではなかったのだけど、そういう光景が浮かんだんだ。すると、なんだか泣きそうになったんだ。これには本当、驚いちゃったな。
美術館には屋上庭園があった。平日の昼前だし、人は僕だけだった。空港に向かうにはまだ時間があったし、美術館の展示にはもう満足していたから、ベンチに座って持ってきた本を読むことにしたんだ。短編集で、適当に読んだ話が大当たりだった。男が一人でキャンプに出かけるだけの話だったのだけど、すごい感じがよかったな。それを読んで、家に帰ったらアウトドア用の軽くて小さな持ち運びのできる椅子を買って、近くの公園にでも行こうと決めた。
小説を読み終わった時、ふと、僕はこの屋上庭園が素晴らしい場所だと気がついた。よく晴れていて、そこらには暖められた芝生の香りが漂っていた。目の前には港があり、あたりは山に囲まれている。山沿いに街が拓かれている。
僕はそこから見える長崎の町並みを写真に撮った。そういった景色をアキに見せたら喜ぶと思ったからだ。アキっていうのは僕の妻で、東海道新幹線に乗って関東の実家に帰省するたびに、熱海の建物が坂道に沿って連なっている様子がすごい好きだって言うんだ。だからきっと、長崎のこの景色も気に入ると思ってね。
しかし、長崎の港の景色っていうのは僕、すっかり気に入っちゃったな。遠くに冗談みたいな大きさのクレーンが見えるんだ。僕が見たときは、何も吊るしては居なかったけれど、あれが動いて、船のタービンやらなにやら、バカでかいものを吊るして動いているところを想像したら、すごい興奮したな。
ベンチから立ち上がり、両手を天に突き出し思い切り伸びをした。体中をピリピリとした心地よさが駆け巡る。その時、どこからか教会の鐘の音が聞こえた。びっくりしたよ。すべてが僕の気分を良くするために動いているような感じがした。僕は教会の鐘の音を生まれて初めて聞いたんだけど、あんなに気分が良くなるものだとは知らなかった。僕は長崎という街が本当に気に入っちゃったな。
美術館を後にして長崎空港に向かった。そこで同期入社の女の子に会ったんだ。僕は彼女のことが好きで、度々連絡をしていたんだ。とてもかわいい子なんだ。今回出張が決まったときにそういえば彼女の地元が長崎であることを思い出して、出張で行くと連絡したら、彼女もちょうど休職中で長崎にいるということだったので、会うことになっていたんだ。
休職していたのは「本当に、先輩がサイアクで」というのが理由らしい。どうも、彼女は嫌がっているのにその先輩がしつこく言い寄ってくるらしい。
「復職するには元いた部署で一定期間ちゃんと働けることを示さないとだめなんだって。でもそれって、人間関係が原因で休職している人に対しておかしいと思わない? 別の部署に移してくれるなら、今にでも復職するのに」と話した。僕はそれはおかしいし、何かが間違っているよといった。
カウンセラーの人に心身に良いから、散歩を心がけるように言われているらしい。一日八千歩歩けるようになることが復職の目安だが、どうしても家でゴロゴロしてしまうので難しい。よしんば歩けるようになったとしても、例の先輩が居る今の部署で働くのは嫌なので、転職をしようか悩んでいると話していた。
飛行機に乗り、伊丹空港から長時間バスに揺られて京都駅についた頃には、耳の少し上のあたりが痛み、お腹がふわふわするような不快感に苛まれていた。京都駅のミスタードーナツでオールドファッションとホットコーヒーを頼んで、京都駅の展望台に向かった。そこからはプラットフォーム全体が一望できる。僕お気に入りの場所だ。電車が行き来して、人が電車から吐き出されたり吸い込まれたりしている様子がよく見える。別々のホームのアナウンスが混じって日本語のようで日本語でないような音声になったのが聞こえる。そうした場所にいると落ち着くんだ。すっかり日が沈んでいて、駅の周りだけがスポットライトをあてられたように明るかった。東の山科方面には暗黒が佇んでいて、新幹線がそちらに吸い込まれて見えなくなった。
僕は彼女と交わした会話について帰りの飛行機からずっと考えていた。オールドファッションを食べているうちにようやく考えがまとまった。僕は自信を失ったんだと思った。僕は彼女の話を聞いている間、つらいね、だとか、おかしいね、とかしか言えなかったのだけど、なんとか元気づけさせるような言葉を言ってやりたかったんだ。でも、変に何を言っても、彼女をバカにすることにしかならないんじゃないかって気分になったんだ。僕の言ってること、伝わるかな。
この世には、会社に死ぬほど嫌な先輩が居ても、そこで働いて’ちゃんと’できることを証明しなくてはならず、そのための訓練として一日八千歩歩くことを指示されている人間がいることを思った。
家に帰ったら、アキが迎えてくれた。「どうしたの、ひどく疲れちゃった顔をしているわね。かわいそうに」と言ってたが、全くそのとおりだったな。あれだけやりたいと思っていたキャンプだとかは、もう馬鹿げたことのようにしか思えなくなっていた。部屋に戻って長崎の写真を見返すと、どれもこれも大したことのない写真にしか見えなくて、すごい驚いたな。
虐待といういいかたは違うと思うけど、文化レベルが全く異なってしまうのは事実としてある。
電車もバスもあって、中学生や高校生で映画館とか博物館とか美術館とかスポーツ観戦とかに日帰りで気軽に行ける場所は恵まれてる。
自転車でいけばいいとか、チャリでどこまでも行けるとか、田舎を知らない人間の意見すぎる。
山間のド田舎育ちの人間からすると、自転車は交通手段にならない。なぜなら坂道が多すぎるし、そもそも人間が歩くことすら想定されてない道が多すぎるので。人が全然歩かないので歩道の整備があまりされてない。あるのは狭い車道。スーパーとかも自転車置き場は存在しない。みんな車だから広大な駐車場はある。
それなりに栄えてる地域に行くまでに、車で走ることしか想定されてない道か、そうでない完全な山道などを走る必要があり、自転車や徒歩で行くなんてとても気軽にできることではない。暗くなったら特に遭難や事故による死の可能性が高い。
てか、峠を越えないといけないような道、自転車で行けるわけないだろ。いや小野田坂道くんは峠越え往復90キロでしたっけ?同じくらいか。実際やる人いるんかな。できる? 自分は無理。夏休みの一大イベントとしてはありかもしれんが、まあそんなレベル。
じゃあ公共交通機関を使えばと思うでしょう。
ですが電車なんかそもそも存在しません。個人の感覚では電車があるところは田舎じゃない。
あるのは対キロ区間制のバス。1、2時間のれば1500〜2000円、日に2本とか3本とかしか出てない。これでもバスがあるからマシな方。ない地域もあるので。自分の場合バス停まで徒歩15分くらいだったから一人で行けたけど、住んでる場所によってはバス停まで車で送り迎えしてもらわないと乗れないという、都会からするとよくわからんことが起きます。
そんなレベルだと日帰りで学生だけで映画行くのすら結構な一大イベントなんよな。
朝9時にバス乗って映画館のあるところまで行くので2000円、11時から映画とご飯で2000円、15時に帰りのバス乗って2000円、17時過ぎくらいに家着くって感じ。
合計6000円くらいかかるわけで、バイトできない学生には結構すごいインパクトじゃない? そう頻繁に行けるもんじゃない。
で、自分の場合は観光地でもないマジの田舎ゆえ博物館や美術館も身近には存在しないので映画館よりさらにハードル高い。公共交通機関でいくなら一泊必須。帰りのバスに間に合わないので。
バスでターミナル駅まで行くのに1時間半、そこから電車に乗って、駅着いてからまたバス移動とかをしないと辿り着かない場所なので。学生だとやっぱこれも夏休みとかじゃないと無理。
で、ここが最大のハードルで、そもそもそういう場所に住んでると、休みに一人または友達と行くという発想すら浮かばないんだよ。
週末遊ぼうと友達と話をしたとして、やるとしたらお互いの家でゲームするとか勉強するとかだし、映画見るって言ったらネトフリかアマプラ。映画館行く発想が全くない。
美術館とか博物館も、社会見学とか修学旅行とか、家族旅行で行くところという思考になってる。次の休みに行く場所として思い浮かばない。
自分たちの見識が狭いことに気づかない。生まれてからずっとそうだから。
今はネットでなんでも見れる分多分マシになってるけど、昔は多分もっと酷い格差があったんだと思う。
ネトフリなかった時代にうちの町にもレンタルビデオみたいなのがあったんなら、そういうのを借りてみんなで見ることはできたと思うけど、そんなレベル。
映画館もない、公共交通機関も脆弱な田舎に住んでる子供は、子供だけじゃなんもできないと思ってるよ。
自然で遊べみたいなこと書いてるブクマもあったけどそんなもんやってるよ。それしかねえんだわ。
川で泳いだり山で遊んだりしたわ。それしかないからね。それしかないんだよ。わかる?
それの何が恵まれてんだ。なんもないんだよ。
自然を駆け回ってたけど虫は嫌いなままだし、釣りできるわけでもないし、その辺に生えてる草食べるわけないんだから、自然を駆け回っていたという事実だけで別に学びはさしてない。多少野の花の名前知ってるくらい。生きるための知識をつけようと思って遊んでるわけじゃないんだから、自然で遊ばせておけば豊かな人間性が育まれるわけではない。