駅ビルでエスカレーターに乗ろうと移動していたら、向う側の緩い坂道になっている通路を、車いすに乗った若い男性が登ろうとしていた。
私は障碍者支援の授業を思い出し、そういえばこういう時とりあえず助けが必要かどうかを視線でコミュニケーション取るって言ってたな…と思い出し、「手伝いましょうか」の念を込めてその人を見てみた。
その人は私の視線にすぐに気が付いたが、完全無表情だった。想像と違う展開だ。
はた目からは大変そうだったので、やはり手伝いに行こう、と来た道を少し戻りかけた。
待てよ、と思った。
私は女性である。こういう時、若い男性って女性に手伝われるのが屈辱的だったんじゃなかったっけ。
今までの経験上、男性が一人でやろうとしていることを女性が手伝うと、男性は自信を無くしたり怒ったりしていた。
戻りかけた道をまた引き返し、私はエスカレーターに乗った。
あれでよかったのだろうか。と思った。
本当は手伝う勇気が出なかったからあんな理屈が湧いてきたのでは。
あの人はどう思っただろうか。一度無言で見てきて、引き返そうとしたが、結局手伝わずに行ってしまった人。
どうすればよかったのだろうか。
手伝いましょうか?と言って手婬するのがいいよ