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2021-03-22

シグナ

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  さそりの赤眼あかめが 見えたころ、

  四時から今朝けさも やって来た。

  遠野とおのの盆地ぼんちは まっくらで、

  つめたい水の 声ばかり。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  凍こごえた砂利じゃりに 湯ゆげを吐はき、

  火花を闇やみに まきながら、

  蛇紋岩サアペンテインの 崖がけに来て、

  やっと東が 燃もえだした。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  鳥がなきだし 木は光り、

  青々川は ながれたが、

  丘おかもはざまも いちめんに、

  まぶしい霜しもを 載のせていた。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  やっぱりかけると あったかだ、

  僕ぼくはほうほう 汗あせが出る。

  もう七、八里り はせたいな、

  今日も一日 霜ぐもり。

 ガタンタン、ギー、シュウシュウ

 軽便鉄道けいべんてつどうの東からの一番列車れっしゃが少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車きかんしゃの下からは、力のない湯ゆげが逃にげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。

 そこで軽便鉄道づきの電信柱でんしんばしらどもは、やっと安心あんしんしたように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木うできを上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シグナレスでした。

 シグナレスはほっと小さなため息いきをついて空を見上げました。空にはうすい雲が縞しまになっていっぱいに充みち、それはつめたい白光しろびかりを凍こおった地面じめんに降ふらせながら、しずかに東に流ながれていたのです。

 シグナレスはじっとその雲の行ゆく方えをながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延のばしながら、ほんのかすかにひとりごとを言いいました。

「今朝けさは伯母おばさんたちもきっとこっちの方を見ていらっしゃるわ」

 シグナレスはいつまでもいつまでも、そっちに気をとられておりました。

カタン

 うしろの方のしずかな空で、いきなり音がしましたのでシグナレスは急いそいでそっちをふり向むきました。ずうっと積つまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱな本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃを迎むかえるために、その上の硬かたい腕うでを下げたところでした。

お早う今朝は暖あたたかですね」本線のシグナル柱は、キチンと兵隊へいたいのように立ちながら、いやにまじめくさってあいさつしました。

お早うございますシグナレスはふし目になって、声を落おとして答こたえました。

「若わかさま、いけません。これからあんものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」本線のシグナルに夜電気を送おくる太ふとい電信柱でんしんばしらがさももったいぶって申もうしました。

 本線のシグナルはきまり悪わるそうに、もじもじしてだまってしまいました。気の弱いシグナレスはまるでもう消きえてしまうか飛とんでしまうかしたいと思いました。けれどもどうにもしかたがありませんでしたから、やっぱりじっと立っていたのです。

 雲の縞しまは薄うすい琥珀こはくの板いたのようにうるみ、かすかなかすかな日光が降ふって来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって、向こうの野原のはらを行く小さな荷馬車にばしゃを見ながら低ひくい調子ちょうしはずれの歌をやりました。

「ゴゴン、ゴーゴー、

 うすいから

 酒さけが降ふりだす、

 酒の中から

 霜しもがながれる。

 ゴゴン、ゴーゴー、

 ゴゴン、ゴーゴー、

 霜がとければ、

 つちはまっくろ。

 馬はふんごみ

 人もぺちゃぺちゃ。

 ゴゴン、ゴーゴー」

 それからもっともっとつづけざまに、わけのわからないことを歌いました。

 その間に本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、そっと西風にたのんでこう言いいました。

「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで野蛮やばんなんです。礼式れいしきも何も知らないのです。実際じっさい私はいつでも困こまってるんですよ」

 軽便鉄道けいべんてつどうのシグナレスは、まるでどぎまぎしてうつむきながら低ひくく、

「あら、そんなことございませんわ」と言いいましたがなにぶん風下かざしもでしたから本線ほんせんのシグナルまで聞こえませんでした。

「許ゆるしてくださるんですか。本当を言ったら、僕ぼくなんかあなたに怒おこられたら生きているかいもないんですからね」

あらあら、そんなこと」軽便鉄道の木でつくったシグナレスは、まるで困こまったというように肩かたをすぼめましたが、実じつはその少しうつむいた顔は、うれしさにぽっと白光しろびかりを出していました。

シグナレスさん、どうかまじめで聞いてください。僕あなたのためなら、次つぎの十時の汽車が来る時腕うでを下げないで、じっとがんばり通してでも見せますよ」わずかばかりヒュウヒュウ言いっていた風が、この時ぴたりとやみました。

「あら、そんな事こといけませんわ」

「もちろんいけないですよ。汽車が来る時、腕を下げないでがんばるなんて、そんなことあなたのためにも僕のためにもならないから僕はやりはしませんよ。けれどもそんなことでもしようと言いうんです。僕あなたくらい大事だいじなもの世界中かいじゅうないんです。どうか僕を愛あいしてください」

 シグナレスは、じっと下の方を見て黙だまって立っていました。本線シグナルつきのせいの低ひくい電信柱でんしんばしらは、まだでたらめの歌をやっています

「ゴゴンゴーゴー、

 やまのいわやで、

 熊くまが火をたき、

 あまりけむくて、

 ほらを逃にげ出す。ゴゴンゴー、

 田螺にしはのろのろ。

 うう、田螺はのろのろ。

 田螺のしゃっぽは、

 羅紗ラシャの上等じょうとう、ゴゴンゴーゴー」

 本線ほんせんのシグナルはせっかちでしたから、シグナレスの返事へんじのないのに、まるであわててしまいました。

シグナレスさん、あなたはお返事をしてくださらないんですか。ああ僕ぼくはもうまるでくらやみだ。目の前がまるでまっ黒な淵ふちのようだ。ああ雷かみなりが落おちて来て、一ぺんに僕のからだをくだけ。足もとから噴火ふんかが起おこって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕くだけ。足もと……」

「いや若様わかさま、雷が参まいりました節せつは手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとう存ぞんじます

 シグナルつきの電信柱でんしんばしらが、いつかでたらめの歌をやめて、頭の上のはりがねの槍やりをぴんと立てながら眼めをパチパチさせていました。

「えい。お前なんか何を言いうんだ。僕ぼくはそれどこじゃないんだ」

「それはまたどうしたことでござりまする。ちょっとやつがれまでお申もうし聞きけになりとう存ぞんじます

「いいよ、お前はだまっておいで」

 シグナルは高く叫さけびました。しかシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん薄うすくなって柔やわらかな陽ひが射さして参まいりました。

 五日の月が、西の山脈さんみゃくの上の黒い横雲よこぐもから、もう一ぺん顔を出して、山に沈しずむ前のほんのしばらくを、鈍にぶい鉛なまりのような光で、そこらをいっぱいにしました。冬がれの木や、つみ重かさねられた黒い枕木まくらぎはもちろんのこと、電信柱でんしんばしらまでみんな眠ねむってしまいました。遠くの遠くの風の音か水の音がごうと鳴るだけです。

「ああ、僕ぼくはもう生きてるかいもないんだ。汽車が来るたびに腕うでを下げたり、青い眼鏡めがねをかけたりいったいなんのためにこんなことをするんだ。もうなんにもおもしろくない。ああ死しのう。けれどもどうして死ぬ。やっぱり雷かみなり噴火ふんかだ」

 本線ほんせんのシグナルは、今夜も眠ねむられませんでした。非常ひじょうなはんもんでした。けれどもそれはシグナルばかりではありません。枕木の向こうに青白くしょんぼり立って、赤い火をかかげている軽便鉄道けいべんてつどうのシグナル、すなわちシグナレスとても全まったくそのとおりでした。

「ああ、シグナルさんもあんまりだわ、あたしが言いえないでお返事へんじもできないのを、すぐあんなに怒おこっておしまいになるなんて。あたしもう何もかもみんなおしまいだわ。おお神様かみさまシグナルさんに雷かみなりを落おとす時、いっしょに私にもお落としくださいませ」

 こう言いって、しきりに星空に祈いのっているのでした。ところがその声が、かすかにシグナルの耳にはいりました。シグナルはぎょっとしたように胸むねを張はって、しばらく考えていましたが、やがてガタガタふるえだしました。

 ふるえながら言いました。

シグナレスさん。あなたは何なにを祈っておられますか」

「あたし存ぞんじませんわ」シグナレスは声を落として答えました。

シグナレスさん、それはあんまりひどいお言葉ことばでしょう。僕ぼくはもう今すぐでもお雷らいさんにつぶされて、または噴火ふんかを足もとから引っぱり出して、またはいさぎよく風に倒たおされて、またはノア洪水こうずいをひっかぶって、死しんでしまおうと言うんですよ。それだのに、あなたはちっとも同情どうじょうしてくださらないんですか」

「あら、その噴火洪水こうずいを。あたしのお祈りはそれよ」シグナレスは思い切って言いました。シグナルはもううれしくて、うれしくて、なおさらガタガタガタガタふるえました。

 その赤い眼鏡めがねもゆれたのです。

シグナレスさん、なぜあなたは死ななけぁならないんですか。ね。僕ぼくへお話しください。ね。僕へお話しください。きっと、僕はそのいけないやつを追おっぱらってしまますから、いったいどうしたんですね」

だってあなたあんなにお怒おこりなさるんですもの

「ふふん。ああ、そのことですか。ふん。いいえ。そのことならばご心配しんぱいありません。大丈夫だいじょうぶです。僕ちっとも怒ってなんかいしませんからね。僕、もうあなたのためなら、眼鏡めがねをみんな取とられて、腕うでをみんなひっぱなされて、それから沼ぬまの底そこへたたき込こまれたって、あなたをうらみはしませんよ」

「あら、ほんとう。うれしいわ」

「だから僕を愛あいしてください。さあ僕を愛するって言いってください」

 五日のお月さまは、この時雲と山の端はとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を変かえて灰色はいいろの幽霊ゆうれいみたいになって言いました。

「またあなたはだまってしまったんですね。やっぱり僕がきらいなんでしょう。もういいや、どうせ僕なんか噴火ふんかか洪水こうずいかかにやられるにきまってるんだ」

「あら、ちがいますわ」

「そんならどうですどうです、どうです」

「あたし、もう大昔おおむかしかあなたのことばかり考えていましたわ」

「本当ですか、本当ですか、本当ですか」

「ええ」

「そんならいいでしょう。結婚けっこんの約束くそくをしてください」

「でも」

「でもなんですか、僕ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんの式しきをあげましょう。どうか約束くそくしてください」

だってあたしはこんなつまらないんですわ」

「わかってますよ。僕にはそのつまらないところが尊とうといんです」

 すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出して言いい出しました。

「でもあなたは金でできてるでしょう。新式でしょう。赤青眼鏡あかあおめがねを二組みも持もっていらっしゃるわ、夜も電燈でんとうでしょう。あたしは夜だってランプですわ、眼鏡もただ一つきり、それに木ですわ」

「わかってますよ。だから僕はすきなんです」

「あら、ほんとう。うれしいわ。あたしお約束くそくするわ」

「え、ありがとう、うれしいなあ、僕もお約束しますよ。あなたはきっと、私の未来みらいの妻つまだ」

「ええ、そうよ、あたし決けっして変かわらないわ」

結婚指環エンゲージリングをあげますよ、そら、ね、あすこの四つならんだ青い星ね」

「ええ」

「あのいちばん下の脚あしもとに小さな環わが見えるでしょう、環状星雲フィッシュマウスネビュラですよ。あの光の環ね、あれを受うけ取とってください。僕のまごころです」

「ええ。ありがとういただきますわ」

「ワッハッハ。大笑おおわらいだ。うまくやってやがるぜ」

 突然とつぜん向むこうのまっ黒な倉庫そうこが、空にもはばかるような声でどなりました。二人はまるでしんとなってしまいました。

 ところが倉庫がまた言いいました。

「いや心配しんぱいしなさんな。この事ことは決けっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみ込こみました」

 その時です、お月さまがカブンと山へおはいりになって、あたりがポカッと、うすぐらくなったのは。

 今は風があんまり強いので電信柱でんしんばしらどもは、本線ほんせんの方も、軽便鉄道けいべんてつどうの方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽こまのようにうなっておりました。それでも空はまっ青さおに晴れていました。

 本線シグナルつきの太ふとっちょの電信柱も、もうでたらめの歌をやるどころの話ではありません。できるだけからだをちぢめて眼めを細ほそくして、ひとなみに、ブウウ、ブウウとうなってごまかしておりました。

 シグナレスはこの時、東のぐらぐらするくらい強い青びかりの中を、びっこをひくようにして走って行く雲を見ておりましたが、それからチラッとシグナルの方を見ました。シグナルは、今日巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。

「どうもひどい風ですね。あなた頭がほてって痛いたみはしませんか。どうも僕ぼくは少しくらくらしますね。いろいろお話しまからあなたただ頭をふってうなずいてだけいてください。どうせお返事へんじをしたって僕ぼくのところへ届とどきはしませんからそれから僕の話でおもしろくないことがあったら横よこの方に頭を振ふってください。これは、本当は、ヨーロッパの方のやり方なんですよ。向むこうでは、僕たちのように仲なかのいいものがほかの人に知れないようにお話をする時は、みんなこうするんですよ。僕それを向こうの雑誌ざっしで見たんです。ね、あの倉庫そうこのやつめ、おかしなやつですね、いきなり僕たちの話してるところへ口を出して、引き受うけたのなんのって言いうんですものあいつはずいぶん太ふとってますね、今日も眼めをパチパチやらかしますよ、僕のあなたに物を言ってるのはわかっていても、何を言ってるのか風でいっこう聞こえないんですよ、けれども全体ぜんたい、あなたに聞こえてるんですか、聞こえてるなら頭を振ってください、ええそう、聞こえるでしょうね。僕たち早く結婚けっこんしたいもんですね、早く春になれぁいいんですね、僕のところのぶっきりこに少しも知らせないでおきましょう。そしておいて、いきなり、ウヘン! ああ風でのどがぜいぜいする。ああひどい。ちょっとお話をやめますよ。僕のどが痛いたくなったんです。わかりましたか、じゃちょっとさようなら

 それからシグナルは、ううううと言いながら眼をぱちぱちさせて、しばらくの間だまっていました。

 シグナレスもおとなしく、シグナルののどのなおるのを待まっていました。電信柱でんしんばしらどもはブンブンゴンゴンと鳴り、風はひゅうひゅうとやりました。

 シグナルはつばをのみこんだり、ええ、ええとせきばらいをしたりしていましたが、やっとのどの痛いたいのがなおったらしく、もう一ぺんシグナレスに話しかけました。けれどもこの時は、風がまるで熊くまのように吼ほえ、まわりの電信柱でんしんばしらどもは、山いっぱいの蜂はちの巣すをいっぺんにこわしでもしたように、ぐゎんぐゎんとうなっていましたので、せっかくのその声も、半分ばかりしかシグナレスに届とどきませんでした。

「ね、僕ぼくはもうあなたのためなら、次つぎの汽車の来る時、がんばって腕うでを下げないことでも、なんでもするんですからね、わかったでしょう。あなたもそのくらいの決心けっしんはあるでしょうね。あなたはほんとうに美うつくしいんです、ね、世界かいの中うちにだっておれたちの仲間なかまはいくらもあるんでしょう。その半分はまあ女の人でしょうがねえ、その中であなたはいちばん美しいんです。もっともほかの女の人僕よく知らないんですけれどね、きっとそうだと思うんですよ、どうです聞こえますか。僕たちのまわりにいるやつはみんなばかですね、のろまですね、僕のとこのぶっきりこが僕が何をあなたに言ってるのかと思って、そらごらんなさい、一生けん命めい、目をパチパチやってますよ、こいつときたら全まったくチョークよりも形がわるいんですからね、そら、こんどはあんなに口を曲まげていますよ。あきれたばかですねえ、僕の話聞こえますか、僕の……」

「若わかさま、さっきから何をべちゃべちゃ言いっていらっしゃるのです。しかシグナレス風情ふぜいと、いったい何をにやけていらっしゃるんです」

 いきなり本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらが、むしゃくしゃまぎれに、ごうごうの音の中を途方とほうもない声でどなったもんですからシグナルはもちろんシグナレスも、まっ青さおになってぴたっとこっちへ曲げていたからだを、まっすぐに直なおしました。

「若わかさま、さあおっしゃい。役目やくめとして承うけたまわらなければなりません」

 シグナルは、やっと元気を取り直なおしました。そしてどうせ風のために何を言いっても同じことなのをいいことにして、

「ばか、僕ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのお嫁よめさんをくれてやるよ」と、こうまじめな顔で言ったのでした。その声は風下かざしものシグナレスにはすぐ聞こえましたので、シグナレスはこわいながら思わず笑わらってしまいました。さあそれを見た本線ほんせんシグナルつきの電信柱の怒おこりようと言ったらありません。さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上のぼせてしまい唇くちびるをきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下かざしもにいる軽便鉄道けいべんてつどうの電信柱に、シグナルとシグナレス対話たいわがいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、どんなことだったかたずねてやりました。

 ああ、シグナルは一生の失策しっさくをしたのでした。シグナレスよりも少し風下にすてきに耳のいい長い長い電信柱がいて、知らん顔をしてすまして空の方を見ながらさっきからの話をみんな聞いていたのです。そこでさっそく、それを東京を経へて本線シグナルつきの電信柱に返事へんじをしてやりました。本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらはキリキリ歯はがみをしながら聞いていましたが、すっかり聞いてしまうと、さあ、まるでばかのようになってどなりました。

くそっ、えいっ。いまいましい。あんまりだ。犬畜生いぬちくしょうあんまりだ。犬畜生、ええ、若わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょうの命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたし叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。えい、犬畜生いぬちくしょうめ、えい」

 本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色を変かえて、みんなの返事へんじをきいていました。確たしかにみんなから反対はんたいの約束くそくをもらったらしいのでした。それからきっと叔父のその鉄道長とかにもうまく頼たのんだにちがいありません。シグナルもシグナレスも、あまりのことに今さらカンとしてあきれていました。本線シグナルつきの電信柱は、すっかり反対の準備じゅんびができると、こんどは急きゅうに泣なき声で言いいました。

「あああ、八年の間、夜ひる寝ねないでめんどうを見てやってそのお礼れいがこれか。ああ情なさけない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。なさけない、メリケン国のエジソンさまもこのあさましい世界かいをお見すてなされたか。オンオンオンオン、ゴゴンゴーゴーゴゴンゴー」

 風はますます吹ふきつのり、西の空が変へんに白くぼんやりなって、どうもあやしいと思っているうちに、チラチラチラチラとうとう雪がやって参まいりました。

 シグナルは力を落おとして青白く立ち、そっとよこ眼めでやさしいシグナレスの方を見ました。シグナレスはしくしく泣なきながら、ちょうどやって来る二時の汽車を迎むかえるためにしょんぼりと腕うでをさげ、そのいじらしいなで肩がたはかすかにかすかにふるえておりました。空では風がフイウ、涙なみだを知らない電信柱どもはゴゴンゴーゴーゴゴンゴーゴー。

 さあ今度こんどは夜ですよ。Permalink | 記事への反応(0) | 22:29

2021-03-07

普通普通じゃない

恋人がほしくてマッチングアプリを始めたけど自分が思い描いていたような「普通の人」がいない、私と同じくらいかそれより上の大学出てて身長168以上あって定職に就いていて穏やかに会話できる人ならいいのに

って思ってたけど普通ハードルが高いんだよね 「普通の人」は学生時代に知り合った人と付き合ってるから……。今まで出会う人はだいたい同じような環境で育った人だったから今までどれだけ狭い世界で生きてきたのか思い知った

日常出会う人なら身長168なくてもいいし自分より学歴低くてもいいし趣味が一緒じゃなくてもいいしただ会話が噛み合うだけで好きだなあと思うのに、条件として設定できたら選り好みしてしまうの、良くないなあと思います

春になったら良い人とどこかでばったり出会えたりしないかなあ………それか母校が卒業生集めて合コンしてくれないかなあ……………

2021-02-28

私が里親募集サイトで猫を引き取る事を諦めた理由

内容はタイトルの通り


挫折までのカウントダウン


私は30代の男性、60代の父と二人暮らし

まず猫を飼おうと思ったきっかけは約20年間一緒に住んでいた猫との死別

なかなか日常の会話も進まない二人の不器用な男、そんな暮らしささやかだが彩りを与えてくれていた愛猫

その喪失感に耐えられず、死別から一年経ち喪が明けたという気持ちもあり、二人でしっかりと相談を重ね猫を再び飼おうと決意した


そしてたどり着いたのは「里親募集サイト

様々な条件はあるが、最初は車で一時間程度の所にある保護団体募集に申し込んでみた

答えは 否

理由は「家族構成が気に入らない」

その後調べた所、保護団体は条件が厳しいとの情報があったため、個人での譲渡希望者を探す事にした


二件目は同じ県に住む相手、どうやら家猫の避妊手術をしていなくて増えすぎた子猫を譲りたいようだ

これならばと思い申し込んでみた

やはり答えは 否 どころか沈黙したまま募集終了とだけ一筆

しかしたら申込みが遅すぎたか?と思い次を探してみる事にする


三件目は同じ県、車で40分程度 好条件だ 拾った子猫の扱いに困って譲渡したいとの事

なんとやはり 否、とのこと理由不明だが、申込みが遅かったわけではなく……やはり家族構成だろうか?と考え始める


四件目 偶然にも隣の市、車で10分以内、しかトライアル期間(1週間程度お試しで飼い、お互いに感触を確かめる)あり

さすがにこの条件ならば、と思い募集後すぐに譲渡希望申請をした

もういいだろうが返答は 否、である

しか理由はお決まりのように「家族構成こちらの条件と合わない」


私は辟易した うんざりだ 返信もせずにサイトの退会ボタンを黙って押した



理想家族構成とは


さて、私が譲渡する側にもしもなったら確かに「60代の父、30代の息子」に安心して猫を譲渡出来るか?と言われたら若干悩むかもしれない

理想の家庭は「40代夫婦10の子ども」とかだろうか?

かに世間から見て理想の家庭像かもしれない、そして猫からしても……?


それを見極めるのが「面談トライアル期間」ではないのだろうか?

「人となり」を見極めるのは難しい 実際相手を目の前にしていないと尚更だ

アルバイト募集するのに、30分程度の面接でその相手を完全に判断出来る人間など居ない

面接官は気難しい顔をして相手の顔と履歴書をチラチラ伺い、お決まりの問答をして「じゃぁ試しに雇ってみる」事だって多いはずだ

しかし、里親募集している彼らはもっと難しい事をしているのだ

大企業学歴フィルタレベルラインがある たった1000文字にも満たない応募文章でとりあえず選別をする

たか透視能力でもあるかのように、「人となり」を見極めようとする 私にはとても真似できない芸当だ


「60代男性、30代男性二人か うん、ダメだね」 気持ちは分かる

しかし、何を持ってダメとするかが腑に落ちない

猫が20年生きたら父はその前に死ぬからだろうか? 男性は猫を虐待するからだろうか?

では「40代夫妻、10の子ども」だったら確実に幸せにしてくれるだろうか?

「もしも」を考えたらキリが無いのだが、夫婦円満な家庭だろうか?この時代仕事に疲れている夫婦虐待放置をしない?

病気はしないだろうか?私の叔父などは私より若い歳で妻と子を残して白血病で亡くなった

子どもは猫で健全な情操教育を育むだろうか?

昔、私が10代の時に学校アンケートがあった「ペット虐待したことはありますか?」

なんと、犬猫を飼っていた家庭のかなりの子どもが大なり小なり「経験がある」と答えていた

それを作文で発表し、自らを戒める道徳の授業だ

ちなみに私はその時ペットを飼っては居なかったので、正直そんな他人の話に興味は無かったという記憶もある


話が脱線したので戻すこととする

『なぜトライアルすら許されないのか』

「人となり」を確かめるなら一件ずつ面談、条件が良さそうならばトライアル とすればいいのではないか

しかし彼らはそれをしない 「人手が足りない」「時間が足りない」のだろう

それらしい理想の家庭を文章だけでまずエスパーのように読み取り、あたか大企業面接官のように面談したりトライアル期間を設けて決定する

それが最も「効率がいい」のだ

彼らにとって持て余してしまった動物は言わば「不良債権」であり

その「不良債権」をなるべく高く条件のいい所にそれっぽく手放し、そして「ああ、私は”儲けた”」と言う自己満足に浸る

特に二件目の「無責任に増やしてしまった」飼い主などは今頃自分の無関心、無知が産み出してしまった過ちを「私の猫たちが可愛がって貰える!」なんて胸を撫で下ろしてるに違いない



くそくらえ だ


かに私達は客観的に見て悪条件である それは認めざるを得ない

しかし、命を扱う覚悟アピールする場も無く、門前払いを受けるのは不当だと強く感じた

特に最後の件だが、10ちょっと場所にある我が家を是非見に来て欲しかった

亡き愛猫が残したペットタワー、ブラッシング爪切り道具一式、冬も安心の猫用ホットカーペット

動物を愛してやまない心優しき父、猫と適度な距離を保ちお互いを同じ家族として扱う私(さすがにこれは自惚れだ)

当然二人とも猫に暴力を振るったり、放置したり、必要ケアを怠ったりなど20年間一度もしなかった

日中日当たりも良く、猫のくつろげる場所はたくさんある かかりつけのペット病院も歩いて行ける

フードやトイレもすぐにホームセンターへ飛んでいって用意して歓迎する事を約束出来る


でも私達は彼らに「猫を飼うには不適切ダメ家族」というレッテルを貼りつけられまくった



■そして選ぶ道


結局、里親募集サイトは諦める事となった 時間無駄から

今後、春になったら捨て猫が居るかも知れない 知り合いからの縁で譲り受けられるかもしれない

亡き愛猫も足を怪我していた所を私が保護したもの


出会い里親募集サイトだけではないのだ

気長にいつか現れるであろう新しい家族を待ちながら、この文章を終わりとする

2021-02-03

anond:20210203224149

辛かったね。春になったら少し暖かくなるから、いっぱい寝て、美味しいもの食べて、昼間にこの先のことを判断するといいよ。冬の夜に考えることじゃないよ。

2021-02-01

anond:20210131234648

会社が嫌なら、昼休みをたのしみに、

かいスープジャーにいれて出勤しよう。

春になったら公園の鳩やスズメと話しながらコンビニの🍞齧ってもいいじゃん。

お仕事あるっていいことだよ。

二月ですね。

二月もよろしくね。

2020-11-30

こう寒いジョギングに出るまでの気持ち問題だな

着替えたくないし外に出たくないし汗で濡れた体で寒空の中動きたくない

冬場はなんとか体重維持を心がけて、春になったら再度筋肉を鍛えていくか

2020-11-21

庭に薔薇を植えた

なんか仕事も今年入って半年以上疲れちゃって、コロナコンサートは行けないし、好きな人とは終わっちゃったしで、何かしらもっと社会情勢とか人間関係に左右されない、安定した趣味が欲しいな〜と思ったのがきっかけ。

庭に以前ローズマリーとかハーブをボーボーに生やしてたスペースがあって、そこに薔薇が好きだから植えたら素敵じゃん!って思ったの。

ネットで「庭 薔薇」で調べたら体験記みたいなのがあって、ますますやる気に。その日のお昼には祖母電話して、次の日薔薇の苗を買いに行く約束をした。

ちょうどその日から大苗の半額セールがやってて、色んな種類の薔薇をお得に買えるラッキータイミングでした。

薔薇ってほんとに色んな種類があって、名前ウエディングベルとかかぐや姫とか可愛いよねぇ。親切にそれぞれの品種初心者にも育てやすいやつには、若葉マークを着けてくれてて、選びやすくて良かった。

最初は2.3株?くらいでいいかな〜と思ってたのに、赤と白とピンクオレンジと紫…って選んでたら6株も買ってしまった。でも半額だから一万ちょっとラッキー

お店の人が園芸相談もやってて、おじいさんに植え方を教えてもらった。庭上なら根さえついちゃってあとは病気にさえ気をつければ、意外と思ってるほど難しくはないんだって説明が丁寧で判りやすくて、最後に図付きのメモを貰えた。

帰りは家に着くのが16時くらいだったから、植えるのは翌日に。前に植えてたハーブとか、近くの金木犀の根っことかが蔓延ってて、先ずはそれを取り除かなきゃ行けないから、植えるのに一週間はかかると思ってねっておばあちゃんに言われた。へー。

次の日朝8時くらいか祖父母が来てくれた。大っきくて思いスコップみたいな道具で、祖父が根っこを断ち切りながら、土をおこしてくれる。それをわたし祖母で熊手を使って、ドクダミとかハーブの根を取り除く。2時間くらいかかったかなー?おじいちゃんは80過ぎなのに、元気でいつも助けてくれてありがたい。

ある程度根っことか邪魔ものがなくなってから、6箇所穴を掘って、そこに腐葉土牛フンを入れる。これが元肥ですって。あとおじいちゃん手作りの赤玉?もかけてくれた。土を煮て黒蜜をかけて作ったんだって。知らない世界が沢山あるや〜。手でザックリかき混ぜてから、水をかける。なんで水かけるんだろう。そこまでやってお昼休憩で一旦終わり。

昨日のドライブコンビニカフェラテをおばあちゃんにご馳走したら喜んでくれたので、また3人分買ってきて庭で飲んだ。

芝生とか他の根っこが入ってこないように、おじいちゃんがレンガで囲ってくれたから、すごく花壇ぽくなって嬉しい。

お昼を食べたら午後はおばあちゃんと二人で作業。6つの元肥を入れたスペースに、いよいよ苗を植える位置を決めていく。どこにどの色を置くかは前日に決めてあった。

場所が決まったら植える位置パラパラと白い振りかけみたいな薬?を撒く。あとで水と蒸発して虫除けになるんたって〜。すごいや。

次は元肥の上に普通の土を軽く被せて、苗を植えたら終わり!!

元肥は根っこが触らないくらい下にって園芸相談のお爺さんに言われてたけど、今回元肥な入れたのは化学肥料とかじゃない優しいやつだからいいんだって〜。

すごい仕事のことで鬱々としてたのが、土いじりをしてすごく楽しかったし浄化された気がする!

春になったら咲くのが楽しみ。私も薔薇のように冬を乗り越えて、春になったら花が咲くことを信じたい。

しかたか日記

2020-04-09

自粛生活で知った新しい幸せ

緊急事態宣言地方に住む私には関係ないけども、

一応、外出は最低限に抑えてはいる。

もともと在宅ワークだし。 

 

からテレビはあまり見てなかったし、

ニュースネット新聞見出しだけざっと見て把握するのみ。

なるべくコメント欄とか、SNS絶対にみない。

そもそも地方に住んでるのに、都内の街中の様子を聞いても

何も意味がないんだから

 

これまでだったらCafe仕事したりとか、仕事を持って

温泉に行ったり都内に遊びに行ったり海外旅行したり

結構アクティブに外出する人間だったから外出自粛はすごく

ストレスいかと思ってたけれど、思ったより平気だった。

 

もちろん都内に住む友人の話を聞く限りは、地方に住む自分

今の段階では、恵まれてるんだってことはわかってる。

(コロナ以前は、地方住まいを不便に思うことが多かったけれども)

 

4月に入ってからは、暖かい日が続くし、何よりも桜が美しい。

家の近所に桜の名所になっている公園があって、毎年

昼も夜も宴会客でいっぱいだったけども、今年は禁止

からか、ゆっくり散歩しながら桜を愛でれるし、桜の木の下で

お気に入りの店で買ったベーグルを食べながら本を読むことすらできる。

いい意味のんびりまったり

桜が咲く季節でこの公園で、こんな時間を過ごせると思わなかった。

都内でピリピリしている友人には言えないけれども、

結構幸せです。 

 

私は自分ではアウトドア派だと思ってた。

休みの日は、買い物に行ったりカフェお茶を飲んだり

ドライブをしたり遊園地ではしゃいだり。

そうしたことが私にとっての幸せだと思ってたし、

寒くて冬に閉じこもっていた私は春になったらやりたいこと

たくさんあった。

でもそれが叶わなくなって、しぶしぶ家にこもるようになったけれども

案外快適で驚いている。

不用意にコンビニにも寄らなくなったので、お金も貯まる。

それに、お金をかけなくても公園で本を読んだりとか

桜に限らず近所の散歩をしながら庭先のお花を見るだけでも

心が洗われる。 

 

もちろんこんな日がずっと続くと、きっと飽きると思うけども

お金を使うこと、遊園地とか買い物とか、与えられるものを楽しむ

ことだけが幸せじゃないんだってことに気づいたのが大きい。 

 

コロナがある程度落ち着いても、今の中国のように

爆発的に外出しまくるのは、気持ちはわかるけれども、

やめたほうがいいし、私もしないと思う。 

人々が落ち着いて、観光地で人が溢れなくなった頃に

ゆっくり旅行ができたらなぁと思っている次第です。

2020-03-25

バイト日記

先々週辺りまでの猛烈自粛モードはどっか行った。

夕方から10時まで、絶え間無くお客様は来店する。そればかりか、暇をもて余した幼児小学中生が10時近くまで来店している。

インフルと同じでコロナ春になったら流行らなくなると、思われているのだろう。

最近レジ自動釣り銭機が導入された。CG切るのに便利過ぎてヤバいけど、欲を言えば、釣り銭の出口は店員側じゃなくて客側だったらいいのにな。

自動釣り銭機の導入と共に、オーナーは私ら従業員に、一々預り金とお釣を数えることを禁止した。黙って受け取り黙って返せという。なぜなら、店員は間違うが機械は間違わないからだ。

「◯◯円お預かりします」

「××円のお返しです」

そう読み上げるとき金額を言い間違うと客は容赦なく怒りをぶつけて来るからと。

で、実務において、お客様からの預り金を黙って受けとるとどうなるかといえば、お客様はちょうどの金額を出したつもりの時は自信満々でソッコー店を出ていくので、うっかりいくらか間違えて足りなかったという場合、差違をもらいそびれるというトラブルが発生する。

それでうっかり差違をもらいそびれるところだったので、以来、やっぱり預り金は数えるようにしているんだけど、その様子を横目で見たオーナーは、余計なことをするなと怒る。「すみません、つい癖で!」と私は言う、というのが、定番のやり取りになった。

お釣を数えない、お札の向きも揃えないことでクレームには今のところなっていない。元々、この店の店員は昼勤の一部の人しかお釣りお客様の前で数えて見せないし、札の向きを揃えてドロワーに入れとくこともしない。

ただ、やっぱりお客様の中にはお札の向きが揃っていないと気になるらしく、買い物袋を片手に提げたままもう片方の手で、やりにくそうな仕草でせっせと札の向きを直し、小銭を種類分けして仕舞うという几帳面な人もいる。

「八千円のお返しです」

などと、数えないでお札を差し出すと、「えっ?」って感じで目を丸くし、自分でお札を数えながら帰る、というお客様もいる。

他の小売店でも、自動釣り銭機のとっくに導入済みの所は幾らでもあると思うのだけど、それでも「えっ?」って顔をされる。

興味深いことに、以前こちらが札を手で数えて見せていた頃は、

「お確かめください」

と声をかけてから札を目の前で数えつつ金額を読み上げても、あさっての方をぼんやり見ているだけだったお客様が、自動釣り銭機導入後の今は、お確かめ無しでお札を差し出すと「えっ?」て顔しがちなことだ。彼らにとっては「お確かめください」タイムは「3秒休み」だったのだろうか。

なお、自動釣り銭機は二台あるレジのうちの一台にしか導入されなかった。だからしかすると、お金を一々数えて欲しいお客様はノー自動釣り銭機のレジに並ぶという使い分けをしてくるかなあと、私は予想したのだが、全くそんなことはなかった。

ただ、あるお客様で、"店員増田さん(私)は俺に惚れている"という勘違いをしている人がいるのだけど、そのお客様自動釣り銭機有りのレジで私が対応すると話し掛けてこないのに、自動釣り銭機無しのレジ対応するとめっちゃ話し掛けてくる。

ところで、昨夜、オーナーと私で店番のときに、レジに長蛇の列ができているのにオーナーが店の外でお客様と長々立ち話をしていて、何度ブザーで呼んでも戻ってこない、ということがあった。すると、例の勘違いしているお客様が、怒ってオーナーを呼びに行った。その後、オーナーが、

「あの人、増田さんの知り合い?」

って聞いて来たので。

「いえ、知らない人です」

って答えた。


追記

おすすめエントリに私が書いた記事が載ってた。

https://anond.hatelabo.jp/20180511212506

懐かしいな。こんなこともあった。

2020-03-03

臨機応変に過ごしたい

コロナのせいで、行動が色々制限されてしまうこの春。 

こういう時こそ、家の中で目を瞑ってたことに取り組む時期かも? 

 

今日、寒くて冬の間見て見ぬ振りしてたシンクを 

磨いてピカピカにした。 

ら、シンク周りの収納が気になって、ここも断捨離。 

 

ものの1時間半で、美しく機能的になって(自己)大満足! 

 

苦手な冬はずっと引きこもってて、春になったら旅行しよう、 

外に出かけよう、とずっと楽しみにしてたのにこんな事になって 

ガックリしてたけど、変えようがないことを嘆いても仕方がない。 

 

暖かくなって出てきた元気を使って、今だからこそできることを 

一つずつ片付けて行こう!

大晦日も寒くて掃除できなかったし(汗) 

ここできっちり取り戻すのもいい。 

 

家のなかでもできるエクササイズはあるから、夏に向けて 

体を引き締めるのもよし。 

 

元々在宅ワーク特に仕事の影響はないけども、仕事効率をあげる 

仕組み作りを開いた時間にしてもいい。 

 

  

変えられるものを変える勇気を、

変えられないものを受け入れる冷静さを、

そして両者を識別する知恵を与えたまえ  

 

昔聞いた時はしっくりこなかったこ祈り言葉も、 

今思うと深い。 

 

今できることを淡々とする。 

どうにもできないことは黙って受け入れる。 

状況が日々変わるとしても、その機に応じて、できる対応を。 

 

変えられないことに、振り回されてはいけない。

2020-02-28

anond:20200228000043

つーか元々季節性で春になったら勝手に収まる可能性も大きいんだよな

それでも自分の手柄にするんだろうな…

2020-02-12

anond:20200212141640

そうなのか

春になったらジムに通って有酸素運動しまくろうって考えてるんだ

そうすれば眠れないかなって

まり長期で飲まないで済むようにがんばってみるよ

とりあえず冬の間は、足してもらえるように医者相談してみる

2020-02-09

anond:20200209232907

😺春になったらこたつから出るニャよ🧁

海外旅行したいニャー。一緒に連れてってニャ!!しんこうりょこうニャ!!←出発進行と間違えてる模様😁

にゃーおーーーー(遠吠え

2020-01-23

なんでそういうタイプの女と付き合ってしまうのか

俳優不倫なんだけどこれから公開を予定してる映画が好きな作品なんで

あちゃーって思ってる

犯罪おかしたとか逮捕されたとかじゃないし、

コメディだけどある意味反社会的役の映画なんでイメージがどうとかはないんだけど

春になったら映画番宣バラエティに出たりだとか

特別ドラマとかするかなとか思ってただけにケチつけられた感じはする

所詮他人のことだしファンでも何でもないし「あーあ」って思うんだけど

自分恋愛体質でもないし、不倫浮気リスクおかしてまで(失うものが大きすぎる)

パートナー裏切る気持ち理解できないんだけど

なんで家族との幸せの他に社会的成功とか信用とかぶん投げて

地雷そうな人と付き合ってしまうんだろう?

前に流行った「彼氏の周りにいたら嫌なタイプの女」っていう

テンプレートみたいな人だよなって思ってしまった。

2019-01-13

春になったら、ゲーミングPCを買う

今は課題に追われているけど、春になったら段落する予定。

資金は、虎の子500円玉貯金から15〜20万円。

自作ちょっと不安なので、BTOにする予定。

課題に行き詰まったら、少し現実逃避する。

あちこちを調べる。

RTXが出てきたからいいぞ、とか、いやいや、だからこそ、今はGTXが買いだとか、メモリはいつがいいとか、電源は増やした方がいいとか、肴は炙ったイカでいいとか、グリスは良いものをしっかり塗れとか、SSDの容量は最低コレくらいとか、BTOメーカーはココがいいぞとか、予算内で最強を買え、いや、今一番コスパのいい買い方はコレだ!…とか、そういう話を見聞きしながら、過ごす時間がすごくワクワクする。

欲しいものがあるって、幸せだ。

2018-03-11

春なんて来るな

すごく好きな曲がある。とある作品とあるキャラにすごくぴったりで、柄にもなくパロディ動画やってみたいなあなんて思った。もちろん絵も描けないし人力もできないから本当に作るつもりはなかったけど、この曲このキャラじゃないですか!?ってどこかで言いたい気持ちがあった。

気持ちがあっただけじゃだめだった。

他の人が先に作ってた。もちろんその人を責めるつもりも何もない。むしろわたしが一人妄想してるだけじゃなくて、同じこと思ってた人いるんだ!と嬉しくもある。けど同時にどこかが虚しかった。どこかが冷えてしまった。

すごく、みっともない。

なんか色々ダメだなあと思う。だめだめだ。生きてるのがつらい。

春になる。4月になると新生活が始まる。嫌だ。始まってほしくない。嫌だ。どこにも行きたくない。進みたくなんかない。できることなら一生子供がよかった。社会なんか知りたくなかった。嫌だなあ。春なんて来なけりゃいいのに。

このまま世界が止まればいいのに。時間還流すればいい。ずっと同じところをぐるぐるして、変わらないままで。時折、すごく昔が懐かしくなる。毎日決まって登校して決まった友達と喋って代わり映えのない授業を受けて何もないまま一日が終わって、また同じような明日。すごく羨ましい。変わりたくなんかない。成長拒否したい。

春なんて来るな〜春になったら幸せそうな人が歩くようになる。みんな幸せそうになる。いっそわたし深海に沈めるなりなんなりしてほしい。

やだなあ。目覚めるのも嫌だ。一生眠って、眠ったまま消えたい。

2018-02-05

anond:20180205154059

春になったら大学生って授業やゼミ・実習、バイトサークルとかで、メンバーが、ちょっとずつ変わるもんじゃないのかな?それに、元増田子は、何かしら誘われたら、足を運びそうなタイプそう。

2018-01-23

anond:20180123221956

あったかくなると気持ちはかなり変わってきますね。

冬に残業がずっとあるのは、ほんとしんどい。ましてや引継ぎは双方で気も使います

教えるほうが、基本だけでも、引継ぎノートを作って、チェックしていってくれたらいいんだけど

そういう引継ぎの習慣がないと、難しいかもしれないですね。

ご無理なさいませんように。

「きっとここは春になったら桜が満開で綺麗ね」といいながら、はっぱ一枚もない木の下で

先週、友人と外でサンドウィッチ食べてきました。寒かったけど、桜が咲いたらめちゃ綺麗なはず。

早く春になるといいなぁ。そわそわするほど、満開の桜で。

2017-10-26

夢を捨てたわたし反省

本当は後悔文だけど、敢えて反省文、と書こうと思う。ある日夢を捨てた。それからのまだ短い人生について書く。

何のために大学に入ったのか。最近よく考える。何のためだったんだろう。今更レールから外れて生きていこうとは思わないけど、そうしたら全然違う将来みたいなのがあったのかな。そんな風に。

努力は嫌いだった。嫌いだったけど、全くしないわけではなかった。できるだけ最小の努力で得られる中で、世間的に一番いい未来を選び取ってきた。

夢がないわけではなかったけど、いつの間にかこっちを選んでいた。大切な家族わたしの夢を嫌っていたし、わたしは夢よりも家族を選んだ。その程度の夢だったんだと思う。

18の春に、田舎高校から都内国立大に進学した。一般入試は面倒だったから、公募推薦で入った。昔から小論文は得意だった。自由に述べる文章は苦手だったけれど、テーマを与えられるものはそうだった。何故だかいつも、求められている答えがぼんやりと分かった。課題文や、設問の言葉の選び方や、注の入れ方で、いつも何となくこう書けばいいんだなと分かった。その時も、生まれてこのかた考えたこともないような"自分の考え"を、誰かの本で読んだことのある言葉を、自分言葉に言い換えて目の前の紙に書き連ねた。志望理由書でも面接でも自分本心には一つも触れなかったけれど、滞りなく合格通知が届いた。

努力は嫌いだった。嫌いだったけど、努力の使い所みたいなものは分かっていたつもりだ。海流を捕まえることができたときにはただ流されて、いつの間にかそこから外れてしまったときにだけ、ほんの少し自分の力で泳いだりした。そうしてまた流れを捕まえた。その繰り返しで生きてきた。その海流が、自分をどこに連れていくのかなんて誰にも分からなかったし、わたしにも分からなかったのに。今考えると馬鹿っぽい。

大学で学びたいことなんて、多分一つもなかった。学ぶことが嫌いだったとは言わない。学ぶという行為が好きだった時期も多分あったし、ずっと好きだった分野も、多分あった。でもわたし大学に行って手に入れたかったのは、世間的に良いなと思われるような人生への海流だけだったと思う。そういう意味ではわたしは行き着く先を分かっていたし、実際その流れは、確かにわたし目的地まで運んでくれたんだろう。

ゴールデンウィークの前、早々に内定が出た。何個か落ちて、何個か受かった。受かった中から選んだのは、かつての夢とは程遠い位置にある少しお堅い大企業だ。来年春になったらわたしはあの企業で働く。かつて夢を思い描いていた自分には、きっと考えられなかったことだと思う。それでもこれは、リクルートスーツを纏って精一杯背伸びしたわたしが掴んだ一つの未来だった。それは本当だった。わたしが本当に辿り着きたかった場所だったかどうかは別として。旅というのは、案外そういうものだ。目的地なんてない方が上手くいく。少なくとも、到着して辺りを見回したとき、「こんなショボいところだったんだ?」なんて思うことはないだろうから

一昨日、卒論を書く手を止めて、ふと、何のためにこの大学に入ったんだろうなと考えていた。窓の外に、台風でぐちゃぐちゃになった道が見えた。校内にイチョウを植えるなんてどうかしている。銀杏を潰した女の子が、隣の友人ときゃあきゃあはしゃいでいる。悩みなんてない風に見える。彼女たちも、いつか思ったりするのだろうか。何のためにここにいるのだろうと、考えたりするのだろうか。そうだとしても、わたしとは違って夢を持ってこの大学に入ってきたんだろうな。そう思ったら、少しだけ羨ましいような気がした。

羨ましい、というのは少し違う。わたしは何も捨てられなくて、何も得られなかった。そんな自分が少し恨めしかっただけ。それでもわたしはこれからもそうやって生きていくんだろうな。

今朝、窓を開け放して鼻から思い切り息を吸い込んだら、鼻の奥がツーンとした。台風が去れば気温は上がる。暖かい日はしばらく続くのだろう。それでもわたしは、もうすぐ冬がくるんだなぁと、そう思った。わたしペンを握る。この論文が書き上がったらわたしは新しい海流を見つけて、もうあの頃の夢を思い出すこともなくなるのかもしれないと、そんなことを考えながら。

2017-08-23

https://anond.hatelabo.jp/20170823212713

そうだ、春になったら首を括って死んじまえばいいんだ!→

そうだ、夏になったら首を括って死んじまえばいいんだ!→

そうだ、秋になったら首を括って死んじまえばいいんだ!→

そうだ、冬になったら首を括って死んじまえばいいんだ!→

(以下無限ループ)

そうだ、春になったら首を括って死んじまえばいいんだ!

そうだ!本来もっとくそうするべきだったんだ!だって自分がいて良かったことなんで何1つないんだから

学校では孤立ばかりして、父親からは小さなから金のかかる穀潰しみたいに言われて、挙げ句の果てにそんなに金の事ばかり言うならなんで子供を産んだんだと問うたら「勝手に生まれたんだ!」と訳のわからないことを言われる。

その言葉は、「生まれたくなんかなかった」とずっと思っていた自分には非常にショッキングものだった。だって、つまりただ世間体を気にして作ったってだけだろ?

父親と不仲な母親は「父親言葉無視しろ」なんて言うけれど、自分の心には常に突き刺さってままだった。

姉がいるが姉も自分ことなど嫌いなようだった。だから自分がいなきゃ子供1人だけで無駄に金のかかることもなく丁度いいんだ


会社だって新入社員として入ったが、同じ部署の1人の同期に嫌われるわ、仕事は出来ないわで酷い有様だ

自分を嫌う同期は同じ部署のもう1人の同期と仲がいい、きっと自分がいなきゃ何もかもうまくいくのだ

そう、人と会話がうまく出来ないのだ。正直生きてきて思うのが、人との会話こそ才能やセンスというどうしようもないものがあるんだ。小さなから話すことが苦手だった、小さなから自然と人と話せる人が今でも心底羨ましい

それに価値観……大多数の人が結婚を良しとする中で、1人それを全否定しているのだから居心地が悪いだけだ。自分だって普通価値観が欲しかった。いつも人と話すと、嘘をついているような気分になる

本音など誰にも話したことなどない。だって人を不快にさせるだけなのだから

未来希望なんてない。

いつも父親や姉に怒鳴られたり殴られて、家族結婚も到底良いものだとは思えない。

それに、長生きしたって祖母のように不自由な体に苦しみながら、色んな人に疎まれ辛いだけだ。

独り身だって普通人間扱いされないんだ。祖母施設に行く最後の日、自分をつまらない女だと呪いをかけた。その通りだ。

から冬まではほんの少し趣味で楽しみがある、

でもそれ以降はもういい、もう何も、幸せだっていらない

気持ちは今すぐ首を括りたいくらいなんだ

1人で趣味に浸る時間だけあれば良いが、そんな訳にもいかない

きっと歳をとったらもっと大変になる

人目だってもっと気にしないといけない

から、頑張る理由も生きる理由ももうどこにもない

高校の時も、就活の時も幾度となく今まで死にたいと思って来たが度々環境が変われば……と思い騙し騙し生きて来た

けど、もうどうせ大きく環境が変わることもない

変わった所で同じ気持ちになるだけだ

から、もういいんだ

本当はもっと早く終わらせるべきだったんだ

いつも何かする度に過去に言われた言葉が頭によぎって苛まれ

これから生きて来て、どんどん嫌な記憶ばかり増えて行くんだ

もう傷付きたくない

失敗は成功体験を重ねることで払拭されると思っていた

けど違うんだ、失敗は何度成功体験を重ねても買えなかった

その記憶けが色濃く残って、ずっと蝕むんだ

この記事は決意と希望

今まで怖くて死ななかった決心と

春になったら楽になれるという希望の指針

実際、春になったらこの場にいないと思うとほんの少し気が楽になる

今すぐ死なない臆病でどうしようもない自分だが

まれるなら、普通身長普通価値観を持った普通人間になりたかったし

そもそもまれたくなんてなかった

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