はてなキーワード: 懐刀とは
俺は叔父の会社で働いていたんだが、俺には親が早くに亡くなり居らず、
叔父も実子が居ない為、何れは俺に後を継いで貰う、と常々言ってくれていた。
両親を亡くし孤独となった俺を親代わりに育ててくれた叔父を、父の様な存在だと思っていた。
会社の方で大きなプロジェクトに取り組む様になり、俺もそれなりの大役を任された。
もしこのプロジェクトが成功すれば、名実共に俺を叔父の跡継ぎにしてくれると約束してくれた。
「(会社としての)体面、矜持」「社会的な意義」等を重視する人だった。
また、自身が一番働くタイプのトップだった為、部下らにもハードな労働を半ば悪気なく強いていた。
ブラック残業で部下が潰れて討ち死に状態になっても「(会社としての)大義の為ならば仕方が無い」というスタンスだった。
昔はそんな一本筋の通った叔父を尊敬もしていたが、叔父の懐刀となって働く内、段々疑問が芽生えてきた。
「本当にこれで良いのか?」と。
付いてくる同僚、部下達を、会社の大義の為に使い潰して良いのかと。
疑問は確信に変わり、従来のやり方を革新する方向でどんどん仕事を進めて行った。
同僚、部下の配置は適材適所。
それを逆手に取り更にこちらが有利になる様に取引を進め、相手企業の利益をシェアを削り、こちら側のシェアを増やして行った。
人心掌握術、営業、切った張ったの駆け引き等、やれる事は時には強引に何でもやった。
そうして、ようやく自社がシェアに大きく食い込み、プロジェクトの成果も目に見えて上がってきた。
しかし、叔父は俺のやり方を認めず「邪道」「真っ当な道に反する」と反対した。
だが俺も、叔父が今まで切り捨てて来た部下の為にも、このプロジェクトは成功させないと必死だった。
叔父との対立は激化していき、部下らにも知られる程ともなったが、とある相手企業との取引において、
相手企業の知り得た内部情報を上手く活用し、内部での混乱に乗じる形で取引を有利に進めた。
それが遂に叔父の逆鱗に触れ、俺は後ろから撃たれる形で叔父の会社を追い出された。
不幸中の幸い、俺に付いて来てくれる同僚・部下達もおり、
後で彼らと新たに集めた仲間で会社を立ち上げ、
叔父と時には対立、時には協力する形で、他社としてプロジェクトを進めて行った。
そして…叔父と、叔父会社の悲願だったプロジェクトは成功したが、俺の強引なやり方のせいか、
叔父の真っ当な仕事人としての名誉は穢れてしまった。叔父は意気消沈し、自ら責任を取った。
今は俺も会社を畳み、フリーランスの様な仕事で糊口をしのぎながら、
小さいながらもマイホームで趣味を細々としてささやかながら楽しく暮らしている。
元部下で、今も仲が良く俺なんかの世話を焼いてくれている女友達もおり、孤独でも無い。
しかし、今でも思う、もし俺が積極的に行動しなかったら、叔父主導のプロジェクトは失敗に終わり、会社は悲惨な事になっていただろう。
叔父は引退したが、会社は残り今でも残った者達だけで頑張っている。
だが、親父代わりだと本当に思っていた叔父を追い込み、叔父は息子だと思っていた俺に引導を渡された。
俺はこの先、何を思い生きていけば良いのか……
それとも、細やかながらも家庭を持ち、静かに暮らしていけば良いのか。
こんな日は午前6時眠れなくて、朝方まで考えても、答えは出ない……
生まれて初めてパワハラだと言われた。職場の360度評価で何十人かにアンケート書いてもらうんだけど、3人からパワハラになりそうだと書かれた。まだ正式に訴えられたわけではない。
こんなに頑張って仕事してるのにすげーショック。部長にも認められてる懐刀的な存在なのに。つーか部下が無能すぎるのが悪い。何回代わりに頭下げたことか。自分自身これまでパワハラ環境で育ってきたからどうしていいかわからん。
、、、、と
2020年6月施行「パワハラ防止法」に完全対応 管理職のためのハラスメント予防&対応ブックに書いてある通りの感情が湧いて出てきた。
ようできた本だわ。
パワハラと指導の線引きができないので降格人事を申し出た。今の職場ももうすぐ辞めるので、ちょうど良いタイミングだったと思う。
これが辞める予定がなかったら辛かったなー。
ついき
空回りなんだろうなあ。
ガースー内閣になってからしばらく経ちますが、これはアベちゃんのが良かったなー とボンヤリ考えている昨今です。
政権内部のことなぞ全然わからないので、すべて外からみた推測ですが、菅さんのあの圧が良い方向に向いていない気がします。たぶんブレーンやスタッフがビビっちゃってうまく機能してないんじゃないかなー
安倍さんは、ボンボンならではの鷹揚なところがあり、ブレーンが意見しやすい環境だったのではないかと思います。それが今井ちゃんやら誰やらの専横に繋がった と言われればそうなのかもしれませんが、所詮人間、ひとりですべてをすることはできないので、どれだけ周りから担ぎやすい神輿になれるかが重要だと思うんですね。特に、一国の宰相ともなれば。
菅さんはそこら辺、いまだに官房長官としてキレ者的なキャラだった状態を残しているようにみえますが、懐刀・右腕・金庫番的な官房長官と、首相は求められるキャラが違う。東洋的な統治者像(特に中国の皇帝的な)からすると、トップはキレッキレで全部パシパシとリーダーシップもって決めてくひとより、ちょっとボケてるくらいで周りが支えなきゃいけないタイプの方がスタッフとしてはやりやすいし士気もあがるんじゃないでしょうか。
そういった意味で、安倍さんは、担がれうまい というべきか、神輿としては歴代首相の中でもベストに近かったのかも。みなさん、バカだボンボンだ、中身空っぽだ と揶揄されますが、何の取り柄もない人間が戦後歴代最長期間首相でいれるわけがないのです。
古くは大山巌が若い頃はキレ者キャラだったのが、日露戦争の満州軍総司令官となったらボンヤリキャラに豹変して苦戦の中でも参謀団の士気を鼓舞して勝利した という故事もありますし、菅さんも早めにキャラ変しないと、周りがやりにくくて外しにかかる→疑心暗鬼が強まり粛清の嵐→ますます周りが離れる のネガティブスパイラルに入りそうです。もう入ってるかな?
総理怒ってますよ とか権威・権力で押さえ込むやり方は中長期的には自分の足元を掘り崩す行為に他ならないので、止めたが吉です。これまでずっとそういう動き方してきたからすぐに方向転換は難しいとは思いますが・・・ まずは、もうちょっと笑ったらいいんじゃないですかね。総理ともなると、威圧に益なし です。
前職の同期(女性)から「彼氏にセックス上手くなってもらいたいんだけど、どうしたらいいのか」という突然のお便りがLINEで飛んできた。
面白いトピックだと思ったから徒然に書く。タイトルに少しでも悩みがある人に向けて書けたらいい。
僕の歴代彼女は3人。経験人数は指で数えられる範囲。風俗経験は1度しかない。
2人目の彼女と別れてからそういうことになった女の子で、「上手」と言われないことがなかった。
リップサービスを加味しても、表題をつけるだけのユーザー体験を提供できているといっていいのではと思ったので以後、偉そうにする。
僕がその女性に対してなんとなく言ったのは「なんかふと思ったけど、本当にセックス上手い人って相手のこと育てるのも上手いんだろうね〜」というやんわりとしたものだった。
直球で言えば「育成ミスったね」ということだ。
このお便りをいただいてから、僕なりにセックスが下手というのはどういう状態なのかということを考えてみると、
・痛い
・具合が合わない
・そういうことじゃない
MECEではないが、この3つが浮かんだ。
うち、「痛い」は状況が悲惨なので、これは最中にカミングアウトしたほうが良い。
痛いのを隠してムダに演技をしてしまうと相手の学習が悪い方向に進んでしまう。
とした場合、「セックスが下手」のうち、悩みに発展するパターンっていうのは
「具合が合わない」「そういうことじゃない」のどっちかなのだろう。
風俗狂の同期に言わせれば「人生で一回だけ経験した大満足ックスはジャストフィットがパない(ボキャ貧)」らしい。
僕にはちょっと何言っているのかよくわからないんだけど、JF(just fit)するとお互いに「あ、きちゃった」という感じになるとのことだ。
JFがキマるんであれば、AF(アバウトフィット)もキマるというもんだ。
女性と男性には特有のオナ癖がつくので、こればっかりは解決不能かもしれない。個性として受け入れていくしかない。
どうしてもだめだったら、性の不一致を理由に別々の道を歩んだって良い。
一方、「そういうことじゃない」の問題は、はっきり言えばコミュニケーションの問題である。
セックスは非言語コミュニケーションなんであって、肉体コミュニケーションなんである。
(という信条から、「いかに美しくセックスするかにコミットしている」という発言をしたらドン引かれたことがある)
それ故に、「セックスの上手い下手は、話していれば大体わかる」
という持論もまた、懐刀のように持っている。
大抵の場合、「独善的な会話」をする人は「独善的なセックス」をするし、
「相手の立場に立って会話」をする人は「相手の立場に立ってセックス」をするのである。
キャバ嬢から「話してる最中、セックスしたくてしたくて仕方なかった」と言われたことがあったり、
「あなたとセックスしてみたい」と何回かストレートに言われたことがあったことだ。多分、一部の女性も直感で理解しているのだろう。
前職の上司は「お前の欲望何?セックス?セックスならうんうん言ってればヤレるじゃん」みたいなことを初対面の僕に言ったことがある。
共感が大事、ということだろう。とんでもねえベテランだなと思った。
あるいは、大阪のソープ嬢から、「舘ひろし(みたいな男性。風俗経営者)と初めてシたとき、『し、しぬほどよかった・・・』ってなった」
と聞いたことがある。セックス界のクリロナみたいな人だ。経験人数✕学習能力が桁違いである。
PDCAの研究開発が幸を奏しているし、熟練度が匠の技化していくのだろう。僕はさしずめ「県大会のメッシ」といったところか。
「相手に対して嫌なことはせず、お互いに気持ちよくなれているかどうか」を気にしている。
また、セックスの上手い下手は間違いなく経験人数だけの問題じゃない。
100から先は数えてない系人材は、経験人数がたった一つの勲章だと思っており、必ずしも学習総量を高めたいタイプではないので注意が必要だ。
「いかに相手に学習を促せるか」ここに集中してディープラーニングを頑張るしかないように思う。
具体的には、間違った学習をしないよう、演技をしすぎないことと、痛いときには痛いと言うこと。
奥がコリっとして気持ちよかったとき、壁がカリっとして気持ちよかったときは盛大に「ぎもぢい」と言うこと。
これしかないと思う。
「痛いときは痛いって言うね」といったアイスブレイクを行っておくことも重要だ。
あとはもうこうなってくると如何にプリミティブな自分を曝け出すか勝負になってくるので、
こういうことしてほしいみたいなことは積極的に言ってみるとか。
ただ、「そういうことじゃない」に対して言語化ができない微妙なシーンがあると思う。
具体的には思いつかないけど、うーん例えば
これは頑張って変換する語彙力が大事で
「優しく吸われるほうが好き・・・」とかそういうふうに頑張って変換することで開発促進する。
セックスに正解はないので、あとはオナ癖を意識したコミュニケーションを取る。
おっぱいを強くわしづかみされるのが好きだったらそう言ってあげたほうがいいし、
クリをグリグリ押し付けてオナニーしているんであれば、「もっと強くしてほしい」といったほうがいいし、
逆にナカ派なんであれば、はっきりと「クリ育ってなくて刺激強いから、優しくしてほしい」と頑張って言うとか。
「痛いときは痛いって言ってね」系の前提のすり合わせは入念に行っておく。
「どうされるのが好き?」など、相手が自己開示しやすいようにチームビルディングが重要だ。
激しくするのは相手から必要とされたときだけに留めておくと丸い。
そして男性もまた、きもちぃときはきもちぃ、ぃたぃときはぃたぃと言う。表現のレパートリーを増やす。
上記に加え、セックスの体験価値は居酒屋でのコミュニケーションから前戯の前戯が始まっていると言っても過言ではないので、
未体験の場合、そっから如何に相手をその気にさせるかもすごく重要だと思う。
相手の反応からどんな気持ちなのかが手に取るようにわかる阿吽セックスを楽しめるだろう。
ここまでのことをさも当たり前のようにこなしている男性は、きっと仕事でも喜ばれているはずだ。
上達の結果リピート率が高くなってうれしい気持ちになっているに違いない。
ただ、コミュニケーションを一つでも齟齬るとメンヘラ化が待ち受けているので、気をつけてほしい。
追記:
全く、年代ずらしのフェイク年表まで出してくる奴がいるんじゃ先が思いやられるな。
俺はあのころまだ20代だったが、当時のはてなはまだそんなに派手じゃなかった。新興のwebサービスとして3年、渋谷にようやく移ってきたってのが2chで話題になってたくらいだ。
スター合戦が起きるのはこの後で、確か発端は東京オフィスの竣工祝いだって聞いたな。なんでもシャンパンタワーで乾杯していたはてなエンジニアの一人がロリコンで、誰かの連れてきた幼女(ショタ説もある)に「ツリーのてっぺんのお星さまが欲しい」って言われたのがきっかけらしい。
池田先生は確かに当時から有名だったし、ジュリアナブロガーも多かったけど割とヨロシクやってた幹部もいたって話だぜ?
初代のKは当時から不動産じゃかなり有名で、業界で語り継がれてるのは立ち退きボーリングって遊びだ。買い占めた土地で不法占拠を続ける民家にダンプを突っ込ませる手法くらい聞いた事あるだろ? 普通は数件になるまで待つんだが、Kの場合はそれを10件くらいからやる。玉も一つじゃ物足りないから、って5台6台の盗難車を集めてきて自分で配線引き出して制御系を直接組むんだよ。
で、幹部でそれぞれのトラックに賭けて、後は一斉にスタートさせる。まぁ詳しい事は省くがこの時に頭角を現したのが一点張りで大勝ちしたOと、二代目のK、それに懐刀のMだ。
Oの武勇伝は多いが戦後の成金をマネて「どうだ明るくなったろう」をリアルにやったり、セルリアンタワーの能楽堂(当然貸し切りだ)に呼び出したパニオンを全裸で整列させて寿司デリで女体盛りをさせる能楽女体盛りなんかが有名だな。まぁ大人しそうに見えて危ないやつなんで犯罪に関わる部分は伏せるが。
二代目についてはあまり詳しい説明はいらないだろうし、Mについては金融関係だから別の機会にしよう。
とにかく初代とOは派手だった。損失も出したようだが不動産サイトに本業を移したみたいだから、今後もまだまだ暴れていくんだろう。
おっと長く成り過ぎちまったな。
ともかく創業者達は光り輝いてたよ。好き放題にやって贅沢の限りを尽くし、webに輝く星になるんだってのが口癖だった。
今にしてみると――、そうだな…、当時の若かった俺からすれば、本当にスターだったのは彼らなのかもしれない。
見てるやつらもがんばってあんな風になってくれ。
じゃぁな。
はてなで絶筆して久しいが、あまりにアホ、または意図的なミスリードが多いので書く。
ひさしぶりすぎて記法を忘れているので読みにくさはご勘弁願いたい。
https://togetter.com/li/1097174
これのブコメに
「同行するだけなら問題ない」
といったコメントが多くついている。
総理大臣夫人付という役職が作られたのは第二次安倍政権になってからであって、
その公務の内容については、辻元清美による質問主意書への公式回答がある。
曰く
「安倍内閣総理大臣の夫人が内閣総理大臣の公務の遂行を補助することを支援する」
SPはどうだというが、SP関連は国会事務局警務部所属の特別職公務員であるため
3人まで公費で雇うことができる。
政策担当秘書は資格が必要であるが、公設第一秘書、ならびに公設第二秘書をおく場合は特に資格は必要ない。
政治家が大臣となると、大臣秘書官1人を省内に置くことができる。
大臣でも規模が違うが同じようなもので、その政治家の懐刀感がある。
こいつらが、いわゆる大臣秘書官であり、一般に政務秘書官と呼ぶ。
彼らは特別職公務員であり、人事院規則に定められた政治活動の制約を受けない。
一方官僚側としても、大臣とのコミュニケーションを図るために、人柱がささげられる。
○○国務大臣秘書官事務取扱という役職を拝命することになると悲惨なもので、
基本門外漢の大臣に省内事情を説明しては怒鳴られたりしながら大臣交代まで務めることが多い。
もちろんメリットもないわけではなく、覚えがよければその後の出世がしやすいというものだ。
副大臣、政務官にも当然つくわけだが、大臣付はキャリアで、課長補佐を何年かやったものが担当する。
「ぜったいに」同行しない。
なぜなら彼らは一般職公務員なので、人事院規則に定められた政治活動の制約の範囲内の仕事を振られては対処に困るわけで、
大臣側も「いいから来い」などとは言わないし、引継ぎで必ずその点には政官両面で釘が指されるからだ。
同行しないとはいっても彼らの週末は基本的に地元に帰る政治家の留守を預かる役になるため休みはない。
おそらくそのような引継ぎをしてくれる先輩政治家も先輩秘書官もいなかったものと推察する。
キャリアで課長補佐以上の大臣秘書官と比べるとそうとう格が落ちるといわざるを得ない。
これはおそらく想像だが、安倍総理は、夫人の活動のほとんどを把握していなかったのではないかと思われる。
「かかわっていれば議員も総理大臣も辞める」という発言をするとは思えない。
どうしようもなく、うかつだが、「知っていながらどうとでもごまかせると考えていた」とはちょっと考えにくい。
これも完全に推測だが、おそらく、夫人が「わたしもなにか仕事がしたい」というので、
自分の秘書官である、今井に頼んで、経産省のノンキャリを何人かつけてもらって、
夫人のやりたいことを好きにやらせてやってくれ、程度のことを頼んだのではないかと思われる。
おそらく安倍総理本人も、そうたいそうなことはやらないだろうと甘く見積もっていたのだと思うが、
法的根拠もなく、あいまいなまま、やっていることは完全に大臣クラスの陳情処理なので、
いちいち掘られるともう事後的に取り繕うたびに頭のおかしい答弁を閣議決定するはめになっているというところだろう。
その日の朝、A部はいつもと同じ時間に目を覚ました。最近は歳のせいか、ずいぶんと早い時間に起きるようになった。
国会が開会中のため、今日の定例閣議は9時からだ。それまでは特に予定は入っていない。朝食を取りながら、昨日見られなかった続きもののドラマを見ることにしよう。
ダイニングに降りると、A恵がすでに朝食の用意を済ませていた。平和な朝だ。週刊誌が文部科学大臣のスキャンダルを騒ぎ立てているようだが、あの内容であれば守りきれるだろう。このタイミングで閣僚をもう一人辞めさせるわけにはいかない。
A部がドラマを見るためにHDDレコーダーのリモコンを手にとったところで、電話が鳴った。どうやら秘書官からのようだ。こんな早い時間に連絡してくるというのは、何かあったのかもしれない。
「私だが」
「そ、総理、大変です!」
受話器越しにも、秘書官が動揺しているのが分かる。
「どうした?」
「S村大臣との連絡が取れません」
「なんだと!自宅に電話はしたのか」
「それが、夫人ともども連絡が取れないのです」
「まさか、あれしきの記事でバカなことをしたわけじゃないだろうな!」
安倍は録画したドラマを諦めて、すぐに官邸に向かうことにした。秘書官には早急に全閣僚を官邸に招集するよう命じた。
いつものリムジンで官邸に向かう途中、電話で官房長官のSを呼び出す。S村の件での対応を相談するためだ。万が一のさいのマスコミ対策などについて話し合う。憲法を改正するまでは、なんとしても私の内閣を終わらせるわけにはいかない。だが、とにかく情報が少なすぎる。
A部がふと窓の外に目をやると、いつもなら通勤途中のサラリーマンでごった返しているはずの道が妙に静かなことに気づく。東京の街はこんなにも人が少なかっただろうか…。
やがて、官房長官のS、財務大臣のA生、防衛大臣のE渡、国家公安委員長のY谷らが慌てて部屋に入ってきた。だが、文部科学大臣のS村は言うまでもなく、外務大臣や厚生労働大臣、国土交通大臣など10人近い閣僚が姿を見せない。
「どういうことだ!」
思わず、A部は立ち上がった。
「K田大臣のご自宅に連絡したところ、奥様が電話にお出になられて、今朝からご主人の行方が分からないそうなのです」
「テロか?」
「強引に連れ去られたといった様子はなく、ただこつ然といなくなったのだそうです」
A部は思わず腰を落とす。
「いったい、何が起きているんだ…」
***
ほとんどの職員が出庁してこないのだ。姿を見せたのは、清掃職員や食堂のおばちゃん、あとはごくわずかのノンキャリア組だけだ。なにせ人がいないのでパニックは起きない。だが、がらんとした庁舎のなかで、出る者のいない電話だけが狂ったように鳴り響いていた。
「いったい、何が起きているんだ…」
***
だが、「何が起きたのか」はすぐに判明した。文京区本郷、左京区吉田、青葉区片平、豊中、北区札幌、千種区東山、東区箱崎、国立、目黒区大岡山、港区三田、そして新宿区早稲田。
いつもなら若者たちの声が響いているはずのキャンパスが廃墟のように静まり返っていた。わずかな数の教職員だけが、人の姿を求めてキャンパスのなかをさまよっていた。
東大、京大、東北大、大阪大、北海道大、名古屋大、一橋大、東工大、慶応大、早稲田大という日本を代表する大学の現役学生およびそのOB/OG全員が突如として姿を消したのだ。
***
「これで日本に残されたエリート大学は上智大とICUだけだな」
「横国を忘れてやいませんかね」
「日・本・の・最・高・学・府 筑波大学ですが何が」
「駅弁の医学部のほうが慶応とか早稲田の文系の連中のほうが偏差値はずっと上だから、その連中が無事だってことは、偏差値が高いから消えたってわけでもなさそうだな」
***
A倍は残された閣僚でとりあえず対応を検討していた。だが、家族がいなくなってしまったという閣僚は早々に退散してしまい、残った閣僚も前代未聞の事態に誰もが言葉を失っている。
A倍はやはりそこが気になる。
「自衛隊は幹部クラスを除けば、大丈夫だと思います。幹部クラスには東大卒が結構いましたが、防大出身者で中核は固めていますので」
防衛大臣のE渡が答えた。
「中央官庁はほとんど消滅に近いようです。大手企業の本社も潰滅状態に近いところが多いようですし、地方自治体も上級職では相当の被害が出ているようです。鉄道や電力などのインフラは現場の判断でなんとか回しているようですが、この事態が長引けばやがて混乱が拡大していくでしょう」
「そうか、やはり日本は学歴エリートなどいなくても回るんだな」
A倍は少し笑みを浮かべた。何よりも嬉しいのは、この事態になってもマスコミの連中がほとんど動いていないことだ。特に高学歴者で占められた大手マスコミは消滅に近い状態になっている。朝○、朝○、朝○。あの偽善者どもが集団でいなくなってくれたのは日本の国益としか言いようがない。
「しかし、情報が流れないと、大きな混乱が生じることになりかねません」
官房長官のSが眉を寄せる。
A部は少し考えて秘書官に命じる。
「よし、私が直接に国民に話そう。テレビカメラさえあればいい。NHKに連絡してくれ。内容については任せる」
いつの間にか、A部は事態を楽しみ始めていた。盟友のS村がいなくなったのは確かに痛手だが、懐刀のSがいるし、なによりもこれで自分の学歴がバカにされることはなくなる。
名ばかり大臣のポストに押し込めたI破や、賢しらな外務大臣のK田が時折自分に向けてくる見下すような眼差し―――。思い返すだけでムカムカしてくるが、それからようやく解放される。もちろん、こんな思いは胸の深いところにしまっておかねばならない。だが、どこかでざまあみろと思う自分がいることも確かなのだ。
「5時から放送ができるようです。NHKでも会長を始めとして、幹部職がほとんど消失したようです」
A部は自分がゴリ押ししたNHK会長の顔を思い浮かべた。まあ、あんなのの代わりはいくらでもいる。
そういえば。
リムジンに乗り込みながらA部は思い出した。今朝見損ねたドラマ。あのドラマの主人公を演じていたのはたしかどこかの有名大学の出身だったような気がする。まあいい、ドラマよりももっと面白いことが、いまこの国には起きているのだ―――。