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2020-12-17

最近将棋連盟LIVEitumonこと屋敷九段解説しているが楽しい

満を持して屋敷九段登場である。言わずとしれたitumon(本人は否定? もう脱退済み?)である

棋譜を見るともう#(解説コメント付きの意味)ばっかり。緊迫した終盤を一手一手解説してくれるのでありがたい。

人柄がにじみ出るような書き振りも好ましい。言葉の選び方がいいよね。もっと解説してくれないかな。

--

LIVEの終局後解説は昨今の感想戦取材停止に代わってレギュラー化した、終局後(窪田七段は大局中にも随時更新するけど)に対局者以外の棋士解説コメントを載せるもの

コメントの数が多いほどユーザーは当然楽しいが、解説棋士によっては数手しか解説しないこともある。まあ棋士それぞれ。

もともと解説コメント有名棋士が登場することはなかったと思う。でも先日は森内九段解説してて驚いた。

2020-12-11

うつ病九段」がドラマ化されるけど不安しかない

うつ病九段」が白眉なのは職業作家でもある先崎九段が赤裸々にうつ病体験談を書いていることと、著者の実兄が精神科専門医なので、おそらくは医学的に最良の治療を受けた体験談であることだ。

一方で問題なのが、先崎九段は「うつ病九段」を上梓した時点で現役復帰しており、読者はうつ病回復記として安心して読める点(実際にどれほど回復しているかは知らないが、棋戦では少しは勝てている)。そして、作中で先崎九段将棋を指しまくっている点である入院明けから先崎九段ははっきりと現役復帰を目標に定め、苦しみながら将棋トレーニングを開始する。

まり将棋指すとうつ病治るんだな、うつ病治療には頭を使うといいんだな、復職夢じゃないんだな、と読者は思ってしまう、懸念がある。

先崎九段の実兄である先崎章医師上記をはっきり否定している。曰く、

うつ病九段精神科医の兄が語る「あの時、先崎学を救うには入院させるしかなかった」(https://bunshun.jp/articles/-/26353)の3ページ目(https://bunshun.jp/articles/-/26353?page=3

誰がなんと言おうと、先崎九段回復専門用語として何というのかは知らない)が幸運の上に成り立っているのは間違いない。世の中には満足な治療を受けられず、あるいは治療がうまく行かない、そんなうつ病患者もっと大勢いるわけである。「うつ病九段」はうつ病のものうつ病患者内面への理解を深めることができる良書だが、現実うつ病患者やこれからうつ病になる人たちの救いになるためには、ドラマ化に際しては本のストーリーラインそのままではなく、よっぽどの丁寧な脚本必要である

そのへんどうなんかなぁ、と思うとおれは不安で眠れない。

2020-12-06

将棋符号思考するプロ棋士

 将棋って指したことありますか?

 将棋楽しいボードゲームで、基本的に殴り合いのオフェンスゲームです。仮にチェスディフェンスゲームで、お互いに防御の構えを組み換えながら敵側の綻びを見つけ出すゲームだとすれば、将棋は蟻の一穴をこじ開け落城させるオフェンスゲームと言ってもいいでしょう。

 チェス競技人口が一説には5億人とも言われる中、将棋競技人口は一千万人程度とガラパゴス様相を呈していますが、明らかにゲームとしてのバランスではチェスに勝っていますチェス公式戦においては先手勝率が40%程度、後手勝率が30%、引き分けが30%程度なのに対して、将棋の先手勝率50%程度、後手勝率は48%、そして引き分け千日手)の確率は2%前後であり、引き分け可能性がチェスに対してずっと少なく、そして先手と後手の勝率拮抗し合っているため将棋ボードゲームとして極めて高い完成度を誇るゲームと言えるのです。

 更に付け加えると、ダメ筋(明らかにダメな手)を含めた、ありとあらゆる手の組み合わせ(ありとあらゆる進行の総数)を計算すると、チェス10120乗程度なのに対して、将棋10の220乗程度ということですからゲームとしての奥深さも将棋チェスを上回っています。因みに、宇宙存在する原子の総数が10の70乗程度ということなので、如何に将棋というゲームが奥深いかは言うべくもありません。つまり、ある部分において将棋というゲーム宇宙それ自体より『深い』のです。


 僕は腕前としてはアマチュア初段程度で、つまりアマチュアが目指すべき差し当たっての目標点にいます。やはりアマチュア二段以上を目指すとなるとかなり強烈な努力必要になってくる印象です。アマチュア初段は将棋普段嗜んでいる人間の中で、上位25%前後の層を指しているとお考え下さい。

 将棋の道は極めて長いです。そして険しいです。詳しくはこの「将棋名人とはどのくらい強いものなのか:https://ncode.syosetu.com/n5490eb/」という素晴らしい記事をご覧になって頂ければよいかと思います。(この記事の作者様と私は同一人物ではありません)

 将棋プロになるためには奨励会という育成機関を通過する必要があります。この奨励会は入会すると6級からスタートとなるのですが、これはアマチュアで言うところの四段以上の腕前に相当すると言われていますしかも、この奨励会に入会するのは小学生中学生少年少女です。つまり大の大人血の滲むような努力をしてようやく到達できる地点に、ある程度の凝縮された努力によって遥かに短い時間で到達できる人々、つまり天才たちだけがこのスタートラインに立つことができるということです。

 さて、当然奨励会員になったところでプロになったわけではなく、プロになれるのは奨励会三段リーグ突破して四段の資格を得た者だけで、年間に四人しか輩出されない仕組みとなっています。更に、四段になった後もプロとしてのグラデーション存在しており、そこには才能の差という影がいつまでも付き纏います

 才能のあるプロ、つまりそんな天才の中の天才は、将棋を指す際にどのように思考しているものなのでしょうか?

脳内将棋

 先に紹介させてもらった記事では、天才達の中でもグラデーション存在しており、将棋トップに立てるのは本当に一握りの人間であることが述べられていました。

 つまりトッププロとは、仮に将棋人口1000万人だとすれば上位0.0001%人間のことです。すなわち、トップの十人、それが実質的日本トッププロ達です。

 羽生善治藤井聡太渡辺明豊島将之永瀬拓矢らがそうです。将棋を指す者達は彼らのことを畏怖の目で見つめ、時折プロが招かれるイベントなどで間近に見る際には、化け物や、宇宙人。あるいはこの世の理を超越したもの意味する視線が、彼らには注がれることとなります

 さて、これらのプロ達に必要ものは何なのでしょう?

 つまりは才能とは一体何なのかという話になるのですが、脳内将棋盤というのがポイントになってきます

 人は、数理的思考能力、つまりIQが140を超えると立体的なイメージをあらゆる角度から検証できるようになるという話があります人間のある種の知的能力と、立体的な像を脳裏に生み出す能力には深い繋がりがあるということなのです。つまり、才能のある将棋指しは脳の中に将棋盤を作り出すことができ、これによってどんな時でも(つまり実際の将棋盤がなくても)脳裏において将棋情報を扱うことができるようになるほか、将棋に関する凝縮した思考を連綿と行うことができるようになるということなのです。勿論、プロもこの「脳内将棋盤」を持っており、彼らの脳内将棋盤にはそれぞれのバリエーションがあることも有名です。

 以下コピペ

羽生四冠

「4分割(5×5中央重複)の部分図が高速で行ったり来たり。盤全体は1度には浮かばない、負荷が大きい。盤面は白、線は黒。駒は外形が無く黒の一字彫り。アマ二、三段くらいになった10歳ごろからこんな風。」

森内九段

「立体的でリアルな榧盤に柘植の駒。

盤駒のみの思い浮かべる事はほとんど無く背景も付随。対局中は当時の対戦相手や対局場の雰囲気まで再生普段は自室の背景に板盤。」

加藤九段

「盤は黄色で1一が右上に固定されている全体図で、線は無い。楷書文字1字だけが駒として自動的に動く。」

渡辺二冠

「ダークグレーの空間に、字の書かれていない黒に近い灰色の駒が浮かんでいるだけだが、どちらのどの駒かは分かる。」

佐藤(康)九段

「黒くぼやけた盤面のどこか一部だけが見えている。駒はゴニョゴニョ、あるか無いかからないまま何かある感じ。」

里見女流名人

「盤も背景も黒く、線の無い盤全体に文字の無い黒っぽい駒がモニョモニョ。」

 (出典:AERA No.38増大号'12.9.17天才たちの「脳内パネル」』)

 さてトッププロどころかアマチュア4~5段の人々にはこの脳内将棋盤が基本的に備わっていると言われています。つまり、この脳内将棋盤は確かに、ある程度将棋の強さ(棋力)の指標となるのです。しかし、トップの人々に関してその指標ピタリと当てはまるかというと、疑問だと言わざるを得ません。脳内将棋盤というもの将棋の猛者にとって当たり前のアイテムかつ大前提アイテムであるため、最上位層の人々の能力を測る尺度としては些か信頼性に欠けるということなのです。というか、一応奨励会三段(アマチュアではなくプロ基準の三段)ともなれば、既に常人を超越して人間卒業レベルに至っているので、やはりその中にいる更なる化け物達を推し量るには、脳内将棋盤の有無のみならず別の尺度を用いる必要があります

脳内将棋盤が「ない」。

 つまり、その二者。単なる化け物と、化け物の中の化け物を辨別する際に必要なのは脳内将棋盤が「ない」ということなのです。

 頭の中で将棋盤が無く、視覚的なイメージに頼ることな思考できる人々が、化け物の中の化け物にはいるということなのです。

 例えば、常人は次のように考えます

 「最初の一手……まず、角の斜め前の歩を前に一つ進めるだろ。すると、後手の相手も同じように角の斜め前の歩を一つ進める。だとしたら俺は飛車先の歩を一つ前に突いて、相手も突き返して……横歩取りの筋に合流しそうだ」などなど。
 つまり常人基本的画像、目の前にある将棋盤の視覚的なイメージを用いて思考しており、そのイメージを介さずには将棋を指すことができないのです。ある意味では脳内将棋盤の存在も、視覚的な情報に基づいているという点においてはその思考の延長線上にあると言っていいでしょう。そう、人は基本的将棋を考える際には視覚的なイメージ媒介とするしかないのです。

 しかし、プロの一部にはそのような思考法は――視覚的なイメージを介した思考は――あくまで「補助的なものに過ぎない」と証言する者もいます藤井聡太増田康宏、羽生善治などがそれらの棋士です。

 では彼らはどのように思考しているのでしょうか。

 そう、符号によって思考しているのです。

 将棋符号とは、数字文字によって駒の動きを表したものです。いわば駒の「番地」とも言われるもので、次の記事が参考になると思います

https://book.mynavi.jp/shogi/detail/id=77758

 例えば、少し前に書いた横歩取りの定跡だと以下のような記述になります。76歩、34歩、26歩、84歩、25歩、85歩、78金、32金……。このような記述の仕方は江戸時代以降から共通であり、いわゆる将棋の対戦の記録である棋譜」は古くは数百年前のものが記されています。古い文献において、盤面は視覚的に、絵図を用いて記述されることはなく、符号を使って記述されているのです。

 いちいち絵図で盤面を描き残すよりも、文字で表した方がずっと労力は少ないですからね。

符号思考する

 以下の記述あくまで本人らの証言を参考に記しているものであり、彼らの思考追体験したものでは当然ないのですが、つまり彼らの思考は以下のものになります

 先程書いた将棋符号が、将棋に関する思考を始めた瞬間にズラズラズラ~~~っと文字列で浮かぶのです。

 そう、これがトップ棋士達の思考なのです!

 「ズラズラズラ~~~っ」って……、と自分文章表現力の稚拙さに絶望しそうになるのですが、そう言い表すほかない。そう、真のトッププロにおいては、文字によって思考が行われるのです。そこに画像の介在する余地は、僅かにしかない。羽生善治曰く、「思考基本的符号で行って、その後、ある程度局面を読み終わった後に、自分思考確認するために思考画像に起こす、という作業はありますが、基本的画像思考することはありません」とのことでした。

 先に書いた通り、画像物事を表すというのは、文字列で表すよりも遥かに手間が掛かります。つまり、脳の処理を要します。

 となれば、より情報量の少ない符号によって思考するということが、より高速な思考法として適しているということなのです。

 ある意味、それは楽譜における音符の存在と似ているでしょう。というか、そのものかもしれません。音楽というものは体系化され楽譜という共有形式を持つ以前は、完全に口伝であり、人々が歌い継ぐことによってしか継承を行うことができませんでした。しかしそれが数学的・音楽的に体系化され、楽譜の形を取ることになると、そのような継承の際に起こり得る障害はほぼ完全に撤廃されることとなります。そしてこれらの音符を読むことで、人々はそのメロディー脳裏に想起することができるようになりました。将棋棋士もまた、それと同じ知的処理を行っていると言ってもいいかもしれません。

 つまり、ドミソ、の音符が並んでいるのを見て、タララ~、という和音脳裏に浮かぶのと同じように、将棋トッププロたちは符号によって将棋の盤面を把握することができるのです。これは、将棋のある程度の才能がある人々には必須能力ですし、実際に高位のプロ棋士トップアマチュアは、棋譜を一目見ただけで盤面の進行をまざまざと思い浮かべることができると言われています

 とは言え、そのことと「思考符号を用いる」ことはやはり一線を画していると言ってもいいでしょう。

 勿論、理屈としては分かるのです。我々が音楽継承する際に楽譜を用いたように、あるいは将棋の対局を語り継ぐために符号によって棋譜を残したように、それらの音符や符号といった記号には意味圧縮することができ、効率的情報伝達を行うことができるのだと。

 勿論、理屈としては分かります。とは言え、それらの記号を使って後世へと情報を伝達することと、それらの記号を用いた思考を正確に効率的実践することとは、また別問題です。

おわりに

符号さえ「ない」。(藤井聡太場合

 というわけで、画像媒介にした思考文字列を媒介にした思考とでは、効率において文字列による思考に軍配が上がるということでした。プロ棋士らによる思考抽象化が極限にまで達すると、本来立体的な駒やそれらの視覚イメージを用いずして思考することが不可能であったはずのボードゲームも、文字列を介した思考によって再現されてしまう、ということなのでした。実に、これは驚くべき異常性であり、そして、個人的には文化として、そして娯楽として、このような常軌を逸した営みを次代へと継承していかなければならないと感じます

 さて、ところで常軌を逸していると言えば、藤井聡太二冠の名前はもはや語るべくもなく有名ですよね。彼のインタビュー記事は相当数発表されていますから、彼の語る様々な内容について把握している方も多いかも知れません。

 その中でも異質のインタビューと言えば、2020年の夏に発表された、小説家白鳥士郎氏によるインタビューでしょう。https://originalnews.nico/139502

――棋士はどなたも『脳内将棋盤』を持っておられます。でも藤井先生は、あまり盤面を思い浮かべておられる感じではないと、以前、記事で拝見したのですが。

はい

――では、対局中はどんな感じで考えらおられるのですか? 棋譜思考している?

「ん……それは、自分でもよくわからないというか。んー…………」

――盤は思い浮かべない?

「まあ、盤は(対局中は)目の前にあるわけですので」

――詰将棋を解くときなどはどうです?

詰将棋は読みだけなので、盤面を思い浮かべるという感じでは……」

――えっ? ……私のような素人だと、詰将棋を解くときこそ将棋盤を思い浮かべるというか……むしろ手元に盤駒を置いていないと解けないくらいなんですけど……。

 将棋プロ世界は腹の探り合いであり、自らの能力本質である思考方法」について簡単に詳らかにすることは、本来無いことと言ってもいいかもしれません。とは言え、これまで語ったようにそれらをはっきりと述べる棋士の人々がいらっしゃるのもまた事実です。そして、このインタビューにおいて行われた藤井二冠の発言もまた、棋士思考の一環を覗くことのできる重要な機会であるように思われます

 さて、ここで述べられているのは、そもそも思考する際に「なにもない」ということです。

 全くの虚無、というわけではないにせよ、少なくとも目の前に分かりやすい形で示すことのできる思考は、存在しないということなのです。

 以下のインタビューで彼は次のように語っていますhttps://shuchi.php.co.jp/voice/detail/3394?p=1

――藤井四段は、将棋の場面を図面で考えるのか、棋譜で考えるのか、どちらのタイプですか。

 聡太 : 基本的に、符号で考えて、最後図面に直して、その局面の形勢判断をしています

 彼は基本的にはこれまで述べたように、「符号」を使って思考するのですが。しかしある種の詰将棋などにおいてはそのような符号さえ必要にしないということでした。

 このような、実際の目視確認脳内将棋盤(符号による棋譜理解)→符号による思考符号さえない思考という構図を単純なステップアップの過程として語ることはできないとは思うのですが、しかし、将棋というゲームについて思考する際に、その思考が極限まで達した人は何かしらの深淵へと、虚無への道を辿っているような、そんな感触を覚えてしまうのは僕だけなのでしょうか。


 さて、というわけで、トップ棋士たちの、良い意味での思考の異常性について語りました。現在12/6午後五時三十分ですが、僕がこの世の隅っこでこの文章を書いている間、世間の大舞台では羽生善治九段豊島将之竜王二冠のタイトル戦第五局が、行われている最中です。

羽生九段の昼食

その土地のご馳走も振る舞われるタイトル戦で「ナポリタン」はさすがに草

この前は焼きそば頼んでいたし

主婦の手抜き昼食みたいなラインナップやんけ

本当に将棋しか興味がないという感じで、むしろ好感を持ったな

2020-11-27

横浜出身DeNAファンとか広島出身カープファンとかじゃなくて、地元に縁もゆかりもないんだけど実はファンみたいな人を見るとなんかほっこりする

アイドルとかがファン公言してると「仕事取るためなのかな」って考えちゃうので、本人があまり公言してないんだけど実はファンみたいなのが良い

そういう有名人とか芸能人って居る?自分が知ってるのは将棋羽生九段

出身東京広島には全然関係ないのに、子供の頃から将棋大会には必ずカープ帽をかぶって参加するくらいのカープファンだったらしい

2020-11-21

AIが出てきてから将棋観戦がつまらなく感じるようになった

休みの暇な日に将棋観戦するのが趣味だった。

一緒に難解な状況を検討し、プロ解説に納得し、一見謎だと思った手が有効な手だと分かった時に驚くのが楽しかった。

だけど今やAIによる推奨手や形勢判断がが常に表示され、観戦者は答えを知ってるからか指し手よりも、何なら下手したら解説プロよりも大上段からコメントを発している。

例えば先日あった竜王戦第三局、AIの数値を元に書くなら「羽生九段豊島竜王評価値80-20まで追い詰めるも最終盤で寄せ間違えて頓死、大逆転負け」となる。実際にネット記事でも逆転負けとは結構書かれていた。

しかAIが8割で勝てると推奨していた手は人間ではすぐにはおよそ思いつかない奇手で、さらにそれ以外の手を打つと負けがほぼ確定。しか羽生さんはこの時点で時間を使い切っていて1分以内に手を打つ必要があったという状況。

まり実際は逆転負けでも何でもなく、むしろ羽生九段が追い込まれていて、薄い逆転の道があったものの1分じゃ読み切れなかったから順当に豊島竜王が勝ったといえる。

でも中継してたAbemaのコメント羽生やらかしたの大合唱。何故ならその薄い薄い勝ち筋を先に答えとして教えられてるから

今の将棋を見てる人、特に藤井フィーバーあたりから見だした人の多くは、将棋とはAIの推奨する手をいかに間違いなく指せるかというゲームと思ってるんだろうなという気がする。見方が変わったというのはわかるんだけど、何かついていけないなあと思う。

2020-10-01

羽生九段の「自分の勝ちが見えると手が震える」って滅茶苦茶キャラ立ってていいと思うんでそういう棋士もっと増やせばいいのにと思う

「詰みが見えると股間をフル勃起させる棋士」とか「詰めろをかけられると潮吹きちゃう女流棋士」とか「取られたくない駒に鼻くそなすりつけて取り辛くする悪役棋士」とか

2020-09-29

ホロライブ中国土下座している裏で起きていたVtuber界隈の事件

テレ朝番組電脳少女シロがソフトサポートあり(3回)で、加藤一二三九段勝利していた。

ひふみんソフト操作不慣れなため時間切れになった模様。

その時の形勢はシロ有利だったらしい。

anond:20200929143051

自分の息子は今小3なんだけど将棋に興味があるみたいなので、羽生九段監修のこども将棋入門と天衣無縫佐藤康光勝局集を買い与えたよ

何かの間違いで藤井君みたいになってくれないかなあ

2020-09-23

藤井羽生寸評(70期王将戦挑決リーグ

24初段ウォーズ三段が寸評する。ちなみにソフトなんて持ってない。

羽生九段の周到な準備を感じさせる横歩取り最近は後手が青野流を迎え撃つ将棋が増えてきた。また戦型の幅が広がるので、最新研究をぶつけられるトップ棋士は大変だろうなぁとか思う。

藤井二冠はモリモリ時間を消費して、9筋の開戦時点で残り1時間羽生の2時間半、藤井二冠の負けパターンですね。

54手目の4八歩が鋭いんだろうなあ。こういう歩の手筋は指せる人と指せない人の間にまず断絶があって、指せる人の中にまたレベル差がある印象。俺はまるで指せない。

最終盤は藤井二冠が詰めろ逃れの詰めろをかけたつもりが逃れてないというか別の詰み筋が生じてしまって頓死。少し前に△2四歩が詰めろで入るので、これが後々の先手玉の詰めろを事前に防いでないかな?それなら藤井勝ち?とか並べてて思った。

自然な流れで単手数で終わる横歩取りって印象。もちろん中身はよくわからない。ただ終盤は羽生が圧倒してたように思うので、この間の対丸山圧勝といい、よほど好調なのだろうか。少なくとも順位戦ダニーに大逆転負けを食らった羽生九段ではない。

竜王戦も楽しみ。

2020-09-13

https://togetter.com/li/1591301

また自演ブクマ疑惑の「サブカル 語る。」ニキかオタク死すべし慈悲はないの「新橋九段」が

これだからオタクはって

めっちゃウキウキしながら記事書きそうな事案やな。

2020-09-10

谷川浩司はなぜ光速投了をしたのか

先日行われたB級2組順位戦谷川浩司九段藤井聡太二冠の一戦が話題になっている

この将棋は中盤谷川ミスで形勢が大きく藤井に傾き、すわ決着かと思われた最終盤に藤井のポカにより互角の形成に戻ったのだ

しか谷川はコレを良しとせず、敢えて悪手で返すことですぐに投了した

なぜ谷川は粘らなかったのだろうか、ここに谷川美学がある

現代棋士特に若い棋士は終盤で敗勢になっても粘り続けることが多い

その筆頭が永瀬拓哉二冠ではないだろうか

今期の叡王戦は3勝3敗2分1千日手と9局指しても決着がつかない大熱戦で話題になっている

だが谷川はこういった風潮を内心快く思っていないのだろう

現代将棋はただ勝てば良い、AI研究をし自分の頭で考えない

序盤をソフト研究飛ばして、終盤に残した時間棋譜を汚す

そんな若い棋士が後を絶たない

だがそうして指した棋譜は100年後にも残る

ミスの無い棋譜を見たいのであればソフト棋譜でも見ていればいい

しかし人はソフトではなく棋士の指した棋譜、そしてその対局姿勢を見て感動するのだ

勝てばよかろうの精神を今一度見直して後世に恥ずかしくない棋譜を残せるよう研鑽を積んでもらいたい

谷川九段光速投了にはそういった想いが込められていたのではないだろうか

2020-09-07

はてなの狂犬zyzy氏にすら真顔でダメ出しされる人が存在した

https://b.hatena.ne.jp/entry/4690976395397008034/comment/zyzy

オタク批評者としても反フェミとしてもあの人は色々とあかん……本当になんというか……入口にもならん。

まぁ反フェミ一人一派否定する以上は、お互いに食い合っててくれ、だが。

zyzy氏はぼけ老人みたいにオタク否定的な人間は無条件でOKって言っちゃう人かと思ってたので驚いた。

一時だけぼけ老人が正気に戻った瞬間をみたかのような……

今度から「わかり手氏のひどさはzyzy氏でもまがおでダメだしするレベル」と表現することにしよう。

もしかして新橋九段氏のことかもしれないが、新橋九段氏が反フェミとは思えないので小山氏のことでいいと思う。

2020-09-05

三浦九段への慰謝料「5000万円は下らない」


 コンピューター将棋ソフト不正使用疑惑が晴れた三浦弘行九段(43)と日本将棋連盟佐藤康光会長(47)が24日、東京将棋会館で会見し、連盟三浦九段慰謝料を支払う形で和解が成立したと明らかにした。慰謝料の額は非公表連盟によると、合意項目に含まれているためだという。

2020-09-02

anond:20200902160951

実力が拮抗していれば、事前の準備をしっかりしたほうが勝つっていう当たり前の話。

そうは言っても難しいけどね。

記事にもあった丸山九段は長い棋士生活ずっと角換わりしか指してないような偏食家で、自力に頼らない事前研究のみとしても、何十年という積み重ねの事前研究

ちなみにAI推奨の手なんてみんなほぼ丸暗記はしている。

その上で他に可能性のある手を探しつつ、どんな手を刺されても形成が良いような差し回しを丸暗記するわけで、割と尋常ではない

ちなみに綱渡りの最善手ではプロではあまりまれないし。

どうさしても安定した有利の形勢であることが大事

だいたい羽生さんとか10年前の棋譜でも余裕で覚えてるからな。どの手で形勢が傾いたとかも。

おかしい(褒め言葉)よ本当に。

2020-09-01

今思えばこれまでの人生は全て逆張り人生だった

皆がファミリーコンピュータを買う中で、自分一人だけスーパーカセットビジョンを購入した

プレステなど見向きもせずセガサターンを購入し、セナプロストが争うときはいつもプロスト応援した

羽生九段が棋界を席捲し七冠達成したときには必死深浦先生応援し、藤井八段が二冠達成したときには羽生先生復権を願ってしま

とにかく反主流派を支持しないと気が済まないこの自分習性はどこで身についたものなのだろうか

2020-08-25

anond:20200824205956

囲碁界は依田九段とか藤沢秀行みたいな破天荒棋士がいていいよね キャラがたってるというか

将棋場合ひふみんはともかくとして、羽生を筆頭に佐藤森内渡辺藤井過去に遡っても谷川中原米長大山とみんな真っ当な良識派ばかりなので逆に面白くない

若い頃の先崎みたいなエセ無頼派じゃなくてもっと本格的にぶっ壊れた棋士が見たい

将棋は異常に強いけど人格破綻してて、対局料とかタイトルの賞金をすべて借金とりに持っていかれるようなのが理想

2020-08-24

いま囲碁界で起こっていること

将棋界に対する熱い想いを披露する皆さんとは裏腹に、囲碁ファン増田は肩身の狭い思いをしているので、俺の囲碁にかける思いを読んでいただきたく増田にて筆をとつたのである

依田九段対局停止処分

名人で国際棋戦でも優勝した経歴を持つ依田紀基九段日本棋院から半年間の対局停止処分を受けたという事件現在訴訟である

依田九段ツイッター日本棋院批判したことを発端として、フマキラーマスターズカップ不戦敗強要されたと告発し、フマキラーの大下会長を巻き込んで囲碁界的には大騒動になっている事件

日本棋院の團宏明前理事長に対するクーデター問題はもちろん、それに絡んでシアトルセンター勝手に売却事件、前理事長派であったとされる原理事の解任問題のような訴訟沙汰も複雑に絡み合っていて、日本棋院伏魔殿ぶりの凄まじさは囲碁というゲームの深遠を思い起こさせてくれる。

依田九段処分した経緯は棋院の説明だけでは理解不能といってよく、将棋連盟ソフト指し冤罪事件への対応を「最悪」などと上から目線で評していた囲碁ファンの皆様に「下には下、それも囲碁界にはとてつもなく下がある」ということを思い知らせた。

とはいえ依田九段もなかなかファンキーな人格をしており、自業自得のような気もするという意見もあるため、混迷は深まるばかりだ。

仲邑菫ちゃん焼肉のたれ発売!

最年少棋士として知られる仲邑菫初段のコラボグッズとして焼肉のたれが発売されることとなった。

https://twitter.com/osakaigo/status/1292300931237924866

焼肉は仲邑菫初段の大好物として知られており「鳴り物入り韓国帰りの小学生棋士としてワイドショーに引っ張りだこだと考えたはいものの、実際にメディアが取り上げるのは藤井二冠ばかりであることに業を煮やし、なんでもいいからとヤケクソで作った便乗グッズ」というわけではないことは確定的に明らかである

なんだか1本300円というのはアイドルグッズみたいなものだと思えばなかなか良心価格のような気もするし、はてな村の碁会所でも菫ちゃん焼肉のたれで焼肉パーティーしようじゃないか積極的に呼び掛けていきたい。

将棋先崎学九段、碁会所で酷い扱いを受けマジギレ

将棋プロ棋士として活躍しており、囲碁も打つことで知られる先崎学九段が碁会所に行ってみた話をレポート

妻で囲碁棋士の穂坂繭三段によると席主は無言、対局相手あんたの石は薄いよ」などと発言するなど、現代碁会所の最悪マナーぶりを見せつけた。

https://twitter.com/gmf1tn/status/1292446885190361088

https://twitter.com/oZv4NRpHzU7Z1FB/status/1292739425605046273

普通な囲碁ファンみんなで「これは噓松ですね」とイキリ散らしたいところである

しかし碁会所というのは後期高齢者が腐れジジイ初心者の子供をいじめ女性が来るとセクハラ祭りを始めるような、現代日本でも最低の空間であることを何度も何度も体感してきた囲碁ファンにとっては、単にぐうの音も出ない現実なのであった。

フェミのみなさんやネットで老人叩きに精を出す皆さん、暇があったら是非とも徒党を組んで碁会所に突撃し、腐れ老人共の地を荒らしまくって頂けると本当に幸いです。

もし突撃してみて、きちんとした碁会所(レアケース)だったら普通に楽しんでください。みんなが思っている以上に囲碁面白いです。

芝野虎丸名人Youtuberデビューアカペラ披露。ついでに炎上

史上最年少で名人位を獲得したことで知られる芝野虎丸名人が突如としてYoutubeになんとも言えない雰囲気アカペラ動画アップロードした。

https://twitter.com/abih_sarot/status/1272498974448971777

https://twitter.com/abih_sarot/status/1272534204014682114

その後、謎の炎上ムーブを見せるなどしたが、所詮は芝野名人フォロワー数は4000ちょっとYoutubeに至っては200少しと底辺中の底辺なので、大した事態にならず鎮火するという最も悲しい結末を迎えてしまった。

囲碁界がどうのこうのという格好の悪い言い訳はせず「俺の魂の歌を聞けバカ野郎!」とでも開き直った方がよっぽど面白かったと思うのは私だけだろうか。とりあえず変わらなければいけないというなら登録者200人のYoutubeなどでコソコソやらず、NHK杯インタビューで熱唱してほしいところである

スポンサーボンボン、一力遼新碁聖爆誕

碁聖戦のスポンサーとしても知られる河北新報記者であり社長の息子でもある一力遼八段が碁聖位を獲得した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081401132

「今まで何回挑戦してるんだ」といった感じで実力は当たり前に評価されていたため、世間でも囲碁界でも時間がきただけとという受け止めがほとんどで特に話題が長続きすることはなかった。

増田的には「実力通りとはいえスポンサーボンには獲らせるなんて情けなくないのか」と囲碁界に強く訴えたいところである。碁打ちなら実力は分かるけど、何も知らない世間はそういう目で見てるぞ。

おめでとう等と祝福している場合バカタレども。

お気持ち

将棋だけでなく囲碁にも注目してほしいなと思ったのでしょうもない話ばかりだけど笑って読んでもらえれば。

いちおう

一力碁聖が実力で獲っていないなんてどこにも書いてないだろバカタレが。

実力で負けてるのが情けなくないのかって書いてんのがわかんねーのかハゲ。お前頭武宮か?

2020-08-22

将棋界の「藤井聡太が連勝する前を思い出す」と報道加熱してもいいやと思う。

藤井二冠にしか興味がない報道」という批判だが、そもそも、「藤井二冠の連勝記録が話題になる前の将棋界」ってどんなもんだったかを思い出すと責める気にはなれない。

いや、本当に真っ黒な話題報道ばっかりだった。

正直な話つらい話題だった。

そう、三浦九段冤罪事件である

アレのせいで、メンタルをやられた棋士もいた。将棋界の話題は、その当時本当にろくな話題がなかった。

正直、藤井聡太連勝記録フィーバーがなければ、どうなっていたかと思う。本当にろくな話題がなかったのだ。

冤罪を起こしたことに対する釈然としない説明処罰されるべき処分されるべき人が誰なのかよくわからない。

もう、アレで一体どれだけ報道将棋に対してがっかりしたファンがいたかって話で。

それを、いまさら、「藤井聡太ばっかり」といわれても。うーん。むしろ藤井聡太フィーバー将棋界そのものが助けられたのはでかいんだよな。

だって、それぐらいにあの冤罪事件デカかった。

から、「藤井聡太にフューチャーしすぎ」といわれても、将棋に対する報道やらなにやらが一色に染まるのは仕方ないことだと思う。

本当にそこは仕方がないんじゃないかと思う。

2020-08-21

anond:20200821014256

まさかはてなでこんな感動する記事が読めるとは

人柄が良いからなんだろうが、負けてなおファンを増やしてるのは木村九段凄さなんだろうな

女性ファンが多いけど、何がそんなに女性ウケしてるのかはよくわからん

最年長名人獲得→羽生九段

最年長初戴冠→藤井二冠

みたいな流れがもうひとり居た気がするんだが思い出せない。悲願達成の直後に天才若手棋士に下されるドラマ

でも今 Google将棋のことを調べようとしてもページを繰っても繰ってもニュースばかりで Goooooooooogle

木村一基の不撓の闘い

藤井聡太棋聖が瞬く間に二冠、そして八段となり、世間は大きく湧いている。

けれど、ここでは、番勝負で敗れた木村一基九段の話をさせてください。

悲願は実る

将棋ファンをやっていて一番辛かった瞬間は、と問われれば、2016年の第57期王位戦番勝負第7局を挙げる。このシリーズ通算6回目のタイトル戦挑戦となった木村一基八段(当時)が、羽生善治王位相手に3勝2敗と先行し、悲願の初タイトル王手をかけていた。しかし、第6局、第7局と木村は連敗する。またしても、悲願の初タイトル獲得はならなかった。これで木村は、あと1つでタイトル、というところで8連敗を喫した。あと一つは、どこまでも遠い。

いつもは負けた後も気丈に振る舞う木村だが、この日は様子が違った。記者質問言葉が詰まる。言葉が、出ない。結局、言葉を発さないまま、木村右手を小さく振って質問をさえぎった。8度目の正直。期するものはどれだけだったか。胸にこみ上げた思いはどれだけだったか。胸が潰れるような思いだった。こんなに辛いことが世の中にあっていいのか、と思った。

この時、木村43歳。次々と若手が台頭してくる将棋である。43歳の木村に残されたチャンスは多くない。もしかしたら、これが最後のチャンスだったのではないか。そんな思いが頭をよぎった。

そんな思いが頭をよぎったことを、私は今でも恥じている。

それから3年後の2019年木村は再び王位戦で7度目のタイトルに挑む。そして、豊島将之王位(当時)を相手に、4勝3敗でタイトルを奪取。史上最年長記録となる、46歳での初タイトル獲得である。43歳で8度目の正直を逃し、それでもなお、木村は這い上がってきた。そして、ついに悲願は実った。解説会場で見守っていたファンは、立ち上がって木村拍手を送ったという。この悲願は、将棋ファンにとっての悲願でもあったのである

将棋ファンをやっていて、一番辛かった瞬間と、一番嬉しかった瞬間。その両方を味わわせてくれた木村一基は、私にとって特別棋士である

ついにタイトルホルダーとなった木村一基王位も、1年後には初めての防衛戦を迎える。2020年7月、第61期王位戦木村の前には、まだどこか慣れない和服に身を包みながらも、凛とした佇まいで盤の前に座る挑戦者がいた。

藤井聡太七段(当時)。厳しい、あまりに厳しい防衛戦が幕を開ける。

遠い勝利

番勝負第1局。藤井七段の先手番で角換わり。木村王位は、38手目に△4四歩と突く。これは、「攻めてこい」という手で、ここを突くと先手の猛攻が始まる。強い受けを得意とする木村。初めて上位者として臨むタイトル戦。藤井七段の攻めを堂々と受け止める覚悟で突いた歩であった。

当然、藤井七段は次の手から攻めかかる。厳しく、刺さるような攻め。藤井が攻め、木村が受ける。それが延々と続いた。受けを身上とする木村である面目躍如の粘り強い受けが次々と飛び出す。絶体絶命と思える場面でも、受けはある。藤井の攻めが止まり、一手でも木村に攻めの手が回れば、たちまち逆転である

しかし、その手は最後まで回ってこなかった。藤井聡太七段、攻め始めてから守りの手を指すことなく、攻め倒しての快勝。盤上に衝撃波が残るような、そんな幕開けとなった。

第2局。先手番の木村選択したのは得意戦法の相掛かりであった。この戦型は、定跡が整備されておらず、一手一手が難しい戦いになる。お互いの構想力、真の力量が問われる戦型ともいえる。木村藤井、互いに盤上没我し、深い読みで盤の底の海を泳ぐ。2日目の午後になってもまだ本格的な戦いが始まらない。あまり難解な応酬の中、一歩抜け出したのは木村だった。8六に角を上がった手が、藤井も困ったという好手。深い読みと、これまでの艱難辛苦に裏打ちされたような丁寧な応対。木村がついに優位に立った。

しかし、藤井は全く楽にさせてくれない。逆転に向けて絶えず圧をかけ続けるような指し手で、木村を追い詰めていく。序盤、中盤で考えに考え、優位を掴んだ木村。終盤まで来ると、時間が残っていない。時間に追われるように指した手は、わずかに足りなかった。木村一基、2連敗。終局後、遠くに目をやった姿が印象的だった。

迎えた第3局。第2局と第3局の間に、藤井は初タイトル棋聖を獲得していた。これでこの番勝負は、初タイトルの史上最年長対史上最年少の番勝負となった。果てしない苦難の末にタイトルを手にした木村に、彗星のごとくタイトルまで上り詰めた藤井が挑む。同じタイトル1期でも全く対照的であり、意味が違う。将棋神様がどこかで筋を書いているとしたら、将棋神様が憎い。

戦型は矢倉。先手番の藤井が、土居矢倉に雀刺しという温故知新の構想を披露する。盤上を転換する角が輝いている。改めて、恍惚とするような構想力である。またしても藤井の攻めを木村が受け止める展開となるが、藤井の攻めは淀みなく、木村、苦しい。

はっきりと苦しい90手目。木村は自陣に銀を打った。うめき声が聞こえてくるような苦しい銀打ちである。この手を見て、中継画面を思わず凝視した。辛抱も辛抱、鬼辛抱の受けである。ここに銀を打ったところで、幸せになる未来はなかなかやってこない。それでも木村は打つ。これまでも打ってきたし、ここでも打つ。

中継を見ながら並べていた将棋盤に、木村の手つきを真似しながら何度も銀を打ち付けた。自慢できるような華麗な手ではない。しかし、これが木村の手なのだ

「これが木村一基だ」。そう念じながら、何度も、何度も打ち付ける。報われてくれ。幸せになってくれ。まずは一つ、返してくれ。

木村の執念の粘りに引きずられたのか、藤井が終盤に一手寄せを誤る。辛抱を続けてきた木村に巡った最終盤の大チャンスであるしかし、そこから木村が優位を掴む手は相当に見えづらく、難解だった。突然現れた勝利へのか細い糸だったが、木村、惜しくもこれを掴めない。番勝負は3連敗、あっという間のカド番となった。

2020年8月19日王位戦番勝負第4局。カド番の木村は、相掛かりに命運を託す。敗れはしたものの、第2局で優位を築いた得意戦法に全てを懸けた。

カド番とは思えないような積極的な指し回しに、藤井も一歩も引かずに応じる。激しい突っ張り合いの末に封じ手を迎えた。飛車に銀を当てられた藤井。36分の考慮に沈んだ末、次の一手を封じた。飛車を逃げるか、バッサリと斬ってしまうかというところである。そして、後者は相当に勇気がいる。

封じ手の場面、ある一手を思い出した。藤井聡太代表する一手の一つ、「△7七同飛成」。場面は異なれども、あれも飛車をバッサリと斬る手であった。鮮烈な一手が去来して、予感を巡らした。そして、翌日開かれた封じ手藤井棋聖はやはり、飛車を斬り飛ばした。

一歩も引かない突っ張り合いは2日目も続く。しかし、局面藤井に傾いていった。終盤の局面は、見れば見るほど、木村にとってどうしようもない。全てを悟った木村王位は、潔く駒を投じた。藤井王位誕生し、木村にとっての初の防衛戦の幕が閉じた。

木村から見て「0勝4敗」という星取りは、正直すぐには信じ難い。紙一重の、いや、間に紙一枚もないような攻防の中で、残念ながら木村勝利を掴むことができなかった。どこまでいっても勝利の遠かった番勝負。そこには、歴然たる「差」があるのかもしれない。しかし、木村一基王位は、初めての防衛戦となるタイトル戦で、最後まで全力で戦い抜いた。彼が初めてタイトルを獲得した時、解説会場でファンたちがそうしたように、今回も立ち上がって、全力で拍手を送りたい。

折れない心

藤井王位は、記者会見で木村の立ち振る舞いから学ぶことが多かったと述べていた。それは、偽らざる実感だったと思う。多くのタイトル戦を経験してきた木村だが、これまでは全て挑戦側。上位者として迎えるのは初めてで、しか相手自分よりも30歳近く年下の若者、加えてこのコロナ禍の中での異例づくめのタイトルである。戸惑う部分は大きかったはずだが、それを感じさせないくらい、木村の振る舞いは堂々としていた。

初めての封じ手所作に戸惑った藤井棋聖。優しく所作を示したのは対戦相手木村であった。その封じ手、通常は2通であるが、今回は3通作成することを提案したのもまた木村である。通常より多い1通は、販売し、収益豪雨災害被災地などに送ることを想定したチャリティーである

目を覆うような負け方をした後でも、感想戦リードし、記者質問にも気丈に答える。厳しい番勝負の中でも、木村他者へのまなざしを忘れない。あと一歩のところで敗れ続けてきた。苦難に満ちた将棋人生が、棋士木村一基を創っている。

感想戦の後、駒箱に駒をしまう。タイトルホルダーとしての最後所作を終えて、木村一基王位戦は幕を閉じた。47歳。あの時より、4つ年を取っている。しかし、木村一基はまた戻ってくる。苦しい手しか残っていなくても、まだ指し続ける。「百折不撓」折れない心は、木村の信念である

今度は、微塵も疑っていない。

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