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はてなキーワード: 菜穂子とは

2021-12-05

anond:20211205083837

風立ちぬ菜穂子はねぇ、かなり狡猾な女だよ

二郎の女への憧れって前半ではお絹で表されているんだよな

大学にお礼の荷物届けるときエピソードで幻影みるときとかの表現でわかる

まあ震災の時は菜穂子少女だったから仕方ない

でも避暑地で成長した菜穂子に再開したあと、それとなく菜穂子はお絹が結婚して子供もいることを告げる

二郎に女っけはないことをわかって外堀を埋めてるっていうシーンなんだよな

というのは結核にかかっていてもう死ぬという女にとって普通結婚なんて望むべくもないわけだ

当時のお嬢様なのにかなり成長していて未婚だしな

婚約を告げたときの父の驚愕と涙からもそれが窺える

そんなとき二郎というエリートをまんまと仕留めるための最短の行動を菜穂子はとってるわけだ

もちろん二郎の方だってそういうことはわかってて、お互いに残り少ない時間を懸命に生きるということを2人は選択するという物語なわけだ

まり菜穂子結核の病状から逃れられない死のなかで夫婦幸せというものを手に入れようとするわけだし、

二郎には狂っていきまもなく破裂する日本で美しい飛行機をつくるという夢を叶えることに急ぐわけだ

この二つが焦燥感を携えたふたり暮らしとして後半のドラマに描かれている

そうしてみれば自分の欲しいものを的確に獲得し達成まで持っていくという菜穂子は決して弱くて待ち続ける存在としては描かれていないのだ

ポリコレ的な批判では十分に適切な読解があって初めてその効力が出るものだと思うのだが、いかんせん雰囲気批判するための手軽なハンマーになってしまったのが誰にとっても損な話だ

2021-03-20

風立ちぬ』はシンエヴァアナザーストーリー

風立ちぬ』はシン・エヴァンゲリオンアナザーストーリーだと気づいた。

以下、エヴァネタバレは無いが風立ちぬネタバレはあるので注意。

.

風立ちぬ』には4つの元ネタがある。

1つめは飛行機技術者堀越二郎人生。彼は零戦を作ったが、別に妻は結核になってないし、子供も6人いる。

2つめは小説風立ちぬ』。妻が結核になる話。ただしアニメと違って夫は妻に寄り添ってる。

3つめは宮崎駿人生飛行機作り=アニメ作り。妻をほっぽって飛行機作りに熱中する堀越二郎=家庭を顧みない宮崎駿。膨大な予算国民を飢えさせながら飛行機作りする堀越二郎ジブリアニメーターの創造性を犠牲にして自分作品作りの為に才能を搾り取る宮崎駿人殺しの道具を作る堀越二郎アニメに熱中する人間を生み出した宮崎駿

そして4つめは、ゲーテの『ファウスト』。

戯曲ファウスト』の主人公は、大学博士号を取ったファウスト博士で、ファウストはあらゆる学問を学んで知識をつけるが「知識だけあっても、あらゆる人生経験を積んだ訳じゃない」と思い悩む。

そこに悪魔メフィストがやってきて「お前にこの世のありとあらゆる経験を積ませてやる。その代わり死んだら魂を貰うよ」と持ちかけてくる。

メフィスト契約したファウストはさっそくグレートヒェンという少女に恋をして、彼女と付き合う。その後いろいろあって彼女のお母さんを毒殺し、お兄さんを刺殺し、妊娠した彼女を捨てて、その結果彼女発狂して自分赤ん坊を殺してしま死刑になる。

その後ファウストは違う美女を探しに異世界に行って大活躍し、現実世界に戻ってきても大活躍し、散々好き放題やった末に一生を終える。

ファウストは死後、天国と地獄中間地点『煉獄』につき、メフィストに「約束通り魂貰うよ」と言われるが、そこにファウストによって散々な目にあった少女グレートヒェンがやってきて、彼女祈りファウストは救済される。

ファウスト』を要約すると、悪魔に魂を売った男が好き放題して最後地獄に落ちそうになるが、理解ある彼女さんのお陰で天国行けましたという話。

風立ちぬ』のラストシーンでは、地獄のような光景が向こう側に見える綺麗な丘で、堀越二郎カプローニさん(堀越二郎たぶらかした男)、そして美穂子(堀越二郎人生を振り回された少女)と対話する。

魂を取りにきた悪魔と、そこから救いに来てくれた聖女。これは『ファウスト』のラストシーンと重なっている。

しか宮崎駿が当初考えていた風立ちぬラストは、より踏み込んだものだったらしい。

ファウスト』ではグレートヒェンの祈りファウストが救われるが、風立ちぬの真ラストでは、菜穂子が「来て」と言った後にカプローニさんが「その前にちょっと話でもしていかいか。美味いワインがあるんだ」と言って堀越二郎地獄が広がる丘の向こうに連れて行く。これが当初の案で、ギリギリになって修正されたと語られている。

要するに「は?お前何救われようとしてんの?お前も地獄に落ちるんだよ」エンドだ。

この非情な展開を庵野秀明演じる堀越二郎に味合わせるストーリーを考えたのが、庵野秀明師匠である宮崎駿だ。

まり宮崎駿カプローニ

庵野秀明創作に魂を捧げた代償として、地獄に落ちるはずだった。

「どこにいても必ず迎えに行く」と約束されても、宮崎駿ガッチリ肩を組まれて「違う違う、お前が行くのはこっちだぞ?」と地獄に引きずり下ろされるはずだった。

2020-10-10

anond:20201009104454

ダンジョン飯スピンオフが本編だろ

他にはエミヤご飯しかおもいつかないがあれは最初から想定されるありとあらゆるスピンオフを本編(シリアスはSNの3ルートさら日常編がホロアタで何百回となく)がやりつくしてるだろ

あ~~上村菜穂子?のNHKアニメ化されたおねショタ話のごはんスピンオフ文庫ででたけど漫画じゃないな

さっぱりわからんな~

2019-09-26

anond:20190926095116

えー、宮崎駿ロリを描くのはいいとして、例えば「もののけ姫」には明確にロリが出てこないし宮崎駿的なフェチ成分があんま見えんのやけど。

ロリが出てくる「崖の上のポニョ」も流石にパヤオが好きな幼女としてのポニョでは絶対に無いように思うんやが。

(多分宮崎駿的な至高のロリ風立ちぬ菜穂子幼少期みたいなの)

思ったほどパヤヲは自分の好きなものを書いてなくない?

2017-07-18

https://anond.hatelabo.jp/20170718130020

うちの子は「直子」なのに周りは「奈帆子」「菜穂子」とかの当て字ばっか!

みたいな話なら、単にその「オーソドックス漢字」が古すぎて避けられてるだけな気がする

2016-05-22

http://anond.hatelabo.jp/20160522162646

自分もそれ見て考えたんだけど、やっぱり『風立ちぬ』の菜穂子のことだと思う。

2015-07-18

俺選:普段読書しない人におすすめの本 30選

はてブホットエントリーの30選(http://gathery.recruit-lifestyle.co.jp/article/1141321068543131601)がイマイチ感性に響かなかった(普段読書しない人向けか?)ので、俺選してみる。

  1. 銀河英雄伝説 1 黎明編 田中 芳樹
  2. 王都炎上アルスラーン戦記〈1〉 田中 芳樹
  3. 狼と香辛料 支倉 凍砂
  4. 百年法 上 山田 宗樹
  5. MISSING 本多 孝好
  6. 夏への扉 ロバート・A. ハインライン
  7. ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち 三上
  8. 刺身が生なんだが フミコ フミオ
  9. 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 ダン・アリエリー
  10. 黄金の王 白銀の王 沢村 凜
  11. リング 鈴木 光司
  12. イン・ザ・プール 奥田 英朗
  13. まぶた 小川 洋子
  14. 三月は深き紅の淵を 恩田
  15. 獣の奏者 I闘蛇編 上橋 菜穂子
  16. 風の陣【立志篇】 高橋 克彦
  17. 南極点ピアピア動画 野尻 抱介
  18. 華竜の宮 上田 早夕里
  19. 二重螺旋悪魔〈上〉梅原 克文
  20. 月の影 影の海〈上〉―十二国記 小野 不由美
  21. ロスジェネの逆襲 
  22. 天地明察(上) 冲方
  23. 掌の中の小鳥 加納 朋子
  24. ITエンジニア小説 人形つかい・ビギニング リーベルG
  25. 人形つかい ロバート・A. ハインライン
  26. マラケシュ心中 中山 可穂
  27. 新世界より (上) 貴志 祐介
  28. ガンジス河でバタフライ たかのてるこ
  29. Twelve Y.O. 福井 晴敏
  30. 哲学的な何か、あと科学とか 飲茶

反省会

振り返ってみると、なんかかなり偏って・・・・・・

んー選者ってむずかしいね!!@結論

もっといいセレクト教えてプリーズ

ちなみに今回紹介の本は、ほぼ全て(マラケシュ心中以外・・・Kindleで買えます!!!

本屋に行くのめんどくさいなーというそこのあなたも、ぜひこの機会に読んでみてね!&面白い本あったら教えてね!

2015-07-17

おおかみこどもの花は都合のいい女と叩かれるけれど風立ちぬ菜穂子もたいがいなような気がするが

ラピュタシータとか童貞オタの妄想美少女っぽいのは非難されないのもなんか謎

2013-09-26

なぜ菜穂子ひこうき雲なのか

風立ちぬを二回目見てきました。

自分はこの作品が大好きで、宮崎駿先生最高傑作だと思います


最初風立ちぬを「ものづくり物語」だと思って見ました。ですから菜穂子との恋愛模様については、いわゆる一般人向けの撒き餌だと思っていたんです。

その後、岡田斗司夫先生ニコニコ動画におけるレビューをみて、恋愛模様と人物しか見ていないことにショックをうけたんですね。

しかしその考察は凄く説得力があって、なるほど人物面もここまで描写されているのなら、撒き餌と切り捨てるのはいけないのかもと思い直しました。

でも、自分はああい文系インテリ頭でっかちというか、よく歯が浮いて飛び出さないなという感じの引用ゴッテゴテな論理展開が大嫌いで、それにただただ迎合するのも耐えられません。

そこで、自分なりの、「ものづくり物語」としての風立ちぬについて、菜穂子二郎恋愛を飲み下してやろうと、二回目に挑戦してきたわけです。


二郎にとって、菜穂子飛行機は同じなのだ。というのが結論です。


これは、二郎にとっては菜穂子飛行機も同じだという意味ではありません。二郎はそこまで狂ってはいないと思います

宮崎先生が、二郎飛行機二郎菜穂子関係を、意図的シンクロさせて描いているんです。

これは文系御用達引用メタファーとかではなく、素直に風立ちぬを鑑賞すれば感じ取ることができる類のものです。


まず、主人公二郎人格について自分の感じたところを説明します。

彼は、飛行機に対して理想の高い人です。同僚の本庄などはドイツで学び「ユンカースかぶれ」の八試特殊偵察機を作っていましたが、あくまで自分の中の理想飛行機を追い求めます

恋愛に対してもそうです。彼のアプローチはかなり独特で、「一番カッコイイところを見せてさっそうと去る」の一手のみ。ぐいぐい迫るなどという格好わるいことはしたくないんですね。作中を観察してみると、女性を見るとさっと居住まいを正して微笑みかけて回っているので、女性に興味が薄いわけではないのですが。


次に、それぞれがどういう結果を招くかというと・・・

飛行機については頑張りぬいて理想のものを形にします。九試単座戦闘機ですね。しかし、その末路といえば、敗戦で、一機も帰ってこなかったのです。

恋愛についてもそうです。菜穂子と誰もが羨む恋愛結婚で結ばれますが、彼女はすぐに結核で亡くなってしまます


両方とも、予めわかっていた結末です。戦争に勝てっこないことはわかっていたし、一緒に幸せになれないこともわかっていました。

それでも、きれいな嘘で塗り固めて、どうにか形にだけはした。そこまでしか出来ないのが、エンジニアとしての、男性としての二郎だったんです。


ものづくり物語を本気でやろうとすると、「わかるかな?わかんないだろうな」という問題が沢山出てきます

飛行機を作ることのひきこもごもなど、ピンと来ない人がたくさんいます。そこで宮崎先生が誰でもわかる恋愛のひきこもごもで例え直したのが、菜穂子存在だったのです。






以降蛇足エンジニアとしての二郎と、男性としての二郎比較


彼は幼少期、空に憧れていました。でも、近眼のため、パイロットになれないことは既にわかっています。そこで、設計者として飛行機に携わるのなら、自分にもできると思い立ちます

自分の考えに当てはめるとここは、母親へのあこがれが、他人の女性に向くということにあてはまるのでは・・・と考えます


七式艦上戦闘機試験飛行で大破しました。

差し出したシベリアは突き返されます二郎のええかっこしいのアプローチ女児にすら受け入れられません。


本庄ドイツで学び、ユンカースかぶれの八試特殊偵察機を作り上げます二郎自分理想を追い求め、九試単座戦闘機を作り上げます

本庄見合い結婚します。二郎は数年離れ離れだった菜穂子と再会し恋愛結婚します。


海軍陸軍との打ち合わせの時、話を聞かずに「全力を尽くします」といいます

本当は最初菜穂子よりお絹が好きだったにも関わらず、それを隠します。


菜穂子は治るかわからない結核をきっとなおすと言います

日本は勝てないとわかっていても、戦争します。


九試単座戦闘機は完成し、試験飛行で美しい姿をお披露目します。

菜穂子結婚式をあげます。美しい花嫁衣装でした。


菜穂子は「一番きれいな時」だけ二郎にみせて、彼のもとを去り、帰らぬ人となります。死を看取ることはできませんでした。

九試単座戦闘機戦場へ飛び立ち、一機も帰ってきませんでした。エンジニアである二郎は、本土で待っていることしかできませんでした。


最後ありがとうは、菜穂子にも、九試単座戦闘機にも向けられていると思います

引っ込み思案な性格二郎が、理想恋愛結婚という夢を見られた。

貧しい国に生まれた二郎が、理想飛行機という夢を見られた。

その二つのめぐり合わせに感謝する意味だったんだと思います


飛行機を作ることは、兵器を作ることだという呪いを、不治の病(厳密には違うが)に冒された女性との恋愛を、このようにシンクロさせているわけですね。

2013-09-09

風立ちぬ感想

いまさらだけど風立ちぬを見ていろいろ思ったので感想ネタバレあります

二郎菜穂子関係について主に。

自分映画を見る前に、菜穂子に対する二郎の態度が酷すぎる、という話を友人がしていたので、映画を見たらそれについて考えようと思っていた。

実際に見て思ったのはもうしょうがないじゃん、と。二郎が人の気持ちを理解できなかったり、美しいサバの骨にしか興味を持てなかったりする人間だということはどう菜穂子や他の人間が頑張ったって変えられる部分じゃない。他の人に対して二郎はサバの骨以上の興味は持てないだろうと。そういう二郎のことを好きになってしまった菜穂子はああやって自分から寄り添っていくしかなくて、二郎に対して自分に寄り添うことを求めるのは二郎には無理なことだし、むしろそういうことができる二郎というのは二郎でないと思う。サバの骨にしか興味がなくて、弱った恋人の肺よりも自分集中力のためのタバコを選んでしまうような二郎と、そんな人間を好きになってしまった菜穂子関係はあれ以上どうしようもないと思った。

友人は菜穂子のためを思うなら仕事の合間に高原病院まで通うなり仕事を減らすなりできるだろう、と言っていたが、そういうことができないのが二郎だし、それが嫌なら菜穂子はさっさと二郎に見切りをつけるのがある意味一番幸せになる方法なんだと思う。それができない菜穂子にはああやって耐えるしかなかった。そういう二郎を好きになっちゃったんだからもうしょうがないよね。

友人の二郎に対する要求は、一般的にはそうあるべきなんだろうけど、二郎という人間にはお門違いだろうと思う。菜穂子の命が危ないときには駆けつけてくれたけれど、長期間飛行機を放り出して菜穂子に寄り添うことなんてできないだろうし、そもそも二郎には飛行機よりも菜穂子を優先することはできないと思う。二郎は数十年かけて飛行機のことは考えてきたけれど、人の気持ちなんて考えたことがないはずだから

あと、菜穂子というキャラクターについて触れると、彼女は夢を追いかけていたい男の隣にいて欲しいと男が考える理想の女で、とても都合のよい女だと思った。振り返ってみれば菜穂子病気で亡くなってしまってかわいそうだけど二郎のそばで過ごすことができて幸せだったよね、ってなるんだけど、その幸せだよねというところにも、命を削ってでも恋人の近くにいたいと思ってしま献身的でかわいそうな美しい女性という理想像が透けて見える気がする。ジブリ作品に出てくる女性が、男性が考える理想女性であるというような考えは聞いたことがあったけれど、風立ちぬを見てああこういうことかと納得した。中身も見せられず二郎がただただ天才だと褒められているばかりで天才だと見せられているという趣旨感想を他で見かけたけれど、自分にとっては二郎天才であるという描写を繰り返される以上に、菜穂子が美しく強いイデアのような女性であることを見せられるほうが、製作してる側のこう見せたいという意図が感じられるような気がして嫌だった。

映画の登場人物、キャラクターとしては好きなんだけどね、菜穂子二郎も。透けているのが嫌なだけで。

でも、やっぱり二郎の目には飛行機しか見えてなくて、二郎に見てもらえなかった菜穂子をかわいそうだなぁとは思う。

菜穂子がかわいそうで、二郎は薄情だという部分では、友人と同じ感想だったので。

2013-08-23

およそ不完全にして正しくない風立ちぬ感想

航空機のこと以外に何も考えてない堀越二郎科学技術を尽くした傑作を作った、そのことをあなたは否定できますか、と感じたという話。

あくまで宮崎駿映画だけを見ての感想です。ネタバレ全く配慮しません。当たり前だけど映画の話であって、堀越二郎本人について特に思う所があるわけでは有りません。

二郎は実際何も考えていない。まず、単に可愛らしい女の子ちょっと近い距離感になったか菜穂子のことを好きになった。菜穂子でないといけない理由なんて何ら描写されていない。彼の自主的な決断はせいぜい婚約を申し込んだことだろうが、それも結局菜穂子にも推されたおかげか何の反対もなく済んでしまっている。結婚だって同棲けしからんと言われて決めたことだ。そしてさらに、本庄零式艦上戦闘機の開発メンバーに入れないこと、これだって自主的な決断ではなく人から言われてのことだ。

極めつけは、寝込んでいる菜穂子の横で煙草を吸うシーン。煙草を吸わないと頭が回らなくて仕事にならない人間が、いいよと言われたからというだけの理由で、肺が悪い最愛の人の隣で煙草を吸って零式艦上戦闘機設計する。菜穂子飛行機をどっちを取るか、そういう決断スキーム自体に無理があることは認めるが、そういった決断が迫られうることに心を巡らせてみるまでも無かった。菜穂子があまりに忍耐強い、かくも素晴らしい日本人女性だったから。

更に、二郎は自らの航空機設計の才能を一度たりとも否定されていない。また、本庄堀越に抱く劣等感が描かれるといったこともない。なので、二郎がただ一途に航空機が好きで他人からの評価はどうでも良いのか、あるいは知らず知らずのうちに尊大になっていて挫折に弱く周りのエンジニアに対して自らの能力によって優位な立場に立てていないと気が済まないのか、という問題は棚上げにされている。二郎自分の才覚や自尊心といったことに無自覚でいられている。

そんな二郎の身に起こったのは、腹を空かせた子供シベリアをあげようとして逃げられる体験だ。自分が隣人を思いやる優しい人間だと思い込んでいるが、実際には他者の気持ちなんてものを考えてみてすらいないというこの構図は、二郎は人々を笑顔にする航空機を作ろうと夢見ていたものの、実際には人殺しの道具となり最後にはパイロットを殺してしまったという悲劇相通じるものがある。夢で見た村人を笑顔にするための航空機、それは確かに精巧で美しい航空機であろうが、しかしそこに乗る村人とは一体誰であるのか、村人達は何を思っているのか、そんなことに思いを寄せておらず、村人達とは二郎にとって都合の良い抽象的な妄想上の概念だ。カプローニが去ったのは、確かに海外技術の猿真似を辞めるという成長であるが、それは航空機設計という狭い世界の中でのことだ。

本当に人殺しの道具を作りたくなかったならば、軍用機しか作ってないと初めから分かっていて三菱なんぞに入社しないだろう。仮に入社したとしても、せめて輸送機偵察機のチームを志望するくらいのことは有っても良いだろう。そうしなかった二郎は、結局のところ彼にとって美しい航空機を作りたかっただけなのだろう。

そこで提起される問題は、この二郎の態度が否定されるべきなのかどうかということだ。例えば原子力発電を取ってみると、原子力発電がもたらすエネルギーで人々を笑顔にすると思い込んで、自分が好きな原子炉設計必死に行ったエンジニアがいたとしても何ら不思議に感じない。あるいはヒトラーナチス党員のトットが国民自動車ピクニックで出かけることを夢見て公共建築の傑作たるアウトバーンを建造した話も思い起こされる。では、この種の独善は否定されるべきなのかというと、必ずしもそうとは言えないように思われる。隣人を深く理解し幸福にすることを求めるよりも、妄想に取り憑かれる方が、科学技術自体は美しいものであり得るのではないか。そういった問題を、風立ちぬは鋭く提起しているように思われた。

じゃあそこで、風という主題系、生きなければならないという言葉がどう活きてくるのだろうと考えると、やはり命の儚さを謳っているように思えて、やっぱり儚さとか残酷さとかそういう映画なのかなとなって何だこの感想はとなるんだけど、あまり気にしない…。

2013-08-21

http://anond.hatelabo.jp/20130818230914

菜穂子はなぜバスに乗らなかったのか?」

・あの日は加代がやってくる約束で、通常利用するバス停から乗車しようとすると、鉢合わせする可能性があるため。

 (加代と鉢合わせすれば必ず引き止められてしまうので、それは避けたいと思った)

・生きてこの地を踏むことはない、という覚悟から二郎と共に暮らし土地にゆっくりと別れを告げるため。

元増田意見を読んで、あの時感じた違和感について自分なりに考えるきっかけができました。

どうもありがとう

自分菜穂子自殺はせず、病院に戻っていたと思う。

普通に考えれば2つか3つ先のバス停から乗ったのでは?

菜穂子自分の死が二郎に大きな影響を与えるだろうことは知っていただろうし、自ら命を絶つようなマネをするとは考えにくい。

加代に後ろ姿を見送らせるための演出の一つ、というのも大きいと思う。

2013-08-18

今更だが「風立ちぬ」を観た。これ、菜穂子自殺してるよね。

僕は観る前に事前に一通りのネタバレとかレビューを読んでいたので、まあ大体の内容は予想通りだったわけだけど、それでも驚くべきところはあった。

これはおそらく今のところ指摘されていない話だと思うが「二郎の妹がバスから歩いている菜穂子とすれ違うシーン」の話だ。

その後のシーンで、菜穂子は山の病院に戻ったのだ…みたいな感じで説明されているけど、よく考えると「病院に戻るために汽車に乗るにはバスに乗っていくはず」で、ということは菜穂子バス停に向かって歩いていくはずなんだけど、菜穂子を訪ねてきた妹が乗ってるバス菜穂子の住んでいる家の最寄りのバス停に向かっているバス)とすれ違うっていうのは、これはバス停に向かっていないということだ。つまり菜穂子病院に戻ったのではなく、人目につかない森の中かどこかに向かって歩いて行って首を吊って自殺したのだと思われる。

これを思いついたのは映画を見た後、家に帰って布団に入った時だったが、考えてみれば菜穂子病気治療より二郎ギリギリまで一緒に過ごすことを選択したわけで、もう一緒にいるのは限界だとなった段階で今更病院に戻ってもしょうがないしさっさと自殺した方が苦しまなくていいという考えなのかもしれない。「バスとすれ違う菜穂子」を目撃した二郎の妹は当然菜穂子の真意に気づいたので取り乱したのだろう。まあどっちにしろ死ぬわけだから「驚愕の真実」という話ではないが(トトロサツキとメイ死亡説みたいな)、なんとなく目覚めが悪い話である。というか布団の中でこの話を思いついた後、寝つきが悪くなった。

もちろん「上り下りバス停全然違う場所にある」とか「妹と鉢合わせないように最寄りのバス停じゃないところから乗る為に歩いていた」とかいくらでも自殺していないという解釈は成り立つんだけど、個人的にはもう自殺したとしか思えない。

2013-08-04

風立ちぬの画面

戦争に向かう描写などは左から右への流れ(ユンカース社の爆撃機二郎黒川見学した空母の向き、空母から去るとき二郎の見つめる先。そしてラスト爆撃機戦闘機が向かう方向。)

震災関連のシーンも同様に左から右へと流れてゆく。

対照的に、劇中で前向きな気持ち、希望が見えるシーンなどは基本的に右から左

またこれは二郎やカプローニの夢のなかでも同様である。(ただし、カプローニの引退飛行では一部逆の部分があった)

二郎の美、夢の対象であるものほとんど右から左へ流れる。まだ形のみえぬ飛行機のシーンなどがそれ。

七試艦戦や九式単座戦闘機も同様に右から左、そして下から上へと流れる構図が取られる。

しかし、唯一九式によるテスト飛行のシーンでは二郎の目の前を左から右へと飛び去る。

これは直前のシーンで菜穂子と九式が共に美しいものとして重ねられるシーンがあるため、このカットにおける九式は菜穂子であり、

また、二郎の追い求めた美はどちらも負の方面へと向かうこととなることを示している(菜穂子の死、零戦戦争への参加、そして国の滅び)

だが、ラストのカプローにとのやり取りにおいゼロ(零戦)は右から左へと美しく飛び去ってゆく。

これが宮崎駿自身がこの作品にこめた思い、考え、メッセージの一つだ。

そして二郎とカプローニは画面左右ではなく画面奥へと去ってゆく。視聴者目線の先へと。

2013-07-29

風立ちぬ』に右ストレートくらわす。ネタバレ含む

先週、噂のジブリ最新作「風立ちぬ」見て来ました。

絶賛ばかりですが正直な感想を申しますと、「おもしろくなかったけど、何度か観たい映画」というところでした。

批判的な感想をあまり目にしないので、この一週間、絶賛に対して指摘したい部分を時々考えました。それを時間書けずに一発で書きます。荒くてごめんなさい。

ストーリーに波がない。

「生きねば」と書いてあるポスターや、ボロボロ燃えしまった後の戦闘機っぽいものと、それを見て呆然と佇む主人公の絵に、

戦争に揉まれながら、どんな恋や葛藤があるのかな〜!」と思ってしまますが、はじめからわかってた展開をただ踏まえてるだけな気がしました。

予告編では泣けましたが、本編では泣こうとおもっても、、、、?なかなか泣けない。

とにかく長いです。一緒に行った人は寝てました。最後ユーミンの歌の、長い長いPVみたいでした。

主人公感情移入できるか?

幼少の頃から非凡存在として描かれていて、そのままです。しかもお坊ちゃま。

人格も優れている主人公がどんな壁を経験して、奮起するドラマなのかと思いましたが、、、右肩上がりのまま、、、右肩上がりフライ

これは厳密には違う指摘ですが、菜穂子と再開する避暑地重要なシーン。

あれも「なんで今は仕事しないの?オフでも飛行機のこと考えてるキャラが何してんの?」と内心思いながらでした。しかも、これも長い。

それを消してくれる説明も無かったような気がします。

SEが口

これはなんかの朝のニュースでやってたのを着替えながら見たので知ってましたが、どうやらSEほとんどは口で人が作ってるようです。

でも、それが耳障りなんです。なんの意図があったのか知らないので残念ですが、その意図を知らない私からすると違和感で集中できないのです。

途中から製作者側が「今回のSEは人の声が作ってるんですよ」とドヤ顔で言ってたらと思うと、それをどうやって論破するか。。。そんな怒りの妄想集中力がいってしまいました。

庵野秀明の声

幼少期が終わって、いきなり声が変わります。それで「『ジブリ主人公の声をエヴァ監督庵野秀明担当』なんていうニュースを何かで見たが、これか・・・」とその時に思い出しました。

とにかく、びっくりするほどスムースな口調で人間らしさゼロ。10のテンションで話してきたキャラに対して、4くらいのテンションで返す主人公しかし、相手は自然に10のテンションを保ったまま会話している不自然さ。

例えて言えば、片方は大男が体をうねらせて豪速球を投げているのに、それを受け取る主人公直立不動ボールキャッチし、腕だけ動かして投げて緩いボールを返している感じ。その不自然キャッチボールラスト一言まで続きます

製作者の意図としては「理系の人っぽさを出したかった」ということですが。理系独特のドライさってのは違うと思います

成功に仲間や上司が昂ぶっている時にタバコ吸ってどっか見てたり、菜穂子王子様アピールしてるのに「晴れてきました」とかいってるだけで理系っぽさは出たと思います

その点、同じ理系でも今放映中の福山雅治のやつとかは、たしか理系っぽい感じはします。

百歩譲って、理系な人が抑揚のない声で話すとしましょう。でも、見る側としては少なくとも僕は違和感で集中できないんですね。不自然コミュニケーション意図的に作ってドヤ顔してる制作側に本当にいらっとした。

そもそも、庵野秀明って理系なんですかね。

高橋留美子

ヒロインが嫁入りするシーンで、嫁が高橋留美子漫画キャラしか見えない。

そもそも、結核の嫁が病院抜けだして来て嫁入りを済ませるっていうのはとてもむずかしいと思う。

ただの美談ですよね。ちび上司が普段と違ってお祝いしてる方が胸を打たれました。

ジョブズ流行ってるし?

これは単純すぐり僕の勘ぐりでもあるのですが、いちいち飛行機とか鯖の骨とかに「美しい・・・」とかいうところに、デザインに対して強いこだわりを思っていたジョブズ投影させてたのかなって思っちゃいました。

シンプルに美しい見た目=優れてる、という考え方を持っている二郎アピールが多いんですよね。

もしジブリジョブズに敬意を表すなら、普通に「敬意あります」とか言えばいいんであって、作品にわざとらしく言わなくてもいいんじゃないでしょうか。

とにかくうるさいんですよね。忘れた頃に出てくる。「また!?そんな(にデザイン好き)なの?」みたいな

でも、まあ、ジョブズが話題になる前からsimple is the best的な価値観はありましたので、あんまり強気で言えることじゃないです。

以上を踏まえて「風立ちぬ、傑作!」みたいな空気は、なんかつっこみたくなります

ジブリがやったことならすべて良し!たとえ理解できなくても良しと言う!白も黒と言えば諸手を上げて黒に賛成」みたいなダサい空気です。

確かにジブリ過去作は素晴らしかったです。でも、今作はどうでしょう。ほんとうにそうおもってますか?と。いや、過去作も実は「良さげ」雰囲気だけの作品だったのかも… ?

なんちゃって、それは言いすぎな気がしますが、否定なんかしたら自分がバカっぽい立場になるって思ってませんか?

僕もそうゆうのが怖いのですが、これを書いた反響とかを楽しみたくてネットに書きました。

以上です。

ちなみに、個人的に一番良かったシーンは、幼少期の夢の中で雑誌に出てた有名なイタリア設計士と出会い、刺激をうけるところです。

あの夢の中には、生まれや、能力や、物理法則すらも超越した、ピュアな(実現したい世界としての)夢だけでした。

そしてあの空間にいる間は、「自分ヴィジョン世界偉人と共有できる程のものなんだ」という高揚感は、とてもこんなことを言うのは憚られますが、僭越ながら共感できました。

色々文句もありましたが、終わってみると、確かになんだかスッキリした映画でした。

それが何かは、わかりません。それが不思議な魅力でしょう。

バイアスを無くしてほしいので最後自己紹介します。

自分ジブリと育ってきたような年代で、現在は「アラサーw」と自虐を言う時期に入った年代です。

風立ちぬ」は今回の作品で初めてです。

一番好きなジブリ映画は「もののけ姫」。理由は興奮するからで、メッセージ性などはあまり気になりませんでした。

一番心躍った映画は「バトルシップ」。一番泣いたのは「アイ・アム・サム」。という単純な人間です。

ちなみにこの映画を見終わった後「ジョー・ブラックをよろしく」を見終えた気持ちになりました。

何が良かったのかわからないけど、なんかもう一度観たい。そうゆう変な映画です。

2013-07-23

風立ちぬ」 見てきたんだが ネタバレあんまり無い

んだよ普通に傑作じゃねえか

まーたネットの悪評に騙されるところだったわ

お前らほんと見る目ねーな

確かに評判通り子供が見ても退屈だとは思う

近くに子連れが座ってたけどそんな雰囲気だったし

けど目を赤くしてる年配の人は結構多かった

主人公の声

ちょっと棒だけどそんな言うほど違和感ないじゃん

しろあの淡々とした声が周りのベテラン俳優に囲まれることで一種の存在感を産むと言うか

ラスト近くになるとこの声以外ないだろってなってた


映像

すっげー良かった

特に関東大震災の描写は圧巻

マジであれだけで見る価値あるわ


主人公親友とか上司とか

みんな良いキャラしてた

親友本庄イケメンすぎ、上司部長課長もかっこいい

互いに実力や才能を認め合ってる描写が節々にあってまさに技術者って感じだった

ホモホモ言われるのも、まあ理解出来る的なところもあったけど狙ってそういう描写があるわけじゃないです


:妹の加代がブラコンすぎて可愛かった

序盤の「にぃにぃ様、赤チン塗って差し上げます!」のシーンとか萌えアニメが始まったのかと思った


ヒロイン菜穂子が可愛すぎた

嫁シーンなんだよあれ、反則だろ

ここは言いたいこといっぱいあるけど、ここに限っては実際に見て欲しいので何も言わない



というような感じのことを誰かと話したかったのですが

一人で見てきた上に友達もいないのではてダで書いて発散しておきます

2010-03-03

http://anond.hatelabo.jp/20100302234217

えっ

高遠菜穂子さん達への批判って「売国奴」だっけ?

「諫止を振り切って自分の意志で行ったのに被害者ヅラ(特に家族が)」じゃなかった?

あとは危険とわかってて行って捕まって救出に多額の税金使わせたことへの批判、

そのことへの無自覚な態度(動いてくれた地元有力者との面会で座って握手したり飴食ってたり)

まあ菜穂子さん個人だと他に

男の子(特定の年齢の)ばっかり支援してる

・小さな男の子キスしてる写真がやたらいっぱいある

・それもおでこにとかじゃなく抱き締めてベロチュー

というのは見るね

 
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