戦争に向かう描写などは左から右への流れ(ユンカース社の爆撃機。二郎と黒川が見学した空母の向き、空母から去るときの二郎の見つめる先。そしてラストで爆撃機や戦闘機が向かう方向。)
対照的に、劇中で前向きな気持ち、希望が見えるシーンなどは基本的に右から左。
またこれは二郎やカプローニの夢のなかでも同様である。(ただし、カプローニの引退飛行では一部逆の部分があった)
二郎の美、夢の対象であるものはほとんど右から左へ流れる。まだ形のみえぬ飛行機のシーンなどがそれ。
七試艦戦や九式単座戦闘機も同様に右から左、そして下から上へと流れる構図が取られる。
しかし、唯一九式によるテスト飛行のシーンでは二郎の目の前を左から右へと飛び去る。
これは直前のシーンで菜穂子と九式が共に美しいものとして重ねられるシーンがあるため、このカットにおける九式は菜穂子であり、
また、二郎の追い求めた美はどちらも負の方面へと向かうこととなることを示している(菜穂子の死、零戦の戦争への参加、そして国の滅び)
だが、ラストのカプローにとのやり取りにおいてゼロ(零戦)は右から左へと美しく飛び去ってゆく。