はてなキーワード: 連休とは
ある街には5件の菓子店があった。それぞれの店で看板商品は異なっているものの、その街に住む人々の飽くことなき食への欲求を満たすべく、積極的に商品開発を行なっていた。
そんなある日、ニューヨークのある企業が革新的な菓子を開発した、とのニュースが流れる。その新たな菓子は、分類するならば”チーズケーキ”と表現するべき物のようだが、その味たるやチーズケーキはおろか、過去に作られたいかなる菓子とも比べても桁違いの芸術品であるとニュースは伝える。その味は個々人の好みを凌駕し、すでにニューヨークの大半の人々を魅了しはじめているようである。
何より驚くべきことは、そのチーズケーキの開発元企業インターネット上でレシピを公開していることである。Webページではレシピに添えて、この公開が世界の公益に資するものと強く信じている、という社長メッセージが掲載されている。彼らはもともと食品の販売を専門とした企業ではないとはいえ、ニューヨーク中を虜にしたケーキのレシピをなぜ一般に公開するのか、その真意は今のところ誰にも知りようがない。
レシピを見る限り、決して高価な材料や特殊な調理法を必要としない。むしろ安価で広く手に入る材料ばかりで構成されている。取り立てて珍しいものとしては寒天くらいであろうか、ただチーズケーキ作りに使われることは珍しくとも、一般的な菓子作りにおいて決して風変わりな食材であるとも言えない。
ともあれ、このレシピの公開を受け、この街の5件の菓子店も大きな決断を迫られることになる。
というのも、例のチーズケーキはニューヨークの菓子店の店頭に並ぶやいなや大きな人気を博し、従来の菓子市場をあっという間に席巻した。明日、この街において同じ状況が訪れないとは限らないのだ。今すぐこのチーズケーキの商品化に取り掛かるべきなのか?
奇しくも5つの菓子店が出した結論は全て同じであった。「このチーズケーキは商品化しない」
一体何故だ?決して製法が難しいわけでもコストが高い訳でもない。
その理由は、彼らの既存商品ラインナップにあった。彼らは、今の看板商品の売上がチーズケーキによって奪われてしまうことを恐れたのであった。
—————————————
以上、駄文でお恥ずかしい限りです。しかし愚にも付かない創作ですが、この結論に違和感を感じはしなかったでしょうか。
5つの菓子店はなぜチーズケーキの開発を進めないのか。仮にそのチーズケーキの味が本物で、5つのうち1つの店でもチーズケーキを売り始めてしまえば、彼らが恐れている看板商品の売上は他店によって大きく損なわてしまうでしょう。
ひょっとすると何らかの理由で5つの店は談合しており、このチーズケーキの販売を見合わせる協定をしているのかもしれません。たとえそうであっても、第6の新たな菓子店がそのチーズケーキをひっさげ、街の菓子市場に割って入るのも時間の問題でしょう。
市場経済が常に企業間の競争の連続の上に成り立っている以上、既存商品とのカニバリゼーションだけを理由に、あえてチーズケーキに手を出さないという決断をし、その結果市場にチーズケーキが供給されないという考え方は合理的ではないと考えています。
(もちろん現実はこれほど単純ではなく価値の捉え方・企業の戦略も多種多様ですし、イノベーションのジレンマが示したのはチーズケーキに手を出せなかった過去の巨大企業の実例でしょう。ただしその際は新たなイノベーターが市場を破壊しにきます。)
ただ、何故か医薬品においては起こりうるべきこととして考えてしまう人も一定数いるようです。(痛ニューの記事を一般論として書くのはいかがなものですが)
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1989967.html
今、世界中の製薬企業はアンメットメディカルニーズと呼ばれる既存薬での治療法が確立されていない病気の治療薬を、それこそ血眼になって探しています。そして、がんはその中でも最も大きな市場となっており、多くの製薬企業の主戦場となっています。
もし虫下しで癌が治るのであれば、2004年の発見から15年経っても市場に現れないということはまず考えられません。そしてそれが製薬企業の陰謀であるなどということも、まずないでしょう。一般的な薬の開発にかかる期間は7-10年程度かなと思います。最近
製薬におけるパラダイムシフトはすでに起こっており、これまでの低分子薬ではすでにあらかた取り尽くされてしまい、最近の新薬ではバイオやゲノムなどこれまでと全く異なる方法での研究開発が主となっています。
世界中で星の数ほどの製薬ベンチャーが生まれ、大手製薬企業はその中で見込みがありそうな薬を持つ企業の買収や提携により薬の種を仕入れることが珍しくありません。
これが製薬企業の陰謀なら、世界中のありとあらゆる製薬関係者が関与するカルテルでも作るんですかね。毎年研究者の卵が生まれるので大変ですね・・。どんな談合があったとしても、裏切ったもん勝ちな感じもします。囚人のジレンマってやつですかね。
なお別の記事のブコメで、この薬剤では治験にかかる費用がペイできないのでは、というコメントがありましたが、これも可能性としては低いものと考えています。
まず薬価については、日本では新薬の薬価算定方式が厚生労働省によって定められておりそれに従い価格が決定されます。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000144409.pdf
虫下しががんに効くとすれば、これまでの作用機序とは全く異なる新薬で、薬価基準制度における原価計算方式になります。ここで研究費や開発(=治験)費用も一般管理費として計上した上で、さらに営業利益等を上乗せした価格が最終的な薬価となります。
ただし日本の医療費は年々上がる一方で国も薬価引き下げのための施策を多数取っていますし、原価計算方式であっても必ず利益が出る薬価になるという担保はありませんが。オプシーボも想定以上に販売数が上がり、その結果劇的な薬価の引き下げに繋がりました。
いずれにせよ、がん細胞をこれまで止まったく異なる機序で死滅させるとすればそれこそオプシーボのような画期的新薬となり、採算を気にしなければならないような話ではありません。
ちなみに余談になりますが、がんに効くと言われた虫下し薬がどれだけ安価に作られるものだとしても、人間の治療に使う医薬品が同じような価格帯となることもまたありえません。薬が保険適用の対象となるまでには10年スパンの研究〜開発〜承認の流れがあり、また製造においても品質を担保するための様々な規制があります。それらのコストが全て医薬品にはかかっており、動物用薬と並べて比べられる類のものではありません。
かかるコストは決して安いものではありませんがそれが命、健康の重みでもありますし、万一承認された医薬品の安全性に問題があったとすれば、国も裁判で賠償責任を問われることとなるでしょう。私個人としては安心して薬を使うことができるということの価値を感じますし、総じて日本の医療制度は(先行きが不安であるとはいえど)非常に優れたものであると感じています。
話を戻して先ほどの虫下しがまだ上市されていないことを考えると、おそらくはまだ基礎研究段階、もしくは動物等を使った非臨床試験での問題が解消されていないものか、またはそもそもの2004年時点で話に尾ひれがついてしまったのではないかと思います。
最近はSNSの発展とともに(特にがんがひどいのですが)見ず知らずの他人が代替療法を提案したりするところを目にしてしまいます。これまで積み重ねてきた人類の叡智を以ってしても完治が難しい病気が存在する、というのは辛いですが間違いのない事実です。
いざそのような病気に直面した時、どこかに魔法のような治療がある、という言葉を信じたくなってしまう気持ちは察するに余りあります。(これは病気となってしまっった当人だけではなく、その周りの親類や友人にも当てはまります)
ただ今私たちが受けている医療は、それだけ多くの科学的エビデンスを過去から積み上げてきたからこそ享受できているものです。決して第三者の甘い言葉だけに惹かれてしまうことなく、担当医の見解を聞く、セカンドオピニオンを取る、各種支援団体に相談する、など出来る限り多くの情報を、出来る限り冷静に集めてみてください。
また治験では未承認ながらより新しい治療薬が利用できることもあり、条件さえあえばまた違った選択肢を取ることができおることもあります。治験についてもWeb上で実施している病院などの情報が公開されています。(治験という性質上、通常の治療とは異なります。リスクを含め必ず専門医に相談の上、治療方針を検討してください)
長々と書きなぐってしまいましたが、これがこの連休を締めくくる最後の活動になりました。少しでも薬についての理解につながることを祈って。
アラサー独身、切り干し大根みたいにカラカラに干上がった恋愛観。
潤いを取り戻すべく大人向けの恋愛漫画でも読んで活力を取り戻したい。でもしばらく読んでないし最近は実用書とITの仕事してるからそっちの本しか読んでないから、どれが面白いのかわからない。
○昼食:あんぱん、トマトのパン、塩バターパン、ビタミンゼリー
○調子
むきゅー。
喉が痛くてのたうち廻ってる。
喉の中にワニがいて五分に一回ぐらい噛まれてる感じ。
ヴィクスのトローチを買ってきてからは、だいぶマシになったけど。
ほとんど熱出て寝込んでただけなうえ、今もまだ全回復してないって異常だよお……
うーーーーーーーーーん。
「この枠組みの中の正解」を導き出すのは当たり前として、
連休じゃなくても多かったと思うが
上司の無理なスケジュール進行のせいで連休が潰れるのではヒヤヒヤしたが、なんとか旅立つ前日に休日出勤は終わった。
初めて訪れる土地、初めて食う名物、初めて関わる人たち。そのすべてが温かく、荒んだ東京での暮らしから癒してくれた。
あれは旅行最終日、フェリー乗り場近くでのこと。雨模様がずっと続いていたが、最終日だけでも晴れてよかった。今しがた出た喫茶店でコーヒーを飲みすぎたせいか突如尿意に襲われた。近くに公衆トイレがあったので小便器に用を足していると、屁も一発こきたくなってきた。どれ景気づけに「ブッ」といくか、と思い力むと
「 」
音がしなかった。代わりに残ったのは、ぬるりと何かが這い出てきた感覚だけ。
しまった——いや、噓だろう?
何かの間違いではと祈りつつ個室に入り、パンツを下ろしたが、現実は非情だ。チューブからパレットに出した絵の具のよう形状で、ブツが俺の下着を染めあげていた。
咄嗟にジーンズも確認する。黒のスキニーにはうっすら丸く濡れた跡が見えた。顔に近づけて鼻を鳴らしてみる。
不幸中の幸いであるのはこれが一人旅であること。当然待たせる相手もいないし、替えの下着や服はすべてバックパックに詰め込まれている。
クソ漏らしの達人たる増田諸氏には「なんだ、その程度で」と鼻で笑われるかもしれない。だがそれでも、つい開放感あふれる青空とどこまでも続くような大海に囲まれて清々しい空気を吸っていた5分前までの俺が、ゴキブリが今にも壁を走ってきそうな狭く汚い便所で自分のクソの始末をしている。
浮かれた気分を一瞬で茶色に塗りつぶされてしまったのだ。その絶望は、脱糞ビギナーの俺には耐えきれない。
ケツだのパンツだのを拭いている最中、俺は5年前に別れた彼女のことを思い出していた。偶然にも、その日の朝に彼女の夢を見たのだ。
ホテルで目が覚めたときは「令和の初夢がこれだなんて、未練がましい」と自嘲気味に笑っていたのだが、そんなセンチメンタルに酔う俺はとっくにどこかへ行ってしまった。
昔の女を引きずるよりも情けない、うんこ漏らしマンがここにいる。
久しぶりの旅行だったものだから持ち物リストをネットで調べていたのだが、あるページに「ビニール袋は何枚あっても便利!」と書かれていた。なるほどここまで想定されていたのかと感心しながら、俺はズボンとパンツをドンキのレジ袋に詰め、固く口を縛った。
ひと仕事終えたので扉を開け外に出る。太陽が眩しい。忌々しい気分だ。
トイレからフェリー乗り場に歩いていると、道端の立て看板に「合図を出そう」という交通標語が書いてあった。これを先に見ておけば肛門もあんな事故は起こさなかったのかもしれない。
近くに置いてあった燃えるゴミ箱にうんこパンツとお気に入りだったジーンズ、すなわち旅の恥をかき捨てる。今思えばファスナーやボタンを分けて出さなければならなかったかもしれない。
とても申し訳ない。あのときの俺は、そこに気をやれないほどに傷ついていたんだ。
喫煙所があったからタバコをふかそうと100円ライターを取り出したが、オイルも切れかかっていたため全然火がつかない。やっとついたと思えば、潮風に吹き消され、その繰り返しだ。
カチカチカチカチ何度も音をたてていると、情けなさが苛立ちを経て怒りに変わってきた。
どうしてこんな目に遭わなきゃならないんだ。
俺がいったい何をしたんだ。
もうこの土地に来ることはよそう。
きっと俺はここに来るたび「俺はここでうんこを漏らしたんだ」と悲哀に暮れる羽目になる。
あんなに楽しかったのに、たった一度の過ちのせいで辛い思い出しか残らない。
こっちも観光客なのに道を聞いてきて互いにカタコト英語で交流を試みながら一緒に地図を回し見たアジア人家族も、
オススメの地元グルメを聞いたら俺そっちのけで論争を始めた居酒屋の店主と常連のおっさんも、
予約の日付を間違えてホテルが取れず夜を明かしたバーでの酒の味も、
カチカチカチカチ。
「ありますよ」
60から70くらいの人の良さそうな爺さんが、俺を見かねたのかにこやかに話しかけてきた。
「風、強いですからねぇ」
「ええ、本当に」
会話はそれだけで、あとはふたりとも無言でタバコを吸っていた。人の優しさに触れて少しだけ落ち着くと、自分の思い違いに気付かされた。
被害者は脱糞した自分ではなく、勝手に脱糞されてその汚物を公共のゴミ箱に捨てられたこの土地ではないか。
——俺、ここでさっき、うんこを漏らしたんです。
結局言い出せないまま、彼はタバコを消して、近くで遊んでいた孫らしき子どもと手を繋いで行ってしまった。
言わなくてよかった。あの人の一日まで汚してしまうところだった。自分は余計なことまで口走ってしまいがちだ。
そういえば、彼女ともそれが原因だった。平成も終わったのだ、もう少し上手に生きよう。上の口だろうと下の口だろうと、滑らせて取り返しのつかない過ちを犯すのは、もうゴメンだ。
また来よう。
今度も、ビニール袋だけは忘れない。
この先、就職希望者からこう聞かれた時に、10連休じゃなかった会社の人ってどう答えるんだろう
私は自身がオタクであると自認しているが、ツイッター等で語彙力低下した奇声を上げるオタク諸氏と比べると執着・感情が薄い方だと思っている。もちろん推しキャラはいる(いた)が、そこまで熱心にコンテンツを追いかけた試しがないし、数か月で冷めて離れてしまう。
リアルの人間関係も特定の人とべったり仲良いということはあまりない方だ。
だが、そんな私がこっそり十余年におよび執着している対象がいる。相当気持ち悪い怪文書ポエムになる気がするので、ここでネットの海に放流しておく。
それはまあ、要するに昔好きだった人(実在)のことなのだが。理由を後付けで推察するなら、私がクラスでいじめられてて誰も口を聞いてくれなかった時に、最初に普通に接してくれたのがその人だったからだと思う。
うんうん、イイハナシダナー。
でもそれだけである。この同級生Tとはその後ほとんど接点がなかった。当時人間関係にびくつきながら生活していたスクールカースト下層地味真面目オタク族の私は、今でいう所のウェイであるTに自ら話しかけることすらなく卒業した。
イイデスネー。
青春の甘さ控えめの思い出デスネー。もちろん私も卒業したら忘れるだろくらいのつもりでいた。ところがそれ以来10年以上、私誰かに恋愛感情を抱いたことがない。
そして私の脳内のとある機密性の高いフォルダは新しいデータで上書きされることなく放置されてしまった。
だが、それでも、たまに、
動悸すらするようなキラキラした感情を抱きたい気分の時がある。
世間に蔓延する恋愛を歌った歌詞やポエムの意味を理解したい時がある。
到底口に出せないこっぱずかしい妄想と共に眠りたい時がある。
そこはハッピーなオタクのパワーの面目躍如というやつで、推しがいる時は推しでいい。何せ私は割と夢女寄りだし。しかし冒頭の通り、私は感情の薄いオタクなので、心躍る推しがいない時期が結構多い。
そんな時には私はTの残像を引っ張りだしてきた。当然、卒業してから会ったこともないし、今どこで何をしてるかも知らない。当時の人物像と感情を、私は大事にしまい込み、引っ張り出し、焼き増しし、繰り返しコピーしては眺めてきた。最早擦り切れて原型を留めていないその人物像を、流石に私もリアルの人物とは捉えられない。人は変わるのだから「このT」はもうどこにも存在しない。どちらかというと偶像とか概念に近い。
いつの間にか、この残像への執着はどちらかというと二次元の推しに対するそれに近くなっていた。
自分は関わりを持てないし(ほんとは持ちたいけど)持たなくていいけど、
そういう存在になってた。
自分でも意味不明だし超キモイと思うけれど、「推し」って言葉が一番近い。語彙力の足りないオタクなので他に表現しようがない。でも聞いてください!!!三次元に!!推しがいるってハッピーなんですよ!!!何せ推しが生きている限りオワコンにならない!!!どんな覇権アニメでも最後は過去の物になるけど、今日も推しはどこかで寝て起きて(たぶん)仕事してごはん食べてるんですよ。え?お前何も知らないだろって?うるさいな!!あくまで私の手元に届いてないだけで毎日新規コンテンツが生産されてるんだよ!すごい!!
………。
そんな心持ちでいる。
Tには日本の(きょうび海外かも)どこかで元気にやって欲しい…。
しかし、時代の変化はすごい。私の妄想エアコンテンツではなく、正真正銘本物の新規コンテンツを突如投下してくる。いつだって現実は空想を凌駕するのだ。
そう、フェイスブック(FB)である。陰キャオタクの私はFBが流行りだした当初、当然のように忌避して近寄らなかった。しかしある時気づいた。この恐ろしいツールを使えば疎遠になってしまった同級生とかTとかTとかの最近の情報が分かるのでは???いやあまりに恐ろしい。まさしくパンドラの箱である。
私はTがいかにクソなウェイ野郎になっていても全然かまわないつもりでいた。何せかつてTHE・クソガキという感じのうるさくて下品でおふざけの酷い子供だった彼である。ちょっと(反社会的な意味での)素行の悪い噂すら耳にしていた。オールオッケーである。
よし、好奇心には逆らえない。
…探した。
…見つけた。
かくして、そのアカウントのプロフ写真に写っていたのはウェイ感の欠片もない黒髪眼鏡地味男だった。
あまりに記憶と似てないので他人のアカウントかと思って五度見した。ほとんど公開情報はなかったが、共通の友達欄といくつかの項目的に本人に間違いない。全然違う、違いすぎる。首をかしげながらスマホを回転させ、十n年前の写真とも比較した。私が人の顔をあまり識別できないタイプなのもあるが、わからない。混乱を招いている眼鏡部分を手で隠したりして十度見くらいした結果、やっぱり本人と認めざるを得なかった。
……。
現実による予想鋭角斜め上の襲撃を私は受け入れられなかった。
だってそうだよ。かつてクラスの皆が避けてた奴と平気でヘラヘラ話すようなパワフルなウェイだったから私は救われたのです、好きだったのです。断じて私の推しは、こんな工学部キャンパスで周囲の9割を占めていたような第一印象オタクマンではない。強いて言えばキ・モ・オタクではなく清潔感のあるオタクといった感じなのは救いだが、そういうことではない。人は見た目で判断すべきでないし、スーツの写真だったので地味に見えただけかもしれないがやっぱりそういうことではない。私は数日睡眠妨害を受けた。
しかしこれが現実である。10年も経てば人は別人というのは常々思っていたはずなのに、どこか都合良く除外対象に入れて現実逃避していただけだ。
(友達申請についても検討したが、もうブームがひと段落して放置されているアカウントが目立つ時期だったし、Tは当時の同級生とあまり繋がっている形跡がなかったのでやめた。申請して「誰だよコイツ(申請拒否ポチー」とかされたら一生立ち直れる気がしない。)
私はそのプロフ画像を直視できるようにならないままFBをそっ閉じした。
そしてちょっとだけ上書きした推しの概念をまた脳内にしまい込んた。
脳内と現実の乖離が激しくなってしまったが、とりあえず推しが元気にしてるならそれでいい。だが、現実は予想だにしない方向からパンチを入れてくる。
私にはKという昔からの友人がいて、Kは同級生だった当時Tと仲が良かった。今でこそ私はKとかなり親しくしているが当時はそこまでてなく、Kを接点にしてTと関わることはなかった。そしてKは根っからの厄介オタクなので、Tやその周囲のウェイ達と親しくしているのが当時不思議だったものだ。クラスの友達関係なんて進級や卒業で薄れてしまうことはあるし、Kが当時の同級生について言及したことはほぼなかったため、とっくに関わりないものと疑わなかった。
しかし最近、KがポロッとTについてしかも明らかに最近のTについて言及したのだ。私は飲みの席で一気に目が覚めて飛び上がった。
そして「何か近況聞いてるなら教えてよ~」と言ったのだけれど、「そういうのを口が緩いって言うんだよ」とぐうの音も出ない正論でスルーされてしまった。Kはこういう奴なのだ。ぐう。
しかしここで布団にくるまれてぐるぐるする思考の中、あることに気付いた。Kの友人ということは友達の友達である。ノード2つ先である。二親等の祖父母の忌引きですら3日休める。めちゃくちゃ近い。存在がリアルすぎる。「友達の兄が聞いてきた話」みたいなのとは格が違う。
私は青ざめた。Tは実在人物でこそあれ、もう接点のない準架空存在であると思えばこそ推しとかなんとか言って気持ち悪い感情を向けていたのである。このキモさはリアルな人間に向けていいものではない。
アカン。
大体向こうの立場になってみろ。そんな奴いたかぁ程度の同級生から半永久的に執着されてるなんて意味不明すぎて、寒気で震え上がるわ。自分だったらお祓いに行く、うん。
……。
でも多分、この脳内のこじれて肥大化したフォルダを今更捨てるとかは無理だ。絶対何かの拍子に思い出してしまう。執着というのは中毒性の高いドラッグのようなもので、これまでの執着が重りになって足を引っ張る。天井まで2/3くらいになった時のガチャくらい恐ろしい。
以上、自分が何を思って何に執着しているのか最近よく分からなくなってしまった。
ところで米津玄師のLemonって歌あるじゃないですか、もっといい歌たくさんあると思うけどテレビだと妙に推してるやつ。この前初めてちゃんと聞いてみたら、超いい歌で感動した。サビの「今でもあなたは私の光」っていい言葉だなぁ。うん、そういうことだよ。
もし、もしも、どこかでまた会うことがあったら、変にならない範囲で、お礼を言いたい。
「覚えてないだろうけど、知らないだろうけど、助けてくれてありがとう」と。
でもこれも、ただの一連の空想でしかない。そんな機会は万に一つくらいしかないでしょう。
そして私は、未だに直視できないFBのプロフ画像を風景写真とかに変えられてしまう前に保存しておくべきか悩んで、スマホをそっ閉じして現実に帰ります。
そしたら16000円とられた。ノルレボ1錠で。
避妊失敗から72時間の有効期間のうち、結構ぎりぎりのタイミングだったけど、
仕事もあるしそんなにいつでもすぐに婦人科に行けるわけではないので、72時間以内に飲めればいいと思って行った。
(あと東京の都心の婦人科クリニックは初診だと要予約の場合が圧倒的に多くて、電話口で絶対緊急すぐに、と強い心で言い張れないとすぐには診察受けれない)
「タイミング的に妊娠する可能性は低いと思うのですが、この日に性交渉があって、これこれこういうわけで、念の為にアフターピルをください」
医「あー、そのタイミングだと何とも言えないねーー(ため息)」
「はい、そうですよね。。(だからアフターピルをくれって言ってるんだけどな…)」
医「まーー、わかんないねーー。いつなしでしたの」
「いや、してなかったわけじゃないんですけど…」
医「いつ失敗したの」
医「あー、わっかんないねーーー。どうだろうねーー」
「(沈黙、そんなの誰にも分かんないに決まってるじゃん…)」
医「で、どうするの??」
医「あー、飲みたいのね。じゃぁ出しとくね。この後すぐ飲んでください。」
〜診察完〜
その後に窓口で16,000円強請求された。ノルレボ錠一個で。ぶったまげた。
保険効かないとは分かっていたけど、16000円だ。
錠剤一個だけの薬で。美容整形や脱毛じゃない、身を守るのに使う緊急避妊薬で。
どういうこと??
高校生とか大学生なんて、すぐには払えないお金じゃん……不幸じゃん…
おまけに、あのただの嫌がらせのような問診。
腹が立って、医院を出て即パートナーに「16000円とられた」と連絡した。
別にパートナーに腹を立てた訳じゃないんだけど、等しく負担してもらわないと気がおさまらない。幸い相手はすぐ、ごめんと言って払ってくれた。
米Amazonで調べたら、向こうでは緊急避妊薬は3000円くらいでネットで買えた。
日本でこんなに高いのは、不用心な性行為をした女どもへの懲罰的意味合いがあるのだろうか。
若い子だったら、高校生の女の子とかだったらどうするんだろう……
まず親に見つからずに婦人科に行くこと自体ハードルかなり高いし、16000円なんてすぐありっこないじゃん?
理不尽すぎて3日間ぐらい腹を立ててた。
若い女の子だけが負担が大きくて不幸になる価格設定や処方方法はおかしい。絶対おかしい。
同じ保険外のピル1シート27錠が4000円そこらで、同じようなホルモン剤のノルレボが、なぜ16000円もするのか?
……というのは3ヶ月くらい前の話なんだけど、10連休で、この連休で避妊失敗したりレイプとか不本意な中出しされた人は
婦人科は軒並み閉まってるし詰んでるだろうなー…とふと思い出して、書いた。