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2013-11-07

園遊会の場での手紙の件についてのご説明とお詫び

先日の園遊会の場で、わたくしが天皇陛下手紙をお渡しをした件に関しまして、今一度皆さまにご説明をさせていただきたく存じます

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まずは、この場をお借りいたしまして、関係者の皆さま方に大変なご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます

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参議院議員である私が、このような行動を取ったということによって、議会制民主主義観点象徴天皇制観点などから、大変に重大な影響が各所に及んでいるということは、まさしく、皆さまがマスコミ報道を通じてご覧になられているとおりであります私自身、あの場で、あの行動に及んだ際に、そうした意味を事前に十分理解をしていたかというと、大変申し訳ないのですが、答えは否であり、その点におきまして、私の認識不足・勉強不足であり、軽率であったことを率直に認めたいと思います有権者の方々、選挙を通じて私をご支持いただいた支援者の方々にお詫び申し上げたい。また、天皇陛下に対してこのような言い方をするのが適切なのかどうかもわからないのですが、天皇陛下にご迷惑をおかけしていること、これを心からお詫び申し上げたいと思います

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私が、あの行動、天皇陛下に対して自筆の手紙をお渡しするという行動に至った背景といいますか、心境に関してご説明をさせてください。

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2011年3月11日震災のあの日を境に日本は大きく変わりました。津波により多くのの方々が命を失い、また、いまでもなお行方不明の方が多くいらっしゃいます。そのような方が約2万名もいらっしゃいます。そして、福島第一原子力発電所事故により、住み慣れた故郷の地を追われた方が多くいらっしゃいます放射能の影響で健康生活を失った方、健康被害におびえる方々が数多くいらっしゃいます

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震災から2年と半年がたち、日本は確かな復興の道を歩み始めたように世間では言われております東京オリンピックを開催することが決まりました。東北で起きたことは過去のことで、われわれは、すでに未来に向かっている、そのように感じられますしかし、はたしてそれは正しいのでしょうか。私たちがこのようにしている今この瞬間にも、震災により苦しみ続けている方が日本に何万人もいるという事実収束の見込みのない原子炉暴走に対してわが身を賭して立ち向かう方々が何千人もいるという事実、そうした事実に対して私は言いようのない焦燥感を感じるのです。私たちは向き合うべき事実から目をそらしているだけでないか未来に目を向ける前に、現実悲惨でやるせない現実、重苦しい現実に目を向けるべきではないか、そのように私は考えるのです。

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政治家とは、国民に対してビジョンを示さねばなりません。参議院議員である私はどうすべきか。オリンピック開催をはじめとする、華々しい未来経済発展科学技術により生活の向上が日本の進むべき道なのか。経済発展を推し進め、国民経済的にさらに豊かになるという姿が日本の目指すべき道なのか。3月11日以降に我々が感じた迷いを忘れ、成長への道を再び、がむしゃらに歩むのが正しいのか。私には、どうしてもそのようには感じられません。

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私は考えます。今は一歩踏みとどまり、考えるべき時であると。思わず目を背けたくなる事実と向き合う。つらい境遇、本当につらい境遇に今ある人々たちに寄り添うこと。そして、我々の今までを振り返り、反省すべきことは反省し、改めるべきことは改める。成長のスピードは落ちるかもしれません。しかし、それが我々にとって真の豊かさと平和を与えてくれるのではないか日本を取り囲む世界の人々と本当の意味で理解しあい、そして共に歩む未来になるのではないか、このように思うのです。

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園遊会の前は私は一睡もしておりませんでした。園遊会というものに関して最初に知りました、その時から、何か私には、インスピレーションといいますか、私の思いを天皇陛下にお伝えすべきだ、とその一念に取りつかれておりました。そして、園遊会の3日ほど前からでしょうか。私は最初はおぼえがきのようなつもりで自らの考えを書き始め、書いては、やはりそのようなことは大それたことと思い、それを破り捨て、しかし思い直しては、やはり書き直し、ということを私は何度繰り返したかわかりません。そして、もう最後は、赤坂御苑に向かう車の出発するその時間まで、机の上の自筆の紙と向き合い、悩み続け、それをどうすべきか迷いながら、そして、最後は私の中の情念といいますか、そのようなもの自分の迷いを押し切る形で天皇陛下にお渡しをした、それがあの手紙でございます

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私の起こした行動により、大変な影響が生じておりますこと、冒頭に申し上げました通り、大変申し訳なく思っておりますしかしながら、あえてこの場で申し上げたい。震災によって生じている現実から目を背けるべきではありません。そのことに関しましては、私は、今現在も信念は変わりませんし、国民の皆さまに同じことをこれからも訴え続けていきたいと思います。このような言い方をすると、関係各所の方からお叱りを受けると思いますが、私が仮に、またあの園遊会の同じ場におりましたら、同じことを行います。迷いながら、そして、不器用ではありますが、お伝えすべきこと・訴えるべきことには、声を上げ続ける。大変申し訳ありませんが、それが私のスタイルです。今後ともなにとぞ、ご支持ならびにご鞭撻を賜りますよう心よりお願いを申し上げます

2013-05-18

惡の華についての戯言

 アニメ原作絵と違って気持ち悪いと評判の惡の華1話を見て興味を持ち、ネットであらすじを探って、原作本を全巻購入し、幾度と無く読み返してもまだ飽き足らない。子どもじみた中学生らしい登場人物が、思春期特有の心理状況を抱えながら、自己を萌芽させ、徐々に顔つきも大人びてくる。当初はギャグテイストの悩みや災難も、次第に力を帯び、心をえぐり、魂をすりつぶすほどの痛みになる。登場人物は傷つきながらも正気を失わず自分の心が発するの声にしっかりと耳を傾け、美しくも悲しい物語を紡いでいく。マンガアニメの主要な購買層が求めている作品ではない。思春期で思い悩む少年少女とってのバイブル恋愛社会との関わりの中でひどく傷を負い、いまも人知れぬ痛みを抱える人々にとっては、癒し物語となるだろう。

高校生編はまだ途上なので評価は避けたい。蛇足にならないよう願いたい。常盤さんと付き合うことになったが、仲村さんが登場するならば春日には破滅しかない。常盤さんという人物が、高校生となりある程度社会性を身につけた仲村さんとしての役割を担うならば、仲村さんは永遠に登場してこないだろう。

 中学生編は、3巻の峠を境に前半と後半に分かれる。前半は主人公が、あこがれの娘の体操着という、無意識の海に落とし込んだ財宝とも言うべきものを盗むことから始まる。思春期は幼い子供だった時代と別れ、自我覚醒する時期。親や学校、友人らと同一の存在であり、他とは異なる自分というものがなかった幼い自分に別れを告げる時期。未知の財宝を奪うという行為は、通常の意識よりも深いレベル無意識から発せられる。さらに、住み慣れた世界から自己を引きはがす未知のモンスターが登場。深淵からの使者、仲村佐和秘密を握られ、否応なしに「自己覚醒」へと突き動かされる。すべての出来事は現実と同じく、良い結果と悪い結果の両方をもたらす。そして自己表現とは属する社会道徳とは相反するものになる。すべての結末は死、解体別離。カミソリの刃先のような危険で細い一本道を命がけで渡る春日の姿は、一種の英雄譚のようだ。

自己表現すなわち仲村の呼ぶ「変態」が本作のテーマか。分かりもしないボードレールをこれみよがしに見せつけて俺は他の奴らとは違うんだと悦に入る気持ち悪いネクラうじうじ男、春日。彼が未知から召喚に応じ、キリスト受難のような試練を受ける。思わずあこがれの佐伯体操着を盗み、思わず嫌われ者仲村をかばい、思わず佐伯デートに誘って思わず告白する。仲村に本当の自分を黒板に書けと言われ、一度は断るものの、仲村が溜め込んできた周りの世界への鬱憤を知り、さよならを告げる仲村を思わず引き止める。自身のカミングアウトだけでなく、芸術作品のように自分存在の全て教室にぶちまけて仲村の言う「クソムシの海」を創り上げる。完全なる自己覚醒は住み慣れた世界との別れ。仲村とともに「向こう側」を目指すも、愛すべき社会体現した佐伯が立ちはだかる。唾棄すべきもの社会から忌み嫌われるものだったはずの「ありのまま自分」が佐伯から受け入れられ涙を流す。だが、一人で「向こう側」に向かおうとする仲村を思わず引き止める。引き止めたことに驚いたのは春日自身。言葉が出てこない。行くか戻るか2人から選択を迫られ引き裂かれる春日普通に佐伯と「付き合う」ことができず、仲村の求める「変態」にもなれない、自分空っぽであまりにも無力な存在であることを思い知らされる。

後半も「変態行為自己表現だが、その行為には一切の欲望や情念は込められていない。愛の表現のものだ。愛は自己表現であり、社会価値観とは反するもの。峠の心理状態のまま時間が止まり、仲村にも佐伯にも歩み寄れない春日。3者は峠の出来事で自分存在をズタズタに引き裂かれている。社会性の権化だった佐伯親友木下に付き添われることで辛うじて社会生活を送り続ける。春日と仲村は以前にもまして社会とは関係を持てない。木下佐伯春日関係修復を試みる。互いに相手から好きだと言われたいとの思いはあるものの、これ以上傷つきたくないというのが本音だ。もう引き裂かれる痛みに耐えられない。双方とも無表情を装い、相手を拒絶する言葉を放つ。佐伯と別れ、残るは干からびて死んでいくだけの日々。夢のなかで、それまで気づいていなかった仲村へのいとおしさに気づく。仲村への気持ち以外の他の全ては意味のない空虚存在自分の「向こう側」は仲村の中にある。仲村を笑わせるためならば、社会自分自身さえも捨ててしまおう。愛の巣そのもの秘密基地を作り、佐伯を除くクラス女子全員のパンツを盗む。変態行為は仲村への愛のメッセージであるとともに、佐伯には決別のメッセージ佐伯への決別の決意を知った仲村はようやく春日の思いを受け入れ、世界で2人にしかからない特別な関係、すなわち「契約」を結ぶ。

 一方、決別のメッセージを受け取った佐伯は、自分の抑えこんできた欲望、自分のものの萌芽を迎える。社会性の象徴である木下を伴いながら、春日と仲村が創りだす2人だけの世界を探求する。それは木下にとってはただ変態犯罪者の異様な空間。だが、佐伯にとって、自分には絶対にたどり着けなかった世界嫉妬と羨望と欲望の対象、世界の求める姿を演じることなく自分の好きなことを自分の思いで自ら創造する世界彼女の求めたすべてがあった。悪行を社会に知らしめることは、春日と仲村の2人だけの絆をさらに深いものにしてしまうだけ。木下と決別し、麦わら帽子と共に自らの演じてきた仮面を脱ぎ捨てる。春日が仲村のために創り上げた世界を燃やし尽くし、春日セックスで取り込むことで仲村から奪い、自分のものにするという欲望をさらけだすも、春日に拒絶され、仲村との対決にも敗北する。

 仲村は勝利したものの深い傷を負う。後半の仲村は未知のモンスターではない。攻撃的な性質は持ち続けているものの、春日を受け入れるまでは、いばらに閉ざされた眠りの森の美女。春日を受け入れてからは愛の対象者として存在する。変態行為を求めることはない。ただ自分を喜ばせるためだけに、他のすべてを捨てて一生懸命になってくれる男の子春日存在を嬉しく思う一人の女の子だ。2人の間に割り込んできた佐伯存在により、自分春日関係は誰からも祝福されないもの自分存在は周りを不幸にするだけのものだと思い知らされる。行き着く先は死か破滅しかない。だけど私は死にたくない。

 春日の隠し事が徐々に露見し外出禁止となる。春日を閉じ込める家は地母神の胎内そのもの放火懺悔を決意した佐伯春日の元を訪れ、2人で罪を告白し元の世界で生きる道を提示する。佐伯に心を引かれそうになるが、仲村を信じ想い続け、佐伯を拒絶する春日。行き着く先は破滅のみだと分かりつつも。佐伯自白とともに、佐伯の分身とも言える木下の手で、すべての出来事が世界に露見される。誰一人幸せにできなかった。何一つできなかった春日。閉じ込められた檻を力づくで破壊し、閉塞した社会の胎内から春日を引きずり出したのは仲村だった。社会から拒絶されるならば、社会のものを拒絶し、春日を殺し、自ら死ぬ覚悟をしていた。仲村にとって、自分の知らない自分を引き出してくれたのはいつでも春日自己表現の爆発だった。春日がかぶっている皮を一枚一枚はがす度に、仲村は自分自身を発見していた。運命夏祭り明日。すべてが終わるのは明日。もう時間がない。向こう側を、自分自身を見つけなければ。全裸にし、皮膚をめくっても出てこない。バット脳みそを叩き割れば出てくるのか。殺す気だった。だが、できなかった。私は春日くんを失いたくない。刺のある言葉を周囲に発して、無関心無表情を装って、硬い殻で閉じ込めて、ずっと守ってきた本当の自分、見たくなかった裸の自分自身。弱々しくて、壊れそうで、大嫌いな自分世界クソムシじゃない。私がクソムシ。私がいるから、こんなにも世界は生きづらくて苦しい。決して消えることのない自分ありのままの姿をさらけ出した仲村を春日は魂の咆哮とともに抱きしめる。2人は心中することで、周りの世界のすべてを拒絶し、魂の永遠なる結合を図る。夏祭り、2人は世界に向けてありのまま自己、この世に生きた自分という存在のものを叫ぶ。仲村は春日を愛していた。そして愛する春日が、両親や佐伯社会から愛されるべき存在であることも知っていた。世界から拒絶され、孤独深淵で苦しむのは私一人でいい。あなたは生きて。春日を突き飛ばし、一人で死へと突き進む。だが、その仲村自身も世界から愛されるべき存在。死から拒絶され、2人、いや佐伯を含む3人は、桐生市という地母神の胎内から外の世界へ排出される。そこで中学生編は終わり。

主人公春日くんの心理描写はあるものの、仲村や佐伯についてはどのような心理状態でいるのかあまり描写がない。だが、2人とも自分しかからない悩みを抱え、自分の信念に基づいて行動している。物語の都合や作者の都合で動かされる人物ではなく、自らの意志で動く生きた人間だ。春日自分の心の奥底に秘めた何かを求めてしまった2人の少女が作者の意図範疇を超えて動きまわる。自らの意思で動く登場人物が自然と創り上げてしまった物語惡の華中学生編ではないか。仲村が、佐伯がどんな気持ちを抱えてその場にいたのか、想像を膨らませながら読むと深い、深すぎる物語。まるで恋人の心を探るような、自分を拒絶した異性の心を探るような、そんな作業にも感じられる。

面白いおもしろすぎる物語エンターテイメントではない。現実の人々は、自分自身との関わり、愛すべき存在との関わり、社会との関わりの中で、必ず傷つき、苦しむ。この物語は生きる糧となる物語。魂に必要食べ物。癒えることのない痛みを和らげる物語。閉じ込めて見ないようにしていた心の古傷を思い出させ、生きる歓びに涙を流させる物語世界は悪意と欲望で満たされている。常に腐敗し悪臭を放ち続けている。自分自身も、かつては不滅の存在に思えていた社会のものも、実は有限で不完全な存在に過ぎない。すべての欲望、情念、怒り、迷妄を捨て去った後、哀れみの心が生まれる。法隆寺、玉虫厨子の捨身飼虎の図で描かれるように、愛する人のため、社会のため、神に捧げる供物のように我が身を捧げることで、初めて完全無欠、永遠存在を感じることができる。世界の中心はここにある。永遠は今この瞬間にある。神は常にあなたとともにある。

2013-05-11

http://anond.hatelabo.jp/20130510231029

哲学やってる奴に囲まれた時期があったけど、あいつら哲学やって生きるのが楽になってなんかないよ。哲学やることで問題の深淵(っぽいもの)にはまってもがいている自分が大好きで、その正当化のために

1,まず生きることは苦しく

2,ゆえに哲学必要

とのたまう。なので、もがいている状況から抜け出すと自我崩壊の危機なので哲学を使って真剣に抜けだそうとはしない。せいぜい現状観察とその分析をやるくらいで、どう応用すれば自分現実を変えられるか、ということは考えることすら思いつかない。生きることが苦しいのはお前らがわざとそうしとるだけだと言いたい。本来の哲学歴史上の哲学者はそんな陳腐人生や思想で哲学名乗ってないのは間違いないんだけど、哲学やってる若いのの大半はナルシストマッチポンプ

追記

http://anond.hatelabo.jp/20130511063805 を見ればわかるけど、頭悪いでしょ? 誰かがあずまんを評して「ユンボを操るのがすごい上手というのと同じ意味において、論理思考に長けているだけで、現実には何らの価値ももたらさない」とか言ってたけど、こういう「自称哲学者」にぴったり当てはまる表現だよ。自己正当化のために論理を組み立てるのがすごい上手(宗教情念に訴えかけて俺を否定しようとするこいつにはその能力すらないが。「知恵を愛する」笑)。現実を見ずにただ議論で優位に立つことで自己正当化を図る連中を「無知の知」で批判し続けたソクラテスが草葉の陰でないてらあ。

2013-04-01

三十路オカマ中年の危機

はじめに。ちょっと今辛いので吐き出し。

野郎同士のおはなしです。

付き合って8年、同棲して7年になる相手がいる。家賃、その他光熱費は折半。

それなりに長く続けば、それなりにツーカーにもなり、それなりに飽きもでてきて

そしてやる事やらない、枯れた関係になる。

みんながみんなそうじゃないと思うけど、ウチはそうなった。

毎日仕事行って帰って、海外ドラマDVDをだらだらと二人で観て、寝るの繰り返し。

そして夜も一緒の布団で寝るは寝るけどそんだけ。

ミスチルの歌にあった

「つじつま合わせるように、抱き合って眠る

自分としてはまさにそんな感じだった。

かと言って別れたいか

というとそうでもない。刺激はないし、つまらない、恋人から家族としての

情みたいなものに変わりつつあって、きっとこのまま続くんだな、という安心感と、

そして永遠にこのままなのかも、というある種の恐怖を感じた。

この辺、普通カップルみたいに、結婚とか子育てとかマイホームとか

親戚とかのしがらみとか、そういうのが降りかかってきて

二人で対処していく!てのがあればまた違うのかもしれないけど。

そしてセックスレスになれば、同然、外で発散してくる。

相方はどうしてるかわからない。自分が外で遊んでる手前、相方が同じことしてても

咎める権利はないし、咎める気もないが、確実に相方自分が外で発散しているのは気づいていたと思う。

そんな時、某所で知り合ってちょくちょく会うようになった奴がいた。Aとしよう。

Aは同じ30代。身体の相性が良くて、何度やっても何時間やっても全然飽きなかった。

というか今でも身体の相性は過去最高だと思う。

Aは素朴な顔立ちだけどキリっとしていて精悍さがあった。

そしてAのモノはすごくデカくて太っとい。

恐らく今まで見た中で形も色合いも質感も完璧だった。

見てるだけで惚れ惚れした。

はいわゆる水泳体型というやつで

肩幅はがっつりあるのに腰はきゅっと細くて、

ぶら下がってるモノが一段きわどく目立っていた。

自分の手首ぐらいはあるソレを握って、じっくり愛撫して

ゆっくり確実に体の中に入ってくる感覚

根元まで入りきった時の充実感、

そして繋がったまま、Aの細い腰を

太腿でしめつけながらずーっとキスをしてると、

ほんとに幸せだと感じた。この為に生まれてきたとさえ思った。

正直慣れるまで相当痛かったが、

そんなの関係ねぇと思えるぐらい脳が痺れまくった。

体で惚れてるのか、人格を好きになったからなのか、

多分最初はマジイキを恋と勘違いしたんだと思う。

それだけならそれで、まだお互い「遊び」の範疇だった。

でも次第にAも俺の事が好きだ、ずっと一緒に居たい、早く相方と別れてよ

と言い出すようになった。始めは相手にしなかった。

誰にでも言っているリップサービスだろうと思った。

実際、自分よりAは多弁なので掛けてくる甘い言葉

額面通り受け取っても肩透かしをくらうだけだと思ったし。

でもその内、Aの事が好きで好きでたまらなくなった。

知り合った場所場所だし、お互いヤリちぎってたので、

絶対心が動く事はないと思っていたのに、

毎日でも会いたい、でも会えない、それでも会いたいけどあなたはいない。

最近の安っすい邦楽みたいな会いたい地獄に堕ち、

同棲しているので泊まりはできず、かといってAから

朝まで一緒にいたい、もっと一緒にいたいと言われ

そのストレート物言いが心の隙間にジャストミート

気づいたら相方に「別れたい」と口走っていた。

まさに「寝耳に水」だっただろう。

仕事後に呼び出しだ居酒屋

別れ話をされた相方は驚きつつも淡々としていた。

「他に好きな人ができたの?」

とっさに

「違う、ただ今の生活が窮屈になった」

と誤魔化した。

この時の誤魔化した事こそが、事実だったと今は思う。

そして、

「いつか自分から切り出すかもと思っていたけど、先に言われるとは思ってなかった」

と言って、その日は相方は元々地元民だったのもあって実家に帰った。

一人で部屋にいると、

ほんとにこれでよかったのか?

Aの事は好きだけど結局今の勢いだけで

すぐに駄目になるんじゃないか

好き好き言ってきていても、他にも男の影があるAに

若干の不信と嫉妬もあった。

相方だって始めはラブラブだった。

Aとだって結局マンネリになるかもしれない。

わざわざ同じ道を別の人と歩く意味はあるのか?

二人用に揃えてた食器や家具を眺めて

相方との思い出ががんがん頭をよぎって責めて、

その日は眠れずにずっと同じ考えがぐるぐる頭を回るだけで終わった。

結局、後日話し合って、家庭内別居になった。

30越えると1発完全別居はお互いにしんどいし…という話で。

別々の布団で寝て、相方はちょくちょく実家に帰るようになっていった。

そしてAとはますます深くなっていった。

毎日メールして会うたびに何回もHをして愛をささやき合った。

脳内麻薬ダダ漏れだったと思う。

Aは

「その内自分のとこに来てくれるまでずっと待ってる、俺ちゃんの事以外はもう考えられないよ」

自分が転勤になってもずっとついてくればいいじゃん」

自分んとこに永久就職しちゃえ」

そう言って俺に抱きつきながらさくっと寝落ちしていた。

今思うと口だけ感ありありだけど、

その時はラリっていたのもあって心を鷲づかみにされた。

Aの寝顔を撫でながら、永遠に続けばいいのに…と思った。

早くきっちり別れてAと一緒になりたい。

そう思いながらも踏ん切りがつかなかったのは、

いわゆる「オカマの勘」という奴で、

Aは俺に合鍵を渡し、俺の事は特別な部分もあるのだろうが、

いまだに他所でも遊んでる感があった。

ここ、自分の事は棚に上げまくって誉められるもんじゃないけど

本気だと言ってくるからには、その言葉に裏はないと信じたかった。

Aは転勤族だし、結局離れ離れになったり、

自分仕事をやめてまでついていった挙句

Aが他所で遊ぶようになって捨てられたらたまったもんじゃない。

結果今の生活を失うのが怖かった。

そうして打算と情とエゴで2重生活を続けた。

家に帰れば相方がいて、相方とAと、どっちにも罪悪感と後ろめたさで

薬を飲まないと眠れなくなった。

そんなある日、Aがシャワーを浴びてる間、携帯が光った。

LINEメッセ

明日は8時から○○ホテル集合で」

と出ていた。

頭が真っ白になった。

Aが寝た後、

よくない結果があるのは120%わかっていて

携帯を見た。ロックは簡単に解除できた。アタイすげぇ。

明日は8時から○○ホテル集合で」

「オッケー、楽しみ」

「まだAくんデカ○ラかな?俺の相手もよろしくね」

「もちろん、全然デカ○ラだよ☆」

こいつ、ただセクフレがいるだけじゃなく

乱パ参加してやがる……!?

ほんとになんというか、

悔しいというか悲しいというか、

アタシの事好きって言ったじゃない!とか、

そもそもちゃんと付き合ってないか

そんな事思っちゃうのも筋違いよね?

とか、

そしてゲイ嫉妬って、(てか自分だけかも知れないけど)

男の嫉妬と女の嫉妬が入り混じってほんとに醜い。

皆に取り合いになってるであろうデカブツ

色んな野郎をブッ挿して気持ちよさげにヤリまくっているのを

妬ましく思う男としての自分と、

誰にも渡したくない、独占したい、アタイの恋路を踏みにじりやがって!氏ね

というオンナの情念丸出しの自分

Aに対する怒りや失望自分自身のエゴ自己中毒でとにかく吐いて吐いて吐きまくった。

Aに言えば携帯見た事がバレる、

かといって言わずにいるのも到底無理。

そんなモヤモヤ全開でもAは相変わらず

かい子犬みたいな態度で俺に懐いてくる。

そんな状態の時ですら、Aの事を可愛いと思う自分がいた。

しばしお茶を飲み、だらだらとテレビを見て

耐え切れずに、

Aにそれとなく他の奴と遊んでいる事、

今夜妙な集まりに参加するつもりなら

やめてほしいと訴えた。

Aはもちろん知らばっくれた。もうこのばっくれを

見切れないオンナは女失格!てくらい解りやすいばっくれ方で。

そもそも俺も男なので、男の嘘の付き方は解っている。

負けるわけがない戦いなのだ

携帯を見た事を言えば、確実に落ちる、

しかしそれは自分の信頼も下げる。

このまま関係を続けるのなら、

安い嘘にのっかるのもひとつの答えではある。

ほんとに心中せめぎ合いだった。

でも、

「ずっと一緒にいようね」

「何十年たってもこうしてたいね

Aとのセリフ本心が込められている、

本心であってほしいと思っていた俺は、

Aを許せずに携帯を見た事をぶちまけた。

結果、Aはだんまりを決め込んだ。

このまま責めてもしょうがないとその日は帰った。

正式に付き合ってる訳でもないし、

口うるさく咎める資格もないか…と思った。

実は他にもAのヤリチン疑惑を裏付ける事があった。

俺とは使わないハズのゴムがなぜか買い足してあり、

その使用先を不審に思った俺が問いただした。

その時は、

「もとからあった物だよ」

最近擦れて痛いからどうしてもの時は使えるし」

と言っていた。

今思えば

「アンタバカ?」

級の言い訳だが、

別に俺とは使わないんだし、そんなもんあると他に使ってそうで嫌だから捨てて」

「だったら相方とは早く別れてよ」

「ならゴム必要いから今すぐ捨てろ」

ほんっとに糞下らないゴミの掛け合いみたいなケンカだったが、

Aと一緒にいる心地よさが捨てられずなんとか収めた。

そして乱パ疑惑の後日…

Aが家の近くまでやってきた。

Aはなにか問題があって自分が渦中に立たされると

言いたいことがあってもフリーズしてしまうようで、

メールでの長文攻撃にも的外れな答えや短文で

計算なのか天然なのか

火に油を注ぐタイプだった。

でもその日はゆっくり

A自身の考えと、俺の気持ちとを話す事ができた。

Aは自分の事は反省してる、でも俺ちゃんは結局相方とまだ住んでるし、でも俺ちゃんともっと一緒にいたい。

そして、むしゃくしゃして結局乱パは行ったけど、結局何もする気にならずに帰った。

普通ここは嘘でも行ってないゆうし、そもそも行かないよな…)

でも携帯を見られた事は許せないし、信用が回復するのにしばらくかかると思う。

一瞬?

と思ったが、こちらにも元々の立場や非があるので

携帯を見た事は心から反省し、もう二度と見ないし、見たくもない。

と謝った。

その上で今の状態で相方ときっぱり別れて、Aと…てのはない、と。

ここで本来ならお開きにするべきだったのだが、脳内麻薬は恐ろしい。

Aとの蜜月に心身ともにやられていたので

関係を続行することになった。

Aの事も好きだし、男癖悪いけど、治してくれるだろう。

俺とAとお互いに信用回復したら、

ちゃんとしようね、と。

ほんとバカ。キング・オブ・ザ・バカ。

バカに付ける薬が仮にあっても効かないレベルのバカ。

それからはしばらくはほんとに楽しかった。

旅行にいったり遠出して買い物したり、鍋をしたり、

正直もう相方とは同居してるだけなもんだった。

気の置けないルームメイトと化して数年たっていたので

「アンタアタシの化粧水勝手に使わないでよね」

「それ言うんだったらアンタもアタシの洗顔勝手に使ってるじゃん」

「また流行モン買って、結局すぐ着なくなんのに勿体無い!」

ほんとにチンコついてるのあんたら?

ハッピーマニア生活になってたし。

無論相方フクちゃんで俺がシゲである

つか男相手にオネェこいた時点でその恋は終わらせるべきですね。

兎にも角にもしばらく妙なバランスを保って続いていた。

年が明けて、しばらく経った頃

地元のカマ友達と集まることになって上京した。

カマ友が集まれば、無論話す事は男の事。

いわゆるテレビで見るオネエ系ではなく

パッと見は普通の兄ちゃんの集まりです。

無駄筋肉質ではあるが・・

そんなオカマ集団がある出会い系アプリをいじりながら、

あーでもないこーでもないとキャッキャ言い合うという

一般の方からしたらおぞましい光景の中

久々の旧友とのガールズトークを楽しんでいた。

俺も件のアプリはいれないの?

友達に聞かれたが、覗いて見るのは楽しそうだけど

色こいてる相手がもし乗ってたらショックだから

と話していた。

そんな中、帰りの新幹線

せっかく上京したんだし、試しに覗いてみたい欲にから

アプリをDLしてみた。

まぁ驚く事はなく、普通ーに色々な人が色々な事を書き連ねてアピールしていた。

そして降りるべき駅に近づいた時Aを見つけた。

友達募集・気軽にメッセどうぞ!凸」

とあり半裸で顔をトリミングした状態でポーズを決めていた。

二人で行った海で俺が撮った写真で。

明らかにどーいう友達募集かアリアリと解るやり方で。

とっさにAにそのページからメッセを送った

「こら、何してんの?」

次の日

「俺ちゃん?」

めまいがした。

次の日、お土産を渡すべく

Aと飯を食べながら詰問した。

出会い系やってるのも嫌だし、あの画像、あの文言はなんなんだ、と。

Aが言うには別にメッセが着ても返信しないし見てるだけだし

実際会ったりとかはしてないから!信じて!

ただの息抜きに見てるだけ!

との事だった。

その上で俺ちゃんはもうそのページ見ちゃ駄目!

と。

もう腰がくだけ落ちそうだった。

そして

「じゃあ俺ちゃんは元相方に俺の事紹介できるの?」

ボールを打ち返してきた。

やましい事があるからこそ痛い所をついてくる。

結局、見ちゃったもんはもう見ちゃったんだから

載せるのやめるかせめて画像とか変えて。

じゃなきゃ俺から閲覧できないようにブロックしてよと言い合うと…

ほんとにブロックしやがった。笑

今までAが遊んでるっぽい事実をつつくと、いつもAは俺の事を悪魔!といって攻めていた。

いつまでもちゃんとしてくれない。どうせ俺ちゃんは自分のこと好きじゃないんでしょ!と。

正直、自分立ち位置でAに寂しい思いとかやるせない感情を抱かせていたとは思う。

俺はAにほんとに好きというならばきちんと他を精算してほしい。

Aは俺にきちんと別れてくれないなら、やりたいようにやるもん。

俺がきちんと付き合うと声高々に周りに触れ回っても

Aは絶対に男遊びを止めない確信があった。

セックスレスになろうがアツアツだろうが

絶対こいつは他所チンコを出すと。

正直遊ぶ分には甲斐性だとも思うし

解らないようにしてくれれば全然良かった。

しかし、遊び方が派手なくせに始末が下手すぎだったのだ。

隠す気があるんだかないんだか。そこだけはいつまでも素人気分。

Aとこの先続けるんならどのみち黙認しないといけない。

結局そういうスタンスで二人とも平行線だったのに

お互い見てみぬふりをしていた。

絶対どっちかが折れるだろうと。

Aに閲覧をブロックされた時、

悪魔悪魔言われていた自分の中の悪魔が息を吹いた。

「ワレなんぼのもんじゃ!」

絶っっっっ対クロ、真っ黒の癖に

俺ばっかりせめやがって!

アンタ生意気なのよ!小娘が!

完全に自分の事を棚上げ状態だった俺は

アカウント召喚という掟破りを犯してしまう。

この時まだ甘い期待があった。

言い合った手前ブロックされたけど、

きっと画像文言差し替えてくれてるだろうな☆と。

そしてやるなら別人になりきったれと

拾い画像いかにもモテ筋なプロフをでっちあげて

Aのページを踏んだ。

画像も何もかもそんままだった…

そして、それでもう見るのをやめておけばよかったのだ。

なまじイケメン画像とウケのいいプロフログインしていたので

他の奴から足跡やらメッセやらがどんどんくる。

あー、これでAから足跡きたらちょっと凹むなぁと思いつつ

Aと普通にメールをやりとりしていた。

からは、

「そんなに心配しなくても俺ちゃんしか見てないか安心してよ!」

ラリった脳にはほんとに心地よく天にも昇るその文字列。。

ふと出会いアカウントに目をやると

から足跡をすっとばして

「ヤリたいす!」

まさに高低差キーン

今まで、こんなに脈をうった事があるか?

というぐらい心臓が爆走した。

胸は早打ちなのに手足が冷たくなっていくのを感じながら

なぜか返信していた。

「いきなり積極的ですね」

A「すっげえタイプど真ん中なんで!」

あはは、そっかー」

A「よければ会いたいす!」

「いつ頃が都合いいん?」

A「今夜とかどーすか?なーんて。土日祝休みです」

「さすがに今夜は急だなぁ」

A「俺んち、○○駅近くなんで、□□さんちか俺んちでヤロ!」

あはは、とりあえず今日のところはもう休みますね」

A「あい、わかりましたおやすみなさい!」

なに軽くヤリメッセ楽しんでんの?

!?

さっき俺しか見てないよ!

って書いてた人だよね????

「ああ、やっぱりこういう奴だったんだよ、だから言ったじゃん…」

頭の中でドヤ顔のもう一人の俺。

禍々しい嫉妬に狂った馬鹿なオンナの見本だった。

女性の方ごめんね、例えだから

Aにどう言えばいいのか、そもそも知らなくていいことをほじくったのは自分

でも俺と平行してヤリメッセを送っていた事実をなかったことには絶対に、絶対にできない。

目をつぶれば、まだしばらくAとの甘い生活を満喫していける。

かといって裏でのAをこれでもかと思い知らされた。

いくら俺の目の前のAが大好きで心地よくても

これだけ揃うともう、押さえ込むことができなかった。

世の中には心と下半身は別って男は沢山いる。

自分だってその類にはいるだろうし、それを責める気はない。

人は単純じゃない。絶対的に清いままの人なんていない。

頭では解っているつもりだった

でもやっぱり人間自分には甘い。

Aはそうじゃない、と自分自身に思い込ませていた。

自分のしてる事も揃った証拠も知らぬ存ぜぬでねじ伏せて

とっくの前にお互い遊びスタート関係だということを忘れて。

それでもAは俺がはっきりしないか

ほんとに息抜きで、最悪、魔がさしたとしてもそれぞれ1回限りだろうし!

ほんとにパンチドランカーな考えで自分を諌めAに会いにいった。

ベットでぎゅうっと抱き合った時のAだけがほんとのAだとまだ信じ込ませていた。

コンビニに用があるというAを置いて先にAの部屋に帰った時、

ふと

「またゴムをどっかに隠してるんじゃないか?」

と頭によぎった。

見つけたくないのに、見つけたかった。

見つけたいが見つからないで欲しかった。

前回の隠し場所にはもちろん無い。

あー、やっぱり出会い系も見てる分なら

もういいじゃん、と思いつつ

普段触ることの無い棚に目をやると

封の空いたゴムの箱があった。

数を数える。6個

12個入りなので少なくとも

6回はなにかしらで使い、

合鍵をもたしてる

部屋に連れ込んでヤッってる。。。

なんかもう全て真っ黒真っ黒真っ黒けじゃん

なーにがいつまでも一緒だ!

自分の間抜けさ加減とAの性欲の限りなさに笑けてきた。

残りのゴムを引きちぎりながら

ゴミ箱に捨てて、チャイムが鳴ったので

トイレに隠れた。

Aが帰ってきた。

ゴミ箱には気づいてない様子。

テレビを見て笑っているAに

「またゴムみつけちゃったんだけど」

とかます

「!なんで部屋さぐるの?」

「もー、あれは前からある奴っていってるじゃん」

「前回のは俺が隠した。今回のは明らかに新しいし、別のモノだった」

「そんなわけないでしょ、気にしすぎだって

「じゃあ捨ててよ」

「なんで捨てなきゃいけないの?」

(なんか書いてて腹立ってきた上に可笑しくなってきた)

そんなやり取りを続けながら沈黙が続き…

Aは寝やがった。

なんか、もう言葉がなかった。

そりゃ、たしかに、

せめる立場じゃござんせんけど?

寝るってなにさ?

いいくるめる気もないわけ?

てか寝落ちで逃げるとかわけからん

普通なら横っ面ぶん殴って

起してでも続けるんだろうけど

なんかそこまでの労力を使う気になれず

テレビもなにもかもつけっぱなしで帰った。

次の日、メール無視してると

A「明日休みのは出かけるのなし?」

ヤリチンはいきません」

A「意味わかんない事言わないで、じゃあいかないんだよね?」

「だからヤリチンとは行かないから」

A「そっか、わかった…」

Aは頑なに認めようとはせず、スルーしまくっていた。

俺への手前なのか、認めたくないだけなのか。

Aには

「もうAはやりたいようにやればいいよ」

と送った。

A「何!?どうせ言うほど俺(A)の事好きじゃないんだ!」

「だから、好きだけど、もうAは好きにしなよ、俺よりもっと懐ふかくて

猜疑心のない器のでっかい、身も心もかっこいい奴みつけなよ」

A「何を偉そうに、結局相方と居る癖に!」

相方と居る俺へのあてつけで遊んでるとは思えないし

いてもいなくてもやるんじゃんか…

もうこれで終わりかな…

しんみりしていたら

出会いアカウントにAから

「今夜遅く、会えませんか?」

もう笑った、声を出して。

Aにはなりすました事を言うつもりもなかったが、

とにかく食らわしたかった。

攻撃力最大だけど自分も瀕死を負う諸刃の剣とはこの事である

俺「言うつもりなかったけど、嫌われる覚悟で言うね。別アカウントとれば、Aのページ見られるんだよ」

A「だからブロックしろとか言ったくせに意味わからん

俺「でさ、俺の事、悪魔悪魔ってせめてたじゃん、ほんとに悪魔かもね」

俺「別アカとって、俺がなにすると思う?」

そして出会い系アカからAに

「信じられなくてごめんね」

と送信した。

しばらくAからはなにもなく

2時間ぐらいして…

A「お互い心底失望したね、もう連絡とりあうのはやめましょう。相方さんとお元気に。」

俺「結局お前の言ってた好きだなんだってこの程度じゃんかよ!」

A「はぁ?何年間も同棲してるくせに自分の事棚に上げてよく言うわ!つーかここまでするとは思わなかった。

ほんっといい性格してるね、君。」

俺「カギは置いてきたから。」

後日、

なんだかんだいって1年あまり一緒にいたのに

こんな形で急に途切れるのは辛すぎる…と

最後に会いにいった。

まだクズの脳髄に恋愛麻薬が残ってたみたい。

そして帰り道メールした。

「なんだかんだ、俺のやり方はひどかったかも。」

「知らなくていいことわざわざ知ることなかったね、ごめん。やっぱり一緒にいると心地よかった事思い出したよ」

A「自分もそんな風に思ってた。でもあの件はとにかく驚きと恐怖で。。。。」

A「しばらく時間が欲しい。」

結局Aは遊びちぎってた事も

ヤリメッセしながら俺と同時にラブメールしてたことも

なにもかもスルーなりすまし倫理違反だけを責めてきた。

Aの中では俺がきちんとしないからという大義名分だったのか?

単純に自分の性欲処理は恋愛とは別回路で、攻められる筋合いはないから?

チンポの根っこから腐り落ちればいいのに

本気で思った。

これがこないだあったクズクズの泥仕合。

これを書く前、正直まだ未練があった、ほんとに馬鹿自殺モンの馬鹿

なんか書いてるうちにひでぇ…と思えてきた。

もちろん自分が一番最低最悪糞野郎だけど。

Aの真意は結局なんだったんだろう。

ほんとに俺とずっと付き合っていく気があったんだろうか。

しかにAの俺への気持ちは本物だったと思う。

でもあまりにも下半身が別行動すきやしないだろã

三十路オカマ中年の危機

はじめに。ちょっと今辛いので吐き出し。

野郎同士のおはなしです。

付き合って8年、同棲して7年になる相手がいる。家賃、その他光熱費は折半。

それなりに長く続けば、それなりにツーカーにもなり、それなりに飽きもでてきて

そしてやる事やらない、枯れた関係になる。

みんながみんなそうじゃないと思うけど、ウチはそうなった。

毎日仕事行って帰って、海外ドラマDVDをだらだらと二人で観て、寝るの繰り返し。

そして夜も一緒の布団で寝るは寝るけどそんだけ。

ミスチルの歌にあった

「つじつま合わせるように、抱き合って眠る

自分としてはまさにそんな感じだった。

かと言って別れたいか

というとそうでもない。刺激はないし、つまらない、恋人から家族としての

情みたいなものに変わりつつあって、きっとこのまま続くんだな、という安心感と、

そして永遠にこのままなのかも、というある種の恐怖を感じた。

この辺、普通カップルみたいに、結婚とか子育てとかマイホームとか

親戚とかのしがらみとか、そういうのが降りかかってきて

二人で対処していく!てのがあればまた違うのかもしれないけど。

そしてセックスレスになれば、同然、外で発散してくる。

相方はどうしてるかわからない。自分が外で遊んでる手前、相方が同じことしてても

咎める権利はないし、咎める気もないが、確実に相方自分が外で発散しているのは気づいていたと思う。

そんな時、某所で知り合ってちょくちょく会うようになった奴がいた。Aとしよう。

Aは同じ30代。身体の相性が良くて、何度やっても何時間やっても全然飽きなかった。

というか今でも身体の相性は過去最高だと思う。

Aは素朴な顔立ちだけどキリっとしていて精悍さがあった。

そしてAのモノはすごくデカくて太っとい。

恐らく今まで見た中で形も色合いも質感も完璧だった。

見てるだけで惚れ惚れした。

はいわゆる水泳体型というやつで

肩幅はがっつりあるのに腰はきゅっと細くて、

ぶら下がってるモノが一段きわどく目立っていた。

自分の手首ぐらいはあるソレを握って、じっくり愛撫して

ゆっくり確実に体の中に入ってくる感覚

根元まで入りきった時の充実感、

そして繋がったまま、Aの細い腰を

太腿でしめつけながらずーっとキスをしてると、

ほんとに幸せだと感じた。この為に生まれてきたとさえ思った。

正直慣れるまで相当痛かったが、

そんなの関係ねぇと思えるぐらい脳が痺れまくった。

体で惚れてるのか、人格を好きになったからなのか、

多分最初はマジイキを恋と勘違いしたんだと思う。

それだけならそれで、まだお互い「遊び」の範疇だった。

でも次第にAも俺の事が好きだ、ずっと一緒に居たい、早く相方と別れてよ

と言い出すようになった。始めは相手にしなかった。

誰にでも言っているリップサービスだろうと思った。

実際、自分よりAは多弁なので掛けてくる甘い言葉

額面通り受け取っても肩透かしをくらうだけだと思ったし。

でもその内、Aの事が好きで好きでたまらなくなった。

知り合った場所場所だし、お互いヤリちぎってたので、

絶対心が動く事はないと思っていたのに、

毎日でも会いたい、でも会えない、それでも会いたいけどあなたはいない。

最近の安っすい邦楽みたいな会いたい地獄に堕ち、

同棲しているので泊まりはできず、かといってAから

朝まで一緒にいたい、もっと一緒にいたいと言われ

そのストレート物言いが心の隙間にジャストミート

気づいたら相方に「別れたい」と口走っていた。

まさに「寝耳に水」だっただろう。

仕事後に呼び出しだ居酒屋

別れ話をされた相方は驚きつつも淡々としていた。

「他に好きな人ができたの?」

とっさに

「違う、ただ今の生活が窮屈になった」

と誤魔化した。

この時の誤魔化した事こそが、事実だったと今は思う。

そして、

「いつか自分から切り出すかもと思っていたけど、先に言われるとは思ってなかった」

と言って、その日は相方は元々地元民だったのもあって実家に帰った。

一人で部屋にいると、

ほんとにこれでよかったのか?

Aの事は好きだけど結局今の勢いだけで

すぐに駄目になるんじゃないか

好き好き言ってきていても、他にも男の影があるAに

若干の不信と嫉妬もあった。

相方だって始めはラブラブだった。

Aとだって結局マンネリになるかもしれない。

わざわざ同じ道を別の人と歩く意味はあるのか?

二人用に揃えてた食器や家具を眺めて

相方との思い出ががんがん頭をよぎって責めて、

その日は眠れずにずっと同じ考えがぐるぐる頭を回るだけで終わった。

結局、後日話し合って、家庭内別居になった。

30越えると1発完全別居はお互いにしんどいし…という話で。

別々の布団で寝て、相方はちょくちょく実家に帰るようになっていった。

そしてAとはますます深くなっていった。

毎日メールして会うたびに何回もHをして愛をささやき合った。

脳内麻薬ダダ漏れだったと思う。

Aは

「その内自分のとこに来てくれるまでずっと待ってる、俺ちゃんの事以外はもう考えられないよ」

自分が転勤になってもずっとついてくればいいじゃん」

自分んとこに永久就職しちゃえ」

そう言って俺に抱きつきながらさくっと寝落ちしていた。

今思うと口だけ感ありありだけど、

その時はラリっていたのもあって心を鷲づかみにされた。

Aの寝顔を撫でながら、永遠に続けばいいのに…と思った。

早くきっちり別れてAと一緒になりたい。

そう思いながらも踏ん切りがつかなかったのは、

いわゆる「オカマの勘」という奴で、

Aは俺に合鍵を渡し、俺の事は特別な部分もあるのだろうが、

いまだに他所でも遊んでる感があった。

ここ、自分の事は棚に上げまくって誉められるもんじゃないけど

本気だと言ってくるからには、その言葉に裏はないと信じたかった。

Aは転勤族だし、結局離れ離れになったり、

自分仕事をやめてまでついていった挙句

Aが他所で遊ぶようになって捨てられたらたまったもんじゃない。

結果今の生活を失うのが怖かった。

そうして打算と情とエゴで2重生活を続けた。

家に帰れば相方がいて、相方とAと、どっちにも罪悪感と後ろめたさで

薬を飲まないと眠れなくなった。

そんなある日、Aがシャワーを浴びてる間、携帯が光った。

LINEメッセ

明日は8時から○○ホテル集合で」

と出ていた。

頭が真っ白になった。

Aが寝た後、

よくない結果があるのは120%わかっていて

携帯を見た。ロックは簡単に解除できた。アタイすげぇ。

明日は8時から○○ホテル集合で」

「オッケー、楽しみ」

「まだAくんデカ○ラかな?俺の相手もよろしくね」

「もちろん、全然デカ○ラだよ☆」

こいつ、ただセクフレがいるだけじゃなく

乱パ参加してやがる……!?

ほんとになんというか、

悔しいというか悲しいというか、

アタシの事好きって言ったじゃない!とか、

そもそもちゃんと付き合ってないか

そんな事思っちゃうのも筋違いよね?

とか、

そしてゲイ嫉妬って、(てか自分だけかも知れないけど)

男の嫉妬と女の嫉妬が入り混じってほんとに醜い。

皆に取り合いになってるであろうデカブツ

色んな野郎をブッ挿して気持ちよさげにヤリまくっているのを

妬ましく思う男としての自分と、

誰にも渡したくない、独占したい、アタイの恋路を踏みにじりやがって!氏ね

というオンナの情念丸出しの自分

Aに対する怒りや失望自分自身のエゴ自己中毒でとにかく吐いて吐いて吐きまくった。

Aに言えば携帯見た事がバレる、

かといって言わずにいるのも到底無理。

そんなモヤモヤ全開でもAは相変わらず

かい子犬みたいな態度で俺に懐いてくる。

そんな状態の時ですら、Aの事を可愛いと思う自分がいた。

しばしお茶を飲み、だらだらとテレビを見て

耐え切れずに、

Aにそれとなく他の奴と遊んでいる事、

今夜妙な集まりに参加するつもりなら

やめてほしいと訴えた。

Aはもちろん知らばっくれた。もうこのばっくれを

見切れないオンナは女失格!てくらい解りやすいばっくれ方で。

そもそも俺も男なので、男の嘘の付き方は解っている。

負けるわけがない戦いなのだ

携帯を見た事を言えば、確実に落ちる、

しかしそれは自分の信頼も下げる。

このまま関係を続けるのなら、

安い嘘にのっかるのもひとつの答えではある。

ほんとに心中せめぎ合いだった。

でも、

「ずっと一緒にいようね」

「何十年たってもこうしてたいね

Aとのセリフ本心が込められている、

本心であってほしいと思っていた俺は、

Aを許せずに携帯を見た事をぶちまけた。

結果、Aはだんまりを決め込んだ。

このまま責めてもしょうがないとその日は帰った。

正式に付き合ってる訳でもないし、

口うるさく咎める資格もないか…と思った。

実は他にもAのヤリチン疑惑を裏付ける事があった。

俺とは使わないハズのゴムがなぜか買い足してあり、

その使用先を不審に思った俺が問いただした。

その時は、

「もとからあった物だよ」

最近擦れて痛いからどうしてもの時は使えるし」

と言っていた。

今思えば

「アンタバカ?」

級の言い訳だが、

別に俺とは使わないんだし、そんなもんあると他に使ってそうで嫌だから捨てて」

「だったら相方とは早く別れてよ」

「ならゴム必要いから今すぐ捨てろ」

ほんっとに糞下らないゴミの掛け合いみたいなケンカだったが、

Aと一緒にいる心地よさが捨てられずなんとか収めた。

そして乱パ疑惑の後日…

Aが家の近くまでやってきた。

Aはなにか問題があって自分が渦中に立たされると

言いたいことがあってもフリーズしてしまうようで、

メールでの長文攻撃にも的外れな答えや短文で

計算なのか天然なのか

火に油を注ぐタイプだった。

でもその日はゆっくり

A自身の考えと、俺の気持ちとを話す事ができた。

Aは自分の事は反省してる、でも俺ちゃんは結局相方とまだ住んでるし、でも俺ちゃんともっと一緒にいたい。

そして、むしゃくしゃして結局乱パは行ったけど、結局何もする気にならずに帰った。

普通ここは嘘でも行ってないゆうし、そもそも行かないよな…)

でも携帯を見られた事は許せないし、信用が回復するのにしばらくかかると思う。

一瞬?

と思ったが、こちらにも元々の立場や非があるので

携帯を見た事は心から反省し、もう二度と見ないし、見たくもない。

と謝った。

その上で今の状態で相方ときっぱり別れて、Aと…てのはない、と。

ここで本来ならお開きにするべきだったのだが、脳内麻薬は恐ろしい。

Aとの蜜月に心身ともにやられていたので

関係を続行することになった。

Aの事も好きだし、男癖悪いけど、治してくれるだろう。

俺とAとお互いに信用回復したら、

ちゃんとしようね、と。

ほんとバカ。キング・オブ・ザ・バカ。

バカに付ける薬が仮にあっても効かないレベルのバカ。

それからはしばらくはほんとに楽しかった。

旅行にいったり遠出して買い物したり、鍋をしたり、

正直もう相方とは同居してるだけなもんだった。

気の置けないルームメイトと化して数年たっていたので

「アンタアタシの化粧水勝手に使わないでよね」

「それ言うんだったらアンタもアタシの洗顔勝手に使ってるじゃん」

「また流行モン買って、結局すぐ着なくなんのに勿体無い!」

ほんとにチンコついてるのあんたら?

ハッピーマニア生活になってたし。

無論相方フクちゃんで俺がシゲである

つか男相手にオネェこいた時点でその恋は終わらせるべきですね。

兎にも角にもしばらく妙なバランスを保って続いていた。

年が明けて、しばらく経った頃

地元のカマ友達と集まることになって上京した。

カマ友が集まれば、無論話す事は男の事。

いわゆるテレビで見るオネエ系ではなく

パッと見は普通の兄ちゃんの集まりです。

無駄筋肉質ではあるが・・

そんなオカマ集団がある出会い系アプリをいじりながら、

あーでもないこーでもないとキャッキャ言い合うという

一般の方からしたらおぞましい光景の中

久々の旧友とのガールズトークを楽しんでいた。

俺も件のアプリはいれないの?

友達に聞かれたが、覗いて見るのは楽しそうだけど

色こいてる相手がもし乗ってたらショックだから

と話していた。

そんな中、帰りの新幹線

せっかく上京したんだし、試しに覗いてみたい欲にから

アプリをDLしてみた。

まぁ驚く事はなく、普通ーに色々な人が色々な事を書き連ねてアピールしていた。

そして降りるべき駅に近づいた時Aを見つけた。

友達募集・気軽にメッセどうぞ!凸」

とあり半裸で顔をトリミングした状態でポーズを決めていた。

二人で行った海で俺が撮った写真で。

明らかにどーいう友達募集かアリアリと解るやり方で。

とっさにAにそのページからメッセを送った

「こら、何してんの?」

次の日

「俺ちゃん?」

めまいがした。

次の日、お土産を渡すべく

Aと飯を食べながら詰問した。

出会い系やってるのも嫌だし、あの画像、あの文言はなんなんだ、と。

Aが言うには別にメッセが着ても返信しないし見てるだけだし

実際会ったりとかはしてないから!信じて!

ただの息抜きに見てるだけ!

との事だった。

その上で俺ちゃんはもうそのページ見ちゃ駄目!

と。

もう腰がくだけ落ちそうだった。

そして

「じゃあ俺ちゃんは元相方に俺の事紹介できるの?」

ボールを打ち返してきた。

やましい事があるからこそ痛い所をついてくる。

結局、見ちゃったもんはもう見ちゃったんだから

載せるのやめるかせめて画像とか変えて。

じゃなきゃ俺から閲覧できないようにブロックしてよと言い合うと…

ほんとにブロックしやがった。笑

今までAが遊んでるっぽい事実をつつくと、いつもAは俺の事を悪魔!といって攻めていた。

いつまでもちゃんとしてくれない。どうせ俺ちゃんは自分のこと好きじゃないんでしょ!と。

正直、自分立ち位置でAに寂しい思いとかやるせない感情を抱かせていたとは思う。

俺はAにほんとに好きというならばきちんと他を精算してほしい。

Aは俺にきちんと別れてくれないなら、やりたいようにやるもん。

俺がきちんと付き合うと声高々に周りに触れ回っても

Aは絶対に男遊びを止めない確信があった。

セックスレスになろうがアツアツだろうが

絶対こいつは他所チンコを出すと。

正直遊ぶ分には甲斐性だとも思うし

解らないようにしてくれれば全然良かった。

しかし、遊び方が派手なくせに始末が下手すぎだったのだ。

隠す気があるんだかないんだか。そこだけはいつまでも素人気分。

Aとこの先続けるんならどのみち黙認しないといけない。

結局そういうスタンスで二人とも平行線だったのに

お互い見てみぬふりをしていた。

絶対どっちかが折れるだろうと。

Aに閲覧をブロックされた時、

悪魔悪魔言われていた自分の中の悪魔が息を吹いた。

「ワレなんぼのもんじゃ!」

絶っっっっ対クロ、真っ黒の癖に

俺ばっかりせめやがって!

アンタ生意気なのよ!小娘が!

完全に自分の事を棚上げ状態だった俺は

アカウント召喚という掟破りを犯してしまう。

この時まだ甘い期待があった。

言い合った手前ブロックされたけど、

きっと画像文言差し替えてくれてるだろうな☆と。

そしてやるなら別人になりきったれと

拾い画像いかにもモテ筋なプロフをでっちあげて

Aのページを踏んだ。

画像も何もかもそんままだった…

そして、それでもう見るのをやめておけばよかったのだ。

なまじイケメン画像とウケのいいプロフログインしていたので

他の奴から足跡やらメッセやらがどんどんくる。

あー、これでAから足跡きたらちょっと凹むなぁと思いつつ

Aと普通にメールをやりとりしていた。

からは、

「そんなに心配しなくても俺ちゃんしか見てないか安心してよ!」

ラリった脳にはほんとに心地よく天にも昇るその文字列。。

ふと出会いアカウントに目をやると

から足跡をすっとばして

「ヤリたいす!」

まさに高低差キーン

今まで、こんなに脈をうった事があるか?

というぐらい心臓が爆走した。

胸は早打ちなのに手足が冷たくなっていくのを感じながら

なぜか返信していた。

「いきなり積極的ですね」

A「すっげえタイプど真ん中なんで!」

あはは、そっかー」

A「よければ会いたいす!」

「いつ頃が都合いいん?」

A「今夜とかどーすか?なーんて。土日祝休みです」

「さすがに今夜は急だなぁ」

A「俺んち、○○駅近くなんで、□□さんちか俺んちでヤロ!」

あはは、とりあえず今日のところはもう休みますね」

A「あい、わかりましたおやすみなさい!」

なに軽くヤリメッセ楽しんでんの?

!?

さっき俺しか見てないよ!

って書いてた人だよね????

「ああ、やっぱりこういう奴だったんだよ、だから言ったじゃん…」

頭の中でドヤ顔のもう一人の俺。

禍々しい嫉妬に狂った馬鹿なオンナの見本だった。

女性の方ごめんね、例えだから

Aにどう言えばいいのか、そもそも知らなくていいことをほじくったのは自分

でも俺と平行してヤリメッセを送っていた事実をなかったことには絶対に、絶対にできない。

目をつぶれば、まだしばらくAとの甘い生活を満喫していける。

かといって裏でのAをこれでもかと思い知らされた。

いくら俺の目の前のAが大好きで心地よくても

これだけ揃うともう、押さえ込むことができなかった。

世の中には心と下半身は別って男は沢山いる。

自分だってその類にはいるだろうし、それを責める気はない。

人は単純じゃない。絶対的に清いままの人なんていない。

頭では解っているつもりだった

でもやっぱり人間自分には甘い。

Aはそうじゃない、と自分自身に思い込ませていた。

自分のしてる事も揃った証拠も知らぬ存ぜぬでねじ伏せて

とっくの前にお互い遊びスタート関係だということを忘れて。

それでもAは俺がはっきりしないか

ほんとに息抜きで、最悪、魔がさしたとしてもそれぞれ1回限りだろうし!

ほんとにパンチドランカーな考えで自分を諌めAに会いにいった。

ベットでぎゅうっと抱き合った時のAだけがほんとのAだとまだ信じ込ませていた。

コンビニに用があるというAを置いて先にAの部屋に帰った時、

ふと

「またゴムをどっかに隠してるんじゃないか?」

と頭によぎった。

見つけたくないのに、見つけたかった。

見つけたいが見つからないで欲しかった。

前回の隠し場所にはもちろん無い。

あー、やっぱり出会い系も見てる分なら

もういいじゃん、と思いつつ

普段触ることの無い棚に目をやると

封の空いたゴムの箱があった。

数を数える。6個

12個入りなので少なくとも

6回はなにかしらで使い、

合鍵をもたしてる

部屋に連れ込んでヤッってる。。。

なんかもう全て真っ黒真っ黒真っ黒けじゃん

なーにがいつまでも一緒だ!

自分の間抜けさ加減とAの性欲の限りなさに笑けてきた。

残りのゴムを引きちぎりながら

ゴミ箱に捨てて、チャイムが鳴ったので

トイレに隠れた。

Aが帰ってきた。

ゴミ箱には気づいてない様子。

テレビを見て笑っているAに

「またゴムみつけちゃったんだけど」

とかます

「!なんで部屋さぐるの?」

「もー、あれは前からある奴っていってるじゃん」

「前回のは俺が隠した。今回のは明らかに新しいし、別のモノだった」

「そんなわけないでしょ、気にしすぎだって

「じゃあ捨ててよ」

「なんで捨てなきゃいけないの?」

(なんか書いてて腹立ってきた上に可笑しくなってきた)

そんなやり取りを続けながら沈黙が続き…

Aは寝やがった。

なんか、もう言葉がなかった。

そりゃ、たしかに、

せめる立場じゃござんせんけど?

寝るってなにさ?

いいくるめる気もないわけ?

てか寝落ちで逃げるとかわけからん

普通なら横っ面ぶん殴って

起してでも続けるんだろうけど

なんかそこまでの労力を使う気になれず

テレビもなにもかもつけっぱなしで帰った。

次の日、メール無視してると

A「明日休みのは出かけるのなし?」

ヤリチンはいきません」

A「意味わかんない事言わないで、じゃあいかないんだよね?」

「だからヤリチンとは行かないから」

A「そっか、わかった…」

Aは頑なに認めようとはせず、スルーしまくっていた。

俺への手前なのか、認めたくないだけなのか。

Aには

「もうAはやりたいようにやればいいよ」

と送った。

A「何!?どうせ言うほど俺(A)の事好きじゃないんだ!」

「だから、好きだけど、もうAは好きにしなよ、俺よりもっと懐ふかくて

猜疑心のない器のでっかい、身も心もかっこいい奴みつけなよ」

A「何を偉そうに、結局相方と居る癖に!」

相方と居る俺へのあてつけで遊んでるとは思えないし

いてもいなくてもやるんじゃんか…

もうこれで終わりかな…

しんみりしていたら

出会いアカウントにAから

「今夜遅く、会えませんか?」

もう笑った、声を出して。

Aにはなりすました事を言うつもりもなかったが、

とにかく食らわしたかった。

攻撃力最大だけど自分も瀕死を負う諸刃の剣とはこの事である

俺「言うつもりなかったけど、嫌われる覚悟で言うね。別アカウントとれば、Aのページ見られるんだよ」

A「だからブロックしろとか言ったくせに意味わからん

俺「でさ、俺の事、悪魔悪魔ってせめてたじゃん、ほんとに悪魔かもね」

俺「別アカとって、俺がなにすると思う?」

そして出会い系アカからAに

「信じられなくてごめんね」

と送信した。

しばらくAからはなにもなく

2時間ぐらいして…

A「お互い心底失望したね、もう連絡とりあうのはやめましょう。相方さんとお元気に。」

俺「結局お前の言ってた好きだなんだってこの程度じゃんかよ!」

A「はぁ?何年間も同棲してるくせに自分の事棚に上げてよく言うわ!つーかここまでするとは思わなかった。

ほんっといい性格してるね、君。」

俺「カギは置いてきたから。」

後日、

なんだかんだいって1年あまり一緒にいたのに

こんな形で急に途切れるのは辛すぎる…と

最後に会いにいった。

まだクズの脳髄に恋愛麻薬が残ってたみたい。

そして帰り道メールした。

「なんだかんだ、俺のやり方はひどかったかも。」

「知らなくていいことわざわざ知ることなかったね、ごめん。やっぱり一緒にいると心地よかった事思い出したよ」

A「自分もそんな風に思ってた。でもあの件はとにかく驚きと恐怖で。。。。」

A「しばらく時間が欲しい。」

結局Aは遊びちぎってた事も

ヤリメッセしながら俺と同時にラブメールしてたことも

なにもかもスルーなりすまし倫理違反だけを責めてきた。

Aの中では俺がきちんとしないからという大義名分だったのか?

単純に自分の性欲処理は恋愛とは別回路で、攻められる筋合いはないから?

チンポの根っこから腐り落ちればいいのに

本気で思った。

これがこないだあったクズクズの泥仕合。

これを書く前、正直まだ未練があった、ほんとに馬鹿自殺モンの馬鹿

なんか書いてるうちにひでぇ…と思えてきた。

2013-02-05

ファッションワナビども、よく聞け

俺は物語を書くのが好きだ。

物心ついたときからずっと好きだった

初めて物語を書いたのは幼稚園児のとき、大好きだった絵本を真似て色鉛筆と画用紙で小さな冊子を作った。

キャラクターから筋書きまでその絵本パクリで、とてもじゃないが創作と呼べる代物ではなかった。

でも俺にはそれが楽しかったんだ。

それからずっと、小学生時代中学生時代も、小説を書き続けた。

休み時間、校庭でドッジボールに励む同級生を尻目に、俺は教室執筆を続けた。

小学校高学年になるとさすがに恥ずかしくなって、学校では構想を練るだけにし、執筆するのは毎日家に帰るまで我慢した。

中学生時代漠然と重たい気分に付きまとわれて、その暗い情念を精一杯創作にぶつけた。

まあそれだけ書いてれば少しは成長するが、自分の書くものセンスを感じたことは一度もない。

語彙が増えて長い文章を書くことを覚えたくらいで、空想の中では傑作だったはずの物語も、完成してみればいつも支離滅裂な駄作だった。

作文の授業で褒められたことなんてないし(むしろ国語の点数はずっと悪かった)、意を決して自分の書いたもの友達に読ませてみても、手応えのある反応は返って来なかった。

から俺が小説を書くのは、ひとえに自分の満足感のためだ。

ずっと自分世界に閉じこもっているから友人も恋人もできなかったが、それでも俺は自分人生に満足していた。

だが高校に入学して、俺の人生は大きくカーブを切ることになる。

きっかけは入学式出会った一人の同級生だった。

俺が待ち時間に読んでいたドストエフスキー文庫本を見て、彼は声をかけてきた。

「僕はスヴィドリガイロフの儚い美学共感するよ。彼は豊かに暮らしているように見えてその実、生の孤独を見つめているんだ」

美化されているけど初対面からこういう感じの奴だった。

「ふぅん、俺はラスコーリニコフがいいと思うけどね」

そう俺が言うと、彼は眩しいくらいにニコッと笑った。

彼はマラルメブルトンを愛読する根っから文学少年だった。

そのうえ創作もするという。

俺は自分の知らない世界を知る彼に興味を持った。

そうして彼と仲良くするうちに、なりゆき文芸部に入部することになる。

考えてみれば自分からコミュニティに参加することなんて人生で初めてだったが、やはり自分と似た人が多かったのか、自然と馴染んでしまった。

それから楽しい日々だった。

何といっても生まれて初めて友達ができたのだ。楽しくないわけがない。

一緒に入部した一年生は例の文学少年以外にもう一人女の子がいて、彼女小説に熱い思いをもっている娘だった。

三人で互いにお薦めの本を紹介しあったり、俺の家に集まってだらだらくだらない話をした。

美術展に行っては批評家ぶって論評して、ときには高校生らしくカラオケボーリングもした。

そして新たな刺激を得た俺は、これまで以上に執筆に熱を入れるようになっていた。

友人の影響でシュルレアリスムの真似事をしたのは失敗だったが、それを除いても短期間にこれほど成長したことはなかったと思う。

事実、俺は高校一年生の冬、公募新人賞で念願の一次選考を通過することができた。

そう、たったの一次選考だ。笑ってくれてもいい。

これまで両手では数えられないくらい投稿してきて、初めてまともに読んでもらったのだ。

そのとき俺は泣きながらガッツポーズした。

次の日、友人たちにそのことを伝えるのが楽しみだった。

というのも、俺は自分の成長は彼らのおかげだと思っていたからだ。

殻に閉じこもって書いていた中学時代の俺は自家中毒に陥っていたと今になってわかる。

ずっと自分の書いたもの劣化コピーを粗製していたのだ。

でも高校生になって、文芸部に入って、彼らに出会って俺は殻を破れたのだ。

俺の中には彼らへの感謝の気持ちが溢れていた。

だが、俺の報告を聞いた彼らの反応は冷たいものだった。

へぇ、ふぅーん、そう、とか冷たい目をして言う。

ちっとも興味を示さず、退屈そうだった。

きっと新人賞には関心がないのだろうと思って自分を納得させようとした。

でも違った。

創作一生懸命になっているのは惨めだよ。世界はこんなにも素晴らしい書物で満ちているのに」

「えっ、お前何言ってんの……」

「つまりね、僕が創作をするのは、読む活動の一環なんだ。自分の書いたものなんてどうでもいい」

「じゃああのとき俺に語ってくれた創作へのこだわりは何だったんだよ! 一緒に頑張ろうって言ってくれたよな?」

するとずっと横で黙って聞いていた例の女の子が、

「あんたに合わせてあげてたに決まってるでしょ! そういえばあたしたち付き合ってるから! じゃ!」

と言って彼の手を引いて去ってゆく。

俺には何が起こっているのか理解できない。全然からない。

俺はしばらくそこに呆然と立ち尽くしていた。

創作は惨めだって? 一緒に夢を語り合ったのは嘘で、自分創作物なんてどうでもいいってどういうことだろう。というかそもそも付き合ってるってなんだよ。普通高校生かよ。文学に身を捧げるんじゃなかったのか?

俺は現実を受け入れられず、思考はぐるぐると同じ所を巡った。

やがて俺は気づいたのだ。彼はファッションワナビという生き物だったことに。

彼は難解な小説を書く自分に酔っていたのだ。

一読して意味がとれないタイプの作品の価値なんて、素人にはわからない。

から、「何となくすごい」で終わってしまう。

彼はそれをコミュニケーションに利用していたのだ。

本当はミステリアス文学少年キャラを利用して女の子を捕まえるだけの、平凡な高校生だったのだ。

そう思ってひとまず落ち着いたものの、いまだにひとつだけ気になっていることがある。

彼は女の子に手を引かれながら、俺の方を見て、目で何かを訴えかけていた。

そしてあの、入学式の日に見せたのと同じ、眩しいくらいの笑顔をしてみせた。

あれは何だったのだろう。ただ俺を馬鹿にしていたようにも思える。しかし……。

俺の身体が疼く。

彼をあのビッチから取り戻さなければいけない。俺はそう決意している。

彼を孤独から救ってあげられるのは俺しかいない。

何かがおかしいと思う冷静な思考はあっという間に駆逐され、彼を助けなければという強烈な義務感が俺の脳を支配していく。

2013-02-03

Re: 恋愛禁止? セックス禁止? http://anond.hatelabo.jp/20130202005421

アイドルのことはよくわからないけど考えてみました。

とりあえず雑駁ですが以下の6分類をでっちあげて叩き台として。

肉体的だけでなく精神的にも処女性が問われる、となると、

(6)以外はアウトになるおそれもありますが、

(4)・(5)は言明さえしなければ表面化はしないのでセーフ、

ただし(3)は外形的には(1)・(2)と判別がつきにくいために

ルール上は一律でアウトにしておく、といったところでしょうか。

2012-08-15

増田会社やめるってよ

などというフレーズ日常的に飛び交う現場で3年目の夏を迎えた。

小さい会社だ。独立ITベンダの皮をかぶっているが、何次請けなのかも分からないような仕事を丸投げされて、数名単位グループ現場に送り込まれるという、典型的な人出し派遣零細企業だ。俺も本社にいたのは研修期間の最初半年だけで、それ以降は海の近くの巨大なビル街のあちこちを転々としている。プロパーの目を気にしながら食べる昼食の味にもすっかり慣れた。

俺の同期入社10人いた。

最初の1年で2人やめた。理由。1人は「公務員試験を受ける」。もう1人は「仕事についていけないから」。

前者は同期数名だけのささやか送別会の場でこんな事を言っていた。「毎日遅くまで残業させられる上に、20も30も年上のベテラン社員ペラペラの安っぽい背広を着て若手と同じような仕事をしてる。あれが俺たちの未来の姿だと思うと耐えられない」。懸命だと思う。その後、何度か彼とはメールのやり取りをしたが、公務員になったという話はついぞ聞かない。知らせがないということは、芳しくないということなんだろうと思っている。

仕事についていけない」後者は、俺たち同期の目から見ても、プログラミングという仕事が向いていない男だった。コードが書けないだけでなく、「どのような処理が求められているのか」ということすらなかなか理解できない。体育会系で気持ちのよい男で、入社直後は朗らかにみんなの輪の真ん中で笑っていたのだが、研修が進むにつれてだんだん笑顔が減っていき、暗い顔で研修室に毎晩居残るようになり、何とか研修期間が終わって現場アサインされた数日後には本社に突っ返されてきた。彼もきっとすぐに辞めて懸命だったのだ。ここは彼がいるべき場所ではなかった。と言うより、誰もがこんな場所にいるべきではないのだ。

彼らの頃は、まだ「あいつ、会社やめるってよ」というフレーズショッキングな響きを維持していた。その後に、「何もやめること無いのにな」という言葉が続いたりもした。

2年目には6人やめた。1つ上の代で、胃に穴をあけて倒れる先輩、心を病んで休職する先輩、誰にも何も言わずに消えた先輩が3人立て続けに現れたことが引き金になったのか、6人中4人はわずか2ヶ月の間に立て続けにやめてしまった。そのうちの1人、女性なのだが、泣きながら「このままだと病気になる。今すぐやめさせてほしい」と談判して、結構な火の吹き方をしている現場からそのまま離脱退職したそうだ。俺は、彼女もまた懸命だと思う。俺たち若手の代わりなんて幾らでもいる。燃え盛っている火の中で心身に大火傷を負いながら得られるものなんて、安っぽい達成感と、上長からの「こいつは無理がきく」という評価だけだ。そんなもんガソリンぶっかけて火をつけちまえ。

その頃には「あいつ、会社やめるってよ」が、まるで時候の挨拶のように軽い響きのフレーズへと成り下がっていた。だけど、俺は誰かの退職を知るたびに心の中でこう思っていた。「あいつ、やめるのか。うらやましいな」。そう思うのなら、俺だってやめればいい。簡単な話だ。だけど、俺はやめられなかった。怖かった。ろくに貯金もなく、技術もなく、経験もなく、はっきり言って社会性も大してない。ついでに言うと、俺以外の連中もその辺りの事情は大差なかった。何のことはない。この会社は他の会社では通用しないような人間をかき集めて、頭数を揃えて、泥臭い作業要員として使い捨てにしているのだ。ここを抜けだしたとして、他にもっとマシな場所があるのか。その先にあるのは、さらに深い下請けの下層ではないのか。この会社に居続けることが不正解だということは分かっている。だけど、会社をやめることが正解だとも思えない。

そして3年目。同期で残ったのは俺ともう1人だけだ。もう1人、便宜的にそいつのことを「増田」と表現してよいだろうか?紛らわしいことは承知の上だが、他に適切な名前も思いつかない。

増田はずっと、本社の経理にいる。簿記資格を取っているということで、他の同期がJava研修などを受けている1年目の5月6月の時点で経理に配属されて、そのままそこで働き続けている。毎日ゆっくりと出社して、昼は社長と昼食に出かけて、夕方は定時に帰る。会社全体規模で行われる飲み会には必ず参加して、常に社長の近くで酌をしたり、社長の話に懸命に相槌をうったりしている。要は、増田社長から殊更の寵愛を注がれていたのだ。増田は年不相応に幼く、ともすれば中学生ぐらいにも見える。そんな増田が、ゴルフ焼けした老ゴリラのような社長とべったりしているさまは、一見すると祖父と孫のようでもあり、それでいて2人に間を飛び交う視線にはどこか湿った情念のようなものが常に漂っていて、それがひどくグロテスクに感じられた。

そんな増田8月いっぱいで会社をやめる。さすがに今回ばかりは「増田会社やめるってよ」という言葉が、驚きと好奇心を伴いながら現場中を蔓延した。社長に新しい愛人ができたのか、はたまた増田もっと別の若くて甲斐性がある彼氏ができたのか、あるいは地元に帰って見合いでもするのではないか、様々な噂が飛び交った。俺も表面上は周りの社員とそんなゴシップ話に興じてみせるのだが、心中はいよいよ穏やかではない。とうとう、俺だけが残されてしまった。俺だけが逃げ遅れた。そんな焦燥感に駆られながら、俺は煙草くさい先輩社員達が繰り広げる増田に関する下品な噂話に精一杯の作り笑顔で受け答えしながら、冷や汗をかきながら、この会社での3年目の夏を終えようとしている。

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