はてなキーワード: ナラとは
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1428114
どこかの自称ドクターが宣ってたせいか、「化学物質過敏症」をメンタルヘルスと断じてるネット民が多いように見える。
しかし、これもエビデンスがあるわけじゃないよね。僕は見たことないけど、どこかに転がってるんだろうか?エビデンス。
僕自身が、合成香料を嗅ぐと体調が悪くなるので、その立場から言わせてもらうと、メンタルヘルスとは違うと感じる。
通常、嗅覚には疲労する性質があり、かなりの刺激臭でもない限りは嗅覚が疲労して慣れていく。
例えば、誰かが密室でオナラをしたら、最初はクサい!と思うが、徐々に慣れていき気にならなくなる。
ところが、合成香料のニオイだと、嗅覚はなかなか疲労してくれず、いつまでもニオってしまう。なぜなら、ニオイが持続するように設計されているから。
一方で、自然界でも嗅覚が疲労しないニオイは存在する。火山ガスや燃焼ガスなどの危険な刺激臭がそれである。
嗅覚の最大の役割が危険を察知することだとすると、本当に危険な状態の時に嗅覚が疲労しないのはまったく理にかなった正常なことだと言える。
さて、そう考えると、嗅覚が疲労しない合成香料のニオイを危険物質と誤認して体調を崩すという症状があっても、それほどおかしなことでは無さそうに思える。
まあ、これも僕が感覚的に思うだけのことなので、エビデンスもクソもないわけだけど、研究アプローチとしてはそれなりに意味のある仮説なんじゃないかな。
誰か、このアプローチで研究してくれる医学者さまはおらんものだろうか。
エセ科学だメンタルヘルスだ(≒気のせいだ)言っても、事実として私のように苦しんでいる人がいる以上、解決してもらわないと困るので研究者には諦めないでほしい。
GoogleやAmazonなど、デカすぎる規模でないとやっていけない感がある。
経済学者なら生産性の低い企業は市場から退場すべき、というのだろうが、もっと小さい規模でやっていけるようにならないと多様性を維持できないように感じる。
スマフォのアプリなんて初心者向けのUIもあれば、上級者向けのUIもあっていいだろうし、何より複数の選択肢から選べる方がいい。
献血のポスターで議論が起こってるが、例えば、ポスターに偏光フィルタをつけて、見たくない人は偏光フィルタメガネかければ見えなくなるとか、
解決方法が提示され、嫌という人がいるのであれば選択肢で回避できるようにしようとか、そういう流れにならない。
個人データによってパーソナライズされるというのが夢物語に思えてくる。
当たり前だが一番儲かるクラスタに属しているかいないかで、サービスの選択幅は変わってくるが、その規模がデカすぎるのだ。
1億人の人口を分割したクラスタでも維持できない規模の事業というのはおかしいように思えてくる。
あとは海外の新しいイノベーションだと言われているのが、グレーゾーンみたいな物ばかりにも関わらず称賛されることにある。
10月の第4週、関東はまたも台風21号から変化した温帯低気圧が大雨をもたらし、千葉では河川の氾濫が起きた。
自然災害の多い日本だが、今年の秋はそれがもたらす結果が深刻だ。
ラグビーW杯でも、予選プールの2試合が台風のリスクで中止になったが、その判断は正しかったように思う。
日本が初のノックアウトラウンドに進出したことで話題になったラグビーW杯だが、その他にもこの台風による試合中止や、ティア1の伝統国でないアジア初開催など、2019年大会は歴史に残るW杯になるだろう。
その大会に、史上初の3連覇という新たな歴史が生まれるだろうか。
------
対戦するのは黒衣の絶対王者ニュージーランドと、白のジャージに身を包んだイングランド。
------
前大会、自国開催でありながら予選プール敗退という屈辱を味わったイングランドは、勝負師エディー・ジョーンズをHCに迎え、破竹の勢いで準決勝まで勝ち上がってきた。
前任の日本でチームにW杯で初となる3勝をもたらしたことでも有名なこの名将は、その激しい気性と独自すぎる指導アプローチで数々のエピソードを持つ。
------
南アフリカ戦の最後の場面で自らのキックの指示に反しスクラムを選択した選手の判断をみて激昂し、インカムをコーチボックスの壁に叩きつけ破壊したなどというのは可愛いもので、日本代表合宿で毎朝6時からの練習を強いて吐き気がするほど走らせた上、うまく行っている練習のシーンでもいきなりブチ切れて選手の不確実性への対処を見たり、イングランド代表合宿に柔道家を招聘して代表選手の顎の骨を骨折させたり、その狂気のエピソードは枚挙にいとまがない。
------
2015年大会の結果を受けて、著書がビジネスマンに大受けしたエディーだが、こんな滅茶苦茶がまかり通るのは指導相手がナショナルクラスのフィジカルエリートであり、彼自身教員免許を持った上で三度もナショナルチームのHCを歴任して指導メソッドを磨き上げたからであり、凡百の経営者が彼の真似をしたら社員の8割は辞めると思う。
ちなみにエディーの指示をサラッと無視してブチ切れさせたリーチ・マイケルは、今大会の合宿でそのエディーが考案した「石鹸水でボールをヌルヌルにしたパス練習」をやろうとして、ジェイミーにすげなく却下されている。
こっちはこっちで会社の先輩だったら、なんかちょっとめんどくさい感じだ。
------
一方、3連覇を目指すオールブラックスのHCスティーブ・ハンセン。
元警官の彼が激しい感情をあらわにしたのを増田は見たことがない。
------
試合前にエディーが「練習をスパイされていたのでは」という記者の質問に対して否定も肯定もせず「まあでも誰かわかんないけど撮ってる奴はいたけどね」などと言わなくていいことを言っても「私は心理戦なんかやりませんよ。エディーがとても賢い人だということは、よく知っています。そんな事をしても、何の意味もありません」と泰然自若として受け流した。
聞くところによると宇宙飛行士というのは、どんな状況にあっても感情的にならず、そのときに最適な解決方法を考えて淡々と実行しなければ務まらないものらしく、それに近いメンタリティの持ち主なのかもしれない。
------
注目の準決勝第一試合は、破茶滅茶パワハラおじさんとベテラン宇宙飛行士の名将対決となった。
------
HCのキャラが濃すぎて説明に字数を取られてしまったが、ここでゲームプランについて考えてみよう。
伝統の強力FWに加えて、BKの展開ラグビーでもトライが取れるイングランドだが「出来るからといってそれをするべきなのか」という問題がある。
イングランドの展開ラグビーは、どこからでもかけられる圧力を相手に晒した上で、順目順目にオーソドックスに展開したり、ディフェンスラインのわずかに広めな隙間にパワフルランナーが走り込んでこじ開ける、といったもので、シンプル強力ではあるが意外性はない。
------
この展開でボールを持ち続けてしまうと、いつターンオーバーされるかがわかりづらい。
オールブラックスは世界一のアンストラクチャーラグビーのチームだ。
突然始まったような攻守交代からの混乱で彼らを上回ることのできるチームなどありはしない。
------
イングランドとしては、むしろボールを計画的に渡してディフェンスで潰してエラーを誘発し、セットプレーの展開に持ち込んだ方が、数々のチームをねじ伏せてきた必殺のモール攻撃を繰り出せる。
しかし、それだってディフェンスがちょっとでも遅れれば何をされるかわからない。
オールブラックスは本職LOの長身スコット・バレッドをフランカーに起用してラインアウト対策を取り、その上フィールドでは抜け目のない黒子、モウンガが目を光らせているのだ。
------
エディーはこの難解なパズルに解を見つけることができただろうか。
------
この試合でも、台風被害に遭われた方への黙祷が捧げられ、両国の国歌が斉唱されたのち、オールブラックスがウォークライ、ハカを行う。
これにイングランドはその三角の陣形を包囲するかような翼型の陣形を取って受けて立つ。
いつもはシリアスで怖い表情のCTBオーウェン・ファレルが不敵な笑顔で視線を送る。
その笑顔もやっぱり怖かった。
------
これが自分たちにボールが戻るセットプレーとなり、ここから大幅にブレイク、順目のパワフルな攻撃を攻めきってわずか1分30秒、イングランドは王者から先制のトライを奪った。
この攻撃でイングランドはキックを蹴らず地上戦で取り切り、これはこの後の展開を予想させるものだった。
------
その後も身体をぶつけながら前進、攻撃も防御も出来のいいイングランドに対し、ディフェンスの上がりが悪いオールブラックスは切り返すこともできずに序盤一方的に攻められてしまう。
------
オールブラックスは17分、18分と二度敵陣に進入してのセットプレーを得るが、これを強力ディフェンスで凌ぎきられる。
待望の切り返しの機会を得て攻撃しても、イングランドのラインを押し上げる早いタックルの前に下げられてしまい、アンストラクチャーラグビーを全くさせてもらえず、自分たちボールのラインアウトもいい形でボールが出ない。
ポゼッションはイングランドが6割、プレーエリアは半分以上オールブラックス陣内だ。
------
前半最後の38分、オールブラックス得意の切り返し攻撃も不発におわり、逆にイングランドがペナルティゴールを獲得、スコアは10-0で前半を折り返した。
------
ぶつ切りのゲームを挑むのではないかという増田の予想を覆し、ほとんどキックを蹴らず、横に展開しつつ地上のフィジカルバトルを制圧して前進するイングランド。
スコット・バレッドを入れてのラインアウト対策をスカした上に、そのラインアウトでも幾度も競り勝ち、エディーに言わせれば「してやったり」という展開だ。
------
予想したかしないか、全くボールを渡してもらえない上、守れば押され、攻めても包囲されるかのようなディフェンスの早いチェックと激しい当たりで前進できないオールブラックス。
前3メートルのスペースがあるところでボールが欲しい、しかしそれが全くできないのだ。
前に出られないディフェンスと噛み合わない攻撃を修正できるだろうか。
------
機能しなかったスコット・バレッドを外し、地上戦を制圧するためにFLサム・ケインに交代。
しかし49分、それでもイングランドの圧力の前にペナルティゴールを献上、13-0とされてしまう。
------
オールブラックスは苦戦していたラインアウトをテコ入れするため、HOデイン・コールズを投入。
経験豊かなSH TJペレナラ、CTBソニービル・ウィリアムズも投入し修正を図る。
------
すると、54分、相手陣深くに進入し、相手ボールのラインアウトの一瞬のミスをついたFLアーディー・サヴェアがインゴールに飛び込み、オールブラックスが待望のトライを奪った。
コンバージョンも決まって13-7。
ほとんど表情が変わらないスティーブ・ハンセンHCは注意しないとわからないくらい少しだけ頬が緩んだ。
------
だが簡単に流れは変わらない。
ここで試合を戻したいイングランドがまたも力押しで前進し、60分にペナルティゴールを獲得し、16-7。
コーチボックスでは勝負を左右する時間帯に追加点を得ても、緊迫した表情のエディー・ジョーンズ。
ここから先はフィットネスが切れる可能性があるのだ、そうなれば独創的な攻撃を誇るオールブラックスに9点差などあっという間にひっくり返されてしまう。
傍らで見るアシスタントコーチにしてみれば、フィットネスが切れるも心配だが、エディーの方だっていつキレるかわからないので全く油断ができない。
------
しかし噛み合わないオールブラックスは反則がかさみ、主審のナイジェル・オーウェンスさんから注意を受け、終盤に差し掛かる68分にもイングランドにペナルティゴールを与えて、19-7とされてしまう。
------
トライを取るしかないオールブラックスはボールを持って前進するが、終盤になってもフィットネスの切れる気配がないイングランドの高速ディフェンスの網を全くかいくぐれない。
勝負師エディーのプランは「地上で展開してボールを渡さず押し下げて、ボールを奪われるたら前進ディフェンスで潰しまくるね、それも80分ね、Go!走る!走るね!」というものだった。
ラグビーの研究が進み、ボールを展開するだけでは突破できない現実に、キックからのアンストラクチャー攻撃という回答を見せて絶対王者に君臨したオールブラックス、それに対する解は「前に出る攻撃的防御、展開しながらの防御的攻撃、その狭間からの一撃」だった。
元から恵まれたフィジカルをさらにいじめ抜いて徹底的に鍛え上げたからこそ取れるプランだ、ラグビーの母国に渡っても、やっぱりエディーはエディーだった。
------
勝負は決しても一矢報いたいオールブラックスが最後の猛攻を見せるが、80分、ボールは蹴り出され、黒衣のディフェンディングチャンピオンを封じ込めたイングランドが準々決勝、準決勝にについで、三度の一番乗りを重ねて決勝に進出を決めた。
------
33%しか地域獲得率を与えることなく、オールブラックスに試合をさせなかったイングランド。
試合後のインタビューに日本語で答えるエディー・ジョーンズの顔は笑っているが目が全然笑っていない。
------
「ありがとうございます、みなさん」
4年前、日本代表を率いて世紀の番狂わせを演じた勝負師、その目が見据えるのは優勝だ。
3度目のナショナルチームのHCとしての挑戦にして、ついに視線の先に収めたウェブ・エリス・カップ。
あと一勝だ、もう逃がさない。
自分より歳上なのは確かだけど、年齢を聞くほど親しくない人が職場にいた。その人は仕事中によくゲップしたりオナラをする。
出物腫れ物仕方がないとはよく言うが、耐え難いほどの回数なので、我慢の限界に達した私は怒鳴り散らした。
上司や周りの連中は、職場で怒鳴る私に対して咎めなかった。皆もそう感じてたのであろうか。でも「よく言った」とも言われていない。腫れ物に触るべからずであろう。
それから離職・転職し月日が経ち、私も中年となった今、先記の人のようにゲップが止まらないようになってしまった。
診断結果は「機能性ディスペプシア」。明らかな異常はみあたらないが、胃痛や胃もたれなど胃の働きが悪くなっている症状だ。
ストレスが原因だろう。精神的にピリピリしてた数年前は下痢を繰り返したり、乾いた咳が頻発し会話にも支障が出ていたが、家では止まる。
周りが不快にならないよう、ゲップが出そうになったらハンドタオルで口元を押さえたり、姿勢を良くして胃に空気が入らないよう気をつけたりするが、どうもムリだ。
父が嫌いだ。
私が用事があって風呂を洗えず、温かいお湯が浴槽にはっていないとキレ散らかす父が嫌いだ。
私が苦手なものをうっかり食べてしまい、いかにも不味そうな顔をしているとそういう顔するなら何も食べるなとキレ散らかす父が嫌いだ。
22にもなる娘の部屋にノックもせず入ってくる父が嫌いだ。
少しでも口答えしたりすると学費のことや食費のことなどお金をチラつかせてくるのが嫌いだ。
車を運転している時に前の車が遅いとすぐにイラついて、追い抜かしてめちゃくちゃスピードを出す父が嫌いだ。
渋滞にはまったりすると声を荒らげて数十分文句を言い続ける父が嫌いだ。
就活のことを何も知らないのに色々口出ししてくる父が嫌いだ。
すぐに「お前がそんなことできるはずない」と否定してくる父が嫌いだ。
私が一人暮らししたいと言うとお前は無理絶対できない俺がいるから生きていけてるのにと人格否定までしてくる父が嫌いだ。
イラつくポイントがどこにあるのかわからない全身地雷原な父が嫌いだ。
くちゃくちゃ音を出してご飯を食べる父が嫌いだ。
私の部屋に入って臭い、片付けろ、とか文句を言うくせに自分の部屋はタバコの匂いが染み付いてめちゃくちゃ臭いし服がその辺に散乱していてゴミ屋敷みたいになってる父が嫌いだ。
そのくせ自分の部屋は片付いてる、俺はいつも清潔、お前も見習えと言ってくる父が嫌いだ。
私の部屋に入ってきてお構い無しにオナラして帰っていく父が嫌いだ。
酒を毎日大量に飲む父が嫌いだ。
ビールを常に冷やしてないとキレ散らかす父が嫌いだ。
ご飯を食べ出すと一切席から立たなくなって、私を小間使いみたいに扱う父が嫌いだ。
階段や狭い廊下に自分の荷物をおもむろに置いておくくせに、私や母がちょっとものを置いておくと邪魔だとキレ散らかす父が嫌いだ。
動物の扱いが雑な父が嫌いだ。
自分は靴を脱ぎ散らかしてある癖に、私が靴を片付けないでおくと文句を言う父が嫌いだ。
俺は周りより優れていると絶対的に思っている父が嫌いだ。
テレビのアナウンサーやタレントに「こんな年寄りの女を使うな、ブスは見たくない」とすぐ言い出す父が嫌いだ。
レストランやら食堂やらで普通の声量で「ここの料理はまずい」とか「店員の態度が悪い」とか言い出して、やめてほしいと言うと「聞こえないように言ってるんだからいいだろ」と怒鳴る父が嫌いだ。
デリカシーのない父が嫌いだ。
お前は就活を9月からはじめていれば成功した、と謎の理論を展開する父が嫌いだ。
私が入社予定の企業を事細かに調べてはネットの評判やら悪評やらをいちいちにやにやしながら報告しにくる父が嫌いだ。
自分の頼んだ宅配を家族が受け取っていないとキレ散らかす父が嫌いだ。
私が朝寝ぼけて父の言葉に上手く反応できないとキレ散らかして一日口をきかない父が嫌いだ。
窓を開けているのに大声で怒鳴ったり笑ったりする父が嫌いだ。
昨日の夕飯の残りを絶対に食べない父が嫌いだ。
そんなもん捨てちまえ、とすぐに言う父が嫌いだ。
毎週の土日に必ず家族全員で出かけることを強制し、断ると不機嫌になる父が嫌いだ。
勝手に予定を決めて、勝手に旅行の日取りを決めて全部準備を済ましてから報告してくる父が嫌いだ。
私を褒めてくれるときの父が好きだ。
奨学金借りなくていい、俺が全部出すから大学行けと言ってくれた父が好きだ。
機嫌のいい時の父が好きだ。
俺とお前は家族だからそっくりだなあと言っている時のにこやかな父が好きだ。
料理を作るのが面倒だろうから、と夕食のおかずをよく買ってくる父が好きだ。
私を、家族を大切にしてくれる父が好きだ。
これもうわかんねえな
前のレビューをみんな読んでくれて、ラグビーの見所が伝わったというのが嬉しいので、注目の対戦カードが立て続けに3試合行われた21日の試合も続けてレビューすることにする。
義務感は感じてないけど、さすがにいい試合すぎて、これはちょっと書きたくなったので。
------------
21日は面白い試合が目白押しで、全く違う個性がぶつかったオーストラリア×フィジー、似た者どおしのシーソーゲームとなったフランス×アルゼンチンも良かったのだけど、この日最注目のカードということと、増田本人が普段から南半球のラグビーを追っており、選手の個性もとりたい戦術も理解してるということで、ニュージランド・オールブラックスと南アフリカ・スプリングボクスの試合としたい。
南アフリカというと4年前、日本がアップセットを演出したので、ライバルとみなす向きもあるけど、実力でいったら日本は話にならないくらい負けている。
で絶対王者のオールブラックスはいうと、圧倒的に強い彼らが肝心なところで負ける時、相手はフランスか、このスプリングボクスであり、因縁でいうとこちらの方が深い。
------------
ゲームが始まる前に、オールブラックスは伝統のウォークライ、ハカのパフォーマンスをしたのだが、その演目は「カパオ・パンガ」であったのにちょっと驚いた。
通常、予選では、もう一つのバージョンである「カマテ」が演じられることが多いのだが、大勝負の時しか出ない「カパオ・パンガ」であったのはオールブラックスも相当な気合いが入っていたのだろう。
ちなみに、ハカは通常、リードとよばれる独唱からはじまり、これだけはマオリの血を引くメンバーでないといけない。
今回のリードはTJペレナラ。第二スクラムハーフ。最近は彼が多い。
世界最高とも言われる第一スクラムハーフのアーロン・スミスも資格があり、彼がリードだったこともあるが、国際試合の旅先で女性をトイレに連れ込み、セクシーな行為に及んだのがオールブラックスっぽくないと懲罰を受け、代表から外れていた時期があり、その時からペレナラがリードになった。
------------
さて試合の方だが、伝統的にこのカードはロースコアになることが多く、その理由はスプリングボクスのとる戦術にある。
彼らはボールを持つと、非常に単調な攻めを繰り返し、パワーをテコに相手の苦し紛れのペナルティを狙ったり、キックを蹴って落下地点でど迫力のタックルをかまして、ポロリから→リスタートのスクラムでパワーで押しつぶして前進を狙う。
大事なのはディフェンスで、キックでボールを渡すので、絶対突破されてはならず、それさえ可能ならロースコアにコントロールできる。
オールブラックスの華麗なパス回しと走力は世界一だが、それを止めうるのが「単純なガタイのデカさ」「常識はずれのパワー」「きれない集中力」「決してサボらない真面目さ」そして「異常なくらいの単純さ」というのが面白い。
実際この試合でもスタートはスプリングボクスが狙い通りコントロールしていた。
------------
ただ、計算違いが生じたのは前半20分ほど。
予想外を演出したのはオールブラックス10番、リッチー・モウンガ。
彼は前W杯から3年ほど、本日15番に入ったボーデン・バレット、怪我で今大会出場できなかったダミアン・マッケンジーの陰に隠れて、司令塔としては「第三の男」扱いされていたが、今年になって地元NZのチームでの活躍で頭角を現し、オールブラックスの10番を射止めていた。
オールブラックスは、このどちらかと言うと手堅さと抜け目なさを信条とする地味なモウンガと天才的な閃きのある派手なバレットの2人を併用し、実質W司令塔を形成していた。
モウンガについては、栄光のオールブラックスの司令塔という、ラグビー界において文句ない立場にいるのだが、「天才」だの「イケメン」だの「最注目選手」だのともてはやされるバレットと比べて、彼自身のプレースタイルのせいかルックスのせいか、立場に見合った注目をされてると言い難く、なんかちょっと悲哀を感じさせるものがある。
彼が自陣で平行に蹴ったキックパスをきっかけに、オールブラックスは一気にトライを陥れる。
------------
その後も、モウンガかバレット、どちらかが密集に巻き込まれて機能停止しても、もう一方がゲームを組み立てるので止まらない、という攻めにスプリングボクスは対応できない。
前半で計2トライを献上。
この時間帯はあまり長くなく、2トライを与えてしまった一瞬以外はディフェンスもよく機能し、前半のほとんどの時間がむしろスプリングボクスのロースコア狙い戦術の通りに進んでいた、でも結果として一瞬の破綻で点差は開いてしまった。
------------
後半はトライがないとプランが遂行できないスプリングボクスだが、驚くべきことに彼らはあまり戦術を変えず、なんとオールブラックスの一瞬の油断から逆にトライをもぎ取ってしまった。
ここら辺は、自分たちのやることを信じて崩れなければ、幸運が一定確率でやってくると言うことかもしれない。
さらに後半20分、SOポラードが虚をついてドロップゴールを狙うと、これが入り、当初の予定通り、「トライはいらない、キックで刻むぜ」戦術を現実的に見える線まで引き戻した。
------------
しかし、その後、お互いがあまり大きなミスをしないまま時間は経過し、いくつかの幸運の中でオールブラックスが獲得したペナルティーキックを、地味な男モウンガが確実にきめ、スプリングボクスの勝機はじわじわと離れていった。
スプリングボクスとしては長時間ゲームをコントロールし、自分たち好みのゲームを演出したにも関わらず、前半に一瞬の隙で奪われた2トライで試合を失うという結果になってしまった。
------------
ゲームの概観としては、オールブラックスもスプリングボクスも非常に出来が良く、プールに彼らを脅かす敵がいないことから、双方決勝トーナメントに進む可能性は高いと見る。
そうなると、1ヶ月後に彼らは再び相まみえるかもしれない。
なかなか楽しみではある。
------------
ブコメで質問があり、増田的にも非常に印象的だったので、フランス×アルゼンチンにおけるドロップゴールについて解説を試みたいと思う。
多分だけど、チームとしての戦術ではなく、個人のとっさの判断だと思う。
ドロップゴールは陣形やゲームスピードから、出そうなタイミングがわかるものだが、あの時「これは蹴るぞ」というタイミングでは全くなかった。
ゲーム全体の流れを思い出してほしいんだけど、あのゲームは前半、フランスが圧倒的に優位に進めていたものを、後半、アルゼンチンがゲームを辛抱強く戻して、ペナルティーキックで刻んで追い上げていた。
------------
特徴的なのはキックとモールで、前半、双方まったくキックを蹴らず、ムキになって走り合っていた結果、フランスがゲームを支配していたのが、後半アルゼンチンはキックを蹴ったり、モールで押すようになり、長時間の走りあいにこだわらなくなった。
その結果、ゲームが落ちついてアルゼンチンは刻みながら追い上げ、ついには逆転した。
この時点で、計画的にアルゼンチンがゲームのコントロールを自分たちのものにしていた。
------------
フランスにとっての後半は、前半とうって変わってコントロールできない上にじわじわ追い上げられてしまいに逆転されるという非常に嫌なムードに飲まれそうになっていた時間だった。
そこにリザーブで入ってきた奴がまったく空気に合わせずにシレッとドロップゴールを決めて流れをブった切ってしまった。
------------
俯瞰で見てる奴がゲームをまるっきり変えてしまうのは、どことなく会社などで中途採用のよそ者がガラッと慣習をやぶって風穴をあけるのを連想させる。
あれはラグビーのフィジカルな面でなく、「我慢のスポーツ」「コントロールのスポーツ」としてのメンタルな面をよく表していたと思う。
ラグビーでは、戦術やフィジカルといった見えるものと、もっと上位にあって見えづらい「客観性」「空気」「メンタル」みたいなものが勝負を大きく左右するケースがあるので、そこにも注目してみると、味わい深くなると思う。
------------
あ、あとついでに、オールブラックスの選手、リーコ・イオアネのNZから日本に向かう様子を本人が投稿した動画のリンクを貼っとくわ。
彼は「恩人が日本人なので日本語の名前を息子につけたい」と希望した両親に危うく「リエコ」と名づけられそうになったが、「それ女の子の名前やで」と訂正され、「リーコ」になった経緯がある。でも綴りはRiekoやんけ。
そんな人たちもやってくるW杯、みなさん楽しんでほしい。