はてなキーワード: 対馬海峡とは
去年、「日本語の原郷」についての論文(Robbeets et al. 2021)が話題になった。増田は専門外の素人ながら疑問を持ったのでツッコミを入れたんだけど(anond:20211121124146)、今年の6月に入って専門家集団から「あの論文は取り下げろ」という反論論文が出ていた(Tian et al. 2022)。といっても、プレプリントサーバのbioRxivに置いてあるだけで、学術誌に掲載されたわけではないんだけど、まあいずれどこかには載るよね多分。
そういうわけで、反論論文の内容を(素人なりに)紹介していくよ!
ふええ……知らない人ばっかりだよぉ……
22人の共同著者による論文だけど、その多くは中国人研究者。ほかは数人のヨーロッパ人。中国人研究者については全然わからない。漢字で書かれれば一人か二人は名前を聞いたことがある人がいるかもしれないけど、ラテン文字で書かれているので誰が誰やらさっぱりなんだよな……
ヨーロッパ人研究者のうち、ラッセル・グレイ氏は聞いたことがある。20年くらい前に『ネイチャー』に印欧語族の起源に関するレター載せてた人だ(Gray and Atkinson 2003)。ホセ・アロンソ・デ・ラ・フエンテ氏は以前ロベーツ氏の著書に辛辣な書評書いてた人で、去年の増田でも引用した。
そしてトマ・ペラール氏は、日本では有名な研究者だ。彼は宮古島の北4キロに浮かぶ人口数十人の離島大神島の方言について博士論文を書き、それが「母音あるいは声帯を震わせて出される音を含まない単語がある」という世界でも珍しい特徴を持った言語であることを明らかにした(Pellard 2009: 80–85;ペラール 2011: 28–29)。ペラール氏は母語のフランス語だけでなく英語や日本語でも論文や共著を発表していて(最近だとペラール 2021とか)、琉球諸語の言語復興についても発言しているので(ペラール 2013; 2015)、琉球諸語に関心を持って調べたことがあれば一度は名前を聞いたことがあるはずの人物だろう。
要するにこの反論論文には、そのへんの日本人よりはるかに日本語に詳しい研究者が参加しているってこと。
反論論文は、ロベーツ論文で挙げられている同根語(cognate words)が少なすぎると指摘する。
同根語というのは、「起源を同じくする単語」のことだ。ある言語から分かれた娘言語たちは、いずれも共通した同根語を(二次的に失ったのでなければ)持っているはずだ、というのが比較言語学の基本的な考え方だ(生物学でいう原始形質/祖先形質にあたる……と思う。多分)。もちろん、偶然の一致とか、言語の場合は借用語とかがあるので、言語学的な検討を行って「これは祖語から受け継がれた同根語である」というのを確定させて、それをもとに言語の系統関係を判断していく。
たとえば印欧語族だと、次のような対応関係が見いだせる(例はウィキペディアの「印欧語彙」のページから持ってきた)(*がはてな記法の一部と認識されちゃうっぽいので*で代用)。
- | 印欧祖語 | 英語 | ラテン語 | サンスクリット語 | トハラ語 |
父 | *pH₂tér- | father | pater | pitṛ́ | pācar |
2 | *dwóH₁ | two | duo | dvā́ | wu |
足 | *ped- | foot | pēs | pā́d- | pe |
馬 | *ék̂wos | 古英語eoh | equus | áśva- | yuk |
複数の語派(語族の下位区分)にわたって対応する語彙が存在することがわかると思う。これらの同根語が存在することで、「英語とサンスクリット語は親戚なんだなぁ」というのがわかるわけだ(お墓に卒塔婆って置いてあるじゃん。あれに書いてあるのがサンスクリット語)(足で操作する機構を「ペダル」といったり歩行者デッキを「ペデストリアンデッキ」といったりするのは、英語のfootに対応するラテン語pēsからの派生語なんだよね)(「父権主義」が「パターナリズム」になるのも、英語fatherに対応するラテン語がpaterだから。これがポルトガル語でpadreになり、そこから日本語に入って「ばてれん」になるわけですよ)。
ついでに日琉語族の表も示しておく(Vovin 2017)。基礎語彙において規則的に音韻が対応しているのは、これらの一致が偶然ではなく日本語と沖縄語が親戚であることの動かぬ証拠だ。
- | 標準語 | 沖縄語(首里) |
これ | kore | kuri |
鳥 | tori | tui |
米 | kome | kumi |
場所 | tokoro | tukuru |
しかしロベーツ論文は、ひとつ以上の語族でみられる同根語が317、2つ以上の語族でみられる同根語がわずか50、そして5つの語族で共有されている同根語はたったの2つに過ぎないという(Tian et al. 2022: 2)。思い出してほしいんだけど、ロベーツ論文はテュルク・モンゴル・ツングース・朝鮮・日琉の計5語族が同一の起源を持つと主張しているのね。なのに5語族で共有されてる同根語はたったの2ってどういうこと? って話になるでしょ。全然「トランスユーラシア語族」の証拠になってないじゃん。
っていうか、その50個の同根語リストの中には、ロベーツ氏自身が「これは借用語だよ☆」って書いてる単語が入ってるんだってさ。借用語は除くというのが比較言語学の基本なのに(借用語だと気づかずにリストアップしたならまだしも)借用語だとわかった上でリストアップするのヤバくない? そんなこと言ったら日本語が英語の親戚になっちゃうよ? 大丈夫?
反論論文の著者たちはこれに激おこぷんぷん丸になっていて、ロベーツ論文の「著者たちは彼ら自身の歴史的言語比較の原則を無視し、証拠を彼らの必要にあわせて歪曲している」(Tian et al. 2022: 3)とまで断言している。そりゃ、借用語混じりのたった数十の同根語で「トランスユーラシア語族は、ありまぁす!」って言われたらそう言いたくもなるわな。
遺伝学的にも、ロベーツらの論文は「不当な仮定(unjustified assumption)と、移民についてのありえそうな他の仮説を排除した選択的モデリング」に基づいているとバッサリ。考古学的証拠も「弱い」と切り捨てている。このへんは遺伝学や考古学に詳しいはてなーに解説をお願いしたいところ。
ロベーツ論文の結果を再現しようという我々の試みは[言語・遺伝・考古の]3つすべての面で重要な不一致をみた。さらにいえば、ロベーツ論文はこれら3分野の研究成果を統合するために「三角測量」を用いたと主張するが、その「三角測量」とやらの手法を定義も記述もしていない。したがって、彼らの手法に従って3つの分野に関する訂正を組み合わせることも不可能だ。つまるところ、我々が行った3つのデータセットすべての再検討は、ロベーツ論文の主張を完全に崩壊させた。トランスユーラシア仮説は未実証である。私たちはこの論文を取り下げるよう謹んで勧告する(Tian et al. 2022: 7)。
要するにアルタイ語族2.0は失敗したってことっすね。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々にとっては、自分の言語と文化の起源が国境の向こうにあるということは不快な真実だが、すべての言語と文化、人間は混じりあっている」って言ってたらしいけど、まずはご自分の仮説がボロボロだという不快な真実に向き合ってほしい。
こんなガバガバ論文を載っけちゃった『Nature』については、まあ……仕方ないところもあるのかな? ちょっとでも言語の系統とかに関心を持っている人なら「これアルタイ語族2.0じゃん」と気づける内容だけど、理系の雑誌の編集者にその目利きを求めるのも酷かな……査読者選ぼうにも誰がこの分野の権威かすらわからんだろうからな……ただし『トランスユーラシア語族ガイドブック』なんてものをホイホイ出版したオックスフォード大学出版会テメーはダメだ。お前んとこは人文系の研究書いっぱい出してるんだからアルタイ語族2.0くらい見抜けるだろうが!
なお、ペラール氏のツイッター(@ThomasPellard)を見たら「そもそも論証の基盤になってる語彙の出典が書いてないやんけ。これスタロスチンが作ったデータベースからのコピペじゃね? っていうかいくつかの言語が対応表に載ってないから同根語を検討できないんだけど?」という趣旨のツッコミをしていた(https://twitter.com/ThomasPellard/status/1536288665936306176)。あっ……(察し)
そろそろ凱旋門賞ですが、タイトルホルダーくん楽しみですね。天皇賞(春)と宝塚記念の圧勝劇(+お姉ちゃん)ですっかりファンになりました。ロンシャンでも逃げ切ってほしいですね。ただ背負ってる期待が大きすぎるドウデュースくんにも勝ってほしい……武豊を凱旋門賞に勝たせるために生まれてきた馬になったら胸熱すぎるでしょ……
あと先日のセントウルステークスは感動で泣きそうになりました。桜花賞のころから推してたので……(ソングラインちゃんも安田記念戴冠おめでとう。BCマイル頑張れ!)。スプリンターズステークスで今度こそ待望のG1制覇を成し遂げてほしいですね……
ユキノビジンは! 引けませんでした!(すり抜けで夏服メジロドーベルとサクラチヨノオーが来たのでまあ良し)
これ見落としてましたわ。教えてくれて感謝。こちらの方がわかりやすいのでみんなペラール氏の解説動画を見てクレメンス。
博士号って持ってないからわからないんですけど食べられるんですか? ご飯粒よりおいしいんですか?
ここでもいくつか紹介されているようにトマ・ペラール氏は日本語でもいろいろ書いているしTwitterやAcademia.eduなどでも積極的に情報や研究を公開していて我々素人にとってはとてもありがたいです
ペラール、ヴォヴィン、ローレンスの3氏は色々academia.eduに上げてくれてて助かりますよね。ところで素人とはいったい……うごごご。
有り難い要約だけど、最後の「アルタイ語族2.0」だから胡散臭い、という部分はやや迂闊かと。当該論文はそうでなさそう、というだけで真に画期的な論文によりアルタイ語族が復権することは可能性としてはあるよね
もちろんそれはそうです。ちゃんとした比較言語学的な手法で「アルタイ語族」の存在が実証できるのならそれは歓迎すべきことで、その可能性は残されています。ただ、これまで数百年にわたって研究が続けられてきて熱心な擁護者も大勢いるのにまだ確固たる同系の証拠が出てきてない、というのは相当に重い事実ですよね……。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々」のことを揶揄してますけど、日琉語族の分類というのはまさにその「自分たちの言語はどこから来たのか」というルーツ探しの情熱に取り憑かれた人たちがいっぱい研究して、それでもなお結論が出ていないテーマなわけで(cf. 日本語の起源 - Wikipedia)。
増田はドシロートなんでなーんも独自の見解は持ってないですが、古代ロマン的な観点からはanond:20211121124146でも言及した大陸倭語仮説が面白そう(「大陸倭語」の存在はまだ定説にはなってないことに注意)。島嶼倭語(仮に「大陸倭語」の存在が実証されない場合は日琉語)のUrheimatは五十嵐氏の指摘に沿えば近畿地方のあたり(多分四国ではない)。日琉語族が列島と半島にまたがって分布していて、そのうち大陸倭語が南進してきた朝鮮語族に同化されたと考えると古代の日本と朝鮮半島との関わりに色々納得がいく(繰り返すように素人が古代ロマンといくつかの論文に基づいて妄想したものです)。では仮に対馬海峡をまたいだ日琉語族の存在が実証されたとして、そのUrheimatは……どこでしょうね? なんもわからん。
あ、トラバでやたらゲノム研究のURL貼ってる人は、(もし同一人物なら)去年の議論で血統と言語系統を混同したり(anond:20211121201022)、論文や増田の内容を理解できてなかったりする(anond:20211121224311)ような人なので、マトモに相手する価値はないっすよ。一応ご忠告。
北朝鮮などと同じで、アメリカからの不安定化工作で、ロシアもにっちもさっちもいかなくなってる模様。
韓国領の東西でドッカンドッカン共同軍事演習されて、「戦車とか兵隊対抗できる規模で移動させないとこのまま上陸するぞ」とやられて、燃料も無いしアメリカがくれるドッグフードも無し、150日闘争とかやってる最中に、ノルマがあるのに燃料とか資材も食料も軍に徴発されて、ノルマ達成失敗したら処刑されると分かっていても、反乱起こしたら家族まで全員処刑だから泣きながら燃料も資材も食料も出す。
もう軍隊を東西に移動なんかさせる余裕が無いから、泣きながらミサイル撃って、ハワイ方向とかグアム方向に、届きもしない中距離ミサイル発射して、日本上空を通過させられたら御の字。
中国も民主化の反乱とか暴動起こさせるCIAの工作員予算が膨大だから、中国系二世三世で中国語ネイティブの工作員が暴動とか反乱組織して、ウイグルとかチベットで虐殺が起こっているんだとプロパガンダ合戦。
貧困撲滅とか汚職摘発なんかやっても、もう抑えが効かないから発狂して、ゲーム会社でも芸能人発掘番組でも禁止禁止、次は演劇でも映画でもけしからんと言い出して全部禁止。
航行の自由作戦で台湾海峡でも、駆逐艦同士衝突したり船員落ちたり、重機関銃射撃開始して船体に穴が開くぐらいの事変が起こりまくり。意趣返しに中国艦が対馬海峡通過とか、ロシア艦が津軽海峡通過とかやる程度しかできない。
ロシア国内では経済制裁で、スーパーの棚はいつも空でソビエト時代に逆戻り。民主化勢力はCIA予算でオレンジ革命とか起こせるぐらい潤沢で、一人二人暗殺されてもガンガン立候補して、プーチンも負けたら刑務所行きか、広場に連れて行かれて吊るされる死刑確定なので、プロパガンダでウクライナでロシア市民が虐殺されてる映像作って抵抗。
ゴルバチョフとレーガンの頃みたいに、偽のスターウォーズ戦略に騙されて軍事費で干上がったり、ソビエト内の原発爆破する計画で、チェルノブイリふっ飛ばされてゲッラゲッラ笑われて、ソビエト崩壊まで持って行かれて生き恥。
今度も軍事侵攻して支持率が80%なんだとか、嘘でも何でも泣きながら勝っている振りす続けるしかない。
黒海とボスポラス海峡閉塞されて、黒海艦隊外に出られなくなったら、日露戦争で極東艦隊閉塞されて、203高地から観測されて28サンチ砲で艦隊壊滅させられたぐらいのダメージで、クリミア半島失うと地中海への出入り口が無くなって死ぬ。
第二のクリミア戦争が起こるか、朝鮮戦争とかクウェート解放戦争やらアフガン戦争みたいな、計画的に馬鹿や州兵を戦地に送り込んで死なせる話が出来上がっていて、国内は新車たアイフォンがバンバン売れるぐらい景気が良くて、戦地では知的障害のマヌケが死にまくるパラダイスの開始。
空自の緊急発進、元年度は947回 対中国機が増加 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200409/mca2004091724025-n1.htm
防衛省は9日、領空侵犯の恐れがある外国機に対する航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数が、令和元年度は過去3番目に多い947回だったと発表した。999回だった前年度に比べて全体では52回減ったが、中国機に対しては37回増加した。中国軍は東シナ海や対馬海峡付近で活動を活発化させており、緊急発進の多さに表れた。
947回のうち、対中国機は675回で71%を占め、前年度比7ポイント増。H6爆撃機やY9早期警戒機が沖縄本島と宮古島の間を航行し、太平洋方面に進出したケースも5回あった。
中国公船、過去最多に 尖閣接続水域 既に998隻確認 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191202/ddm/001/010/090000c
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で、海上保安庁によって確認された中国公船が今年1月1日から11月29日までに延べ998隻に上った。
※この後、12月中に1000隻を超した。
遅れてきた帝国主義とか言われてるように、中国は絶賛版図拡大中。
当たり前だが日本も狙われてる。
現在、あたかもマスコミに報道管制が敷かれているかのように極端に情報が少ない。
アメリカのミネソタ大学や韓国のプサンからの情報もまだあまりない模様。
国家の機密に関する諜報員であれば国が隠したがるのも辻褄が合う。
名前も死因も明かされないということから諜報員と考えるのが妥当だろう。
理由は分からないが、諜報活動に何らかの問題が発生して何者かによって殺された可能性が考えられる。
もし他殺されたとしたなら、プサンから渡航してきたかのように見せかけるために北九州市沖でゴムボート上に放置されたという推測は現実的で最も有力と思われる。
なぜなら、第7管区海上保安部もコメントしているように、冬の対馬海峡の荒波をゴムボートで渡航することは通常では考え難いからだ。
報道によると遺体には目立った外傷はないということで、他殺事件とも断定はできない。
何らかの理由により、自らゴムボートで帰国したという可能性も捨てきれない。
確かに常識的に考えてプサンから北九州市までゴムボートで渡航するのは無謀だ。
先日の日経を見てびっくらこいた。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100708k0000m040030000c.html
http://www.pref.toyama.jp/cms_cat/404030/kj00000275.html
日ソ間も「冷戦」だったのだが、そのころに見たTBS系「報道特集」で、
ソ連太平洋艦隊が「逆さ極東地図」を掲出していた画像が印象的だった。
「いかにソ連太平洋艦隊が、日本列島に進路を阻まれているか、を
ビジュアル的に実感できる」からである。
言われてみれば、そのころ「三海峡封鎖論」なんてのもあった。
「有事」に太平洋艦隊進撃を三海峡で「阻止」できるか、が軍事的議論になっていた。
「冷戦時代の遺物」のような気がしてならない。
というより、富山県側は「環日本海友好のシンボル」として販売していても、
逆さ地図を「ウラジオストクの上に覆いかぶさる邪魔な日本列島、を印象付けるためのシンボル装置」
として利用している危険性はないか?
(つまり、未だにロシア海軍は日本を仮想敵として、三海峡を軍事的に攻略したい、と
考えてはいないか?)