はてなキーワード: カーボンニュートラルとは
皆さん、そろそろ「ベース電源」て言葉は忘れてくださいの続きというか、コメント増田への返答です。
安田先生は風力屋じゃなくて電力取引市場制度の研究者だよ。あと、引用したコラムは2015年のものなのね。そこから7年経って、太陽光と陸上風力は欧州でも中国でもグリッドパリティ(fitなどの補助金なしのメリットオーダー最上位)を達成しつつある。中国ではこの8月にFITが終了し、純粋なコスト競争力の面でも再エネが最も優位のエネルギーになった。海外の再エネ業界では次のマイルストーンは「洋上風力がいつグリッドパリティになるか」で、風況がよいロケーションなら、既にグリッドパリティの8円/kwh台に突入しつつある。これってどういうことかわかる? 環境正義とか、カーボンニュートラルとか、原子力発電のリスクとかは、もう関係なくなってくんの。正しく設計された電力取引市場では、追加仕入コストがほぼ0のエネルギーに、追加仕入コストに燃料代がかかるエネルギーは絶対に勝てない、ということなんだよ。 火発や原発は、環境倫理ではなく、純粋にコストで再エネに駆逐される。
安田先生の主張が「ポジショントーク」で信頼できないなら自分で色々調べてみればいい。例えばデロイトトーマツのレポートなんかどう?
あるいはwikipediaの「ベースロード電源」項目の英語版やドイツ語版、スペイン語版を読んでみるのもいいかも。日本語版にはない、「ベースロード電源は時代遅れ」という言葉がしっかり書かれている。"baseload outdated"とかでぐぐってみるのもいい。2010年頃から(ベースロード電力需要に対応する)「ベースロード電源という考え方はもう時代遅れだ」という論考がズラズラ出てくる。インテリジェントな電力グリッドと取引市場が整備されれば、ベースロード電力需要はVRE(変動性再エネ)だけで満たすことは理論的に可能だ、という認識自体は、先進国の電力業界ではだいぶ前から常識になっている。日本はこういう議論が10年ぐらい遅れてて、つい最近まで「ベースロード需要はベースロード電源で、ピーク電力はVREで補う」と言い続けてたけど、電力取引市場の導入でこれもだんだん変わってくると思う。
風力発電はコスト的に原子力の1.5倍以上だしもともと需要が低めの冬と夜が良いとなると,市場の余剰電力の飽和が常態化するとかなり設備負担が重くなってきそうだし,供給を絞ってくるように思える.(というか電力市場で売るという想定を立てた場合風力発電はコスト的に成り立つのか?)
これは上でも書いたとおり、少なくとも陸上風力は海外ではグリッドパリティを達成し、コスト的には「成り立つ」ことが証明された。あとは洋上風力をどこまで低コスト化できるかという段階。日本でも、北海道から東北・北陸にかけての日本海の風況なら、洋上風力でもいずれグリッドパリティが成り立つと見込まれているから、かなりの数の開発計画が目白押しになっている。https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210421/biz/00m/070/002000d。
ただ,付けたり消したりが二番目に難しいのが原発である以上(一番難しいのは自然エネルギー発電ですよね,逆ザヤでも売らないといけないわけで)調整目的で動かすのもなかなか難しそう.
再エネには、長期償却計画的な意味での逆ザヤはあっても、限界費用的な観点での逆ザヤ状態はない。だから、設備が発電してる時は最安値でも売ればよくて、売電を止める必要は全くない。もし止めるとしても、太陽光はただ系統から切り離すだけ、風力はブレードを寝かすだけなんで、別に大変じゃないけど(九州で太陽光の出力制御をしたとき、「停止や稼動が大変だ」って声は全くなかったでしょ?)。稼働自体に追加コストがかからない再エネ発電設備の事業者にとって、安値でも売るのと設備を止めるののどっちが得か、少し考えてみればすぐわかると思う。
ちなみに、今は日本では出力制御の順序が国によって決められてて、発電量超過の時は、最初に火発を止め、次に太陽光と風力を止め、最後に水力・原子力・地熱を止める、ということになってる。なんでかというと、原発は国が定めた「長期安定電源」だから。経済合理性よりも「最後まで止めてはいけない電力はこれ」という国のルールが優先されて、限界費用が安い電力のほうを先に止めてる。つまり「長期安定電源」という概念自体が、電力エネルギーの効率的な生産と利用を阻害する反市場的な障害物になってしまうわけ。国民が損するってことだよ。
世界的には電力をめぐる議論の中で非主流になったどころか、すでに現実自体に追い越され否定されたようなことを、日本では未だに大真面目に主張してる既存電力業界のステークホルダーの人達がいる。で、ネットには、その人達の言うことを鵜呑みにして10年前の再エネ否定論を信じてる人達がこれまたいっぱいいる(実は俺もそうだった)。「ベース電源」はその象徴みたいなもんだよ。せっかくここまで読んでくれたなら、そのへんの状況は自分自身で納得行くまで調べてみてほしい。その上で生産的な再エネ否定論・懐疑論をやるのは良いことなんだから。
発表された野党共通政策が、立憲民主党の7つの公約ほどには話題になってない。
総裁選で候補の政策は気にする世間の人も野党の政策なんか実現しないと思ってるのか、総裁選に比べて全く話題になってないけれど、野党の共通政策が流石に酷すぎるので苦言を呈したい。
流石に自民はどうなんだ?って思ってても、これは支持できないよ・・・無理だってのを理解して現実的な案にして欲しいんすけど・・
https://www.youtube.com/watch?v=hwIbPC_6_6E
立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党は8日、衆議院選挙の共通政策を市民グループと締結したのだが
その内容は以下の通り
https://cdp-japan.jp/news/20210908_2040
https://cdp-japan.jp/files/download/887E/m254/iPv9/apxG/887Em254iPv9apxGOe6OEhxQ.pdf
新型コロナ対策に関しては、今や誰が政権を運営しようと、「ワクチン開発・接種の推進」「治療薬開発の推進」「医療難民ゼロを目指し拡充」「人流抑制、行動制限など抑制策」「コロナによる経済的困窮者への支援」
という大きな枠組みを外すことは不可能なので、ここに関しては野党連合だろうと、自民だろうと大きな差は生まれないと思ってる。なので問題ないでしょう。
つまり、これを言い換えると、新安保法案で制定された集団的自衛権を削除して行使をさせないという事でしょう?
中国は日本に対して、台湾有事に台湾サイドに立つならば核を使う事も辞さないと言ってる状態なんですよ。
中国北西部の共産党委員会が日本を標的とする核攻撃動画をネット上で再公開した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c5c7f2b673d88330fcc378ba1aabfe20ac85723a
日本には核はありません、中国には日本を狙える中距離弾道ミサイルが2000発以上ありますが、アメリカ軍基地も含めて日本から中国を攻撃できる中距離弾道ミサイルは一発もありません。
日本が既にQUADに参加し、日本自身が自由で開かれたインド太平洋戦略で、対中包囲に参加して国を守ろうとしてる時に、集団的自衛権が行使できないとか正気の沙汰じゃない。
核を使うと言ってる中国相手に、集団的自衛権も行使できない日本が国を守るためには、それこそ中国に隷属するしかない。
最低賃金引上げって、お隣韓国の惨状を少しは見てはどうだろうと思う。韓国は最低賃金の引き上げによって、雇用が悪化した。
岸田も高市も所得の増加を目標に掲げているけれど、それは経済成長によってであって、最低賃金の引き上げという自殺案だけを目標には設定してないんですよ。
うまく行かないのが分かってるものに賛同できますか?無理ですよ。
最低賃金については、ブコメみても誤解があるのは分かったし、俺の書き方も良くなかった。oakbow さんのブコメが端的に表してる
oakbow 安保法制については増田と同意見なんだけど、最低賃金についてはどうだろう。お隣は急激な引き上げが失敗に繋がったと聞いているんだけどな。今でも徐々に上げてるので一気にあげないなら提案する意味ないけど
今も最低賃金は緩やかに上がってる。わざわざ公約に上げるって事は急激な上げ幅にするって事だと思う。仮に1500円とかにしたら、韓国化するってことだね。
最低賃金は現実を見ながら緩やかにあげていけばいいことで、経済成長を実現してくれれば自然に達成されるものだ。
立憲民主党の赤松も、一度減税した後に再増税することは難しいし、福祉の財源の問題もあると、反対していたけど、これから高齢化社会を迎えるのが分かっていて
福祉制度の維持の為に腐心していく必要がある中で、減税をするというのは現役世代に死ねと言ってる様なものだ。昔の世論調査では消費税増税について、納得している、と答えた人が多かった。
それだけ将来的な福祉制度、医療制度の維持について、多くの人が不安視してるという事でもありますよ。
政権とって一度減税したら、再増税する際には一気に支持を失うのが分かってて、野党連合にその決断ができるだろうか?例え時限的と言ってても出来ないと思う。その間に将来の福祉制度が殺されていくだけです。
自分の老後にベターなものを残せるようにしたいから賛同できないよ。
立憲民主党は政策で、全ての原発の停止・廃炉を決定するまでといってるけれど、これは一番センスない政策だと思いますよ。これに関しては国民民主の玉木も代替エネルギーがない以上は飲めないと批判してる。
https://www.youtube.com/watch?v=YVCHrME8I10&t=1s
以下は玉木の言葉と大差がないですが、現在、世界は2050年にカーボンニュートラルを目指してます。脱炭素社会ですね。
日本でも毎年のように天候不順を理由とした災害が起こっていて多数の犠牲をだしている様に、気候温暖化問題は現在の世界にとって死活問題になってますね。
でも、現在の世界は石油に代わりうる強力なエネルギー源を原発しか持ってない。2050年まで時間はないという中で、石油に代わる代替エネルギーが研究開発できるか?というと怪しいでしょ。
クリーンエネルギーの研究開発を進めると同時に、原子力エネルギーの保持もして(岸田は核融合研究推進まで言及してる)、カーボンニュートラルに向けてカードを作っていく事が大事な時に、原子力は即時停止・廃止ってセンスなさ過ぎて泣ける。
減らしていこうって言うのはいい。急にすべてを断つのは自殺に過ぎないと思う。だから、これも賛成できない。
こんなもんない方がいい。
こんな酷い政策を前提にしないとならないなら、野党連合なんか消えてなくなった方がいい。国民民主党は共通政策に賛同しなかったみたいだけど、それはそうだと思いますよ。
こんなのは非現実的というか、現実を全く見てない酷すぎる政策だと思う。今の自民党には問題がある、だから議席を減らしてやった方がいいって所までは同意するけど、
こんな悲惨な政策で日本を破壊しようとしてる連中に縋ってまで、自民党政権を否定する必要があるのか?俺は分からなくなったわ。
話題になってないのは、これが実現されたら日本は終わるよってのが、分かってるから誰も触りたくないからですか?そうとしか思えない程、酷いんですけど、どうなってんですか?
野党連合を支持するには、この猛毒を飲む行為を踏み越えないといけないなら、ちょっと俺には難易度高すぎる・・・・リベサヨ難易度高すぎる・・・
いったい、貴方たちは、どうやってこの政策は正しいと自分を納得させてんですか?
QUAD、日米同盟などの同盟関係を締結する中で、同盟国が戦争する時に、自分は個別自衛権しかないから戦えませんとか言い出す国を誰が本気で同盟関係のある国と考えるの?
外交が分からないだけじゃん。集団的自衛権があることで、同盟関係が日本を守る時に強く機能する(それ故に、尖閣諸島に手を出せば安保発動だとアメリカが言う)という話をしてる時に、同盟国は日本が共に戦わなくても戦ってくれるって前提でいるのはアホだろ。
同盟国アメリカが本気で守らない日本は中国にとって攻略しやすいカモでしかない、だからこそ負担が一方的であることについての問題であると、安保法案成立時に散々語られてきたはず。5年遅れてるよ。
安倍政権のときに史上最長の好景気と喧伝されていたけれど、多くの人々にとっては実感の薄い好景気でした。たとえ経済成長していたり企業が収益を上げていても、賃金が「自然に」上がっていくことは、ほとんどありません。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0403.html
シンプルに嘘つくなよ。デマってのは、このことだよな。自然に上がる事はない?何が?データを調べるって事も出来ない?
原発の無い脱炭素社会を追求の項目は内容がなさ過ぎて、あなたのお気持ちは分かったとしか言えない。俺の回答は、脱炭素にむけて、今現在有効に使える原子力は最も強力な代替エネルギーのカードで
他のクリーンエネルギーはまだ何も形になってないか、有効性が低すぎて石油・石炭の代替エネルギーにはなりようもないというだけ。シンプルに発電量は足りない。可能性では現実は上書きできない以上は、原発はカードとして保持しておくべき。
というだけ。もしも今すぐに原発に置き換えられるクリーンエネルギーがあるなら、世界を救ってみては?ないし、時間がかかるからこそ原発は軽視できない。電力の安定無くして経済成長もない。
「MIRAIには未来はない」理由を、理系のはてなーにわかるように書く の続きで、バス・トラックのFCV化の可能性について書こうとしたんだけど、そこからだんだん水素社会自体について考え始めてしまったのでダダ漏れで書きます。
前増田のブコメで「バス・トラック分野についてはEVよりFCVのほうが優位なのでは?」という指摘を何件かもらった。技術的には概ねその通りだと思う。前増田で挙げたFCVの諸課題は、(2代目MIRAIが実際にそうしたように)車全体のサイズを大きくするほど希釈・軽減されていく性質がある。一方でEVのほうは、車が大型化し、求められる航続距離と出力が大きくなるほど必要な電気容量も増え、それに伴ってバッテリセル部の大型化・重量増・充電時間の長時間化という問題が重くのしかかってくる。
だから、FCVを自家用車のスケールに展開しようとすると技術的に無理が生じてくるし(たとえば、軽自動車サイズで実用的な航続距離を持つFCVを作るのはあまり現実的でない)、逆にEVを大型商用車のスケールに展開しようとすると実用性の面で問題が生じてくる(高価格・高重量で給電にも時間がかかる)。言い換えれば、EVとFCVは、その特性が活かせるスイートスポットが違っている。EVは二輪車〜自家用車レベルに向いていて、それより上へのスケールアップには課題がある。FCVは大型商用車用途なら一定の強みを発揮できる可能性があるけど、自家用車以下へのスケールダウンには向いていない。だから「乗用/大型商用で線を引いて棲み分けする」という選択肢は確かにありうると思うし、当のトラックメーカー側も、日野・いすゞ・ダイムラー・ボルボあたりは現状はEVとFCVの両ベット戦略で進んでて、しかもFCVのほうが将来有望だと考えているように見える。
※大型商用車のEV化については、バス・トラックのバッテリセル部がモジュール化されて、トラック向けの幹線ガソリンスタンドのような「バッテリ換装ステーション」でメーカーや車種を問わずに換装・課金される仕組みが整う可能性もあるんだけど(外付け換装型の商用EV自体は日本では川崎市のゴミ収集車などで、中国では大型トラックで導入されている)、かなり大規模なインフラ変革になるので、バス・トラック業界全体が早急にこの方向でまとまるとは考えにくい。
一方で、実際に大型商用車がEVとFCVのどちらに寄っていくかは、単純に技術的・コスト的な優位性だけでなく、社会や行政がモビリティの分野で「EVベースの電気社会」と「FCVベースの水素社会」のどちらがリアルな選択肢と考えるかによって大きく左右されるかもしれない。個人的には、大型商用FCVは技術的にはEVに対して現状優位にあるけれど、この「社会的なリアリティ」という点から見ると、だんだん厳しいことになっていくような気もする。国と資エネ庁は、モビリティ分野に留まらず我々の社会全体に水素というエネルギー源が浸透する「水素社会」という壮大な絵図を描いて、自家用FCVをその中核的存在と位置づけてきたわけだけど、自家用FCVの将来が怪しくなってきた今、「水素社会」というエコシステム全体にも、それが翻って大型商用FCVの未来にも、陰が差し始めているんじゃないかと。
資エネ庁の水素社会の見取図には、実現しつつある「水素社会」の具体例として、
が掲げられている。このうち①②は、ガス網を経由して送られた天然ガスを改質して水素を作り、さらにそこから電力と熱を取り出す技術だ。この反応過程に水素が介在していることで、「水素社会」の尖兵みたいな扱われ方をしてるけど、改質段階で結局CO2を排出してるので、実は全然カーボンニュートラルではない。天然ガスの持つ反応ポテンシャルを余すことなく高効率に使ってるだけ。
③④は、水素を何らかのインフラ経由で地上の固定設備に輸送し、そこで電気を取り出す技術だ。カーボンニュートラルな水素には、主に「グリーン水素」(再エネの電気で水を電気分解して作る水素)と「ブルー水素」(天然ガスなどを改質して水素を取り出し、同時に発生するCO2はCCSで地下や海底に圧入貯留する方法で生産される水素)の2種類があるけど、グリーン水素で③④をやるのは「電気で製造した水素を物理的に運んで、その先で水素を使ってまた電気(と熱)を作ること」に等しい。そんなエネルギーロスを繰り返すぐらいなら最初から送電網で送った電気を使えばいいわけで、基本的に③④はブルー水素でしかやる意味がない。
ところが日本政府が「水素社会」実現時期のベンチマークとしている2050年にはブルー水素はグリーン水素よりコスト高になるとの予想も、いや2030年にはそうなるという予想もある。そうなった時点で、③④は「電気より割高なエネルギー源」を使って電気を作る、社会的に無意味なアプリケーションになってしまう。
そう考えると、実は「水素社会」のビジョンって、石油・ガスなどの化石燃料エネルギー関連産業と、その産業に紐づく重電系企業・商社・省庁が、既存の資源や技術やインフラを使い廻しつつ「我々もカーボンニュートラルできます! やります!」つって延命するために目いっぱい膨らませてみた風船なんじゃないか、という気がしてきた。
エネルギー企業はこれまで通りLNGや石油を掘り、それを改質し、ブルー水素を取り出し、CCSでCO2を地中に送り込む。商社は既存エネルギーと同じようにそのブルー水素を輸入する。重電企業は既存のLNG火発のガスタービン技術を使って、ブルー水素で発電する。ガス会社は既存の都市ガス網やプロパンガス供給網への水素混入度を高め、情勢を見つつ緩やかに水素ガス供給網に転換していく。こういう、既存の産業構造がそっくりそのまま生き残れる「ありき」の姿から逆算して「水素社会」のビジョンが立ち上げられ、そこに①②③④が繰り込まれてるんじゃなかろうか、と思ってしまった。
このパンパンに膨らんだビジョンを針でつつくと、「水素社会」の絵図の中には⑤の燃料電池自家用FCV・フォークリフト・バス・トラックだけが残る。確かに「設備と送電網を結線して、そのまま電気を利用する」ことができない分野=非結線のモビリティ(自動車・気動車・船舶・航空機など)なら、エネルギーを一旦「水素」という物体に変えて持ち運ぶ必然性が出てくるし、コストや容量の面でも「送電網から無際限に送られる電力」ではなく「有限のバッテリに蓄電される電力」と競うことになり、水素陣営から見た競争条件はだいぶマシになる。でも前増田でも書いた通り、そのモビリティ市場の核となるはずだった自家用FCVは、技術的にだんだん死に筋に入りつつある。
…と考えているうちに、自分は大型商用FCVの将来にもそれほど明るい見通しが持てなくなってきた。「水素社会」の現実的な利用分野が大型商用FCVぐらいしかないとしたら、我々の社会はそれでも「水素社会」路線を推進するんだろうか。そのとき、FCV向けの高純度水素は現実的な価格で流通するんだろうか。もしかしたら大型商用FCVはEVに対する技術的優位性を発揮して、LPG・CNGバス/トラック/タクシーみたいに(一般人には馴染みが薄いけど、社会を支える縁の下の力持ち的な存在として)地道に普及していくのかもしれない。あるいは、この分野のためだけに「水素インフラ」を全国的に整備するコストを社会が負担できず、大型商用車分野でもバッテリ換装や超急速充電などを駆使してEV化が進んでいくのかもしれない。どっちにしても、いま官民が推し進めている「水素社会」の壮大なビジョンとはだいぶかけ離れた、なんだかシケた未来像が思い浮かんでしまった。
モビリティ分野の他に、「水素社会」の普及・浸透が見込めるような「これだ!」って新分野はあるんですかね〜。水素焼肉? 速い水素乾太くん?
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4252977.html
ブコメでは誰も指摘していないから書いてみるが、2030年に2013年比46%削減、というのは、2050年を排出量0(カーボンニュートラル)として2013年から直線を引っ張ると、2030年に46%減になるという数字遊びに過ぎない。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042301131
むしろ46%という数字はガースーが所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル」を掲げた時点で既定路線とも言えるし、
一部環境団体はいわゆるIPCC1.5℃シナリオをもとに、日本は2030年に50%以上の削減が必要としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/541363ed1b6ae6f6e451270e87c3057742b11383
大局的にみると、日本でエネルギーとして供給されているうち、発電に使用されているのは半分以下でしかない。
https://trienplus.com/energy-energy-flow-and-energy-resources/
残りは、自動車を動かしたり、家庭で都市ガスを燃やしたり、化学工場で窯を加熱するのに、直接ガソリンや天然ガスや石炭を燃やしているわけだ。
また、鉄鋼業の高炉(コークスによる酸化鉄の還元)や、セメントの製造(石灰石を加熱)など、プロセス上必ず二酸化炭素が発生する産業も存在する。
これらをカーボンフリーに置き換えるのは、電力を再生可能エネルギーでまかなうよりはるかに大変だ。
もちろん、そんな産業には日本から出て行ってもらう、と主張する方もいるだろう
でもそれって、地球規模で見て意味のあることなの? ということを考えてほしい。
カーボンニュートラルに近づける方法はいくつかある。
https://www-iam.nies.go.jp/aim/projects_activities/prov/2020_2050Japan/2050_Japan_201214.pdf
ただし、「電化」と「電源のカーボンフリー化」は同時にやらないと意味がない。
ガソリン車から電気自動車に置き換えても、火力発電で作ったエネルギーを使っているなら意味がない。
一番上のグラフを見て、2013年からの減少ペースでいけばいけるやん!と思ったかもしれないが、現実はそう簡単ではない。
2011年の原発事故以来、原発を再稼働せず、火力発電を積み増したことで、2013年のCO2排出量はかなり上振れしたものになっている。
https://twitter.com/ikedanob/status/1385950440135675906
これを、FITによる太陽光パネル設置や原発再稼働などで減らしてきたわけだが、
ここからさらに同じペースで排出量を減らせると考えることには無理がある。
とこれだけの理由がある。
また、電力以外でのCO2排出については、これからの部分が多い。
たとえば高炉で還元剤として水素を使うことでCO2排出量を削減する研究がおこなわれているが、
2030年に46%減、というのがどのくらいチャレンジングなのかはわかったと思う。
冒頭の進次郎のインタビューに戻ると、
「意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものを出すと『何かそれって低いね』って。『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね」
というのは、こういうことを指している。
ま、要するに日本全体がベンチャー精神でがんばれってことだけど、
それを外交的に利用されるのは勘弁してほしいよね。(京都議定書の排出削減目標が達成できなかった日本は、中国やロシアなどから、官民合わせて排出枠を1兆円程度買っていると言われている)
再生可能エネルギーのポテンシャルは、日本で見てもまだまだある。
風力と太陽光だけでも、日本の電力需要の何倍ものポテンシャルがある、と環境省は試算している。
https://www.asahi.com/sdgs/article/art_00097/
太陽光がいろいろとネガティブな話題を振りまいた(FITによる電気代負担、メガソーラーの環境破壊など)いっぽう、
太陽光発電のコスト構造は、土地代とパネル購入費でほとんど決まってしまい、大規模発電所が建設できない日本は不利かつ、技術進歩の余地が少ないのに対して、
風力発電はタービンこそ海外製だが、設置工事やメンテナンスなどで国内に雇用を生む可能性が高く、浮体式が実現すれば規模もそれなりに可能性がある。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/001.html
そもそもあれ
「これヨーロッパEUは、プラスチックの軸が使われている綿棒が、販売禁止っていう、そういう国もあるぐらいなんですよ。」
からの
「これに依存して人間の経済社会活動が営まれる時代を変えようっていうのが、カーボンニュートラルであり」
であって「日本人は」という話じゃないよね。
「で、なんでじゃあこのプラスチックを、そうやって使い捨てを減らそうと思ってるかというと、プラスチックの原料って石油なんですよね」
の「思ってるかというと」も小泉進次郎が思ってるという意味じゃなくて、ヨーロッパEUがそう「思って」販売禁止したって話だよね。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20210319-00228330/
JAM THE WORLD│J-WAVE│2021/03/18/木 19:00-21:00 http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20210318202030
20:30~
「今回もこのプラスチックの法律を作る中で、やはり様々な関係者の話聞いて、法律を作ってますから、その中で、今回話題になってるスプーンの話がなんで出てきたかと言うと、
使い捨てプラスチックを大量に使っている業界に対して、使い捨てプラスチックを減らしましょうという中で出てきた業界が、まさにコンビニとかホテル、旅館、こういったところで使われているアメニティってありますよね?
剃刀の柄がプラスチックだったり、歯ブラシもそうですし、綿棒の軸がプラスチックだったりする、これヨーロッパEUはプラスチックの軸が使われている綿棒が、販売禁止って言う、そういう国もあるくらいなんですよ
なんでじゃあこのプラスチックを、使い捨てを減らそうと思ってるかというと、
プラスチックの原料って石油なんですよ!意外にこれ知られてないんですけど、
石油の色も臭いも無いじゃないですか、だからわからないと思うんですけど、石油って化石燃料で、この化石燃料・石炭・石油・天然ガス、これに依存して人間の経済活動が営まれる時代を変えよう!というのが、カーボンニュートラルであり、
このプラスチックをもし使うのであれば、リサイクルが前提となる、ゴミがでないサーキュラルエコノミーなんですよね。大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却はまさにそういうことですね」
以前「賃貸主義は、「孤独死を嫌がって大家は高齢者に家を貸さなくなる」というリスクに
未対応だ」(賃貸推奨のちきりん女史は間違っている)と投稿し、
http://anond.hatelabo.jp/20101202202019
「アパート経営はそもそも1990年前後のバブル期相続対策が主目的だから、
次世代が相続対策の必要性が薄れてきたら、アパートも経年除却されるから、
http://anond.hatelabo.jp/20101216162937
「次世代のアパート大家は、先代の経営を「消極的に」引き継ぐが、
経年劣化とか防災対応(耐震性の義務付け)とか環境対応(カーボンニュートラル義務付け)の
マイナスインセンティブがあると、アパート経営をその時点で見切るのでは?」と
書いたのだが、よく考えると「孤独死」自体がマイナスインセンティブの引き金(トリガー)になる。
つまり、5戸のアパートで、1戸に孤独死が発生し、その対策費に70万円も掛けてしまった、という
苦い経験をした大家は、「もうアパート経営はこりごり」と思ってしまう可能性が出てくる。
経済的に「70万円掛けたくない」というのもあるが、それ以上に精神的ダメージを受けてしまって、
「アパート経営で月10万円程度の小遣い銭は入るケド、別にカネに困っていないし、
二度と死体なんか見たくないから、アパートとりこわしちゃえ!」と思っちゃったりするかもしれない。
以前、
「大家が『孤独死リスクを恐れ』単身者に賃貸しなくなるリスクを考えると、
ちきりん女史のいうような『賃貸が分譲よりベター』理論は成り立たない」と投稿した。
http://anond.hatelabo.jp/20101202202019
これに対して2つの批判を頂いた。
①ちきりん女史は「多額の住宅ローンのリスク」を主張しているのであり、
「賃貸が分譲より勝っている」とは主張していない。
少額のローンで済むように、
年収相応な安価な家、つまり「狭い家」「古い家」「遠い家」を選べばいい。
②今後人口・世帯数が減少するので「借家需要」が減少するので、
「借家需給バランス」は「借り手市場になる」から、大家のワガママは通らない。
①については、確かにもっともな反論であり、分相応な家に住めばいい、と思う。
しかし、②については、一見もっともらしいが、実はカンタンに言い切れない点がある。
世の中には多量のアパートが存在しているが、これらアパートが建設された主目的、というのを
一般人はあまり理解していない。
確かに「借家ニーズがあるだろうから、そこそこ儲かるんじゃないか」という理由で、
つまり「純粋に借家需給バランスを勘案した上で建設された借家」も、それなりにある。
しかし、特にバブル期に建設されたアパートの類は、「借家需給バランス」以外の要因を
それは「相続税対策のために、アパート建設自体が自己目的になっているアパート」である。
そういうアパートは、必ずしも借家ニーズが強いから、という理由で建ったものではなく、
「相続税課税評価額が下がる」という政治的理由で建設されたのである。
恐らく、アパートを建てた大家=地主は、2010年までに「寿命」を迎えたので、
問題は、その次の代、旧大家の子供の代が、アパート経営を本気で行うか否か、である。
現時点ではまだ築20年だから、あまり老朽化することもないので、そのまま経営を続けるだろう。
しかし、これが2020年になり、2030年になり、相当老朽化した場合に、
「もともと自分の意思で始めた訳ではないアパート経営」を、そのまま続けるだろうか?
「旧大家の子供の代」も相続税対策に悩んでいるのであれば、彼らも本気になってアパート経営をし、
しかし、「旧大家の子供の代」が相続税対策するインセンティブは、2つの理由で希薄になっていると
考えられる。
①地価がじわじわ下がっているので、相続税そのものに頭を悩ませる必要がない。
②未婚率が上昇し、直系卑属(子・孫)を持たない大家が増えているので、
「相続人の心配」をしてやる必要性がない。
・・・となると、相続税対策意欲が乏しい「旧大家の子供の代」は、経年劣化が顕在化する前は
「消極的なアパート経営を続ける」が、いよいよもってアパートが老朽化した場合に
「高いリフォーム費用を掛けてアパートを新装」せずに、「入居者募集せずそのまま放置」、
もしくは「取り壊して更地化」するケースが、結構出てくるのでは?
「アパートといえどもカーボンニュートラルにしろ」と社会的要求が増してくれば、
ますます「消極的アパート経営を続けることのコスト」は増大する。
特に首都圏に多いアパートの相当数が「相続対策目的を主目的としたアパート」であるのであれば、
その「主目的使命を終えたアパート」は、経年すると「御役御免」となるのでは?
「アパート経営による経済的便益」を「アパート経営によるコスト」が逆転する日に、
一気に老朽アパートが賃貸市場から去って、需給バランスがタイトになる可能性は、ゼロとはいえない。
勿論、需給バランスがタイトになれば、それに対して一定の供給はあるから、
需給バランスは緩むのかもしれない。