はてなキーワード: 新聞屋とは
なんだったのだろうあれは。
素晴らしく感動した。シュタインズゲートのラストを初めて見た時のような感覚を味わった。
もう20年も前の作品とは思えない。
流石に映像の画質や演出、台詞回しは多少古臭さはあったし、突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める設定ではある。
一応、あらすじを説明すると。
「おはよう。そして会えないときのために、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい」というセリフを爽やかな笑みでよく言う青年だ。
彼は本人も知らぬ間に、自分の人生をずっと世界中に生放送されていた。
彼以外の人間は全て役者で演者だ。近所の人や会社の同僚やそこらへんを歩いている通行人、新聞屋の店員、果ては両親や親友や妻に至るまで。
いや、そもそも彼を取り囲む世界すべてが作り物だ。建物も道路も空も海も何もかも。
『トゥルーマン・ショー』というテレビ番組を面白くするために作られた巨大なドームの中で、彼は何不自由なく暮らしていた。
だがある日彼は日常に疑問を抱く。何かがおかしい。そう思った彼は、その謎を探るべく行動を開始する。
ここまで読んで興味を持った方は、ここから先はネタバレ全開なので、ブラウザバックして本編を見てもらいたい(アマゾンプライムに入っているのであれば今すぐ見れる)
まぁ色々面白いシーンはあるのだが、やはり衝撃的だったのはラストシーンだ。
紆余曲折を得て。
偽物ではない、作られた物ではない、真実の、本当の世界に彼は行こうとしていたのだ。
そしてドームの端っこにあった階段を登ると、EXITと書かれた出口があった。
トゥルーマンはそれを引いた。さぁ行こう、とした所で、彼に背後から声が掛かる。
「聞いてくれ。外に真実などありはしない。私の作った世界こそが真実なんだ。嘘や偽善はあっても、私の世界では、何も恐れるものはない」
プロデューサーは言う。
「君は恐れているんだ。だからそこから出られない。それでいいんだ。よく分かっている」
「ずっと君のことを見てきたんだよ。生まれたとき、初めてよちよち歩きをしたときも。初めて学校に上がった日も、歯が抜けた時のことも知っているぞ」
「君はこの世界を出られない。ここに居るんだ。私と」
プロデューサーはずっとトゥルーマンを見てきた、30年以上も。だからトゥルーマンを実の息子のように思っているのだろう。
言っている内容は残酷だが、語りかける口調はとても優しかった。
しかしトゥルーマンは悩んでいるのか、迷っているのか、押し黙ったままだ。
「トゥルーマン、なにか言ってくれ。生放送なんだぞ! 世界中の人が君を見てるんだ!」
プロデューサーがそういうと、トゥルーマンはようやく反応した、カメラに向かっていつもの爽やかな笑みを浮かべて口を開く。
「会えないときのために、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい」
そう言ったあと、演劇が終わったあとの役者がカーテンコールの時によくやるお辞儀をして、新しい世界へと踏み込んでいった。
すごい。素晴らしい。
俺の文章力では、あの爽やかさを、感動を、十分の一も伝えられていないのが口惜しいが。
本当に、気づいたら拍手していた。何度もうなずきながら。
まるで名作落語のオチのような。サッカーやバレーで、ここしか、そこしかないという場所にパスやトスが出たような。
そんな感覚だった。
このオチに何故深く感動したのかと言えば、それはきっとトゥルーマンが成長する瞬間を見れたからだ。
彼はプロデューサーに、怒っても良かった。いや、激怒するのが普通だろう。
だが彼は怒らなかった。何故自分を選んだ、と疑問をぶつける事もせず、プライバシーの侵害だ、訴えてやる! 金を寄越せ! 謝れ!と要求するでもなく。
彼はただ、今までお世話になった世界と視聴者とプロデューサーに感謝した。
本人も知らぬ間に世界中に自分の人生を生中継されていたという凄まじい運命を、彼は受け入れたのだ。笑みさえ浮かべて。
そして最後の最後までトゥルーマン・ショーの中のトゥルーマンを演じきって見せた。
それがすごい。あの場面で、あんなにもスマートかつクールに別れと感謝を告げられるのは、成熟した大人にしか出来ない。
しかしそのシーンに至るまでの彼は、子供だった。妻も親友も居て家も仕事もあったが、それでも彼は子供だったに違いない。
なぜならそれらは、番組を盛り上げるために与えられたものだからだ。彼自身が手に入れたものではないからだ。
しかし彼は、ずっと私の世界に居ろ。ずっとこの世界の子供でいろ、というプロデューサーの言葉を振り切って、自分の意思を貫き通し、ドームから出ていった。
彼の親代わりであるプロデューサーが作った安心かつ安全な作られた世界から出ていき、危険な現実に足を踏み入れ、自分の人生を生きることを決めたのだ。
本当にかっこよかった。
出ていった先の、本当の人生で、トゥルーマンの思うように行かない事もあるだろう。失敗も挫折も経験するに違いない。
あるいはドームに戻りたいと思うくらい、打ちのめされる事もあるかもしれない。
それでも彼ならきっと大丈夫だと思う。彼はもう子供ではないのだから。きっと上手く行くに違いない、と視聴者に思わせてくれる。
そして同時に、トゥルーマンは俺だ、俺たちだ、とも思った。
行きたいと思う道や、やりたい事があっても、それは押し殺される。あるいは自ら押し殺す。
周りの人間や世間から、批判される。誰もが選ぶ道を行けば安心なのに、何故お前はそちらに行くのかと。誰もが我慢しているのに、何故お前だけがやりたいことをやるのか、と。
安心で安全な自分たちと一緒に居ろ、と世間や周りの人間はそう言ってくる。
そう言った言葉に対し、トゥルーマンは、こうすればいいと俺たちに教えてくれた――そんな気さえする。
本当に本当に、素晴らしい映画だった。
ああ、誰かと語り合いたい……。
いまから約15年前、2005年か2006年頃の話。俺がまだ高校生だった頃の話である。
当時いつも口癖のように「カネが無い、カネが無い」とばかり言っていたクラスメイトの沼津(仮名)という男が、唐突に羽振りの良い話をするようになった。
キャバクラで10万使ったとか、パチンコで10万スッたとか、10万の腕時計買ったとか、10万単位の話ばかりするようになった。
高校生でキャバクラ行ったりパチンコ行ったりしてんのかよというのは置いといて、なんでお前の話はいつも10万なんだ、そもそもお前虚言癖で有名なクズじゃねえか。レジの金盗んだり、内引きしてたのがバレてスーパーのバイトを1週間でクビになった貧乏のお前がどこにそんな金あんだよ。
聞けば、今は結婚式の配膳のバイトをしているという。巨大なウェディングケーキを運んだり、来賓客にビールをついだりしてかなり重労働で、忙しい日などやっと仕事が終わるのが深夜0時を過ぎるなんてのが頻繁にあるが、時給は高いし残業代が死ぬほどつくので最低でも月20万は稼げるというのだ。
市内の様々な結婚式場に行くが、主に地元じゃ有名なホテルで働いているという。
いや、高校生が深夜まで働かされてるとか嘘だろ。と言うと、いわゆる派遣会社のような事務所に登録していて、事務所社長が各結婚式場に「18歳以上」と説明しているので高校生なのに深夜まで働いても問題ないという。
おいおいおいおい、あの有名な老舗ホテルがそんなクソみたいな業者に騙されてるとかありえないだろ。そもそも虚言癖の奴が言う話だし、どう転んだって信用できない。
お前もうちに来ないか、と誘われたが、その話が事実だとすると毎日深夜に帰宅するなんて親に殺されるし、深夜まで残業させられるなんて例え20万稼げたとしたってゴメンだ。俺はすぐ家に帰ってラーメンズのDVDや録画した爆笑オンエアバトルを観たいのだ。
その事務所は駅前のマンションの一室で、ホテルに出勤する前はまずそのマンションの一室で準備をしなければならない。駅前までは俺の家からバスで30分、深夜に仕事なんて終わってはバスなんてとっくに無いので家に帰れない。
とにかく重労働だというし、そんな仕事なんて絶対にできないと俺は断ったのだが、クラスで成績優秀な松川(仮名)という男がその話にのってしまった。松川は勉強はできるし一見真面目な奴だが、とにかくパチンコが好きな「真面目系クズ」で、沼津とはパチンコ仲間だった。
松川はパチンコで沼津が本当に10万スッたのを目の前で見たという。カネを持っているのは確実で、俺も稼ぎたいと松川はそのヤバい結婚式配膳派遣事務所で働くことになった。
そのうち沼津は、カネ持ってる自慢のほか、毎日女の子を取っ替え引っ替えセックスしているという自慢をするようになった。カネもあるし女も不自由しない、人生最高だとうそぶく。
沼津が言うには、派遣事務所は30代の男2人が運営しており、他20名ほどいる従業員は全員高校生だという。ホテルでの仕事が終わると事務所であるマンションの部屋に皆で戻り、コンビニで買った酒を浴びながら乱交パーティーするという。
最初は酔っ払うと30代社長が女子高生とセックスする様子を男子高校生一同見ているだけだったが、最近は男子も参加することが許され毎日セックス三昧だという。
どう考えても沼津の嘘だ。そろそろ初めての給料を貰ったであろう松川に事の真相を全て問いただそう。松川はパチンカスではあるが、嘘は絶対につかない。果たして本当に20万稼げたのか、沼津がセックス三昧なのは本当か。どうせ嘘だろうし、沼津を嘘つきとバカにし、松川を騙されたバカだと茶化そうと思ってウキウキしながら松川のところへ向かった。
結論から言うと、沼津の話は全て本当だった。松川は給料日に20数万が口座に振り込まれていたのを確認したと言い、財布の中の万札10枚近くを見せてきた。仕事が終わると乱交パーティーするというのも事実だという。沼津は率先してセックスしているが、松川は硬派を気取ったただの童貞なので、酒には付き合うが乱交パーティーが始まるとビビってさっさと帰るのだという。
乱交パーティーはにわかには信じられないが、松川が万札数枚所持していたのも事実だ。松川もいつもカネが無いと言い、150円で買えるエコー吸ってたくせに急にセブンスター吸うようになってるし。没収されろ。
いつしか沼津も松川も、「授業中に仕事の命令が来る」と学校を早退することが増え、ついには学校を休む日も増えていった。学校よりも、バイトが中心の生活になっているようだった。
当時俺には好きだった女の子がいた。名前を飯田さん(仮名)と言い、中学の頃の同級生で、高校は別々になってしまい会うことは無かったが、メールで頻繁にお笑いの話をやりとりしていた。
飯田さんは長い黒髪でおとなしい女の子だったが、見た目にそぐわずかなりコアなお笑いマニアであり、当時の女子高生が口を揃えて「好きな芸人ははねトびのキングコング」と言っていた時代にラーメンズが好きで、ユリオカ超特Qを正統派漫談師として評価していた。
俺とお笑いの好みが完全に合致するので、お笑い仲間として今年のM-1の注目芸人は誰だとか、鼻兎全巻読んだよとか、毎日メールしていた。
ある日、なんとなく飯田さんに「クラスに結婚式場でバイトして20万稼いでる奴がいる」とメールした。帰ってきたメールには「え、それ沼津くんと松川くん?そういえば高校同じだって言ってたw」
「 」
これ読んだ瞬間、頭真っ白。俺と沼津・松川は中学は別だ。飯田さんと知り合いではないはずだ。なのに知り合いってことはそれしか無いよね。
「え?バイト先一緒?」
「うん」
こんな嘘みたいな漫画みたいな話ある?俺が好きで毎日メールしてた子がよりにもよってそんなクズ会社の餌食だなんて。っていうか、俺のまわりに3人もその会社に関わってる奴いんの?
おとなしいと思ってた飯田さんも酒飲んでるってことは乱交パーティーしてるのかな。そう思うと気が狂いそうになって、息が苦しくって、胸が苦しくって、もうメールなんて出来なくなってた。
もし、俺がこれを知らずに誘われたままその事務所に行ってその光景を目にしたら、俺は壊れていたかもしれない。
もうこれ以上正気を保てないと悟って、飯田さんに何も言わず、メールを着信拒否した。
次の日、珍しく朝から登校してきた沼津がヘラヘラしながら「お前飯田の友達なんだってな」とぬかしてきた。昨日マンションの事務所でその話になったそうだ。
なんか訳わかんなくなってた俺は、沼津に「飯田も乱交やってんの?」と聞いてしまった。「俺はやったことないけど、社長とよくやってるよ」だってさ。「社長チンポでけーから、まんこに入ってるのマジで生々しい」だってさ。
幸い(幸い?)松川は乱交前に即帰宅するので飯田さんの裸を見たことはないというが、深夜マンションの一室で飯田さんは全裸で30代の社長と夜な夜なセックスしているという。みんなの目の前で。社長のお気に入りだから男子高校生が飯田さんに手を出してはいけないという暗黙の了解で、終われば全裸のまま寝て、朝にはそのマンションから学校に行くという。
なぜか沼津をブン殴りたくなる衝動にかられたけど、苦笑いしてその場から逃げたと思う。
沼津の家は新聞屋なので、深夜に帰宅しようが親は気づかないっていうし、松川の両親は熱心な創価学会員とかで両親ともに幹部だかで、学会活動のため毎日家にいないという。(担任が松川の家はいつも不在で両親に連絡がとれなくて困るとよく言っていた。)だが、飯田さんの家は一般的なサラリーマンの家庭のはずで、毎晩遅くまで娘が帰ってこないし、オッサンと付き合ってることに気づいてないのだろうか。家庭崩壊してないか。謎だ。
メールしなくなって数ヶ月後、飯田さんと同じ高校の男から聞いた話によると、飯田さんがある日から急に福山雅治似の男が運転する、ウン千万はくだらないであろう高級車で送り迎えされるようになって、学校では有名だという。「彼氏は30歳の金持ち」と自慢していて、クラスの女子から羨望の眼差しだと。
マジかー。さっさとその会社潰れねえかなー。みんなしねばいいのになー。
沼津の話によると、深夜にもかかわらず頻繁に数名の高校生がマンションを出入りしているので通報され、事務所に警察がやってきたが何もなく無事にすんだという。無事なのかよ。
新聞社にタレこもうと思ったが、タレこみ方法も知らないし話しか知らないので証拠もないしで、どうしようもなかった。
高校卒業後、沼津はそのバイト先をやめ先輩に誘われたという土建屋に就職して、松川は会計士になりたいとか言って専門学校へ進んだ。
風の噂で飯田さんは年上の金持ちと結婚して、今は隣町のホテルで働いてると聞いた。
高校の頃は沼津たちが言うマンションの2階に事務所があると看板が掲げられているのを確認しているが、高校卒業して2年もすると、気づけば看板はなくなっていた。
そんなクソな会社、さっさと摘発されるだろうと思っていたが摘発されたなんてニュースは無いし、今となっては会社名でググっても情報は何も出てこないし、その社長とそのクソ会社がどうなったのかはわからない。
もう10年以上沼津とも松川とも連絡とってなくて、奴らが今何してるのかも知らない。
今思えば、高校生が毎月20万も稼いで税金はどうしてたんだろう。沼津からも松川からも、確定申告だとか税金だとかって話は聞いたことがない。
珍しくはてな村と痛いニュースの意見が一致したこのニュースだけど
蓮舫「今日は煽り運転の石橋被告の判決日。あえてこの日に辺野古埋め立てするなんて偶然とは思えない」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1985511.html
蓮舫の言う通り、政府がイメージ悪いことやるのってデカイニュースがある日だよ
狙ってるのは間違いない
「陰謀論w」で思考停止するのだけはやめた方がいいんじゃないかな
新聞屋やってると、「今日も1面にニュース入りきらんわ」ってケースよくあるんだよ
今回みたいに注目の裁判なら事前に日程決まってるから狙うの簡単だし、芸能人の結婚や不祥事が不自然にリークする時もある
ただ今回NHKはちゃんと11時のニュースで辺野古にヘリ飛ばして生中継してて偉かったなと思ったよ
だから速報打つタイミングも少しずれて中継できたんじゃないかな
新聞の1面に載らなかったらワイドショーでも紹介されない。ニュースが多すぎるとNHKも7時のニュースで紹介しきれない。ネットの人たちは自分たちでニュースを見つけて広げる力はない。だから政府にとって都合の悪いニュースは割とすぐ消えて支持率も一時のダメージで済んでいる印象。スピンコントロールがうまいだけで歴代NO1の長期政権になってる。いろんなものを俺たちは失って下の世代に押し付けてるじゃんね。
ネット工作もうまいよね。たぶん蓮舫の記事は痛いニュースもブコメも玄人と思考停止している人しかコメントしてないはず。それを皆んながみて「ああ今の空気はこっちか」って感じてるという構図
毎年8月13日は、私の故郷北海道帯広市で大きな花火大会がある。
近年では全道的・全国的に名の知られるようになった花火大会だ。
開催場所が市街地に近すぎて、市内にアホみたいな渋滞を引き起こしている。
最近は、札幌からも客を呼ぶので、なんど道東道まで渋滞していると言う。
トイレ貸してくれ。と、見ず知らずの酔った人に言われる。大便もある。
とこんな感じ(他にも花火の演出がクソださい、花火の前の企業の宣伝がクソ長いなども問題がある)なのだが、
最大の問題は、こういう花火大会開催に当たっての問題点や課題が、毎年開催されるにもかかわらずクリアされにくい構造にあるのだ。
その理由は単純で、主催者が十勝毎日新聞社と言うこの地域のブロック紙だからだ。
十勝地方の新聞社は、長い淘汰の歴史を経て、この十勝毎日新聞社一社のみが現在生き残っている。
現在のミニコミ誌は、十勝毎日新聞社と北海道新聞社の系列誌だ。
新聞だけではない。十勝毎日新聞社はケーブルテレビを展開し、観光事業にも手を伸ばし、ホテルやガーデンを系列会社で経営している。
十勝毎日新聞社のすごいところは、開拓時代から多角経営していてもう100年もこの地域で新聞屋をやっているところ。
この寡占状態ゆえに、だれも地域で反論を上げられない。上げるための器がない。
花火大会自体は経済効果があるからいいのだが、特に反省がなされることなく、だんだんと規模だけでかくして「来年もやりましょ」的に膨張している。
そのしわ寄せを、だれも反対できないし、だれもケアしようとしない。というか、できない(十勝毎日新聞社もただ自分の事業を行なっているに過ぎない)。
十勝毎日新聞社はライバルがいないから、深いところまで気にしなくていいのだ。そして実際気にしていない。というか、できない。他社(他者)の眼がないから。
十勝は昔から農産物の生産地で、モノカルチャーな雰囲気がある。実は産業だけでなく、観光や出版・言論もまたモノカルチャーなのだ。北海道らしいと言えばらしいのだが。
【マツタケ近縁種のバカマツタケ 人工栽培に初成功 良食味生かし有利販売へ 奈良県】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180228-00010000-agrinews-bus_all
さて、研究の成功とマニアックなきのこが話題になったことに喜びつつも、記事の内容にひとつひとつツッコミを入れてみる。
・マツタケと近縁種のバカマツタケの人工栽培に初めて成功したと発表した。
培養菌糸を苗木に感染させ植林する方法。マツタケやホンシメジ、ショウロ等で同様に研究の成功例があるが、それを「人工栽培」と定義できるかどうかは微妙。これが正しいとマツタケも「人工栽培」に成功していることになる。
・やや小ぶりでマツタケ程度の大きさに育つ。
実際にバカマツタケを見たことはないが、図鑑や人から聞いた情報から察するに、だいぶ小ぶりだと思う。1本あたりの平均重量は1/2〜1/3程度ではないか(もっと小さいかも)。おそらく身もマツタケほど締まっておらずボリューム感はあまり無さそう。
・2016年11月に約10本植え、菌糸などの塊「シロ」を3本で確認。17年10月にきのこ1個が発生した。
感染率は30%、1年かけてたったの1本のきのこ。データの蓄積がなさ過ぎてなんとも言えないが、今のところ実用化できるレベルには程遠い。野生化ではそれなりに珍菌だと思うので、もともと感染率の低い(広葉樹は他の菌などの競合も多い)可能性は否めない。となれば、まだ本家マツタケのほうが期待できそうだと感じる。
マツタケのほうが既に膨大な研究蓄積がある。(それでもほとんど実用に至っていない。)どのあたりが応用可能なのか謎。
・同センター森林資源課は「広葉樹を生かし、収入増加や荒廃した里山の手入れを兼ねた栽培につなげたい」と普及に期待する。
そりゃあ税金で無駄な仕事していますとは言えないだろうけど、「普及に期待する」というのはちょっと盛り過ぎ(笑) 典型的な新聞屋の作文なのだけど。
仮に普及したとして、発生時期は日本国内だと雨と虫の多い梅雨〜秋にかけてになる。野生のきのこは極端に日持ちが悪く、食べようと思ったら地中から顔を出したその日のうちに収穫しないといけない。(ちなみにそれでも120%虫が入っている。)悪くなると食味が落ちるばかりか中毒の危険性すらある。(過去に古いマツタケを食って人が死んだ事例がある。)
というわけで一般のスーパーなどでの流通は不可能。余談だが、道の駅等の直売所は利用しないほうがいい。品質はばらばらだし、下手したら有毒のものも混じっている可能性がある。(素人が手を出すもべきものではない)乾燥品なら、もしかしたら流通可能かもしれない。食味はいい的なブコメがあったけど、菌床等で工業的に生産できない生きのこは、高温多湿の本国では(乾燥したヨーロッパとかだと多少事情は違ってくる)まず食味が落ちる前に流通にのることができない。
# 最後に
というわけで、普及はどう考えても無理ゲーやろ!と冷静にツッコミを入れつつ、バカマツタケの植菌に成功したのはすごい。えらい。バカマツタケの名前(と学名;Tricholoma bakamatsutake)の認知が広がるのは嬉しい。
ようやく陽の目をみた bakamatsutakeと名付け親た研究者、培養と植菌に成功した研究員に賛辞を贈りたい。(ちなみにマツタケの学名も:Tricholoma matsutake である。)