以前、お客様が一人も店内にいなかったのでAさんと雑談をして聞いた話。
Aさんは子供の頃にお小遣いを1万円だか2万円だか溜め込んで、それを1日で使い尽くして母親に怒られ、それを今でも恨んでいると言った。
そのときお小遣いを何に遣ったのかというと、ガチャガチャだった。家から徒歩圏内(とはいえ子供の足ではけっこうかかる距離)にあるスーパーにガチャガチャのマシンがいくつも入っていたのだそう。
1万だか2万円だかのお金を全て100円玉に両替するのも、山のようなカプセルを持って帰るために、買い物をした訳でもないのにスーパーのレジ係の人にレジ袋を要求するのも、ガチャガチャを回し尽くすのも、ガチャガチャを回し尽くす為に何時間もかけて遅くまで帰宅しないことも、どれをとっても糞迷惑な奴だなぁ、と、私は思った。
Aさんが、「自分の小遣いを溜めて自由に使って怒られるなんて許せないですよね?」というので、私は「いや自分の子供がそんなことやったら叱りますね」と答えた。
かく言う私も、子供の頃に貯めたお小遣い2万円を1日で使い尽くしたことがある。しかも、読みもしない漫画の描き方本、使いもしないポーズ集や背景写真集、使えもしない画材や工作手芸材料を買った。それらは結局手垢がつかないどころか一部には開封さえしないまま、新品同様のまま部屋の隅っこで埃を被った。
もしもAさんが私の親だったらAさんは私を叱らずにいられるか? と聞いたら「いや怒るでしょうね」とAさんは言った。
あの超絶無駄遣いのとき、私は母の勤め先の百貨店まで母に車で送ってもらい、母の目の前で、母の社内割引を使って買い物をしたのだ。自分の小遣いをコツコツ貯めて買い物をして何が悪い? と屁理屈を言って。
その後どうなったのかというと、母は「自分のお小遣いの範囲で買いなさいw」と言って私に服を買ってくれなくなったし、家に私しかいない時に新聞屋が来そうなとき「お小遣いで建て替えといて?w」といって新聞代を家に置いておいてくれなくなった。