はてなキーワード: 日見とは
結婚して初めてホストクラブに行ったので、記憶の整理のために書いた。同じ空間にいた人なら一発で誰か分かる内容だが、果たしてあの空間にはてな匿名ダイアリーを読む人はいるのだろうか?
Too Long; Didn't Read.
【忙しい人のために】支払総額10万。閉店後のデートで同衾を誘われて逆に萎えた。キスはされたがセックスはしていない。既婚者が行ってはならない場所だと痛感した。
【スペック】結婚約10年目、子なし、レスだが仲は良い、アラフォー、田舎在住、普通体型、不美人。性欲はあまりないがときめき欲(?)はある。田舎すぎて職がないのでオンラインで小銭を稼いでいる。
【本文】
ある日東京に行き、用事を済ませた後一人でホストクラブに行った。結婚前は都内在住で、メンズキャバクラ(今は廃れつつある時間制ホストクラブ)に1年ほど惰性で通った苦い経験がある。最近はホストクラブやホスト個人がYouTubeチャンネルやSNSアカウントを開設しているので、店に行く前からホストクラブの雰囲気やホスト個人のことを知ることができる。あるチャンネルを通じ某大手グループ所属のホストXを知り、声と顔が好みすぎて会ってみたくなった。配信で「既婚者がお店に行ってもいいですか?」という質問に、「全然OK! 人のものっていいよね」とあしらっていたのも決め手になった。
行く日の夜、インスタのDMで「Xさん初回指名で今日お店に入れますか?」と連絡すると、しばらくして「ありがとうございます!顔写真付の身分証明書が必要なので持ってきてくださいね」という旨の返事。初回指名とは指名するホストを予め決めて初入店すること。普通、初入店時は指名ホストを決めるために1人5~10分くらいでホストが入れ替わり立ち替わりやってきて、これを初回と呼び、1時間3千円〜と安い。初回指名は2回目以降の来店と同じ扱いで、予め指名したホストが接客し、だいたい2万〜。
上品そうに見える服にハイブランドのスカーフ、金持ちを装った小さい鞄をひっさげ、軍資金として独身時代の貯金から15万おろす。店の付近で迷ってしまい、恐怖と緊張が高まる中、なんとか店を見つけてエレベーターで昇り、震える手で店の扉を開ける。YouTubeやTikTokで見たままの店内、見たままの美丈夫たちが目に入り、テンションと緊張と恐怖が最大値になる。受付で身分証明書を見せる。コピーはとられなかった(たぶん)。書き物もなし。ホストに呼んでもらう下の名前(偽名可)を聞かれて本名で答えると、若手ホストに席へと案内された。
21時少しすぎに行ったが店内はまだガラガラ。ホストクラブは通常19時開店だが幹部(売り上げの多いホストたちの呼称。毎月売り上げ上位をキープするなど、条件がある)は21時に出勤するところが多く、同伴(出勤前に姫(=客)とデートすること)してから来るためと思われる。
若手ホストにメニューを見せてもらう。発泡酒や缶酎ハイは2本セットで2000円。水商売では明記された値段に消費税と、TAXという名目の法外なサービス料約25~45%が加算される。グラスワイン1杯3000円、有名日本酒4合瓶3万円〜、スパークリングワインボトル5万円〜など。すでに高い。この店の場合、消費税とTAX入れて支払額は書かれてある値段に×1.5しなければならない。
飲み物を迷っていたら担当(指名したホストのこと)となるXが登場。わー! ばり好みの顔! YouTubeでの印象より背が高い! 身体つきが思ったより男らしい! 超好みの顔! いい声! 上品な色味の上等なスーツ! ほのかないい匂い! 感極まって思わず立ち上がりペコペコするキモいムーブをかますと「その反応めっちゃ嬉しい!」とリップサービス。並んで座ると膝の先を触れ合わせてくる。既に刺激が強すぎる。
「来てくれて本当にありがとう! SNSとかで『行きます!』って連絡来ても9割来ないからさ〜」といった会話を至近距離でする。顔が近い! すごく目を合わせて会話してくる! カラコンで目がちょっと充血してる! リップが淡いピンクでぷるぷる! マットなお肌! 化粧品または香水のいい匂い! 脳内麻薬が瀑布のように分泌され、体がじんわりと変な風に麻痺してくる感覚に陥る。
担当から店の料金システムを説明される。席料は固定であとは飲み物代が加算されるだけ、とのこと。予算は5万円と伝え、とりあえず自分と担当に白ワイングラス、ヘルプ(指名ホスト以外で席につきお喋りしてくれるホスト)に缶酎ハイを注文。時々膝に手を置かれつつ、「どうして俺指名なの?」「YouTubeを見て……」「いつから?」「初めてYouTubeチャンネルができたときから……」「えーすごい! 古参じゃんw」みたいな会話から入るが、一杯目を飲み切らないうちに内勤(ホストをどの席につかせるか等を指示する裏方)に呼ばれていなくなった。
ホストクラブは売れっ子になればなるほど自分以外の指名客(被りと呼ぶ)も来るため、高いお金を払っているのに自分の席についてくれる時間が少なくなるので、席についてもらうためにはより高額の酒を入れなければならない、という鬼畜な商売である。高額な酒を入れると、「[ホスト名]の姫様より[酒名]が入りました〜!」と被りを煽るようなクソデカ店内放送が入り、シャンパンコールとなる。
担当がいない間は卓を挟んだ向かいに他のホストがヘルプについてくれる。主に若手や新人がついてくれるが、数分だけ幹部もついてくれた。「隣座ってもいい?」と聞かれるも「あなたの姫に悪いから大丈夫です」といい人ぶって断ると「優しいんだね」とにこり。幹部は纏う空気が柔らかく、ドキドキするというより癒される感じがして話しやすく、なるほどこれが売れっ子なのかと思った。
3人くらい新人ホストが入れ代わりヘルプについた。そのうちに他の席も埋まり出し満席になる。他の席に担当がいるのが普通に見えるし声が通ってよく聞こえる。被りの姫がエレベーターに乗るときに肩を組んでいるのがちょっと見えて気になってしまう。姫たちは水商売風の人もそうでなさそうな人もいて年齢は20〜40代くらいだろうか。可愛い人や綺麗な人ばかりで背筋が伸びる。
新人ヘルプでも会話に困って気まずい、ということはないが、店には他の席の会話を聞かれないために大音量の音楽が常に流れており、大声で喋り続けるので喉が枯れてくる。龍角散ダイレクトを持参すればよかったな、とこぼしたら、ヘルプの一人が龍角散のど飴をくれた。いい子~!
やたら長く感じて正確には分からないがたぶん40分くらいすると担当が戻ってきた。酒が進み、白ワイン2杯目を自分と担当に追加。スカーフを巻いてもらうなど戯れあう。この辺りからボディタッチがあからさまに増えてゆく。膝に手を置くほかには腕を回したり肩や頭を寄せ合ったりふくらはぎをスカート越しに揉むなど。小中高と容姿で虐められていた私のような不美人にもけっこう触れてくるんだなと思ったが、手慣れているというか、勢いがありすぎるというか、誰にでも同じようにやっていそうな雑な感じがした。確かこの辺りでLINEの交換をしたと思う。最新型のiPhoneの画面は少し割れていて、LINEはウケ狙いのような画面で萎えた。非現実的な空間で現実に引き戻させないでおくれ。
グラスが空いたものの、「そろそろ予算に達しそうだけどどうする?」と言われ、「1、2万なら超えても大丈夫」と答える。赤ワインを担当と自分に追加。チェイサーがわりにジャスミン茶も追加。
赤ワインが来たあたりで担当に仕掛けられている感覚があった。抱きつかれたりキスされそうになったり、今後通わせるためか艶めいた色を滲ませるような会話内容になってくる。今日初めて会ったのに早すぎないか? 田舎在住で頻繁には通えないから最初からフルスロットルなのだろうか。「いつ東京出るの?」「明日」「えっ、じゃあ今夜がラストナイトじゃん! そうしたらさ、……店が終わったら、一緒にどこかへ行こうよ」閉店後にホストとデートすることをアフターと呼び、これがあの聞きしに勝るアフター……! とちょっと感動。しかし既に23時を回っており、眠気と疲れでそろそろ宿に戻りたかった。けっこう渋ったのだが全く諦めてくれる気配がなかったので「じゃあ[歌舞伎町にある一部に有名なスポット]に行きたい」と言ってアフターを約束した。いま思うとここで無理にでも帰っておけば、よい思い出だけが残っただろう。しかし、店に着くまでの緊張や恐怖、美丈夫たちに囲まれてちやほやされる高揚感、薄暗い店内、馬鹿みたいにうるさい音楽と店内放送、美しい姫たち、昏く煌びやかな装飾、服越しに伝わる担当の体温と質感に飲まれて断れなかった。そのままずるずると奈落の底へ導かれてゆくような心地だった。
赤ワインが空いてラストオーダーの時間が迫ってきて、どうしようか……となり、つい雰囲気に負けて「10万円までなら出せて、それ以上は物理的に無理」と言ってしまう。「じゃあ俺の好きな日本酒頼んでいい!?」と担当の目と纏う空気が突然ぱっと明るくなる。10万円という額は一般人からすると大金だが、ホストクラブにしてみれば雀の涙。そんな額に対してこのぱっと嬉しそうな表情になったのが演技なら、けっこうすごいなと思った。
日本酒の4合瓶が来る。ジャスミン茶を飲み干す。幹部が数分席についてくれたり、日本酒の話などをしたりして2合くらい飲んだあたりでシャンパンコールをする時間になり、天井からスモークが出たり赤や青のライトが点滅したり始める。まぶしい。担当とヘルプがコールのために席を外す。私の席の左側には壁があって、その壁を挟んだ反対側でコールしていた。様子は見えなかったが、オールコール、ホスト全員でコールするレベルのとても高額の酒が入ったようだった。席で一人になり、ここぞとばかりにアイスペールに入った氷をひたすら食べながらコールを聞いていた。酔っているのに頭の中はだいぶ醒めていて、帰りたいなあ、アフター行きたくないなあ、明日何時に起きなきゃ、こんなにボディタッチされるとかえって萎えるな、などと考えていた。内勤が伝票を持ってくる。会計99000円也。ちゃんと10万に収まってよかった。バインダーに現金10万円を挟んでおく。
シャンパンコールが終わって担当が戻ってきた時には、動いたせいなのかすっかりベロベロで、やたらと抱き着いたり抱き寄せたり私の頬に鼻や唇をつけてきたりする。もはやホストというよりもいい匂いのするばか犬に懐かれているような気分だった。ばか犬に失礼か。ただあまり酒の匂いはせず、抱き着かれるたびにいい香りがした。その秘訣は知りたい。お会計でおつりの千円が返ってくる。
閉店時間が近づいてきて、初めのうちは「余ったお酒持って帰っていい?」と言っていたのが何かスイッチが入ったのか飲み干そうとしていて、ヘルプも呼んで飲ませようとしていたがなかなか減らず、残り一合くらいになったあたりで母校の下校時刻に流れていたのと同じ曲がかかり始めた。ホストクラブでもこういう曲ってかかるんだねと笑いながら、仕方ないのでテキーラを飲むような飲み方で日本酒を片付けた。ごめんよ。担当は私のグラスが空くたびに自分のグラスに入った日本酒をそっくり私のグラスに入れることで自分も飲んでいるようなふりをしていた。汚いわんこそばスタイルはやめろ。
閉店時間間際になってやっと飲み干せたので店を出る。「エレベーターの前で待ってて!」と担当に言われて待つ。担当は千鳥足で、本当にアフターに行ける状態なんだろうかと不安になる。早く帰りたい。担当が戻ってきて(吐いたのかな?)エレベーターで一緒に降りて外に出る。風が冷たくて寒く、少し酔いが醒める。
歩きながらそれとなくホテルに誘われる。これがあの「初回枕」……! (初めて来店した客とセックスすること)本当にあるんだ! と思いつつ「いや結婚してるから無理」と答える。「えっ、結婚してるんだ! いいなー」「いいだろー、結婚はよいぞ」などと大変ふざけた会話をしつつ担当に自販機の水をねだる。アフターは基本的に全額担当持ちである。担当も水を飲めばいいのに矜持があるようで、この日見る限り一滴のノンアルコールもとっていなかった(裏では飲んでいたかもしれないが)。歩きながら500mlを飲み干す。ゴミ箱がない。道路が汚い。担当は寒い寒いと言って首元に手を突っ込んでくる。冷たい。やめろ。
[歌舞伎町にある一部に有名なスポット]に着いて少し戯れたあと、一軒目の居酒屋に入るが色々あってすぐに出る。この時の担当のセリフ(店員への不満)にドン引きして逃げたくなる。走って振り切れるか? と思ったがヒールだし転ぶかもと思って諦める。歌舞伎町から出てしまうと、25時過ぎという時間のためか新宿の街には本当に誰もいない。担当はとても酔っていて突然大声を出したり歌いだしたりする。人がいなくて本当によかった。「今日が最後の日なんでしょ」「旦那さん家なんでしょ」と色々な言い回しで何度もホテルに誘われるので行く気がないことをセリフと態度で示すと「は? うざ」と何度も言われつつ、誰もいないのに妙に明るいビルの中へ入ってゆき妙に大きなエレベーターに乗る。
エレベーターが開いた先はアクアリウムダイニングで、これ見よがしに淫靡な雰囲気が漂っていた。かなり広い店内だったが時間が時間なためか客は数組しかおらず、わかりやすくいかがわしいカップル席に通される。店内はホストクラブよりもやや暗く、蛍光がかった瑠璃色の水槽の中で熱帯魚がけだるく泳いでいた。グラスビールを二杯注文する。眠さのピークは越えたが倦怠感がひどく、早く帰らせてくれと心から思った。
担当も意地になっているのかなおも枕に誘ってくるので、そんなに飲んでたら起つものも勃たないだろと思いつつ、なんとか諦めてもらえる話題を……と性病の話などをする。「いや実は昔クラミジアをうつされて……(嘘)」「えー、小陰唇見なきゃ信じない。小陰唇見せろ(嘘つくな)」今日初めて会った人間同士でする会話ってこんなだっけ? 結婚前知り合いにレイプされてそのせいかは不明だが後日HPV高リスク型と診断された話、その知り合いが肺がんになって死んだ話などをする。意外と否定せず聞いてくれる。梅毒が流行っているから絶対に夫以外の人とセックスしたくない、会ってちょっとときめきたかっただけでセックスがしたいわけではない、刺激が強すぎる、もう充分楽しんだからもう帰りたい、ということをひたすら言い続けたら、さすがに担当も嫌になってきたのか目を見ながら「はいはい梅毒梅毒」とか「ガキが」とか言ってくるようになる。一回りくらい年下の男子にガキがと罵られてもかえって滑稽である。それでも抱き寄せられて頭を大きな手で優しく撫でられる。どの客にも同じことをしているんだろうなと思って全く嬉しくなく、もはや触られすぎて全くドキドキもしない。終電前に帰ればよかったな、でもそれだとかえっていい思い出しか残らなくてまた行きたくなってたかもしれないから逆に最悪な場面が見られてよかったかもな、それにしても色々ドン引きだな、こんな接客される被りの姫たちがかわいそうだな、ホストクラブなんぞ二度と行かないな、私みたいな人間が行く場所じゃなかったな、早く終わらないかな、宿に帰って風呂に入りたいな、と色々なことを考えながら撫でるに任せていたらマスクを外されてキスされた。気持ち悪かった。顔と声は本当に好みなのだが、本当に好みでも気持ち悪いと感じたことにほっとした。独身時代だったら、あるいは夫と仲が悪かったら、あるいは自分の性欲がもっとあったら、ここまで行きつく前にすっかりやられて身も心も崩れ爛れ落ちて二度と引き返せないところまで一瞬で行ってしまっていたかもしれない。担当の顔は暗い店内で定かではないが能面のような顔をして笑っていた……ような気がする。
もう行こうか、と担当が言って、ビールを飲み干し(担当はやはり汚いわんこそばスタイルで自分のビールを私のグラスに注いでいた)店を出た。そのまま新宿駅のタクシー乗り場まで一緒に歩く。「次いつ東京来るの?」「LINE返信してね」みたいな会話をしたような気もするし、「はーうざ」と言われたような気もするがあまり覚えていない。タクシーに乗る前に最後にハグされたのでハグし返す。酔って匂いが全然分からない。これでやっと帰れる! と開放感でいっぱいだった。
タクシーの中ですぐLINEをブロックし、インスタの捨てアカウントを削除する。部屋に帰った時には27時だった。水を700mlくらい飲み風呂に入ってさっさと寝た。(幸いなことに二日酔いにはならなかった)
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振り返ると、なんだか夢か幻かのような朧気な記憶しかなく、つらつら書いてみたが本当にあったことなのか少し不安になる。写真も撮っていないし、連絡手段も断っている。不美人だし、何十、何百万も使うような客には見えないだろうから色恋営業かけられることもなかろう、楽しく飲んで帰れるだろうと思っていたらこんな目に遭うとは思わなかった(昔通っていたメンズキャバクラの担当とは、艶めいたこともなければアフターや同伴をしたこともなかった、というのもある)。至極当たり前なのだが既婚者が行く場所ではなかった。なお夫への罪悪感は悲しくなるほどない。もしもセックスしていたらあったかもしれない。
次に東京へ行く機会があるとすれば半年以上後なので、物理的に距離を取れる環境でよかった。もしも都内在住だったら、通ってしまっていたかもしれない(逆に、田舎在住で通えないからこそ一度店に行ってみようと思ったのはある)。中村うさぎの著書やネットに転がるホスト体験談、ねほりんぱほりんのホスト回などは履修済だったが認識が甘すぎたようだ。
担当が酔うまでは、べたべた触りだす前までは、本当に楽しくてドキドキして理想的なホスト遊びだった。あんなにひどい目に遭ったのに、店内でのよい思い出が脳みそのどこかに楔を打ち付けたみたいだった。薬物中毒者の気持ちがわかる気がした。もしも万が一、もう一度担当に会いたくなったら、遅めの時間帯に何か大事な予定を入れて早い時間に入店するか、財布の中に免許証と現金3万円だけ入れて入店して酎ハイだけ頼むか、とにかく自分の意志を信じないで行動するしかないと思った。こんなことを考えている時点でもうだめかもしれない。もしもまた店に行くことがあればまたレポートしようと思う。その時は嘲笑ってほしい。そんな日が二度と来ないことを祈っている。
朝は寒い
太陽に当たらないとその日一日中病む。というか頭がイライラする。この1日を生きるのが苦痛になって消えたくなる。
風呂に入ってる時、洗い物をしている時、昔のことを思い出して死にたくなる現象はなんと言いますか?周りに家族がいなければ「しにてぇ」って呟いて雑念を取り払う。もしくは、最近見た映画の内容を振り返って整理する。
「1日のBGM」がある時は死にたい気持ちは出にくい。洋楽のアップテンポな曲やアニメのオープニングが良い。最近はチェーンソーマンの米津
昨日見た映画はアメリカの銃撃事件を生き延びた主人公が傷心から立ち上がるとまではいかないけど、事件と向き合う話。途中に主人公がドラッグでハイになって、ボールペン食べて口の中真っ青にするんが笑った。あと全体的に綺麗な映画だった。監督が元女優。いろんな人から手を差し伸べられるけど、すぐに立ち直るってわけじゃないところがご都合感無くて良かった
朝の死にたさどうにかならんか。家族が早起きだからその声で起きるんやけどそれが不快やし、自分だけ遅くに起きてるのも不快。早く寝たらええんやけど次の日が来て欲しくない毎日で早寝というものはコメ作りの時しかしない。
空が、晴れていました。
雲ひとつない、青い空。
今すぐにでも、窓から飛び出したい気分。
けれど、ダメなのです。
無理なのです。
それに、今は目の前の作業に集中したくて、一心不乱に手を動かしています。
昼休みからコツコツと建造してきた私のお城を完成させなければならないのです。
硬くて、壊れにくい素材です。
おじいちゃんとおばあちゃんとひいおじいちゃんとひいおばあちゃんの合計四人にねだって、普通のおうちセットを合計四つ買ってもらいました。
老人のくそつまらない話に相槌を打っておねだりをするのは子供の私にとって拷問に近い所業でしたが、ママの財布からお金を抜いて後で物干し竿に吊るされるよりはマシだと判断しました。結果土日と引き換えに普通のおうちセットが合計四つ手に入ったので良しとしましょう。
しんと静まり返った教室で私は黙々とブロックを積み上げていきます。
これくらい空気が張りつめていた方が作業が捗るというものです。
残すは外壁の建設のみ。
煉瓦造りにするか。
どちらも魅力的な提案でしたが、昨日見たドラえもんの映画を思い出したので普通の石垣を作ることにしました。
「もうちょっとだ」
朝はランドセル一杯に詰まっていたレゴブロックも今や半分以下。
この分だと帰りの会でみんなに自慢できそうです。
きっと万の言葉を用いて私を褒めそやしてくれることでしょう。
そんな空想に耽っていた時でした。
がしゃああああん。
はじめ、何が起きたのか分かりませんでした。
視界の外から勢いよく何かが振り下ろされたかと思うと、私のおうちは粉砕されていました。
「……っ」
体からすーっと血の気が引いていきます。うんていから手を滑らせて後頭部から落下した時のように、視点が定まらず世界はぐわんぐわんと回っていました。
「あ、あ……」
おそるおそる視線を上げるとまきこ先生がしかめつらでこちらを睨んでいます。
「何か言いたい事があるようだな」
重く冷たい声色に少しおしっこを漏らしそうになりましたが、私は勇気を振り絞って立ち向かいます。
「……あの、おうち!」
私の訴えに先生の表情は微動だにしません。それがどうした、と言わんばかりです。
「壊れちゃったんですけど……」
おののき、震え(主に膀胱が)、尻すぼみになりながらも私は抗議の意を表し続けます。しかし、鷹のごとき双眸は依然として私のこめかみを射抜いているようでした。
「その、保険とかってききませんよね……」
パァン、と軽快な破裂音が響きます。
揉み手をしてはにかむ私の頭に、丸めた教科書が振り下ろされました。
「……あうぅ」
「片づけとけよ」
心無い笑い声に包まれる中、私は一人お城の破片を拾い集めていました。
小さな私の手ではそう多くのブロックを拾うことはできません。また、隣の席のタカユキくんが足でブロックを散らしてきたりするので、私はなかなか片付けられずにいました。
粉砕されたおうちが頭の中で何度もフラッシュバックしています。
何も完成間近のものを壊さずとも、私がレゴブロックを机に出した時点で注意すればよいはずです。
それなのに、わざわざ私が一番悲しむタイミングでおうちを壊したのです。
ストレスが、たまっていたのかもしれません。おおかた、彼氏とうまくいってないのでしょう。適齢期を過ぎて後のない先生が性急に入籍を迫ったことで時間をかけて育んでいた関係に亀裂が入ったに違いありません。きっとそうです。
幸せの象徴であるマイホームに鬱積した気持ちをぶつけたくなるのも無理からぬ話でしょう。
だからといって、許されることではありません。
悲しみを怒りに変えて誰かにぶつければ、それはまた別の新たな悲しみを生むことになるのです。
まして、いい大人が、立場の弱い子供に、あてつけのように暴力をふるうなど、あってはならないことです。
怒りが、ふつふつと沸いてきました。
私はかがんだまま教壇の方を見やります。ころすぞって気持ちを込めて、きっ、と目を見開いて。
しかし、先生が気付くことはありません。淡々と分数の問題の解説を進めています。まるで私など、歯牙にもかけないと言わんばかりに。
「くそっ……!」
やけくそになって手元のブロックを投擲してやろうと思いました。
体が、震えていました。
先生には勝てないという本能の働きに屈する自分が情けなくて、目頭が熱くなりました。
「いつまでやってんだよブス!」
タカユキくんが冗談交じりに私の背中を蹴りました。冗談とはいえ、サッカークラブの脚力です。とても痛いです。一瞬、呼吸ができなくなります。
体の痛みと心の痛みが合わさって、一層惨めな気持ちを助長しました。
どうして。
私ばかりがどうしてこんな目に遭うのでしょう。
天を仰ぐと、どこからか声が聞こえてきます。それは聖母のような声でした。
痛みは、分かち合うもの。
天の声の励ましを受けて立ち上がった私は、タカユキくんの方へ歩いていきます。
授業中だというのに、腹を抱え机をバンバン叩いているタカユキくん。
「うわっ、なんだよこいつ」
タカユキくんはとっさに手を振り払おうとしてきますが、放しません。
私は動揺するタカユキくんの手のひらを少しずつほどいていき、そっと机の表面に添えてあげます。
「ねえ、知ってる?」
「……な、何を?」
「神様が、言ってたんだよ」
「は? 神様?」
私は隣の席にある筆箱からからプリキュアの鉛筆を取り出すとタカユキくんの指の間に挟みました。
鉛筆を挟んだタカユキくんの手の甲へ、ひと思いに体重をかけました。
「痛ってぇぇ!!!!」
タカユキくんは大声を上げて痛がっています。しかし、タカユキくんは嘘つきです。こないだもサンタさんがいないなんて嘘をついて私を虚仮にしてくれました。そんなタカユキくんのことですから、きっとこれも演技なんです。第一、私はまだ体重の半分もかけていないのに、そんなに痛いはずがありません。
レゴブロックを蹴散らすタカユキくんにも物を大切にする心があったなんて……。
でも、どうせこれも嘘です。
「これは、蹴りの分」
「はぅあっ! おいてめえこのブス! 痛いっつってんだろうが!」
「これはブスって言った分」
「じ、事実だろうがああああ!」
「これは、おうちの分」
※
タカユキくんはさめざめと涙を流し、やめてよう、やめてよう、と言うだけの生き物になりました。教室は何やらざわついているようでしたが、先生は何も注意しなかったので、きっと問題ないはずです。
痛み、十分に分かち合えたと思います。
心なしか晴れやかな気分です。
さっきまでの怒りが嘘のように体が軽いです。
これが痛みを分かち合うってことなのでしょうか。
だとすればこんなに素晴らしいことはありません。
この行いが広がれば、世の中から争いが消える日は近いでしょう。
今にして思えば、先生は私にこのことを伝えたかったんじゃないかって気がしています。
すると、今度は目が合いました。やりました。心、つながりました。
「小梅、あとで職員室な」
五年ほど前関わって、とにかく贔屓が酷かった人。相当嫌われていたからちょっと話しかけただけで言いがかりレベルの説教をされたりした。それが原因で体調を崩した。関わったのは数ヶ月だったけど今までの人生で1番理不尽な出来事だった。
そいつを先日見かけた。その当時暮らしていた場所でも今住んでいる場所でもなく、たまたま訪れた観光地だった。目を疑った。顔立ちならまだ似た人も居るだろうが、髪型、スタイル、声、服の系統までその人だった。
乗った電車が同じだった。相手はどうやら父親と一緒のようだった。こちらも恋人と一緒だった。あまりにチラ見していたためあちらも察したかもしれない。
降車駅も同じだった。降りて改札を出たところで行き先が別れた。後ろから肩を叩いて話しかけようか迷った。絶対にしないけれど階段を降りるところを突き落とそうかという考えすら過ぎった。結局そんなものだった。
5年間毎日夢に見る…ほどでもないが情緒不安定な時には必ず記憶の中から出てきた。怒っているとき下を向いているとさらに怒られるのでまつ毛ばかり見ていた。Facebookを探したりもした。謝るような人柄ではないのに、それなのに、謝ってほしかった。諦めてなかったはずだった。話しかけることすら出来なかった。
今後一切関わらない人にこんなうまいこと巡り合わせるなんて神様の仕向けたことかと思った。でもそのチャンスも生かせなかった。悔しい。
観光地とは書いたが行き先を見るにどうも地元住民のようだった。旅行という雰囲気でもなかった。恐らく仕事を辞めて地元に戻ったのだろう。あんな横暴さじゃどこでも上手くやれないはずだからね。そう思い込むことで少しだけ救われた。
しょうがないんだろうけどやっぱり安倍元首相が死んだことについて自業自得とか、牢の中に入れておけばとか言われており、ずっと嫌な気分でいる
死んだ人に対して言うことなんかなあ。それほど嫌だったんだろうけども。古い人間なんだろうけど、やっぱ素直に顔を見たことある人がこんな死に方するのはかなりしんどく感じる。
具体名だしてアレだけど、これが例えば散々な評価の鳩山とかだったとしても、やっぱショックだったと思うんだよな。
演説中に撃たれて死んだことも衝撃だけど、そのことを自己責任、自分がまいた種だから、という空気が本当にしんどい
それを肯定してしまったら、もういろんな犯罪の被害に遭う人間は自業自得ということになるのではないのか?って考えてしまう
時々逆恨みで人殺す人もいるけど、それも「恨みを買ったその人が悪い」になるし、ひったくりだって、鞄をがっちり抱え込まなかった被害者にも非があるってことになる。
黒い噂があるのに牢の中に入れないから私刑を実行されるんだ、そういうことは起きても仕方ないんだって、本当にみんなそんなに割り切ってるのか。
結局やっぱり法廷に持っていけてない、つまるところで立証できてない疑惑があって、それで殺されるのは仕方ないと言われるの、納得いかなくてずっとモヤモヤしたままだ
もっとも実際には犯人の動機は別なところにあったので、この議論自体的外れではあるんだが。
こんな人間を弔うのはおかしい、たかが一人殺されただけ、女はいつもこういう目にあってる、みたいな主張の人が
タイムラインにわっと出てきて、何度も繰り返されるので死体蹴りを丸一日見てるような状況でずっとなんか辛い気持ちになる。
自分が女だから、そう言う主張の人とも距離近いのは仕方がないんだけど。人が死んだ時に主張することがこれなの?と思ってしまい、結構辛い。
今までそれほど強く忌避感を持ってなかったのだけど、こう言う人たちが主張してる権利ってなんなんだ?って、おとといからずっと考えてしまう。
政策を見て判断するべきと頭で理解してても、こんな人たちに支持されている人に入れたくないって気持ちでいっぱいで、あんまり冷静に考えられている自信がない。
どんなに黒い人でも、それでもやっぱり私刑みたいな形で殺されてほしくなかった。法廷で裁かれることはあって然るべきだと思ってるけど、
死んだ直後からもう死体叩きしたくてたまらないみたいな流れを見ているとただただつらくなる。いや選挙近いし、仕方がないんだけど。
しんどいな……