はてなキーワード: 慰謝料とは
前々からセックスに誘われなくなって、セックスだけじゃなくてキスもハグもこっちからしかしなくなって、徐々に察してこっちからも触れなくなってしまった。
出かけるときに手をつなぐのだけは最後まで続いてたけど、最近はそれもしなくなっちゃったね。よく考えたら元からこっちから手を繋ぎにいくばっかりだったもんね。
もうさ!セックスまで行かなくてもいい!一緒にいるときに肩が触れ合う距離にも来てくれればそれだけでも良かった!!
セックスレスになってから結構耐えたよ。でももう無理さ。セックスしないで生きるの無理。
セックスがそんなに迷惑ならよそでやってきた方がいいよね?この浮気セックスはあなたのためだから。あなたの負担を減らしたいの!!いやぁ心優しい配偶者ですよね。
じゃあ来週セックスしてくるね。友達と遊んでくるって言ったのはまぁ嘘ではないよ。まだ顔も知らん相手だけど。
いつ誘われてもいいように体形維持したり体毛処理したりし続けてきたのが無駄にならなくなったの嬉しい~~~!!!ここ数年ずっと虚無を感じながらも続けてたからね。
じゃあ別れろよって思うでしょ?別れないんだなぁ、これが。
めんどくさいのが一番デカい理由だけど、心のどこかで相手にバレたいという気持ちがある。
傷つくかな?傷つくよね。裏切られた事にではなくプライドを傷つけられたことにさ。
私今年で41歳になり、9歳の娘がいる3人家族ですが去年から個人的にお付き合いしている男性の存在が夫にバレてしまい離婚調停へ話が進んでいます。
慰謝料は払いますが親権は欲しいと感じているため、なんとか親権を貰えないかと夫にお願いしているのですが、弁護士を通してくれと門前払いされてしまいます。
また、娘が付いてくるなら結婚はしないとお付き合いしている男性にも釘を刺されてしまい板挟み状態です。
私としては新しい主人と家族で生活したいのですが、難しいならば娘だけでも一緒にいて欲しいと思うので、親権確保を希望しています。
そこで相談なのですが
全くその通りだ。
「大人らしい大人なんてオイルが流れるロボットだ!自由な心を持った大人になろうぜ!」というマヤカシを信じて、ちょいワルを気取ったダセー大人になったまま帰ってこれない人が大勢いる。
運の悪いことに下にはさとり世代がいるのでそれと比較してしまうと「え?あの年齢であの言動って人間として終わってない?」となりがちだ。
本当にキツい。
時代に合わせて「求められる大人のレベル」を調整できる余力を残した人達は今どき基準でパワハラを回避して動けている。
でもそうじゃない人、不器用なくせにカッコつけようとしてレールから飛び降り、そのままガキクセー大人になって帰ってこれなくなった人達は本当に悲惨だ。
部活の先輩みたいなノリで先輩風を吹かし、昭和~平成初期の部活の中ぐらいでしか許されないようなハラスメントをガンガンしつつ、たまにジュースを奢っておけば下からは尊敬の眼差しで見てもらえると思っている。
実際はそんなことはまったくない。
繰り返したハラスメントは恨みノートに蓄積し、限界を超えたタイミングで慰謝料へと変換されていくし、自分が得ていると思っている尊敬は薄っぺらい愛想笑いを本物と信じたい心の弱さが見せる幻だ。
完全に終わってしまっている。
老人であれば「頭がボケて来たようで」とまだ幾分生暖かい目を向けてもらえるが、これでアラフォーアラフィフぐらいだと「まだまだ脳みそは健康だろうから単純に性格が悪いんだな」で切り捨てられる。
不憫すぎるよ。
人間力に生まれつき乏しい人達が、それに見合った生き方を選ぶべき所を時代に流されてしまったんだ。
遊び人とつきあった真面目くんが人生を持ち崩す様を、10年単位の長い長い時間をかけて行ってしまったようなものだ。
ゆるゆると長い時間をかけて下ってきた蟻地獄の深さがエグすぎて、もう今の人生脱出するのは困難な所まで来ている。
彼らには翼がない。
だから落ちたら終わりなのに。
可哀想に。
よっぽど力のある人間だったら引き上げられるのだろうけど、多くの人間は自分1人が歩むので手一杯だから上からそれを見ていることしか出来ない。
なかなか意外な展開で面白い
そんなカンナの身の回りで起こる出来事を通しての人情話という感じ
だいたいは丸くおさまる展開なのだけど、主人公についてはこれ丸くおさまったのか?というくらい意外だった
カンナは夫と離婚して、新しく出会った相手との子供を孕って、新しい生活を始めようとした矢先に新夫の元カノが新夫との子を妊娠中、元カノは寄りを戻す気はないが新夫の両親(金持ち)が手切れ金を渡して縁切り、彼女を怒らす カンナもその仕打ちについて新夫を問いただし責めたところ、新夫ブチギレて(親の金で)養ってやるっていうのに文句言うな!とカンナに言う、それ聞いてカンナもブチギレ結婚は白紙
子連れの妊婦で職なしで結婚もなくなったカンナに、元新夫から暴力と一方的な婚約破棄についての慰謝料請求が来る、新居予定費用として預けた500万も返してもらっておらず相手の子を妊娠中で本来受け取るべきはカンナ側だが、そうさせないために相手側はフェイクの慰謝料請求をした形だが、カンナは驚いて新居費用を相殺する形での示談に応じてしまう、
まあその後にデザインの仕事が認められてデザイナーとして海外に…という展開なのでそこはまあ夢物語ではあるけど
元夫に元鞘でもなく新王子様もなく、自分でがんばってく主人公はなかなかに新鮮だったし、あまりの不遇っぷり窮地っぷりにも引き込まれ、そんな中タフに前を向いていくカンナは魅力的だなと
しかしこれまだ連載中なのかな
有料話の部分、買って読んでみるかなあ
証拠は相手の情報、写真や動画、LINEのやりとりなど数日では集まる量ではなかった。
始めたきっかけは浮気調査に興味を持ち、私相手にやってみたら黒だったから。
いろいろな証拠がでてくるし集めるのが楽しくなっていたと言う。
私のカバンにはGPS発信機が仕込まれていたしLINEは古いスマホから読み込んでいた。
尾行やカメラの設置なども行っており、ホテルから出入りする写真もあれば相手の家族の写真もあったし、家や車での行為中の動画もあった。
私が友人との旅行と言い行った不倫旅行も後から追いかけ同じホテルに泊まっていた。
共通の友人も協力しており知らないのは私だけだった。
特に問いただすことは考えてなかったが、浮気調査に飽きてきたし
新しいパソコンを買い替えることに私が反対したため慰謝料で買おうと思い離婚届をもらってきたとのこと。
バケモノからは大した金額が請求されなかったのと少しでも早く縁を切りたかったので一括支払い、浮気相手妻へは分割で今でも支払い続けている。
りゅうちぇるの件で思った。
誹謗中傷が酷いのはもちろんだけど、それ以外の圧倒的大多数の悪意のない「言及」の責任にもっと目を向けるべきでは?
自分に大して関係のない話題にお手軽にあれこれ言及できる時代。
SNSで、掲示板で、コメント欄で、はてブで、言及されればされるほど話題になりニュースになり炎上状態を作り出し金を生み「叩き」は過熱する。
誹謗中傷した人は時に訴えられている。でも言及しただけの人たちは野放し。
「私は意見を書いただけ」
「事実を書いただけ」
「中傷してない」
「叩いてない」
誹謗中傷は許せない!と怒る一方で自分も人ひとりの自殺に関わったという自覚がない。
そうやってまた次の話題に飛びつく。
また自殺者が出る。
たとえばネット利用はマイナンバーと紐づけて、自殺者が出たら言及した人全員一律で口座から1万円引くのはどうだろう。
家に通知が届いたり、会社員なら給与明細に「ジサツカンヨイシャリョウ」と載る。
嫌でも自分が自殺に関わったという責任の一端を意識することになる。
「また自殺者が出たら嫌だし、こんなどうでもいいことで1万円払うことになるなんて馬鹿らしいからやめよ」
言及する人が少なくなれば話題にもニュースにもならないし金も生まないし炎上も起こらなくなる。
こんなふうにして次の不幸を防げないだろうか。
離婚届出してきた!!
妻とは行かなかった。
嬉しい。
有責は妻、いや前妻か。なので、慰謝料かわりに家をもらって、預金や年金だけ分割にして、俺に損はなし。
元々前妻にはレスられてて、外でセックスしてこいといわれてたので、そうしてた。
今の彼女はそうして関係を持った。最初はセックスできればいいと思ってただけだったが、付き合いが深まるに連れ、
前妻と別れて彼女と一緒になりたくなったのだ。
ある日、前妻と口論になったとき(俺たちの間ではよくあることだった)、今なら乗って来るんじゃないかと思って、
「もう離婚しようぜ」と言った。
そしたら妻は「ええそうしましょう。明日離婚届持って帰ってくる」と!!
俺は嬉しかった。じゃあ今すぐまず両親に報告しよう。と、俺は実家に連絡したし、前妻にもそうさせた。
それから一週間。前妻は離婚届を持って帰ってくる気配を一切見せない。
どころか、ニンテンドーダイレクトを見て、「ピクミン4出るんだ!スイッチもう一台買わなきゃね」
とか言ってた。いつまでここにいる気だよ。死ねよ。
改めて「離婚届、いつんなったら持って帰ってくんの?」と問いただした。
そしたら前妻は泣きながら「別れたくない」といい出した。
ふざけんな。俺のこともう嫌いだ、二度と好きになりはしないといったくせに。セックスしないと言ったくせに。散々人格否定してきたくせに、ふざけんな。
「俺は別れる気しかない」と突っぱねた。「お前が取りに行かないなら俺が取りに行くよ。離婚届。」そう言ってその日は終わった。
翌日前妻は起きた瞬間首を吊り始めた。気色悪い。
「何が不満なの?」と聞いたら、「離婚するなら首を吊る」と言って脅してきた。
俺は、こっそりスマホのボイスレコーダーをオンにして、「どうしたら首吊りやめてくれるの?」と聞いた。
前妻は、「首吊られたくなかったら離婚するな」といった。
数日後に離婚の話し合いを持ちかけた。
前妻に、「他に大切にした女性がいる。だから離婚は絶対だ」と言った。
前妻は持っていたグラスを俺に投げつけてきた。
破片は床や俺の足を切り裂いた。
その時の録音と写真を警察に提出し、相談した。傷は病院にいって診断書を作ってもらった。
前妻は「不倫女と飲んでたんでしょう!!」と大暴れ。
「不倫女に連絡させて」と言って聞かない妻。連絡取って、どうするの?と聞くと、
「不倫相手の職場を問いただす。職場に乗り込んで殺す!」と言った。
念のため、録音を警察に提出した。
ある日、彼女に送るために弾き語りの動画を撮影していた。ラブソングの笑
離婚したいしたいと言っている俺が楽しそうにラブソングの弾き語りをしているのを聞いた前妻は、
スマホを見せろ。でないと殺す。と脅してきた。頭突きして刃物を奪い取った。
ちょうど回っていたカメラに写った映像とともに、警察に相談した。
そろそろハッタリには十分と思い、離婚調停をしたいからそちらも弁護士を選んでおいてほしいと伝えた。
前妻は、「あんたが浮気したんでしょ!戦うから!」と血気盛んだった。
しかし俺も馬鹿ではない。前妻に彼女の存在を打ち明けてから、彼女と不貞行為に及んだことは一度もない。戦えるほどの証拠があるなら出してみろというものだ。
遠方に住む前妻の両親に、「前妻さんが首を吊りたがって困るので、助けてください」と連絡して、呼び出した。
そして取り寄せた調書をつきつけ、
「前妻さんが離婚になかなか応じてくれないので、これらをもって調停、裁判、もしくは告訴を考えています。
前妻さんはこんな感じで、僕の手に追えるものではないため、客観的に見て離婚は妥当と思います。
ただ、前妻さんのご両親が、前妻さんの説得に協力していただけるのなら、もう少し寛容に判断します。」
と告げた。
義両親はあわてて前妻の説得に協力してくれたよ。娘溺愛の義両親は、娘を告訴なんてされたらたまらんだろうからなあ。
前妻本人はヒスって話にならんし、本当に首つられても迷惑だし、助かった。
前妻は遠方の地元に帰る他なかったようで、どうせ家はいらないし、ローンもまだあるしで、ローンごと貰い受けた。
まあ、この家のローンも、頭金として義両親が1000万ほど出してくれたおかげで、たいした額じゃない。
まだ1年も住んでないからきれいだし、彼女が気にならないならこのままここで一緒に暮らせばいいと思ってる。
最近調子が悪く、「自分に向き合う」ということをせざるを得なくなった。私はずっと自分を直視することから逃げてきた。
幼い頃に両親が離婚し、私は母親と母方の祖母に育てられた。母は父親から慰謝料を受け取ることを拒否し、公務員として働きながら私を大学に進学させてくれた。家は過疎地帯の小さな町にあり、まともな進学が叶う高校へは片道1時間かけて通う必要があった。祖母は60歳で余命半年を宣告されるレベルの胃がんを患った。寛解はしたが、体力的には勿論大きなダメージがあっただろう。しかし祖母は毎日5時に起き、私を起こして朝食を食べさせてくれた。
私は物質的には何不自由なく育てられた。勉強ができることを常に歓迎されたのも、私が女であることや時代や地域性を考えればとんでもない僥倖だ。母も祖母も(田舎の人間としてはかなり)知的好奇心や教養を重んじる気持ちが大きく、そういう家で育てられたことも幸運だった。ただ、嫌なことも山ほどある家だった。
祖母は80歳を過ぎるまで苛烈な自意識を悪気なく振りまき続けた。とにかく華やかなものや高級感のあるものに目がなく、目立つことが好きで驚くほどの見栄っ張り。そして私からすると異常に闘争心が強かった。祖母にとって他人は「常に勝つべきであり決して負けてはならないもの」「自分を当然に認めて賛美するもの」「自分のお眼鏡にかなうのはほんの一握りしかいないもの」と認識されていた。そして厄介なことにこのような性質を全く客観視できず、自分の考え方に沿わない人間は「馬鹿」もしくは「おかしい」とジャッジした。孫の私でさえもだ。
物心ついた瞬間から私は常に周囲の子たちと比較され、劣っている点を突きつけられた。ゆきこちゃんのように可愛らしくない。さきちゃんみたいに上手な字を書けない。ようこちゃんと違って美人じゃない。ともかちゃんのように性格が良くない。めぐちゃんみたいに明るく如才なく人と接することができない。みゆきちゃんみたいな勝ち気さがない。かなちゃんみたいに女の子らしくない。話はいつも「おばあちゃんは、ああいう子がよかった」と締め括られた。祖母の考えでは、私が奮起して「よし、頑張ってあの子を超えてやる!」とがむしゃらな努力をするはずだったのだと思う。でも私は祖母じゃない。他人と争うのが何より嫌いな、内向的な人間だ。生まれたのは燃えるような向上心などではなく、凍えるような自己否定感と身を焦がすような憎しみだった。憎しみは祖母に向かい、名前を挙げられた女の子たちに向かい、祖母を止めない母親に向かい、自分にも向かった。
私はいつも祖母の虚栄心を満たす在り様を求められた。勉強ができるという点は合格、他は総じて不合格。容姿も趣味も人間性も。私が太っていて内気で運動が苦手で片付けができなくて愛想が良くなくて放っておくと黙っている子供であることが「恥ずかしい」と祖母はいつも言っていた。大学時代に一時的な過食傾向に陥ったことがある。7キロくらい太って帰省した私に、恥ずかしいから日が高いうちは近所を歩くなと祖母は言った。心配はされず、「どうしたの」「何かあったの」と訊ねられすらしなかった。私は常に祖母の虚栄心を損なう悪者だった。
肝心の学業成績も褒められたことは皆無だった。1位じゃない、満点じゃない、進学先がトップ校じゃない。それを論拠に「私の血縁者だけあって頭が悪くはないが、取り立てて優秀でもない子供」と判断された。何かができるようになると、次の瞬間には「それじゃあ次は」と言われ続けた。ゴールがない。苦しかった。
私の母は、その祖母の娘である。私が1歳に満たない頃に私の父親と別居を始め、実家に出戻った。
土地が二束三文で買える田舎町にある実家は敷地が広く、母屋と離れがあった。離れは母屋より小さいが、リビングとベッドルームと和室がひとつ、風呂も台所もあった。母はそこに住んだ。私を母屋に残して。役所勤めから帰ってきて、母は毎晩ひとりでレコードを聴いたり古い映画を観たり純文学を読み耽ったり、妻のいる男の人と長電話をしたりして過ごした。平日に私が母と会話できるのは、彼女が許した1、2時間だけだった。それが限界だったのだろう。
母が娘に求めたのは豊かな感受性、繊細さ、抑制が効いていながら豊かな感情表現、心の優しさと清らかさ、従順さ。母の心情に関心を寄せ、いつも注意深く観察し斟酌し、そこに寄り添い肯定すること。母はそれを「素直」というタームで表現した。私は小さい頃から「素直じゃない」と詰られた。自分を偽ってもいないのに素直じゃないと言われるのは心底不可解だった。4歳か5歳の誕生日、私は母からメッセージカードを貰った。「○○ちゃん、たんじょうびおめでとう。○さいのテーマは、すなおになることです」。そう書かれていた。そこから先は「素直とはどういうことか」が説かれていたが内容は忘れた。心臓が止まるかと思うほど嬉しくなかった。
母は癇癪持ちで、定期的に不機嫌の発作を起こした。自分の不手際が契機となり、怒鳴られ人格を否定され「縁を切る」「家から出ていけ」と言われ、数日間まともに話してくれない。そういうことが日常的にあった。ヒステリーを起こすきっかけなど何でもよかったんだと気づいたのは実家を離れて何年も経った後だった。天災のように気まぐれに降りかかる不機嫌の発作を、子供だった私は心を殺して耐えることしかできなかった。
小学校5年からは学校でいじめの標的になった。担任の女性教師から私はすこぶる嫌われていて、ほとんど彼女の主導のもとに王道のいじめを受け続けた。中学は町に一つしかなく、選択の余地がなかった。その女性教師の夫が進路指導主任を務める公立中学に進学した。いじめの続きは入学初日から始まった。合計で5年間、私は一日も欠かさず死にたい死にたいと思いながら生きた。
家族に言っても碌なことにならないと子供心に判断していたが、耐えきれずに吐露したことが2回だけある。最初は祖母に。「そんなのやり返せばいいだろう」と私の弱さを叱責されて終わり。予想どおりだった。絶望はしたがショックではなかった。母に話したのはしばらく後。おそらく苦しくて仕方なかったのだろう、母がいる離れの呼び鈴を夜中に鳴らした。泣きながら「もう何年も学校でいじめられている」と話した記憶がある。母は私を離れの中に入れなかった。玄関先で立ち話をした。片親であることを攻撃されていると話した。「それが何だ」と母は言った。わたしなんか学生運動がいちばん盛んな頃に短大に進学して、父親が警官だって言ったら「お前、『犬』の娘か」って嗤われたんだから。どんなに嫌だったかお前に解るか。腕組みしてまくしたてる母を冷えきった気持ちで見ていた。
それから長い年月が過ぎた。
祖母は80過ぎで二度目の癌を患った。退院した頃から加速度的に穏やかになり、最終的には少し気弱で優しく品のいい老婆として94年の人生を終えた。亡くなる数ヶ月前に実家で倒れて寝たきりになり、帰省した私が「おばあちゃん、私のことわかる?」と問いかけると「わかるに決まってるだろう、たった一人の孫だもの」と必死に笑みを浮かべて私に答えた。帰り際には「そんなに肌が綺麗だったっけ」と言われた。私の見た目を褒めるなんて、おばあちゃん目が悪くなったんじゃないの?と笑って憎まれ口を叩き、来月も来るからねと告げて東京に帰った。それが最後の会話だった。
母は合わない職務で鬱病を患い、50歳を前に役所を辞めた。その数年後には妻子持ちの男とも別れた。相変わらず自意識過剰で感情的で面倒な人だ。でも面白い。知的好奇心を保っているのも心強いし、化粧っ気は全くなくなってしまったが今でも綺麗だ。私は母の顔と字が無類に好きだし、無類に好きなところは他にもたくさんある。今はそう思う。
この度よくよく自分の内心を見てみたら、あまりに汚く混乱していて自分でも驚いた。段階的に補強してきた自己肯定感は思っていたよりもまだまだ脆い。自分を憐れみ庇う気持ちはあるが、これを自分への愛と呼べるだろうか。するべき(と思われる)ことは容易に把握できるのに「したい」ことは分からず、なのに無欲ではない。綺麗になりたい。痩せたい。頭が良くなりたい。お金がほしい。休みがほしい。美味しいものを食べたい。俗な欲求は人並み以上だ。それを捨てることも開き直ることもできない。
脳内には14歳の私が世界の万物に向かって「私に謝れ」と怒鳴る声が反響している。それを恥じて隠蔽しようとしている成人の私がいる。隠蔽しようとする私を「卑小でつまらない人間だ」と蔑視する私もいる。世界観のベースに「私は素敵な誰かの下位互換であり欠陥品だ」という根深い諦念がある。刷り込まれた規範は私の血肉となっていて、私はそれを憎悪しながら切除できない。「本当の自分」とは何か、皆目見当がつかない。
ならば、その正体不明の混乱しきった人間を許してやろうかな、と考え始めた。そしてあわよくば愛してやりたいと。
私は凡庸だ。狭量だ。いろいろと不出来だ。根気がなく三日坊主だ。いい歳して自意識過剰だ。かっこわるい。けれど、別にそれでもいい。誰に馬鹿にされても見下されても、私は「なんでよ、別にいいじゃん」とケラケラ笑いながら私自身を全力で抱きしめる。
離婚裁判で明らかに妻有責なのに「早く離婚する為慰謝料(手切れ金)払って離婚した」という結果に対し
「無能弁護士を雇うからそうなる!有能弁護士を雇えば良かったのに」みたいなレスがつきがち。
でも実際に離婚裁判にも関わる身としては「そうはならないよ…」と言いたくなる。
離婚裁判が長引けば長引く程、裁判に関する費用だけでなく、相手に支払う婚費も積み重なる。
例えば夫無職で妻有職の場合はそもそも前者の様な社会のクズは婚費も慰謝料も支払わないし妻側もさっさと離婚したいから泣き寝入りする事が多く
一方夫有職の場合は支払い義務は当たり前に発生するし妻側も当然請求するので、婚費は実質ほぼ妻側が受け取れる有利な権利となっている。
婚費は法律上決まっている事なので、当たり前の話だが裁判が長引けば長引く程婚費も嵩む。
(ワザと長引かせる様なテクニックをアドバイスをする同業も勿論いる…)
離婚したい程の相手に対し毎月10万20万も支払わねばならないというのも夫目線からすれば理不尽だろうし相手有責なら尚更。
仮に裁判を続けた結果相手に慰謝料請求となっても、その間の婚費でトントンとなれば良い方で、実際はマイナスなケースが多く
更に言えば後述する理由で思う様な結果にならない事の方が多い。
裁判にかかる時間やプレッシャーも一般的な社会人にとっては多大なストレスだろう。
裁判が長引きそうなケースは「損切り」「敢えて折れる」方が結果的にはダメージが少ないだろうと考えている。
以上の事を踏まえた上で依頼人には説明するのだけれど、これがまあ中々納得してもらえず、揉める揉める。
「(私が女性だから)妻の味方をするのかー!」「相手が悪いのに何でこっちが慰謝料払わきゃいけないんだ!」みたいな感じで逆ギレされる事もままある。
でも結果的には折れた方が有利なんだよ…って説得はするけど、結局弁護士ジプシーになる依頼者もいる。
その後の結果は知らない事の方が多い。恐らく余計に金と時間だけかかって徒労に終わっているだろう。知っているケースもお察しだ。
家庭内の出来事なんて密室だし証拠(録音・録画など)が無い事の方が多い。
仮にあったとしてもそれが必ずしも有利になるとは限らない。
裁判とは突き詰めてしまればどれだけ裁判官を納得させられるかの勝負であり、極論、圧倒的に妻有責のケースであって更に客観的証拠があったとしても
「私は悪くない!アイツ(夫)が悪い!アイツのせいで私はおかしい事(有責)をしてしまったのー!」という被害者染みた言い訳に
判決を下す裁判官が『納得』してしまえば妻側が勝ってしまうのだ。
それに体感としては総じて離婚関係の裁判の場合は「夫(男)に問題があり、妻(女)は被害者である」という通念が根底としてある様に思える。
これは平成以前の女性の人権がまともに無かった時代の判例や流れを未だに引き摺っているのも大きい。
例えば、夫が妻から長年のDVを受けて遂に棒や包丁まで持ち出される様になり、とっさに突き飛ばしてしまった、なんてケースでも
突き飛ばしたのが「DV」とされ、多大な慰謝料を取られ夫側が敗北したケースも知っている。(DVを受けた証拠は一応あったケース)
担当した方は夫側に親の仇の如く恨まれ罵られたがどうしようも無かった。
逆に言えば妻側が依頼人として担当するケースではこれ程やりやすい事は無い。
妻は女性は被害者であり、浮気や使い込みなどの有責事項はストレスで仕方無くやってしまった事であり
それには被害者的側面があり、妻側に対し負担をかけた夫にその責任がある、という主張をすれば良いのだから。
まともな依頼人なら良いが、中にはさすがに自分でも擁護出来ない様な酷い女性もいる。
「もはやこれは結婚詐欺では?」そんな事を言いたくなるケースもあった。
結婚した途端、無断で仕事を辞め貯金を使い込み浮気をし責められればDVを主張してある事無い事言い回って夫を追い込む…
別に社会正義を気取っている訳でも無く、必ずしも人の役に立つ仕事だとも思ってはいないが
結果的には有責の人間を擁護し彼女らに苦しめられた人間をより追い込む事に協力しているのだから
今までの感謝された回数と恨まれた回数を思うと後者の方が多いのでは?自分の仕事の意義は?
「(結果に)納得がいかない!男女平等じゃないだろ!ふざけるな!」と怒る人もいた。
有責の相手にも慰謝料支払って損切した方が男性にとっては最適、だなんて本当は言いたく無いが、現実だから仕方ない。
仕方無いのだけれども、仕方が無いと割り切れない自分もいる。
当事者からしたら納得出来ない、受け入れ難い、理不尽だ、差別的だ、などと怒り嘆き苦しむ感情が想像出来てしまうからだ。
いっその事、もしも自分が完全なフェミニストであれば、こんな身勝手な良心の呵責なんて覚えなかったかもしれない。