はてなキーワード: 超電導とは
これは夢が広がるニュースだ
はてなーは「トンデモ、トンデモ」と騒いで否定するのが大好きだから、世紀の大発見を聞いても、素直に信じることができない。人を褒めるより、けなすのが大好き。心が汚れている。
常温超電導には何度もがっかりさせられてきたが、第三者に再現が確認されたのは初めてかもしれない。これは期待していいのかも。
うーん、確認のやり方がよく分からん。単に磁性体ができたってだけなんじゃねーの? これではマイスナー効果とは言えないと思うんだが?
croissant2003 そもそも浮くことがピン留め効果の現れ。部分的に超電動が混じってると動画のようになる。純度あげるのはこれから。ピン留め以外で浮く現象を説明してみろ。あほ
おお?磁化率の測定はどんなもんなんだろ。/ 逆に言えば、十分な計算力があれば、候補の物質を片っ端からシミュレーションして、超伝導の可能性があるものをピックアップできるってこと? 科学
とてもワクワクする
スパコンの計算だとあり得るとのこと/送電会社の株価が上がるのは思い付かなかったなと思ったけど、単に社名にSuperconductorが入ってるからか
最初の報告とは別の複数の研究機関からそれぞれシミュレーション、試作で再現成功したという発表があったと。STAPとは全く訳が違うわな。予備的な試験とのことだしまだ信じられんけど/あ〜再現失敗してる機関も多いの sciencephysics
シミュレーションの結果は興味深い。計算は条件さえ示されれば簡単に追試できるので。その結果を詳細に検討すれば超伝導が成立する条件などの知見が得られそう(高エネルギー状態は不安定なので物質はできてないかも)
LK-99はありまぁっす!
https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/XLJ547N44X/
こちらを見て、正直いって、25%ぐらいはいいこといっていたが75%が酷すぎたと思う。
【前提となる自分の背景】
===(Nスペ目次)=====
===(Nスペ目次)=====
もう、10年何をしてきたのかという諦めの気分。いま目次を書いてみると、たしかに1時間で
まとめるとこうなるのもやむ無しという気がしてきたが。結局 so whatが無いんよ。
自分が思うso whatは個人単位の戦争をすればいいので「日本で勝負するのは辞めよう」
未だに海外に行かない日本人研究者層が歯石のように積もり積もって自分の首を締めていると思う。
特にドン引きしたのが、ネパールの人材の青田買い。何をしているかというと、「早めに内定を出して日本語教育をしている」
ということ。インド人エンジニアには見向きもされないから、更に安い国としてネパールを選択し、その安物エンジニアを供給
しようとしているようだが、はっきりってその見向きをされていないインド人にどれだけお金を払うかの方が大事。
安いエンジニアは誰も要らない。
わざわざ日本語を勉強してこようみたいなモチベーションのネパール人が使えるわけがない。SIerの下請けにしかこない。
私はカンボジア人のエンジニアと仕事をしていたが、当然英語だし、たしかにコストは安いし、その割に国のトップみたいな
人材だが、その人がわざわざ日本語しかできない人と働くとは思えない。
そういう楽をした内向きの戦い方が全ての元凶だろう。
自分さえどうとでもなればよいという考え方の方が実は日本を救うと思う。いま一時帰国して、この番組を見て
理系人材の扱いが自分の卒業した12年前時点と1bitも変化していないことにショック。
日本の若者がむしろ自分の内向き志向をコロナ等で深めている気がしていることを憂慮する。
松尾豊さんが言っていた「兵站がない」っていう言葉、日本人はとても好きなんだけど、兵站って無限にないんすよ。
僕は国力を上げるにはもう中国化するしか無いと思う。権力への批判機構みたいなのが多少弱まろうが、兵站がない以上
ただし、理系においてはITのような【今トレンドである】ようなものやAIのようなチャラチャラした学問ではなく
、生命科学、物性、宇宙、ITのすべての学問に戦力的集中を行う。
その代わり文系人材、F欄大学などは廃止する。申し訳ないが、これをやらない限り、日本全体が沈下する。
しかし、そしておそらくみんなそれでいいと思っている。なので、そりゃ無理よ。
阪大生命科学の人がオートファジーみたいな研究は芽が出ないから選択と集中を行われては困るというような
言い方をしていた、それは本当にそのとおり。しかし、選択と集中を行わないために選択と集中を行う必要がある。
シャープが選択と集中を進めた結果潰れたのではなくて、選択と集中をしても潰れる流れをせき止めれなかった。
文系の教授のウクライナ情勢での解析の体たらくを見ていてもドン引きする。置きにいったコメント。自分は専門外だからと
小泉特任講師のように画像解析など普通にするべき理系的アプローチも解析もできず、歴史というわかりにくい概念でけむにまくだけで、
この千載一遇の研究結果を元にissueを提言するべきところで何もできていない。
はっきりいって文系という学問がそういう性質があるのはやむをえないがそういう置きに行くことをしていると、当然
なりふり構わない、中国などに勝てるわけがない。日本人全体が苦手なので、玉虫色にしたがって、その結果兵站が
尽きる。当たり前のことである。
https://anond.hatelabo.jp/20210924183546
の続き。核融合についてこんなに見てくれる人が出るとは思わなかったのでびっくり。おじさん続き(というか、前回の記事でまるっとスルーした部分についての補足)を書いちゃうよ。もうバレてると思うけど、増田は核融合ベンチャーに頑張ってほしいと思ってる(利害関係はない)タイプの業界人だよ。業界の中にも否定的な人は普通にいるよ。
核融合で発電するには、「十分高い温度と密度の高純度なプラズマ」が必要。それが十分な性能になったら、あとは発電設備を付ければ発電できるようになる(それも簡単ではないけど)。
プラズマの性能は温度・密度・閉じ込めの3つを同時に達成しないといけないので、本当は核融合三重積という指標を使う。そうじゃないと「温度は高いけどスカスカで核融合反応をほとんどしないプラズマ」とかがすごいっぽく見えてしまう。でもここでは長くなるので割愛。というのも、幸いにしてすでに核融合反応を起こした装置は2つあって「実際核融合で何Wを何秒出した」と言えるのでそこで判断してもらって大きな問題はないから。
TFTRは装置名。世界初の大型装置での核融合燃料を使った本格的な核融合反応。(ここまでは取り扱いの面倒な三重水素は使われてなかった。)核融合出力1000 kWをプラズマ的には十分長い0.2秒くらい維持した。
現在までの最高出力記録。このとき、2400kWくらいのエネルギーを投入して1600kW出したので、投入エネルギーの0.6倍は出せた計算。ただし、投入エネルギー=投入電力ではないので注意。電力ベースでは(記録はないけど)おそらく0.1を割るだろうと思われる。
ギネス認定の人工での世界最高温度記録である5.2億度を達成した。また、1億度のプラズマを9秒フラットに維持したりもしている。日本は放射線管理のあれこれで核融合燃料を使えなかったため、核融合出力はない。しかし、この5.2億度のプラズマでの温度や密度から、核融合燃料を使っていれば投入エネルギーを超える核融合出力が得られたと推定されている。(JETの0.6を超えて1.2くらい達成したはずという意味)
この3つを見てわかるとおり、核融合の記録は90年代ばかり、2000年代以降は更新されていない。iphone13の時代にwindows meすらない時代の記録が最高記録扱いなのである。研究者がベンチャーなんてやりたくなるほどのフラストレーションを感じている理由もちょっとはわかってもらえるだろう。
そこらへんの火力や原子力の発電所では、電気出力が数十万 kWから百万 kWくらいなので、発電効率を考えて核融合出力で100万kWくらい出せれば核融合発電所第一号としては十分だとすると、JETの記録を600倍は増やさないといけない。600倍とかヤバくね?と思うかもたけど、iterは50万kWの核融合出力を400秒続けられるように設計されている(それは見通せてる)ので、iterの二倍で良いわけである。本当なら今頃はiterの成果を見ながら「iterの2倍程度の出力をもっと長く継続する」「発電設備をつける」にトピックが移ってたはずなんだけど、遅れてるのが現状。元々90年代の成果と知見を元に次の装置を設計して建設するため、10年程度の空白期間が出来てしまうことはしょうがないのだけど、2010頃には動いていたはずのiterが遅れたために空白期間かここまで伸びてしまっている。iterが複数企業どころか複数国(EU+六カ国)が機器を持ち寄るというみずほ銀行勘定システム以上のゲキヤバ案件でなければ今頃...iterが大失敗して、核融合業界全体が死んでた可能性もあるんだけどね。
iterの基本設計が古くて保守的だから。97年にベース設計が決まって、2007に更新されたのがiter。炉形式も実績はあるが思想の古い保守的なトカマク(上述の3つはこれ)。しかも「失敗は許されない!」と90年代に確実だった(枯れた)技術ばかりが使われている。典型的には超伝導線材(コイル)で、iterは日本のLHDで採用された実績のあるニオブとチタンの合金の超電導線材すら「日本しか供給できないので供給力が不安」という理由で不採用にして、性能が低いニオブとスズの合金の線材を採用しているくらいに保守的なのである。
そういうiterなので、研究者が「リスクを犯してでも最先端の技術や炉形式を使えば、もっと安く、もっと良いものができる!」と考えるのは当然の帰結。そんなわけなので、2000年代にようやく工業レベルの供給ができるようになってきた高温超伝導導体はベンチャーの提案ではスタンダードである。
ここからはより私見が強くなるけど、「2030年代に既存の原発や火発なみに発電する核融合発電所ができるか?」なら答えはNo。そもそも、建設に10年程度かかるものなので、2030年代までに動くのは次の世代の炉だけ。でも、ガチ発電所の前に一世代「お試し発電はするけど、ガチ発電所ほどじゃない」やつが要る。二世代作るのはどう頑張っても間に合わないし、次のやつのデータを見ながら規制法律の整備とかもするからそういう意味でも間に合わない。多分、用地設定とかも含めると、すでに提案済みの新型原発(核分裂炉)でも20年たらずで発電開始は無理じゃないかな?
でも、「2030年代にちょっとでも良いから核融合で消費電力を超える発電をする」なら10 %くらいいける確率はあると思う。首相が青森の六ケ所(iterの候補に立候補してた)あたりを特区指定して、原子力規制庁が規制法を爆速で整備して、現存の設計案(ベンチャーの案でも、量研機構が準備してる次世代核融合炉設計案でも良い)の最小限版を速攻で建設開始するシナリオ。当然その時はみずほ勘定システム方式ではなく、日立なり東芝なりの一社に全体を統括してもらう。そこまでお膳立てされれば遅れない。多分遅れないと思う。遅れないんじゃないかな。ま ちょっと覚悟はしておけ。
前記事書いてたときに存在を忘れてた。ロッキード・マーチンのチームはアカデミアとつながっていないので、他の核融合ベンチャーが論文などを出してる一方で情報が一般向けのニュースくらいしかない。でもまぁ、振動磁場で粒子を閉じ込めるというアイデアもちょっと無理がある(そんな早い振動磁場を高強度で作れない)と思うし、車に乗るとかどう考えても無理があることも書いてたのでなぁ(加熱装置も発電装置も電源も車に載るほど軽くない)。核融合ベンチャーは大なり小なり希望的なことを言うものだけど、それと比較しても無理っぽいんじゃないですかね。すでに内部で解散してても驚かないです。
心残りがある。
ホッジ作用素とか、アインシュタイン方程式、群環体、微分幾何、集合と位相くらいは理解した(つまり、e-MANや物理のかぎしっぽくらいのサイトを眺めるレベル)
でも、
って感じの、学部中級レベルしか物理や数学は理解できていない。
東大まで行って、これかよっていう。
ってか、工学系でも、これらの知識使ってるところは使ってる研究室あって、普通に研究してるわけで。
自分がいた研究室は、そんなに高度な数学も物理も使わなかった。せいぜい、微分幾何学とかチョロっとだけルベーグもあったかなーくらい。ほとんど何もまともな頭を使う議論はなかった。ルベーグってのも、別にルベーグじゃなくて、ノルムがどうこうでちょろっと。
物性系なら、超電導とか相転移とか。あるいは、核物理とかなら、普通に素粒子とかで数学バリバリできたんかなあ。
もう就職しちゃったけど、博士やれるなら、純粋数学か、素粒子物理やりたいなあ。。。
酸素が重いから回転が遅い、というのは違うからね。酸素より重いランタンのほうが酸素より速いからね。回るのは原子核じゃなくて核スピンだからねホントはね。わかりにくいから原子核って書いたんだと思うけど一応ね。核スピンは、そうねぇ、小さな磁石だと思ってくれてもそんなに間違った理解ではないよ。
で、NMRの原理のところだけど、現代でラジオ波の吸収を使って調べることはほとんどないんじゃないかな。連続波(continuous wave; CW)法で検出にQメータ使っている人なんてほとんどいないでしょ。いまは(といってもだいぶ昔からだけど)パルス法が主流で、これは強く短いラジオ波パルスを照射することで広帯域の核スピンを励起して一度に信号を取るとても効率の良い方法だよ。
え、それって吸収を調べているんじゃね?って思うかもしれないけど、ちょっと違うのね。本質は、核スピンが集合してできた巨大な磁石(巨視的磁化とよんでます)なのね。この巨視的磁化はコイルの中に置かれています。
この巨視的磁化は超伝導磁石の作る強磁場の方向に通常は向いているんだけど、コイルによりラジオ波パルスを照射されるとパタンと倒れるのね。これが励起状態です。
で、励起されたらまた強磁場の方向に向こうとするんだけど、このとき元増田が書いてくれたように、置かれた環境や結合に依って違う回転スピードでぐるぐる回りながら戻っていくのね。
この回っている巨視的磁化の周りにはコイルがあって、コイルの中で磁石が動くとどうなるかというと、ファラデーの電磁誘導の法則ってのを覚えている人がいると思うんだけど、電圧が発生して電流が流れるのね。で、この誘導された電流は巨視的磁化の周波数の交流で、こいつを検出器で検出しているというわけ。
この巨視的磁化ってのが本質だと書いたけど、ホントのホントはスピンが揃っていること……コヒーレンスなのね。コヒーレンスって可干渉性とか訳されたりするけど、この時間的にも空間的にも揃っていて、しかもその持続時間が非常に長いことがNMRを他の測定法とは一線を画す面白い測定法にしているよ。
たとえば、炭素の巨視的磁化と水素の巨視的磁化が干渉して結合状態が分かったりするよ。あと、人間が作るラジオはパルスもかなり干渉性の高い電波で、このラジオ波パルスの打つタイミングや長さや強度や打つ方向を工夫すると、巨視的磁化を操ることができて、欲しい情報だけを引き出すことができたりするよ。こういう一連のパルスをパルスシーケンス(パルスプログラム)と呼んでいるんだけど、このパルスシーケンスを開発している人達もいるよ。ほんとにプログラムするようにできたりするよ。そのためには量子力学、特に密度行列の時間発展を計算できる必要があるよ。
あとは量子コンピューターにも使われようとしたこともあるよ。こともある、とか書くと怒られるかもだけど。IBMが核スピンを使って初めて量子コンピューターを実証したよ。でも今の主流ではないよ。
超伝導磁石に関しては、強い磁場を生み出すことも重要だけど、空間的・時間的に均一であることも重要だよ。NMRって特に溶液NMRだと10^-9の精度での磁場の均一性が求められるよ。時間で変動しても、場所で違っても信号がなまってしまって困るのね。
そうそう、超伝導は理学系が多くて、超電導は工学系が多く表記に使っているよ。どうでもいい豆知識だね。
で、いま世界最強の溶液NMRにも使える超伝導磁石(と電磁石のハイブリッド)はアメリカはフロリダ州タラハシーにある45 Tマグネットだよ(https://nationalmaglab.org/magnet-development/magnet-science-technology)。水素の共鳴周波数でいうと、ええと、1.9 GHzで、もはやラジオ波じゃなくてマイクロ波だね。
NMRの弱点は、感度がめちゃくちゃ悪いことだよ。質量分析とかタンパク質ちょびっとでいいけど、NMRだと必要量が桁で変わるよ。タンパク質とか作るのめっちゃ大変だから、そのへんはNMRの泣き所だよ。感度向上は古くて新しいNMRの研究テーマだよ。今はいろいろな方法があってね……(以下略)。
イエーーーーーーーーーーイ!!!!NMRの用途や原理知ってるか~~~~~???!!!??
NMRは化学分析に使う分析装置だ!化学、特に有機化学や生化学の研究をしたことがある人はよく知っていると思う!そういう人は野暮なツッコミを入れ始める前に好きな有機溶媒を書いてブラウザバックだ!DMSOか?THFか?DMFか?DHMOか?書け!
NMRって知ってるだろうか!知ってるヤツは皆ブラウザバックしたはずだから君はNMRを知らないはずだ!それでも名前くらいは聞いたことがあるかもしれない!無いかもしれない!でも日本で生きていたら必ず恩恵に預かっているぞ!
みんな大好き、排水管の赤錆を防止するNMRなんちゃら・・・まあ詳しくは触れないが、あれもNMRの原理を応用したと主張している装置だ!!効果があるかどうかは今はいいだろう!
ヘリウム不足が深刻で研究者が困っているというニュースを聞いたことがあるかもしれない!何?今日聞いた?オラもだ!ヘリウムはいろいろな実験や産業に使われているけど、中でもNMR装置に多く使われている!NMRの中には超電導磁石が入っているから、磁石を極低温に冷やさないといけない!そのためにヘリウムが必要なんだ!
君がいい年こいてるなら、病院のMRIで体の輪切り写真を撮られたことがあるかもしれない!あれだってNMRの原理を応用したものだ!
NMR装置の原理や用途を知っていれば生活の役に立つ・・・ことは無いが、ニュースを読み解く上で知ってるとすこしは役に立つだろう!それに化学物質の分析がどうやって行われているか知ることはとても意義のあることだ!電子顕微鏡でパシャっと撮影すれば分子の分析ができると思っている人もいるかもしれないが、大きな間違いだ!有機化合物は基本的にはそういう分析方法はできない!
たとえばバファリンを作ってる会社がいろいろな薬品を混ぜてバファリンを合成したとしよう!でも合成した物質がバファリンかどうかを確かめるためにはどうしたらいいだろうか?実は手順を間違えて毒ができているかも知れないから舐めて確かめるわけにはいかない!そこで登場するのがNMR装置だ!でも、そんなのはNMRの用途の一つに過ぎない!NMRはなんでもできる!NMRは科学の進歩に欠かせない装置だ!そういう凄い装置があることだけでも覚えてほしい!
○○
有機化学の研究をやっている研究室や製薬の研究所では、NMRを使って分子の形を調べるということをよくやっている!分子の形を調べるというのが主な用途なんだけど、それ以外にもいろいろなことに使える!じゃあNMRというのはどういう原理で分子の形やその他諸々を調べることができるんだろうか?!
NMRとは、本質的には原子核の回転スピードを測定する装置だ!意味がわからないだろうか?原子にはコアの部分があって、それを原子核と呼ぶ!そして原子核の周りを電子という粒子がグルグル回っているんだ!地球の周りを月がまわってるような感じだな!何?「電子は別にグルグル回ってるわけじゃない?」君!なんでまだ読んでいるんだ!まあ今回は許そう!
とにかく、原子というのはコアの部分である原子核と、その周りを回っている電子で構成されている!そこで原子核に磁力を与えると、原子核はグルグル回り始めるんだ!!!それもただの回転じゃあないッ!歳差運動と呼ばれる回転をしている!歳差運動とは、回転しているコマが力尽きる寸前にフラフラと揺れるようなあの回転運動のことだ!すり鉢で胡麻をするときに棒の真ん中あたりを左手で持って、右手で棒の先端をくるくる回すだろう!あの運動にも似ている!とにかく少し特殊な回転をしているんだ!その回転の速度を測定するのがNMR装置だ!
回転の速度は①原子の種類 ②装置の磁力の強さ ③原子の結合や周辺の状況 で変わってくる!②と③が同じでも水素と酸素なら回転の速さが違う!酸素のほうが原子核が重いから遅いんだ!①と③が同じでも②でまた変わってくる!磁力が強ければ強いほど原子は早く回転するぞ!原子が早く回転すると、③の影響がはっきりわかるから便利なんだ!一般的にNMR装置は磁力が強ければ強いほど高性能だし値段も高くなる!③は重要だ!一般的にはNMR装置は③を知るための装置だ!結合の方式や周囲の状況で回転スピードが変わってくるから、逆に回転スピードから結合や周囲の状況がわかる!だから分子の形がわかるんだ!!
原子核の回転スピードを測定するといっても直接見るわけにはいかない!だからラジオ波と呼ばれる周波数の電磁波を使って回転スピードを調べる!ラジオ波はラジオ放送に使われる電磁波だ!
そもそもNMRとは何の略だろうか?言ってみろ!言えないか?NMRとはNuclear Magnetic Resonanceの略だ!Nuclearは核つまり原子核、Magneticは磁気、Resonanceは共鳴だ!日本語だと核磁気共鳴なんて呼ばれるな!核磁気共鳴現象を調べる装置、それがNMR装置だ!では核磁気共鳴とはなんだろうか?核磁気共鳴とは、回転している原子核が、その回転スピードと同じ周波数のラジオ波を吸収したり放出したりする現象のことだ!よくわからないだろうか?
ラジオ波にはいろいろな周波数のものがある!電波(電磁波)が波だということは知っているだろう!電波の周波数というのは、波が1秒間に何回押し寄せるか、という数字だ!たとえば600MHzのラジオ波は、1秒間に6億回も波が押し寄せていることになる!ちなみにBluetoothや電子レンジが出す電波は1秒で24億回、青い光は1秒で500兆回くらいの波が押し寄せている!まあそれはどうでもいい!1秒間に6億回転している原子核に、1秒間で6億回波が押し寄せる電磁波をあてると、原子核はその周波数の電磁波を吸収したり放出したりするんだ!
イメージできるだろうか?君はそれでも人の親か?人の親なら想像してほしい!人の親じゃなくても想像してくれ!君はブランコの横に立っている!そして子供が乗っているブランコが5秒に1回、前に向かって自分の横を通り過ぎるとする!ブランコが真横に来た瞬間に、つまり5秒に1回だけ絶妙なタイミングで子供の背中を押してやれば、ブランコは手の力を吸収して勢いを増すだろう!でも5秒に1回だけじゃなく、3秒に1回とか変なタイミングで押してしまうとブランコの勢いは増さない!それと同じで、1秒で6億回回転する原子核は、1秒で6億回押し寄せるラジオ波のみを吸収する!1秒で6億1回押し寄せるラジオ波、6億2回押し寄せるラジオ波、6億3回押し寄せるラジオ波・・・といろいろな周波数のラジオ波を当ててやって、どれが吸収されたか見てやれば、測定したサンプルの原子核がどのくらいのスピードで回転しているかがわかる!これがNMRの原理だ!
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NMRが原子核の回転スピードを調べる装置であることはよくわかったはずだ!わかったよな?!じゃあ回転スピードから何がわかるだろうか?回転スピードからは本当にいろいろな情報がわかる!!わかりすぎて逆によくわからないくらいだ!とりあえず一つだけ紹介しておこう!NMRでわかるのは、原子核の周りをどのくらいの数の電子が回っているか?ということだ!
NMRで得られるのは一つのグラフだ!「NMR スペクトル」で画像検索すればNMRで得られるグラフが出てくるぞ!縦軸と横軸があって、グラフの中に線がたくさん描かれているグラフが出てきただろうか?!横軸は回転スピードを表している!横軸の数字が高いほど原子核の回転が速いことを表している!グラフのあるところに線があったら、そのスピードで回転している原子核があるということだ!そして線がグラフの左側にあることは、その線に対応する原子核の回転が速いことを表している!左の方に出てくる線の原子核は回転が速くて、右の方に出てくる原子核は回転が遅いことを示している!縦軸は難しいんだけど、超めちゃくちゃざっくりと言えば原子の個数を表している!
原子核の回転が速いということは何を表しているだろうか?実は原子核の回転スピードは、原子核の周りを飛んでいる電子の数で決まる!原子核の周りを飛んでいる電子が少なければ少ないほど、その原子核は回転が速くなる!つまり、グラフの左のほうに線が出現する!
さらに原子核の周り飛んでいる電子の数は、その原子が結合している原子の種類で大体決まる!例えば酸素に結合している原子は、酸素に電子を奪われている!だから電子が少ない!だから回転が速い!だからグラフの左側に出てくる!このことから、もし謎の物質を発見したとして、そいつをNMR測定にかけた結果グラフの左側に線が出てきたら、その物質には酸素が含まれている可能性が高いということになる!
以上がNMRの原理だ!①NMRはラジオ波を使って原子核の回転スピードを測定する装置だ!②NMR測定を行うとグラフが出てくる!グラフの左側に線があれば回転スピードが速い!③回転スピードが速いということは電子が少ないということを表す!④電子が少ないということは酸素みたいな電子を奪う性質の原子が含まれている物質である可能性が高い!
ということだ!もちろんNMRでわかるのはこれだけじゃない!もっといろいろな情報がわかる!だから新しい物質を作ったり発見したりしたとき、多くの化学者はとりあえず物質をNMR装置で分析してみて、どんな物質なのかを調べる!
○○
NMRは本当にいろいろな分析ができる!原理はさっき言った通りだけど、そこから本当にいろいろな現象のことがわかる!すべての現象を説明するのはかなり困難だから、ここではNMRで何を知ることができるのかだけを列挙していく!
①物質の濃度を調べることができる!
・・・グラフから物質の濃度がわかる!たとえば酒をNMR装置で分析すれば、アルコールが何%、糖分が何%含まれているのか大体わかる!
②物質のカタチを調べることができる!
・・・新しい物質を発見したら、それがどんなカタチなのかを調べる必要がある!正確な構造を論文に乗せないといけないし、カタチがわからないと性質もわからないからな!だからNMR装置でカタチを調べるんだ!
・・・多次元NMRと呼ばれる手法を使えば、タンパク質の立体的なカタチを調べることができる!タンパク質のカタチがわかれば、病気の原因になっているタンパク質に効く薬を設計したいときなんかに役に立つ!NMRは製薬や生物学の分野で大いに役に立っているぞ!
④物質の動き方がわかる!
物質の化学反応がどういう仕組で起こっているのか、液体の中で物質がどう動くのか、といった物質の動き方がわかるぞ!
ざっくりこんな感じだ!オラが知らなかったり、あえて書いていなかったりするだけで本当はもっとあるぞ!
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病院にMRIというのがあるだろう!あれだってNMRの親戚だ!NMRはNuclear Magnetic Resonance(核磁気共鳴法)だけど、MRIはMagnetic Resonance Imagingだ!日本語だと磁気共鳴画像法と言うな!Nuclear(核)というのは核爆弾とか放射線のイメージが強くて患者を怖がらせてしまうから、医療の世界だとNuclear(核)という言葉は使わないみたいだ!でも仕組みとしてはNMRもMRIもほとんど一緒だ!もちろんNMRもMRIも放射線は出ない!
MRIは、NMR測定を体のいろいろな部分で行って、その結果を二次元的な画像にする手法だ!オラはMRIのことはそんなに知らないけど、お医者さんはその画像から体のどこに腫瘍があるとか、そんなのを判断しているらしいぞ!超すごいな!
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ちなみにNMRの性能はほとんど磁石の強さで決まる!同じ物質なら、磁石が強ければ強いほど、原子核を速く回転させることができるぞ!磁石が強いNMRを使えばそれだけ情報量も増えるんだ!だからほとんどのNMRには超電導磁石が入っていて、だから液体ヘリウムで磁石を冷やすんだ!NMRを使う研究者にとってヘリウム不足は死活問題だ!NMRが使えないとマジで何も研究ができなくなる人もかなりいると思うぞ!もっとヘリウムが安く安定して買えるようになるといいな!より高温でも超伝導になる磁石があるともっといいな!みんなそれぞれ得意な研究や開発をがんばってくれ!磁石の強さはNMRの場合はHzで表すぞ!テトラメチルシランという物質があって、こいつの原子核を1秒間で1億回回転させることができる装置のことを100MHzと表す!5億回なら500MHz、10億回なら1000MHzだな!NMRは数千万円はするし、維持費もヤバいから大学や研究所に1つか2つあれば良いほうだ!たいていの場合400MHzから600MHzくらいのNMRを使っている!ほとんどの用途ならこれで十分だぞ!世界で一番いいNMRが1020MHzらしい!ジャンジャン稼いでジャンジャン良いNMRを買いたいものだな!分子のカタチや状態を分析する方法は他にもいろいろある!とても奥が深い世界だぞ!