「被疑者」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 被疑者とは

2013-04-07

Apes! Not Monkeysが歴史修正主義である

右翼論壇、ネトウヨにおいて差別主義歴史修正主義は一体不可分

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130406/

このような記事を書く彼自体が度々、ソ連歴史修正を容認するエントリを書いているのだ

例えば、

カチンの森虐殺から70年

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100408/

これプーチンは慰霊碑の前で跪いたが、謝罪などしていない。

正当化できない全体主義による残虐行為」とソ連責任を認めた。ただし、ロシア国民に罪をかぶせるのは間違っていると主張し、謝罪はしなかった。

また2011年、墜落事件の追悼碑の碑文がロシア側により作り替えられ、当事件の記述が削除されていたために物議をかもした。

それに2004年ロシア検察捜査は「被疑者死亡」、「ロシアの機密に関係する」などの理由で終結した。さらロシア連邦最高軍事検察庁は事件の資料公開を打ち切り2005年5月11日に「カティンの森事件ジェノサイドではない」という声明を行った。

また、ソ連およびロシア捜査によって責任を追及されたり、訴追されたものは一人も存在しない。

このような状況でロシアの「カチンの森の事件」対する姿勢を賛美するのは、南京大虐殺などの歴史修正主義者を賛美しているの変わらないだろう。

2013-02-20

http://anond.hatelabo.jp/20130220201336

事件が起きても被疑者の特徴によって論調が180°変わるとかな

2013-02-17

ま、冤罪について知られる機会だと前向きにでも考えるべきか

何日か前に、遠隔操作事件の被疑者を「男だから同情されてる」みたいに言ってた増田が居たけど

IT関連従事者だからはてなーから同情されてる」みたいに思った人はいませんか


君、あの事件の時は、捜査段階から犯人扱いしてぶっ叩いてた癖に!

被疑者が○○だと「○○恐い」みたいに吹聴して回ったくせに!

2013-02-15

痛いニュース(ノ∀`) : 産経新聞、チョコが貰えない「非モテ男」の象徴として片山祐輔容疑者の写真掲載

大筋として自分も記事の内容はおかしいと思う

けど、この医師意見も、「反撃」として医師ルックスを持ち出す人もどっちも変


さら大津・桜宮の件では被疑者が非難されてたのに今回は

196 : キジ白(山口県):2013/02/14(木) 20:42:09.06 ID:Yhl9bhAx0

犯罪者相手なら何言ってもいいって訳じゃなかろうに

211 : マンクス(埼玉県):2013/02/14(木) 21:17:23.44 ID:aEvA7E940

犯罪者人権なしを報道機関が地で行ってるのが凄い

みたいなことが書いてあって

もしかして被疑者被告犯人 の区別自体知らないんじゃないの?と思った

それとも、人命が失われた事件か否かで、被疑者への扱いが大幅に変わるということか?

2013-02-11

http://anond.hatelabo.jp/20130211003458

NHKが叩かれてるのは、逮捕前で、しか冤罪が連発した事件の被疑者に、メディアが”犯人”として張り付いたから。

「撮られる、見られる」ことに対する男性ダブスタについての批判自体に異論を述べてる訳ではない。

ダブスタ批判について、今回の件を例に出すのはまずいんじゃないか

http://anond.hatelabo.jp/20130211000732

まとめもブコメも、NHKを叩いてはいるけど、今回盗撮された人(=被疑者)に同情まではしていないように見える。

あなたの言う被害者というのは盗撮被害者という意味だろうけど、

コメントを書いてる男性が、自分と今回盗撮された人を一括りに被害者だと認識してないなら、今回その言葉を使うこと自体適切ではないと思う。

http://anond.hatelabo.jp/20130210235608

自分被害者になって傷つく時って書いてあるの読めねーのか。

いつ被疑者と一緒にしてんだよ。

まとめのはてぶ見てみろ。

2013-02-10

http://anond.hatelabo.jp/20130210234531

性別だけで被疑者と同一視とか意味が分らない

まして今回は性に関係した事件でもない

問題の発端は逮捕前のリークなので論点がそもそも違う

もとより、まとめられてる発言が男性のものか判別できない

2012-12-07

やっぱりはてサの思想は謎すぎる

日本で最もポピュラーな冤罪事件:日経ビジネスオンライン

http://b.hatena.ne.jp/entry/business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121105/239047/

y-mat2006 日本, 冤罪

今まで、痴漢被害にあっても泣き寝入りしていた人が多かったと思われるので、その反動が来ているだけ。被疑者よりも被害者権利のほうが大切だと思う人が多数派にいる限り、「冤罪」がなくならないのは社会要請。 2012/12/07

これって、要するに「もし痴漢冤罪に巻き込まれても、今まで痴漢に遭った女性たちのことを思えば、甘んじて受け入れろ」ってことだよね?

意味わかんないんだけど?

もしy-mat2006って人が痴漢冤罪に巻き込まれたとしたら、「男性女性を抑圧してきた歴史があるから、仕方ない」って泣き寝入りするんだろうか?

謎すぎる。

2012-11-10

警察庁幹部は「逮捕状に書いてあることを被疑者に読み上げないのは、法律上極めて難しい」と指摘したそうだ

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121109/dms1211091218015-n1.htm


しか警察官職務執行法にも犯罪捜査規範にもそのような規定はみあたらない

それどころか、警察には「守秘義務」があるはずだ


落し物の拾い主の連絡先等も「拾い主が教えてもいいと言った場合は」教えられるだけだ

国の発表を鵜呑みにして拡散するメディア存在には、気をつけねばなるまい

もし逮捕状を読み上げる規定があるというなら、メディアはその条目を取材するべきだろう


ミランダルールすら存在しないのに、逮捕状を読み上げるなどとということがどこの法律に書いてあるか

日本警察海外刑事ドラマのようなことをするのだと庶民が勘違いしているとでも思っているのか


さら犯人は、読み上げられた逮捕状の内容をすぐに記憶し、逮捕されてから後もずっと覚えていたということになるが

被害者の新姓だけならともかく、聞いたこともない新住所などは、その場でメモを取らなければ、普通は正確には覚えられないはずだ

したがって、警察被疑者個人情報メモさせ、のちの犯罪を煽ったという疑いが残る


自分から別れたあとに引っ越したら昔の相手には連絡先を教えないのが普通だろう

殺された女は、よもや警察に住所を晒されるとは思わなかっただろう

少なくとも晒しについては、インターネットより、警察守秘義務違反のほうが罪が重いことは言うまでもない

2012-10-19

http://anond.hatelabo.jp/20121019130127

どれだけ理想を求めても、理想にはなれない。

無実である蓋然性が高い4人の被疑者のうち2人が虚偽(と思われる)の自白を強いられている状況は、冤罪危険性が大きすぎる。

冤罪確率50%とか言うなよ?

http://anond.hatelabo.jp/20121019114230

どうせ犠牲者ゼロにはできないんだから現状を改善する必要もない、というのはいくらなんでも詭弁が過ぎる。冤罪犠牲者をできるだけ出さないようにすることは必要だろ。

無実である蓋然性が高い4人の被疑者のうち2人が虚偽(と思われる)の自白を強いられている状況は、冤罪危険性が大きすぎる。

2012-10-08

違法DL無効化する策

世界ルールを変える事。それこそがハックだ」「ハッカーならソース書けよ」

・まとめ

違法DLを適用させたとは言え、しばらくは使い方として他の余罪として適用していくだけだろう。
この法案を通したのは警察が特定の個人をマークしてネットで盗聴しやすくなる所が狙いだからだ。
しかし、この法案は頭の古い連中が自分達だけが法律を好き勝手使えるという思い込みで作っているので、
穴だらけである。この法案の穴を徹底的に突いて、この連中がやろうとしている監視社会を崩す方法を述べる


・違法DLで何が変わるか?

今回の法案では普通にネット使ってる人が大量に逮捕される事にはならないだろう
違法DLが有罪になるには、大まかに言ってこの3つが成立しないと違法DLにならない
http://www39.atwiki.jp/dl-ihou/

‐DLを行う人が違法DLである認識している
‐DLを行った後に、違法DLしたデータを手元に持っておく事
‐コンテンツ著作権者がこの犯罪を有罪だと申請する事

1つ目は身内や特別の人を守る為の条件だ。一般人には警察自白させる事で成立させるが
特別な人たちは、やったとしても認識して無かったと言い張る事で犯罪要件が成立しなくなる
2つ目は外部からPCスマホの内部の動きが判らないので、PCスマホを押収して、
データがあるかどうかを確認しないといけない。だからこそ違法DLの有罪化でいきなし
逮捕される人が急増する事はないと予想する。別件で捕まった人が押収されたPCスマホにある
違法データを訴える形で無いと、基本いまの違法DLが有罪にならない仕組みになっている
更に3つ目の条件で、著作権者が訴えなければ有罪とならないので、警察違法DLデータを
見つけ、著作権管理団体等に連絡して、訴えるなら訴えるという手順が必要から警察著作権管理団体等が特定の違法DLしたユーザー犯罪者にしようとする意志が無ければ
違法DLで犯罪者になる事は無いだろうし、その手順から言って普通にネットを使ってる
ユーザー違法DLの犯罪者として沢山捕まるような事態は発生しないだろう

男性パソコンに特殊なウイルス感染し、
第三者が遠隔操作して書き込める状態になっていたことが判明したためで、
いったん起訴された被告検察の判断で釈放されるのは異例なことです
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121007/t10015573441000.html
こういう事件が起きた後だと特に


・では何が問題か、である

2つ目の条件が外部から確認できないというあいまいさに付け込んで、
警察が誰の通信内容でも諜報可能となりうる事であるhttp://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/5548940dc73732a371f9b18600918fd7

あいまいさがあるという事は、違法DLデータが手元にあるかどうかはPCスマホを
押収しないと判らないが、対象の違法DLを行った人は被疑者とはなりうるという事である。
これは世界中にある違法の可能性のある著作物ネットで触れた場合、誰でも被疑者に出来る。
そして、それは被疑者PCスマホが押収された時に実際に確認されるが、確認される
までは被疑者に対してずっと通信内容を検閲できるという事である


・この法案は警察著作権管理団体エゴによって成り立ってる

著作権管理団体は、ネットで自由にコピーされている著作物を全て自分管理下に置きたがっている。
警察は誰のプライバシーでも自由に検閲できる名目を欲しがっている。この2つの意図によって
ネットに繋がっていれば誰でも刑事罰を受ける可能性を持つというとんでもない法案が通過した。
しかし、この法案はそんな特定の人だけでなく沢山の人々に影響を受けるし、与える事も出来る。
その可能性を考えられない時点で、この法案を作り、支持した連中は滅んで良いと思う


・容易く取り締まられる例

ファイル共有ソフトを使った場合、条件の1と2が成立するので、警察ファイル共有ソフトノードを追跡している場合は、PC等の押収まで容易く実行できるだろう。
そこから著作権管理団体へ連絡を行えば、大量のDL違反者が犯罪者となる可能性は高い。
#そもそも暗号化されたノードを解析して検閲するのは憲法21条の違反なんだが、
#ここに対してまともに扱ってる判例を見ていないのだがどうなんだろうか?


・では、逆に何があったら訴えられるか?

‐違法DLの為のソフトを使っていた事
‐違法DLしたという客観事実(DLデータ、DLした履歴)
‐違法DLされたコンテンツの著作者から訴えられる事
この3つがあれば、実は警察著作権管理団体も経由する事無く訴えられる。
著作権別に著作権管理団体けが管理できるモノでは無い。

と、言うよりもここ10年で起きたデジタル化、ネット化という代物は、
著作物著作権管理団体等に任せる事無く、容易く配布やコピーできる、
グーテンベルク以来の大きな改変の時代であり、従来の法では管理できない。

出版業界音楽業界映画業界のようなマスから一方的に一般へ配布するメディアは
もう全て歴史過去に流されようとしている。だれでも今までより容易く
著作物を生成し、自由に配布できる(される)時代世界は変容している

それを従来の力で束ねようとしてもそれはカソリック法王の足掻きのようなモノで
全てを押さえる事は出来ない。中央から一方的に自分達の主張だけを押し付ける
従来のメディア機関は滅びつつある。一手に集めていた金や権力を独占できる状況
ではなくなり、その結果としてボロを晒しながら衰退している。かつて独占されていた力は
全ての人々に開かれつつある。法もその一環だから、この法も一般人が使う事が出来る。

あらためて言おう。上の3つの条件が確保出来るのであれば、
一般人違法DLで他の違法DLの容疑者を訴える事が可能となる


・じゃあ何が出来るの?

自分がやろうと思っていたのは、違法DLに対する反対運動の為のアプリを作ろうか、
という事だった。一般人違法DLで他の人を訴えれるという事実は、そういう
アプリを大量に配布して犯罪者予備軍を大量に用意できるという事である違法DLに対して、例えば一気に1万人ぐらい訴えれば世間的に大きな印象を与える事が
出来るし、そこまでやれば裁判所などの行政府フリーズさせる事が出来る。
この法律おかしい、という印象を周りに強く与える事が出来る

まぁでも残念ながら、いくつかの理由でそれは諦めた
一つは、このアプリの配布から訴えるまでの流れにおいて、警察等にマークされた時に
どんな別件逮捕の可能性があるかを読み切れなかった事である。今の世の中は
警察邪魔をする連中はどんな名目逮捕されるか判らない状況にある(この法案もその一環)
二つに、アプリ製作するには僕の能力では違法DL有効までに時間が足りなかった事
三つに、アプリだけでなく、著作物を用意して訴える準備をしてとすると、
手間が膨大にかかり、それを全て行うには自分の労力をかなり使ってしまうだろうという事
この辺が重なって、今回このタイミングでこういうアプリを作るという事は諦めた

という訳で、この文章を書いている訳である。
実際に、このプラン通り違法DL反対化の為のムーブメントを起こしても良いし、
この文章から他のプランを考えても良いと思う。
そもそもこの法案の欠点を公開した時点で、この法案はそもそも使い物にならなくなる程度の代物なので
http://anond.hatelabo.jp/20121002191530
当然この程度の話はみんな考えるよね。実際こうなるだろうし、自分が書いてる手法を使えば
もっと詐欺的な話ではなく実際に一般人をいきなし犯罪者に追い込む形で料金を請求できるようになる


・後は細々やろうと考えてた色んな事

‐違法DL反対のアプリiPhoneスマホでやろうとしていた。アレのアプリ契約情報が
取れるはずなので、そのまま訴えるのに容易く行えるだろう
‐このアプリは「違法DLが有罪化されて、こんな怖い事になっている」という触れ込みで
配布しようと思っていた。細かい注意点については最初ソフトウェア使用許諾契約に書いておく。
#違法DLアプリと知らなかったというのは、使用許諾契約を読んでいない被疑者の落ち度である
#読まない事で損害を与えた場合、その損害は(今後の別の裁判も含め)被疑者が持つと書いておけば、
#違法DLの裁判で知らなかったか無効という流れで負けても賠償金は確保できる可能性がある
#とは言え、問題のあるアプリを走らせると注意書きをしてもやはり訴えられる可能性が高いので
http://matome.naver.jp/odai/2134957439215529001
#この事例を参考に対応を考える事
‐実際に訴えるような事になると、アプリ製作者、配布者が捕まる可能性が高いので、
訴えない形でアプリ登録が増えるような仕組みにしてプレッシャーを掛けるべきだろう
‐この法案では違法DLへの訴えは十分に警告を与えてから、となっているので、
アプリDL時と、訴える前に警告を送り、反省があった場合、訴えない方が良いだろう
#代わりに知人にこのアプリを紹介するか、或いはDL反対の署名に参加してもらう
#この動きはもしかしたら恐喝と見られる可能性があるので注意
‐大きな訴えを起こす前に、DL履歴とIP履歴、著作権からの訴えを持って
被告が欠席している状態で少額訴訟を起こして、判例を作っておくべきだろう
‐大きな訴え(大量の訴訟)を行った時に相手がいなす可能性がある
少額すぎる被害だから訴訟するに値しないと訴えを受理しない可能性がある
これを回避するにはJASRACの曲を持ってる人が訴訟人となれば良い。
その状態で裁判所が受理しないなら、法案は無効化したに等しいので
‐沢山の人を参加させたいのであれば、違法DL反対のサイトを作って、そこに賛成者の
著作物を登録できるようにしたら良い。アプリ一定金額の著作物勝手にDLするように
して、後は訴えるかとうかは著作権者が自由にすれば良い。アプリ配布者と訴える人が
それぞれ異なるとすれば、警察はどっちを捕まえるべきか悩むはずなので
‐関係者逮捕される危険度を落とすのであれば、賛同者が著作物を登録する時に、
むやみに訴えないとかの一定規約を作って、なるだけ法を違反しない形で話を進める事

2012-04-27

http://anond.hatelabo.jp/20120427160031

あの手の発表は被疑者言葉をそのまま伝えてるわけじゃないんだよ。

警察供述調書のテンプレに加工して落とし込んだだけという可能性が高い。

「むしゃくしゃしてやった」とかそういうの。

2012-01-27

村上春樹の猛々しい想像力 (3/3)

Sam Anderson

2011年10月21日

1 - 2 - 3

翻訳は、村上の作品を組み立てる原理だとさえ言えるかもしれない。

彼の作品は翻訳されているだけでなく、翻訳についてのものだと考えられるのである

村上ストーリーにおける至上の愉しみは、とても普通の状況(エレベータに乗っている、スパゲッティを茹でている、シャツアイロンがけしている、など)が

突然非日常不思議電話を受ける、魔法の井戸に落ちる、羊男と会話する、など)へ変貌するのを見ることだ。

言い換えるならそれは、登場人物が存在論的に盤石な立場から完全な異世界へと投げ込まれ、

たどたどしくも二つの世界の間をとりもつことを余儀なくされる瞬間だ。

村上作品の登場人物はある意味でいつも、根底から異なるいくつかの世界あいだで翻訳をしている。

平凡と奇妙、自然超自然田舎と都会、男と女、地上と地下。

言い換えれば、彼の全作品は翻訳の作業を劇に仕立てたものなのだ

村上の車の後部座席に戻ろう。

私たちは東京を離れ、ベッドタウンに入った。

多くの企業本社や、巨大な船のかたちをしたラブホテルを通り越していく。

およそ1時間後、風景は急峻な山道になり、私たちは村上の家に到着した。

木の生い茂る丘の上、山と海の間にある、こぎれいだが平凡な外観の二階建てだ。

靴をスリッパに履き替え、村上に連れられて彼のオフィスへと入る。

自らデザインした小部屋であり、『1Q84』のほとんどはここで書かれた。

同時にそこは彼の膨大なレコードコレクションの住処でもある。

(10000枚くらいだろうが、怖くて実際に数えてはいない、と彼は言う)

オフィスの幅広い壁二つは、床から天井までアルバムで覆いつくされている。

山々に向けて突き出している窓の下、部屋の端には巨大なステレオスピーカーが君臨している。

室内のもう一つの棚には村上人生と作品にまつわる思い出の品々がある。

彼が『海辺のカフカ』で殺人者として想像したジョニーウォーカーを描いたマグカップ

はじめてマラソンを完走したときの、くたくたの彼を写した写真1991年ニューヨーク市にて、3時間31分27秒)。

壁にはレイモンド・カーヴァー写真、グレン・グードのポスタージャズ巨匠の肖像がいくつか。

村上もっとも好きなミュージシャンテノールサキソフォンスタン・ゲッツ写真もある。

私はレコードをかけてもらえないかと頼んでみた。

村上はヤナチェクの「シンフォニエッタ」を取り出した。

1Q84』の始まりを告げ、その物語のなかで繰り返し鳴り響く曲である

作品で示唆されるとおり、渋滞で聞くにはまさに最悪の音楽だ。

それは速く、アップビートで、劇的──まるで普通の曲が5つ、ペンキの缶のなかで決闘しているかのようだ。

同時にそれは熱狂し、ねちねちとした、暴力的な『1Q84』の冒険の主題曲として、もっともふさわしい。

村上はその奇妙さを買って「シンフォニエッタ」を選んだという。

「一度だけそれをコンサートホールで聴いたことがある」

オーケストラの後ろにトランペットが15人いた。変だった。すごく変だった……その奇妙さがこの本によく合う。この物語にこれ以上よく合う音楽は思いつかない」

彼は何度も何度もその曲を聴いて、そして開幕のシーンを書いたという。

シンフォニエッタを選んだのはまったく人気がない音楽だったからだった。でも本を出版してから日本では人気が出た。小澤征爾さんに感謝されたよ。彼のレコードがよく売れたからね」

シンフォニエッタ」が終わると、私は最初に買ったレコードは何か覚えているかと尋ねてみた。

彼は立ち上がり、棚をごそごそと探して、一枚のレコードを手渡してくれた。

「The Many Sides of Gene Pitney」。

カバーを飾るのは、華やかな姿の Pitney。60年代前半のアメリカクルーナー歌手である。はまだらのアスコットタイに艶のある赤いジャケットを着て、髪型は崩れ落ちる波を凍らせたようにみえる。

村上は13歳の時、このレコード神戸で買ったという(当初のものは擦り切れたため、何十年か前に買い直している)。

針を下ろすと、流れ出す Pitney の最初ヒット曲「Town Without Pity」。

劇的な、ホルン即興とともに Piteny の歌声が黙示録的な叫びを歌う。

若者にはつらいことがある、たくさんある/分かってくれる人がほしい/助けてくれよ/土と石でできたこの星が壊れるまえに」

終わると村上は針を上げ、「バカな歌だ」と言った。

1Q84』というタイトルダジャレである

言語をまたいでオーウェル引用したものだ。

日本語では、9は英語のQのように発音される)

1Q84』を書いているあいだ、『1984年』を読み直したかと尋ねてみた。

彼は読み直したといい、それは退屈だったという。

(これが悪い評価だとは限らない。野球のどこが好きかと尋ねた際、彼は「退屈だから」と答えた。)

近未来小説は退屈なものばかりだ」と彼は言う。

「始まりはいつも暗く、雨で、人々が不幸せそうにしている。コルマックマッカーシーの『The Road』は好きだし、よく書けているけれど、でも退屈だ。暗いし、人間人間を食べるし……ジョージ・オーウェルの『1984年』は近未来小説だけど、この本は近過去小説だ」

1Q84』について「我々は同じ年を反対側から見ている。近過去なら退屈じゃない」

オーウェルに親近感を覚えたかと尋ねた。

オーウェルと僕はシステムについて同じ感じを受けていると思う」と村上は言う。

ジョージ・オーウェルは半分ジャーナリストで半分小説家だ。僕は100パーセント小説家だ……メッセージを書くことはない。よい物語を書きたい。自分政治好きな人間だと思うけれど、政治メッセージを誰かに向けることはない。」

はい村上はここ数年、彼にしては珍しく、政治メッセージを大々的に言明している。

2009年、批判のなか彼はイスラエルエルサレム賞を受賞しに行き、そこでイスラエルパレスチナについて語った。

この夏、彼はバルセロナでの受賞式典の機会を利用して日本原子力行政を批判した。

彼は、福島第一は二度目の核災害だとした。

一度目はまったくの被害者としてだったが。

バルセロナの演説について尋ねると、彼はパーセンテージを少し修正した。

「僕は99パーセント小説家で1パーセント市民だ」と言う。

市民として言いたいことはあるし、求められればはっきりと言う。あのときまで原発について明確に反対する人はいなかった。だから自分がやるべきだと思った。自分にはその責任がある」

演説に対する日本の反応は概ね好意的だったという。

人々は津波の恐怖が改革への媒介となってくれることを、彼と同じように、期待していたのだ、と。

「これは日本にとって転機になると、日本人ほとんどが考えていると思う」

悪夢だけれど、変化のチャンスでもある。1945年以来、僕たちは豊かになるために働いてきた。けれどそれはもう続かない。価値観を変えなければならない。どうやって幸せになるかを考えなければならない。お金でもなく、効率でもなく、それは人格目的だ。いま言いたいことは1968年から僕がずっと言っていることなんだけれども、システムを変えなければならないということ。今は、僕たちがまた理想主義者になるべきときなんだと思っている」

その理想主義はどんなものか、アメリカ合衆国モデルケースとして見ているのか、と尋ねた。

アメリカはもはやモデルケースだとは思われていないと思う」

「いま、僕たちにはモデルケースがない。モデルケースを作り上げなければならないんだ」

地下鉄サリン事件阪神大震災、そして今回の津波……現代日本の数々の災害は、驚くほどにまで村上的だ。

地下での暴力的な衝動、深く隠されたトラウマが大量破壊を引き起こすものとして現れ、地上の日常を襲う。

彼は深さのメタファーを多用することで知られる。

登場人物たちはカラの井戸に降りていき、東京の地下トンネルに生きる闇の生き物に出会う。

(彼は別のインタビューで、井戸のイメージをあまりに何度も使って恥ずかしくなったため、8作目以降、できるだけ使わないように心がけたと話している)。

彼は自分創造性も、深さとしてイメージするという。

毎日机に向かい集中力に満たされたトランス状態の中で、村上村上キャラクターになる。

それは、自らの無意識洞窟たる創造性を探検し、見つけたものを忠実に報告する、普通の人物である

「僕は東京に住んでいる。ニューヨークロサンジェルスロンドンパリのように文明的といっていい世界だ。

 魔法じみた状況、魔法じみた物事に出会いたければ、自分の中に深く潜るしかない。だから僕はそうしている。

 魔法リアリズムとも呼ばれるけれども、自分の魂の深みのなかでは、それは単なるリアリズムだ。魔法ではなく。

 書くときには、非常に自然で、論理的で、リアリスティックで、合理的に感じる。」

執筆しないとき自分はどこまでも普通の人だと村上は強調する。

彼の創造性は「ブラックボックス」であり、意識的にアクセスすることはできないという。

彼はシャイであり、メディアにあまり登場したがらない。道端で読者から握手を求められた時にはいつも驚く。

人が話すのを聞くほうが好みだと彼は言う。

実際に、Studs Terkel の日本版のようなものとして彼は知られている。

1995年サリンガス事件があったとき村上被害者65人と被疑者らを1年かけてインタビューし、

その結果を分厚い2冊組の本として出版した。

のちにそれは『Underground』として、大幅な簡略化をしたうえで英語翻訳された。

この会話が終わったとき村上ランニングに誘ってくれた。(「僕が書くことについて知っていることのほとんどは、毎日ランニングを通して学んだ」と彼は書いている)

彼のランニングスタイル個性の延長のようだ。

身軽で、安定していて、実践的だ。

たがいの走り幅がつかめて1、2分たつと、村上自分が単に「丘」と呼ぶところに行ってみないかと尋ねてきた。

それは試合の申し込みか警告のように聞こえた。

そんな言い方をした理由はすぐに分かった。

というのもまもなく「丘」を登り始めることになったからだ。

もはや走るというよりは、急な坂にさしかかって足をとられているというほうが近く、

地面が傾いたランニングマシーンのように感じられた。

道の終わりに向けて一足踏み込むと同時に私は村上に向けて「大きい丘でしたね」と言った。

そこで彼は指をさして、先にジグザグ道が続いており、私たちはまだほんのひと曲がり目を終えたにすぎないということを教えてくれた。しばらくして、二人の息が切れ切れになってくると、このジグザグ道には終わりがないのではないかと心配になってきた。

まるでどこかの村上世界にある無限階段のように。

上へ、上へ、上へ。

しかし、やっとのことで、私たちは頂上に着いた。

海ははるか下に見えた。

それは秘められた巨大な水世界日本アメリカあいだの、人が住まない世界だ。

その日見たかぎり、水面は静かだった。

そして私たちは下りを走り始めた。村上は村を通る道に誘ってくれた。

大通りのサーフショップ漁師の家がならぶ界隈を通り過ぎた(彼はそのあたりの庭に古くからの「漁師神社」があるのを指差して教えてくれた)。

空気は湿っていて塩のにおいがした。

私たちは並んで浜まで走った。

村上がかつて名もない翻訳者だったころセントラルパークでジョギングをともにしたジョン・アーヴィングについて話をした。

セミについても話をした。

何年も土のなかで生き、地表にぽっと出て、わめき、最後の数ヶ月を木の上で過ごすのは、どんなに変だろうかと。

私がおもに覚えているのは、村上の安定した脚のリズムだ。

走り終えて家にもどると、私は村上の来客用バスルームで着替えた。階下で彼を待つ間、食堂エアコンの風を受けて立ち、大きな窓からハーブと低い木のある小さな裏庭を見ていた。

数分後、庭から迷い出た変な生物が私の視界に入ってきた。

最初それは鳥 – おそらくはその飛び方からして変な毛をしたハチドリのようにみえた。

が、すぐに2羽の鳥がくっついているようにみえだした。

飛ぶというよりはふらついているといった感じで、体の一部がそこかしこから垂れ下がっているようだった。

最終的に、それは大きな黒い蝶だと私は結論づけた。

見たことがないほど変な蝶だった。

浮かびながら、異星の魚のようにひらひらしつづけるその姿に幻惑させられ、

私はそれを既知の何かに分類したくなりかけたが、成功することはなかった。

それはひらひらと、およそ村上と私が走った道を引き返す形で、山から海に向けて飛び去った。

蝶が去ってまもなく、村上階段を降りてきて、食堂のテーブルに静かに腰を下ろした。

見たこともない奇妙な蝶に遭遇したことを伝えると、彼は自分ボトルから水を飲み、私を見上げて言った。

日本には色々な蝶がいる。蝶に会うのは変なことじゃない」

2011年10月21日

1 - 2 - 3

2011-09-09

電子掲示板2ちゃんねる」にまつわる組織犯罪の禁圧に関する法律

電子掲示板2ちゃんねる」にまつわる組織犯罪の禁圧に関する法律

目的

第一条 この法律は、インターネット上の「2ちゃんねる」と呼ばれる電子掲示板において、その管理人および指定暴力団組員が、社会を自らの実力によって支配することを目的とし、公教育が形成しようとしている健全な風潮を害する言論を流したり、知慮浅薄精神的に未熟な中高生自殺衝動を惹き起こさせるような卑劣差別文言ないし差別を煽る文章を流したり、我が国の法律適用を逃れるため、アメリカ合衆国サーバーを設置するなど、極めて計画的かつ用意周到な組織犯罪がこの十一年間、間断なく行われており、同掲示板にまつわる組織犯罪日本社会に与える悪影響が看過できない程度に達していると認められるため、管理人および関係者検挙および電子掲示板サーバー没収によって、かかる犯罪を根絶し、併せてインターネット上の言論の浄化を促進し、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

電子掲示板2ちゃんねるへの書き込みの禁止)

二条 何人も、平成二十三年十一月一日以降、電子掲示板2ちゃんねるに書き込みを行ってはならない。

管理人および関係者検挙

第三条 電子掲示板2ちゃんねる管理人とその側近および指定暴力団組員等の関係者は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益規制等に関する法律平成一年法律第百三十六号)第三条一項三号(殺人)、五号(強要)、七号(信用毀損及び業務妨害)、八号(威力業務妨害)、九号(詐欺)、十号(恐喝)を行った疑いがあるため、捜査機関は、右容疑で電子掲示板2ちゃんねる管理人とその側近およびこれらと交際のある指定暴力団組員を捜査するものとする。

電子掲示板サーバー没収

四条 政府は、前条の捜査の結果、被疑者刑事訴追され、電子掲示板サーバー等の没収等を命じる確定裁判があったときは、国際共助条約に基づき、アメリカ合衆国に対して、裁判の執行又は没収若しくは追徴のためのサーバー等の財産保全の共助の要請をするものとする。

(罰則)

五条 第二条の規定に反した者は、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。

理 由

インターネット上の「2ちゃんねる」と呼ばれる電子掲示板が、一般市民管理者が任意に創設し、そこに一般人匿名意見を書き込んでいるという体裁を取りながら、実際には有限会社等を仮装した実質的暴力団であって、政府が指定暴力団としている暴力団の組員と交際のある者が、指定暴力団が有する巨大な資金力や技術力を結集する形で、社会を自らの実力によって支配することを目的とし、2ちゃんねる管理人とその側近および指定暴力団の組員が、政府の行う公教育が形成しようとしている健全な風潮を害する目的で不健全な言論を流したり、知慮浅薄精神的に未熟な中高生自殺衝動を惹き起こさせる目的で、卑劣差別文言ないし差別を煽る文章を流したり、我が国の法律適用を逃れるため、アメリカ合衆国電子掲示板サーバーを設置するなど、極めて計画的かつ用意周到な組織犯罪電子掲示板2ちゃんねる管理人とその側近および指定暴力団組員その他の者によってこの十一年間、間断なく行われ、同掲示板の影響によって政府公教育が形成しようとしている健全な風潮に相当の悪影響が生じたり、児童生徒の自殺の原因となっていると推測されるなど、同掲示板にまつわる組織犯罪日本社会に与える悪影響が看過できない程度に達しているため、日本政府としては、アメリカ合衆国との共助によって同掲示板管理人とその側近および組織犯罪役割分担に重要な貢献をしていると思われる指定暴力団組員等を検挙し、同国に設置されている同掲示板サーバー没収することによって、かかる犯罪を根絶し、併せてインターネット上の汚染された言論を公教育が要求する水準にまで浄化、回復する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である

2011-05-26

被疑者暴言吐いた大阪府警馬鹿警部補

大阪府警東署の警部補高橋和也被告(35)のことだよ。人生めちゃくちゃにしたる、とか、警察官が言うことかね。罰金30万円で足りるわけない。こんなこという警官懲戒免職されてやくざにでもなればいいし、言った相手に殴られに行けよ。

2011-03-02

http://anond.hatelabo.jp/20110302160544

横だし、素人丸出しだが

したがつて、起訴しない処分である限り、他の不起訴処分起訴猶予処分との間に処分の法的効果に差異があるものではないというべき

なら、言い方を変えているのはなんでだろね。

これってさ、それこそ「内部的な」問題に起因してるんじゃないの?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B7%E8%A8%B4%E7%8C%B6%E4%BA%88%E5%87%A6%E5%88%86

起訴猶予処分(きそゆうよしょぶん)とは、被疑事実が明白な場合において、被疑者性格年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき検察官が行う不起訴処分である刑事訴訟法248条、事件事務規程(法務省訓令)72条2項20号)。

不起訴処分ではあるが「被疑事実が明白な場合において」と言っているよね。

つまり、この二つにはなんらか違いがあるし、刑事訴訟法で謳っているのに、「法的効果に差異が無いからどうでもいいでしょ?」って被疑者に言うの?

捜査の対象である被疑者という地位を消滅させるものであるから原告にとつて利益的な処分というべきであり

原告にとつて利益的な」と解っているのに?

http://anond.hatelabo.jp/20110302151135

やっぱり刑事手続についてわかってないんじゃないか

嫌疑不十分でも嫌疑無しでもない起訴猶予は、犯罪は犯したけど反省してるから裁判にかけずに許してやるって意味だぞ

ダウト

捜査機関としての検察庁内部的な事務処理」に過ぎない。

東京地裁平成元年11月16日

3 次に、原告が、本件処分の取消しを求めることについて、法律上の利益を有する者であるか否かについて判断する。

 本件処分は、不起訴処分として、原告について公訴の提起という不利益な処分をしないということを確定し、捜査の対象である被疑者という地位を消滅させるものであるから原告にとつて利益的な処分というべきであり、原告は、これを取り消す法律上の利益を有しないものというべきである原告は、起訴猶予を理由とする不起訴処分である本件処分は、そのほかの理由による不起訴処分と異なり、犯罪の嫌疑があることを前提としてされるものであるから被疑者であつた原告にはこれを取り消す法律上の利益がある旨を主張するが、しかしながら、起訴猶予処分において処分理由として犯罪の嫌疑ありといわれるのも、捜査機関としての検察庁内部的な事務処理としていわれることであつて、それ自体によつては何ら特段の対外的な法的効果を生じないものであり、したがつて、起訴しない処分である限り、他の不起訴処分起訴猶予処分との間に処分の法的効果に差異があるものではないというべきであるのみならず、もともと、犯罪の嫌疑というものは、犯罪を犯した疑いにとどまるものであつて、確定的に犯罪を犯したことを意味するものではなく、それは単に有罪判決を獲得する可能性として公訴提起の要件となるにすぎないかなり漠然したものというべきであり、しかも、起訴猶予処分における犯罪の嫌疑は、その存在公権的に確定されたものではなく、捜査にあたつた当該検察官が嫌疑ありと思料して起訴猶予処分にしたというにすぎないものであつて、もとより裁判所その他の国家機関のレヴユーを受けた、犯罪の成立についての公権的な判断ということのできないものであることは明らかである。このように、捜査機関としての検察庁内部的な事務処理として、公権的に確定されたものでないかなり漠然した犯罪の嫌疑があるとされたことによつて、被疑者であつた者が何らかの不利益を被るとしても、それは単なる事実上不利益であつて、法律上の不利益はないといわざるを得ないから、被疑者であつた原告には本件処分の取消しを求める法律上の利益がないものといわなければならない。

起訴猶予を理由とする不起訴処分取消訴訟起こした人に下された判断。

結局近視眼的な技術オタクが法制度も見ずに偏見ぶちまけてただけ。

だれも何も言わなかったら、そのまま犯罪者レッテルをはられたまま、迷惑なIT技術者というレッテルを貼られたまま生きていかなければならなかった所だぞ。

逮捕犯罪者レッテルとかどうみても偏見じゃないか

逮捕の要件すらわかってないんじゃないか

手続の意味を正確に理解しようともせず、合理的に考えもしない

技術者が合理的な思考するってのは全くの幻想だったな

2011-02-28

http://anond.hatelabo.jp/20110228020716

90年代後半あたり(当時中高生)は、猟奇殺人とか通り魔とかのニュース見るのが楽しかったな。

別に誰と語るわけでもなく。他人の不幸や失敗が楽しいわけでもなく。あれは単純に、厨心をくすぐる、刺激的なエンターテインメントだった。

犯行声明だとか、生首だとか、白昼の惨劇だとか、被疑者自殺だとか。自分人生とは切り離された扱いの、フィクション的なノンフィクションという。

そして、当時はそういう感覚が、表立ってではないにせよ、ある程度共有されてたような記憶があるよ。

2011-01-14

http://anond.hatelabo.jp/20110114155434

どうだい、じゃない。それって残虐な刑罰として憲法36条で禁じられると思うけど。

憲法というのはわれわれの常識的な倫理や、それに公権力を加味した法が、そのまま実行すると何か問題になる場合に、その解決のためにできたものだ(立憲主義以降は)。

残虐な刑罰は、残虐な刑罰を受けたくない被疑者を追い詰めて、捏造された証言を導き出してしまうことになる。

それは事件を形の上だけ解決させる(そして担当役人出世させる)にはいいけど、刑法裁判がまともに機能しなくなる。そんなの国家運営の観点からまかりならん。そんな感じ。

2010-11-20

暴力装置

たとえば数学者プログラマが、

喫茶店に入って、

コーヒー or オレンジジュース」が付くセットメニューを注文して、

コーヒー and オレンジジュース」を要求することは、

無いと思うんだ。

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たとえば化学者が、

居酒屋に入って、

「ここにある酒はすべて低級アルコールだ」

とは言わないと思うんだ。

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たとえば、

不特定多数受け手と想定した場合に、

確信犯/故意犯容疑者/被疑者自首/出頭、...

の違いを厳密に突っ込んでも、

しょうがないと思うんだ。

うそれは、

受け手解釈したような意味しかならないと思うんだ。

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専門用語には平易な単語で構成されるものがあって、

一見した感じでは専門用語に見えなくて、

しか専門用語としての意味が、

一般的な解釈とズレを生じるものがあって、

(まっとうな)専門家は、

うい言葉を使う場合に紛れないように気を使っていると思うんだ。

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あるいは誤解されたまま広まってしまった専門用語というのがあって、

(まっとうな)専門家は、

これらにも同じように気を使っていると思うんだ。

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自分の発言がマスメディアに載る可能性が強いと感じている人は、

そこらを知っていたはずだと思うんだ。

2010-10-05

検察審査会 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E4%BC%9A

検察審査会(けんさつしんさかい)とは、検察官が独占する起訴の権限(公訴権)の行使に民意を反映させ、また不当な不起訴処分抑制するために、地方裁判所またはその支部の所在地に設置される、無作為に選出された国民公職選挙法上における有権者11人によって構成される機関

検察審査会法(昭和23年7月12日法律第147号)に基づき設置されている。

http://www.courts.go.jp/kensin/seido/sinsakai.html

 選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が,検察官被疑者犯罪の嫌疑を受けている者)を裁判にかけなかったことのよしあしを審査しています。

 昭和23年法施行から,これまで50万人以上の方が検察審査員又は補充員に選ばれています。

今思えば、小沢から議員バッジを取り上げる現実的にして唯一の方法だったって事か。

東北北陸ゼネコン関係者の中には「当番兵! ブタが死んだぞ。シャンパンを持ってこい!」なんて台詞を吐いてる人もいるんだろうなあ。

2010-09-10

  • 1 -主文原判決及び第1審判決を破棄する。本件を大阪地方裁判所に差し戻す。理由弁護人中道武美の上告趣意のうち,第1点ないし第3点は,憲法37条違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。しかしながら,所論にかんがみ,職権をもって調査すると,原判決及び第1審判決は,刑訴法411条1号,3号により破棄を免れない。その理由は,以下のとおりである。1本件公訴事実及び争点本件公訴事実の要旨は,被告人は,(1)平成14年4月14日午後3時30分ころから同日午後9時40分ころまでの間に,大阪市平野区所在のマンション(以下「本件マンション」という。)の306号室のB(以下「B」という。)方において,その妻C(当時28歳。以下「C」という。)に対し,殺意をもって,同所にあったナイロン製ひもでその頸部を絞め付けるなどし,よって,そのころ,同所において,同女を頸部圧迫により窒息死させて殺害し,(2)(1)記載の日時場所において,B及びC夫婦長男であるD(当時1歳。以下「D」という。)に対し,殺意をもって,同所浴室の浴槽内の水中にその身体を溺没させるなどし,よって,そのころ,同所において,同児を溺死させて殺害し,(3)本件マンション放火しようと考え,同日午後9時40分ころ,本件マンション306号室のB方6畳間- 2 -において,同所にあった新聞紙,衣類等にライターで火をつけ,その火を同室の壁面,天井等に燃え移らせ,よって,Bらが現に住居として使用する本件マンションのうち上記306号室B方の壁面,天井等を焼損し,もって,同マンションを焼損した,というものである。被告人は,Bが子供のころにその実母E(以下「E」という。)と婚姻し,養父としてBを育て,かつては,同居するEと共に,B家族との交流があったが,Bの借金問題,女性問題等をきっかけに,本件事件当時はB家族と必ずしも良好な関係にあったとはいえず,B家族平成14年2月末に本件マンションに転居した際には,その住所を知らされなかったものである。上記(1)ないし(3)の公訴事実となっている事件は,Bの留守中に発生したもので,火災の消火活動に際してCとDの遺体が発見されたことから発覚し,捜査が進められた結果,同年11月16日に被告人逮捕され,同年12月7日に上記(1),(2)の各事実が,同月29日に上記(3)の事実が起訴された。上記公訴事実につき,検察官は,その指摘する多くの間接事実を総合すれば被告人の犯人性は優に認定できる旨主張し,被告人は,本件事件当日まで,事件現場である本件マンションの場所を知らず,事件当日及びそれ以前を含めて,その敷地内にも立ち入ったことはない,被告人は犯人ではなく無罪である旨主張した。争点は,被告人の犯人性である。2第1審判決第1審判決は,被告人の犯人性を推認させる幾つかの間接事実が証拠上認定できるとした上,これらの各事実が,相互に関連し合ってその信用性を補強し合い,推認力を高めているとして,結局,被告人が本件犯行を犯したことについて合理的な- 3 -疑いをいれない程度に証明がなされているとし,ほぼ上記公訴事実と同じ事実を認定し,被告人無期懲役に処した(検察官求刑死刑)。この間接事実からの推認の過程は,以下のようなものである。(1)被告人は,本件事件当日である平成14年4月14日,仕事休みであり,午後2時過ぎころに自宅を出て,自動車に乗って大阪市平野区方面へ向かい,同日午後10時ころまで同区内ないしその周辺で行動していたことが認められるが,さらに,以下のアないしオを併せ考えると,被告人が,同日に現場である本件マンションに赴いたことを認定することができる。ア本件マンション道路側にある西側階段の1階から2階に至る踊り場の灰皿(以下「本件灰皿」という。)内から,本件事件の翌日にたばこの吸い殻72本が採取されたが,その中に被告人が好んで吸っていた銘柄(ラークスーパーライト)の吸い殻が1本(以下「本件吸い殻」という。)あり,これに付着していた唾液中の細胞DNA型が,被告人の血液のDNA型と一致していること,このDNA型一致の出現頻度は1000万人に2人という極めて低いものであること,本件事件の火災発生後,程なく警察官による現場保存が行われたことなどから,被告人が,本件事件当日あるいはそれまでの間に事件現場である本件マンションに立ち入り,本件灰皿に本件吸い殻を投棄したことが動かし難い事実として認められる。イ本件事件当日午後3時40分ころから午後8時ころまでの間,被告人が当時使用していた自動車と同種・同色の自動車が,本件マンションから北方約100mの地点に駐車されていたと認められる。ウ被告人自身が,捜査段階において,本件事件当日に自己の運転する自動車を同地点に駐車したことを認めていた。- 4 -エ本件事件当日午後3時過ぎないし午後3時半ころまでの間に,本件マンションから北北東約80mに位置するバッティングセンターにおいて,被告人によく似た人物が目撃されたと認められる。オ被告人自身,本件事件当日はBないしB宅を探して平野区内ないしその周辺に自動車で赴いたことを自認しており,これは信用できる。(2)他方,動機面についても,以下のアないしウの点などから,被告人は,本件事件当時,背信的な行為をとり続けるBに対して,怒りを募らせる一方,後記のような自分からの誘いを拒絶した上で,Bと行動を共にし,被告人の立場から見ればBに追随するかのような態度を見せていたCに対しても,同様に憤りの気持ちを抱くようになったことが推認できる。そうすると,Cとの間のやり取りや同女のささいな言動など,何らかの事情をきっかけとして,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったということができる。そのような事情を有していた被告人が,本件事件当日,犯行現場に赴いたことは,被告人の犯人性を強く推認させるものである。ア平成13年10月1日から同月24日まで,C及びDは,被告人宅で同居生活を送ったが,そのころ,被告人は,Cに対し,恋慕の情を抱いており,性交渉を迫る,抱き付く,キスをするなどの行為に及んだことがあった。イしかし,Cは,被告人からの誘いを拒絶し,被告人宅から被告人に告げることなくBの下へ戻った上,Bと行動を共にするようになり,被告人との接触を避けてきた。ウ被告人は,Bの養父ないし保証人として,Bの借金への対応に追われていたが,Bは,被告人に協力したり,感謝したりすることをせず,無責任かつ不誠実な- 5 -態度をとり続けていた。(3)被告人は,本件事件当日の夕方,朝から仕事に出ていたEを迎えに行く約束をしていたにもかかわらず,特段の事情がないのにその約束をたがえ,C及びDが死亡した可能性が高い時刻ころに自らの携帯電話の電源を切っており,Eに迎えに行けないことをメールで伝えた後,出火時刻の約20分後に至るまでの間同女に連絡をとっていないなど,著しく不自然な点があるが,これらについては,被告人が犯人であると考えれば,合理的な説明が可能であり,得心し得るものである。(4)このほか,被告人の本件事件当日の自身の行動に関する供述は,あいまいで漠然としたものであり,不自然な点が散見される上,不合理な変遷もみられ,全体として信用性が乏しいものであって,被告人は,特段の事情がないのに,同日の行動について合理的説明ができていない点がある。また,Cは,生前,在宅時も施錠し,限られた人間が訪れた際にしかドアを開けようとしなかったこと,本件の犯人が2歳にもならないDを殺害しているのは口封じの可能性が高いこと,犯人が現場放火して徹底的な罪証隠滅工作をしていることなどから,本件犯行は被害者と近しい関係にある者が敢行した可能性が認められる。これらの各事実も,被告人の犯人性を推認させるものである。(5)以上の事実を全体として考察すれば,被告人が本件犯行を犯したことについて合理的な疑いをいれない程度に証明がなされているというべきである。(6)なお,被告人は,本件事件当日に本件マンション敷地内に入って階段を上ったことがある旨認める供述をした被告人平成14年8月17日付け司法警察員に対する供述調書(乙14)について,警察官から激しい暴行を受けたために内容もよく分からないまま署名したと主張するが,同供述調書の供述内容には任意性及- 6 -び信用性が認められ,これによっても,被告人の犯人性が肯定されるという上記判断が更に補強されることになる。3原判決この第1審判決に対し,被告人は,訴訟手続の法令違反,事実誤認を理由に控訴し,検察官は,量刑不当を理由に控訴した。原判決は,被告人控訴趣意のうち,前記司法警察員に対する供述調書(乙14)には任意性がなく,これを採用した第1審の措置が刑訴法322条1項に反しているという訴訟手続の法令違反の主張について,そのような訴訟手続の法令違反があることは認めつつ,事実誤認の主張については,第1審判決の判断がおおむね正当であり,同供述調書を排除しても,被告人が各犯行の犯人であると認めた第1審判決が異なったものになった蓋然性はないのであるから,この訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすことの明らかなものとはいえないとした。その上で,検察官の主張する量刑不当の控訴趣意に理由があるとして,第1審判決を破棄し,第1審判決が認定した罪となるべき事実を前提に,被告人死刑に処した。4当裁判所の判断しかしながら,第1審の事実認定に関する判断及びその事実認定を維持した原審の判断は,いずれも是認することができない。すなわち,刑事裁判における有罪の認定に当たっては,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が必要であるところ,情況証拠によって事実認定をすべき場合であっても,直接証拠によって事実認定をする場合と比べて立証の程度に差があるわけではないが(最高裁平成19年(あ)第398号同年10月16日第一小法廷決定・刑集61巻7号677頁参照),直接証拠がないのであるから,情況証拠によって認められる間接事実中に,- 7 -被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていることを要するものというべきである。ところが,本件において認定された間接事実は,以下のとおり,この点を満たすものとは認められず,第1審及び原審において十分な審理が尽くされたとはいい難い。(1)第1審判決による間接事実からの推認は,被告人が,本件事件当日に本件マンションに赴いたという事実を最も大きな根拠とするものである。そして,その事実が認定できるとする理由の中心は,本件灰皿内に遺留されていたたばこの吸い殻に付着した唾液中の細胞DNA型が被告人の血液のそれと一致したという証拠上も是認できる事実からの推認である。このDNA型の一致から,被告人が本件事件当日に本件マンションを訪れたと推認する点について,被告人は,第1審から,自分がC夫婦に対し,自らが使用していた携帯灰皿を渡したことがあり,Cがその携帯灰皿の中に入っていた本件吸い殻を本件灰皿内に捨てた可能性がある旨の反論をしており,控訴趣意においても同様の主張がされていた。原判決は,B方から発見された黒色の金属製の携帯灰皿の中からEが吸ったとみられるショートホープライトの吸い殻が発見されていること,それはCなどが被告人方からその携帯灰皿を持ち出したためと認められること,上記金属製の携帯灰皿のほかにもビニール製の携帯灰皿をCなどが同様に持ち出すなどした可能性があること,本件吸い殻は茶色く変色して汚れていることなどといった,上記被告人の主張を裏付けるような事実関係も認められるとしながら,上記金属携帯灰皿を経由して捨てられた可能性については,Eの吸い殻を残して被告人の吸い殻だけが捨て- 8 -られることは考えられないからその可能性はないとした。また,ビニール携帯灰皿を経由して捨てられた可能性については,ビニール携帯灰皿に入れられた吸い殻は通常押しつぶされた上で灰がまんべんなく付着して汚れるのであるが,本件吸い殻は押しつぶされた形跡もなければ灰がまんべんなく付着しているわけでもないのであり,むしろ,その形状に照らせば,もみ消さないで火のついたまま灰皿などに捨てられてフィルターの部分で自然に消火したものと認められること,茶色く変色している点は,フィルターに唾液が付着して濡れた状態で灰皿の中に落ち込んだ吸い殻であれば,翌日採取されてもこのような状態となるのは自然というべきであることから,その可能性もないとした。しかし,ビニール携帯灰皿に入れられた吸い殻が,常に原判決の説示するような形状になるといえるのか疑問がある上,そもそも本件吸い殻が経由する可能性があった携帯灰皿がビニール製のものであったと限定できる証拠状況でもない(関係証拠によれば,B方からは,箱形で白と青のツートーンの携帯灰皿も発見されており,これはE又は被告人のものであって,Cが持ち帰ったものと認められるところ,所論は,この携帯灰皿から本件吸い殻が捨てられた可能性があると主張している。)。また,変色の点は,本件事件から1か月半余が経過してなされた唾液鑑定の際の写真によれば,本件吸い殻のフィルター部全体が変色しているのであり,これが唾液によるものと考えるのは極めて不自然といわざるを得ない。本件吸い殻は,前記のとおり本件事件の翌日に採取されたものであり,当時撮影された写真において既に茶色っぽく変色していることがうかがわれ,水に濡れるなどの状況がなければ短期間でこのような変色は生じないと考えられるところ,本件灰皿内から本件吸い殻を採取した警察官Fは,本件灰皿内が濡れていたかどうかについて記憶は- 9 -ないが,写真を見る限り湿っているようには見えない旨証言しているから,この変色は,本件吸い殻が捨てられた時期が本件事件当日よりもかなり以前のことであった可能性を示すものとさえいえるところである。この問題点について,原判決の上記説明は採用できず,その他,本件吸い殻の変色を合理的に説明できる根拠は,記録上見当たらない。したがって,上記のような理由で本件吸い殻が携帯灰皿を経由して捨てられたものであるとの可能性を否定した原審の判断は,不合理であるといわざるを得ない(なお,第1審判決が上記可能性を排斥する理由は,原判決も説示するように,やはり採用できないものである。)。そうすると,前記2(1)イ以下の事実の評価いかんにかかわらず,被告人が本件事件当日に本件マンションに赴いたという事実は,これを認定することができない。(2)ところで,本件吸い殻が捨てられていた本件灰皿には前記のとおり多数の吸い殻が存在し,その中にはCが吸っていたたばこと同一の銘柄(マルボロライト金色文字〕)のもの4個も存在した。これらの吸い殻に付着する唾液等からCのDNA型に一致するものが検出されれば,Cが携帯灰皿の中身を本件灰皿内に捨てたことがあった可能性が極めて高くなる。しかし,この点について鑑定等を行ったような証拠は存在しない。また,本件灰皿内での本件吸い殻の位置等の状況も重要であるところ,吸い殻を採取した前記の警察官にもその記憶はないなど,その証拠は十分ではない。検証の際に本件灰皿を撮影した数枚の写真のうち,内容が見えるのは,上ぶたを取り外したところを上から撮った写真1枚のみであるが,これによって本件吸い殻は確認できないし,内容物をすべて取り出して並べた写真も,本件吸い殻であることの確認ができるかどうかという程度の小さなものである。さら- 10 -に,本件吸い殻の変色は上記のとおり大きな問題であり,これに関しては,被告人が本件事件当日に本件吸い殻を捨てたとすれば,そのときから採取までの間に水に濡れる可能性があったかどうかの検討が必要であるところ,これに関してはそもそも捜査自体が十分になされていないことがうかがわれる。前記のとおり,本件吸い殻が被告人によって本件事件当日に捨てられたものであるかどうかは,被告人の犯人性が推認できるかどうかについての最も重要な事実であり,DNA型の一致からの推認について,前記被告人の主張のように具体的に疑問が提起されているのに,第1審及び原審において,審理が尽くされているとはいい難いところである。(3)その上,仮に,被告人が本件事件当日に本件マンションに赴いた事実が認められたとしても,認定されている他の間接事実を加えることによって,被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明できない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が存在するとまでいえるかどうかにも疑問がある。すなわち,第1審判決は,被告人が犯人であることを推認させる間接事実として,上記の吸い殻に関する事実のほか,前記2(2)ないし(4)の事実を掲げているが,例えば,Cを殺害する動機については,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったというにすぎないものであり,これは殺人の犯行動機として積極的に用いることのできるようなものではない。また,被告人が本件事件当日携帯電話の電源を切っていたことも,他方で本件殺害行為が突発的な犯行であるとされていることに照らせば,それがなぜ被告人の犯行を推認することのできる事情となるのか十分納得できる説明がされているとはいい難い。その他の点を含め,第1審判決が掲げる間接事実のみで被告人を有罪と認定することは,著しく困難であるといわざるを得ない。- 11 -そもそも,このような第1審判決及び原判決がなされたのは,第1審が限られた間接事実のみによって被告人の有罪を認定することが可能と判断し,原審もこれを是認したことによると考えられるのであり,前記の「被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係」が存在するか否かという観点からの審理が尽くされたとはいい難い。本件事案の重大性からすれば,そのような観点に立った上で,第1審が有罪認定に用いなかったものを含め,他の間接事実についても更に検察官の立証を許し,これらを総合的に検討することが必要である。5結論以上のとおり,本件灰皿内に存在した本件吸い殻が携帯灰皿を経由してCによって捨てられたものであるとの可能性を否定して,被告人が本件事件当日に本件吸い殻を本件灰皿に捨てたとの事実を認定した上で,これを被告人の犯人性推認の中心的事実とし,他の間接事実も加えれば被告人が本件犯行の犯人であることが認定できるとした第1審判決及び同判決に審理不尽も事実誤認もないとしてこれを是認した原判決は,本件吸い殻に関して存在する疑問点を解明せず,かつ,間接事実に関して十分な審理を尽くさずに判断したものといわざるを得ず,その結果事実を誤認した疑いがあり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,第1審判決及び原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。よって,弁護人中道武美の上告趣意第4点について判断するまでもなく,刑訴法411条1号,3号により原判決及び第1審判決を破棄し,同法413条本文に従い,更に審理を尽くさせるため,本件を第1審である大阪地方裁判所に差し戻すこととし,裁判官堀籠幸男の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文の- 12 -とおり判決する。なお,裁判官藤田宙靖,同田原睦夫,同近藤崇晴の各補足意見,裁判官那須弘平の意見がある。裁判官藤田宙靖の補足意見は,次のとおりである。私は,多数意見に賛成するものであるが,本件において被告人を犯人であるとする第一審判決及びこれを支持する原判決の事実認定の方法には,刑事司法の基本を成すとされる推定無罪の原則に照らし重大な疑念を払拭し得ないことについて,以下補足して説明することとしたい。1第一審判決及び原判決が,被告人を本件の犯人であると認定した根拠は,基本的には,以下のような点である。(1)被告人が当日現場マンションに立ち入ったことを証する幾つかの間接証拠が存在すること。(2)被告人被害者らを殺害する動機があったとまでは認定できないが,被害者Cとのやり取りやそのささいな言動をきっかけとして,同人に対し怒りを爆発させてもおかしくはない状況があったこと。(3)第三者の犯行を疑わせる状況は見当たらないこと。(4)被害者らの推定死亡時刻頃における被告人アリバイはなく,また,この点についての被告人供述あいまいであり,不自然な変転等が見られること。(5)これらの事実は,それ自体が直接に被告人が犯人であることを証するものではないが,これらを総合して評価すると,相互に関連し合ってその信用性を補強し合い,推認力を高めていること。しかし,これらの根拠は,以下に見るとおり,いずれも,被告人が犯人であることが合理的な疑いを容れることなく立証されたというには不十分であるというほか- 13 -ないように思われる。2(1)被告人が当日現場マンションに赴いた事実を証するとされる間接事実は,仮にこれらの事実の存在が証明されたとしても,そのいずれもが,公訴事実自体とはかなり距離のある事実であり,いわば間接事実のまた間接事実といった性質のものであるに過ぎない。例えばまず,被告人が当時使用していた車(白色のホンダストリーム)と同種・同色の車が事件発生時刻を挟んだ数時間現場の近くの商店前の路上に長時間にわたって駐車されていたという事実は,必ずしも,被告人が使用していた車そのものが駐車されていたという事実を証するものではない。また,近所のバッティングセンターにおいて被告人ないし被告人とよく似た男が目撃されたという事実についても,そのこと自体は,あくまでも,被告人現場マンションの近くにいたという事実を証するものであるに過ぎない(被告人は,具体的な場所については特定できないものの,当日現場マンションの近くに赴いたこと自体は,必ずしも否定してはいないのである)。このような状況にある以上,上記二つの事実は,当日被告人が犯行現場に赴いたということをより積極的に推測させる証拠がある場合にそれを補強する機能しか持ち得ない筈のものと思われるが,そのような積極的証拠としての役割を持たされているのは,唯一,現場マンションの犯行現場に通じる階段の踊り場の灰皿内から発見されたたばこの吸い殻から,鑑定により被告人のものと一致するDNA型が発見されたという事実である。しかし,多数意見も詳細に指摘するとおり,問題のたばこの吸い殻が,発見された際の状況等に照らして,間違いなく被告人が当日当該灰皿の中に投棄したものと推認できるか否か(被告人の吸い殻が入った携帯灰皿をCが過日同マンションに持ち帰り,本件当日以前にCが当該灰皿に投棄した可能性が- 14 -あるという論旨に対し,そのようなことはおよそあり得ないとまで言えるか)については,少なくともそのように断言することはできないように思われる。以上要するに,上記の各間接事実の存在によって,被告人事件当日現場マンションを訪れたという事実については,その可能性が相当の蓋然性を以て認められること自体は否定できないが,その事実自体を証拠上否定できないとまでいうことはできない。更に,仮にこの事実の存在が認定されたとしても,公訴事実との関係では,(被告人がこの点に関し虚偽の供述をしていることが判明したという事実をも含め)それ自体が一つの間接事実に過ぎないのであって,被告人の有罪認定の根拠としては,未だ強力な証明力を有する事実とまでいうことはできない。(2)犯行の動機につき,第一審判決及び原判決においては,被告人にCを殺害する動機があったとまでいうことはできないにしても,同女との間のやり取りや同女のささいな言動など,何らかの事情をきっかけとして,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったという事実が,単独ではその推認力には限界はあるものの,被告人の犯人性に関する積極方向の間接事実であると指摘されている。しかし,このように一般的抽象的な状況のみで,当日被告人とCとの間にどのような具体的事実があったのかについておよそ認定されることなく,これを被告人有罪の積極的根拠として用いることについては,疑問を禁じ得ない。すなわち,動機についても,原判決認定に係る事実のみでは,せいぜい,本件犯行の一般的な可能性があることを否定できない(動機があり得ないとは言えない),という程度の証明力しか無いように思われるのである。また,仮にCに対する犯行の動機を,上記のようにその場における突発的な激情ないし憤激(の可能性)に見出すとしても,そこから更に進んで,証拠隠滅目的のために被告人が日頃可愛がっていた(わずか- 15 -1歳10か月に過ぎない)被害者Dの殺害にまで至ったという説明についても,十分な説得力があるものとは言えない。(3)第三者の犯行可能性について第一審判決がこれを否定する根拠は,いずれも,例えば宅配便郵便配達を装った通り魔殺人の可能性を排除するものとして,必ずしも説得的であるとは言えない。なお,本件における捜査のあり方に関しては,本件マンションに立ち入ったことを自供した被告人平成14年8月17日付の供述調書(乙14号証)につき,原判決もまたその任意性を否定せざるを得なかったことに示唆されているとおり,その適法性につき疑念を抱かせる点が無いとは言えないのであって,捜査陣が,捜査の早い段階から被告人が犯人であると決め付けて,その裏付けとなりそうな事実のみを集め,それ以外の事実については関心を持たなかった(切り捨てた)のではないかという上告論旨の指摘も,全く無視することはできないというべきである。(4)被告人の当日の行動についての説明には,極めてあいまいなものがあり,とりわけ,当日立ち寄った場所に関し,一つとして確定的なことを述べていないという点は,大いに不審を抱かせる事実であると言わざるを得ない。しかし,であるからといって,そのこと自体が被告人を犯人と推認させる決定的な事実となるわけではなく,やはり可能性を否定し得ないというだけのことでしかない。また,原判決が重視する,被告人が犯行時刻頃に携帯電話の電源を切っていたという点については,もしこの事実が被告人の本件犯行を裏付ける事実というのであれば,被告人の犯行は計画的なものであり,それが故にこそ前以て電源を切っていた,ということになる筈であると思われるが,本件の犯行が(未必の故意をも含め)予め計画されたものであるとは全く認定されていないのであって,むしろ,上記のように,現- 16 -場におけるCとの接触の中での突発的・偶発的な殺意によるものであると推測されているのである。果たして,そのような犯行状況の下で携帯電話の電源を切るというような冷静な行動に出ることが,容易に想定され得るであろうか。なお,仮にこの事実が,必ずしも被告人の本件犯行そのものではなく,被告人被害者宅を訪れること自体を秘する目的であったことを裏付けるものとして引き合いに出されているのであるとしても,バッテリーの消費をセーブするために携帯電話の電源を一時切るという行為自体は必ずしも奇異な行動とは言えない上,そもそも当日被告人被害者宅を探すために行動していたこと自体は,当初から,特に秘されていたわけではないのであって,それにも拘らず急遽携帯電話の電源を切ることとなったのは何故かについては,第一審及び原審において,なんら明確な認定がされておらず,全ては,被告人が犯人であることを前提とした上での推測に基づくものでしかない。のみならず,仮にそうした事実が認められるとしても,被告人被害者宅を訪れたという事実自体,本件犯行との関係では一つの間接事実としての位置付けを与えられるものでしかないことは,先に見たとおりである。(5)第一審判決及び原判決は,上記の各間接事実について,その一つ一つについては,それだけで被告人有罪の根拠とすることはできないものの,これらを「総合評価」すれば合理的疑いを容れる余地なく被告人有罪が立証されているとする。私もまた,このような推論が一応可能であること自体を否定するものではない。ただ,本件における各間接事実は,その一つ一つを取って見る限り,上記に見たように,さほど強力な根拠として評価し得るものではなく,たばこの吸い殻のDNA型を除いては,むしろ有罪の根拠としては薄弱なものであるとすら言えるのではないかと思われる。本件において認定されている各事実は,上記に見たように,いずれ- 17 -も,被告人が犯人である可能性があることを示すものであって,仮に被告人が犯人であると想定すれば,その多くが矛盾無く説明されるという関係にあることは否定できない。しかし一般に,一定の原因事実を想定すれば様々の事実が矛盾無く説明できるという理由のみによりその原因事実が存在したと断定することが,極めて危険であるということは,改めて指摘するまでもないところであって,そこで得られるのは,本来,その原因事実の存在が仮説として成立し得るというだけのことに過
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