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はてなキーワード: ジャムとは

2019-03-09

アイスコーヒーミルク付きで パンにはジャム

って伝えたんだけどミルク抜きでバターを塗ったパンが出てきた。

ミルクはほしいって言ったけどさすがにパン無駄になると思うとそっちは言い出せなかった。

伝票には思いっきジャムって書いてあるけど伝えたほうが良かったんだろうか。

見るからバタバタしてたからなあ。

2019-03-08

[] #70-8「パンジャム事変」

≪ 前

「何でこんなことをしたんだ! 盗みが犯罪だなんて分かっているはずだ。それともバレなきゃいいとでも思っていたのか?」

従業員が声を荒げながら犯人を問い詰める。

この事件で危うく犯人にされかけたこともあって、表情からは怒りが滲み出ていた。

「ここ最近、まるで食べてなくて……でもお金がなくて」

観念した犯人は目を潤ませながら、たどたどしく自白を始めた。

しか従業員の怒りは収まらず、余計に火に油を注いだようにみえる。

「だからって盗んでいいわけあるか!」

従業員はかなり感情的になっており、今にも掴みかかりそうな勢いだ。

しかもこんなにたくさん盗んで、持って帰る気マンマンじゃないか

「えーと、家族にも食べさせようと……」

「盗んだパン家族に食べさせるって? そんなので腹を満たせて家族は喜ぶか?」

従業員の詰問は高圧的であったが、言っていること自体正論だったので間に入りにくい。

いや、むしろ俺も犯人に怒りをぶつけたいくらいだ。

おかげでコッペパンを食べ損ねたのだから文句の一つくらい言ってやりたくもなる。

ただ、怒りに割くエネルギーすら惜しい状態だったので静観していた。

「ごめんなさい、許してください!」

ダメだ、大人しく法の裁きを受けろ!」

ちょっと待ちな!」

従業員の怒りがいよいよピークに達そうとしたとき、それを静止する言葉食堂内に轟く。

その声の主はオバチャンだった。

事情はよーく分かった。今回は勘弁してやろう」

なんかオバチャンが変な悟りモードに入っている。

最近観たドラマ人情派だったのだろうか。

「ええ!? どんな事情があれ、盗みは盗みだろ。それを許すってのか?」

「そうするしかない理由があったんだから大目に見てやろうじゃないか。『盗みは盗み』だからと冷たくあしらう、“罪即罰”なんて世の中は寂しいだろう」

犯人探しを血気盛んに始めた張本人にも関わらず、この場においてオバチャンは慈愛の心に溢れていた。

「ちっ……分かったよ」

ありがとうございますありがとうございます……」

犯人はオバチャンの温情に、何度も感謝言葉を繰り返した。

なんだか酷い茶番を見せられている気がするが、とりあえずこれで一件落着ってところか。

どうも釈然としないが、俺は警察でも裁判官でもない。

この場にいる人間が許すというのなら、水を差すようなことを言うつもりはなかった。


その様子を静観していた俺に、カジマが話しかけてくる。

「ほら、マスダ。待望のコッペパンっすよ」

そう言って犯人のバッグに入っていたパンを手渡してくるが、もはやそれは俺の望むものではない。

無造作に詰められていたものから拉げていて、ジャムのせいで全体的にベトベトしている。

とてもじゃないが俺のコッペパン欲を満たせるものではなく、すぐに突き返した。

「いや……いらない。ジャムでグチャグチャになってるし、食う気しねえよ」

ジャム……?」

そんな俺たちの何気ないやり取りを聞き、オバチャンが妙な反応を示す。

まさか、アンタ……このコッペパンジャムをつけたのかい?」

さっきまでの態度が嘘のようなドスのきいた声色で犯人に尋ねた。

「え……は、はい

そして犯人の返答を聞いた瞬間、オバチャンの仏のような表情がみるみる内に鬼のように変貌していく。

「どうやら、アンタを許すべきじゃないようだね」

「ええ?」

オバチャンの心境の変化に、俺たちまで戸惑った。

一体、何が逆鱗に触れたんだ。

「え、さっきパンを盗んだの許してくれるって……」

「アタシが許せないのはね、“パンを盗んだこと”じゃないんだよ。その“盗んだパンジャムをつけた”ことだ!」

そう言ってオバチャンは犯人の首根っこを引っ捕まえ、食堂の奥へ消えていってしまった。

取り残された俺たちは、その場に呆然と立ち尽くす。

「ね、ねえマスダ。オバチャンはパンを盗んだことは許したのに、何でジャムをつけた途端に怒り出したの?」

そんなの、こっちが聞きたい。

理解が出来ない俺たちに、従業員は自信なさ気に答えた。

「多分だけど……“盗んだパンジャムをつける”のは、“味を楽しむ程度の余裕がある”ってことになるから……じゃないか?」

なるほど、そういうことか。

飢えて心身共に余裕がないとか、或いは誰かのためにやったとかならオバチャンは許すつもりだった。

だけどジャムをつけるという、余計な欲やエゴを認めるほど寛容ではなかったようだ。

はえ~、ジャムをつけただけで、そこまで話がややこしくなるなんて変な話っすねえ……そうだ、これを『パンジャム理論』って呼ぶのはどうっすか?」

「何言ってんだ、お前」

こうして、事件解決を迎えた。

この出来事が俺の期末レポートにどのような影響を及ぼしたかというと、結論からいえば何も関係ない。

腹を満たしたわけでも、代わりに何かを得たわけでもなく、結局はBのマイナスだったので全くもって無駄時間を過ごした。

だがカジマは学び取れるものがあったらしく、『パンジャム理論』を考案。

レポートにまとめて提出し、見事D評価を貰って補習が決定したらしい。

(#70-おわり)

2019-03-07

[] #70-7「パンジャム事変」

≪ 前

俺はそう言いながら、彼に鋭い視線を向ける。

学年が違う生徒だろうか、あまりたことのない男だった。

「……なにか不自然なことが? 僕は正解のタイムに一番近いのに」

「俺は『最も誤差のある人間犯人』だと言っただけだ。その誤差が『正解タイム』だとは言ってないぞ」

「……え?」

「まだ気づかないのか。他の三人は正解タイムから30秒近くも離れている。なのに“お前だけ正解に近い”んだ」

「……ああっ!」

俺の罠にやっと気づいたらしいが、もはや手遅れだ。

勘付かれてもおかしくなかったし、見当外れの可能性も大いにあったが、目論見は上手くいった。

「オバチャン、もう一度聞くぞ。俺が注文する数分前、まだコッペパンの残りはあったんだよな。今もそう言い切れる自信があるかい?」

「うーん……でも、ここまで数え間違えるなんて、自分でも信じられないよ」

「そりゃ仕方ないさ。こいつの超能力で、そうなったんだから

超能力!? 他にもいたのか」


この事件ポイント犯行推定時刻、アリバイをどう崩すかに尽きる。

オバチャンは「超能力を使えばアリバイなんぞ関係ない」として、アポートが使える従業員犯人推理したが、超能力の制約もあって難しいと結論付けられた。

実はこの推理、かなり核心に迫っていたんだ。

犯行超能力が利用されていたところまでは合っていた。

だけど、それは他の超能力者によってだ。

そしてその超能力は直接パンを盗める類ではなく、犯行推定時刻を誤魔化せるものだと俺は予想した。

から時間当てゲーム提案し、その結果から手がかりを得ようとしたわけだ。

「つまり、こいつが時を操作したってことっすか?」

超能力は、そんな大層なことはできない。恐らく限定的な暗示能力とかで、俺たちの体内時計をズラしたんだろう」

意識して数えてもここまでズレるのだから、そうじゃなかった場合は尚更だろう。

こうなると、オバチャンの言っていた犯行推定時刻はアテにならなくなり、必然的アリバイも崩れる。

「さあ、何で超能力を使ったか説明してくれるか?」

俺は、彼にそう言って詰め寄った。

他三人も、どう答えるのかと注目している。

超能力を使ったことは暴けたが、こいつが言い逃れできる余地はなくもない。

さて、どう取り繕ってくる?

「……証拠は?」

何となくそんな気はしたが、予想以上にベタな返しだ。

俺は溜め息を吐きつつ、従業員に目配せをした。

「ん?……ああ、そうか」

従業員はすぐ察したようで、俺の学生バッグを凝視する。

その視界内には彼の学生バッグもあった。

「……あっ、ちょ、ちょっとやめて!」

彼も何をするか分かったようだが、問答無用

つのバッグは一瞬だけ消え、すぐさま姿を現す。

超能力アポートが成功した合図だ。

「今、俺が持っているのはお前のバッグだ。さて、中に入っているのは教材だけか?」

みんなにも見えるよう、バッグを大きく開いてみせる。

一目瞭然、中には数個のコッペパン無造作に入れられていた。

言い逃れできない証拠である

まさか盗んだパンをまだ抱えていたとは、盲点だったね」

「というか、最初から持ち物検査すれば解決していた気がするっす」

カジマの言う通りで、俺はもっとくそのことに気づくべきだった。

数個のパンを短時間で食べきるのは難しいのだから、いくつかは隠し持っていると考えるべきなんだ。

仮に食べきったとしても、口の中を確認すれば痕跡が見つかるはず。

そんな簡単なことに気づかず、随分と迂遠な真似をしてしまった。

空腹で冷静ではないという自覚はあったが、俺の脳は思っていた以上に栄養が不足していたらしい。

次 ≫

2019-03-06

[] #70-6「パンジャム事変」

≪ 前

しかし、どうすれば解決できるか分からない。

この中に犯人がいるはずなのだが、全員にアリバイがあるという矛盾

何かを見落としているのだろうけれど、その見当がつかない。

「はあ……もうどれくらい経ったんだ」

まりのもどかしさに、地球の自転速度が狂っていくのを感じる。

もはや俺の体内時計は、まるで参考にすらならない時刻になっていることだろう。

そんなことを考えていた時、俺は何か“引っかかり”を感じた。

「……ん、待てよ」

事件解決の糸口をそこに見たのだ。

それが消えてしまわないよう思考を巡らせ、辻褄を合わせていく。

「いや、それなら或いは……可能範囲か?」

そうして、一つの可能性に思い至った。

それはか細くて、確信とは程遠い。

それでも、その可能性を確かなものにできれば、事件解決に大きく繋がる。

試す価値はあるだろう。


「みんな、思いついたことがあるんだ。ちょっと協力してくれ」

こちらに視線を向けさせると、俺はおもむろに携帯端末の画面を見せた。

「それは……ストップウォッチ?」

「今から俺がこれで時間を計る。そしてテキトータイミングでそれを止めるから、何秒かを当ててくれ」

「なんで、今そんなことをする必要が?」

「それで犯人が分かるんだよ」

俺の言葉に、皆が戸惑いの色を隠せないようだった。

まあ、そりゃそうだ。

突然、時間当てゲーム提案され、しかもそれで犯人が見つけられるなんて言われても理解できるはずがない。

からこそ、俺にとっては好都合といえる。

理由は後で説明する。今いえることは、最も誤差のある人間犯人だってことだけだ」

あえて断片的に、そう語った。

こう言えば、みんな真面目に数えてくれるだろう。

「じゃあ、押すぞ」


俺がタイマーを押したと同時に、食堂内は静寂に包まれた。

犯人扱いされたくないので、みんな頭の中で必死に数える。

言い知れぬ緊張感が、皆から漂っているのを感じた。

俺がいつタイマーを止めるのか、気が気でないのだろう。

ストップ!」

頃合を見計らって、俺はタイマーを止めた。

そして、何秒で止めたのかをそれぞれ紙に書いてもらう。

「ようし、じゃあ一斉に見せてくれ」

そこに書かれた数字を見て、俺は驚きを隠せなかった。

予想はしていたつもりだが、まさかこれほどとは……。

「正解は……30秒だ」

「え、30秒!? それだけしか経ってないの!?

そう反応するのも無理はない。

なにせカジマは60秒、オバチャンは65秒、従業員は59秒という回答だったからだ。

まりにも誤差が大きすぎる。

だが、ただ一人だけ、「27秒」と誤差が少ない男がいた。

「もしかしたらと思ったが、やっぱり“お前”か」

次 ≫

2019-03-05

[] #70-5「パンジャム事変」

≪ 前

「ちょ、ちょっと待って!? 自分従業員ですよ。パンを盗める時間なんて無い!」

「でもアンタには、“アレ”があるだろう? ちょくちょく使ってるのを見たから知ってるんだよ」

オバチャン曰く、犯行推定時刻中は皆が目に見える場所にいたらしい。

犯人がこの中にいるにも関わらず、全員にアリバイがあるという状況。

大掛かりなトリックでも使えばアリバイは崩せるかもしれないが、パンを盗むためにそこまでやるとも思えない。

となると、もっと“手軽かつ特殊方法”が使われたと考えるべきだろう。

まりは“超能力である

そして、この従業員は『アポート』という、物体を瞬間移動させる力があった。

俺もこの従業員とは別件で関わったことがあるので、それが事実であることは知っている。

アポートをつかえば、アリバイを成立させつつパンを盗むことは可能かもしれない。

だが、この推理には一つ誤解がある。

俺は少し横槍を入れることにした。

「オバチャン、その従業員犯人と決め付けるのは気が早いと思うよ」

「え、何でだい?」

超能力は万能じゃないんだ……そうだろ?」

俺がそう言いながら目配せすると、従業員バツが悪そうに説明を始めた。

「信じてもらえるかは分かりませんが……自分アポートは『二つの生物位置を入れ替える』ことしかできないんです。そして、入れ替える対象は同じ大きさじゃなきゃダメだし、視界に両方収める必要もある」

そう、この従業員アポートは、無条件に何でも移動させられるようにはなっていない。

アリバイを成立させつつ、パンを盗めるような超能力ではないんだ。

「そんなの、自己申告じゃないか。信じられないよ」

「もちろん、この従業員が全て本当のことを言っている保証はない。だけど、超能力にリミッターがあるのは確かなんだ」

「え、何それ?」

何となくそんな気はしたが、オバチャンは超能力のことは知っていても“リミッター”の概念は知らなかったようだ。


超能力は人によって性質こそ様々だが、いずれも何らかの制限がついている。

例えば弟のクラスメートタオナケっていう超能力者がいて、そいつ裸眼で捉えた物質破壊することができる。

ただし、そのためには数秒間、対象を睨み続ける必要があるんだ。

自身身体より大きいものは壊せないし、生物不可能

更には体調によって成功確率が変動し、普段はせいぜい5回に1回といったところ。

これはタオナケが超能力者としてポンコツからではなく、身体メカニズムとしてリミッターがかかっているからだ。

超能力はそのままだと強すぎるので、リミッターがないと人という器は耐えられないのである

時を止めて自分だけ動くとか、人を生き返らせるといった規格外超能力存在し得ないのさ。

「……というわけでアポートには制約が多いので、誰にも気づかれないようパンを盗むのは常識的に考えて難しいかと」

「ええ~、ほんとにぃ~?」

義務教育で覚える話ですよ」

「それ言われると、弱っちゃうなあ……」


…………

「オバチャンの気のせいってことは? パンは本当に残っていなかったの?」

「しつこいねえ。さっきも皆で確認したろう」

その後も、皆であーだこーだ言い合うが、話は平行線のまま進まない。

何ら解決の糸口が見つからず、無為時間を浪費していく。

みんな疲弊するばかりであり、俺もこの状況にはかなり参っていた。

特に俺は、コッペパンを食べ損ねて未だ空腹だから尚更だ。

もちろん、俺は犯人じゃないことが確定しているから、このまま帰ってしまってもよかった。

帰りに適当な店でコッペパンを買ってもいいし、違うパンでも構わないとも思っている。

いっそのことジャンルが全く違う食べ物でも構わない。

このまま何食わぬ顔で何かを食べても、表面上は腹を満たせるだろう。

だが、『食べようと思っていたものが食べられなかったという体験』が問題なんだ。

そんな心理的負荷を抱えたままレポートに取り組める図太さは俺にはない。

この事件を明らかにしない限り、俺の心にはポッカリと穴が空いたままになる。

……まあ、とどのつまりは意固地になってるだけなんだが。

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2019-03-04

[] #70-4「パンジャム事変」

≪ 前

待ち続けること数分―――

「遅いな……」

いや、実際は1分と経っていなかったかもしれない。

なにせ、その時の俺は期末レポートを抱え、空腹とコッペパン欲も併発していた。

焦燥感によって地球の自転速度は狂いまくりうるう秒による調整は困難を極める。

そんな無限にも思えた時間の中、ようやくオバチャンが戻ってきた。

だけど、何も携えていない。

「ねえ、ちょっと……」

しかも帰ってくるやいなや従業員と話し始めた。

会話の内容は聞き取れないが、表情の険しさからタダ事ではないのが伝わってくる。

「はーい! 今、ここにいる皆! この食堂から出ないで!」

そして突然、オバチャンは食堂全体にダミ声を響き渡らせた。

「どういうことだ、オバチャン」

「持っていかれてる」

その言葉を聞いたとき、俺は瞬時に意味理解した。

だが事態を飲み込むことを脳が拒否している。

「え、まさか……盗み?」

「そう」

「何が盗まれたんだ?」

状況から考えて、返ってくる答えは明白だったろうに。

俺は分かりきったことを、わざわざ尋ねずにはいられなかった。

コッペパンだよ。残りが全部なくなってる」

そして告げられる、残酷事実

言葉として理解できても、あまりにも予想外な展開に心が追いつかなかった。


…………

こうして俺はレポートも空腹も宙ぶらりんのまま、事件に巻き込まれることになった。

まったく、何でこんな目に合わなくちゃいけないんだ。

「盗みが起きたのは分かったけど、何でオイラたちは食堂から出ちゃいけないんすか?」

その中にはクラスメートのカジマもおり、ぶつくさと文句をたれている。

「この中に犯人いるからだよ」

「ええ!? どういうこと?」

オバチャンによると、コッペパンの残りは数分前まであったらしく、盗みはその時間内に起きたことになる。

そして、食堂は人が少ない時間帯で、20分ほどの間に出入りをしたのは俺だけ。

まり犯人はこの中にいるって推理のようだ。

「本当にこの中に犯人が? そこまで言い切れる?」

「出入り口カウンターから一望できるし、今の時間帯は出入りが少ないから、数え間違いは絶対ないよ」

実際、この時に食堂にいたのは俺含めて5人しかいなかった。

人の出入りがあれば記憶に残るだろう。

「この中にいるのは分かったけど、どうやって犯人を見つけるつもりっすか?」

「ふふん、実は既に見当がついているんだよ」

オバチャンの自信満々な物言いに、皆がザワつく。

俺も多少は絞れているが確信には至っていないので、これには驚いた。

「まず消去法で候補を外していくよ。アタシはもちろん違う。基本的にみんなの目に見える場所で働いているから、パンを盗んだり処理したりするのは無理だからね」

「え~? でもオバチャンは従業員で、しか第一発見者じゃん。パンがなくなった時間を誤魔化せば、いくらでもアリバイは作れるっすよ」

「やだねえ。もしアタシが盗んだのなら、ここまで大ごとにせず黙ってればいいだけじゃないか

そんな感じでオバチャンは雄弁に語りながら、推理披露し始めた。

その様子は少し楽しげにすら見える。

場を仕切りたがるのといい、刑事ドラマでも観て感化されたのだろうか。

コッペパンを注文した兄ちゃんは、食堂に入ってきた時刻と事件発覚にほとんど間がない。犯行物理的に不可能だ」

とはいえ、オバチャンの推理はそこまでデタラメというわけではない。

一応の筋は通っているし、憶測動機から犯人を決め付けたりもしない。

無意味深読みをして俺を犯人だとか言い出さないだけマトモな方である

「そして、残りの候補3人の中で、犯行可能なのは一人……」

そうしてオバチャンは回りくどい説明を挟みながら、満を持して犯人を指差した。

「アタシと同じ従業員犯人はアンタだよ!」

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2019-03-03

[] #70-3「パンジャム事変」

≪ 前

この学校食堂普通である

何を持って普通と言うべきかなんて知らないが、ともかく普通なんだ。

不衛生というわけではないが、綺麗と評するのには無理がある内観。

カウンターに貼り出されるメニューは、ちょっと離れた場所から見るだけで全部読める。

首を動かす必要すらなく、全てを視界に捉えることが可能だ。

そして料理の見た目は精彩さを欠き、味に至っては繊細さの欠片もない。

栄養バランス

そんなの“自己責任”さ。

食堂を利用する生徒の半分はそう答えるだろう。


そんな食堂の人気メニューも、これまた普通だ。

1位は唐揚げ

2位はハムカツ

3位は細切りフライドポテト

4位は素ラーメン

5位がカレー

揚げ物がトップスリーである

そして察しの通り、この三銃士サイドメニュー

メインの料理とは相互関係にある。

例えば4位の素ラーメンに放り込めば、若者飽食に応える「揚げ物が入ったラーメン」が完成する。

から滲み出た油はスープに溶け込み、そのスープを衣が吸うという循環システム

コショウをかけて麺と一緒にすすれば、別々に食べるより何倍も美味いという幻覚をもたらす。

或いは、5位のカレーに乗せてもいい。

具があるのかないのか良く分からないカレーは、「明らかに具のあるカレー」に生まれ変わる。

飯とルゥの配分に苦戦しながら頬張れば、「1+1=2」という真理に辿り付けることだろう。


だが今回、俺が求めるのはラーメンカレーではない。

パン―――より厳密にいえばコッペパンだ。

生徒の間ではあまり評価されていないが、このコッペパンは割とちゃんとしている。

なぜなら、そこそこ有名なパン工場で作られたものからだ。

甘さも塩気もないが、ほのかに感じる小麦香りは食欲をかき立て、素朴な味は期待を裏切らない。

バターが塗られていないため艶はないが、しっかりと保たれた楕円形によってパンは輝いているように見える。

トッピングは多くないものの、マーガリン生クリームチョコ粒あん、いくつかの惣菜があったりと要所は抑えていた。

更にはサイドメニューで応用が利くので、その可能性は数倍に膨れ上がる。

そんなわけでコッペパンは人気こそ上位ではないが、安定した需要のある公務員だ。

時々、無性に食べたくなってしまう人もおり、かくいう俺もその一人だった。

特に、その日は月に一度あるかないかというコッペパンモード突入しており、加えて空腹にも襲われている。

頭への栄養が不足しているせいもあり、わずかな理性で押さえつけているのが現状だ。

レポートのこともあるし、早くコッペパン補給したい。

俺は焦りを表に出さないよう意識しつつ、平均速度で歩行しながらカウンターに向かう。


とりあえず、たんぱく質が欲しいかハムカツとタマゴは外せない。

それに糖分も欲しいから、シンプル砂糖だけまぶしたやつを……小豆マーガリンもいっておくか。

いや、生クリームチョコカスタードにしよう。

それを口当たりのよい牛乳で流し込めば申し分ない。

近々訪れる未来シミュレートし、自分の口内に唾液が分泌されていく。

早く、この唾液を有効活用してやらねば。

はい、ご注文どうぞ~」

唾液が溢れないよう気をつけながら、俺は注文を口にした。

「オバチャン、コッペパンください」

はいはーい、ちょっと待ってて」

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2019-03-02

[] #70-2「パンジャム事変」

≪ 前

「それで、二人はもう主題を決めたのか?」

俺は探りを入れてみた。

この期末レポートで最も避けたい事は、テーマや内容が似てしまうことだからだ。

相対評価なんてされたら困るし、コピーを疑われて減点なんてのは最悪である

「僕はオオザワの『不可逆性の時代』についてレポートを書こうかな~と」

タイナイの持っていた本に目を向けると、表紙に『不可逆性の時代』と書かれているのが分かった。

こいつのことだから雰囲気だけでテキトーに選んだのだろう。

主題だけは決まったものの、何から取り組めばいいかなんて見当もついていないとみえる。

以前もそんなノリでレポートを書いて、シマウマ先生に「意識高い系読書感想文」だと揶揄されたばかりだろうに。

「ウサクの主題は?」

「我は『未だ残り続ける、前世代の負債』だ。ここ50年の間に起こった大きな出来事をまとめ、現代にどのような負債を残しているか調べる。そして、その是非や責任考察し、次世代に残さないためにはどうすべきか等を書くつもりだ」

翻ってウサクはさすがといった感じだ。

シマウマ先生が喜びそうなテーマに狙いを定め、更には方針まで既に固めてきている。

あの馬面教師から本気でA評価をもぎ取りにいくようだ。

ウサクがそうしてやっと掴めるレベルから、俺には逆立ちしても無理だろう。

そもそも逆立ちなんて出来ないし、出来たところで頭に血が上るだけに違いない。

二足歩行でBあたりをせいぜい目指そう。


何はともあれレポート主題を決めることからだ。

俺は図書室内をのそのそと歩きながら、並ばれた本を眺めていく。

タイナイみたいに漠然と選ぼうかとも思ったが、それが複雑で面倒なテーマだったりすれば後が厄介だ。

何より最終的な成績を決めるのは、あのシマウマ先生である

変なところで油断をしたせいで春休みの予定が台無し……という事態などあってはならない。

「んー、これとこれを合わせて、ちょっとヒネってみるか」

そうして気になった本をいくつかチョイスし、うんうん唸ること十数分。

俺はようやっと期末レポートテーマを決めた。

題して、『晩期の資本主義国における生活体系の変遷』。

……まあ、自分で言うのもなんだが、センセーショナルさには欠けるな。

しかし、身の丈には合っている。

焦点を絞ったので、調べる範囲も狭くて楽だ。

後は目ぼしい資料を見つけ、あの馬面の欲求を満たす事実を抜き出していけばいい。

その事実から分析できるものを並べ、大まかな見解としてまとめれば完成である

仕上げにブラッシュアップすればBのマイナスは手堅いだろう。

「はー、やれやれ

ようやっとテーマと大まかな方針が決まり、俺は安堵のため息を漏らした。

グギュルルルル―――

だが、その吐息の音は、腹の唸りによってかき消される。

そういえば、俺は空腹だった。

課題のため後回しにしていたが、こいつに喚かれちゃ仕方ない。

図書室を後にして、俺は食堂へと向かった。

次 ≫

2019-03-01

[] #70-1「パンジャム事変」

1日の長さは地球の自転速度によって決まっているらしい。

地球が1回転するのが平均24時間で、それが1日の長さになってるんだとか。

しか毎日同じというわけでもないようで、その時々によって分や秒の長さも変わる。

まり、1日が長い時や短い時が存在するってことだ。

天体物理学だとかはサッパリからないが、その違いを感じ取ることは俺にでも出来る。

例えば、学校課題が立ちはだかった時なんて明白だ。

地球の自転速度は異常をきたし、人間体内時計は大きく狂わされる。

特に社会学の期末レポートの時はそれが顕著だった。


主な原因は、その課題を出す教師にある。

縞柄シャツをいつも着ていたので、俺たちは尊敬の意を込めて「シマウマ先生」と呼んでいた。

彼の課題に対する評価は非常にシビアであり、他の先生ならば通用する手抜きも減点対象にしてくるほどだ。

今回は主題自由であったため、尚さら誤魔化しはきかない。

「あらかじめ言っておこう。この課題評価は、成績のおよそ5割を占める。落書きを出した者の末路は悲惨ということだ」

課題を出す度に、シマウマ先生はそう言って凄んでくる。

恐ろしいのは、それが脅しでも何でもなく事実であるということだ。

もしもこの忠告を甘く見たとき、その人間に待っているのは「補習」という名の拷問である

「お前たちの中には、この課題を恨めしく思う者もいるだろう。だが分かって欲しい。私は生徒を正しく評価したいだけなのだ。優秀ないし勤勉でいてほしい。その手ほどきを惜しむつもりはない」

とどのつまり「補習になった生徒に対しては、春休み中だろうと容赦しない」という宣誓である

その言葉からは、むしろ補習組を作りたいという情念すら感じた。

そんなことをしても教師仕事は増えるし、生徒の休日は減るしで誰も得しないというのに。

シマウマ先生はワーカーホリックってやつなのだろうか。

或いは生徒の苦しむ姿を見て喜ぶサディストなのか。

実際どうなのかは知らないが、何にしろ俺たちは課題をこなさなければならない。

春休みにもなって、擦り切れたラジカセのような講釈を聞くのは御免こうむる。


レポートの提出は春休み突入前、3時限目にある授業のとき

期限は2週間ってところだ。

地球の自転速度が狂っている今、猶予はそこまでないと考えるべきだろう。

俺はレポート主題を求めて図書室に赴いた。

「あ、マスダも来ていたんだ」

そこにはクラスメートのウサクやタイナイもいた。

どうやら俺と同じ目的のようだ。

「カジマは?」

「彼奴は期限ギリギリになるまでやる気がないらしい」

「おいおい、カジマのやつ。またネット記事からパクってくるつもりじゃないだろうな」

「それを気にかける筋合いも、そんな余裕も我々にはない」

冷たいようだが、ウサクの言うとおりではある。

この課題孤独な戦いであり、俺たちは互いに協力するわけにはいかないんだ。

次 ≫

2019-02-19

丸山、歌上手いね

ジャムジャパリパークって歌うたってたんだけど。関ジャニ丸山。めちゃ上手くてびっくりした。

あんなに上手いのに関ジャニでは大して歌ってないのがよく分からない。顔も良くないと歌わせてもらえないのかな?

2019-02-17

西友で売ってるアメリカ産りんご

小ぶりで酸味がやや強めで、実がやや固めの美味いやつ

そのまま食べても美味いし、ジャムアップルパイにしても美味い

おやつに食べるのにも丁度いいサイズなので、売り場で見かけたら必ず買ってる

が、特定の季節(2月から4月半ばくらいまで)しか売り場に並んでるのを見たことが無い

季節商品扱いなのか、それとも単に俺が住んでるところが田舎から回ってくる数量が少ないのか、どっちなんだろう

国産りんごも美味しいんだけど、ああいう小ぶりのりんごはなかなか無いんだよなぁ

2019-02-14

割引始まっとった! anond:20190214152451

なので買ってきた

キャラメルうまいけど塩入れなくてもええやん?

工場生産系のジャムがどうしても好きになれない

2019-02-06

ミーハーなオイラは、関ジャムで知った中村佳穂のyoutubeを観に行き、https://www.youtube.com/watch?v=7eyOKJwaZJg を観て涙を流すのだった。

そして、それよりも、なによりも、めちゃ彼女ルックスが好みであることに衝撃を受けるのだった。

2019-01-28

anond:20190128100256

安全だと認証されたマークが入ったジャムと3個100円で安売りされてるジャムの違いみたいなものだな

2019-01-12

なんで三色パンの中身は

カスタードチョコあんこなんだ?

言うなれば三色ふりかけごま塩が含まれるのと同じくらい謎だ。


もちろん、あんこ歴史ある伝統甘味で、根強いファンも多い。

でも、さすがにチョコカスタードと並べるとハズレ感が半端ない

あるいは、チョコカスタードがお子様でも大丈夫的な安心感があるのに対し、あんこだけ大人の味みたいな立ち位置になっている。

たか10代に30代が混ざっている的な?

それとも、兄弟姉妹の子供2人がチョコカスタードを食べて、お母さんがあんこ食べろってこと?

そうだとしても、食べるまで中身がわからないガチャ仕様なんだよなあ…だから多分違う。


てか、子供心にあんこ掴まされたときのガッカリ感は、食い物の恨みに含んでいいと思う。

これ、汁粉とかもそうなんだけど、粉甘いものなんてお子様の舌に合わないって何度言えば(ry

ちなみに粉甘いで済むのはこしあんだけであり、これがつぶあんになると更に食感が大人向けになってしまう。

お前らだって、今でこそ美味しい美味しい言って食べているたい焼きどら焼きも、子供の頃はそんな好きじゃなかったろ?


というわけで、文句を言いっぱなしで終わるのも微妙なんで、対案があるとすればいちごジャム

もう絶対にこれしかない。これなら大人子供安心だ。

でなければ、チョコカスタードずんだウグイスか栗あんのどれかにして、完全に大人仕様で行け。

これまた潔くて次点としておく。

2019-01-10

食パンってなんであんなすぐに飽きるの?

毎朝食ってるとだんだん飽きる。

そんで一回やめる。

しばらくするとまたダブルソフトが食べたくなる。

そして食べるとうまいので毎朝食べる。

するとまた飽きる。

今はなんとかジャムの味変えて食ってる。

今の所、りんごジャムがおいしい。

2018-12-29

anond:20181229214109

水飴に色と果実の香料つければジャムから

バカにするにも程があるわwwwwww

2018-12-10

anond:20181210001044

2個あげて原文どっちか指定しないのな・・

元増田後者は「疲れたゼラチン質」「ジェリー」。

日本語だったら「デロデロ」で済むことを擬態語がないためにこんなにいうの不便そうね。

前者は赤いジャムっぽいのが真ん中の凹んだとこに塗って焼いてあるパイだろ。

ブルボンかどっかでにた製品をだしてるけど、焼いた後は

ほとんどジェリーっぽさがなく

乾燥して歯ごたえがカワカワしている。

2018-12-07

[]12月6日

○朝食:一本満足バー的なやつ

○昼食:ジャムパンコーンパンたまごパン

○夕食:白菜と鮭と豆腐を煮たもの納豆、卵

○間食:柿の種

調子

はややー。

仕事はいっちょうけんめいがんばったぞいや。

残業しない日が長いこと続いてたから、今週はしんどい……

辛かった時と比較すれば、大したことない量なんだけどね。

スマブラ発売したり、ピカブイも発売してるし、他にも色々したいゲームはあるけど、貯金を優先してる。

いやさすがにゲーム一本買うぐらい大丈夫なんだろうけど、積みゲーもたくさんあるしね。

3DSDS互換

ポケダン

主人公ニャース(メス)、パートナーチコリータ(メス)でプレイ開始。

今日は、出会いエピソードと、はじめての依頼、それとルリリを助けるお話を途中までプレイ

昨日も書いた通り、空ダンは何年も前にクリア済みな上に、ストーリーをはっきり覚えているので、

まだ出会ったばかりなのに、この先にあるあの別れを思い出して、なんか悲しくなってきた。

主人公がいいキャラなんだよなあ……

iOS

コマスター

チームマッチ中って、レート無視してマッチングされることが多いのだけど、随分したのレートの方と当たってぼろ負けして、がくっと下がってやる気が失せました。

今日やれた楽しいこと

OK1.グラブル:討滅戦マニアック二週、共闘デイリーイベントデイリーをこなす

NG2.コマスターキートレボをあける

OK3.ポケダン時か闇を始める

明日やりたい楽しいこと

1.グラブル:討滅戦マニアック二週、共闘デイリーイベントデイリーをこなす

2.コマスターキートレボをあける

3.ポケダン時:ストーリーを進める

2018-12-05

ジャムらんからってリボルバー使ってる人

装弾数バレバレだし、ニューナンブ(しかも初弾は空砲)一丁しか持ってなくて5~6以上に襲われた時、どうやって対処してんの?

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