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2023-11-29

iPhoneがなぜ日本人に受け入れられたか


なんとなくこの業界に関わってきたので、どうして日本でこんなにiPhoneが支持されるようになったのか、ちょっと書いてみたいと思う。ちなみに俺は今は亡きS社(今は完全に消滅して、かつての本社市役所になっている)でPHS(みんな覚えてる?)の開発に携わったのが最初。その後は出向で三浦半島の先の方で怒りのデスロードみたいな経験をしたり転職して某関西メーカーAndroidやったり。当時一緒にやってた人たちの一部は京セラに行ったけど、大体はどこに行ったか知らない。とにかく日本の一大産業であった携帯電話基地局生産や開発に一通り関わってきて、その衰退とともに生きてきました。

 

で、よく知られているように日本携帯電話1999年iモードの導入から劇的に進歩し、ネットが見れるだけでなく、カメラも付きラジオも聞け非接触決済もできて音楽を聞いてテレビまで見れて、もちろん防水でアプリまで動かすことができた。カッチリ作られた二つ折りやスライド機構は触ってるだけで楽しかったし、こんな携帯日本メーカー以外どこも作れなかった。

 

まあそれがガラパゴスと言われて後々の衰退につながるんだけど、実際はドコモガラパゴスを良しとしてなくて、iモードを普及させようとして海外携帯キャリアガンガン出資していたし(その大半が失敗して莫大な損失が生じた)、ドコモ進出と同時に日本メーカーは高機能携帯世界に売り込もうとした。でも結局どれもうまく行かなかった。なんとか海外地盤を築いていたのはソニー・エリクソン三洋くらいで、三洋アメリカスプリントCDMA携帯を輸出してそこそこのシェアを取っていた。ライヴァルであるモトローラとかサムスン携帯を買って研究していたのが懐かしい。

 

後にAndroidiPhoneがすごい勢いでエコシステム世界に広げていくのを見ると、どうしてiモードにはそれができなかったのかなと思ったりする。まあでも日本メーカーの小さな筐体にぎっちりと機能の詰まった携帯は、個人的にはサイバーでありジョリーグッドで今でも好きなのだが、海外はいまいち受けなかったし、ドコモおんぶにだっこで儲けていたNECやらパナやら富士通は、お付き合い程度にしか海外進出をする気もなかったようだ。

 

当時すでにスマートフォン海外ではそこそこ普及しており、SymbianとかPocketPCとかBlackBerryなんかの端末は結構海外ビジネスマンは使っていた。しか日本はいわゆる「ガラケー」のデキが良すぎてほとんど普及せず。シャープWindowsCEを積んだW-ZERO3を出してたくらい(持ってた)。

 

で、2010年追記2008年の間違いだった、申し訳ない)ついにiPhone日本で発売。もちろん俺は買った。当時ソフトバンクの独占発売だった。よく知られているように、当時の論調は「iPhoneより日本ガラケーの方がずっと高機能」で、こんなものは驚異にはならないという話だった。確かにiPhoneはすぐに電池が切れるし、FeliCaも防水もワンセグもなし。文章コピペもできないダメケータイだった。実のところ俺自身も使ってみて、こんなダサいもの日本携帯に勝てるもんかと思った。しかソフトバンクiPhone未来イメージシンプルで安い料金プランでガンガン攻めてきて、audocomo対応せざるを得なかった。

 

まもなくシャープ富士通東芝ソニーNECなどが次々とAndroidスマホ発売。このあたりの大混乱の思い出はブコメでもよく見るけど、未だにどうしてこうなったんだと思わざるを得ない体たらくだった。iPhoneに対抗するためにキャリアワンセグFeliCaの搭載を求めたために、開発は難航。第一Androidの開発をしたことがある人なんていなかったし、そもそもスマホなんて作ったことなかったのだった。納期に間に合わせるためにやっつけて作ったソフト不具合連発。一体何であんなもんを作ったのか未だにわからない、メガネケヱスと言われて1円でばらまかれたシャープの端末、まともに動いた時間のほうが少ないと言われたレグザフォン、ホッカイロスマホと言われ東京湾在庫が沈められたと噂されたアローズ。この頃俺は端末の開発からは遠ざかっていたけど、何人が死んでるんだろうと思うくらい現場悲惨だったようだ。

 

それでも各社はなんとしてでもiPhoneに抗おうと必死だったようだ。AndroidiOSはほぼ同時期に出てきているんだけど、端末開発では若干iOSが先んじたが、実際のところ世界ではスマホシェアはあっという間にAndroidiPhoneを抜き去っている。しか日本Android勢はソニーエリクソンを除けば総崩れで、iPhoneを扱うソフトバンクへの流出が止まらない。まずauiPhone4を扱うことに。docomoは当初ツートップ戦略というサムスンソニースマホで推す作戦に出たが、それによってパナやNECといった古くから携帯を作ってきたメーカーが脱落。その後2013年Appleに屈した。その契約屈辱的な内容だったらしく、日経は「不平等条約」と書いた。専用の売り場を設けたりといったよく知られている事に加えて、一説によると販売する端末の3~4割がiPhoneでなければならないとか、iPhoneのために莫大な広告宣伝費負担するなどである。未だに日本ではiPhoneが発売されるとaudocomoiPhoneCMを流すが、あれにはAppleは1銭も出していない。全部キャリアの持ち出しである。彼らの強欲なやり方を告発した、「アップル帝国の正体」という本が出たのもこの頃だ。

 

結局の所キャリア各社はこの契約を履行するために、iPhone用のお得な料金プランや分割購入プランを作り、窓口でも積極的に売り込んだ。初期のAndroidスマホのできの悪さを見聞きしてきた人たちは一斉に乗り換えていった。キャリアはいままで苦楽をともにしてきた日本メーカーをあっさりと見捨ててApple推しまくった。この頃はAndroidの開発もこなれてきて割とマシなスマホ日本メーカーも作れるようになってきたが、もうキャリア消費者も見向きもしなかったのだ。実際iPhoneは使いやすかったし、膨大なCM提灯記事キャリアショップのど真ん中で扱われたことで、もうスマホを買うことはiPhoneを買うことと同じくなっていく。

 

もうこうなるとiPhoneなしでは全くキャリア戦略は成り立たない。今に至るまでApple契約した屈辱的な関係を捨てることはできず、結局の所3キャリアAppleの言いなりになって莫大な国富を貢ぎ続けた。まあ彼らのやり方がうまかったといえばそうなんだが、こんな事になってしまった国は日本くらいで、いまやアメリカをもしのぎ世界で最もiOSシェアの高い国である。他の国ではiPhoneは一部の富裕層の持ち物であり、安くて高性能なAndroidスマホがとっくに主流になっている。iPhoneはそのCPUを除けばもうすでにイノベーションからは周回遅れであり、中国メーカーの作るAndroidがいまや先端を突っ走っているが、日本ではなぜか多くの人がiPhone最先端で最高性能と信じ続けた。

 

結果として、この給料のまるで上がらない国で、値段が上がり続けるiPhoneは売れ続け、日経が「最新のiPhone日本人平均給与の6割」という記事を書くまでになった。まあ別に何を買おうと勝手なのだけど、貧困女子といったタイトルがつく報道カップラーメンをすすっている人が持っているスマホが、10万円近いiPhoneだったりするどこか歪んだ社会になってしまった。最近も同僚から家族みんなでiPhoneを買い換えるので40万かかる」との嘆きを聴いた。OPPOあたりにしとけば全員分買っても10万で済みそうなのだが、その選択肢は彼らにはない。

 

とにかく日本キャリア総務省の顔色を伺いながらiPhoneを売るだけのAppleポチになってしまった。audocomo傲慢な連中だったが(もっと言えばNECもパナもry)、Appleはそれに輪をかけて傲慢クズ会社である。彼らが電気電子産業が壊滅した焼け野原日本から、ケツの毛一本までも利益をむしり取っていく現状は悲劇しか言いようがない。一社支配的な力を持つ市場はろくなことにならないという証左であろうが、もっともそのクソに完膚なきまでに負けたのも我々である。ほんとすみません

 

俺は岐阜のS社の研究所と虎ノ門DDIポケット本社を往復してた時代から、百花繚乱のごとく日本携帯が咲き乱れた黄金期を生きて、それらが全部Appleになぎ倒されていく歴史の中に身を置き、どうしてこうなってしまったのか、どこでどうしたら良かったのかと今も思う。しばらくはiPhoneに使われる部品日本製が多かったが、今や台湾韓国にも負けてしまった。スマホCPUを作れたのはルネサスだけでそれも一世代消滅メモリ液晶もだめになって、今やNANDとMLCCくらいか。最終製品を失った日本にもう一度半導体をと言っても虚しく響く。

出入り禁止基準について思っていること


京都繁華街中京区東山区)で飲食業に携わってきた。もう二十年以上になる。独立してから居酒屋をやっていた。

ワンピースがあるだろう。漫画の方だ。多くのキャラクターが出てきて、麦わらのルフィメンツ(なぜか全員童貞に見える…フランキーは別だ)が色々いて、そのうち誰かとは気が合いそうな気が読者はするわけだ。そんな路線をめざしていた。多様性である

今回は自分の考えを伝えてみたいし、お客さんへの接し方の哲学についてもご教示願いたいことがある。料理の作り方や仕入れ広告宣伝とか、そういうのは自分なりの答えをもってる。が、こればっかりは答えが出ない。「嫌な客は出入り禁止にすべきか」という論題だ。

以下、うちの店でお客さんが取った問題行動+店側の対応という形で説明させてもらう。四人分ある。



一人目:壮年男性のA氏

50代ほどの男性だった。夜7時くらいにお店に来る。いつもスーツだった。小綺麗とまでは言わないけど、まあ整った感じだ。性格はおとなしいのか騒がしいのかわからない面があった。『壁』という小説に出てくるS・カルマ氏なんじゃないかと思える時もあった。

うちの店は、京都個人居酒屋標準的メニューを置いていた。豆腐とか、焼き魚とか、季節の野菜の煮つけとか、湯葉スープとか、柚子胡椒風味の鳥のから揚げなんかの、まあ京都って感じのメニューだ。みんなそれぞれ、お互いの店からメニューを盗み合っているという事情もある。俺も若い頃は祇園で修業してたけど、京都市内の飲食街はすべて巡って勉強した。「うちの店」というのも祇園の端っこにあった。先斗町河原町寄りの。

どの業界でもそうなんじゃないか週刊少年ジャンプだってそうだろう。漫画家同士、お互いに表現方法コピーし合っている。半年以内で打ち切りになる漫画でもそうだし、鬼滅の刃みたいな大傑作でも変わらない(○○の呼吸はジョジョの波紋をリスペクトしてる)。

京都飲食業でもそうだ。同業のお店に一般客として出入りし、美味しそうなのを見つけたら、調理法をこっそり見て、自分の店でも同じようなもの提供する。

うちの店では、とあるサービスがあった。お客が女の子店員飲み物を出すと、暇な時間限定で話相手になってくれるのだ。A氏は、いつも地元高校に通っている女子店員ウーロン茶(400円。お客は2杯目から200円)や、イチゴミルク(500円)をごちそうしていた。それで、15~20分程度のお喋りに興じるのだ。そういうサービスが確かにあって、それを目当てに来るお客さんが何人もいた。40代過ぎのリーマンが多かったかな。

彼らは、女子高生や女子大生に限らず、自分の好みの子がいたら「一杯飲んでいいぞ」と声をかける。お気に入り店員飲み物をやり、わずかな時間の楽しみに興じる。

それで、店としては売上が立ち、女の子は注文金額の50%のバックがもらえて、お客さんも喜ぶというわけだ(損して得取れ)。だがある時だったか、猛者の女の子がいて、なんと誕生日シャンパンを奢ってもらっていた。当店の一番安いシャンパンは二万円だったので、一万円儲けたことになる。いやぁ、あれには参ったね……(以後、一万円超の場合は25%バックに変更した)。

そんなある日だった。A氏が行動に出た。帰り際に、ドリンクを奢った女子高生に連絡先を聞いて、食事約束をしようとしたのだ。女子店員は、「え~」といった表情でケータイを取り出していた。すぐさま俺が止めに入って、「お客さん。困ります」とひと睨みすると、「あんたの方がいけんで。こっちの自由やん」とアレな発言をしていた。

この人には二面性があった。このお店に居る時と、それ以外の社会とで違う顔をしていた。女の子には、「オレね、自分名前がわからなくなることがあるんだ」とか、「世界の果てに行ったみたいなあ。世界の果てってどこかわかる?」とか「このグラスと君のグラスが、この間がね、オレとあなたの心の距離」など意味不明なことを喋っていた。

ある日、同じ会社の仲間数人と一緒にお店に来たことがあるが、まるで別人だった。大人しくって何も喋らない。黙々と飲み食いしている。女子店員が話に行っても変わりなしだ。借りてきた猫みたいだ。

かつて、A氏の「世界の果てはどこだろう?」という質問に対して、地元高校に通ってる女子店員(※上で誘われた子)が、「うちの店も世界の果てのひとつですよ。地球は丸いんですよ」と答えたことがあった。でも、その子に話しかけられても黙っていたかな、確か。

で、A氏を止めに入った俺はイライラしていた。「すいませんけど、もう来ないでくれます? 次来たら、その場であんたの会社に連絡しますよ。警察は勘弁してあげますから」とタンカを切った。すると、A氏はそそくさと会計を済ませて出て行って、それ以来うちの店には来ていない。

その日、店員から感謝された。普段、俺に尊敬の念を一切抱いていないと思われる従業員ですら「マスター見直しました!」と言ってくれた。世界の果ての女子高生は、「やりすぎだったんと違います?」と言っていたが、その子未来のためには正しい行動だった。

俺の考えが変わるきっかけだった。どんなお客さんでも受け入れるのが飲食店の正道だと思っていた。面倒くさい客はいるが、それが多様性の確保に繋がるという考えをもっていた。



二人目:B女史

B女史は大学生だった。同志社女子か華頂短期大のどっちかだった気がする。

の子は、いつも夕方に来て、安い定食だけ頼んでサッと食べて帰る。週に一回ほど来ていた。「高島屋化粧品店でアルバイトしてる」と、B女史と店員が話しているのを聞いた。

ちょっと話は逸れるが、うちのお店には、居酒屋としてのメニュー以外に定食があった。安い値段で昼食を食べたい人に向けて、なんと800円でから揚げ定食弁当)を用意していた。味は当然祇園レベルだ。先斗町木屋町にある標準的な店とは比較にならない。

祇園にも、夜に高い値段で酒肴を出している居酒屋が、昼の時間帯にリーズナブル価格で昼食を提供している例がある。それでも千円超えは基本だった。それを、原価計算を積み重ねた末に800円という価格を実現させた。しかウーロン茶が一杯まで無料だ。二杯目から200円。

お昼時に、店の近くの路上弁当を売りに出すのだが、売り切れることが多かった。やはり、コスパがいいのがわかるのだろう。少なくとも毎日30食は売れていた。コスパでこの定食弁当)に勝てる可能性があるといえば、近所だと長浜ラーメンやよい軒くらいのものだった。安い店だと、松屋が近くにあったが、あの定食の味に比べればゴミクズのどちらかだった。

※ここに書いてる話は、相当昔になる。今だと祇園レベルの味で800円のから揚げ定食など不可能だ。あと、今だと道路売店とかやったらすぐに警察が来る。昔は、無許可ラーメン屋台などがよく営業していた。

経営回転寿司のやり方に倣っていた。くら寿司とかで、いくらウニ100円ほど(※当時の価格)で廻っているだろう。ああいう原価割れメニュー提供できるのは、赤だしとかタマゴとかラーメンとかうどんとかデザートとかで黒字にしているからだ。撒き餌である

祇園寿司屋で出してるようなウニだったら、木箱ひとつで当時5万円(200円/g)はした。回転寿司がどんなウニを使ってるかは知らんが、卸値だと(5~10円未満/g)といったところか。祇園で出てくるウニの握りなどは1貫3,000円以上することもある。それでもサービス価格だ。

他流であっても、いいところは積極的に盗むべきだ。から揚げ定食が800円だと原価割れ寸前なのだが、そのお客さんが夜の時間帯にも来てくれたら投資は回収できる(弁当にチラシ入れてる)。そんな未来に賭けていた。

B女史に戻ろう。上のから揚げ定食は、昼の売れ残りの一部を再利用して夕方以降の営業時間にも提供していた。クオリティが落ちてる分は600円にしていた。そして、彼女はその定食しか注文しなかった。夜に来てくれるわけじゃなし、お酒を頼むわけじゃなし、友達と一緒に来るわけでもない。30分くらい居て、女子店員イケメン大学生店員と軽くお喋りをしてアルバイトに出かけていく。

彼氏同志社)と一緒に来たことは何度かあったが、なんと、二人でひとつから揚げ定食シェアしていた。一緒に食べていたのだ。ひとつ定食を。仲睦まじく。電線に留っているツバメカップルみたいだった。

ここまでは別にいい。から揚げ定食投資なんだから

B女史は、ほかの男性から不評だった。うちの店はコの字のカウンターだが、そんなに広いわけじゃない。常連同士、話をするのが基本だ。

B女史の近くの席になった男性客が話を振ることがあったのだが、B女史はいつも愛想がなかった。せめて演技くらいすればいいのに。ストレートに「気分が悪いです」とか「今話したくないです」とか、人が不快になる言葉を発していた。

このまま社会人になれば通用しないだろう。せめて愛想はよくするべきだ。ジェンダーとか多様性とか言われているけれども、保守寄りの価値観大事にすべきだ。人間本来的な感情に根差しているのだから。B女史は、せめて社会関係を保てる程度の『優しい嘘』はつくべきだった。

それである時、とある男性客のおじさんがB女史を叱ることがあった。「あんた、もう少し考えて行動しいや。いけんで。もっと仲ようせんと。就職しても通用せんで」だったかな。俺もそのとおりだと思い、フテ腐れているB女史をやんわりと宥めた。

すると、「だったら、もっとおいしい店を紹介してもらっていいです?」(※京都だと、いいです?↑とイントネーションが上がる)と、人を舐めくさった態度を取るので、俺も頭にきてしまった。

「前から思ってたけど、このお店は君には合ってないみたいや。もう、今日で来るの終わりにしとき

と言ったら、B女史が席を立って会計をしようとした。すると、近くに座っていた若手社会人の常連さんが、「○○さんだっけ。あなた、まだほとんど食べとらんやん。俺も注文しとらんし、よかったらいい店教えてやろか。どうする、まだ時間ある?」と提案をして、それでB女史も同意して、二人で一緒にお店を出て行って、それから彼女が店に来ることはなかった。



三人目:C氏

さっきの若手社会人だ。当時30代前半だったが、人間ができていた。相応の男前で、体格もあった。すでに遠方に異動しているので言わせてもらうと、日本銀行職員だった。ほかの常連さんには内緒にしていたが。会社名を聞かれると、彼はやんわりと『優しい嘘』をついていた。

ちなみに、後で聞いたところによると……彼がB女史を連れて行ったのは、京都で一番予約が取りにくいとされる伝説居酒屋だった。グーグルマップに載っている。高島屋からも近い。C氏は、お店の扉を開けて、「今日入れますか」と店主に声をかけたところ、予約客がキャンセルしており入ることができたらしい。

だが、B女史の財布には非常に厳しい金額だった。C氏が「千円払ってくれる? 好きなだけ食べていいから」と言うと、B女史は本当に好きなだけ食べたらしく……C氏によると、その時に連絡先を交換して、またおいしい店を紹介する約束を取り付けたらしい。それで、その後はと言うと……これはまた別のお話、機会がある時に話すことにしよう。

ここだけの話、『伝説居酒屋』(食堂 おがわ)はバッファーを作っている。全席が予約されてるわけじゃなく、店主の気分次第では、予約なしで入れてくれることもある。後は、偉い人が来店した時くらいか体感だと、5回に1回くらいは予約なしでも入れる。

とにかく、C氏は人格レベルが高かった。若い店員にも敬語だし、いろいろ注文するし、お店の周年記念にはシャンパンを入れてくれるし、テーブルは綺麗にして帰るし、飲み方も綺麗だ。

なぜC氏をここで挙げるかというと、彼もまたやってくれたのだ。どんな人間にも欠点はある。C氏の欠点は、完璧すぎることだ。完璧すぎて、ほかの仏―の人間からすると予想できない方向でトラブルを起こす。

事例①

女子店員がC氏に近づきすぎる。彼はモテた。見た目はそれなりで、清潔感があって、人当たりがよくて、自信に満ちた振る舞いをしていた。彼からいい扱いを受けたい女子店員人間関係が悪くなった。

事例②

正義感が強く、営業中のトラブルに首を突っ込む。警察を呼びたくないのに彼が呼んでしまって、えらいことになった。特に暴力団半グレ関係。体を張ってくれるのはいいが、清濁を併せ呑んでほしかった。

みかじめ料とか何とか言われても、払わねばならないお金だってある。俺に言わせれば、あれは税金一種だ。あれで飲み屋街の平和が守られている面は確実にある。あの辺りの多くのお店は、おしぼり台や観葉植物リース料として支払っている。たまに半端なやくざ者(半グレに近い)が現金要求してお縄につく。

事例③

4人目に譲る

ある時、C氏にやんわりと警告をした。うちの店の課題に首を突っ込まないでほしいと。うちの店の課題自分解決する、と。行政に頼るのは最後の手段なのだと。

それからスッタモンダあって、彼はお店に来なくなった。後は風の噂で聞く程度だ。残念な結果になったが致し方ない。いいお客さんだったけど、これも運命だ。




四人目:D氏

時系列的には、C氏がまだ来ていた頃だ。

D氏は、障害者だった。軽度の知的障害で、あまりモノを喋ることができず、メシは食えるが手がおぼつかない。テーブルの上は汚い。いつも母親が一緒に来ていた。

来客を断る意思はなかった。当然だ、お客さんなんだから。いつだったか、彼が口からご飯を吐き出す行為マネしていた大学生立命館だったと思う)には厳しく注意をした。「客を馬鹿にするな。お前、今度やったらクビにするで」と明言している。

が、お客さん同士のトラブルになると話は別だ。ある日の午後八時頃だったか、その母親とD氏が米類を食べていたところ、ゲフンゲフンとD氏がせき込んで、口の中から飛んだ米粒が別のお客さんグループビールジョッキに入った。幸い、店員が気が付いてすぐに替えのビールを用意した。ほぼ満席で席移動は難しかった。

その日、同じようなことが何度も起きた。何度も何度も、D氏の口から飛び出したモノが、隣のお客さんのスペースに飛んで行った。ついにキレたお客の一人が、「おいあんた! そこのぎこちない感じの人(※京都人なりの婉曲表現)、家に帰してくれへんか!!」と母親に怒鳴った。

母親は「すいません」と謝っていたが、彼が譲る様子はない。「その人は外に出したらあかんのと違うんか。なにしとん。帰ってくれん?」と捲し立てる。

母親は何度も謝っていた。その間も、何がしか物体がお客さんの方に飛んでいく。彼はさらにカッカして、これはいかんとなったところで、離れたところで呑んでいたC氏がこちらを見た。

俺はもう、余計なことは勘弁願いたかった。母親に向かって「お代はいいんで。今日は帰ってください」と伝えた。すると「すいません。堪忍してください。今日誕生日なんです」と返ってきたが、今度はもっと強く「帰ってほしい」と伝えた。

すると、C氏が怒った様子でこっちに来たのだ。「増田さん。その対応で本当にいいんですか。自分がこの人の隣に行きますよ。五人くらいスライドすればいいでしょ」と。

俺はキレた。「お店のことに口を出さないでって言ったでしょ。俺が責任とりまから」と端的に返すと、C氏は憮然とした様子で自分の席に戻った。

母親と息子には、その場で帰ってもらった。お母さんには「ほかのお客さんのこともあります。お店が空いている時でないと今後のご利用は難しいです」と伝えて、お店の入り口まで案内した。

翌々日だった。京都市役所の福祉部署から架電があった。母子のことで、差別に該当するおそれがあるとの内容だった。C氏か、D氏の母親京都市に連絡したのだろう。俺はこういう卑劣行為が許せない。どうしてこんな惨いことができるのだろうか。「障害理由差別をすることは~」と電話口で喋る京都市の職員に怒号を発した。

「ええか、こっちは商売でやっとんのやぞ。お前らは公務員やんけ。民間商売に口はさむなや。こっちがどんだけの思いで商売やっとんかわからんやろ。障害者も受け入れんといかんのくらいわかっとる」

みたいなことを言った。すると、福祉部署職員は変わらず「差別はだめ」とオウムのように繰り返すだけだった。「公務員は楽でいい。頭の中が非現実で、お花畑で、お金暮らしことなんか考えなくてもやっていけるんだからな。羨ましい」そう感じていた。

「それは行政指導やろ。従うかどうか選べるんやろ。ウチは従いません。ええな、おい、おーーーーい!! わかったな」という具合で、受話器をガチャンと置いた。

これが商売世界だ。勝った負けたの世界では、強く、強く自分意思を強く主張できないと食っていけない。公務員サラリーマンじゃないのだ。



結局、お客に接することの哲学というか、そういうのは何が正解なのだろう。どういう場合に出入り禁止にすべきなのか。未だに答えが出ない。

ところで、『うちの店』は、約二年前に閉店した。コロナウイルスに勝てなかった。飲食組合から休業要請の通知があって、当初は休んでいたが、行政対応が誤っていると気が付いて通常営業に切り替えた。うち以外にも、筋違いなことをしている行政には従わないという店舗がいくつかあった。

が、コロナウイルスは強すぎた。店を閉めざるを得ないほどに経営が追い込まれた。ほかにも、グーグルマップ食べログ口コミにあることないこと書くような卑劣な奴らがいた。自分正義とでも思い込んでいるのだろう。

今でも飲食仕事をしている。いつかまた、お金を貯めて店をやるのが目標だ。あの店は居抜き店舗で残してある。幸い、まだ借主は現れていない。いつかまた、店を開いてみせる。

今回は、そんな決意を新たにするために増田投稿した。どんなお客を断るべきか、受け入れるべきか。何かアドバイスがあればいただけると幸いです。

anond:20231129151932

いやいやいや話をスライドすな

現代の下層若者が薬物やらないなんて言ってないだろ

シンナーはないよねと言ってるんだろ

 

あと脱法ドラッグなんて今は言わない

それに年齢について否定しないってことはあんたやっぱり結構な歳だな

2023-11-28

子供の頃から死ぬのは苦しそうだという恐怖がパラノイアのようにまとわりついていた。ある時気絶を経験してみて、死なんて案外こんなものなのかもしれないと思った。睡眠は死のイトコとはよく言ったものだ。身体的な苦痛に対する恐怖は薄れていった。恐怖は抽象的なものスライドしていった。

「無」になることが怖くなった。

意識の断絶。経験したことのない状態体験した者は一人残らず口が聞けなくなっている。これはどういう思考過程で恐怖が薄れたのか忘れてしまった。どう足掻いた所で避けようもない。火の鳥吸血鬼はきっと存在しない。ならば不安になったって仕方がない。考えるのをやめることでいつしか怖くなくなっていたのかもしれない。

存在を忘れられることが怖くなった。

無になっても、他人を介して自分存在を繋ぐことが出来るのではないかと考えるようになった。それが成し遂げられないことへの不安だった。

大抵の人がそうであるように、自分という存在もまた忘れられれば初めから無かったかのようになってしまう。結婚して子供を残せば自分存在を残せるかもしれない。でも4代5代も先になれば、誰も読みやしない墓石に刻まれ文字だけの存在になるだけだ。遺伝子を残した所で、それが自分アイデンティティを為すものだとはどうしても思えなかった。それはただのモノだ。いつか朽ち果てる墓の中の骨と変わらない。そこに自分の考えや言葉性格は何もない。そもそも血が途中で絶えない保証なんてどこにもない。

思春期自己実現への焦燥感や全能感と合流して、偉大な存在になれば望みは果たされるだろうと思うようになった。教科書に乗るような存在になれば永遠になれる。誰も自分を忘れない。

しか自分が大それた存在ではない事を薄々受け入れていく内に、この望みも薄れていった。ビートルズだって数百年先も人々の記憶に残っている保証はない。バッハだってカエサルだって仏陀だって、いつかは忘れられるかもしれない。

生きている間だけ存在し続けるのも、死後せいぜい数十年、数百年、数千年の間人々の記憶に留まるのも、永遠に比べたら誤差のようなものだ。それに身も蓋もない話をすれば地球だってどうせいつかは爆発するらしい。他人を介した方法でも、永遠存在になろうとすることは諦めた。今思えば、地球がなくなっても宇宙へ住処を広げない可能性がないとも言い切れないけれど。

これらはすべて理屈問題というよりは納得、受容の問題だった。

後悔を抱いて死ぬことが怖くなった。今に至るまでこれだけが怖い。

死は避けようもないが、しかしたった一度きりの生があるのもまた事実だ。

生きる意味などどこまで考えても見つからなかった。理詰めで問うていけばどれもこれも絶対的地盤などなく、あやふやものの上に成り立っていた。宗教というものの意義が肌感覚理解できた。しか自分なりに意義を見出す事は出来るはずだ。ならば心からの納得が欲しい。

死ぬ間際に人生こんなんで良かったのかという思いが頭を過る事に対して、強迫的な焦燥感を抱くようになった。

しかし肝心の焦燥感をぶつける先が見つからない。

映画を見漁っても、友達付き合いをしていても、方々を歩き回ってみても、楽器を弾いてみても、曲を書いてみても、心からの納得は得られない。

それを振り切れるほどの情熱もないままに、存在不条理なんていう目を向けてはいけないもの凝視し続けて頭がおかしくなってしまった。

意味などない生活を積み重ねる事が苦しくなった。気が滅入る。

情熱を持って生きるか、それが出来ないならせめて日々の気晴らしにかまけて人間存在不条理など忘れ去ってしまった方がいい。

くだらない考えもほどほどに目の前の生活淡々と送る。それが地に足のついた人生であり、そういうバランス感を模索していく事が人生の中で生き甲斐を見逃さないための誠実な生き方というものなのかもしれない。

そう頭で思っていても、情熱の燃料にもならない湿った焦燥感がどうしても捨てられず、後生大事に抱えている。これを捨てたら比喩ではなく石ころと同じ存在になってしまうように思えてならない。石ころと同じ存在になってしまうのはとても恐ろしい。仏教はそれを肯定しているらしいが、何をやっても納得してくれない心がそれだけは強く否定している。

思えば初めからそうだったのかもしれない。子供の頃から普通に楽しく生きていれば、生きている実感を見逃さなければ死になんて目も向かなかったかもしれない。鬱病の素質があっただけかもしれない。

世の中の人間は意識的にでも無意識にでもこんな事は踏まえた上で、バランスよく自分なりの賢い生き方をしているのだろうか。まあ他人のことはどうだっていい。

といったような考えに10代の大半と20代の少しを費やしたが、同じような内容が大学哲学系の講義でサラッと語られていた。

読書をしていればこんな考えに時間を浪費する事もなかった。車輪の再発明だ。無学の悲劇だ、と笑われそうだが、自分はそう思わない。そこには単に理屈だけではない実感が乗っている。価値観DIYのようなものだ。拙くとも自分で辿り着いた事に意義がある。今更のポジショントークなのかもしれないし、それのせいでバカみたいに勝手に苦しんでるんですけど。

2023-11-26

今日3階から落ちたけど無傷だった

奇跡ってあるんだな。

3階の腰窓を跨って掃除してたのよ。

横長の窓で手が届かなくてよく伸ばして拭いてたらバランス崩して本当にスルって落ちた。

外壁に沿ってクルって一回転して、そのまま外壁を身体スライドして両足からドンと着地した。

たぶん尻から落ちて背中打ってたら背骨折ってたし、頭から行ってたら死んでたと思う。

どちらにしろ死んだ可能性はかなり高かった。

外壁に擦った腕と足に少し擦り傷が出来たくらいで何故か平気。

九死に一生を得たとはまさにこれ。

腰窓、マジで危ないわ。

もう2度と掃除しない。

2023-11-25

女。40になり、外を歩く時少し安心できるようになった。男が声をかけてくることが減ったから。比喩でなく息がしやすいと感じる。

若い女性にスライドしているだけで、女に声を掛ける男が減ったわけではない。そう思うと苦しいが、自分としては本当に楽になった。

男は若いからこれぐらい自由感覚で出歩けるのかもしれない。そうなら羨ましい。

2023-11-23

まじびびるわ・・・

まどまぎシリーズエロ需要があるってことに・・・

完全無生物とかのほうがまだ理解できる・・・

つーかうめ絵のエロ自体自分の好みじゃねえってだけだな

ひだまりエロとかまじで興味ねえもん

まあ女からしたら男がプリキュアでしこること自体が信じられないとかおじゃまじょでしこることが信じられないとかになるんだろうな

スライドしちまえばよおおおおおおおおおおおお

2023-11-22

日本エンジニア誤用)って意識高い人多いけど業界

いつまで経ってもアレだよなって思わない?はてなブックマークみてるとIT関係の人の意識高いスライドが人気のエントリーかに出てくるから斜め読みしてるとさ、なんか良い話風なタイトルのやつとか出てくるじゃん。

それがもし本当にその通りに実践されて実現されてるならさぞかしビジネスはうまく行ってるんでしょうなって思うけど、実際にはそんな話は聞かないし、いくらエモいことを言ったところで他の人はどう思ってるんでしょうかねって感じがする。だいたいこの業界自称技術顧問が多すぎるんよ。技術顧問って何してる人なんですかね?

業界の皆さんはいろいろ発表されてますが、小さな組織の小さな出来事を大きな声で宣伝してるだけなんじゃねーかなって、そう思うとまぁこの世は言ったもん勝ちっすね

2023-11-20

anond:20231120105858

メンヘラって治らないんだぞ

傷つける対象自分の腕からネット上の人物自分の子どもへとスライドさせていくだけ

2023-11-16

天下り銭ゲバ団体医学生から金を巻き上げている件

全国の医学科生が4年生ないし5年生から病棟での臨床実習を行うには、その前に行われるCBT・OSCEという試験合格する必要があります

薬学部獣医学部などでも行われますし、その他でもご存知の方もおられるでしょうか。歯学部に関しては、医学部と同じ機構医療大学間共用試験実施評価機構 ・CATOとも)が運営して、医学部と同様に行われますね。

この医学部のCBT・OSCEにおいて、受験料の扱いが根拠希薄かつ不当なのです。CBT・OSCEと言うと長いので、以下共用試験と略します。

まず、受験料について説明すると、2023年から医学科の共用試験公的化されたことにともない、従来の¥25000から¥33000へと値上げされました。内容は不透明ですが、厳正な実施のためには必要な値上げだと思われます。CBTとOSCEで合わせて¥33000です。

そして1度目の試験で残念ながら不合格だった学生には再試験の機会が与えられます。CBTとOSCEは異なる能力を測る試験ですから、別々に合否が出ます。遅れながらここで説明すると、CBTでは「知識」が、OSCEでは「態度」「技能」が問われます。前者は筆記試験後者実技試験と捉えてもらって問題ありません。

ここで、CBTのみ再試験を受ける場合OSCEのみ再試験を受ける場合にも、両者は合わせて一つの試験ですから という、漠然とした根拠によって¥33000全てが徴収されます。(https://www.cato.or.jp/cms/file.php?kubun=notice&id=3

薬学部の共用試験受験料は以下のとおりです。

試験:¥24000

試験:CBT、OSCEそれぞれにつき¥12000

https://www.phcat.or.jp/exam/faq/

「合わせて一つの試験」だから、という理由で、全ての試験料を徴収することに合理性がないのは明らかです。

たった数万で?と思うかもしれません。しかし、厚生労働省資料の通り、医学生は「学外での貴重な自学・自習時間が、アルバイ トなどに浪費され」ないように勉学に励む必要があり、普段から非常に苦しい思いをしています

https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000932162.pdf

10枚目のスライド参照)

薬学部の共用試験と同様な柔軟な対応を、医学系・歯学系共用試験にも強く望みます

合わせて一つの試験から、というのは理由になっていません。

学生から「CBTが好成績ならOSCEが僅かに基準点に達しない程度の成績でも、合わせて一つの試験なのだから合格にしてくだざい」と言われて、否定できるのでしょうか?

これは私の考えですが、そもそもCBTとOSCEは完全に別々の試験で、2つとも合格しないと臨床実習生資格が得られない、という基準のみが一つの試験ではないでしょうか?合わせて一つの試験、という主張自体に些か無理があるように思われます

2023-11-14

中学生ワイ「将来のため高校受験勉強するか」

高校生ワイ「将来のため大学受験勉強するか」

大学生ワイ「将来のため卒業資格試験勉強するか」

新人社員ワイ「将来のため一人前に仕事できるよう勉強するか」

中堅社員ワイ「将来のため上位資格勉強するか」

現在ワイ「いつまで将来のために我慢しながら生きなきゃあかんのや、いつ貯金を回収すりゃええんや…」

子供のため”にスライドできればよかったんやが…

anond:20231114084126

もうちょっと年齢が上にスライドすると加藤茶みたいに財産とか知名度目当てって今度は女が批判されるから歳の差ってめんどくさそうだね

anond:20231113111323

すまん。

「ツイ主の主張はペーパーテスト能力クリエティティ相関性肯定してる」ってのは理解してるんですが、ツイ主が引用してる元論文そもそも早熟児の進路に関する記事なので、ペーパーテスト能力がとクリエティティと相関するって話にはならんのでは・・・って疑問が最初に書いてるやつで。

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元増田はいきなり途中で親などの環境の有利さとペーパーテスト相関関係についての論文の話にスライドしていて」ってのは、ツイ主の「実家の太さはテストの点数には多少関係あるものの、それ以外の要因(適正など)の方が大きい」に対する反応っす。それぞれのツイに対する疑問点を分けて書いたつもりだったんだけど、長い文章書く訓練ができてないのでめっちゃわかりづらいかも。すまん!

2023-11-11

今日とあるセミナーうけたけど

女性の発表者(公的機関関係のけっこうえらめの人)の顔が、はXちゅうさんに似てて二度見しちゃったわ

まあ顔はどうでもよくて、そいつパワポスライドショーで発表したんだけど、

スライドショー流れるのが早すぎるから、早くめくれすぎちゃった場合は戻してちょうどいいようにコントロールしてほしい」

って運営の人に土壇場でお願いしてて、

えっ・・・自分が話すんだから自分コントロールすればよくない?って思って正直ドン引きした

早すぎるとかしらんがな練習とか資料修正とかなんもしとらんのかよと・・

スライドショースピード調整とか10秒でできるだろ・・・

んで結局、わりと立場が上っぽそうなおじさんが、わたわたしながら、ちっちぇえリモコンみたいなやつでステージのはしっこでコントロールしてた

それでも話とスライドの合わせ方わかんなかったりちょっとぼーっとしてたりで忘れてたりしてて、

そのつど 「戻ってもらっていいですか」とか声かけてたりして、

いやそれ自分コントロールすりゃ問題ねーだろ・・・て思ったし・・

リモコンなくてパソコンのまえにはりついてコントロールしないといけなかったのを避けたかった、とかならわかるけど今回リモコンあったからね?

もともと顔で若干先入観はあったけど、そこから想像するようなちょっとこっちが引いちゃうような振る舞いをする女だったんだなって思ってまーじでドン引きした

普段ナチュラルにあごで部下を扱ってそうな横柄そうな感じっつーか・・・

それがさも当然かのようにいってたりしてて・・・

セミナー自分に割り当てられた時間も4分くらいオーバーしてたし・・・

なんかもういろいろドン引きさせられたわ

2023-11-08

anond:20231107104749

老人に負担させるために消費税っていう人は毎度のごとく年金から所得税が取られることも医療介護消費税課税なのも物価スライド消費税引き上げ分年金が増えることはスルーなんだよなあ

医療介護以外の商品サービスを老人が現役世代より多く消費して死ぬまでに貯蓄を使い切るという現実離れした前提でしか成り立たない話

教条的消費税増税反対派ではないが最低限以下4つをやってから引き上げてほしいもんだが

医療介護への消費税課税(消費税分は全額自己負担)

年金控除の廃止

年金物価スライドから消費税引き上げ分を除外

所得税最高税率昭和の頃の水準に戻す

2023-11-06

anond:20231106093134

年金にも所得税課税されてる定期

あと年金物価スライド消費税も含まれてるので消費税上がった分に応じて年金支給額も増える

しかも現役世代より高齢者が消費してる項目は医療介護くらいしかないがこれも消費税課税なので上げても現役世代負担のほうが増える

2023-10-31

台所シーリングライトリモコンが効かなくなったんで

開けて直したわ

リモコンの型番はRE0201

点灯させることはできても消灯、明度上下ボタンが効かなくなっていた

側面にマイナスドライバーゴリゴリ押し付けスライドさせテコの原理で無理やり外す

妊娠女性乳首のごときシリコンの導電ゴムは全て付いていたし基盤の導電ペイントも綺麗についていた

しか

導電ゴム、導電ペイントどちらにも油のようなヌルヌルが付いていた

舞台台所、4人家族台所

霧と化した油が隙間を抜け導電部に付着したのであろう

キッチンマジックリンを吹き付けキッチンペーパーで綺麗にふき取り装着

優しくボタンを押す

ちゃんと点くし消える

それはまるで蛍のように

ホタルクス

所要時間15分

たった15分のことをなぜこれまで放置していたのか

照明用汎用リモコンを新たに買う必要などなかったではないか

万能感と共に後悔の念が頭を突き抜けていく

優しくボタンを押す

点くし消える

まるで蛍のように

2023-10-29

放置研究室って普通なのか

はい、配属おめでとう。じゃあ先輩の卒論と本があるから興味の有りそうなテーマを選んで2週間後にスライドで発表してね。」

「ほうほうそれは面白そうだね。で、どう進めるつもり?」

過去の先輩のスライドが共有フォルダにあるので、スライドの作り方真似して作って。2週間後発表ね。」

「で?それ新規性あるの?もっと調べてきて。」

「なにすればいいかからなくなった?そっか、じゃあテーマ選びからやり直してみようか。」

結局独学と何も変わらん。

研究者を目指すなら当たり前とかいうけど、ほんまか?学部生だぞ。

流石に過去の先輩の論文スライドがある以外に一般人と使えるリソース変わらんのは大学としてどうなの。

2023-10-28

オタク嫁が反AI思想に染まって辛いって愚痴

内容はタイトルのまんま。特定いから一部フェイクあり

当方三十代前半オタク夫、仕事システム開発関係

嫁も同年代オタク嫁、仕事オペレーター

X(旧Twitter)で趣味を通じて交流が始まり、色々あって交際して結婚、今年で四年目だ。

嫁は高校の頃か絵を描いていて同人誌も出してるクリエイター型のオタクで、俺は特に絵を描いたりしないか消費者側のオタクかな。

で、本題。嫁が去年の末頃からおかしくなって、そろそろ限界になってきたって愚痴

絵描きのはしくれの嫁にとって画像生成AI憎悪を抱く対象なのは理解できる。できるんだけど、パートナー認知が歪んでいくのを目の当たりにするのは精神的に辛い。

絵描きアカウントAI学習禁止とか生成AI反対とか書き始めた頃は絵描き界隈がそういう雰囲気になってるな~くらいの認識をしてたんだけど、

ネット上・リアルを問わず言動過激化していく経過を一年間かけて見せつけられるとなると、本当に辛いんだ。

認知の歪みというか、エコーチェンバーというか、なんというか…。とにかく、嫁がおかしくなった。

結婚した頃のネット上の発言内容が「オタクネタ日常ネタ仕事愚痴」=「5:3:2」くらいだとすると、

最近は「AIへの愚痴:その他」=「5:1」って感じだ。しかもそのツイートの時刻からすると、仕事中にスマホポチポチして熱心に活動してるっぽいんだ。仕事しろよ。

嫁のオタク垢を見るとAI利用者不祥事情報拡散botみたいになってた時はちょっと引いたんだよ。

怖くて深入りはしてないけど、裏垢愚痴垢も複数使って、表では書けないような事も書き込んでるっぽい。ラブひな作者やら、先日不倫ニュースになった人やら、ああい議員への憎悪も酷かった。

頼むから誹謗中傷殺害予告だけはしないでくれよと戦々恐々だ。ある日開示請求通った通知が我が家に届いたりしたらどうしようって思ってる。

今年になってから発言過激化が酷いなと思って話をしたのだけど、被害者バイアスが酷くてまともに話が出来なくてつらかった。

嫁が「AI人権侵害なんだよ!」と主張した時に「……基本的人権の何権なんだ?」とスマホ日本国憲法検索しながら聞いた時は「憲法じゃなくて人権!」と叫んだり、

AI絵師はすぐ犯罪者になる。今投稿してるAI絵師は全員逮捕される」と主張した時に「法律には不遡及原則があって…」と説明をしても聞き入れなかったり、

AI絵には著作権が無い」「AI絵を鉛筆トレースしてアナログ偽造する裏切者がいる」の主張をされたときに俺が「著作権が無いイラストトレースしても著作権違反じゃなくね? 誰が著作権違反で訴えるんだ?」と聞いたらヒステリを起こしたり、

スレイヤーズの人の絵にAI使用疑惑が出た時に「推定無罪原則」やら「疑わしきは被告人利益に」を説明しても聞き入れず決めつけたり、

と、まあ、そんな具合だ。

嫁よ、嫁よ。お前が反AIインフルエンサーアカウントを熱心にリポストするのは自由だと思う。

でも、お前が熱心に信仰している反AIインフルエンサーの主張を見る時は、もう少し眉にツバをつけてから見た方が良いと思うぞ。

人には立場ってものがあって、人は自分立場を有利にするためなら脚色やごまかしや嘘を平気で混ぜるんだぞ。

俺はAI推進派も反AI派も外野から見てると、両方とも先鋭化したヤツは口汚く相手を罵る&結論ありきで主張する&間違いを指摘されても訂正謝罪しないバカタレにしか見えないんだ

というか、どちらかというと推進派の方が中央省庁の作った資料根拠法律を出してくるだけ理屈が通ってる風に見えてるんだ。

俺が仕事でそういうスライドを良く見るから、とりあえず理屈優先で考えちゃうんだ。

蚊帳の外から双方の主張を見てると俺からすると、どうも反AIインフルエンサー達の主張は「気持ち理解できるけど理屈が通ってないし法的な裏付けもない」んだ。

もちろん、AI利用者に酷いヤツがいるのもわかるんだ。分かるけど、絵描きだって酷いヤツはいるし、俺からすれば割とどっちもどっちなんだ。

それと、頼むから誹謗中傷殺害予告だけはやらないでくれよ。

弁護士さんから手紙が届いたら、俺はお前を見捨ててしまうかもしれないから……。

2023-10-26

anond:20230930191631

午前中は、授業参観ってなことで、見学した。カメラ撮影しようと思ったけど、日の光の加減でプレビュー画面がみえない。適当被写体カメラをむけてシャッターを押した。

ちゃんととらえているのかわからない。

しんどい職場に到着したら10時前。劣決定問題をなんとかして情報抽出したよって言うんで、ちょっと目を通してみたら、なんだか聞いたこともないような関数でてきて、まいった

リンゴとかみかんとかそういうので劣問題の例ないかな?そう思って、ググったら全然みつからない。しかたないので、ハードディスクの中で探索したら昔勉強したスライドがみつかった。

うそう こういうのが見たかった。

事前情報 先験情報,prior informationってのがもちろんあるはずで、なんにもないのに劣問題とこうとするのは、アホだ。汎用性のある事前情報なんてなくて、個別問題に応じて

事前○○は異なるんだろ。特殊事情ってのがあるんだろう。それを文章よんで理解する必要ある。事前○○に関してあの問題とわれわれの問題の間に共通性があれば、えるものがある。

そうでない場合は、ああそうですか?そちら方面ではそうなんですよね。ってことになる。そこでおわり。時間のある時にみてみます

anond:20231026043157

これは痴漢から足踏んだ件に論点スライドさせたファインプレーだと思うが…

結局故意でないにせよ踏んだ事で相手が不服ならそれは警察として処理しないといけない

ただ、痴漢に比べたら社会的信頼は落ちない

2023-10-19

anond:20231019012834

公務員としてのポジションを変化させたほうが早い。増田は多分「働き者」の方なのだろうが、それやめて、ちょっと使えないババアになれるように徐々にスライドして期待されないように過ごすのもありでは。信用失墜行為禁止に反しなければ、クビになるでもなし。

2023-10-18

はてブアプリくらいは左端じゃなくても左側から引き出せて欲しい

そんな端っこで表示領域スライドとかせんやろ常識的

anond:20230918174145

sds-page Twitterの話してるのにいきなりブクマカの話をしだす増田というメタ構造増田 ネット コミュニケーション

2023/09/19

hellshake

hellshake 元増田全然ブクマカの話してないのにブクマカdisスライドするのも同レベルじゃないの?

2023/09/19

え、元増田の内容の焦点が“twitterユーザー”だと本気で思ってるってこと…?

まりにも苦しくね?

2023-10-14

弱者男性だった頃の自分へ 2/2


昨日書いたやつ 1/2

https://anond.hatelabo.jp/20231013202510

それから一年が経った。N子と交際していることは職場には内緒にしていた。

そんな折、コロナ禍がちょっと静まってたのもあって、あの時と同じ場所新人歓迎のバーベキューが行われることになった。

当時はまだ青年部長だったので、手伝いとして参加することにした。T君も一緒だ。去年と同じくらいの人数が集まって、みんなでワイワイと騒いだ。

バーベキューが終わりかける頃だったか飲み会の場だったガレージの出口あたりで、T君がN子とお喋りしていた。去年、N子と一緒に話をした炭火焼きのスペースだった。

N子はその時、大きなごみ袋をふたつ持ち上げて所定の場所に捨てに行こうとした。すると「一緒に行くよ」と、おそらくは勇気を出してT君が提案した。

周りの人は、「いい雰囲気だね」とばかり2人を推していた。ごみ捨て場に行くまでの相応の距離や、ごみの量や、その他の状況からし恋愛イベント以外の何物でもなかった。

N子は、ちょっと振り返って自分の方を見た。目が合うと、体をちょっと振ってモジモジしていた。T君が「重いよ。一緒に行こう」と言ってN子のごみ袋を取ろうとした。でも、N子はやっぱりもどかしい様子で、こっちの方をまた見た。

「N子さん。行こ!」と、T君が片手でN子の手首に軽く触れたところで、俺はすぐ近くに寄っていた。T君の方を向いた。それで彼の顔をまっすぐに見て、「付き合ってるんだ」とシンプルに言った。

T君は、ちょっとつの悪い顔になって、ほかの皆は「えー……」みたいなボソッとした声が上がって、居たたまれない空気ガレージを覆った。

T君が「そっか。ごめんごめん。今後はさ、N子ちゃんと最低限しかさないようにするから。本当ごめん」ってN子に言うと、彼女はこっちを振り返った。何か言いたげな視線で何秒かだけ見つめると、1人でゴミ袋×2を持って、ガレージ下の国道際にあるごみ捨て場まで歩いて行った。

秋頃だった。付き合って1年が過ぎていて、その年も一緒に紅葉を見に行った。今回は遠方まで足を運んだ。渓谷の奥には、紅葉が植えてある観光スポットがあって、そこら中に植えてある紅葉を見て回ったり、釣り堀で川魚を釣ったり、そのまま直火で焼いたマスを齧ったり、休憩所でゆったりとした時間を過ごした。これが普通カップルなんだなって思えた。

N子の存在が馴染んでいた。1年前までは恋愛ことなんて考えず、ただただ自分の好きなことをしていた。おいしい食材飲料Amazonで箱買いしたり、剣道稽古に励んだり、たまにネトゲ友達新宿とかでオフをしたり、学生時代の延長みたいな生活環だった。

彼女ができて何か変わったかといわれたら、別にそんなに変わってないんだけど、心の隅っこに何か大事ものが芽生えたような、そんな気持ちだった。



N子の最後のエピになるが、12月の初め頃だった。

日曜日会社に出て、取引先に提出する書類作りに励んでいた。自分だけじゃなく、ほかの部署の人もちらほら出勤していた。

自分部署は2階にあって、トイレに行くのに1階に下りていくのだが、そこにT君がいるのを見つけた。彼は経営企画部署で働いている。あとは先輩方が何人かいて、一緒に何か打ち合わせをしながら皆でパソコンを叩いていた(追記キーボードの意)。

会社玄関の方には事務員もいた。A3書類を2人で読み合わせて何かのシステム数字を入れてる様子だった。すると、トイレから出てきた社長とばったり会って、「増田はいつも熱心だね。残業手当絶対につけるんだよ」と言ってくれたっけ。

夕方になって、消防組合に出す報告書を作る仕事も片付いたし、さあ帰ろうかとなった。パソコンの電源を落として、空調や給湯室やプリンタオンオフも確かめて、会社玄関に向かうと誰もいなかった。ゼロだ。

玄関口のスライドタイプ自動ドアは閉まっていて、別の入り口から出るしかなかった。工場の方を経由して出ていく道になる。ちょっと暗いのが気になる程度だった。

そっちの方に回り道をして、廊下をひたすら進んでいって、スチール製のごく一般的引き戸を開けて駐車場に出ようとした時、電気設備点検場の方から物音がした。金属片がカンカンと地面を転がるような音がした。

嫌な予感はしたのだが、そっちの方におそるおそる歩いていくと、工場内にある点検場の視界が開けた。太陽が落ちていない。まだちょっと明るい。



N子と、T君がそこにいた。点検場の端っこの天窓の真下入口の柱の影から見てた。

何か話してる様子だった。全然聞こえない。様子を伺うと、N子がちょっと緊張した様子で体を左右に振っていた。

すると、T君がN子の肩を掴んで、寄って行って、ゆっくりと顔を近づけていって、N子にキスをした。N子はちょっと強張っていて、体を後ろに仰け反らせたけど、何秒か経つと、T君の肩に手を触れるようにして口づけに応えた。

2人の唇がくっついて離れて、くっついて離れてを繰り返していた。時間にして20秒ほどだろうか。そうして唇を押し合っていると、ふたり距離が密着して、激しい動きで唇を重ねるようになった。

俺は童貞ではない。わかる。ディープキスだ。どちらともなく舌を入れあって、ずるずると唇を舐め合って、ちょっと止まって、するとN子がだらしない様子で舌をT君のそれの上に乗せていて、互いに見つめ合っていた。それから舌をヘビみたいにチロチロと動かして、舐めずっていた。

この時、変な感覚が襲ってきて、自分が履いているジーンズの股の方を見た。弾けていた。いや違う。弾けている最中だった。それを確かめると、もう2人を見る気は失せていた。そう感じたかっただけかもしれないが。

音を立てないように点検場を後にした。廊下を進んでいく時も心臓バクバクしていた。

工場から会社の外に出て、玄関口の前に停めてある自分の車に乗って、エンジンをかけようとしたところで、右手が震えていることに気が付いた。視界が暗いと感じた。外は明るいのに。頭が痛いはずなのに痛くない、そういう変な感覚。脳に血が回らなくなって、急にボウっとなった。頭がもやもやしていた。やはり心臓バクバクいっている。

このまま車で発進したらどうなるのだろう。信号の色を間違えたりするのだろうか。エンジンをかけたものの、じっと運転席に座っていた。

「このままじゃ危険だ、車から降りた方がいいんじゃないか?」と思い、エンジンを切って車外に出た。すると、会社玄関のところで2人分の姿が見えた。誰であるかすぐにわかった。N子とT君だ。

互いの手がほぼ接近した状態で、2人が玄関から出てくるのに合わせて――俺は近づいて行って、2人の目の前に立ち塞がるようにして立った。N子がびくっとした様子で後ろに下がった。

冷静だったのを憶えてる。T君をにらみつけると、「言い訳は聞かない。なんでこんなことしたんや?」と、単刀直入に聞いた。すると、だんまりを決めたのではないかと思える様子で顔を背けた。いや、何か喋っていたかもしれない。N子にも聞いてみた。「さっき見てたんだ。T君が好きなんだな」と聞いたら、「ごめんなさい」とだけ返ってきた。

この時、もやもやとした感じがスッと消えた。

T君の方に寄っていった。彼が身構えるのと、正面からの蹴りが至近距離で腹に命中して、T君が真後ろに倒れたのは同時だった。すぐに起き上がろうとするT君の脇腹を、真横から蹴っ飛ばして、正面で馬乗りになった。

「ブチ殺すからな。覚悟しとけよ。おい、わかっとんか、返事せえ!!」

遺伝子が殺せと命令していた。「すいません、すいません」と叫ぶT君の顔や胸や頭を何十回も殴った後、両手で髪の毛を掴んで、玄関床のレンガブロックに頭を何度も打ちつけた。N子が叫んでいたが、よく覚えていない。

やがて、ほかの社員数人が飛んできて自分を取り押さえた。それで、いったん距離が離れると、「どうしてこんなことを?」という声が後ろから聞こえた。振り返ってよく見ると社長だった。

「すいません! 暴力振るって。すいません……」と、社長の前に行って謝った。直後に左を向くと、T君が尻もちをついた姿勢うずくまっていて、N子が心配そうに肩を撫でていた。

俺はほかの社員を振りほどいて走り出した。そのままT君の髪の毛を両手で掴んで、「お前が馬鹿にしたんだろうが!!」と叫んで髪を引き千切った。それでまた、ほかの社員に羽交い絞めにされた。理性では諦めていたけど感情が止まらなかった。大声で何度も叫んで、周りが制して、叫んで、制してを繰り返した。そうこうしているうち、ようやく感情が収まった。怒りの心が眠りについた。

もう動けなかった。社長が、「事情があるのはわかったから。増田君は今日はもう帰りなさい」と言うので、自動車のところに行って乗り込もうとした。後ろを向くと、社長が俺に付いて来てて、「自分の車で送る」と提案してくれて、そのまま家まで届けてもらった。

社長の車の中では無言だった。冷静だったけど、やがてT君を殺したいという情動がまた沸き上がってきて、時間が経つとまた冷めた。



その後~

辛い話をした。これを書いてる今も、いい大人なのに涙が止まらない。悔しさもあるし、いや多分悔しさしかない。自分自身への。あとちょっとで終わりにする。

休み明けに出勤すると、社長人事部署のトップに呼ばれた。それで、いろいろ事情を聴かれた。正直に全部話した。N子とT君については、あの日のうちに聞き取りを終えたらしい。ほかの社員についても同じように聞き取りをするとのこと。

その週末だったかな。社長から告げられたのは以下のところだった。

あなたがこんなことをする人だと思わなかった。信頼していた

あなた行為刑法にも社内規定にも違反する。本来であれば懲戒免職

・だが、T君にも非があることがわかったので、今回に限って停職1か月と減給1/10で済ませる

・N子とT君にも二度とトラブルの種は撒かないように厳重注意している

・次は絶対にない。私に悲しい思いをさせないでほしい。あなたを信じている

こんなことを書いてる以上はわかってると思うが、それから1年以内に会社を辞めた。自分という人間の変化に気が付いて、別の会社の方がいいんじゃないかと思えた。それにもう、あの2人を見たくなかった。

同じ電気関係でよさそうな会社を知っていた。近所にある其処に直接訪問して、採用試験アポを取ってもらって、そのままスルッと採用されて今に至る。面接の回数は1回だった。

自分という人間は、あれから本当に変わってしまった。まだあそこで働いていた頃、市役所消防設備の(総合機器点検結果報告書を持って行った時だった。事務スペースの前にある窓口で説明を始めたところ、向こうの担当者(冒頭の人と同じ)から、「もっとわかりやすくなりませんか?」「判定不備の一覧表は用意できますか?」「総合点検機器点検との違いとは」とネチネチ聞かれた。

あんたが業務委託しとんでしょうがッ!!」

つい怒鳴ってしまった。

T君の時と一緒だ。頭がスーッと冷静になったかと思うと、自分気持ちが突然表に出てしまう。その時も、口が先に動いたのだ。理性的思考はない。相手は急に黙り込んだ。ばつが悪そうな顔をしていた。だったら始めから言うんじゃねえよ。

「これが法定の報告書の書き方です。判定不備の一覧表は契約に入ってませんよね?」

「入っているかは何ともいえませんが、一般的に作る物ではないですか」

「それの作成任意ですか?」

「私ではなんとも……」

「じゃあ、分かる人呼んでくださいよ! 総合点検機器点検もわからないって、発注者として問題だと思いますが」

「そんな暴言ばかり言っていると、契約切られますよ」

「じゃあ切れよ!!」

から立ち上がって、T君に向けたのと同じ殺意で、事務スペースの奥野須美の方を睨みつけた。すると、上役と思われる人が飛んできて謝罪を始めた。

どうやら、相手方もそこまで信頼のある職員ではなかったようだ。信頼があったのなら、上役はもっと神妙な面持ちで警戒するはずだ。窓口で怒鳴るという、社会人としてよくない行為をしたのだから謝罪から入ることはないと思われる。

※今の電気関係会社では1年ほど働いてるけど、仕事中にキレたことは二度しかない。会社のみんなはいい人だ。俺という人間でも普通に受け入れてくれる。感謝してる。ほんとに感謝してるよ。



N子とは、それから1回だけ会った。会社の近くにあるサイゼリヤだった。デートで何度か行ったことがあった。

「あの時はごめんね」と俺が言うと、首を振ってテーブルの上のジュース視線を落とした。

「T君の方が、男性としてはいいんだって、俺もわかってる」

「あれから会ってない」

「もう許した。許したから。俺よりも多分いい奴いるよ」

増田さんの方がいい。増田さんが好き」

「T君の方がいいよ。絶対

「……ごめんなさい」

「ごめんなさいじゃねーよ、ボケ」と叫びたい気持ちが沸き出ていた。自分はもう、人間としてかなり良くないと思う。

その場で、N子に「別れよう」と言うと、か細い声で「嫌です」と言われた。その場で、テーブルを片手で叩くみたいにして席を立って、千円だけ置いてサイゼリヤを出た。

N子の様子がおかしいことに気が付いたのか、女の店員さんがレジのところでこっちの方を見ていた。「失礼しました」と言って店を出た。後で確認すると、その店員さんがN子の方に向かっていた。これで大丈夫だろう。



今回は、嫌なことを書いてしまった。書いていて辛かった。でも、ちょっとスッキリした。気が晴れた。

心が濡れている。転職直後は、何をやっても楽しくないし、恋人も作らなかった。でも、N子と交際する経験したことで、女という存在に慣れていた。

ほかの人と交際をするきっかけは何度もあったよ。同じ会社の先輩とか、ネトゲオフ会で知り合った人とか、夜のスナックラウンジで働いている女の子とか、チャンスは何度もあったけど、それでも付き合おうとは思わなかった。またひどいことになる気がして。

そろそろ終わりにしよう。

ここまで読んでくれた人がいたなら感謝を申しあげたい。

ありがとう。読みにくかったならごめんなさい。

あなたとは増田利用者という繋がりしかないけど、恋愛的に幸せであることを祈ってる。

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