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2020-01-17

男だけど刀ミュを観に行ったら男を好きになった

ネタバレはしていないつもりです。

特定を避けるため、一部フェイクを含みます

BL要素はありません。

知り合いの女性(刀ミュオタクから、「チケットが余ったのでよければ一度観に来ないか」と誘われた。秋ごろのことだった。

彼女(以下、Aとしよう)はひとつの公演でそりゃもう何会場も回る筋金入りで、推し俳優リリースイベントバースデーイベントなどにも足繁く通うほどの生粋オタクだ(ほめてる)。都市圏ならば全国どこでも行くような人物であるが、もちろんこういうジャンルは得てしてチケット争奪戦が厳しい。というわけで仲間たちと複数人で申し込んで当たった誰かのチケットに便乗して……というのが通例になっているのだが、なんでも我々の地元愛知会場も同じように複数人で申し込んでいたところうまいこと全員当たってしまい、誘うアテがなかなか見つからなかったため試しに私に声をかけてくれたのだそうだ。(ちなみにA名義で4席あったため、共通女友達B、Cにも声をかけていた。)

最初は断ろうと思った。まあほぼ間違いなく浮くだろうし、「本当に観たい人がいるはずなのに自分なんかが行ってもいいのか?マナー的に。あとでツイッターで怖い女性ファンたちに匿名で叩かれ、磔刑にかけられるんじゃなかろうか」などということを思ったかなのだが、実際少なからず興味はあったのと、まあお金は出すんだし着席する権利はあるだろうと自分に言い聞かせ、誘いに乗ることにした。

私はもともと、女性向けコンテンツに興味がないわけではなかった。そもそも男性声優ラジオDGSとか)を聴く程度にはオタクであったし、アニメほとんど見ないものの、ハマってしまったFree!!のブルーレイは2期+劇場版までそろっているし(ちなみに推しは宗介)、最近ヒプノシスマイクの曲を聴いており、キャラごとのドラマパートまで聞くようになってしまったし。それに、件の刀剣乱舞サービス開始から1年程度はプレイしていたこともある。比較少年系の刀が好きだったので、蛍丸獅子王最後までメインの編成に入れていた。

しかし、2次元キャラでもなければ声優でもない、いわばゲーム原作が立ち上がった段階では関係のなかった、俳優たちによるゲーム原作ミュージカルに、果たして惹きつけられるような魅力はあるのか。一応演技のプロではあるが、歌のプロでもなく、ダンスプロでもない。原作への愛はあるのかとか、クオリティはどうなのかとか、気になる部分はいくつもあったし、今思えば少し懐疑的に見ていたような気もする。その答え合わせのために行ったような側面もあったと思う。

今回の会場はセントレアすぐ横のスカイエキスポという場所。初めて行く所だったので、少し早めに名古屋駅から中部国際空港駅への電車に乗ったのだが、まずここで驚いた。乗客の9割が女性。「え?これは”やった”(女性専用車両に誤って乗ってしまうの意)か?」と思った。必死背伸びし、血眼になって男性を探したところ、扉のすぐ前にスーツケースを持った初老紳士発見した。心から安堵した。私には彼が救世主メシア)に見えた。違和感に気づいてから紳士を見つけるまで時間にしてわずか3秒ほどのことであったが、私にとってはひとつなぎの大秘宝をめぐる壮大な冒険時間であった。ワンピースの正体が初老紳士だったらウケるだろうな。

多くの女性たちはよく見るとなんかカバンとか髪とかに似たようなヒモみたいなやつをつけており、ああ、彼女たちが今日の公演の来場者か、とそれで察しがついた。

私は音楽が好きでライブフェスにもよく行くのだが、そういったイベントに向かう来場者が一様に身に纏う”モード”みたいなものが好きだ。同じようなアイテムを身に着けた人々が、同じような期待感をもって同じ会場へ向かう。まったくの他人のはずなのに、全員で遠足に来ているような感覚に陥る。私は所有していた唯一の刀剣乱舞関連グッズ、蛍丸ラバーストラップカバンにつけながら、そんなことを思った。

到着したのは開演の1時間ほど前だった。先に現地に来ていたAと合流し、遅れてくるB・Cを待ちながら辺りを見渡してみた。女性ばかりだ。チラホラ見かける男性も、その多くは隣で開催されているFGOの展示会に訪れたような風采で、見たことあるキャラの見たことないグッズを手に奥の施設へと歩いて行った。事前には聞いていたが、男子トイレはがらんどうで、広々としたスペースの中に3人いただけであった。普通にめちゃくちゃ刀剣男子缶バッジつけてる方とかもいて驚いた。

B・Cとも合流し、我々は人波に流されるまま会場内へ吸い込まれた。会場内は予想していたより二回り以上大きくて、コンテンツ覇権っぷりを身に染みて感じた。

席は通路から4席分だった。私のにわか知識でも通路側は人気だと知っていたため、さすがに通路に接する席はAに座ってもらい、私はその隣に座った。Aはなんとも用意周到で、私の分のペンライトうちわまで用意してくれていた。刀ミュの専用ペンライトは優れもので、推しの色を先に登録しておけるらしい。私は操作指南を受けながら、スタンダード青色を初期配置として記憶させた。

またも話がさかのぼるが、私は以前からAに(オタク気質を見抜かれて)刀ミュ関連の画像動画の視聴を勧められていた。男性男性を推すというのは恐らくややイレギュラーことなのだろうが、その中で私は2人の”推し”を見つけた。

1人は鳥越裕貴氏。役は大和守安定だ。刀剣男子自体の役どころとしては真面目で実直ながら、どことな女性的で可愛らしいキャラクターだ。しかし、私はむしろ、役に入っていない状態鳥越氏に非常に魅力を感じた。というのも彼は、ツッコミが上手い。

これは私の持論なのだが、いわゆるコント的な場の空気になったとき、「なんとなくボケる」ことは誰にでもできると思っている。もちろんその巧拙については個人差があるが、ボケ簡単なのだ(だからこそ才能の発揮される部分でもあるのだが……)。対してツッコミは、才能だけでは解決できない。その場の状況を整理し、その場に応じた言葉を、できるだけ早く用意する能力は、長年のトレーニングによってのみ形成される。そうして身につけた能力を、玉石混交ボケ対応して発揮してあげるのだ。その点で、ツッコミサービスだ。だから、適切な、上手いツッコミができる人というのはボケの人数に対してかなり少ない。そして、鳥越氏のツッコミ能力は(少なくとも私が視聴したいくつかの動画でのトーク判断するならば)刀ミュ俳優の中では群を抜いている。おそらくこれは、彼が多様な人物積極的コミュニケーションを取り、相手尊重しながら話すことを心掛けてきたからなのではないか。そんな背景が透けて見えたりするところに人間味と魅力を感じた。(あと筋トレ動画シンプルに参考になった。)

もう1人の推しは、大平俊也氏。役は今剣。これは役のイメージと本人のイメージがぴったり合致する。中性的少年的で、あどけなさが残るところが氏の魅力だと思う。普通に顔が可愛い。初めて写真を見たときは、そういう印象だった。

ただ実は、彼に関しては開演前、これ以上の印象がとくになかった。動画などを見ていても、ただ容姿仕草が可愛らしい真面目な人という感じで、もう一歩魅力を感じる部分に欠けていた。強いて言うなら彼にはただ天真爛漫なだけではない、いわゆる「闇(この言葉が深い意味で使われることってほとんどないのであまり使いたくはないのだが)」を感じたような気がして、そこを興味深く考えたからなのかもしれない。(あとこれは完っっっ全に言いがかりなのだが、邦楽ロック界隈では見た目が中性的バンドマンほど性欲が強くてファンと寝まくっているという根も葉もない(たぶん葉くらいはある)噂がまことしやかに囁かれており、同じく大平氏も男性的な部分を見せたりするんだろうかという謎の興味もあったのかもしれない。)

そういうわけで、私はひとまず、2人のうちとくに人間として魅力的だなあと思った鳥越氏(安定)を推しとして設定し、ペンライトの色を決めたというわけだ。

私の席から見渡した辺りはほんとうに女性ばかりで、電車内の女性が9割だったとしたらここはもう99割が女性だった。男性存在についてAに訊いたところ、「まあほとんどが彼女に連れてこられてるだけの人だね」と言っていた。リア充爆発しろという一言でも言いたいところであったが、ここで爆発されたらイベントに影響あるし片付けとか面倒だろうな、と考えて口をつぐんだ。

照明が落ち、舞台が始まる。観劇自体がずいぶんと久しぶりだったので、なんだかいやに緊張した。隣に座るAは早速双眼鏡を取り出し、推しの額に光る汗を堪能しているようだった。(Aは同公演に何度も通っているため構成や内容を覚えてしまっており、推しが出てくる数秒前から出てくる位置にすでに双眼鏡を向けていたためさすがにすごすぎて笑ってしまった)

ドラマパートでは刀剣男子たちが次々に現れ、おのおののキャラクターらしい台詞で我々を楽しませてくれる。思っていたよりも総じて演技のレベルが高く、ちょくちょく挟まれる小ボケ普通に笑える。

そうこうするうち私が注目する安定が現れ、男子たちの会話の輪の中に飛び込んでいった。しかし、私はここで少し違和感を覚える。筋トレ動画を何度も見ていたせいか、あどけない口調の安定と兄貴肌の鳥越氏のイメージが重ならない。まあまあこれはこれでいいか、役なんだから、と納得させながら私は舞台のほうに居直った。

逆に、今剣は役と人物が寸分違わず重なった。大平氏の声・仕草は、本家ゲームで出てきた今剣のイメージほとんど同じだった。鳥越氏の力不足とかそういうことでは断じてなく、これは純粋大平氏の持つ魅力と、またそれを見越してあてがわれたキャスティングの妙だと思う。それほどまでに今剣の立ち回りは見事だった。

しばらくすると、おもむろに周囲の女性たちが起立し始めた。なんだなんだ、校歌でも斉唱するんかと思いながら付和雷同、私もペンライトを持って起立した。どうやらここからしばらくはライブパートらしい。ミュージカルと言いながらけっこう現代的な曲(EDMとかそっち寄り)なんだなあなどと思っていると、演者たちがステージで踊りだし、さらには客席中央ステージでもダンスが始まった。

私はまさに魅了された。大平氏のダンスである

先に言っておくが、歌もダンスも全員上手い。だがその中でも、大平氏のダンスは別格に感じた。なにって、踊っているのがはっきりと”今剣”なのだ。彼は背も高くない、体つきも華奢で、いわゆるダンサーとしての資質は他の刀剣男子に劣っているといえる。しかし、手足のフリが誰よりも大きい。大きいだけでなく、キレもある。そしてその懸命さが、彼のマイナス資質いっきプラスへと逆転させていた。ステージ上で彼の弱点は、はっきりと長所だった。「おそらく今剣が踊ったらこんな風なんだろうな」という彼なりの答えが、あのダンスには込められていた。

踊る彼を見て、この人は無敵だ、と思った。

ダンスに魅入っているのも束の間、舞台はまたすぐにドラマパートに戻り、ライブパートと交互に展開しながら進んでいく。そしてついに山場、俳優たちが客席まで降りてくるフェーズが訪れた。通る刀剣男子から直接手を振ってもらえたり、ウィンクされたりすることを、ファンサービスファンサ)というらしい。私は自分推しが通ったらなんとなくうれしいな、という程度で呑気に構えていた。(隣のAは推しの様子を見ながら奮起していた)

通りがかる刀剣男子たちをぼーっと見ていたときのこと、後ろ側からやってきた和泉守兼定が、私に向かって指をさし、はっきりと目線をくれた。一瞬、自分に向けられたものかどうかわからなかった。よくわからないが笑顔で応えたことだけは覚えている。こんなことを言うとタイトルの通り誤解されそうではあるのだが、私の知る限りあのとき感情に最も近いものは、恋だ。

理由説明できない。できないのだが、「イケメンが選んでくれた」という感情は、きっと男であってもうれしいのだと思う。それほどまでに私が受けたファンサは衝撃的だった。そして、推しでもない人でこれなのだから、これを自分推しから直接もらえるなどということがあれば、それはどれほどのクソデカ感情になるのか。想像すると、むしろ恐ろしくなるほどだった。

終演までのライブパート、私は自然と目で今剣を追っていた。彼の、あの衣装でのダンスもっと見たい。いつまでも見たい。だんだんとそう思うようになっていた。

終演後、私はAに感想を伝えた。予想していたよりずっと面白かったと述べると、Aはしたり顔であった。彼女は物販に行くと(地元なのでここでお金を落としたいという敬虔オタク然としたことを言っていた)私に伝え、人波に消えていった。

帰りの電車は行きよりも空いていた。今思えば、夜公演まで見ていく人たちがけっこうな数いるのかもしれない。私は大平俊也氏のツイッターアカウントを捜し、迷わずフォローした。



Fear, and Loathing in Las VegasというバンドMinamiというメンバーがいる。彼はステージ上で、まさに狂人だ。髪を振り乱しながら叫び、かと思ったらわけわからんパラパラみたいなダンスを踊り、でも楽器ちゃんと弾く。そして、嘘くささが一切ない。

Soil&”PIMP”Sessionsというバンド社長というメンバーがいる。紅白とき椎名林檎の後ろでヒマそうにしていたあの人だ。彼はジャズバンドの中にいながら、楽器を(ほとんど)弾かない。彼の担当は”アジテーター煽動者)”。悪趣味マフィアみたいな恰好で、ステージ上をふらつきながら、メンバー演奏のぞき込んだり、客席をメガホンで煽ったりする。ほんとうにこの役割必要だと思っているのか。どこまでが演技で、どこまでが素なのか。まったく読めてこない。

私は彼らを見るたび、自分に成しえないことをしていると尊敬する。

私は、エンターテイナーが好きだ。それは、役を”憑依”できる人のことだ。舞台の上で演じる人たちは、素の自分のままではもちろんいられない。しかし、役を演じすぎると、それはそれで嘘くささが付きまとう。だから役を演じていながら、まるでそれが役だと感じさせない立ち振る舞い。そういう”憑依”を楽しみに、私はミュージシャンライブへ足を運んでいる。

大平俊也氏は、まさにこのエンターテイナーだと感じた。彼は舞台の上で、間違いなく今剣だった。仕草や声の可愛らしさと、ダンスの躍動感。(あと顔の良さとかもろもろ。)それらをひっくるめて、私はしてやられた。

鳥越氏はもちろん好きだ。しかし、実際に見た舞台では(少なくとも刀剣乱舞という題材では)、大平氏のエンターテイナー性のが私にとっては魅力的だった。それだけのことだ。間違いなく今後も、鳥越氏の動画は見続けると思う。

私は自宅に帰り、もらったペンライトを取り出した。推しの色をピンクに設定し、棚にしっかりとしまった。次は、ピンク色のヒモみたいなやつも手に入れたいところだ。

2018-07-19

ネットの人って自己責任好きだけど

↓みたいな怠惰時間浪費して満足のいかない人生になったのに社会責任転嫁してる自己責任の塊みたいな男には甘いよね

世の中の女性は軽薄で愚かなので、金や権力のあるイケメンに惹かれるばかりで、自分のような風采の上がらない、社会的地位もない男は相手にされない(に違いない)。自分に魅力がないのは遺伝子問題で、自分責任はない。

そしてセックス基本的人権であって、それを阻む女性や、女性の権利を声高に主張するフェミニズムの横行はインセルにとって深刻な人権侵害だ。そもそもこの社会は、チャドステイシーに有利なようにルールねじ曲げられていて、インセルに勝ち目はない。インセルを抑圧する社会を打破するために、インセル革命必要なのだ

2018-07-17

anond:20180717124219

インセルは?

女と付き合った事が無いけど女を憎んでリア充を敵視し社会を憎み、恋愛工学的なナンパ師は好きでトランプ大統領を支持してる差別的非モテ

アメリカでは最近インセルテロによる殺戮で何十人か死んで社会問題化してるらしいから、日本でもあと数年で起こりそうだ

⇓みたいな日本ネトウヨでもよく見かける思想に染まって突然殺人をするらしい

世の中の女性は軽薄で愚かなので、金や権力のあるイケメンに惹かれるばかりで、自分のような風采の上がらない、社会的地位もない男は相手にされない(に違いない)。自分に魅力がないのは遺伝子問題で、自分責任はない。

そしてセックス基本的人権であって、それを阻む女性や、女性の権利を声高に主張するフェミニズムの横行はインセルにとって深刻な人権侵害だ。そもそもこの社会は、チャドステイシーに有利なようにルールねじ曲げられていて、インセルに勝ち目はない。インセルを抑圧する社会を打破するために、インセル革命必要なのだ

2018-05-04

1+1+1は2だと思う

Vtuberの登場で、やっぱり顔はいいに越したことはない、って証明されたよね」

 わたしたちコメダ珈琲新宿御苑前店で一服していた。いとうは爪で髪を掻きつつ続けた。

ドゥルーズは『千のプラトー』で顔は記号だけど同時に身体でもあるから政治的ものだ、って言ったわけじゃない? で、顔の美醜を問うのはポリティカルインコレクトだってことになった。けどこれは、まさに悪しき民主主義だよね。アリストテレスは『二コマコス倫理学』で、少なくとも顔の醜くないことを幸福の条件に挙げてるけど、古代ギリシャから現代までに民主主義記号化してるんだよね」

 他人がきけば白眼視するようなことを言う。そうした話ができるだけの知性を見積もられていることは心地いいが、いつもわたしがきき役だ。

 いとうは神経質そうな険のある顔をしているが、ひとによっては美人とみるだろう。わたし彼女の顔をみるたび、坂口安吾の『白痴』に書かれている、狂人の「風采堂々たる好男子で……常に万巻の読書疲れたような憂わしげな顔をしている」という描写を思い出す。

「ひとの顔をじっとみないでよ。たいぼくちゃん、繊細そうにみえて、そういうところ図太いよね」

 いとうは愁眉を寄せた。

「――お待たせ」

 倫理わたしたちに声をかける。黒のカットソーで、シースルーレースが首周りから両腕を覆う洒落た服だ。それを着こなすだけの顔立ちをしていた。アップにした髪型が、服と調和している。彼女ほど顔立ちが整っていると、髪はまとめた方が素の魅力を出せていいのだろう。

 倫理をみると、ときどき冷たくて薄い靄のような感情かられる。

「遅い」

「ごめん。バルトで『ラブレス』みてた」

セックスするとネコミミのとれるマンガ? 女子ゼロいいよね」

 わたしがいうと、倫理は苦笑した。

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の新作。失踪した息子を探す離婚協定中の両親のはなし。郊外舞台なんだけど、途中から延々と廃墟の場面になって、それがいいんだ」

証券って忙しい?」

 いとうが尋ねる。遅刻への当てこすりではなく、ただ気になっただけだろう。

営業そうかもしれないけど、ディーリングは定休が決まってるからそうでもないよ。うちは外資リテール部門がないしね」

 待っているあいだ、何をはなしていたか尋ねられる。いとうが説明すると、倫理は笑った。

「たしかにダナ・ハラウェイのサイボーグフェミニズムはそういう論旨だね。ただそこまでいくと、むしろチャンの『顔の美醜について』みたいに、みる側の感情操作する方が自然な気もするな。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の〈情調オルガン〉みたいにね」

 倫理はいとうのはなしをすぐ理解して、気の利いた返しをした。そのことに体内が熱くなるような感覚をおぼえた。

 店を出て、新宿御苑沿いに新宿駅に向けて歩く。二人が話しているため、わたしはその後ろをついていく形になった。他意はないとわかっていても疎外感をおぼえる。

「でも、Vtuberアンドロイドでもただのキャラクターでもないでしょ。だからナマモノと同じようにあつかわなきゃいけないわけだし」

 そう口を挟む。いとうは歩きつつふり向いた。

カントは『純粋理性批判』で対象物自体として存在していて、人間はそれを超越論的主観性において認識するのみだといった。で、ハイデガーは『存在と時間』で、そうした直観主観性にすぎないと批判して、現象学でもって実存存在者を存在させると定義しなおした。存在論的にいえば、ヴァーチャルYouTuberという架空人格存在する、あるいは存在しないというどちらの立場も幼稚すぎる。他人人格ですら、無条件に存在するとはいえないんだから。まあ、未成熟なひとは自分理想像を押しつけることで、他人人格所与のものとしてあつかうけどね。そういうひとが勝手に本人を代弁して、ナマモノダメだとか言いだすわけ」

常識範疇なら、そういう代弁もいいと思うけどね。二次エロとか。ただ本人がナマモノを解禁してるのに頑なにナマモノ禁止するひととかは、そういう主観論に陥ってるんだろうね」

「だからVtuberについていえば、Vtuberとしてした百合営業に〈中の人〉が触発されて、それがまたVtuberとしての百合営業につながるというような、循環的な重層性があるわけじゃない。実在非実在二元論じゃないでしょ。ウンベルト・エーコの『ヌメロ・ゼロ』もそういうことを主題にしてるわけでしょ? 『存在と時間』では記号をただ指示するものでなく、それ自体がもろもろの記号構造を暗示するものとしているけどね。でも、常識範疇ってなに?」

 いとうは苛立たしげに髪を掻いた。

Vtuber自然人としてあつかうとして、どうして身体属人性を与える方向にいくかなぁ……、それなら自然人の身体人格とは別個のものとする方向にいくべきでしょ。天与のものである身体人格と同一視して自然権を認めるのは、明らかに不合理じゃん。だからグレゴリーマンキューも皮肉で〈身長税〉を提唱したりするわけでしょ。……、え? マンキューくらい専門外でも知っておきなよ」

 議論めいてきて、倫理の口調も熱をおびてきた。自然わたしは無言になる。

そもそもVtuber著作物と見なした方が簡単じゃない? 〈中の人〉はVtuber演者としての著作隣接権もつわけ。二次エロには著作隣接権著作人格権に準用して対応すればいい」

「ちがうね。マッピングで体をリアルタイムに同期させてるVtuberはVRよりARの方が近い。もちろんARみたいに空間認知人格投射するわけじゃないけど、運動感覚でも同じことがいえるでしょ」

身体人格から分離するのが進歩的なのはわかったけど、テクノオプティミズムすぎるよ。こんなことをいうと、イーガンSFに出てくる保守主義者みたいかな。けど一般論として、エロが一部のひとに不快感を与えるのは事実でしょ? 前から思ってたけど、自分に関わることだとすぐ感情的になるくせに、他人には正論を押しつけるよね」

自分に関わることな感情的になるのは当りまえじゃない? 正論を曲げる理由はないよ。倫理こそ、他人配慮してるようだけど、等しく他人を見下してるだけでしょ? あと、テクノオプティミストでけっこう。わたし原発推進派だし」

 感情露出して落ちついたのか、いとうは息を吐いた。

倫理のいうこともわかるよ。でも、制作者の意見もないのに他人規制しようとするのはただの自治厨だと思うな。そういうファンは決まって創作をしない側だよね。創作ができないから、その代わりに自分ルールを考えて、それをコミュニティ強制しようとすることで存在を主張しようとするんだ。まあ、そういうファンはどこのコミュニティにもいるから、無視する以上のことはできないんだけどね」

 いいながら、いとうは自分言葉でふたたびイライラしてきたようだった。いとうは神経過敏だ。紙やすりのようだと思う。

 いとうが自家中毒めいて、自分言葉で気分を荒立てているのを察したらしく、倫理は優しくいった。

自分他人のあつかいに差があるのは当然だけど、いとうの場合、それが甚だしいってことをいったつもりだったんだけどな。あんたみたいなディスコミュニケーション女にもわかるようにいってあげると、誰もがあんたみたいにコテハン擬人化されて喜ぶ人間ばかりじゃないってことだよ」

「なるほど…」

「あ。いまのでわかるんだ」

「いとうの見方個人主義的すぎるよ。後期ヴィトゲンシュタイン言語ゲームも、そういう分析哲学に対する批判としてあるわけでしょ?」

 それから、しばらく誰も話さなかった。黙々と歩く。倫理雰囲気を変えるようにいった。

「そういえば、たいぼくってウケるんだよ。前に泊まりにいったとき料理をつくったんだけどね。カレーにするつもりで牛筋を煮込んでおいておいたら、朝にたいぼくがコンソメスープだと思って飲んでたんだよ」

 いとうは爆笑した。

「たいぼくって本当に生活力ないよねー」

 倫理に囃す。「それにしても、あんマメだよね。よっ、家父長制」

 倫理は本気で不快そうな顔をしたが、いとうは気づかなかった。

都庁って変なデザインだよね。すくなくとも都の庁舎じゃないでしょ」

 遠景に都庁みえて、なんとなくいう。

「いや、あれは自生する秩序の象徴から都市役所としてふさわしい建築だよ。エッフェル塔と同じ」

 わたしが疑問に思っていると、倫理解説した。

ロラン・バルトの『エッフェル塔』だよ。『あらゆる時代、あらゆる映像、あらゆる意味に通じる純粋表徴であり、拘束のない隠喩』ってね。具体的にどういうことかは、ルイ・マルの『地下鉄のザジ』をみればいいよ。『地下鉄のザジ』ではエッフェル塔の内外から鉄塔の無機質な幾何学模様が無限に顔をもつところが撮影されているから。『地下鉄のザジ』の原作者が『文体練習』のレーモン・クノーっていえば、わかりやすいかな」

 なんとなくおもしろくなく黙っていると、いとうがいった。

「でも、そういう意味をもたないことを意図した無機質なデザインなのに、結果として都市ランドマークになってるのは皮肉だよね。そうそう、ケヴィン・リンチは『都市イメージ』で都市認知地図における主体を〈パス〉、〈エッジ〉、〈ディストリクト〉、〈ノード〉、〈ランドマーク〉の五つに分類したけど、これはプロファイリングのGCT犯罪地理探索モデル)に利用されているんだよ。〈犯人の標的捜索行動は居住地から離れるにつれて犯行に及ぶ確率が単調減少する〉、〈居住地の近隣に犯行の行われない地域存在する〉、という二つの仮説のもとで距離独立変数とする距離減衰関数を導出するんだ。もちろん、それだとただ犯行地点の二次元的な分布の平均を求めるだけだから、ここに認知地図を当てはめるわけ。たとえばエッジに近づくと距離が縮小するとかね。平山夢明の『独白するユニバーサル横メルカトル』は、これを種本にしているんだよ」

 往来でプロファイリング平山夢明について語るいとうは完全に異常者だった。

「そういう自生する秩序の象徴をもそのうちに組みこむのが、自生する秩序なんじゃないの?」

 倫理皮肉げにいった。

そもそも新宿のもの意味をもたない記号都市なんだよ。大政奉還前は飯盛女のいる宿場戦前遊郭戦後闇市復興期は赤線地帯。七一年京王プラザ建設を皮切りに七〇年代高層ビル建設されて、九一年都庁移転するまで、ここは周縁だったんだよ。都庁にふさわしい場所でしょ? ちなみに、いわゆる〈新宿二丁目〉は二丁目の北側だけで、二丁目と三丁目は御苑大通りで隔てられてて、歩行者天国地下道もそこで途切れている。で、ご存じのとおり二丁目は都市から外れて住宅街モザイクになってる。つまり、二丁目は周縁の周縁ってわけ」

 そこまでいって、倫理は表情に翳を落とした。

「まあ、これは殊能将之が『キマイラの新しい城』で六本木についていったことを、新宿転用しただけなんだけどね。〈キマイラの新しい城〉っていうのは復元された古城と同時に、六本木ヒルズのことも指してるんだ」

「いいじゃん。ロラン・バルトによれば日本のものが『記号帝国』らしいし」

殊能将之って『波よ聞いてくれ』に引用されてたよね」

 倫理は頷いた。

「『黒い仏』だね。柔むげさんがさ、いつか『殊能将之読書日記』に感動してたじゃん。わたしはそれがわかるんだよね」

 歩きながら、倫理Kindleの端末を開いた。

「『殊能将之読書日記』ではフリッツ・ライバー長編への見方が顕著かな。殊能将之は〈ほとんどエロゲーの世界〉とか腐しながら読んでいるんだけどね……。その皮肉さがわかりやすいのが『A Spectre Is Haunting Texas』だよ。殊能将之は『幽霊テキサスに取り憑く』と訳しているけどね。月周回軌道ステーションまれ主人公が、第三次世界大戦後のアメリカにきたら〈テキサス国〉になってたってはなし。日本でいうと〈「第3次世界戦後大阪日本支配するようになった時代大阪人は全員きんきらきんの漫才師ルックで、『なんでやねん』『そんなアホな』などとしゃべっている」みたいな設定〉ってこと。テキサス国の首都テキサステキサスダラスで、街にはケネディ暗殺を記念した黄金モニュメントが建ってるの。教科書倉庫の窓から突きだす銃身とオープンカーのシャーシのやつ。で、テキサス国の政権交代大統領暗殺でおこなうのが慣例なの。爆笑じゃない? で、まあギャグ小説なんだけど〈A nation nurtured on cowboy tales and the illusion of eternal righteousness perpetual victory. カウボーイ神話永遠に正しくつねに勝利しつづけるという幻想に養われた国。〉とか書いてあって、痛烈にアメリカ批判しているわけ。だからアメリカでは出版できなくて、タイトルだけイギリス英語の〈spectre〉の綴りになってるんだけどね。ちなみに日記には追記があって、このタイトルは『共産党宣言』の〈ヨーロッパ共産主義という亡霊が徘徊している〉のパロディだと教えられたからってタイトルの仮訳を訂正してるんだけどね。教えたのは中村融なんだけど」

 倫理はひと息ついた。

世界にこういう視座をもっているひとは生きるのが辛いよね。そういうひとを理解してしまうひともね。ナボコフの『ロリータ』もそういうはなしだよね。嫌味で文学趣味スイス人が、延々とアメリカ呪いながら一人の少女を愛するはなし。柔むげさんは、そういうところに感じたんじゃないかな。で、わたしもそういうひとたちに片足を踏みこんでいるからそれがわかるんだよね。だからわたしは『程』では灯が好き」

「あ。そこにつながるんだ」

 まったく予期しない展開だったためにおどろいた。が、いとうは思うところがあったらしく、無言で前を見つめていた。

 新宿駅みえてくる。

「そういえばたいぼくちゃんお酒買った?」

キリンをまとめ買いしておいたけど。あ、あとポテチカップラーメンも買っておいた」

 そういうと、いとうは爆笑した。

大学生じゃん」

 倫理も苦笑しながら言う。

「ここの成城石井ワインチーズを買っていこう。あ、でも、それならクラッカースモークサーモンハムを買っていって、ムースをつくった方がいいな。素材の味が出るから、いいものじゃないとおいしくないんだよね」

 買物をしてからJRのコンコース階に移動する。倫理カードで決済して、わたしお金を使うことはなかった。

「ごめんね。一応、ホストなのに」

 いとうは笑って「出世払いにしなよ」といった。

 倫理は微笑していった。

「それにたいぼくちゃんからモラトリアムの気配をもらってるところがあるからね。わたしも……、わたしたちもこうして社会人鋳型にはまってるけど、それが仮初めのものだってことを思い出させてくれる」

 コンコースでは大勢のひとが行き来していた。天井からは各路線を案内する表示板が大量に下がっている。これらの記号が指示するものなかにわたしたちのいく先もあるのだな、と思った。

2017-02-28

職場の近くに、毎日ネトウヨのおじさん達がビラをまいている場所がある。この数年で突然現れた彼らは毎日毎日電波なビラを配っている。

平日日中電波なビラを配ってるだけあってか、どいつもこいつも風采が上がらない。若いのでも50代半ば、60代ぐらいが中心か。

どのオッサンもグレー~茶色の冴えない色のどこで売ってんのかって服を着ている。女性は見かけたことがない。いるのかもしれないが。

彼らはちっとも楽しそうではない。仲間と集まって主義主張を人に知らしめたいのなら、ゴミを撒く代わりにせめて少しぐらいは楽しそうに、もしくは意義ありげな顔つきでもできそうなもんだが

金貰ってキャバクラのチラシ撒いてるオッサンの方がまだ有意義そうな顔をしている。まぁ金を貰えるから当たり前か。

無言でチラシをぐいっと押し付けてくるが、そのしぐさは不審者のもの。いつまでたっても上達しない。したがってチラシを受け取る人も見かけない。

出勤すると、彼らネトウヨおじさんたちと同世代上司がいる。ちょっとウザいところはあるが、たまに旨い飯を食わせてくれたりする割と良い上司だ。

部下への配慮もそれなりにスマートなので、女子社員にもウケがいい。さっきも、ウザいダジャレを発しては女子社員に笑われ和気あいあいとしていた。まぁマスコットみたいなもん。

もう60過ぎたのだが会社要望で定年延長している。あと2年で完全にアガリなので、自分が持ってる人脈をどんどん下に引き継いでる最中

俺の鬼瓦みたいな顔でも役に立つならなーと言いながら部下たちを引き回している。上司の人柄なのかかなり良いルートを紹介してもらえてありがたい。

彼らとうちの上司はどこで道を違えたのだろう。

2013-10-18

今の仕事天職じゃないと思ったから、ホストになってみた。

■ もともとの仕事について話します。

 家庭の事情などもあり、大学入学と同時に自分で商売をしてきた。

 自分は飽きる事もなく小さな商売をしてきて。

 それなりに結果も残せてきたし、

 これからもこの仕事を続けて行くと思うけど、

 少し飽き足らないという思いがなかったらウソになる。

 大学卒業を目前として、商売始めて三年少し。

 今の仕事天職なのかどうか、迷う時期に居ました。

 そんな時ちょうど自分の商売が行き詰まって、

 これからどうしようかなと。

 そんなことがあって、今の仕事と別の仕事をしてみようと思ったのがきっかけ。

 かつらかぶって、セットして、ジャケット羽織るとどんな人でもそれっぽくなるものです。

■ 天職くん、ホストになる。

 とはいえ、もともと自分で商売をしてきたので

1.お給料が低い

2.年功序列

3.好きじゃない

 仕事はできないなぁと。

 そこで真っ先に思いついたのが、ホストお仕事

 ご指名をいただければ結構収入が得られる。

 基本的に実力主義で、先輩後輩はあれど、実力があれば認めてもらえる。

 あと、商売がうまくいかなくてでお金が無くなった時は、

 たいてい水商売の女の人にお世話になっていたので、

 もともとそういう仕事には抵抗がなかったのもある。

 もともとの本業も女の人からお金をいただく仕事だったので、

 そういう意味では一番の接客業としてホストをしてみたいなと。

■ 気になる「罰金」の話をします。

 それで、写真を送ったらそれだけで2店ほど体験入店させていただけることになったのです。

 だけど、友達でもホストとして働いた事がある人は一人しかいない。

 そこで、はじめて説明を聞いてびっくりしたのが、罰金の高さ。

 恥ずかしながら、こんなに高額な罰金制度水商売に厳然と存在することを私は知らなかったです。

 がんばればどうにか回避できそうな罰金としては、

 遅刻とか当欠。

 これは多分やらかさずに済むだろう。

 最悪寮に入って、生活リズムを合わせれば良い。

 お酒も強いので特には問題ない。

 ただ、もう一つ問題なのは同伴罰金

 同伴ができないと罰金という日があるのです。

 これは果たして回避できるものかどうか、挑戦してみました。

■ 天職くん、友達を呼ぶ。

 まず、友達モデルなどをしてる子が多かったので、

 何人かの子にそれとなく話を振ってみました。

 そしたら、

 ホストクラブ行きたいと思ってるんだけどなかなかいけないんだよねー

 みたいなノリで、来てくれる友達の多さには正直驚いた、驚きました。

 料金も決して安くはないのに、

 え、そんなんでいいの!

 て感じでお金を払ってしまうのです。

 どうしていままでこの子たちと遊ぶ時全部払って来たんだろうってつくづく思いました。

 女の人がよくわからないのは、

 数百円数千円のことで凄く悩むのに、

 数万円数十万円数百万円となるとほとんど悩まないこと。

 これは本当に不思議

■ 天職くん、キャッチをする。

 とはいえ、

 商売がうまくいっていたときは遊んで来たので、

 友達結構多いとはいえど、

 やっぱしリピートしてくれるかどうかは心もとないし、

 それだけでは一番にはなれない。

 

 だから本当はやっちゃいけないけれど、

 ナンパ兼道に迷って困っている人(?)助けという名目で、

 街中でいけそうな人に声をかけたりしてました。

 いけそうな人の見分け方ですが、

 歩き方がふらふらしてる感じの人(まっすぐ歩いてない人)で、

 

 靴やバックが痛んでる感じの人がいいです。

 そういう人は深く物事を考えていないから。

 きちっきちっと物事をこなすのが苦手なタイプの人がいいです。

 そういう人は、悩みを解決できないし、だから深い闇というか空洞みたいなものを心に抱えてる。

 だからホスト必要なんです。

 もっというと、胸は大きい方が良くて、

 下唇が太くて、涙袋が厚くて、

 全体的にあぶらっぽい感じのする人ならまず間違いないです。

 これはどうしてか分からないけど。

 欲が強いからかな。

 そういう人に、それとなく

 携帯無くしたか時計見せて! とか

(応用版として、携帯無くしたか携帯ならして! とか)

 道迷ってる? とか

 聞いて、散歩しながらホストクラブの話すると、

 だいたい行ってみたいっていわれます

 これ本当に不思議です。

 どうしてなんだろう。

 ホストしている時期が長くはなかったので、

 とりあえずこうすれば店に呼べるというのは分かったのだけれど、

 どうして女の子がこれでひっかかるのかは正直最後までよくわかりませんでした。

 最近では、女の子はとりあえずやりたくて、

 (とまでは言わなくても男と話したくて)、

 その言い訳を作る事を男に求めているだけなんだって思うようにしてます

■ やればできる。

 ああ、同伴罰金なんて無理だよなぁ。

 どんなに頑張っても呼べないこときとあるよなぁ。

 と最初弱気だったんですが、

 やってみてわかったのは、やればできる、ということです。

 ちゃんと本気で仕事にあたっていれば、たいていのことはできます

 これは別にその人の元々の頭の良さとか素質とかなんてほとんど関係ないです。

 これは大学受験とかでもそうだけどね。

 私だって風采は決して良くない方だと思うし、友達からもよくそういわれます

 その人が本気でさえあれば、どんなことだって大体できる。

 指で石を削るような努力をすれば、どんなこともできる。

 自分がやっていることが正しいかどうかよりも、

 自分が選んだことを、結果として正しくしてしまうような力の強さ、やる気、本気さが大事なんだ。

 ホストをしてみて、そんなことがよくわかった。

■ どんな仕事でもそうだけど24時間365日命を賭けて120%の力で突破しないと事は為せない

 面接ときにどこの店でも言われたのは、

 バイトなんていうのは無理で、レギュラー毎日来てほしい、ということです。

 最初はそんなもんかな、としか思ってなかったんですが、

 ああ、これって大事なことだなって後で気付きました。

 みんな世の中の人はなんだかんだ本気で生きてるんです。

 したくない仕事をしている人もいるし、それでも必死に生きようとしてる。

 そういう人からお金をいただくのだから

 やはり自分甘ったれた気持ちじゃなくて、

 24時間365日命を賭けて120%の力で突破しないと、

 商品を買っていただくお客様に失礼なんだ。

 当たり前の事だけど、そんなことを、生まれてはじめて、身を以て痛感しました。

■ 与えて与えて与えた先にだけ、売り上げがある。

 ホストに限った話ではないと思いますが、

 人と人が接して、

 決して小さくはないお金をいただく仕事に共通しているのは、

 人には自分を認めてほしい、自分はこんな人間なんだ、自分はこうなるべき人間なんだ、

 みたいな「器」があると思うのですが、

 甘えたり甘えさせたり、誰も気付いてない内面褒めたり、構ったりすることで、

 極力その相手の「器」みたいなものを大きくして、

 そこに愛をいっぱい注いで満足してもらったところで、

 相手を俗世間の荒波に戻して、愛がするする摩耗するのを見届ける。

 それで、次に相手が愛を補充して欲しいと思った時には、

 

 その愛には値札がつけてやる。

 その値札がだいたいべらぼうに高いわけです。

 それでも人は、その愛を買う。

 高い値札のついた私の愛を買う。

 骨を折って手に入れるよりは、遥かに楽に手に入る「値札がついた愛」を買うわけです。

 これがホストクラブであれ飲食業であれ学習塾であれ、

 あるいはエステもそうかもしれないけれど、

 そういう接客業の勝負所なんじゃないかなーという気がします。

■ 天職はいましている仕事です。

 仕事をしながらこんなことを学びました。

 それで、私が出した結論は、天職はいましてる仕事だなと思った。

 それは、ホストではなくて、もともとしている仕事

 自分ホストをやることには、なんの使命も競合優位性もないけれど、

 少なくとも自分が今している商売には、使命も競合優位性もある。

 ならその仕事、今している仕事、一度はつまらなく思えた仕事をもう一度本気でやってみようと思えたのです。

 もう一つ思ったのは、

 つまらない仕事なんてものはなくて、つまらない仕事の仕方があるだけだということ。

 どんな仕事でも、降り掛かって来る問題に、

 自分の今までの能力以上の能力を発揮できるような「やる気」「本気」を持って当たれば、

 ものすごく楽しい仕事になる。

 逆に、そういう覇王の色を持たずに仕事をしたら、

 自分はどんな仕事も楽しめない人間になってしまう。

 これはとてもよくないことだなと思いました。

 だから、今している本業で、絶対に結果を出すんだ。

 なにがなんでも面白い仕事のやり方を見つけてやるんだ。

 別の世界を覗いたことで、本気でそう思えるようになりました。

■ そして私はホストを辞めました。

 だからお金に困らない限り、私が水商売をすることはこの先ないと思います

 お金に困って水商売仕事をすることがあったら、

 そのときは、元々のやりかけていた仕事は人に任せるなりして、

 とにかく水商売仕事24時間365日120%の力を持って当たれるようにするでしょう。

 水商売は(お金に困らない限りは)もうしないと決めましたが、

 ただ、水商売で学んだいろいろな考え方や方法論は、

 今の本業にもとても役立つなと思いました。

 たとえば、名乗りを上げる、有名になることの大切さ。

 あっさりしつこく何度も口説き続けることの大切さ。

 これは法人営業では必要不可欠な要素です。

 これを学んでからいままで全然契約がとれなかったのが取れるようになりました。

 あと、出会い系サイトに誘導するTwitterアカウントの運営の仕方とかも、

 個人向けの集客システムを考える上では本当に良く出来た先行事例です。

 飲食業界でも最近流行っている

 ナショナルチェーンではなく一社業態で攻めるやり方にも通じる戦略がそこにはあります

 これからは多分小さいNo.1を積み上げていく形でしか勝てないと思う。

 お客様もそれを望んでいる時代です。

 あと、こういう業界はとにかく顧客中心主義。

 エンジニア自己満足が入る余地がどこにもないので、

 ネット集客という意味では本当に勉強になります

 実際、いろいろ研究してみて、集客改善したら、一気に結果が良くなりました。

 さら勉強して、月に百万人が知って、月に十万人が興味をもって、月に一万人が新しく使ってくれるような

 そんなサービスをつくることを目指して、

 このまま突っ走りたいなと思います

 たまたま商売が行き詰まったように感じて、

 いろいろ寄り道してしまったけれど、

 本当にいい勉強になりました。

 もしこの先の人生成功することがあるなら、

 人生で大切な事はすべて歌舞伎町で学んだ、っていう本を書いてみたいです。

 
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