生まれてすぐ遊泳する能力が必要な、この動物は体内で子供を育む子宮といえる器官をもっていた
特殊なのは、その持ち主で、固着生活の段階に入ったオスの幼生なのである
まだ脳神経細胞の発達していないオス幼生にメス成体が自らの子宮を埋め込む
そしてオス幼生が性成熟した後になって受精が行われてオスが受け取った子宮で育った子供が生まれてくる
免疫の問題もあって幼生が相手でなければ子宮の移植は上手くいかないらしい
マスダアオXムシの祖先種は雌雄同体で相手に栄養負担の大きいメス役を押し付け合う生態をしていたのだが
子宮と卵を作り出す役と体内で育てる役を分担することで雌雄異体に分かれながら雌雄の争いを終わらせたと言われている
増田アースの砂漠に棲息する鉄穴鳥は非常に硬いうんこをする。はるか昔の先祖が大気圏突入に耐えられるうんこから始まった縁であろうか。
うんこが硬いのは食べ物と水分がほとんど含まれない関係であり、鉄穴鳥としては砂漠で貴重な水分を極力外部に排出しないメリットがある。
あまりにうんこがカチコチなので、そのまま肛門の栓として機能しているほどだ。
(擬人化表現をすれば)これに目をつけた虫が増田コロ糞がしだ。
こいつは風で固くしまった砂丘など特に車輪移動のメリットが大きい場所に棲息する特殊な車輪生物で鉄穴鳥の糞をローラーとして長距離を移動し、水場まで持っていく習性がある。具体的には長い第二肢で糞を挟み込み、軸付近をホールド。残りの足で糞を蹴って転がすのである。
糞を水没させれば、キチン質の顎しかもたない増田コロ糞がしでも、糞に含まれる有機物を利用可能になる。時期によっては卵を産み付けることもあるという。
近年、増田コロ糞がしの一種が円筒形をした植物の果実などを利用して移動することが発見された。
植物側にしてみれば増田コロ糞がしを利用することで遠くまで種を運ばせることができるわけだ。
増田コロ糞がしにコロとなる果実を提供する植物の中には、一定の回転数ごとに種を落とし、計画的に種が広がる仕組みをもつ種すらあった。まるで古代の馬車についていた距離計のようである。
両親が雌の富裕家庭が7~8人の卵をすべて孵化させて育てるのに比して
片親が雄でいつづけるような中流家庭は受精させる卵を1~2人に限るからだ。
社会的法的に制限されているにも関わらず、あの手この手で1人の子供を選んで
財産を集中させる試みが見られた。
その場合に財産の大部分を継承するのは「長女」であることが多かった。
早く成長しようと食べすぎて過食症になる者、出世払いしてまで着飾る者、
虚栄心を求める子供であふれかえった。
将来的に雄に戻ってしまうことが知られてからは、この継承戦にブレーキが掛かった。
イキイキマンボウ人社会において、貧乏な雄であることは恥ではないが、
裕福でありながら雄であることは人前に出られないほどの恥なのであった。
冬眠する増田アース人が宇宙に進出し、増田アースに残った人々が
絶滅した後、極度に汚染された環境が生き残った生物に突然変異を強制した。
それは成長にしたがい性別が変化することだ。
動物時代の彼らは身体が大きくたくさんの卵を産める個体が雌をつとめていた。
年収の多い個体ほど雌に性転換しやすかった。最初はみな雄で生まれてくるのである。
実際、一度の産卵数が多いので、経済的に豊かな個体でなければ親は務まらない。
雌と結婚した雄も、配偶者からの経済的社会的影響を受けるため、雌に変化しやすい。
イキイキマンボウ人社会における「普通の家庭」は雌同士が大量の雄の子供を育てるものと考えられていた。
雌は雄にとっていつかなる性別だし、雄は雌にとってかつてなった性別であるから。
一生を雄で過ごすイキイキマンボウ人は抑圧され見捨てられた存在だった。
彼らはいわば「視覚化された童貞」であり、円満な雌×雌家庭を見ては
血涙を流し「おああーーーっ」とエラを震わせるのだった。
増田アース人の冬眠能力は、モレツ帝国の悲劇があったにも関わらず
しかし、時代が下って増田アース人が星間宇宙まで進出しはじめると、
冬眠能力はコールドスリープに応用するためにとても役に立った。
宇宙飛行士の一部は、冬眠能力を殺して身体を酷使しなくなった代わりに
冬眠能力を強引に使って身体を酷使しているだけだと感じていたが。
何故そこまでしなければならないのか、実際にやっている本人たちにも
分からないのだから、増田アース社会に答えの出せるはずもなかった。
簡易コールドスリープ中も増田アース人の生理機能は部分的に働きつづけ、
その結果、うんこをカチカチにした。
寝起きのキャプテンが冬眠能力の社会問題について考え込んでいたのも
彼のうんこは決して飛び散らないよう真空の力で宇宙空間へ吸い込まれていった。
むかしむかし、モレツ帝国勃興前。増田アースのある国に、蛮丁と呼ばれる大王がいた。
彼には言語能力に問題があり、意味不明の一言しか発することができなかった。
この時代はまだ文字もなかったから、絵と語調だけで家臣に意図を伝えるのである。
自分は奇妙な暑苦しい格好をしており、四角い白い箱の前で娘がしゃがみ込んで作業していた。
「!?」
その姿に何やら衝撃をうけた蛮丁は寝起きに急いで絵を描くと、
「パンティー!」
と大臣たちに絵をつきつけて娘を探させた。
草の根を分けて捜索された絵に似た娘はなぜか蛮丁の意図を正確に察することができた。
彼女は蛮丁の夢に従って、よくわからない作業をさせられることになった。
この娘のすごいところは夢の意味不明な行動に意味を見つけ出して、ついには文字なき国に書類処理を導入したことであった。
「パンティー(昇進だな)!」
こうして娘は位を極め、令尹の地位にまで登りつめたという。
なお、蛮丁は新発明の文字を読めるようになったが、やはりパンティーの一語しか書けなかった。
テイジー同盟成立以来ずっと続いてきたともいえる
地軸がこけた。
そのため、地軸は傾きを安定させるウエイトに欠け、大きく変動する定めにあった。
戦争中も少しずつ少しずつ傾いていき、ついに文明の限界を超えた。
鯖鰈漁に出た漁師が悪態をつく。成立時点から漁業への依存が強かった増田アース人の文明は
やっぱりそれは冬眠を捨てていた悪影響だった。
最初から無理をしていた人々は、さらなる無理に耐えられなかったのだ。
生産量の低下に輸送をはじめとする社会システムの破綻がくわわり、
人民の冬眠時期を調整して食糧不足を緩和するなどの手を打った。
彼らが奮闘したおかげだった。
なお直接的な脅威がなくなったおかげで、モレツ帝国は「冬眠という呪い」から
攻めあぐねるモレツ帝国に対して、テイジー同盟も有効な反撃ができているわけではなかった。
建前では彼らは全知的生命に自由な冬眠をもたらすことを国是としていたが、
赤道地帯の縦深を突破して、モレツ帝国の中枢に迫るだけの国力に欠けていたのだ。
皮肉にもゆいいつモレツ帝国転覆の可能性があるのは、帝国赤道派遣軍の反乱であった。
そして、リゲイーン赤道要塞で起こった反乱は未曾有の規模にふくれあがった。
しかも、半年間動かなかった。彼らが何をしていたのかと言えば。
寝てた。
心配そうなテイジー同盟の軍使に反乱軍の司令官は快活に答えた。
物心がついてから初めての冬眠を経験した兵士たちは清々しい気持ちで北へ向かった。
半年間の待機にはテイジー同盟と交渉して補給を受ける目的もあった。
反乱軍の司令官はテイジー同盟の指導者たちが冬眠から覚めるのを待ったのだ。
鏡の国において禁じられた行為が、それぞれ特権となるのであった。
彼らは一昼夜の奮闘の末に壊滅した。
テイジー同盟軍が増田アースの反対側でおこなった助攻勢がもっと大規模であれば、
違った結果が得られたかもしれない。
壮士去って復た還らず。
モレツ帝国とテイジー同盟が接触したとき、国力においてモレツ帝国は圧倒的な優位に立っていた。
その差を埋めた要素の一つは、強制的な冬眠打破によりモレツ帝国内部で社会不安が増大していたことだ。
特に過酷な赤道地帯勤務に不満をもつ兵士は多く、反乱の温床になっていた。
赤道地帯での勤務にはセックスアピールとなる長い毛を短く刈らねばならないことも彼らの不満を強めた。
仮に征服に成功しても遠征軍がそのまま反乱軍と化すことを帝国政府は危惧せざるを得なかった。
一方のテイジー同盟は語り継がれてきた帝国の脅威を一体感の糧にした。
それだけではなく、一年中仕事をせざるをえない赤道地帯の防人を
冬眠が必要な兵士はかわりばんこに高山に登り、長く深い眠りにつくのだ。
こうしてテイジー同盟軍は北の防人の士気を一定に保つことに成功した。
サケ(類似生物)漁により富を蓄え貧富の差が拡大した文明の中から
隣国が寝静まっている間に、襲いかかった侵略者は内分泌系の異常により
凶暴化しており、下痢に苦しみながら暴れ回った。
あわれな隣国はまどろみの中で滅亡した。
そんな事態がまたたく間に繰り返され、最初の世界帝国「モレツ」が誕生する。
だが、知的生命本来の生態をうらぎる生き方をよしとしない人々は、
モレツ帝国に奴隷労働を課されながらも、氷と木屑から船を建造。
こうして誕生した増田アース南半球側の「テイジー同盟」と北半球側の「モレツ帝国」は、
数少ない通過点となりえる大陸西側(増田アースは地球と同じ方向周りである)の
寒流帯を焦点として永劫にも思われる角逐を開始した。
材料(二人前)
増田南蟹:二杯
野菜:700g
しょうゆ:塩分控えめに
酒:無理強いしない
みりん:ほどほどに
塩:これでもかと
実の部分がまったくない御所貝ですが、がんばればダシにすることは
可能ですので、増田南蟹とあわせて鍋にしていただいてみましょう。
まず御所貝をよく洗い、御所貝同士のつながりを明らかにします。
牛刀をもちいて接続部をたたききります。このとき本体の殻を傷つけないように。
水800ccを張った鍋に入れて弱火に掛けていきます。
アクとかはまったく出ないのでとる必要はありません。
殻がくぱぁしたところで御所貝をすべて取り出し、調味料を加えます。
綺麗に二つに分かれたら、さらに乾煎りし、別々に細かく刻みましょう。
火の通りにくい野菜も一緒にいれましょう。
しんなりしたら完成です。
食べる直前に爆薬味となるニダンバッタの粉Aと粉Bをあわせて振りかけます。
二人前ですので冷めないうちに一緒に食べる相手を捜してください。
御所貝
http://anond.hatelabo.jp/20160918224022
増田南蟹
送りバントが上手そうな名前の虫、ニダンバッタには秘密の技があった。
なんと空中でさらに跳躍、というか進路を変えることができるのだ。
名前にバッタとつくが羽根のない虫であるニダンバッタは空中で動くため羽根の代わりに、
「うんこ」を利用している。
具体的には大質量の「うんこ」を高速で肛門から射出することで反作用を得て、
空中疾走するのだ。
緊急時に分泌されたそれらが反応することで爆発する。
この化学反応はニダンバッタの仲間が「おなら」として、天敵を撃退する目的で使っているものを応用していた。
そのためニダンバッタを追いつめた天敵は四散したうんこを正面から浴びることにもなりかねなかった。
実際、爆発の破壊力はすさまじく。うんこだけではなく、内臓の一部も飛び散っている。
瀕死でも子孫を残すことができれば二段ジャンプを会得するインセンティブは働く。
モコモコした褐色の足場に飛び移った。
と、動かないと思われた「足場」の持ち主がすばやくニダンバッタを食べてしまった。
手羽の先端に唐揚げを思わせる疑似餌をもっており、寄ってくる虫を補食する生態をもっている。
仲間のチキン類と同じく飛翔能力が低いため、「待ちの狩り」を得意としているのだ。
紫外線で観察すると虫が好む各種の花のおしべを精巧に模していた。
花粉を食べようと飛び移ったニダンバッタは自慢の二段ジャンプを行う隙もなく、
しかし、たまに運の悪いナゲキ鶏が口内でニダンバッタの液体火薬を反応させてしまい、
文字通り「爆発を味わう」ことはあった。
増田アースにおける陸上胎生動物の歴史は奇妙な形ではじまった。
そもそも、陸上から水中にもどった肺呼吸生物が一生を水中で送る場合、
胎生を獲得することが必要となる。
たまたま海退に取り残された彼らが再上陸を果たす形で増田アースの陸上胎生生物は誕生した。
前足はヒレの形で残っていたが、後ろ足は退化が著しかったため、
彼らが四足歩行に戻ることは困難だった。
代わりに立派な尾が橇の役割を果たして前足に引きずられる体の抵抗を減らした。
その際に胎児が押しつぶされる危険があるため、そいつは背泳ぎの形になった。
そんな奇妙な光景が現出する。
優勢な卵生陸上生物がいない新しい陸地に生まれたことが彼らに幸いした。
尻尾の轍は代々深く堅くなっていき道になった。
御所貝は貝と名前がついているが、軟体動物ではなく、腕足類の仲間である。
腕足類は翼型と形容される非対称の殻をもっており、
この殻で水流をコントロールすることでザコナメクジウオの死骸などの
水流の強さや餌にあわせて彼らの形状は最適化されており、
単体ではなく群生の相互作用によって水流を高度にコントロールしていた。
互いが互いの口元に水流を呼び込むことでWIN-WINの関係を築く、
長い箸でごちそうを食べる天国みたいな関係。そうして海底の「御所」を広げる
――と言えば聞こえはいいが、現実には複雑な自然を相手にしているゆえに、
位置によって得られる利益には格差があり、面倒くさい序列が存在していた。
新入りの御所貝は古参の御所貝に多くの栄養を提供しなければならず、次の新入りが来てやっと大きな利益が期待できる。
かくして不労所得を楽しんでいた御所貝たちは互いのコミュニケーションに消耗し、最大の利点を失った。
地軸が容易に横転する増田アースにありがちな環境の激変に対応しようにも、
自分たちの関係が第一に接する高コストの環境内環境になってしまっていた。
それが彼らの衰退の原因であったという。