カテゴリー 「増田アース」 RSS

2016-08-19

[]月のない海

 増田アースに大きな月はない。たまに近傍小惑星捕獲されて小さな月になる程度である

 すると何が起こるかと言えば、潮汐の原因が恒星限定されるため、

潮の満ち引きのタイミングが単調になる。

海岸の地形にも影響されるが、零時と十二時より少し後の時間がいつも満ち潮になるのだ。

 しかも、二つの天体の引力が重なることがないため、大潮や小潮などの変化も存在しなかった。

 海の生き物は潮の満ち引きに影響されて産卵などをおこなっているのだが、

潮汐の単純な増田アースでは、これも単調にならざるをえなかった。

 結果的生物活動タイミングが被って海の中は幻想的な大混乱になる。

素数ゼミ的な回避方法はあるものの、それだけではいかんともしがたいところがあった。

 結局、ベントスたちの産卵と放精、巣立ちのタイミングが被りまくり、過度に雑種誕生やす環境になっていた。

増田アースに大きな月がないことは種の多様性にとってブレーキなのだった。

 でも、そんなの関係ねえ生物も中にはいる。

増田南蟹もその一種であり、腹に抱いた幼性を海中に放つタイミング子供たちの育ちかた次第。

生き残りやすい時期も何も考えていない。雑な生物だった。

 そのおかげで意外に有利な時期にあたって進化可能性を開く場合もあったが、

うんを天にまかせて放り出される小蟹たちにはたまったものではない。

 ただし、行動パターンが読めないマスダナンカニの幼生を専門的に付け狙う捕食者は少なかった。

之の字運動無意味に思える小さくランダムな変針も、行動を読ませない役には立つみたいなものか。

 もちろんマスダナンカニにも天敵は存在する。

特におそろしいおそろしいのが鯖鰈である。常に増田海を徘徊している鯖鰈は口に入るものなら何でも食べてしまう。

 マスダナンカニには若干の毒もあったのだが、鯖鰈は腹を壊した獲物を食っても、自分は腹を壊さない。

知的生命体の無思慮な活動によって生成されるspamのみが鯖鰈の胃袋にダメージを与えることができるのだ。

 鯖鰈は海に送り出されたばかりの増田を食い荒らし、ついでにマスダナンカニ本体も食らう。

この怪魚から逃れることな不可能であった。

 他にも月のない海には悪食派の生物が満ちあふれていた。

一方、陸には毎日野菜350gしか食べない偏食派のシマウマがいた。

シマウマにしては少なすぎであり消化器系に秘密があると思われるが、それはまた別の話である

http://anond.hatelabo.jp/20160808221953

2016-08-14

[]その時、地殻が動いた

 キャプテンうんこ宇宙漂着した時代増田アースには大陸地殻がなかった。

 しかし、それは陸地がないことを意味しない。

代わりに同年代海洋地殻同士がぶつかりあってできた陸地がわずかに存在した。

プレートテクトニクスの発達した惑星であれば、年老いた分重く厚くなった海洋地殻の方が沈み込むのだが、

若い増田アースでは同年代の厚さの似通った海洋地殻が多く存在した。

彼らはマグマオーシャン時代にあった対流の慣性に押されて、

あるいは冷却にともなう増田アースの収縮の力を受けて、

押し合いへし合うことを強制されていた。

 ジャバラのごとき、黒い地殻衝突現場では山が陸地となり、谷に海水進出し、入り組んだ地形を形作っていた。

 地殻変動によってたくさんの割れ目岩盤にはしり海水と新鮮な岩石が反応して水素を生成した。

 あるいはモリモリと熱水噴出口の煙突が成長する。

 新しい栄養源をもとめていた宇宙漂流最近の一部は、海水に溶け込んでいた星屑うんこをせっせと消費しながら、

性質を変化させ、これらの約束の地にたどり着いた。

 そうして、うこん色の海が自分たちおしっこで満たされる中、光合成発明するまで細々と生きていくのである

 陸地によって複雑に分断されつづけるジャバラ地形は微生物分化をうながし、

後世の多細胞生物の発展につながる蓄積をもたらした。

 やがて起こる「正常な」プレートテクトニクス微生物たちが偏った場所にひたすら排出した

うんちの重みではじまったとか、はじまらないとか。

 いわば増田アースは巨大な水洗トイレである――溶岩トイレというべきか。

http://anond.hatelabo.jp/20160703202951

2016-08-08

[]敗者復活

 海中における最強者地位から転落したアノマロカリス類似生物の仲間は、その体格をどんどん小さくしていった。

 最盛期には2mに迫っていた最大種の体長は完全に海サソリの餌に落ち着く頃には30cmを下回っていた。

 それでも生きている限りは生きていかなければならない。

 不運にも触腕をもたずに生まれてきたあるアノマロカリスモドキは

先祖伝来の高速性をひたすら逃げることに利用して生きてきた。

 ある時、彼女雑魚ナメクジウオの群による海面の暗さから方向を見失って

サソリから逃れ、海面を割って空中に飛び出してしまった。

 そして、複雑な生物で初めて空を飛ぶ動物になった。

 水中で培われた高速性に、遊泳に優れたフォルム三次元運動を処理するのに慣れた頭脳

アノマロカリスモドキの飛行(滑空)を支援した。地面効果も揚力を補った。

 空飛ぶアノマロカリスモドキの姿はまるで宇宙船のよう。あるいはモビルアーマーであった。

 やがて彼女意図的に飛行をするようになり、子孫は自分たちで作り出した水面上空のニッチ支配した。

食料となるのはもちろんオキアミなみに豊富雑魚ナメクジウオ。なぜなら彼らもまた特別存在からです。

 口の周りに雑魚ナメクジウオを漉しとって食べる白い小さな触手を無数に生やした空飛ぶアノマロカリスモドキ。

ヒトは彼らのことをマシュマロカリスと呼ぶ。

http://anond.hatelabo.jp/20160804122512

2016-08-04

[]ナメクジ海にかえる

 陸上繁栄を極めた種の多くがするように、雑魚ナメクジの仲間も一部が海への回帰を試みた。

 当時の海中は節足動物的な動物先祖にあたる動物ブイブイ言わせていた時代

 アノマロカリス類似生物と海サソリ類似生物仁義なき生態系の頂点争いを日々繰り広げており、多くの種が戦々恐々としていた。

 海サソリモドキがアノマロカリスモドキの触腕をハサミで押さえ、

尻尾のトゲでマウントパンチする戦法を発明すれば――

そのために、海サソリモドキの尻尾の可動域は地球の陸サソリ並になった

――アノマロカリスモドキは捕獲を避けるために高速化を押し進め、

触腕を二本の長い角と化す。

 そして発達させた視力で遠くから猛ダッシュし、マウントサソリを串刺しにした。

 雑魚雑魚ナメクジがこの戦いに参入できるはずもなかった。

だが、彼らの存在生態系の頂点争いに決定的な役割を果たすことになる。

 海上では雑魚ナメクジの気温調節能力は水の膨大な熱容量に邪魔されて機能しなかった。

そこで雑魚ナメクジ背中の模様を海中に向けることにした。

まり雑魚ナメクジウオ(仮)は背泳ぎをしていたのだ。

 カウンターイルミネーションと言って地球の表層付近に生きる海洋生物は下に向けて発光し、

捕食者が明るい海面を見上げたときの「影」を薄くする方法を発達させている。

 しかし、原始的雑魚ナメクジウオにルシフェリン・ルシフェラーゼ(特にルシフェリン)をいきなり創り出すことはできず、

捕食者ではないので数少ない発光生物からルシフェリンを奪うことも難しかった。

 代わりに雑魚ナメクジウオ背中の模様を様々に変化させて、群れで泳ぎ、輪郭を誤魔化す方向に進化した。

 おかげで海中から見上げた雑魚ナメクジウオの群れは巨大な一個の生物みえた。

学習するまではおいそれと手を出せる相手ではないし、弱いことを学習した後も、その性質から追撃が難しかった。

 さら進化した雑魚ナメクジウオは、おそわれた瞬間に一気に白くなり、捕食者に消えたような印象すら与えるのであった。

 彼らの葉緑体も多くは背中にあったが、海面付近拡散光を利用して光合成を行った。

また、代を経るごとに腹側に移動していった。

 このような手法で海面付近ニッチを獲得した雑魚ナメクジウオは海中に大きな影を落とした、物理的に。

そのために、視力に頼る部分が大きいイッカクカリスは目の威力制限されて、マウントサソリとの争いに敗れることになる。

 そもそも直接対決より被食動物の奪い合いが大切なのに、

イッカクカリス個体戦闘力の強化に走りすぎたのであった。

 なお、海面で死んだ雑魚ナメクジウオ死体排泄物深海に降っていき、

そこに新しい生態系を築こうとする動物たちの糧となった

 それをそのままマリンシットと呼ぶことを知っとこう。


http://anond.hatelabo.jp/20160730174226


次回嘘予告「海の魔物ラーゲンの逆襲(コラーゲンたっぷり)!!」

2016-08-03

[]我らをめぐる元素

C「よう久しぶりだな兄弟。この前、海洋プレートごとマントルに引き込まれて以来だから、かれこれ7000万年ぶりか?」

H「再会するときダイアモンドになっているんじゃなかったのか」

C「うっさい。地上でナメクジ共のうんこになりまくるよりはマシだい」

P「ガスになって脱出するチャンスがあるCはまだ恵まれている……」

N「俺なんて、せいしが入ってきたせいで、おならになったと思ったら、今度はせいしが出て行っておしっこだぞ」

C13「お前らはまだいいよ。あいつら何度も何度も短期間で俺のことを使い回しやがって……」

H「熱帯雨林のC同位体か」(上層で電離して宇宙に飛ばされそうになったとは言いにくい雰囲気だな)

C13「チクショーメ!」

Siおっぱい、ぷるーんぷるーん!!」

C12・C13・元C14「「偽乳はだまってろ」」

O「うるさあい!!おまえら全員デトックスしてやる!うんこになるより肛門になるほうがつらいんだぞ」

http://anond.hatelabo.jp/20160730174226

2016-07-30

[]ナメクジワールド2

 賢いエスカルゴ創造した調和は、捕食者の赤いドラゴンではなく、

賢いエスカルゴ内部から改革者によって乱された。

 すなわち、ちょっとだけ余分に黒いうんこをする新種の誕生である

この腹黒いエスカルゴは耐暑性をもっていて、余分に黒いうんこ環境温度を最適のものより高くすることで、

相対的に暑さに弱い賢いエスカルゴたちを駆逐した。

 時を同じくして北の陸地では余分に白いうんこをする酷薄エスカルゴ誕生していた。

彼らはもちろん耐寒性をもっていて、我慢大会で同種を打ち破った。

 こうして似通った生存戦略分布を広げた二種類のエスカルゴはついに温帯で激突した。

腹黒いエスカルゴが黒いうんこをひれば、酷薄エスカルゴは白いうんこをひる。

汚いスプラトゥーンオセロで、両者は互いに消耗しきり、

僻地にしぶとく生き残っていた雑魚ナメクジが体色を灰色に固定して漁夫の利をえた。

殻のない彼らが増えれば手のひら状の目のない肉食動物「赤いドラゴン」が増殖する。

 こいつは「何か」が赤いアメーバに食われかけているように見える奇妙な動物だが、中心部の「何か」が本体である

赤いドラゴンが増えれば、そのチャームポイントである爪が立たない殻をもつエスカルゴ属に分布拡大のチャンスが訪れる。

 こうして延々と繁栄と衰退のシーソーゲームが繰り広げられる中で、徐々に多様性が増していった。

 なお、大陸南半球側では平和的に進化が展開していて、殻の上部が半透明になっていて

効率的日光葉緑体にあたえる「温室エスカルゴ」などが誕生した。

葉緑体の側がエスカルゴ支配していたのかもしれなかった。

 また、ナメクジとの共生を辞めた藻類――あるいは別個に上陸した藻類が、

ナメクジエスカルゴうんこを基盤に新顔の菌類と協力して直径50cm、高さ3~4mに達する塚を築いた。

 いつのまにか土壌が誕生していたのである

 褐色のそれは、まるでそびえ立つうんこだった。

http://anond.hatelabo.jp/20160728222015

2016-07-28

[]ナメクジワールド

 この世界最初上陸したのはナメクジだった。正確にはナメクジ様の単純な動物であった。軟体動物に属するナメクジはかなりの高等動物である

ナメクジモドキ:Limacidae Pisciculosは、さながら巨大なミドリムシ動物でありながら光合成能力を持っていた。

 そして、外敵がいない先駆者の利点を活かして、恐ろしい密度で大地を満たした。

 雑魚ナメクジたちには葉緑素のほかに、体表にあるメラニン色素のつまった膜を広げたり畳んだりして体色を変える能力があった。

寒い地方雑魚ナメクジは膜を広げて光を受け、暑い地方雑魚ナメクジは膜を畳んで白い肌で光を反射した(紫外線の波長域には別の対応をした)。

 ナメクジモドキはあまりに高い生存密度から、周辺の気候にすら影響を与え、

日光を吸収・反射することで寒い地方の大地は黒く暖かく、暑い地方の大地は白く涼しくしていた。

 遥か高空からみた大地は灰色に染まっていたが、ズームインすれば、それはうぞうぞと蠢いているのであった(想像しないでください)。

 だが、雑魚ナメクジ繁栄は長くは続かなかった。

 彼らを追いかけて獰猛な捕食者が上陸したのである

それに対抗するための「殻」の再発明さらに大きな悲劇をもたらした。

いちど作られてしまえば愚かなエスカルゴたちの殻の色を変えることは不可能だった。

そもそも捕食者から目立たない色にする必要があった。

 そんなわけで雑魚ナメクジの優れた環境制御機能は失われ、

地上は寒い地域は寒く、暑い地域暑い過酷世界に戻ってしまう。

 数百万年後にこの苦境を救ったのが、新種の賢いエスカルゴEuhadra callidusの誕生である

賢いエスカルゴ溶岩を噴出させたり、大気中の水蒸気量を操ったりする能力があったわけではない。

ただ、賢いエスカルゴは、うんこの色をコントロールすることで環境制御に挑戦したのだ。

寒ければ黒いうんこをひり、暑ければ白いうんこをひる。

こうして、大地のアルベドコントロールし、気候を穏やかにする。

 雑魚ナメクジと違って体表の葉緑体にも影響されないため、賢いエスカルゴはより徹底的な白色で世界を塗ることができた。

 宇宙空間から増田アースを見た時、大陸気候帯に合わせて白から黒のグラデーションに染まっていた。

そして、白から黒のグラデーションによって気候が変化させられていた。

 とても美しい光景であった。

 このように雑魚ナメクジも賢いエスカルゴ奇跡的な生物であったが、

後世の古生物学者に体表の色や排泄物の色をつきとめるのは難しく、

たんなる原始的動物として這い跡や殻が記載されるに留まるのであった。

http://anond.hatelabo.jp/20160703202951

2016-07-03

[]千夜一夜うんちの旅 マスダサバコリー:death6coin作

 核融合エンジンの噴射は艦橋区画重力微妙に変化させつづけていた。

新米航宙士なら尻ではなく口から食べた物を出してしまいである。

 しかし、宇宙空間の長距離輸送になれた乗組員たちの大腸はいたって快調。

キャプテンは?」

トイレでうんうん唸っていましたよ」

 航法士の質問に、機関士が答えた。ちょうどトイレからキャプテンが出てくる。

「ふーっ、手強いうんこであった。さすがは我が輩のうんこダイアモンド並だな」

ちょっと、配管をつまらせないでくださいよ」

「フフッ」

「いや、否定してくださいよ……」

艦長だけに浣腸必要、なんちって」

 ゴゴン

 絶対零度の衝撃に、ひときわ大きく加速度が変化して、機関士は顔色を変えた。

「本当に不調だ」

 宇宙船核融合エンジン反動推進のために、核融合反応でうまれヘリウムや未反応の水素にくわえて、

徹底的に脱水したうんこや廃グリスなども合わせて後方に「蹴っ飛ばして」いた。

 通常なら超高温を浴びてバラバラになるところだが、幸運うんこエンジンの不調によって

形状をたもち、宇宙船慣性に乗って高速で飛び出した。

艦長ダイアモンドうんこに含まれ微生物たちは真空と極低温によってフリーズドライにされ、

文字通り天文学的時間宇宙空間で過ごした。

 やがてある惑星の引力に運良く捕まったうんこはその地表に落ちていった。

おならのように臭い大気を横切って、おしっこみたいな水たまりに池ぽちゃした元うんこの中の微生物は永い休眠から目覚め、活動を再開した。

うんこうんこー」

 だが、すでに多くのうんこ仲間が息絶え、真空や低温、放射線に強いエリートうんこ細菌けが生き残っていた。

殻となる物質を周囲に生成させた賢いエスカルゴなうんこ細菌もいた。

 未知の土地で彼らの箱船がもっていた栄養源はあっという間に尽きてしまう。

別の新しいうんこを求める細菌たちの冒険がいまはじまる。

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