遙か後世に寒鰤屋紀と――アマチュア地質学者の職業から――呼ばれる時代において
海底を這い回る生物たちは穴を深く掘る能力を獲得した。
その理由については餌をえるためや身を隠すためなどがあげられるが、
忘れてはならないのは、うんこの問題である。
寒鰤屋紀に初めて現れた捕食者は、海底をのろのろ這い回る生物をねらうときに
海中に拡散するうんこの粒子をたどった。
彼らもまだ目を獲得していない時代であり、このようなセンシング能力が非常に有効であった。
うんこの痕跡を次々とたどっていけば必然的にのろまな獲物をみつけることができる。
未来でも通用する狩猟の初歩テクニックである。
このような死活問題にたいして、被捕食者の一部は海底に穴を掘り、
そこにうんこをする方法をひりだした。
これでうんこの粒子拡散は格段に減り、彼らは狙われにくくなった。
捕食者が別の方法を開発するまでの一瞬のことではあったが……。
そのため自作のトイレにうんこを放り投げる底生生物のことを「便トス」と呼ぶ。
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