はてなキーワード: キチン質とは
増田アースの砂漠に棲息する鉄穴鳥は非常に硬いうんこをする。はるか昔の先祖が大気圏突入に耐えられるうんこから始まった縁であろうか。
うんこが硬いのは食べ物と水分がほとんど含まれない関係であり、鉄穴鳥としては砂漠で貴重な水分を極力外部に排出しないメリットがある。
あまりにうんこがカチコチなので、そのまま肛門の栓として機能しているほどだ。
(擬人化表現をすれば)これに目をつけた虫が増田コロ糞がしだ。
こいつは風で固くしまった砂丘など特に車輪移動のメリットが大きい場所に棲息する特殊な車輪生物で鉄穴鳥の糞をローラーとして長距離を移動し、水場まで持っていく習性がある。具体的には長い第二肢で糞を挟み込み、軸付近をホールド。残りの足で糞を蹴って転がすのである。
糞を水没させれば、キチン質の顎しかもたない増田コロ糞がしでも、糞に含まれる有機物を利用可能になる。時期によっては卵を産み付けることもあるという。
近年、増田コロ糞がしの一種が円筒形をした植物の果実などを利用して移動することが発見された。
植物側にしてみれば増田コロ糞がしを利用することで遠くまで種を運ばせることができるわけだ。
増田コロ糞がしにコロとなる果実を提供する植物の中には、一定の回転数ごとに種を落とし、計画的に種が広がる仕組みをもつ種すらあった。まるで古代の馬車についていた距離計のようである。
スズメバチは一年間のサイクルを繰り返す。つまり、女王が生まれ、女王が巣を作り、滅びる。これを繰り返すのである。
いやしかし滅びるってなんなんすかという話であって、勿論字義通りスズメバチの巣は最終的に滅びるんですけど、その時に一体何が起こってるのかについてはあんまりよく知らない人もたくさんいると思うわけです。実際のところ、スズメバチの巣が滅ぶ際には色々常識を超えた現象が起こっています。
女王蜂が巣を作り始めるのは四月とか春の時期で、まあ色々とその時にも障害があります。そもそもきちんと巣を作ってコロニーを形成できる女王は複数いる女王の内の数%程度に過ぎないという説もあるくらいで、巣作りが失敗する理由としては、例えば純粋に病気とか栄養不足のほか、天敵に狙われてしまう場合など色々あります。原理的にコロニーを形成したスズメバチには殆ど天敵はいないのですが、つまりは翻って言うならば、彼(女)らの天敵になり得る存在はスズメバチ自身です。
面白い生き物がいまして、これをチャイロスズメバチと言います。
チャイロスズメバチの女王は基本的に自分で巣を作らずに、他の巣を作ろうとしているスズメバチの女王を襲い、巣を乗っ取ることによって勢力を持つのです。チャイロスズメバチはキチン質の硬い表皮(カブトムシなどと同質)を持っており、よほどのことが無ければ他種のスズメバチの毒針はチャイロスズメバチの表皮を貫通しません。勿論その他の噛みつき攻撃などにも耐性があるので、少数の例外はあれどチャイロスズメバチの女王はなんなく他の女王から作りかけの巣を乗っ取り、あげく成長した働き蜂をフェロモンで支配してその後の巣の運営の為に馬車馬のごとくコキ使ったりするのです。怖いですね。
いずれにせよ色々な障害のために巣作りが失敗することもあるのですが、上手く発展の軌道に乗る巣も当然存在しています。で、そういう巣は爆発的に発展して人間の目の敵になったりするんですけれど、上手くいけばその巣は十月頃まで発展します。逆に言えば、十月が彼らの滅びの始まりとなるのです。
秋から冬にかけて純粋にスズメバチの食物がなくなるので巣は滅びへと向かいます。その過程では女王殺しが行われる場合もあります。
女王は年老いてくると新しい女王に据え替えられる場合もあり、その際に働き蜂から追放され、悪ければアレされます。この女王殺しが起こる条件には色々あるようなのですが、一説には遺伝子的多様性の確保のために女王殺しが行われるそうです。つまり、複数の女王の血統からなるコロニーでは女王殺しが行われないのに対し、単一の女王の血統のみからなるコロニーにおいては女王殺しが起こりやすいのだそうなのです。どうやら、単一の女王のみが働き蜂を産み育てることで、遺伝子的多様性が崩壊するのを恐れる傾向が、働き蜂にはあるのですね。子の心親知らずというか。逆に言えば、遺伝子的多様性が担保されている場合にはある程度円満にコロニーは運営されます。
いずれにせよ冬に掛けていかなるスズメバチの巣も滅びへと向かいます。基本的には、その際に生き残るのは新しい女王蜂のみです。この新女王蜂は木の虚とか比較的越冬しやすい場所で来春までの時を過ごします。翻って言うならば、そのような女王としての素質を持っていない働き蜂は皆滅ぶことになるということです。
ここで疑問を持つ方もいるかもしれません。つまり、女王蜂と同じように働き蜂も越冬すればええやんけという話です。何なら女王が木の虚とか堆肥とかそのテの越冬しやすい場所で年を越せるのであれば、コロニー内の風通しの少ない場所で働き蜂らもある程度なら越冬できるはずなのです。しかし、そこがこのシステムのミソで、要するに新女王を除いて全ては滅びるようになっています。
スズメバチは社会性昆虫なので、一度コロニーを形成してしまえば基本的に大型の猛禽やクマなどの肉食動物を除いて天敵が存在しなくなります。例えばオニヤンマやシオヤアブ、雀などの鳥類が一時的にスズメバチを打倒できるとしても、数百匹の群れを成すスズメバチに対抗できる動物はさほど多くありません。つまり、繰り返すように基本的にスズメバチにとって天敵は存在しないのです。
となれば、何故スズメバチの個体数はそれほど増加せずに、ある一定の値を保ち続けているのだろう――そういった疑問を持つ方もいるかもしれません。勿論、季節のサイクルにおいてスズメバチの生存が難しくなることは先述の通りなのですが、女王蜂が越冬できる事実から言って、他の働き蜂が皆滅びる運命にしかないと断じてしまうことには些か違和感を持つ方もいるかもしれません。女王が生き残れるのであれば、全体とは言わずとも一部であれば来春まで越冬する働き蜂もいるんじゃねえのという話です。
とは言え、それは現実には殆ど起こりません。全く起こらないというわけではないのですが、まずもって起こらないのです。
それは、スズメバチの一生のサイクルには死というシステムが組み込まれてあるからです。
次に話すのは周知の事実ですが、基本的に子孫を成すのは女王だけで、一般の働き蜂は子孫を成すことができません。当然交尾のための行動も行わないのです。何故ならば、彼女たちは女王の分泌するフェロモンによって生殖能力を制限されているからなのです。女王の持つ権能はそれほどまでに及びます。
しかし、女王もまた定命のものです。時を経れば経るほどに、その肉体的な能力は弱体化します。つまり、その際には女王の出すフェロモンの分泌能力にも翳りが生まれるのです。
女王の出すフェロモンには色々な種類があって、まずは先述の生殖能力を制限する目的のもの、それから、働き蜂らを統制するためのフェロモンです。彼女らが何故馬車馬のようにあくせく文句も言わず働いているかと言えば、女王の出すフェロモンが彼女らを統制しているからに他ならないのです。では、そのフェロモンを出す能力に翳りが生まれるとどうなるのでしょう?
そう、スズメバチの巣には内乱が起こります。巣の内部にいる働き蜂は、万民の万民に対する闘争状態さながらに攻撃を開始します。その攻撃の対象は、女王、幼虫、蛹、全てに及び、そこに見境などありません。彼女らは暴走し、一切を食い尽くし、全てを破壊していきます。新女王蜂だけが先見性を持ち、その内乱から脱出し次の巣を作るという使命を持って行動することができるのです。つまり、スズメバチの巣においては、仮に気候条件が彼らの味方をしようとも、女王のフェロモンの効果が薄れるにつれて必ずや内乱が起こるようになっているのです。そのため、彼らは気候条件の云々によらず、必ず滅びる運命にあるということなのです。
そんなこんなで、彼らは新女王を除いて滅びます。その血統のレースは一時中断し、新女王が次のコロニーの制作に低確率で成功するまでは、その成否は保留されることになるのです。
スズメバチは基本的に世界最強のハチであり、さしたる天敵さえも持っていません。それにも関わらず彼らがその個体数を爆発的に増加させないのには、そのような理由があったのです。言わば、彼らの生命サイクルには、内乱と死が含まれているのです。その死が彼らのシステムに含まれていることによって、その個体数は増加せずに済んでいると言えるかもしれません。
以下の文章は私見となるのですが、あるいはこれは自然の生態系というシステムが破綻を来さないために設けた、一つの安全装置のような気がします。ある種の強大過ぎる種類が個体数を増やしすぎないという、生態系に必要な機能のコア部分が、スズメバチの生態というシステムには凝縮されているように思えるのです。