はてなキーワード: 人工肛門とは
父が末期癌になりました。
直腸癌で昨年手術し、その後転移してしまい様々な状況から手術で取り除けない為、この先は延命治療となります。
入院予定ですが、今は面会禁止となっていて入院したら母も会えません。もちろん東京の私はずっと会っていません。
私が最後に会ったのは2019年お正月で、父は正月が誕生日なので一緒にお祝いしました。
その時には癌とはわかっていたものの、手術をすれば問題ないという話で、まだまだ元気だったと思います。
その後、夏に帰る、秋に帰る、冬に帰る、と言い続けるも帰らず…職場でも父を心配してくれていましたが、仕事を優先してました。放射線治療がうまくいったという話だったので安心していたのもあって、あっという間に2020年。ようやく「春に帰ろう!」となったところでコロナ禍となりました。
この時仕事放り出して帰らなかったのは、「たいしたことじゃない」ということにしておきたかった、というのもあると思います。悪い方に捉えるのがずっと怖かったので、そんなに今までと変わらなくても大丈夫だもんね?という気持ちでした。
東京から遠いところです。仕事が激務なこともあり、元々年一くらいの帰省でした。
病人に会うなんて言語道断、東京から帰ってきたら誰に何を言われるか、もしその所為でお父さんに何かあったら、、、などなど母からマシンガン反対に遭い、手を尽くして帰ったところで母の心労が増えそうだったので見守っていました。
こんなにコロナ長く続くと思っていなかったし。
今年に入って、癌が悪化しました。切除手術してオストメイトになることが決定。
ここでも切れば大丈夫という話で、オストメイトの便利グッズないかな?と探してみたり、入院用にちょっといいパジャマ送ってみたり、ゴルフ始めるからリハビリ頑張って一緒に回ろう!と約束したり、どうにか前向きにしていこうと家族みんな思ってました。恐らく父も。あんなに人工肛門嫌がっていたのに、「かえって食欲増して太ってしまうかもな!」「大きめのパジャマで良かったわ〜」とか軽口叩いていました。
私と母がお願いだから少しでも長生きしてよ、というから付き合ってくれているところがあると思います。兄はもう頑張らせたくないとも言います。
2度目の抗がん剤の副作用がつらいと言います。膵臓癌って痛いんですって。オストメイトも不便なはずなのに弱音吐きません。何年か闘病続けてきて、これ以上痛い思いはして欲しくない。でも会えるようになるまで頑張って欲しいとも思います。
どうやっても私は会えないらしいんです。兄も東京にいて、第二子生まれたばかりだけど、どうやっても会えないと。
PCR検査をしても、自主隔離をしても。少し前なら自主隔離したら会えたかもしれませんが、何かあった時に私達のせいになるからと母は反対していましたし、今もそうです。
入院したら母さえ会えないんですが、父は一人で闘病し続けるんでしょうか?考えたくないですが、ずっとこのままなら、最期は家族で看取れないんじゃないでしょうか。
父はまだ70歳にもなってません。近所でもっと高齢のご老人を見るたびに「どうしてお父さんはあんな風におじいちゃんになれないんだろう」と考えたりします。少し前まであんなに仕事バリバリしてたのに。
はたまた、車を見ては小さな頃二人だけの車旅に連れて行ってくれたことを思い出したり、カラオケの帰り道運転しながらずーっと嬉しそうに歌の話をしているのを思い出したり、突然、あんなに小さい頃抱きつき虫だったのに大人になったら距離ができてしまったな、次は抱きしめたいなと思ったり。
その度にポロポロ涙が出るわけです。予告なく。
多分仕事をしていなかったら止めどなく考え続け泣き続けてると思う。好きな仕事が目の前にあることに心から感謝しています。
正直、コロナで会えないまま身近な人を亡くすような状況は他人事だと思っていました。
こんな形で自分の身に訪れると思っていなくて、「いつか会える」と普通に考えていました。
いやまあそもそも、まだどのくらい余命があるのかわからないのに、意外といけちゃうかもしれないのに、今から父の最後を一人にしてしまうことを考えるのは不毛かもしれないのですが、
もういよいよ眠れないのでこうして文にしてみています。
特に言いたいことはないんですよ。
だから今のうちに親を大事にしろとか、そういうことじゃないんですよ。私は病気した時の経験で自分の幸せが両親の幸せでもあると心から信じているので、結婚して東京で幸せに暮らしている今を大切にすることが答えになっているし、コロナはひどい!でもないんですよ。そんな感情のないもの責めてどうするんだって。なんで癌になるの、などもう無意味の極み。
ただ長生きして欲しい一心でしかないんですけど、それが難しいということが自分で受け入れられてないのかなと、書いてみて思いました。
ただ、一つだけここまで読んでくれた都会の方にお願いすることがあるとしたら、コロナで実家に帰れない田舎出身の人間に「なんで帰らないの?」とか聞かないであげてください。
大抵は聞かれた本人が一番帰りたいはずなので。
あなたに言い訳をする度傷付きます。言い訳をさせないであげてください。
そして、こういうエピソードを何かを批判する材料にも使わないでください。
「コロナのせいで…!」というところに当てはめて振り回されることは更に虚しさを呼ぶな、という気持ちでおります。私は何も憎んでいません。父がふざけたおじさんである限り、ふざけたおじさんの生む出来事はなるべくおかしくあって欲しいと思っています。
神奈川“緊急性低い”手術など一時停止要請 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/news.yahoo.co.jp/articles/8fb006769c7519e9e75fd8bc4f6c6a875e698678
で、緊急と必要を履き違えるとか緊急性の低い手術なんて無いとかほざく野郎に賛同するアホが多いので緊急性の低い手術を挙げていく。
緊急性の低い高いはMSDマニュアルにある待機手術で可能なものと、手術してもしなくても予後が変わらないもので判断していく。
この手術は癌などの疾患で小腸が詰まった(閉塞した)時に、胃と閉塞の先の小腸をつなげてバイパスを作ることで食物の通り道を開通させる手術である。
どのような人が対象になるかというと「癌が他の臓器や大血管に絡んで切除できない」など、病変部を切除できない人である。
緊急手術になるものは癌や壊死した部分などの病変を残しては予後に関わるので胃切除(胃腸吻合術・食道空調吻合術)・腸切除(腸腸吻合術・腸切除+人工肛門造設術)となる。
胃腸バイパス術は「食事をして最期の人生を迎えてもらおう」という目的の手術であり、生存期間の延長が図れるケースは稀である。
開腹手術のダメージを考えるとCVポートを植え込んで栄養の点滴を流したほうがおそらく負担が少ない。
この手術は、以前に癌などの疾患・事故で腸を切除したとき、つなげたところに負担がかかって縫合不全を起こさないようにその手前で人工肛門を作ったものが対象となる。
数ヶ月様子を見て縫合不全が起きてないか確認してから閉鎖する手術である。
つまり疾患が落ち着いていて、いつ手術しても良い状態になってから行うのであって緊急性もへったくれもない。
その人の生活を考えると必要な手術であるが、医学的に一年以内にやらなければ急変する可能性がある手術というわけでもない。
特に水頭症を起こす原因も無いのに脳脊髄液が貯留し脳を圧迫して、尿失禁・歩行障害・認知症を起こす疾患である。
これを放置するとどうなるかというと、いわゆるボケ老人ができあがるのだが「歳のせい」にされ、よく放置されているのが現状である。
町中で足元がおぼつかなくて認知症っぽい老人を見て「この歳のとり方は早めに手術しないと急変して取り返しのつかないことになる」と思う人はあまりいないだろう。
早くやるに越したことはないが「今すぐじゃなくても良くない?」というレベルの手術である。
まだあるが、気が向いたら追記していく
流行りの国語力増田ははてなーの読み取り能力の無さを嘆いていたが、深読みしすぎて書いていないことを読み取ってしまうはてなーも多いですよね。
文章は書かれている事実以外は読み取れないので、背景を読み取る想像力は必要になるのですが、相手を攻撃する理由を探すための深読みは単なる邪推だと思います。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/note.com/rela/n/nda105b16fcf3
夫を異常者呼ばわりしているブクマーも居ますが、この犯罪者のような叩かれ方(犯罪者もネット叩かれて良いのかというと疑問ですが)のほうが異常に感じますがどうですか?
pandafire 採卵等でほぼ眠れず、とか痛み止めを貰う、とか書いてあるから奥さんの日記かと思ったら書いたの旦那さんなんだ、ちょっと混乱した。夫の方が子供欲しくて、奥さんはそうでもなかったのに奥さんにここまでさせるか…
>当然不妊治療は通常夫婦で説明を受けて納得して決めるものですが、なぜ奥さん完全受身の前提なんでしょうか。
養子を検討するくらいなので、夫婦揃って子供が好きなんだと思います。
「奥さんはそうでもなかった」というのは恐らく「特に実子にこだわらない」という意味であって、実子ができればもちろん嬉しいはず。
奥さんが不妊治療に前向きでなかったと読み取って夫を責めるのは行き過ぎだと思います。
naihito ここで書かれてる記述に対してのみの感想。妻の命と胎児の命が天秤にかけられてるときに夫の立場で1%でも妊娠継続の可能性はないのかと模索するのは違和感あって責めるつもりはないけどもやもやします。ごめんなさい
>>「妻の命と胎児の命が天秤」という状態で「はいじゃあ胎児を諦めましょう」って切り替えられる人がいるでしょうか、どちらも選べないというのが第一感だと思います。
二人の子供の命を諦める選択をするのに「夫の立場」という言葉が出てくるのは逆に違和感ありませんか、夫は蚊帳の外ですか。
妻だけが選択をすると、妻だけが子供の命を奪ったと悩んでしまうと思いませんか。
nandenandechan 奥さんは身内だから敬意を払うつもりがないのかも知れないが、公にする文章にしては配慮に欠けるように感じる。辛いので途中で読むのをやめました。
>なぜ敬意を払っていない前提なんですかね。
ishiwadaharu 筋腫持ちに妊娠を強要したら、こうなる可能性もあった。コイツが悪いとしか言いようがねえな。
>そういうアカウントなんでしょうね。
shea 妻がこれだけの不妊治療をして子宮全摘人工肛門になって自分無傷なのに、犬とか焼肉とか大変じゃ無いとか駐車料金とか完治しないと失礼とか、ノイズが強すぎて読むのが気分悪くなった。わざと露悪的に書いているの?
>他のブコメでもありますけど、妻は時間をかけて体と向き合ってきた分消化できているけれど、夫のほうがダメージを食らっている可能性がありますよね。
気分悪くなるのは仕方ないとして「わざと露悪的に書いているの?」って詰める感じ、普段でも人を問い詰めてそうで怖いですね。
rittaikousa “僕らはもうこれを乗り越えたんだぞ、という意思表明” 流産から6週間、手術から3週間で乗り越えられる人が全くいないとは言わないが、自分のパートナーがこんなに想像力乏しかったらきついなとは思う…
>想像力乏しい!どちらの事を言っているんでしょうか。
このエントリを書くまでに筆者がどれくらい悩んで泣いたのか、今後折に触れて涙する機会がどれだけあるのかを考えるのが想像力だと思います。
hinaho あっては欲しくないが奥様がここまでしたのに「やっぱり実子が欲しいから離婚して」とかなったら嫌だなって感じた。
>全く書かれてないことを読み取って勝手に悪い未来を予想する、これこそ邪推オブ邪推ですね。ありがとうございます。
kukky ナチュラルに異常さがあって読んでてめちゃくちゃ怖いんだけど。妊娠3か月時点の筋腫含めた腹の大きさや、耐えられなくなるまで痛みを我慢させたり、細々の描写含めて異常だよ。
>怖いのは仕方ないとして、この文章から夫を異常と断じるのはどうなんですかね。
Harnoncourt これがネタになると思って書いたなら最悪だし、公表せずに墓場まで持っていくような出来事だと思います。あと夫としてのメンタルが弱すぎ。奥さんはメンタル強そうだが、身体の負担がひたすら心配になりました。
>「公表せずに墓場まで持っていくような出来事だと思います」それってあなたの価値観ですよね。
夫のメンタル弱すぎというのはどこで判断したのかわからないですけど、子供は確実に諦めないといけない、何ならパートナーの手術の致死率10パーって状態でメンタルにダメージ喰らわない人は逆に怖いですが。
yorukayoruka 妻は運が悪いんじゃないでしょ。普通は夫が寄り添って「もういい」って止めるのよ。はずれくじ引いちゃった、不妊治療は頑張ったよ、ボク大丈夫って、…怖いよ。
>どこで「もういい」って判断するのか難しいということだと思います。
普通ってなんなんですかね。
dentaro うーん、確かに微妙…苦しんだのが当人ならまだしもお前物理的な苦労ほぼしとらんやんけ、という気持ちが出てくる。何故だろう
>物理的な苦労しない=苦しんでいないというのであれば物理接触がないパワハラセクハラについては苦労しないということになってしまいますが。
夫には夫なりの心労があったことを読み取ってあげてほしいですが、こういうのは当事者になってみないとわからないものですかね。
moegisakuzo 退院したての人に料理つくらせて「やったー」とか言っててもう…。養子縁組しても世話も家事も奥さんに丸投げしてそう。
FryingPan 本人たちが良いならそれもまた人生なんだろうか…。大きなお世話だけど嫁さんは身を滅ぼすレベルまで無理しないでほしかった。客観的に見て夫さんにそこまでの価値を感じない。どうか穏やかな日々を過ごしてほしい。
また特にIDを挙げて言及はしませんけど、こういうときに文章から発達障害判定する人多いですよね。
そもそも文章から発達障害判定するの意味ないし、それが人格を責める流れにつながるのであれば害にしかならないと思います。
発達障害などに理解があるっぽい人がやってるのを見ると、それこそもやもやします。
上でも書きましたがメンタル的なダメージは夫が妻以上に消化できていない可能性があるので、Amazonの欲しい物リストでたくさんお祝いが届いているのはよかったです。
要は警察では手出しできないがクソ迷惑極まりない行為とかは法律に取り締まる罰則ないからモラルに委ねられてるものを守るわけねーじゃんって
電車で妊婦やゼンマイ止まりかけたジジイババアに席譲ったり優しくするのも
ふんぞり帰って椅子占領した結果コケて流産や脳挫傷で死亡とかになったら警察に即逮捕されて社会的に殺害されるからやってるだけで、仮にその結果ジジババや妊婦がくたばっても警察は認知しないってなったら、周りの目とかを除けばまず確実に誰も席を譲らなくなる
90年台の円光ブームの時とかはやってるのが一応一般的な会社で真面目に働いているオッサンとかだったから、金のやり取り以上の危害を加えたりするメリットがないから、顔が整形しても治らないほどボコられたり、人工肛門になる程アナルガバガバにされたりなかっただろ
ところが無駄に厳しくなった今は、捕まったところで死刑にならない限りノーダメージみたいな凶悪な基地外や組織犯罪でやってる系のヤバいのばっかが、未成年食い物にしてシャブ漬けにされたり、酷い目に遭いまくってるじゃないか、フェミは自己責任で無視してるけどよ
先日大腸ポリープを取った。肛門から内視鏡を入れられるアレだ。
あんな狭いところにまぁまぁ太いスコープが入るのに、「う!」とか「痛っ!!」とかならないのはドクターの腕が良いせいか。
体育座りのポーズで横にゴロンとしているうちにいつの間にか入れられているのがいつも不思議に思っていた。
無事にポリープは切除され、思ったよりも切ったところがちゃんと外からわかるくらいにはダメージがまぁまぁあった。
便が通ると切ったところがこすられているような感覚で腸がここにあるのねと確認できる面白味と鈍痛で術後数日は不思議と不快が同居していた。
その一方、私の夫は隙あらば何らかの攻撃をしかけてくるやんちゃな40代。
先日は電気カミソリですね毛を剃られ、ある時は大仏の被り物で迫ってくるおちゃめな攻撃は
こちらが余裕があれば笑って済むようなレベルのたわいもないようなものがほとんど。
反撃できないのを知っているからだ。
ポリープで入院している間おそらく人恋しかったのかやたら絡んでくるのはいいが、今回その絡み方がいけなかった。
いつものパターンであれば、顔を水で洗っている時に脇腹をくすぐってくるのに、
今回はこともあろうに忍者の返信ポーズで肛門を狙ってくる、いわゆるカンチョーを仕掛けてきたのだ。
前述の通り、大腸ポリープ取りたての私の肛門はどうやら弱っていたらしく、
夫のカンチョー攻撃がクリティカルヒット!或いはかいしんのいちげき!
当たり所が悪かったのか、ほんのり痛い。
その晩は違和感を抱え、夫にも怒りを伝え就寝。
翌日、目覚めても抜けない違和感。
仕事中も違和感が抜けず、夫に抗議のラインを送ったところ返信に反省の色が無い。
肛門裂傷→人工肛門と当方医療職なもので、容易に最悪のパターンが浮かぶ。
その日の排便というと、初回は下痢でそれどころじゃなかったが、2回目は硬便のせいか通過時に激痛。
内視鏡が通るときにノーダメージだったのに、自分の便でダメージとはあなおそろしや。
友人や親にもそんなバカバカしい受傷契機、言えるわけない。
年に数回ニュースで見る肛門にエアコンプレッサーで死亡した事件、
した方はこんな大変なことになるなんてって気持ちでやっているんだろうけど、
病院はコロナウイルスにかなり警戒していて通常は全くダメだったのだけれど、外と中の窓越しで、携帯電話で話すだけでいいとお願いしたらOKがきた。
直接会えるのは母一人。外には兄と自分。
外で待機してたら父が車いすでやってきて自分たちをみたら兄曰く「初めて見るようなものすごい笑顔」でやってきた。
癌で人工肛門になって、容体はどうだろうと思ってたけど元気そうでよかった。
コロナウイルス騒動が出てから約5か月、自分と兄と話をしたのは正月以来。携帯電話も持たないのでかなり寂しそうにしてたらしいので来たかいがあったと思う。
5分ほど携帯で話をしたらさっそうと退散。
自分も兄も症状はないが、まぁ仕方ない。知らないところで実は、ってこともありそうだし。
私は物忘れがとても酷くて色々忘れちゃうから忘れない様に何度も読み返して記憶に焼き付ける為にメモする
末期癌の父をさっき自宅で皆で看取った
昼間訪問した時はまだ反応があったんだけど0時過ぎぐらいから呼吸がちょっとおかしくなったというので、母から2時に電話が来た
誰も歩いていない真夜中の静かな町を早歩きで向かう
徐々にご飯が食べられなくなって、父は骨と皮でゴツゴツになってしまっていた
総入れ歯だったからごっそりげっそり頬がこけちゃってねちょっと不憫でね
誰も泣き叫ばず静かに看取る真夜中
掌の中で命が消えていく哀しい時間
段々目の焦点が合わなくなって、白目が濁るってのかな?瞬きとかの動きが減っていき、亡くなると体温が失われて肌の色が変わっていくんだね知らなかった
その時を迎えた父は、寝た様に見えた
ぽかんとクチ開けていつものパジャマ着て酔って寝ちゃったみたいに
だけど、違う
腹膜が1mmも動いてない
それを見て、ああもう呼吸をしてないんだなって痛感した
開いた口と閉じた瞼
苦悶さは一切見えない
モルヒネの力で苦しさはなかったみたいだけど、目頭に残ったこの液体は、たぶん父の最期の涙だ
まるで着くの待っててくれたみたいだ
昼間は自力でベッドから起き上がって座る位置直したり動いたりしてたって言ってから、今夜逝こうと決めたのかな?
それぐらい不思議な早さだった
末期がんの診断出て2年
思っていたよりも長く父は生きた
その後抗がん剤で髪が抜けてしまって、でも抗がん剤止めたら髪が生えて生命力すごいなーなんて言ってて
末期がんって判ってから仕事辞めて家にいる事になった父は家具作りやスマホや家事や料理を始めた
引っ越したばかりの団地の部屋を得意の家具作りであちこち整え、スマホを学んでネットで競馬したりLINEやyoutube視聴やポケモンGOもしだした
炊き込みご飯を勧めたら気に入ったみたいで美味しいのを作る様になったし、カレーも作った
庭いじりが好きな父は四季折々庭を整えられて少し楽しみを持ててたみたい
あとめだか飼いだしたけど上手く育てられなくてすぐ死んじゃうから悲しくなって飼うの止めたって聞いてちょっと辛かった
今回は自宅で看取れたので良かったと思う
祖父の時は病院で心電図モニタありで音が結構辛くてイヤだなって思ってたから今回は無しでいくって聞いてたので良かったと思う
お医者さんも看護師もいない自宅だから、逝こうとする父を皆で静かに見守れて良かったと思う
今コロナで休業期間で家族全員が毎日じっくりゆっくり看取り期間があったから徐々に覚悟が出来た
って母がずっと言っていた
…お父さん
私もありがとうって思ってるよ
朝が来た
真っ白な光の風景
暗かった闇が潮の満ち引きみたいに引いて朝が来た
父がいなくなってから初めての一日が始まる
しっかり務めるよ
一日後に見た父はダブルのスーツ着せてもらえてて安置してもらってた
顔は一日前に見たままだった
胸には花束が載っていた
父が庭で育ててた花で作った花束
ピンクと白の綺麗な花で、ちょうど咲いたんだそうだ
もう一度、声をかける
訃報を送ったら、会社の人とか私の周囲の人達が私が父の面白話をちょこちょこしてたからか、話した事すら忘れてた父との小さなエピソードを覚えててくれて、それが嬉しいねーって話をしたり、孫が父に書いた手紙があったりしたのでそれを見せてもらった
出棺後はお別れの時間がないよと言うので、僅かだけど二人きりにしてもらった
線香をあげてから、頭を撫でる
暖かかった頭
髪の毛は一日前と同じ柔らかでふわふわだったけど、髪の毛の先、皮膚からはすでにドライアイスでかっちこちの冷え冷えの身体
変わっちゃってて、最期に撫でた頭の温もりとのギャップ感がかなり激しかった
斎場へ
先に行った私達から遅れて父と母が車で着いた
車はクラウン
ああ、トヨタなんだ
父はレンタカーはトヨタって決めてるぐらいトヨタに絶対の信頼を置いてたので、ちょっと笑ってしまった
(偶然なのか帰りに捕まえたタクシーもトヨタ製だった。どこまでトヨタ好きなんだ)
白っぽい棺が台車に載せて運ばれてきて、お花を入れてあげてと言われた
ここでも庭から摘んだ花を入れてあげられた
庭いじりが好きで実家も深い山の中の人だから、あっちに行ってもきっと珍しい草木を見つけて育ててるだろうねなんて言いながら皆で父を花で埋めていく
注文してた花と育てた花で棺が埋まっていく
ダブルのスーツをパリッと着て綺麗な花に埋もれた父のその姿は、見ていても不思議と決して不幸な感じはしなかった
余談なんだけど、遠い昔、親戚の葬儀に参加した時、棺に釘を打つ作業があった
知らない親戚だったけどあれは二度とやりたくなかったから、この斎場ではそれがなくって良かったなと思った
粛々とやる事が進んで、やがて焼き場の扉前に棺が運ばれる
みんなで父にお礼を言った
泣きながら 泣き崩れない様に支え合いながら 涙そのままに 既に涙が枯れてたり
各々の別れ方だった
そして、横、縦と閉まっていく扉
その時は終わった
それは死んだ珊瑚みたいで骨に見えなかったし、これが父だったんだとはちょっと思えなかった
物を骨壷に入れて、布巻いて、木箱を母が抱える
ようやく終わったなー。そんな感じ
真夏の様に暑かった昨日とはうって変わって、とても凉しい皐月らしい午後のお別れだった
三週間前ホスピスに入院になったけど、何とか実家に戻ってきた父
整えてなかった実家の不便な所のビフォーアフターを済ませ(DIY好きの父なのであちこち整えてった)、身の回りの物の整理や、搬出搬送しやすい様に動線の整理も済ませ、亡くなる3日前、栄養のない点滴に自分の意識で切り替えたとも聞いた
二年半、末期がんの父を皆で思い思いに看病をし、逝くまでを皆で見られた事
祖父の時出来なかった事を全て出来たと思う
言い方悪いけど、母の時にまたやる事になるだろうから、その覚悟も出来たと思う
私もこんな風に逝けたらいいと思えた葬儀でした
モルヒネで意識が混濁してた父ですが、最期には目があって何度かアイコンタクトを交わせたのですが、その眼差しと動きには心残りや苦痛な感じは一切見受けられなかったので、悔い無かった様に感じられました
リンパ転移で切れないアンド大腸に湿潤してしまい夏に人工肛門になった
この父は再婚相手で私と血は繋がってないが、二人の子を持つ母と結婚したのでそれだけでも偉いと思っている
(そのあと一人実子も設けた)
が、バブル期に事業に失敗し億の借金持ちになり生活に支障をきたしたのでそこは困っている
そんな父が昨日母とお金で大喧嘩したと私の一人暮らしの部屋に来て、愚痴りだした
父のガンの保険で入ったお金を母がどう使っているか答えてくれない、んだと
父がガンになってガクンと下がった収入の損失を母が掛け持ちワークで補填しつつ、借金を返したり、三人の子どもの奨学金を払ったり、光熱費や家賃を払ったりしてるのを私は母から聞いているから知っている。けど、それは言わない
父にも個人的な返済があるのも知っているけど、それは指摘しない
「聞くのはいいけど、私にどうして欲しい?」
と軽く尋ねたら
「…聞いてくれるだけでいい」
とみかんを食べながらボヤいた
聞く係になれて嬉しい
人工肛門はつらいぞ。がんばれ。