はてなキーワード: 仏教徒とは
最近、アンパンマンのマーチが仏教的だとかアンパンマンの思想は釈迦を表してるだとかよく見かけるようになりました。ちょっと前はアンパンマンはキリスト教だ!っていう話も上がったりしてました。
分かるけど・・・うーんって言う気持ちもあります。その、うーんっていう気持ちの理由を今回はつらつら書きたいと思ってます。
※私は仏教に関してはそんなにあかるくないです。どちらかと言うとキリスト教の方にはあかるいのですが、それもその宗教を実際に信仰している方ほど完璧、という訳ではありません。ですので、そのような方がお読みになった際は「これは違うぞ!」と思うところもあるかなと思いますが、どうかお許しください。
ちょっと前に、「やなせたかしはクリスチャンだった!」という話があがってました。しかし、色々解析すると仏教徒なのでは?という反論があり、結果クリスチャンでは無いのでは?となっていたような気がします。
しかし、宗教は本来タブーな話で誰が何を信じてようとそこには踏み込むべき話題ではないので、自身が明言したり、それ以外の人間に分かるほど「熱心な仏教徒」だったり「熱心なキリスト教徒」だったなら話は別ですが、そういう訳では無いのに「作者は仏教徒だから、仏教が関連しているんだ!」とか言うのはステレオタイプかなと思います。
わかりやすい熱心な仏教徒の話を上げますと、宮沢賢治とかですかね。彼は熱心な仏教徒でありながら、キリスト教にも興味関心を持っていたそうです。なので、作品にもそれが存分に生かされてる、というのは納得のいく話しです。
対して、やなせたかしさん自身は「私は仏教徒の家系に生まれです」とかは言ってないし、周りの人物も「彼は熱心な仏教徒だった」とは言ってないわけです。キリスト教に関しても一緒です。そりゃ、今と違って家系が仏教なら仏教の教えを信じるとか、キリスト教ならキリスト教の教えを信じる家系だった可能性もあるので、そうなるとやなせさん自身の作品にも生かされてる可能性はあります。自身が信じてきたものが作品に無意識的に反映されるものですので、有り得なくはないです。でも、断言ができるものでは無い、ということだけは事実です。
2.アンパンマンができた経緯
アンパンマンはやなせたかしさんの正義が込められたヒーローです。
やなせさんは戦時中、兵隊として敵国と戦っていました。その時に怪我などよりも、飢えが1番苦しいということが分かったそうです。それがアンパンマンの顔がアンパンである理由でもあります。
国に帰ってきた時に、今まで正義だと信じてきた「敵国を倒すこと」が間違いであると、叩きつけられます。その時に、やなせさんは「正義と悪なんて、ある日突然、逆転するんだ」と実感したそうです。
戦後、アメリカなどから多くのヒーロー達が輸入されてきました。そのヒーロー達は皆、設定された悪役を倒すだけ、当時日本に多くいたような困ってる人やお腹を空かせてる子供達には目もくれず、ただ悪役を倒すだけだ、でもそれは違うのではないかと感じたそうです。
以上の経験から、やなせさんが正義の味方、ヒーローを作ろうと思った時に悪役を倒すだけではなく、困ってる人やお腹を空かせてる人に手を差し伸べるヒーローを描きたいという思いで、アンパンマンが出来たそうです。やなせさんは「逆転しない正義は献身と愛だ。それは難しいことに聞こえるようだけど、簡単に言えば、お腹を空かせてる人にパンを差し出すこと」と述べてます。(一字一句覚えているとは言いきれませんが、印象的だったので覚えていた言葉です)
この辺りの「献身と愛」がキリスト教的に引っかかるのかなと思います。キリスト教も献身を大事にしていますから・・・。
その、やなせさんの考える逆転しない正義を体現してるのがアンパンマンだというわけです。
ちなみに初めにできたアンパンマンはパンを作り、戦争下でお腹を空かせる人々に敵味方関係なく、空を飛んでパンを届けるふくよかで到底イケメンとは言えないおじさんだったそうです。彼はいつものようにパンを届けている時に、砲弾に当たり、命を落とすという最期を迎えます。そのようなおじさんの姿から、土台は一緒ですが、アンパンの顔をしてお腹を空かせてる子供にアンパンを与えるヒーローに変わり、今のアンパンマンが出来ました。
3.やなせさんの考える正義の味方について
正義の味方はかっこよくないというのがやなせさんの考えです。だから、アンパンマンもどこか情けない感じですよね。顔が濡れたり、歪めば力は出ない。彼自身、顔をよく分け与えてますが、それをやってもやはり弱くなります。それはやなせさんが考える正義を行うものは必ず傷つくというのが体現されてるからだそうです。だから、アンパンマンは人を助ける時に弱くなる。マントがちぎれて飛べなくなることもあるし、命を落としたこともあります。(明確な死の描写はないものの、映画では2回ほど死んでいると思います。いのちの星のドーリィという映画では確実に命を落としてます)
それでも困ってる人を助けるためには身を投げ出す自己犠牲の考えがどこか仏教を感じるところなのかもしれないですね。
アンパンマンは作中にこんなことを言ってました。
「初めて人を助けた時に心が暖かくなって。その時わかったんだ。なんのために生まれてきたのか。何をして生きていくのか。何が僕の幸せなのかってことも」(いのちの星のドーリィ参照)
彼自身が困ってる人を助けることが自分の幸せだと答えています。仏教の自己犠牲って他者の利益を得るためにやるものだけど、自分の幸せまで含んでいたかな・・・という疑問を感じたりしてます。キリスト教でも自己犠牲は出てきますね。宗教で、割と自己犠牲は取り上げられているので、そこでアンパンマンの生き様に引っかかるのかもしれないな〜と感じました。
4.バイキンマンについて
やなせさんはアンパンマンという物語に本当の悪役はいないと言っています。前述の通り、やなせさんは悪役を倒すヒーロー達に疑問を覚えていました。なので、バイキンマンは悪役という物語に出てくる少しの毒として存在はしていますが、どこか抜けてるというか悪役にしては可愛げがあるのが印象的です。
加えて、バイキンマンとアンパンマンは2人が一緒にいることでバランスがとれてる状態で、どちらが欠けてもダメだと言っています。
だから、バイキンマンも何故かアンパンマンにとどめを刺す時にさっさと倒せばいいのに毎回隙を作るし、アンパンマンもバイキンマンのことをパンチひとつで許します。
それでもバイキンマンは「アンパンマンを倒すこと」が目的なので(もちろん、腹が減れば人からパンを奪うし、ドキンちゃんのワガママに付き合わされる時もあります)、アンパンマンを倒すためにメカを作ったり、パン工場自体をどこか変なところに移動しようとしたりと工夫を凝らしています。ちなみにアンパンマンの方はどうかと言うと、アンパンマンはみんなのことが大好き(映画の勇気の花がひらくときを参照)で、みんなと仲良くしたいので、バイキンマンとも仲良くしたいし、バイキンマンがお腹を空かせていたら普通に顔をあげる男です。なんて言うすれ違いでしょうか・・・。
余談ですが、アニメ第1話ではアンパンマンは襲ってきたバイキンマンをジャムおじさんとバタコさんと共に洗剤の入った水の中に突っ込んでいました。下手したらアニメ1話でバイキンマン死す!って状態だったのに、バイキンマンは小さくなりながらもしぶとく生き延びて今に至ります。昔の方が彼は容赦ないです。
4.さいごに
長くなりましたが、つらつらと書きました。
別に仏教と結びつけるな!とかキリスト教と結びつけるな!とは言いません。それは1つの考察だとは思います。ただ、「アンパンマンは仏教と関係がある!」とか「アンパンマンはキリスト教に沿っている!」と断言するのには少し違うのでは?という気持ちでした。
この文章は、「やなせさんの正義の考え方とかは彼自身が生きて得た境地で、それがアンパンマンに生かされてるんだな」と思っている1ファンの考察です。これが正しいという訳では無いです。なんせ、考察なんてファンの想像の域を出ないですので。
なので、あまり真に受けず、なるほどそうなんだ〜と軽く受け取っていただければ幸いです。
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参考文献的なもの(興味がありましたら見てください)
【本】
【映画】
いのちの星のドーリィ
※これらはやなせさんがご存命の時で、監修を受けていると思いますので参考にあげさせていただきます。いのちの星のドーリィは「なんのために生まれて、何をして生きるのか」がテーマで子供向けにしてはかなり壮大です。
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【追記】
色々とコメントがついてたりしてましたので、読みました。なるほどと思ったりしてます。
一つ、信者様という言葉を訂正し「信仰している方」という風にしました。決して揶揄っていた訳ではなかったのですが、揶揄っているように見えてしまったようでしたので、訂正しました。
「アンパンマンはアンパンマンという宗教」というのは納得してしまいました。幼児はアンパンマンが目に入るとすぐに見つけますからね・・・。
自己犠牲については、仏教にあかるくなかったのもあって色々と漁っている時に、仏教にもそういう考えがあるというのが分かったので、書きました。でも私もあまり印象はなく、どちらかと言うとキリスト教のイメージが強いかな、と思ってます。
キリストのパンの話が元になってるのでは?という話ですが、やなせさん自身が著書で書いていたのですが、アンパンを選択した理由が「アンパンは手軽に手にできて、あんこがぎっしり入っていて甘く、食べるとすぐに元気になれる(おそらく、糖分摂取できるという意味でしょう)」ということらしいのですので、キリスト教の話が元になってると断定は出来ないなと思ってます。
アメコミは勧善懲悪の話ではないという件については、私自身、その時代のものがどういうものだったのか分からないのですが、やなせさん自身の目には、ああいうようにうつったそうです。(『わたしが正義について語るなら』参照)
バイキンマンとアンパンマンの関係性に関しては、私もアニメの流れは「勧善懲悪の流れだなあ」と感じたりしてます。最近のアンパンマンはバイキンマンが悪役に回らず誰かを図らずも助ける立場に回ったりもしてますが、やはりアンパンマンにアンパンチを食らってバイキン城に戻るのが大半だったり、食らう前に退散したりしてます。
この話に関しては、深く入り込めるほどまだ、2人の関係性について飲み込みが足りないので、これ以上書けないです。申し訳ないです。
色々な視点を見ることが出来て良かったです。
Black Lives Matter運動、違和感がありつつもうまく言語化できなかったんだけど、色々読んでいくうちに違和感の正体がわかった気がした。
たとえばロヒンギャへの支援を訴える運動は、ビルマ政府のロヒンギャ弾圧はひどいよね! ビルマに圧力をかけてロヒンギャ弾圧をやめさせよう! というものであり、世界中でひどい扱いを受けているイスラーム教徒として連帯しよう! みたいな運動ではない。
ウイグル人やチベット人の抑圧を訴える人たちも、中国政府の扱いはひどい、中国政府は弾圧をやめろ、と言っているのであって、全世界的に仏教徒やテュルク系民族は弾圧されてる! ということが言いたいのではない。
本来、Black Lives Matterもそういう運動、つまりアメリカの黒人はアメリカ政府やアメリカの警察に弾圧されている、アメリカ政府ひどいよね、世界のみんな、アメリカに圧力をかけてくれ! という話だったらよく理解できるんだよね。
でも、全世界的に黒人がひどい扱いを受けてる! それぞれの国でBlack Lives Matterを叫ぼう! 日本でもBlack Lives Matterのデモをしよう! って言われると、は? ってなる。
確かに日本にも黒人差別はあるし、オコエ瑠偉とか大坂なおみとかが差別された体験を語ってるから、日本にそんな問題はない! って言うつもりは毛頭ないけど、警察官が特定人種ばかり狙って射殺してくるとか、無抵抗の被疑者の首を押さえつけて窒息死させたとか、若い黒人男性が刑務所にブチ込まれまくってて黒人コミュニティが崩壊してるとか、そんなんはアメリカだけの問題だろ!
10年以上前にFree Tibetが盛り上がってて日本でもデモをやってたけど、あれは中国はチベット人への弾圧をやめろ! 日本からも中国に圧力をかけるのを手伝うぞ! という運動であって、日本のチベット人差別はけしからん! という訴えではなかった。
でもBlack Lives Matterは、少なくとも東京で行われたデモは、アメリカは黒人差別をやめろ! 日本からもアメリカの警察に圧力をかけるぞ! という運動ではなく、日本の黒人差別はけしからん! という運動になっている。
なんかおかしくね?
なんでアメリカ人って自分たちの問題=世界の問題だって思い込んじゃうの?
こういう、自分たちの問題=世界の問題、アメリカの差別事情=世界の差別事情だって思い込むアメリカ人の自己中心性っていうかアメリカ中心主義、見事にアメリカおよび英語圏の持ってる権力に由来するものだし、非英語圏出身のアジア人からすると「け、権力勾配~~~!!!」って感じがすごいするんだよね。
ローカル事情を自分たちの母語で叫んでるだけで全世界に訴えを聞いてもらえる身分の人たち、肌が白いか黒いかを問わず普通に特権階級だと思うんだけど、どうも連中にはその自覚がないらしい。
まずは自分たちの特権を自覚したらいかが? 日頃自分で言ってることなんだからできるでしょ? としか言えない。
それでもってそのローカル事情に基づいて出来上がったローカル基準をまるでグローバルスタンダードみたいな風に装って他国にも押し付けてくるし、押し付けることのできる権力を持ってるわけでしょ。アメリカ人が自国内でブラックフェイスをタブーにしてる分には知ったこっちゃないけど、全然文脈が違う日本にそれを持ち込んで、褐色キャラのコスをするレイヤーさんに文句つけてるのとかもうわけがわからんよ。
繰り返しになるけど、日本にも黒人差別はあるし、それは是正されるべきですよ。でもそれはアメリカにある差別とは違うものだし(日本の方がマシと言いたいんじゃなくて、歴史的背景も社会の人種間関係も違うんだから当然問題点も処方箋も違ってくるでしょという話)、アメリカ大使館に向けてならともかく日本社会に向けてBlack Lives MatterとかI Can't Breatheとか言われても日本の警察に捕まった外国人はちゃんと息しとるわお前らの国の警察とは違うんじゃという話になるわけで(日本の警察の人質司法や外国人差別を無視していいとは言ってない)。
というか日本では白人も「ガイジン」として差別されてて、黒人とのハーフだけじゃなく白人とのハーフだっていじめやからかいの対象になるんだから、日本の黒人は日本の白人と連帯して非日系のエスニック・グループとして日本人による差別と闘った方がいいんじゃねーのと思うんだけど、まあ彼らは“全世界的な白人至上主義”(これ指を頭の横でクイクイしながら言うフレーズね)と闘う方が重要らしいから、白人と「同じマイノリティ」として連帯する気はなさそう。あのね、知らなかったかもしれないけどこの日本では白人もマイノリティなんだわ。お前らの国のローカルな人種間関係を無邪気にヨソの国に適用するのやめてくんない? というか、グローバルな白人支配を問題にするなら、まずその英語帝国主義をやめてくれない? っていう話。
東京のローカルニュースでもそれに価値があるなら全国放送で流せばいいと思うし(たとえば、香港やパレスチナや西パプアの弾圧もローカルニュースだけど、国際的に注目されるべき人権問題だよね)、災害とかで都民が苦しんでいるなら「都民がんばれ!」みたいなムーブメントが起きてもいいと思うんだけど、都知事や都庁だけがめっちゃ腐敗してるという話なのに、「都庁けしからん」ではなく「日本の政治腐敗は深刻で」みたいな話にされたり、東京だけが被災した災害で「がんばろう日本」ってスローガンが掲げられたら他地方の人はカチンと来るよね、という話。
深夜に変なスピリチュアルの広告読んでゲラゲラ笑った後に、ちょっと思うことがあったから思いついたから書いただけなんだ。
乱雑だし、プロット作りも推敲も何もしていない。ただずっと抱えていたものを吐き出す場が欲しかっただけなので、とりわけ目立つものもない。
これを書いている私は、いま地方大で歴史を学ぶ大学院生だ。ストレートで大学院まで上がった位の年齢だと思ってほしい。
私の専門は歴史だが、そこから興味が広がって宗教や、それに関連する文化の話も好きだ。本来専門ではないけれど、色々本を読んでみたりしている。
そこで思うことがあった。宗教・信仰は本当に人の暮らしに密接に関わっていると実感した。そして、勉強を続けたからこそ気付く事や、それまで抱えていた自分の気持ちに整理をつけることができた。
この記事はそんな私の20年ちょっとの人生で触れてきた宗教に関する思い出の覚書だ。
私の家の目の前には、カトリック教会があって、附属幼稚園が教会のすぐ隣にある。ミッション系というやつだろう。
家からすぐということもあって、私と妹はそこの幼稚園に通っていた。
朝幼稚園に来たら、シスターたちに挨拶をし、玄関のマリア像の前で十字を切る。朝礼やお昼のお弁当を食べる前には「主の祈り(天におられる私たちの父よ~のやつだ)」を唱えたし、クリスマスの時期になれば、年長クラスの子たちがキリストの聖誕劇をやるために練習をしていた。
ああそう、あとメダイもちゃんともらっていた。確か聖母子像か、聖母マリアのものだったはずだが、年に数回会うおじいちゃん(どう考えても教会の神父だ。園長って呼んでいたけど)から、新年度になるたびに名札につけてもらっていた。
そんな幼稚園でキリスト教に触れる生活を送っていた幼少期。年長クラスはクリスマスに聖誕劇をしていたけど、年中クラスや年少クラスだって讃美歌を歌ったり、合奏をしていたので、どこの幼稚園もこういう歌を覚えているものだと思っていた。
卒園式のお祝いには、聖書を分かりやすくまとめた絵本をもらった。絵本といっても結構文字が書いてあるし、ハードカバーの大型絵本だった。聖書の教えも何度か聞いていたはずだが、私がきちんと聖書の物語に触れたのはあの卒園式の日だったに違いない。
既に本の虫だった私は、それなりに漢字も読める方の子どもだった。だからその絵本も気になって、天地創造から長い時間をかけて読み通した。
当時6歳の私は、意味はあまり分かっていなかったけど、ところどころの挿絵のインパクトは強烈だった。
洪水に翻弄されるノアの方舟、モーセが海を割るシーン、キリストが茨の冠を被せられ、鞭うたれるシーン。幼い私は、もうそれはそれはびっくりしたのだ。
それから数年経って、小学校を卒業して中二病が芽生えるような年になった頃、私はイキってまた聖書に関心を持ってみた。
西洋美術が分かるやつはかっこいいし、その元ネタが分かるとなおかっこいいと思っていた。恥ずかしい話だが。
そこでもう一度聖書のストーリーを絵本(今度は妹がもらってきたやつだ。まったく同じ絵本だが)を読んでおさらいし、やっぱり意味は理解しないままミルトンの『失楽園』とかを読んでいた。
この後、ぼんやり興味を薄く抱き続けたまま、今一度大学院に入ってからちゃんと勉強をしようと思い、現在に至っている。世界史とかは大事な要素だしね。
こうしてみると私はクリスチャンのように見えるのだが、家には仏壇があるし、今の興味の原点がある幼稚園時代にはその仏壇で「まんまんちゃんあん(関西で仏壇やお墓でお参りをするときに言う幼児語)」をしていた。祖母は今でも毎朝、犬の散歩から帰ると仏壇の前でお経を上げる。
父方の祖母と同居しているのだが、祖父は私が生まれる1年ほど前に亡くなっている。祖母は幼いころの私の面倒を、共働きの両親に代わって見てくれていたから、幼稚園から帰ると「おじいちゃんにまんまんちゃんあんして、ただいま言うんやで」と言われるがまま、お鈴を叩いて手を合わせていた。今でも何か報告(たとえば大学に受かった時や、卒業認定をされた時)があるときは仏壇の前に座ることがある。
お盆やお彼岸には、お墓参りはできるだけしようと思っているし、昨年京都に行ったときは私の家の宗派の本山のお寺にもお参りした。これは本当になんとなくだったけれど、行ってよかったなとは思っている。
だから私は、今のところは仏教徒で、ごく一般的な日本人の宗教観なのだけど、困ったことに、私はとある宗教の3世にあたる血筋でもある。
名前を出すのは少しはばかられるので婉曲的な表現をするが、先述のように私の家は仏壇のある仏教徒の家だ。宗派を言えば浄土真宗。
ただ母方は宗派が違い、日蓮宗なのだ。分かりやすく言えば父方の祖母は「南無阿弥陀仏」と唱えるけれど、母方の祖母は「南無妙法蓮華経」と唱える。
この時点で察しの良い方はお分かりかもしれない。母方の祖母はいわゆる「学会員」だ。
だから、母方の祖母の家に遊びに行くと某新聞が置いてあったし、本棚を見れば某氏の著作が置いてあった。
母自身は学会員ではない(嫁いでいるし)し、母の姉夫婦もそうでないのは知っている。私自身会員ではない。
だから3世を名乗る立場ではないのだが、私は学会員としての祖母の姿を見て、ああいった宗教に対する疑問を抱くようになった。
実際あの学会について「おや?」と思ったのは、私を可愛がっていた母方の祖父が亡くなった数年後だった。
祖父が亡くなった後、葬儀や四十九日の法要に関しては違和感を感じることはなかった。後になり、伯父がかなり骨を折ったことを知ったのだが。
違和感をはっきりと感じたのは母方の伯母夫婦、大叔母、そして私たち家族と祖母が参加した七回忌の法要だ。
いわゆる法事だから、自分の認識では「お坊さんを呼んで、お経を読んでもらって、そのあと親族で食事をする」というものだった。事実父方の祖父の法事はお坊さんを呼んでいる。
まず、お坊さんを呼んでいなかったのだ。黒スーツに黒いネクタイを締めた見知らぬ男性(見た感じ祖母とそれほど歳は変わらない人だった)が居て、私の知らない親戚かと思っていた。最初は。
いつになったらお坊さんが来るのだろうと思ったら、法事が始まるから仏壇の部屋に来いと言われた。言われるがまま妹の隣に座り、数珠を持っているとその男性が仏壇の前に座って、読経を始めた。
「は?」と思った。なんでこのオッサンがお経読んでるねん。お坊さん来られへんかったん?違和感しかなかった。
どうやら件の学会ではその地区で一番偉い学会員が法要の読経をするということを知ったのは、さらにそれから2年ほど経った頃だ。
ただ法事の時に、伯父が「僕はちゃんとした日蓮宗のお寺に骨を埋めてもらうように言っている」と若干怒気をはらんだ口調で言っていた理由が、理解できた。
母方の伯母夫婦とは、その七回忌の法要以降会っていない。いや、何度か伯母とは会ったが、伯父とはそれ以来もう何年も会っていない。
昔はよく祖母の家にお盆や正月の折に触れて来てくれていたのだけど、仕事の関係で来れない、と言うのが聞いている理由だ。でも、多分彼はきっと、学会員である祖母宅周辺の人に会いたくないのだろう。少しだけ言い合いになっていたし、伯父が祖父の葬儀に口出ししたことで何かがあったのだろう。
同時に、祖母が熱心に読経を一日に何度も行う理由、祖母の家にあった新聞や書籍がなんだったか、芋づる式に分かってちょっとだけ嫌気がさした。
祖母よりも熱心だったのは大叔母(祖父の姉)で、会合(というのがあるらしいが、この辺りは詳しく知らない)にも熱心に参加していたみたいだ。
別にこの記事で批判をしたいわけじゃない。けれど、どうしても伯父の言葉がずっと心に引っかかっているのだ。
「お義父さんの事も、ちゃんとお弔いしたいのにそれが出来ないのはほんまに悔しい」という伯父の言葉が。
いま色々な宗教の事を学び、宗教が社会に与える影響の強さを知った上で、私は伯父の言葉に同意したい。
信仰は自由だ。それはこの日本で認められた権利だ。けれど、大好きだった祖父のことを、あんなジジイの安い読経で弔いたくはないのだ。
そしてああ言った新興宗教団体が、親族との軋轢を産んでいることを伯母夫婦の一件で身に染みて実感したのだ。
母方の祖母と我が家の仲はいい。祖母はいま一人暮らしだし、私も長生きしてほしいと思っている。
けど、少しだけわがままを言うなら学会と縁は切ってほしいかな、と思わなくはない。
少し愚痴っぽくなったが、最後にその新興宗教がらみの話をちょっとだけ聞いてほしい。
大学進学以降そうした新興宗教がらみのトラブルやエピソードは少なからずあると知った。友人も巻き込まれたことがあったらしい。
大学の最寄駅前には某証人の人達が冊子を配るために立っているし、家にも何回かチラシがポスティングされたり、勧誘がそもそも来たりした。迷惑だから帰れ、と総スルーをかましたが。
去年なんか、右翼のおっさんが一般人に絡んで暴行しかけた事件の証言を、某会の勧誘をしていた女性二人がしていて「情報量が多い!」と内心ツッコミを入れた現場を目撃した。
彼らも、それを信仰するのは自由だけど、私のように嫌悪するまでもないがもやを抱えた人間を周りに産んでいるのではないかな、と時折思わなくない。
スピリチュアル系のトンデモ科学に関するツイートがTwitterなどでも話題になりがちだが、そういうのを見ても「ああ、なんというか、かわいそうだな」と思ってしまう。
思ってしまうだけで、それを思いっきりネタにして笑い飛ばしているあたり、私はかなり嫌な人物だなと自戒しなくもないが。
何度も言うが、批判する意図はない。あなたがもしここまでに挙げた何かの信者であっても、私は知らない。
ただ、ひとりの学生が格好をつけて、自分は何を信仰しているのだろうな、と思い返すための文章だから、大した感想も求めていないのだ。
私は生まれたときに入会させられているが洗脳されなかったので一切活動してない。
最近結婚を考えている人がいて、その人に「出来れば辞めて欲しい」と言われたので
親に辞めたいと言ってみたら烈火の如くキレられた。
「お前は一切活動してないくせに辞めたいとか言うな。辞めたければ活動してからにしろ!」だそうだ。
活動をしていないと言うが子供の頃は無理やり会合などにも連れて行かれていたし、その時点で嫌だやりたくないだとは言っていた。
そう言うと「そんな判断もつかない子供の頃の話は無効」だそうだ。
もっと判断のつかない生まれたての赤子を入会させたやつが何を言ってるんだろうと思うと、この辺からちょっと世界が俯瞰に見え始めた。
最終的には「うちの家の宗教は学会だっただけ。キリスト教徒だって他の仏教徒だって家の宗教に従っている」とのこと。
他所様に強引な勧誘で改宗をさせておいて、凄まじい特大ブーメランだなって思った。
シンプルに辛い。
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