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2022-09-11

いい作品だけどおすすめしにくいアニメ

Zガンダムのことだ。

一応TV版のほう。

「暗さ、重さ」をあそこまで突き詰めた作品はなかなかないので、見ると世界観が変わること間違いなしだ。

とはいえ実際には万人向けではないどころか相当に見る人を選ぶ、割と問題だらけな作品になってしまっているのが残念。

4クールという、今世紀になってから深夜アニメではあんまり見ないエピソード数もさることながら、一番の問題は極端な説明不足だろう。

前作(1st)を承けた各勢力が織りなす政治情勢からモビルスーツ(以下MS)の技術解説まで、作中でまともに説明されていることが何一つない。

これは劇場版でも大して変わらないので、全編見る場合副読本Webに転がっている解説による予習復習が不可欠となる。

もちろん、こうしたナレッジ収集ネタバレ危険を大いにはらものだが、本作品に限ってはネタバレになっても本編の凄まじい内容は全く色褪せることないので、そこは安心していい。

そうはいっても「できの悪い名作」というのはなんとも悩ましい。

というわけで読んでくださった方のために、三枝成彰氏が担当した劇伴の中で、事実上作品のメインテーマファンの間で言われる「ゼータの発動」という一曲を紹介しておく。

悲痛としか言いようのない曲調が、劇中に数多ある凄惨な場面を彩ってきた名曲なので、これで少しでも作品雰囲気を感じてもらえれば幸いである。

さて、以下はネタバレ含む個人的に感じた、Zガンダムの魅力について。

まずは主人公カミーユ

前作の主人公アムロに輪を掛けて自閉傾向強めでありながら、ニュータイプとしての能力は間違いなくアムロ以上と、視聴者の誰もが認める少年

これは女っぽい名前に対する反発という理由から空手に取り組んでいた事で、発達障害者特有のウィークポイント(注意と集中のコントロール身体感覚の未熟さ)が少なからず補完された結果だろう。

そんなカミーユの前に各クールごとに現れるヒロインが、皆カミーユの前で死んでいく(なんならカミーユ自ら手にかけていたりする)という筋書きは、ヤバいと言う以上のヤバさがある。

更にカミーユが慕うお姉さん的存在で、物語後半に敵の黒幕シロッコの手により寝返ったレコアさんが、逆に最序盤で敵方からガンダム強奪し味方として合流、カミーユのもう1人のお姉さんになったエマさんとラスト2話で相討ち、エマさんカミーユの腕の中で死んでいくとか、たまらんわー。

そういう心を折りまくるイベントが積み重なった挙げ句TV版の場合最後に、今で言う「重篤二次障害」を発症したところで幕切れという、アニメ史に残るバッドエンドを記していくのだ。

ここに至って、当時の富野監督正気を疑う人が出てきても不思議はない。

しかし不幸なのはカミーユだけではない。

これまたアニメ史に残る裏主人公にして噛ませ犬だったジェリドも非常に印象深い。

この男、カミーユに対し「女の名前なのに、なんだ男か」と絡んだことがケチの付き始めだった。

以後は仕事を通じて懇意になった同僚を次々カミーユに殺され、恨みを募らせていく。

しかし日に日に増す恨みの強さに反するかのように、物語では次第に頭角を現してきたシャアや、悪役シロッコヤザンに見せ場を取られてどんどん影が薄くなり、最後は用済みとばかりにあっさりカミーユにやられてしまう。

それでいて負け犬でもヘタレでもないどころかMSパイロットとしては間違いなくエース級、ただし運が全く彼に味方しなかったという感じ。

そして忘れちゃいけないクワトロことシャア

さっき「次第に頭角を現してきた」と書いたが、それでも「逆襲のシャア」の頃の彼と比べたら全然振り切れていない、色々悩ましい人なのが魅力だったりする。

最後は「ノーマルスーツも着ないでMSに乗り込む変態男」シロッコと「変態女でシャア元カノハマーンの2人からボコボコにされ、ニュータイプ勝負でも完敗。

その際に吐いた「まだだ、まだ終わらんよ」というセリフのいじましさといいヘタレっぷりといい、個人的には最も共感できる立ち位置だったり。

そこに元祖ノーマルスーツも着ないでMSに乗り込む変態仮面」だった面影微塵もない。

ついでに言うなら搭乗するMSも赤くなかった。

まあ百式もこれはこれで全身金色塗装でインパクト溢れてはいたけど、主人公MSがMK-IIからΖになって以降は完全に「お前いたの?」的な地味脇役に(MK-IIもGディフェンサーで存在感を補強されたことを含めると、二重に蚊帳の外)。

というかこのアニメ、変形メカがやたら多い時点でだいぶ派手なはずなんだけど、見ていてそんな印象は全く無い。

富野監督の作劇がそれを許さなかったとも言えそうだが。

あと、本作品のお陰で「修正」という単語が有名になったけど、これ元々旧日本陸軍隠語だったそうで、要するにこの作品はその程度に野蛮であるということを暗示しているのは凄い。

流石お富さんは違う。

2022-09-09

anond:20220909130505

進化した人類、すなわち、ニュータイプなんだよ。

そもそも生理なんて、妊娠したくなった時期だけになれば十分やろ。

2022-06-23

白いトリチを手に持ちながらアムロだと勘違いするシャアニュータイプの出来損ないとかそれ以前の問題

2022-06-18

脚本演出が残念だったククルス・ドアンの島

俺が観たかったククルス・ドアンの島。

軍を抜ける前の兵士としての心が変わってゆく経緯。

孤児となった子供たちの親を殺さないといけなかった理由葛藤。心に傷を負った兵士孤児をどう集め、戦争かいくぐり、あの島にたどり着いたかまでの様子。

軍を抜ける際に自分の隊の連中とどう折り合いをつけたのか。

荒れ地だらけで植物も生えていない島での、食卓に乗った新鮮なパン野菜調達方法

もうちょっと脚本演出を深堀りして説得力を持たして欲しかった。

シン・エヴァの後であの底の浅い演出描写を延々見せられるのは苦痛しかない。

俺が観たくなかったククルス・ドアンの島。

ブライトに対して白目無しとツッコむメタ発言をするカイ・シデン

シャアの声を知らない筈なのに、アムロの夢の中でなんかしゃべってる池田秀一

ザクに襲われ意識を失って目覚めたあと、ベットに寝かされて最初に見た大人を、まるでニュータイプのごとく自分を倒したパイロットと断定して敵意をむき出しにするアムロ・レイ

気に食わないととにかく殴りに行く安っぽい表現の荒くれ兵隊

ポリコレ配慮する令和の時代に、年長の少女原案よりも多くの子供たちの家事育児をすべて負担させる演出ととそれを通してしまった制作体制

ここぞとばかり笑いどころですよと線画描写になってヤギに襲われるホワイトベースクルー

クロサワ映画劣化コピーの様なモビルスーツ殺陣

なんの因縁もなくアムロにとって全くの人間関係のないただの一ジオン敵兵を、ガンダムで踏みつぶす描写を書いた脚本家とそれに意を唱えなかった制作スタッフ、及び政策体制、そしてそれを公開してしまった映画業界関係者。(他はエンタメとして下手くそだよね、で済むけど、これだけはガンダムという物語で積み上げて来た丁寧な表現をブチ壊した描写として許せない。)

2022-05-28

30まで童貞だったらニュータイプになれるって設定にするんだろうなあ

今、初代ガンダムリメイクするなら。

アムロも16歳じゃなくて30~40のひきこもりニートっていう感じになるんかな。

異世界転生みたいなノリで、、、なぜかMSに乗るとひきこもりニートが最強でとか。

つーか、すでに古いな、この設定。15年前なら少しウケたかもな。

2022-05-19

IT業界ですらナードタイプがどんどん淘汰されていってるご時世

仕事能力以上にさらコミュ力求められるようになってきてて

上流の仕事どころか下流に至るまでそういうのが必須になりつつあって

ナードタイプがどんどん淘汰されていっている

このまま業界底上げがどんどん進んだらITエンジニア全員ニュータイプエスパーみたいなのしか残らないんじゃねえか?って思う

2022-05-11

anond:20220510101701

ニュータイプの扱いが問題なのはどっちかというと富野ガンダムじゃなくて富野系列の非富野ガンダムじゃない?つまりUC系ってことなんだけど。なので、原因は福井

anond:20220511013213

元増田ロボット戦争面白いと思ったのに、蓋を開けると無理くりが酷い稚拙超能力者を出されて霹靂したと思われる。

実際、その後のガンダムニュータイプサイコプレートがないことから失敗設定なんだろうね

ワンピースでいいなら、海賊人情能力バトルだったのに覇気という曖昧でつまらないものをだされたような?

anond:20220510101701

福井が全部悪い訳ないだろ

逆シャア直後の時代舞台にした宇宙世紀物でニュータイプを掘り下げない方がどうかしてんだよ

2022-05-10

anond:20220510161618

種割れイノベイターやXラウンダーはもうニュータイプに加えていいでしょ。うちではアクエリアスなんかも全部ポカリって呼ぶよ

anond:20220510101701

今やニュータイプ設定が無いガンダムの方が圧倒的に多いんだから不要なのは当然だろう

20年以上前のXの時点でニュータイプ設定は今更感があったんだぞ

anond:20220510101701

モビルスーツが好きなわけではなく、あの概念が好きだから見てたんだけど…

勿論、変な人間性キャラクター達が好きってのが大前提でね

サイコっぽかったり、ひねこびてるくせにガキっぽいガキだったり、女の妄執(御大妄想)だったり

そこに、あの集合的無意識みたいな概念をぶっこんでくるっていう荒業

ニュータイプは正に「新人類」なわけだけど「早く生まれすぎて辛酸を嘗めまくる人」というイメージしか無くて、その生き辛さがイイ!

(おまけに、ファースト主人公ライバルニュータイプに憧れるオールドタイプっていう惨めさが堪らない!あんなに中年になるまで引っ張る惨めさ!!)

なのに、「ニュータイプ」途中でほぼ無視されてるから見なくなったんだよなあ

(主人公がただの「勘のいいガキ」くらいになっちゃってたり。ニュータイプエスパーじゃない)

まあ、あの概念ありきの作品てわけではないとのことなんで仕方ないけど

残念だわ

(でもNT自分に合ってそうだな。ナラティブどころかユニコーンも見てないので今度見てみるわ)

anond:20220510140507

Gガンの「格闘家同士は拳で語り合っても一般人にはちゃん言葉にしないと伝わんねーよ!」っていうのはものすごくニュータイプ的なテーマだけどね

anond:20220510101701

ニュータイプというあやふやな設定をうまく取り扱えるのは御大だけなのに、ガンダム会社のものから齟齬が生じちゃってるとは思うね。

00800083、GやWやXあたりでは、まだ「そこには触れないほうが良いな」っていう遠慮みたいなものがあったけど、福井晴敏みたいに逆シャア大好き、UC続編で、とんでもパワーとしてやっちゃえという度胸と他の実績があるやつがユニコーンで一山あてちゃって「あーあ」って思ってるよ。あれでNT使っていいんだ、みたいな空気できちゃったもの

からガンダムニュータイプ設定はいらない、というよりは、派生ガンダムにはニュータイプ設定いらない、だったら、まあそうかもな~とは思う。

anond:20220510101701

映画の3作目前半までは特別エースパイロットであることの設定、くらいにしか見てなかったし、だからアムロはすごいんや!みたいな感じだったけど

ララァと会話したりする流れはちょっとどうかなと感じてた

以降のゼータとかはニュータイプが誰よりも強いエースという描写もあまり感じられずつまんなくなったな

anond.hatelabo.jp/20220510101701

ファーストの「ニュータイプ」については賛否というか

富野さんに対してスタッフの否の方が多かったらしい。

せっかくリアル人間同士の戦争を描くのに苦労してきたのに

エスパーを出しちゃったら何でもアリになっちゃうじゃんと。

まりガンダムニュータイプは要らんって考え方は

作ってた富野氏以外のスタッフはみんな思ってたこと。

結果として(ファーストは)つまらなくなりましたか?は見ての通り。

自分的には最終回ホワイトベース隊のクルーが次々覚醒してく様は感動的だったけど

嫌な人には納得できない終わり方だろうね。

anond:20220510101701

ガンダムって人間ニュータイプという互いの心の内がわかる存在になってもわかりあうことはできないという絶望逆シャアという本のひとつまみの希望ええんやなかったっけ

ワイは正直ニュータイプよりミノフスキー粒子のなんでもあり感の方が嫌いや

anond:20220510101701

初代ガンダムの頃ってまだ、月間ムーワンチャンリアリティがあった時代からな。 

「ホンマに人類ってニュータイプになるんかも……」ぐらいの妄想可能だったんだよ。

オカルトではなく、SF設定扱いだった。

 

まあそういう気分ひっぱったままのやつらが、そのままオウム時代作った訳だけどね。

ガンダムニュータイプ設定は不要

追記

わりと煽って書いたしやっつけではあるものの、意外と色んな意見があるものですね。

共感する人もいましたが、かなり攻撃的なガノタもいてやはり富野ガンダム系譜アニメ視聴者も含めて間違いなく宗教であり、今後絶対に関わるべきじゃないなと感じます

ガンダム知識マウントしようとする老害は論外ですし、富野ワールド思想がわからないと楽しめなさそうなので残念です。

ロボットアニメとしてみようとしたらオカルト理解しろとかほんと無理

---

ガンダムオタクの人には悪いがなんの価値もない設定だから。むしろ宗教的すぎてロボットアニメに見えない。

ロボットガンガン戦って戦艦同士で撃ち合って正義の是非を決めるという厄介なテーマの中に、なぜ意味不明ニュータイプかい異能力があるわけだ。

サイコプレートとかも別にあっていいけどさ、ニュータイプとかと結び付けずあくまでも技術範疇にすればいいのに。

ニュータイプって設定があまり現代アニメの中では稚拙すぎてほんと引く

どう戦略的戦術的に相手を上回るかという作品ではないのよ。体裁戦争ドラマだけどね。/相対的正義対立による戦争がどうすれば終わるかというテーマを延々やってきたのが富野なので。

いや、全然ベクトルいか

ニュータイプかいう設定が邪魔でつまらないって話なの

たとえばNTみたけど単なるオカルト談話だったよね。無駄ニュータイプの設定があるせいで話がいちいち折れてるのはほんと害悪宗教アニメと言われても驚かない。逸れさえなければ少しだけ絵がいいアニメなのにな。

2022-04-21

アニメージュ中学生のころ見てたけどほとんど内容覚えてないな

その月の放映する見たいアニメ作画監督のチェックしてたのはギリギリ覚えてる

そのころニュータイプが創刊されてどえらい物が出てきたな!と子供心にかなり興奮した

当時はホビージャパンモデルグラフィックスアニメージュニュータイプOUTが好きだったけどお小遣い的に全部は買えなかったので立ち読みして1冊か2冊買うような感じだった

当時買ったもので今も手元に残ってるのってモデルグラフィックスが数冊だけw

モデルグラフィックスニュータイプの紙面が美しく感じて、すごくデザイン性が高いと感じてたけど、その流れで今チラシとかのデザイン仕事してる

2022-04-02

ちるちるBLアワード2022と最近読んだBL。(ネタはバレる)

ちるちるBLアワードの結果が出たよ!

 ちるちるBLアワードとは、商業BL情報サイト「ちるちる」主催イベント。前年に発売されたBL作品のなかで、ちるちるのレビューページの得点が200点以上の作品からノミネートされる。そして1月にちるちるユーザー投票がなされて、4月に結果が発表される。


一部予想通りだった。

 推し作品ノミネートすらされなかったのでやさぐれしまい、私は投票を完遂できなかったのだけど。BESTコミック部門とBEST小説部門の結果は一部予想通りだった。

 BESTコミック部門第1位は『夜明けの唄』(ユノイチカ)。これは納得。私はあまりきじゃないんだけど、皆好きだよねーこれ。あまりにも爆発的に流行っていたので、これしか1位はないだろうなと思った。

 2位は知らんからわからん。3位の『神様なんか信じない僕らのエデン』(一ノ瀬ゆま)は読んだけどかなり面白かった。オメガバース作品なので、設定だけで嫌がられたり過剰に求められたりだと思うが、最近オメガバースも下火なので、逆境を潜り抜けて3位に輝いた感ある。

 そしてBEST小説部門。これは私の予想は「魔道祖師絶対に1位を取れない」だったんだけど、大当たり。「このBLヤバい2022」では2位と大差を着けて圧倒的1位に輝いたという『魔道祖師』(墨香銅臭)が何故ちるちるBLアワードでは1位を取れないと思ったのか? それは、このBLヤバいの方は一般の読者も投票するし有識者意見も入るらしいんだけど、ちるちるBLアワード場合はちるちるユーザーけが投票する(つまり極めつきに商業BLにのめっている人間ばかりが投票する)から。それと、ネットで『魔道祖師』の情報を漁ったところ、「買ったはいいが積んでいる」という人がかなり多かったので、「魔道祖師の人気=原作小説の人気」ではないと思った。

 商業BL小説の読者層というのはかなり独特な感性をお持ちで、その他ジャンル小説を読み漁る、本の虫タイプ読書家の常識では計り知れないところがある。だから、ただの小説として、もっと狭い意味ライトノベルとして、圧倒的な高クオリティの『魔道祖師』はだからといってマジもんの商業BL小説腐女子には受け入れられはしないんじゃないかなと。単純に売上だけはすごくいいんだろうけどね。しかしそれでも2位だったのはかなりの健闘ぶりだ。たぶんこれ、ドラマアニメの人気だと思うけど。実は買ったものの積んでいるけど、アニメドラマ好きだし他の作品は読んでないから取り敢えず投票したって人(商業BL小説読まない民)、多そう。

 予想外だったのは、BEST小説部門1位を取ったのが『Interlude 美しい彼番外編集』だったこと。私これ持ってるしすごく面白くて好きだけどマ!? 番外編だぜ!?!?!? うわぁー、さすがに商業BL小説史上に残るレベルの人気シリーズ。番外編集の半分は購入特典などの再録本なので、コアなファンは買って得するようなもんじゃないというのに、すごい。

 作者の凪良ゆう先生の書く文章はとても平易で分かりやすい。一方、2位だった『魔道祖師』は「漢字が多くて読めない~」(振仮名ふってあるやんけ)とか、「古代中国文化なんかわからない~」(脚注あるやんけ)とか言われて敬遠されまくっていた。分かりやすいって大事だなと思いつつ、薄々思っていたけど商業BL小説ばかり読む人ってやっぱり【自主規制】いんだなと思った。

 BESTシリーズ部門1位は『囀ずる鳥ははばたかない』(ヨネダコウ)まあねまあね、皆好きだよねー(私は読む気もしないけど)。

 『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』(佐岸左岸)は去年のBLアワードのBESTコミック部門ぶっちぎりの第1位作品の続編なのだが、やはり1位は取れなかった。予想通りである。「名言製造機になった」「野末さんがあざとすぎる」など、ボロカス言われてたからなあ。私は好きだけど。人気があるからといって続編を作ったらコケしまったパターンかもしれない。でも本作も漫画としてのクオリティの高さ半端ないので、むしろ商業BLの民よりも薄く広く漫画を読む人におすすめだ。


その他雑感。

 あれっ、ノミネート作品のなかでは私の最推しだった『秋山くん』(のばらあいこ)がどこにもランクインしていない。でもまあしょうがいか。ただでさえ複数のもの腐女子にはあまり支持されないうえに、『秋山くん』の場合は完結までに12もの歳月を要したのだ。その間に腐界の雰囲気も変わったらしく、あの衝撃の第1話がまず受け入れられないといって読むのを止めてしまう人が多いようなので。でも最終的には大団円で終わったので、未読だが興味あるけど試し読みしたら怖かったって人は安心して読むがいいさ! 秋山くんにはBEST受け部門ランクインして欲しかったなあ(投票した)。攻めの柴くんはあのBEST攻め部門錚々たる面子の中にとりつく島はないのはわかる。(ひどい)

 やっぱりスクカー底辺男は攻め様ランキングには食い込めないのかなと思いきや! BEST攻め部門第1位を『美しい彼』の平良(ひら)が取っていて笑った。さすが平良! でもこの人の底辺ぶりはあくまでも自己評価しかない。無自覚ハイスペックニュータイプ亭主関白俺様めだから、平良は。

 皆ハイスペの攻め様が好きだなあ。私はヘタレ攻めがすきだよ。


 アワードについてはこれでおしまい。次は最近読んだBL。(ネタバレあり)


神様なんか信じない僕らのエデン (下)』(一ノ瀬ゆま




あらすじ

 2018年2月のある日、体育の授業中に突然ヒートを起こした西央(にしお)につられて発情してしまった喬(たかい)。二人は体育館倉庫に転がり込み交わったが、西央の体調は改善せず、倉庫から出られなくなってしまう。喬は一人で倉庫を出て食料や生活用品をかき集め、西央の籠城生活環境を整え、同時に自分達の体に何が起きたのかを考察する。

 籠城三日目、どうやら西央のヒートの峠が過ぎたらしい。あと数日で西央を家に帰せるという見通しをたてた喬だったが、それに一抹の淋しさを感じた時、彼の本能があらぶり始め……。

増田感想

 オメガバース作品で、『旧約聖書』の1節からスタートする本作。人類史上初めてのαとΩの誕生という大事件が、高校体育館倉庫という狭い密室でひっそりと起きていたという、壮大にしてミニマムお話

 そもそもオメガバースとはなんぞや? というと、ググった方が早いんだがざっくりいうと欧米発祥特殊設定。ヒトに男女の性別のほかにバース性」という性別がある。すなわち、支配者の性α、凡人のβ、産む性(隷属の性)のΩ。それらのバース性のいずれかが男女それぞれについてくる。男性α、女性α、男性β、女性β、男性Ω、女性Ωの六つの性別があるということ。

 本作は人類史上初のαとΩの物語なので、主人公の喬(α)は自分とΩの西央が一体何であるのかを知らない。喬はせっせと文献を調べ考察していくうちに、自分達の生態が狼の生態に近いことに気づく。そして自分と西央が異様に盛る様に「発情ヒート)」という名をつける。

 下巻はもっぱら喬がαとしての本能のダークな面をなんとか抑えつけようと奮闘しつつ、αらしい一途さで西央を守ろうとする話。そして喬と西央は互いに相手とは本能抜きではどういう関係なのか? と疑問を懐く。

 商業BLではあまり見られない、深いところまでつっこんでるストーリーオメガバース設定のBLというのは社会問題ジェンダー問題に切り込むものが他にもいくらかある。『リバース』( 麻生ミツ晃)、『シマちゃん家の番事情』(三日ミタ)、『嘘つきな愛を買う』(ポケラふじ子)とか。でも、数年前に二次創作世界で初めてオメガバース設定を見た時には、社会問題提起系というよりは、SMっぽいというか虐待描写メインの特殊性癖っていう印象だった。今となってはBLポリコレの影響を最も受けていそうなジャンルのような?

 『僕エデ』はジェンダー問題以上に生命不思議ウエイトが置かれている感じで、昨今流行り? の反出生主義に疲れたハートには心地よかった。終盤、自身と西央が新しいタイプ進化した人類だと悟った喬が、「自分達が多数派になる日が来るまで潜伏する(誰にも内緒にする)」と決断したことろは、ベタでありつつ(漫画登場人物って変な生き物を発見すると、政府研究機関に取られるのを恐れてとりあえず隠そうとするよね。)老子っぽくてよかった。

 『シマちゃん家の番事情』を読んだ時も思ったけど、今っぽいニュータイプオメガバースっていいなと思いつつ、しかし以前のもはや男女カプでは容易に描けなくなった禁忌ネタの駆け込み寺的なジャンル浄化されてしまったようで、それはそれでどうなんだという気がする。でも最近はまたしても欧米渡来の因業設定「Dom/subユニバース」が定着したので、アングラエログロの行着く先はそこかな? いずれそれも浄化されそうだが。

※「Dom/subユニバース」とは……ググった方が早いがざっくり説明すると、ヒトの性別に男女の他にDomsubという性があるという設定。Dom支配者でsubは被支配であるDomsubと二人で決めたワードsubが言うまでsubを虐めることが出来る。要はSMだな。


86万円の初恋』(ロッキー

 真理(まさみち)は美貌の男・佐藤と同居中。というのは、ある夕方カフェで真理がうっかり通りすがり佐藤コートコーヒーをぶちまけてしまたから。コートのお値段、なんと86万円。怒った佐藤86万円ぶん真理の家に居座ってやると宣言。以来、奇妙な同居生活が始まった。

 佐藤の言うことを何でも受け入れてしまう真理。「マリちゃん」呼びから始まって、ただいまのキスやらなんやら、佐藤の無茶ぶりは次第にエスカレートしていき……。

増田感想

 あんまりレビューが良くないが絵が物凄く綺麗なので、これは絵以外に良いところ無し系の漫画なのかとビビりながらも、試し読みしてみて冒頭一ページに惹かれたので購入。思いの外よかった。

 美貌の変人佐藤常識陰キャマリが振り回される系かと思いきや、マリが愛すべき変な生き物って感じで、何が起きても動じないマリ佐藤が戸惑うという話だった。

 途中で佐藤元カノの登場。すごく重要人物という訳でもなくカッコいい姐御でもなく身内でもない女がさらっと登場するのは、BL読者にはあまり喜ばれないところ。だが佐藤元カノの会話の様子からもしかして佐藤って実は心から他人を好きになったことがないんじゃない?(だから別れた相手と屈託なく喋れるのでは)という疑念がうっすらと湧いてくる。もしかしてこれはタイトル伏線回収なのではないだろうか。つまり86万円がきっかけで初恋をしたのは陰キャマリだけでなく美貌のコミュ佐藤もまたそうなのだという。

 マリの歳上すぎる友人の件以外、派手な事件は起こらない話だけれど、心情的な揺さぶりやどんでん返しがあり、退屈しない。が、例えばジャンプ漫画みたいにハッキリと事件事故が起きて悲喜劇にならなければ漫画とは認めないような人には、向いていないだろうな、と思う。

 表紙がとても綺麗で、中身の絵もとても綺麗。短文モノローグがしばしば挟まるのだが、それらが独特のリズム感を生んでる気がする。

 レーベル的にエロがすごく多いのかと思ったら、わりと落ち着きのある感じのエロ配分(オカズ系というよりは人類の一習性レベル)だった。


今日はこれまで。

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