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はてなキーワード: 象牙とは

2024-10-02

そうすると、広田先生がむくりと起きた。首だけ持ち上げて、三四郎を見た。 「いつ来たの」と聞いた。三四郎もっと寝ておいでなさいと勧めた。じっさい退屈ではなかったのである先生は、 「いや起きる」と言って起きた。それから例のごとく哲学の煙を吹きはじめた。煙が沈黙あいだに、棒になって出る。 「ありがとう書物を返します」 「ああ。――読んだの」 「読んだけれどもよくわからんです。第一標題わからんです」 「ハイドリオタフヒア」 「なんのことですか」 「なんのことかぼくにもわからない。とにかくギリシア語らしいね」  三四郎はあとを尋ねる勇気が抜けてしまった。先生あくびを一つした。 「ああ眠かった。いい心持ちに寝た。おもしろい夢を見てね」  先生は女の夢だと言っている。それを話すのかと思ったら、湯に行かないかと言いだした。二人は手ぬぐいをさげて出かけた。  湯から上がって、二人が板の間にすえてある器械の上に乗って、身長を測ってみた。広田先生は五尺六寸ある。三四郎は四寸五分しかない。 「まだのびるかもしれない」と広田先生三四郎に言った。 「もうだめです。三年来このとおりです」と三四郎が答えた。 「そうかな」と先生が言った。自分をよっぽど子供のように考えているのだと三四郎は思った。家へ帰った時、先生が、用がなければ話していってもかまわないと、書斎の戸をあけて、自分がさきへはいった。三四郎はとにかく、例の用事を片づける義務があるから、続いてはいった。 「佐々木は、まだ帰らないようですな」 「きょうはおそくなるとか言って断わっていた。このあいから演芸会のことでだいぶん奔走しているようだが、世話好きなんだか、駆け回ることが好きなんだか、いっこう要領を得ない男だ」 「親切なんですよ」 「目的だけは親切なところも少しあるんだが、なにしろ、頭のできがはなはだ不親切なものから、ろくなことはしでかさない。ちょっと見ると、要領を得ている。むしろ得すぎている。けれども終局へゆくと、なんのために要領を得てきたのだか、まるでめちゃくちゃになってしまう。いくら言っても直さないからほうっておく。あれは悪戯をしに世の中へ生まれて来た男だね」  三四郎はなんとか弁護の道がありそうなものだと思ったが、現に結果の悪い実例があるんだから、しようがない。話を転じた。 「あの新聞記事を御覧でしたか」 「ええ、見た」 「新聞に出るまではちっとも御存じなかったのですか」 「いいえ」 「お驚きなすったでしょう」 「驚くって――それはまったく驚かないこともない。けれども世の中の事はみんな、あんものだと思ってるから若い人ほど正直に驚きはしない」 「御迷惑でしょう」 「迷惑でないこともない。けれどもぼくくらい世の中に住み古した年配の人間なら、あの記事を見て、すぐ事実だと思い込む人ばかりもないから、やっぱり若い人ほど正直に迷惑とは感じない。与次郎社員に知った者があるからその男に頼んで真相を書いてもらうの、あの投書の出所を捜して制裁を加えるの、自分雑誌で十分反駁をいたしますのと、善後策の了見でくだらない事をいろいろ言うが、そんな手数をするならば、はじめからよけいな事を起こさないほうが、いくらいかわかりゃしない」 「まったく先生のためを思ったからです。悪気じゃないです」 「悪気でやられてたまるものか。第一ぼくのために運動をするものがさ、ぼくの意向も聞かないで、かってな方法を講じたりかってな方針を立てたひには、最初からぼくの存在を愚弄していると同じことじゃないか存在無視されているほうが、どのくらい体面を保つにつごうがいいかしれやしない」  三四郎はしかたなしに黙っていた。 「そうして、偉大なる暗闇なんて愚にもつかないものを書いて。――新聞には君が書いたとしてあるが実際は佐々木が書いたんだってね」 「そうです」 「ゆうべ佐々木自白した。君こそ迷惑だろう。あんなばかな文章佐々木よりほかに書く者はありゃしない。ぼくも読んでみた。実質もなければ、品位もない、まるで救世軍太鼓のようなものだ。読者の悪感情を引き起こすために、書いてるとしか思われやしない。徹頭徹尾故意だけで成り立っている。常識のある者が見れば、どうしてもためにするところがあって起稿したものだと判定がつく。あれじゃぼくが門下生に書かしたと言われるはずだ。あれを読んだ時には、なるほど新聞記事もっともだと思った」  広田先生はそれで話を切った。鼻から例によって煙をはく。与次郎はこの煙の出方で、先生の気分をうかがうことができると言っている。濃くまっすぐにほとばしる時は、哲学の絶好頂に達したさいで、ゆるくくずれる時は、心気平穏、ことによるとひやかされる恐れがある。煙が、鼻の下に※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊して、髭に未練があるように見える時は、瞑想に入る。もしくは詩的感興がある。もっとも恐るべきは穴の先の渦である。渦が出ると、たいへんにしかられる。与次郎の言うことだから三四郎はむろんあてにはしない。しかしこのさいだから気をつけて煙の形状をながめていた。すると与次郎の言ったような判然たる煙はちっとも出て来ない。その代り出るものは、たいていな資格をみんなそなえている。  三四郎がいつまでたっても、恐れ入ったように控えているので、先生はまた話しはじめた。 「済んだ事は、もうやめよう。佐々木も昨夜ことごとくあやまってしまたから、きょうあたりはまた晴々して例のごとく飛んで歩いているだろう。いくら陰で不心得を責めたって、当人が平気で切符なんぞ売って歩いていてはしかたがない。それよりもっとおもしろい話をしよう」 「ええ」 「ぼくがさっき昼寝をしている時、おもしろい夢を見た。それはね、ぼくが生涯にたった一ぺん会った女に、突然夢の中で再会したという小説じみたお話だが[#「お話だが」は底本では「お話だか」]、そのほうが、新聞記事より聞いていても愉快だよ」 「ええ。どんな女ですか」 「十二、三のきれいな女だ。顔に黒子がある」  三四郎は十二、三と聞いて少し失望した。 「いつごろお会いになったのですか」 「二十年ばかりまえ」  三四郎はまた驚いた。 「よくその女ということがわかりましたね」 「夢だよ。夢だからわかるさ。そうして夢だから不思議でいい。ぼくがなんでも大きな森の中を歩いている。あの色のさめた夏の洋服を着てね、あの古い帽子かぶって。――そうその時はなんでも、むずかしい事を考えていた。すべて宇宙法則は変らないが、法則支配されるすべて宇宙のものは必ず変る。するとその法則は、物のほかに存在していなくてはならない。――さめてみるとつまらないが夢の中だからまじめにそんな事を考えて森の下を通って行くと、突然その女に会った。行き会ったのではない。向こうはじっと立っていた。見ると、昔のとおりの顔をしている。昔のとおりの服装をしている。髪も昔の髪である黒子もむろんあった。つまり二十年まえ見た時と少しも変らない十二、三の女である。ぼくがその女に、あなたは少しも変らないというと、その女はぼくにたいへん年をお取りなすったという。次にぼくが、あなたはどうして、そう変らずにいるのかと聞くと、この顔の年、この服装の月、この髪の日がいちばん好きだから、こうしていると言う。それはいつの事かと聞くと、二十年まえ、あなたにお目にかかった時だという。それならぼくはなぜこう年を取ったんだろうと、自分不思議がると、女が、あなたは、その時よりも、もっと美しいほうへほうへとお移りなさりたがるからだと教えてくれた。その時ぼくが女に、あなたは絵だと言うと、女がぼくに、あなたは詩だと言った」 「それからどうしました」と三四郎が聞いた。 「それから君が来たのさ」と言う。 「二十年まえに会ったというのは夢じゃない、本当の事実なんですか」 「本当の事実なんだからおもしろい」 「どこでお会いになったんですか」  先生の鼻はまた煙を吹き出した。その煙をながめて、当分黙っている。やがてこう言った。 「憲法発布は明治二十二年だったね。その時森文部大臣が殺された。君は覚えていまい。いくつかな君は。そう、それじゃ、まだ赤ん坊の時分だ。ぼくは高等学校の生徒であった。大臣葬式に参列するのだと言って、おおぜい鉄砲をかついで出た。墓地へ行くのだと思ったら、そうではない。体操教師竹橋内へ引っ張って行って、道ばたへ整列さした。我々はそこへ立ったなり、大臣の柩を送ることになった。名は送るのだけれども、じつは見物したのも同然だった。その日は寒い日でね、今でも覚えている。動かずに立っていると、靴の下で足が痛む。隣の男がぼくの鼻を見ては赤い赤いと言った。やがて行列が来た。なんでも長いものだった。寒い目の前を静かな馬車や俥が何台となく通る。そのうちに今話した小さな娘がいた。今、その時の模様を思い出そうとしても、ぼうとしてとても明瞭に浮かんで来ない。ただこの女だけは覚えている。それも年をたつにしたがってだんだん薄らいで来た、今では思い出すこともめったにない。きょう夢を見るまえまでは、まるで忘れていた、けれどもその当時は頭の中へ焼きつけられたように熱い印象を持っていた。――妙なものだ」 「それからその女にはまるで会わないんですか」 「まるで会わない」 「じゃ、どこのだれだかまったくわからないんですか」 「むろんわからない」 「尋ねてみなかったですか」 「いいや」 「先生はそれで……」と言ったが急につかえた。 「それで?」 「それで結婚をなさらないんですか」  先生は笑いだした。 「それほど浪漫的な人間じゃない。ぼくは君よりもはるかに散文的にできている」 「しかし、もしその女が来たらおもらいになったでしょう」 「そうさね」と一度考えたうえで、「もらったろうね」と言った。三四郎は気の毒なような顔をしている。すると先生がまた話し出した。 「そのために独身余儀なくされたというと、ぼくがその女のために不具にされたと同じ事になる。けれども人間には生まれついて、結婚のできない不具もあるし。そのほかいろいろ結婚のしにくい事情を持っている者がある」 「そんなに結婚を妨げる事情が世の中にたくさんあるでしょうか」  先生は煙の間から、じっと三四郎を見ていた。 「ハムレット結婚したくなかったんだろう。ハムレットは一人しかいないかもしれないが、あれに似た人はたくさんいる」 「たとえばどんな人です」 「たとえば」と言って、先生は黙った。煙がしきりに出る。「たとえば、ここに一人の男がいる。父は早く死んで、母一人を頼りに育ったとする。その母がまた病気にかかって、いよいよ息を引き取るという、まぎわに、自分が死んだら誰某の世話になれという。子供が会ったこともない、知りもしない人を指名する。理由を聞くと、母がなんとも答えない。しいて聞くとじつは誰某がお前の本当のおとっさんだとかすかな声で言った。――まあ話だが、そういう母を持った子がいるとする。すると、その子結婚信仰を置かなくなるのはむろんだろう」 「そんな人はめったにないでしょう」 「めったには無いだろうが、いることはいる」 「しか先生のは、そんなのじゃないでしょう」  先生ハハハハと笑った。 「君はたしかおっかさんがいたね」 「ええ」 「おとっさんは」 「死にました」 「ぼくの母は憲法発布の翌年に死んだ」

https://anond.hatelabo.jp/20241002005940

一二

 演芸会は比較寒い時に開かれた。年はようやく押し詰まってくる。人は二十日足らずの目のさきに春を控えた。市に生きるものは、忙しからんとしている。越年の計は貧者の頭に落ちた。演芸会はこのあいだにあって、すべてののどかなるものと、余裕あるものと、春と暮の差別を知らぬものとを迎えた。

 それが、いくらでもいる。たいていは若い男女である。一日目に与次郎が、三四郎に向かって大成功と叫んだ。三四郎は二日目の切符を持っていた。与次郎広田先生を誘って行けと言う。切符が違うだろうと聞けば、むろん違うと言う。しかし一人でほうっておくと、けっして行く気づかいがないから、君が寄って引っ張り出すのだと理由説明して聞かせた。三四郎承知した。

 夕刻に行ってみると、先生は明るいランプの下に大きな本を広げていた。

「おいでになりませんか」と聞くと、先生は少し笑いながら、無言のまま首を横に振った。子供のような所作をする。しか三四郎には、それが学者らしく思われた。口をきかないところがゆかしく思われたのだろう。三四郎は中腰になって、ぼんやりしていた。先生は断わったのが気の毒になった。

「君行くなら、いっしょに出よう。ぼくも散歩ながら、そこまで行くから

 先生は黒い回套を着て出た。懐手らしいがわからない。空が低くたれている。星の見えない寒さである

「雨になるかもしれない」

「降ると困るでしょう」

「出入りにね。日本芝居小屋は下足があるから、天気のいい時ですらたいへんな不便だ。それで小屋の中は、空気が通わなくって、煙草が煙って、頭痛がして、――よく、みんな、あれで我慢ができるものだ」

「ですけれども、まさか戸外でやるわけにもいかいからでしょう」

「お神楽はいつでも外でやっている。寒い時でも外でやる」

 三四郎は、こりゃ議論にならないと思って、答を見合わせてしまった。

「ぼくは戸外がいい。暑くも寒くもない、きれいな空の下で、美しい空気を呼吸して、美しい芝居が見たい。透明な空気のような、純粋簡単な芝居ができそうなものだ」

先生の御覧になった夢でも、芝居にしたらそんなものができるでしょう」

「君ギリシアの芝居を知っているか

「よく知りません。たしか戸外でやったんですね」

「戸外。まっ昼間。さぞいい心持ちだったろうと思う。席は天然の石だ。堂々としている。与次郎のようなものは、そういう所へ連れて行って、少し見せてやるといい」

 また与次郎悪口が出た。その与次郎は今ごろ窮屈な会場のなかで、一生懸命に、奔走しか斡旋して大得意なのだからおもしろい。もし先生を連れて行かなかろうものなら、先生はたして来ない。たまにはこういう所へ来て見るのが、先生のためにはどのくらいいいかからないのだのに、いくらぼくが言っても聞かない。困ったものだなあ。と嘆息するにきまっているからなおおもしろい。

 先生それからギリシア劇場構造を詳しく話してくれた。三四郎はこの時先生から、Theatron, Orch※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)stra, Sk※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)n※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字), Prosk※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)nion などという字の講釈を聞いた。なんとかいドイツ人の説によるとアテン劇場は一万七千人をいれる席があったということも聞いた。それは小さいほうであるもっとも大きいのは、五万人をいれたということも聞いた。入場券は象牙と鉛と二通りあって、いずれも賞牌みたような恰好で、表に模様が打ち出してあったり、彫刻が施してあるということも聞いた。先生はその入場券の価まで知っていた。一日だけの小芝居は十二銭で、三日続きの大芝居は三十五銭だと言った。三四郎がへえ、へえと感心しているうちに、演芸会場の前へ出た。

 さかんに電燈がついている。入場者は続々寄って来る。与次郎の言ったよりも以上の景気である

「どうです、せっかくだからはいりになりませんか」

「いやはいらない」

 先生はまた暗い方へ向いて行った。

 三四郎は、しばらく先生の後影を見送っていたが、あとから、車で乗りつける人が、下足札を受け取る手間も惜しそうに、急いではいって行くのを見て、自分も足早に入場した。前へ押されたと同じことである

 入口に四、五人用のない人が立っている。そのうちの袴を着けた男が入場券を受け取った。その男の肩の上から場内をのぞいて見ると、中は急に広くなっている。かつはなはだ明るい。三四郎は眉に手を加えないばかりにして、導かれた席に着いた。狭い所に割り込みながら、四方を見回すと、人間の持って来た色で目がちらちらする自分の目を動かすからばかりではない。無数の人間に付着した色が、広い空間で、たえずめいめいに、かつかってに、動くからである

 舞台ではもう始まっている。出てくる人物が、みんな冠をかむって、沓をはいていた。そこへ長い輿をかついで来た。それを舞台のまん中でとめた者がある。輿をおろすと、中からまた一人あらわれた。その男が刀を抜いて、輿を突き返したのと斬り合いを始めた。――三四郎にはなんのことかまるでわからない。もっと与次郎から梗概を聞いたことはある。けれどもいいかげんに聞いていた。見ればわかるだろうと考えて、うんなるほどと言っていた。ところが見れば毫もその意を得ない。三四郎記憶にはただ入鹿の大臣という名前が残っている。三四郎はどれが入鹿だろうかと考えた。それはとうてい見込みがつかない。そこで舞台全体を入鹿のつもりでながめていた。すると冠でも、沓でも、筒袖の衣服でも、使う言葉でも、なんとなく入鹿臭くなってきた。実をいうと三四郎には確然たる入鹿の観念がない。日本歴史を習ったのが、あまりに遠い過去であるから、古い入鹿の事もつい忘れてしまった。推古天皇の時のようでもある。欽明天皇の御代でもさしつかえない気がする。応神天皇聖武天皇ではけっしてないと思う。三四郎はただ入鹿じみた心持ちを持っているだけである。芝居を見るにはそれでたくさんだと考えて、唐めいた装束や背景をながめていた。しかし筋はちっともわからなかった。そのうち幕になった。

 幕になる少しまえに、隣の男が、そのまた隣の男に、登場人物の声が、六畳敷で、親子差向かい談話のようだ。まるで訓練がないと非難していた。そっち隣の男は登場人物の腰が据わらない。ことごとくひょろひょろしていると訴えていた。二人は登場人物本名をみんな暗んじている。三四郎は耳を傾けて二人の談話を聞いていた。二人ともりっぱな服装をしている。おおかた有名な人だろうと思った。けれどもも与次郎にこの談話を聞かせたらさだめし反対するだろうと思った。その時うしろの方でうまいうまいなかなかうまいと大きな声を出した者がある。隣の男は二人ともうしろを振り返った。それぎり話をやめてしまった。そこで幕がおりた。

 あすこ、ここに席を立つ者がある。花道から出口へかけて、人の影がすこぶる忙しい。三四郎は中腰になって、四方をぐるりと見回した。来ているはずの人はどこにも見えない。本当をいうと演芸中にもできるだけは気をつけていた。それで知れないから、幕になったらばと内々心あてにしていたのである三四郎は少し失望した。やむをえず目を正面に帰した。

 隣の連中はよほど世間が広い男たちとみえて、左右を顧みて、あすこにはだれがいる。ここにはだれがいるとしきりに知名の人の名を口にする。なかには離れながら、互いに挨拶をしたのも、一、二人ある。三四郎はおかげでこれら知名な人の細君を少し覚えた。そのなかには新婚したばかりの者もあった。これは隣の一人にも珍しかったとみえて、その男はわざわざ眼鏡をふき直して、なるほどなるほどと言って見ていた。

 すると、幕のおりた舞台の前を、向こうの端からこっちへ向けて、小走りに与次郎がかけて来た。三分の二ほどの所で留まった。少し及び腰になって、土間の中をのぞき込みながら、何か話している。三四郎はそれを見当にねらいをつけた。――舞台の端に立った与次郎から一直線に、二、三間隔てて美禰子の横顔が見えた。

 そのそばにいる男は背中三四郎に向けている。三四郎は心のうちに、この男が何かの拍子に、どうかしてこっちを向いてくれればいいと念じていた。うまいあいその男は立った。すわりくたびれたとみえて、枡の仕切りに腰をかけて、場内を見回しはじめた。その時三四郎は明らかに野々宮さんの広い額と大きな目を認めることができた。野々宮さんが立つとともに、美禰子のうしろにいたよし子の姿も見えた。三四郎はこの三人のほかに、まだ連がいるかいないかを確かめようとした。けれども遠くから見ると、ただ人がぎっしり詰まっているだけで、連といえば土間全体が連とみえるまでだからしかたがない。美禰子と与次郎あいだには、時々談話が交換されつつあるらしい。野々宮さんもおりおり口を出すと思われる。

 すると突然原口さんが幕の間から出て来た。与次郎と並んでしきりに土間の中をのぞきこむ。口はむろん動かしているのだろう。野々宮さんは合い図のような首を縦に振った。その時原口さんはうしろから、平手で、与次郎背中をたたいた。与次郎くるりと引っ繰り返って、幕の裾をもぐってどこかへ消えうせた。原口さんは、舞台を降りて、人と人との間を伝わって、野々宮さんのそばまで来た。野々宮さんは、腰を立てて原口さんを通した。原口さんはぽかりと人の中へ飛び込んだ。美禰子とよし子のいるあたりで見えなくなった。

 この連中の一挙一動演芸以上の興味をもって注意していた三四郎は、この時急に原口流の所作がうらやましくなった。ああいう便利な方法で人のそばへ寄ることができようとは毫も思いつかなかった。自分ひとつまねてみようかしらと思った。しかしまねるという自覚が、すでに実行の勇気をくじいたうえに、もうはいる席は、いくら詰めても、むずかしかろうという遠慮が手伝って、三四郎の尻は依然として、もとの席を去りえなかった。

 そのうち幕があいて、ハムレットが始まった。三四郎広田先生のうちで西洋のなんとかいう名優のふんしたハムレット写真を見たことがある。今三四郎の目の前にあらわれたハムレットは、これとほぼ同様の服装をしている。服装ばかりではない。顔まで似ている。両方とも八の字を寄せている。

 このハムレット動作がまったく軽快で、心持ちがいい。舞台の上を大いに動いて、また大いに動かせる。能掛りの入鹿とはたいへん趣を異にしている。ことに、ある時、ある場合に、舞台のまん中に立って、手を広げてみたり、空をにらんでみたりするときは、観客の眼中にほかのものはいっさい入り込む余地のないくらい強烈な刺激を与える。

 その代り台詞日本である西洋語を日本語に訳した日本である。口調には抑揚がある。節奏もある。あるところは能弁すぎると思われるくらい流暢に出る。文章もりっぱである。それでいて、気が乗らない。三四郎ハムレットがもう少し日本人じみたことを言ってくれればいいと思った。おっかさん、それじゃおとっさんにすまないじゃありませんかと言いそうなところで、急にアポロなどを引合いに出して、のん気にやってしまう。それでいて顔つきは親子とも泣きだしそうであるしか三四郎はこの矛盾をただ朧気に感じたのみである。けっしてつまらないと思いきるほどの勇気は出なかった。

 したがって、ハムレットに飽きた時は、美禰子の方を見ていた。美禰子が人の影に隠れて見えなくなる時は、ハムレットを見ていた。

 ハムレットオフェリヤに向かって、尼寺へ行け尼寺へ行けと言うところへきた時、三四郎はふと広田先生のことを考え出した。広田先生は言った。――ハムレットのようなもの結婚ができるか。――なるほど本で読むとそうらしい。けれども、芝居では結婚してもよさそうである。よく思案してみると、尼寺へ行けとの言い方が悪いのだろう。その証拠には尼寺へ行けと言われたオフェリヤがちっとも気の毒にならない。

 幕がまたおりた。美禰子とよし子が席を立った。三四郎もつづいて立った。廊下まで来てみると、二人は廊下の中ほどで、男と話をしている。男は廊下からはいりのできる左側の席の戸口に半分からだを出した。男の横顔を見た時、三四郎はあとへ引き返した。席へ返らずに下足を取って表へ出た。

 本来は暗い夜である人の力で明るくした所を通り越すと、雨が落ちているように思う。風が枝を鳴らす。三四郎は急いで下宿に帰った。

 夜半から降りだした。三四郎は床の中で、雨の音を聞きながら、尼寺へ行けという一句を柱にして、その周囲にぐるぐる※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊した。広田先生も起きているかもしれない。先生はどんな柱を抱いているだろう。与次郎は偉大なる暗闇の中に正体なく埋まっているに違いない。……

 あくる日は少し熱がする。頭が重いから寝ていた。昼飯は床の上に起き直って食った。また一寝入りすると今度は汗が出た。気がうとくなる。そこへ威勢よく与次郎はいって来た。ゆうべも見えず、けさも講義に出ないようだからどうしたかと思って尋ねたと言う。三四郎は礼を述べた。

「なに、ゆうべは行ったんだ。行ったんだ。君が舞台の上に出てきて、美禰子さんと、遠くで話をしていたのも、ちゃんと知っている」

 三四郎は少し酔ったような心持ちである。口をききだすと、つるつると出る。与次郎は手を出して、三四郎の額をおさえた。

「だいぶ熱がある。薬を飲まなくっちゃいけない。風邪を引いたんだ」

演芸場があまり暑すぎて、明るすぎて、そうして外へ出ると、急に寒すぎて、暗すぎるからだ。あれはよくない」

「いけないたって、しかたがないじゃないか

しかたがないったって、いけない」

 三四郎言葉だんだん短くなる、与次郎がいいかげんにあしらっているうちに、すうすう寝てしまった。一時間ほどしてまた目をあけた。与次郎を見て、

「君、そこにいるのか」と言う。今度は平生の三四郎のようである。気分はどうかと聞くと、頭が重いと答えただけである

風邪だろう」

風邪だろう」

 両方で同じ事を言った。しばらくしてから三四郎与次郎に聞いた。

「君、このあいだ美禰子さんの事を知ってるかとぼくに尋ねたね」

「美禰子さんの事を? どこで?」

学校で」

学校で? いつ」

 与次郎はまだ思い出せない様子である三四郎はやむをえずその前後の当時を詳しく説明した。与次郎は、

「なるほどそんな事があったかもしれない」と言っている。三四郎はずいぶん無責任だと思った。与次郎も少し気の毒になって、考え出そうとした。やがてこう言った。

「じゃ、なんじゃないか。美禰子さんが嫁に行くという話じゃないか

「きまったのか」

「きまったように聞いたが、よくわからない」

「野々宮さんの所か」

「いや、野々宮さんじゃない」

「じゃ……」と言いかけてやめた。

「君、知ってるのか」

「知らない」と言い切った。すると与次郎が少し前へ乗り出してきた。

「どうもよくわからない。不思議な事があるんだが。もう少したたないと、どうなるんだか見当がつかない」

2024-08-12

コミケ会場前に置かれた動物グロ写真の中に象牙密漁で殺された象の写真があった

twitterの反応を見ると象牙密漁なんてオタクにどうしろ?と反発する反応ばかりだが

俺に刺さった

なぜなら象牙規制後に「在庫象牙」で作られた新しい判子を親から貰ったからだ

あの悲惨な象の写真

から象牙の判子を貰いぬくぬくと育った俺にとって背負うべき十字架なんだろう

今夜は肉食うぞ!/肉食ったぞ!と突っ張ってる同志諸君には申し訳ないが

あの団体の主張は俺には刺さったんだ

2024-02-23

スカート着用に次いで男にとってハードルが高いのって…

飾りのついたゴムとかバレッタで髪をまとめることじゃないかと思うんだよな

俺は性自認身体と一致した男なんだけど髪が長くて、

かつ趣味実益を兼ねて象牙細工とか螺鈿細工をやるんだけど

外で自作の髪留めとかヘアゴムを使ってると「あっ」って顔をされるんだよな

なんか、アメリカの長髪のジジイとかシルバーの髪留めとかつけてるじゃん

そういうイメージなんだけど

「髪に飾りをつけてたら女、男がやってたらオカマ」というコンセンサス日本社会にはあると思う

デザイン的にも別に女性向けに作ってるものではないんだけどな

2024-02-08

anond:20240208134420

1450ppmFの高濃度フッ素入り歯磨き粉をたっぷり使って歯磨きした後は、基本的に吐き出すだけで良く、うがい(すすぎ)はしなくていい。

うがいをする場合はごく少量の水(15ml、大さじ1程度)でゆすぐ。

これは歯磨き後の口腔内のフッ素濃度を高く保つの目的

虫歯は奥歯の根本象牙露出のとこにできてた

歯ブラシの毛先が届きにくくていちばん磨きにくい場所から、磨き残しがあったのかもね。

甘いものが好きで割と食べてること以外は、そんなに問題はなさそうに思える。

anond:20240208120621

質問ありがとう。答えます

>> 1450ppmFの高濃度フッ素入り歯磨き粉は使っていますか? <<

コーヒー飲むから昼はブリリアントモア。夜はコンクール。多分どっちも最大濃度?なはず。

>> 歯磨きをしたあと、うがいに使う水は最小限にしていますか? <<

これはわからない。携帯コップに半分~7分目くらい使ってるけど多いかな?

>> 1日の食事回数は何回ですか?(ステファンカーブ) <<

休日は2回(昼夜)、平日3回(朝昼晩)

>> 甘い食べものや飲みものをどのくらいの頻度で摂取していますか? <<

元々甘いものは平日夕方に食べてて週2~3回は食べる。食べた後はうがいしてる。

最近キシリトールガムに置き換えるように頑張ってるけど、結構ストレスがかかってる。

コーヒー牛乳で割ったのは、全く飲まない週もあるけど、寝不足時や集中力ブーストしなきゃいけない時は飲む回数が増える(週3~4)

>> 定期検診時のプラークコントロールレコードPCR)は20%未満ですか?(よく磨けていると言われますか?) <<

プラークコントロールは7年くらい前から3ヶ月~6ヶ月に一回は見てもらってて、よく磨けてるとは言われてる。

歯の図毎回もらうけど、ここ数年は指摘なし。今回は半年ぶりになってしまたから着色は結構してると言われた。

虫歯は奥歯の根本象牙露出のとこにできてた。多分昔から弱ってて経過観察だったところだと思う

虫歯

また虫歯できてた、つらい

朝のマウスウォッシュ、昼と夜の歯磨き、就寝前のデンタルフロス

ここまでしてもダメ・・・

仕事中におやつ食べてたのもキシリトールガムに変えたのになあ

たまにカフェオレ(コーヒー牛乳で作ってるから砂糖はなし)飲んじゃうのがダメなのかな

まあ昔の誤った歯磨き(ブラシ圧強すぎ)で歯茎下がりしちゃってて、象牙露出があるから根本虫歯になりやすいのはわかるんだけど・・・

最近はもうノイローゼ気味かも、しんどい

2024-02-04

anond:20240204111928

たまねぎの指針になるきつね色、鳶色、サーモンピンクとか色々あるじゃん

パープルは貝、クリムゾンは虫の名前が由来。

動物のものではなく部位でいいならアイボリー象牙)とかセピアイカスミ)とかも。

2024-01-30

詞が黒歴史にされた例

かなりや

黒歴史

→唄を忘れた金絲雀は 赤い緒紐でくるくると縛められて砂の上 かはいさうにと妹が涙ぐみつゝ解いてやる、

正史

→唄を忘れた金絲雀は 象牙の船に、銀の櫂、月の海に浮かべれば、忘れた唄をおもひだす

発表順は正史の方が先

家庭がゴタゴタして詞なんて書いてる場合じゃないよなという時期の心境を書いている

森へおいで

黒歴史

→今夜きみをつれていくよ 真夜中にむかえに行く

 ぼくの好きな真珠色の 肌が光る 月明り

 ひみつの迷路の奥に きみは まよいこむ

 命をつないだ糸が しずかにほどけていく


正史

→森へおいで 森へおいで  ぼくはきみを泣かせない

 森へおいで 森へおいで きみを不安にさせない

 そんな不器用キスの 呪文をぬけだして

 ぼくと遊ぼう 約束どおり 森へおいで ぼくの

宮崎勤事件で改変を要求される

いつか河を越えて

黒歴史

→ここでは誰もが口癖のように こうつぶやいている いつか河を越えて

正史

→ここでは誰もが口癖のように こうつぶやいている any day any way

被差別部落は「河向こう」と呼ばれ、これはその意を汲んで被差別から抜け出すことを願う歌であり改変を要求されタイトルも変更

2023-11-02

唇と唇 眼と眼と手と手 神様象牙製品輸出入禁止なんかしてない

愛してる 愛してる 愛してる

2023-06-27

メルカリ闇市

1.現金を出品

カード枠を合法的現金化するため、+2割くらいでも普通に売れた。

規制

 

2.象牙の出品

象牙は輸入がそもそも禁止されている。

メルカリで売れた後、現地で仕入れ密輸入する手法問題視され規制

 

3.農作物登録品種の苗、種の販売

種苗法登録品種登録生産者許可を得ていない販売禁止されているが多数出品。

規制

 

4.契約中の携帯電話の出品

飛ばし携帯として反社携帯電話流通させる等の目的で出品されていた。

→当然規制

 

5.売春

まさかメルカリ経由で売春

→当然規制

2023-06-20

anond:20230619204158

後悔チンポ立たず

光速のチンポ

ユニバーサルスタジオチンポ

ラジオチンポ便

天声チンポ

一日チンポ三日でチンポ

チョコモナカチンポ

チンポぶらり途中下車の旅

チンポ滅却すれば火もまた涼し

象牙のチンポ

チンポプラズマ肺炎

2023-06-19

anond:20230619123005

会見をニュース番組で少し見たけど、耳のでっかい穴と象牙みたいなピアスと紐状に変形した赤い耳たぶが気になって、あそこまで広げるにはエチオピアムルシ族のお皿とかミャンマー首長族的に少しづサイズアップをする地道な努力必要なのかなとか考えてたら内容が全部消えた

2023-03-04

一部のアレな男性連呼する「女は股開けば稼げる(性的資本を売る)からいいよね」系の発言の不気味さって、それが明らかに「買う側」の視点しかいからこんなにも不気味なんだなと思った 象の密猟者が「象は象牙があるから価値がある、金になるから羨ましい」って言ってるのを見てるような怖さ

https://twitter.com/exexeve_404/status/1559866346489679874

2023-02-18

anond:20230217234735

「塔」の字、そんなに使う?

魔界塔士?

ドルアーガ

ピサ?

象牙

2022-08-18

一部のアレな男性連呼する「女は股開けば稼げる(性的資本を売る)からいいよね」系の発言の不気味さって、それが明らかに「買う側」の視点しかいからこんなにも不気味なんだなと思った 象の密猟者が「象は象牙があるから価値がある、金になるから羨ましい」って言ってるのを見てるような怖さ

https://twitter.com/exexeve_404/status/1559866346489679874

こりゃ一本取られた

2022-08-11

ヴィーガニズム押し付けるな」に対する反論

追記

コメントで寄せられた種々の意見について反論しようと考えたが、いずれも下記でリンクを張ったサイトを読んで貰う方が早く、正確なのでそうしてください。

だったらこんな記事を書く意味はないじゃないかということになるが、まあサイトの紹介記事として書いたと思えば無意味ではないと思っています

http://therealarg.blogspot.com/2019/02/VeganFAQ.html

追記おわり】


ツイッターヴィーガントレンド入りしてて、覗いてみると過激派ヴィーガンテロ行為炎上しているという内容だった。 

そのニュースを受けて、そういった活動だけではなくヴィーガニズムのものへの批判が多く為されており、その中にはヴィーガンに必ずと言っていいほど寄せられる批判がいくつか見られた。

というわけで以下でそれに勝手に答えておきたい。

ちなみに、ここで書いてあることを読むより以下のサイトを見てもらう方が良いので、時間があるならそうしてください。

http://therealarg.blogspot.com/2019/02/VeganFAQ.html


自分でやるのは勝手だが、人に押し付けるな

 これは一見かなりもっともな主張に見えるし気持ちもわかるのだが、「押し付けるな」という反論はズレている。

 なぜならヴィーガニズムというのは「動物権利侵害するのは止めよう」という倫理規範からで、「野菜を食べて健康になりましょう」という思想ではないから。

 「殺人差別をしてはいけない」というのは思想という以上に倫理規範である。「お前が差別しないのは自由だけど、俺は自由差別して生きていく。それに口を出すな。住み分けて生きて行こう」という理屈が通らないのと一緒で、倫理規範他人にそれに従うことを要請するという性質がある。 

 

 だからヴィーガン反論するのであれば、「「動物権利侵害しては行けない」という倫理規範存在しない、成立しない」とか、「そもそも肉食という行為動物権利侵害していない」「そもそも動物権利なるもの存在しない」という方面反論しなくてはならない。それなら議論は成立する。


動物権利って何だよ

 上記に付随して当然出てくる疑問だろう。

 だが、結論から行くとこのテーマをここで書き切ることは到底不可能なので、おのおので関心を持った分野の本を読んでくれということになるが、

 ひとつ、ひどく大雑把に議論を紹介すると、以下のようになる。

 

 ①権利というものは現状では人間しか認められていないが、それはなぜなのか。「神が人間にだけ権利を与えた」といった説明も出来るが、論理的ではない

 ②ひとつには、権利は「苦痛回避すること」と説明出来る。つまり理由なく苦痛を与えられてはいけない、という考えは権利の1つの側面である

 ③大半の動物は痛覚を持ち、苦痛回避するように振る舞う。よって、不要苦痛を与えられない権利動物にもある


 だから動物不要に苦しめるような畜産産業はやめるべき、となるわけですね。


植物は殺していいの?

 これも極めてよく用いられる反論で、「プランツゾウ」という名前までついている。

 上記したようにヴィーガン動物権利擁護する立場であり、おおざっぱに言えばそれは「苦痛を与えてはいけない」という言葉で要約できる。そして現在科学的な知見でいえば、植物は痛覚を感じていない。だからヴィーガン植物権利擁護しない、というか植物権利見出していない。

 逆に言えば、明確に知性や痛覚を有する植物にたいしては、ヴィーガンは同様に権利見出し擁護することになると思うよ。

これを言う人だって、道端の草を踏んづけるのと野良犬を踏んづけるのなら後者の方が抵抗あるんじゃないかな?


人類は長い歴史を肉を食べて生きてきたので、それが自然だし、文化でもあるのでは?

 長い歴史があっても間違っているならやめるべきでは。間違っていないなら根拠を示すべきでは。

 一つ考えてほしいこととして、「完全に動物肉と同じ味、同じ値段、同じ栄養素の人工肉」が開発されたとする。あなたはその状況で、あえて実際の動物の肉を選ぶだろうか。

 多くの人は「それなら動物を殺さないでこれを食べよう」と判断するんじゃないかな。ピアノの鍵盤とかハンコにあえて象牙を使わないでいいのと同じ理屈

 もちろん、現状でそんな便利なものはないんだから現実的ヴィーガンになるのが難しいのは解る。解るが、ヴィーガニズムに理があることも解ってもらえるんじゃないだろうか? 


・「いただきます」と感謝するのが大事だよね

 感謝していれば権利侵害してもよいということを主張してるわけですが大丈夫ですかね…

 「いつも働いてくれてありがとう」と感謝すれば人を奴隷してもよいってことなってしまうのでは?


ヴィーガン自分たちの活動アピールするために牛乳をぶちまけたりしているのは矛盾では

 要するに言論でおとなしく反論しても世界は変わってくれないということで、それは全く間違いではないのかも知れないが、個人的にはこうしたパフォーマンス有益だとは思わない。

 ただ、一部の過激派を例にして全体を否定できないことも言うまでもない。


 現実的に今すぐヴィーガンになるハードルがかなり高いのは実際のところかなりわかるけど、すくなくとも理屈としてのスジはわかってもらえるんじゃないかな。

2022-08-07

婚活で初めて女性と会うんだけど、服装こんな感じで良い?

30代の公務員恋愛デート経験ほとんどなし。場所ホテルラウンジ結構いいところのホテルでお相手もきれいめの服装で来るらしいから、こっちもそれなりの恰好しようと思って用意した。今は亡き祖父祖母お見合い写真を参考にした。

服装

ブラウンスリーピーススーツ

スーツと同じ生地で作ったブラウンのハット

・黒檀と象牙ステッキ

懐中時計

・色を合わせたネクタイポケットチーフ

・黒革の手袋

2022-06-18

anond:20220618202245

エナメル質は硬度が高いほど透明になるから中の黄色象牙質が透けて黄色っぽく見えるんだっておだてられとるやで

2022-05-31

anond:20220531170519

ヤクザシノギがなくなってしまう!非人道的ヤクザだけじゃない!ヤクザうなぎ稚魚違法密猟して売った業者だって生活があるんだ!生きてるんだぞ!

ウナギ密猟のために違法闇漁具だって仕入れたのに…安くないんだぞ!彼らの仕事がなくなったらどうするんだ!

みんなでウナギ象牙絶滅危惧種を購入して、乱獲業者密猟者を支援しよう!彼らにも生活があるんだ!!

経済制裁なんて非人道的

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