はてなキーワード: クリスマス・イブとは
テレビを消すと、静かな夜だ。前のカラオケスナックからも、今日は何も聞こえない。犬の鳴き声だけ聞こえる。
あまりにも静かだから、あえて、youtubeでクリスマスメドレーを聴く。
恐らく幼稚園くらいのころ、デパートでクリスマスツリーを買ってもらって、バスで家の近くの停留所で降り、両親と家路への暗い坂の獣道を歩いた、かすかな記憶、
今思うと、生クリームではなく、バタークリームのクリスマスケーキだったこと、
デパートで、宇宙戦艦ヤマトの模型を買ってもらったこと、小学校6年のとき、欲しかった腕が灰色のジャンパーを買ってもらったこと、
親とのクリスマスの思い出が浮かんだ。そんなおかあさんにありがとうを言う前に、この前死んでしもた。おかあさんに、せめて一言、「いままで、ありがとうね」といいたかった。
おかあさんに、面と向かって、ありがとう、と言ったことがあるか?「ありがとう」を求めてないおかあさんだったから、恥ずかしいのにかまけて、言えなかった。
クリスマスとは無関係に平日を過ごされている皆さん、お疲れ様です。
さて、ハイスコアガールから恋愛要素を完全に引いた形で青春を過ごし、
過去の殺伐とした記憶が上書きされるくらい身悶えするような甘ったるさを
完全に枯れたジジイの目で暖かく見守っていたファンも多かろうと思います。
「ああ、これ売れ残ったらオレが買わされるんだろうな……」と寒空の下、
声を張り上げるコンビニの売り子よりは幸せだと思う貴方に送る怪文書です。
末端価格は同じなのに、街の小さな本屋と、都市部の大型書店とで、卸値が違います。
カネとモノの流れは取次が超高効率で仕切ってますが、営業は出版と本屋でほそぼそと行います。
そして、膨大な作業量の割に、日本の商習慣が結晶したようなビジネス機構で動いています。
つまり、口約束が多く、事なかれ主義で、担当者の約束は会社のソレと一致しなかったりします。
(このあたり「真吼えろペン」が誇張や脚色も入って適度に生臭くてオススメです)
が、産業になるにつれて官僚的でビジネスライクになっていきます。
ローカライズや世界展開が早かったこともあり、まあ、普通になったと言って良いでしょう。
法律を守り契約書を作り、それなりにガチでやりあうこともある世界です。
任天堂の法務は世界一との評判も名高い、それなりに蓄積のある業界です。
引用を理解するには、ミッキーマウスを漫画に登場させるにはどうすべきか?を想像するのが早いでしょう。
例えば、夏目房之介さんは法律上認められた引用を漫画に対して行い批評をすることで有名ですが、
これが有名なのは、慣習的に絵の引用は相手の許諾をもらってから、という業界の風習に切り込んだからです。
また、逆に他からネタを持ってくることは「コピーしない」範囲内において普通に行われています。
水木しげるのようにうまく取り込むこともあれば、久米田康治のようにパロディーにすることもあります。
しかし、アイデアのパクリやトレースなどに対しては、自粛も含めて相当に敏感です。
ここでのポイントは、法律とは全く無関係の慣習で業界が動いていることです。
ジャニーズは異様に著作権管理にうるさいことで有名ですが、それはそれで正しい訳です。
また、過去のドラマシリーズの出演者に連絡がとれず、ソフト化出来ない、なんてのも良く聞きます。
一方で、アニメに関しても、「これぐらいなら良いだろう」という甘えが見える分野もあるにはあるわけです。
有名なところでは「ワクドナルド」でしょう。デニーズやロイヤルホストにそっくりな店舗も良く見ます。
(象徴的な「あの花」のインタビューを張っておきます。http://toyokeizai.net/articles/-/18789?page=2)
また、古くは企業戦士YAMAZAKI、最近でもへうげもの等に、実在の芸能人がそっくりな形で登場することがあります。
今のところ、闇のイージスにリュック・ベッソンがクレームを入れたとの報は入ってきておりません。
ただまあ、ムダヅモ無き改革もハリウッドで映画化されたら、意外に国際問題になるかもしれません。
さて、ゲーセンでカツアゲされた記憶のある人なら覚えはあるだろうSNKの筐体。
ハイスコアガールでもわりと重要なエピソードに絡んで登場します。
どっちがビッグサンダー・マウンテンに多く乗れるか勝負だ!みたいな使い方をしていれば、
第一生命やオリエンタルランドからクレームぐらいは付くかもしれません。
が、劇中に登場するのはSNKの対戦格闘ゲームで、残念ながらSNKは倒産しました。
そして、版権管理業務を行うプレイモアがSNK破産時に知財を取得し、SNKプレイモアに商号変更しました。
「NEO GEO X」でドライにライセンス契約を解除した件で記憶している人も多いでしょう。
つまり、牧歌的な時代を引き継いで緩い企業も多い中、ワリとガチな企業なわけです。
さて、今回ハイスコアガールに関して、刑事になったことに驚いたゲーム関係諸氏も多かろうと思います。
なぜなら、普通に考えてSNKプレイモアって企業は、取り扱い注意系の企業だと認識しているからです。
パチスロメーカーのアルゼとやりあった裁判は相当に有名で、1件は4億で和解しているものの、
現在もガチガチにやりあっている、いわば「あそこ怖いよね」という企業なわけです。
本事案、田中圭一が本宮ひろ志にぶちギレ金剛されたのとは違い、ビジネスライクな話です。
つまり、あまり言いたくは無いのですが、ルーズな出版業界が一般的な法律の世界に疎かったという話になります。
「は?普通にまず侵害をやめて頂いて、被害額の算出、それから著作権使用料の支払いと慰謝料ですよね?」
というのが、世間一般の日の当たる企業にお勤めの皆様の感覚なわけです。
菓子折り持って七重の膝を八重に折り、許諾頂ければお金の話は儲かってからで、みたいな感覚と違う世界ですね。
時系列で見てみましょう。
至る現在。と言う状況ですね。
9番の、連載停止差し止め回収からはちょっと厳しんでは、というのは、だいぶ感覚が毒されてます。
版権で食ってる会社の版権を勝手に使ってるので、まずは不快感を示されるわけですね。
ここはまだ法律的・金銭的にどうのではなく、商習慣として信義的にありえんでしょう、から始まってるわけです。
あと「聞いてくれるな、聞くのならば不許可」という会社も居ます。
商業誌でまんまジバニャンをバリバリ出してどこにも話し通してないとか、ちょっと想像つかないでしょう?
12番の部分ですが、この辺は「600円で累計100万部なら、ウチが半分で3億ですかね」の可能性も微レ存な状況です。
まあ、いずれにせよ「役員は把握していた」としないと、普通書類送検時に起訴相当と意見はつかないので。
18番のスクウェア・エニックス側が民事で「著作権を侵害していないことの確認」を大阪地裁に提訴したのは、
恐らく金額でケリをつけたいから、なんですよね。
チョット不可解に見えるかもしれませんが、この辺はロジカルなんです。
万が一、著作権侵害無しとされれば丸儲け。
よしんば著作権侵害有りとされても、どの部分が侵害していて、全体の何割、という具体例の把握になるわけです。
SNKプレイモアは、「著作権侵害なんかねーよ」と言われているので反論しないといけないわけです。
つまり、「このコマとこのコマとこの部分、全体で3割だね」みたいな形でスクウェア・エニックス側は敗訴するわけです。
すると、販売価格600円のうち、出版社利益が3割で、そのうち3割がSNKプレイモアの版権物のおかげになって、108円です、
100万部なんで、5千4百万円で手を売って下さい、みたいな形になるわけです。(+通常の著作権使用料。この辺は慣習が考慮される)
ここまでいけば、どのコマかは明確なので、修正&再販売&アニメ化にはいけるわけです。
そうガンガンとドル箱作品は生まれないので、これでも損益分岐点を割らないと踏んでの行動でしょう。
たらればいってもしかたがないんですが、本事案に発展するまでに、いくつも止められるタイミングがありました。
ご協力願えませんかと声をかけていって、OKでたところだけでやる。
「もやしもん」がビール会社との協賛してましたね。あれは金銭発生してないと思います。
(例えば脱衣麻雀を描くならスーパーリアル麻雀は外せないハズだが、作中には出てこない。セタ解散してるけど)
PCエンジンを描いた6-CREDITは、ほぼ改変せずに書き写しなので、これは民事にはならない(と判断する弁護士が多い)ハズ。
引用の要件を満たしていなくても実質的にカネが取れる民事訴訟は避けることが出来るというグレーで行けた。
あそこで、対外的な理由はなんとでもつけてよくて、「連載休止」「回収」「アニメ化は未定」にするだけでずいぶん違った。
日本の司法は実は「十分な反省」「真摯な態度」など、「情」を重視するので、誠意ある態度と見なせる行動を起こすだけで違ったはずです。
法人の著作権侵害は意外に重くて、刑事罰は最高3億です。ただし、刑事罰は故意の侵害時のみなので、
法廷戦略として「著作権侵害の認識はなかった。誰かが許可を取ってると思っていた」は徹底するよう弁護士から言われてるハズ。
おそらく刑事で「過失によるもので故意ではない」として刑事罰は無し。
平行して民事で侵害部分が特定されて、損害賠償と慰謝料で和解。
ハッピーケースで、著作権使用料を払って漫画は再開、再販売。アニメ化。
ベターケースで、SNK関連を削ってスト2を主軸に据えてアニメ化。漫画はリブート。
いずれにせよ、5,6回で結審、控訴せずに1年未満で決着、と言ったところではないでしょうか。
民事でケリをつけるべきなのに、刑事から入るの良くない、みたいな声明が出てますが、
版権持ちからとりあえず連載止めろと言われている時に、ド直球で「真サム」と「KOF95」を題材にして、
日高とハルオとの対戦を描けば、そりゃ刑事告訴もされるだろうよ、相当悪質だろうよ、とは思います。
(ただSNKプレイモアも嫌な裁判慣れをしているので、引っ張れるだけ引っ張るつもりかも知れませんが)
裁判では不利に働くであろう捜査期間中の連載を40-creditまで強行したのは、
社内の法務部門でも「許諾されない場合の再販売は難しいだろう」と判断されていたからでしょう。
逆に言えば、その態度(2014 vol.07まで連載継続)が家宅捜索にまで発展してしまったわけです。
単行本組は残念ですが、連載組はギリギリ、一応の区切りまでは観ることが出来ています。
その日は一日、エゴサーチをして過ごした。
はてなブックマークのトップページにアクセスし、僕のエントリが "注目記事" の欄に確かに載っているのを何度も確認した。ブックマーク数がさっきより増えているのを発見しては、好意的なコメントに残らず星をつけて回った。それが終わると、ツイッターで僕のエントリについて触れたツイートがないか探し、見つけたツイートを自分のアカウントにコピーし尽くした。
(もちろん非公開アカウントだ。自分の評判を集めてヨがっている姿を他人に晒すなんて、恥ずかしすぎてとてもできない!)
それも終わると自分のエントリをもう一度読み直し、誤字や分かりにくいところを探して修正した。そしてはてなブックマークのトップページにアクセスしなおすと、ブックマーク数はまた増えていた。
男性の性衝動は、いつも突発的だ。前立腺の内圧の高まりに連動する射精への期待感。そして噴出するスペルマと共に訪れる射精の快感。でも悲しいかな、その快感は一瞬だ。でも、これは違う。承認が別の承認を呼ぶ、快楽の循環構造。いつまでもダラダラと続く快感。この作業をずっと繰り返して一生を終えることができたなら、なんて幸せなんだろう。そう思いながら、布団の中で丸ボタンの効きが悪くなったiPhone4sの画面に見入った。
バッテリ残量が10%を切りました、とiPhoneが告げた。いつのまにか僕のエントリは"注目記事" に出てこなくなり、小室淑恵のワーク・ライフ・バランスの記事と、かまぼこに関する謎の論争に入れ替わっていた。ブックマーク数はぱたり、と増えなくなり、僕のエントリを話題にする者はどこにもいなくなった。
クリスマス・イブが終わった。
‐ 2020年12月、トーキョー ‐
より便利により早くより安価に物が動き人が動くことが可能になったものの、
今はすっかり人々の生活に定着したタブレット端末によりAamazonのサイトで
いわば職人道具と化していた)
パートナーとは恵比寿か代官山に食事に行こうかとも提案したが、
お気に入りのイタリアンレストラン「アリエッティア」がなくなったこともあり
家でテレビでも見ながら食事をして過ごそうということになっていた。
24日のクリスマスイブは贔屓にしているコメディアンのバラエティ番組が放送されるので
外に食事をするより家でのんびりするほうが私は気に入っている。
40歳になっても動画サイトで二次元のヒロインとクリスマスを過ごす、
という内容のタグを漁る習慣は抜けないでいる。
クリスマスのシーズンに聴く音楽は大抵iTuneストアで購入する。
ビートルズの【ラスト・クリスマス】、ジョンレノンの【イマジン】
ドリームズカムトゥルーの【WINTER SONG】、山下達郎の【クリスマス・イブ】は
毎年欠かさず聴くようにしている。
今年はそのプレイリストに流行りのアイドルソングか今季で一番お気に入りの
アニメソングを入れようかと思っている。
大学時代からの熱心な趣味(と言って差し支えないだろう)であるアニメ鑑賞は
この歳になっていても続いている。むしろその病的な情熱はより強くなったと言っていい。
1週間地上波の番組を全て録画することができるHDDレコーダ**(ソニー製)には
パートナーが呆れるのも無理はない。
週末はたいてい道場に行くか図書館に行くことを日課にしている。
気が向けば隣町のラーメン屋までドライブに行ったり、都心まで足を伸ばして
外出するのが億劫な場合はネットワークゲーム(すでに7年もやっている)
に興じて一日を過ごすこともある。
本は主に日本文学やミステリー、SF、技術書、ビジネス書、自己啓発書などを中心に
読んでいる。東野圭吾が未だに現役なのには驚きを禁じ得ない。
自分で創作した小説まがいのものをWEBにアップすることもたまにあるが本格的な長編を
完成させたことは一度もない。いつかしっかりとした長編SF小説を買いてみたいがそれは
まだずっと先のことのようだ。その夢が叶うのはあるいは老後かもしれない。
ライブなどもたまにいく。
ロックフェスの数もだいぶ少なくなってきたが
それでもライジングサンフェス、ロックインジャパンフェス、サマーソニック、
フジロック・フェスティバルなどの主要なフェスには根強い音楽ファンが毎年何万人も
参加している。初音ミクなどのVOCALOIDのDJもだいぶ定着してきたようで
アニメ色がより強くなったのは2000年代では考えられないことだ。
相変わらず邦楽ロックが中心にミュージックステーションとかに出演するようなアーティストを
好んで聴いている。ジャズやクラシックにも挑戦したいと思っているが
若いころに比べるとだいぶ腹も出てきたのでなるべく運動はしようと考えている。
年に1度はするようにしている。
なんでも手を出してすぐに飽きる癖はなかなか抜けないようだ。
月に一度は料理をする。
(ちなみにオニオンフライを下品にならない程度に散らすのが美味しさのコツだ)
酒は相変わらずビールを中心に飲んでいるが
バーボン、日本酒、焼酎、ウィスキー、ワインなども好んで飲むようになった。
たまに燻製を作ったりすることもある。
行きつけのバーも随分増えてきた。
新宿のゴールデン街や池袋のショットバー、中野の立ち飲み屋などに
行くのが週末のささやかな楽しみだ。
焼き鳥屋や蕎麦屋で晩酌するのが好きだが家庭的なイタリアンレストランだったり
本格的なソーセージを食べさせてくれるドイツ料理、泡盛が飲める沖縄料理、
銀座では映画を見たり、老舗のスイーツを買いにいったりするのが好きだ。
みんなそれなりに年をとり良くも悪くも変化していった。
インターネットの高速通信網は日本中に貼り巡り(それは私に生物の毛細血管を連想させる)、
かつて”スマホ”と呼ばれるものを肉体に移植するのが普通になったが、
脳の情報をデジタル情報に置き換えて肉体を必要としなくなる時代が到来するのはまだ先のようだ。
人類がテクノロジィに踊らされているという状況はいつの時代も変わることはない。
願わくばテクノロジィが戦争の為でなく人類の平和のために使われることを
ひどく薄いインスタントコーヒーとともに。
寒い日だった。クリスマスはいつでも寒いけれど、その日は格別だった。ホワイトクリスマスになるのではないか、という予感があった。
あなたは、私が指定した通りの時間に、金時計の傍でぽつりと立っていた。クリスマスで浮かれるかわいい女の子たちの中、黒を基調とした色の服を着ていたあなたのあたりだけ、深く沈んでいるように見えた。
私は、数か月ぶりにあなたを見て、そして足を動かすことができなくなった。付き合い始めてから、初めて会うあなた。この、土壇場になって、「会わない」という選択肢が私にはあるのではないのか、という思いが頭から離れなくなっていた。数秒その場で固まったあと、私は勇気を振り絞り歩いた。あなたとの距離があと少しになったとき、ようやくこちらに気付いて、笑った。犬のような笑顔だった。私は、今でもその顔を忘れることができない。
私の家にあなたの「お泊りセット」を置きに行く間、あなたはいろいろなことを喋った。数か月間会わなかった間のことが主で、あいかわらず情けない話ばかりだった。あなたは、駅のホームで、電車のなかで、ヒビの入ったコンクリートの道で、家につくまで喋っていた。
家に入ると、あなたは途端に黙りこくった。私たち以外だれもいない部屋は、不気味なほど静かだった。私は、自分が何を言わなければいけないのかを悟った。これ以上、残酷なことをしてはいけない、と感じた。
ごめんなさいね、と私は言った。
あなたは、え? と言ったあと、私の顔をじっと見た。
私は、一瞬だけ口を噤んだあと、体が緊張で軋むのを感じながら、別れてほしいの、と言った。
顔をそむけていた私は、あなたのその時の表情を知らない。でも、たぶん、いつものように諦めたような卑屈な笑顔で、そんな気がしてたんだ、と言ったんだと思う。
そして、私たちは別れた。
おそらく女の子の家に泊まることすら初めてなあなたは、当然のように、せっかくだし楽しむよ、と言った。私も、別れたからと言って今日の「お泊り」を無しにするつもりはなかったので、できる限り優しく微笑んで、うん、せっかくだし、と言った。
遠方から来たあなたは、この場所に詳しくなくて、そして私が年上ということもあって、当然デートは私がリードすることになった。といっても、デートというのは名ばかりで、私が行きたい場所にあなたを付き合わせただけだった。私は、私があなたのことを好きでない以上、自分が行きたくない場所に行っても楽しくないだろう、と思っていたし、そして、あなたは私のことが好きだから、あなたが興味のないところでも楽しめるだろう、という、一種、傲慢ともいえる考えをしていた。そして、今でもそれは正しかったのだろうと思う。私は、私が服を見たり、本を見たりして、あなたに合意や意見を求めたときの、あなたの笑顔が、どうしても悲しかった。でも、私にはどうすることもできなかった。
あなたは、私が支払おうとするのを止めて、代わりにお金を出した。私はそういうときにだけ、ああ、そういえばこれはデートだったのだ(しかもクリスマス・イブの日の)、ということを思い出した。
家に帰って、私は布団を敷いた。その上に、ゲーム機や、アニメのDVDなどをならべて、さて、なにから見ようか、とあなたと形ばかりの相談をして、結局その日私が買ってきたゲームと私が以前に借りてきたアニメを見ることになった。これは、思い出すまでもないことだ。なぜなら、あなたが自主的になにかを決めたことは、数か月前の私たちが別れる前日に私を公園へ誘ったこと以外、一度もなかったからだ。
布団の上で、私たちは、ぼんやりとした会話をしながら、ゲームを進めた。
そして、ゲームに夢中になるあなたの横顔を見ながら、言おうと思っていたことを言った。私、多分レズビアンなんだと思う。
私は一方的にしゃべり続けた。これまで男の人を好きになったことがないの。あなたは好きだったけど、なにか違うみたい。私は、人を恋愛として好きになったことがない、でも、私には恋愛に対する憧れがあるの。だから、私は、レズビアンなんだと思いたいの。男の人がだめなら、女の人と恋愛をしたい。それが無理ならAセクシャル、とか、恋愛ができない人、ってことになるんだろうと思うけれど、それはいやなの。恋愛ができる可能性があるなら、私は信じてみたい。だから、私はレズビアンなの。
あなたは黙っていた。
ゲームのコントローラーを触っている指だけ動いていて、目はじっとテレビ画面を見ていた。私も気まずくなって、一緒になってその画面をみた。
ふと、あなたは言った。おれさあ、この服買いに行ったときに、店員に、女の子だったらモテそうですね、って言われた。
私は、にこりともせずに、そうだったらよかったのにね、と言った。そうだったら、すごくタイプなのに。
そして私たちは、徹夜でゲームとアニメを消化しつづけた。淡々と、まるでそうしていなければ死んでしまうかのように、ゲームを進め、アニメを観た。
そして、泥のように寝た。
次の日、起きるとすでに夕方を過ぎていた。私は、冷蔵庫にしまってあったクリスマス用の豪華なごはんと、ケーキを持ち出して、ぐちゃぐちゃな布団の置いてある部屋に持ってきた。あなたは寝ぼけているようで、のろのろとごはんを食べた。気の遠くなるような時間をかけて食べた。奇妙な沈黙で満ちるこの部屋に耐えられず、私はもう既に最後まで見たアニメのDVDを再生した。あなたは、何もいわなかった。私も何も言わずに、淡々とクリスマスのチキンや、豪華なサラダ、そして、陽気なデコレーションをしてあるケーキなどを食べた。
ごはんを食べ終わるころには、すでに外は暗くなっていた。あなたは、帰るよ、と言った。私は、じゃあ送るね、と言い、自転車の鍵を探した。駅に着くまで、あなたは何もしゃべらなかった。着いてからですら、何かを言おうともしなかった。
私は、また来てね、と言った。言ったあとで、ずいぶんおかしなことを言ってしまった、と思ったけれど、あなたは、うん、と言って頷いて、改札を通って行った。逆光で、顔は見えなかった。
私は、寒空の下、ひとりで家路についた。自転車に乗って思い切り漕ぐと、クリスマスの冷たい風が顔にあたって、冷たかった。思わず空を見上げると、昨日は曇っていたはずの空には星しか無く、そこで私は、そういえばホワイトクリスマスにはならなかったなあ、と今更ながら残念がった。
タイトルどおりの内容になるかどうか。
とらドラ!にはいくつか語られていない部分がある。わざとかもしれないし、筆者の書き忘れかもしれない。9巻で「知られたくないことが、誰にでもある。それはうかがい知ることは出来ない」ということが重要な事として語られているので、ひょっとすると語られていないことはわざとそのままにしているのかもしれない。俺がぱっと思いつくのは次の三つ。
6巻ですみれのところに殴りこみをかける直前。大河が北村のことを「誰も知らない混乱があって、いままた、北村が好き」と想っている。誰も知らない混乱についてはその後語られていない。
これについては4巻のラスト、亜美の別荘で竜児に声をかけられなくなったことじゃないかと思う。3巻の「竜児は私のものだ!」では周りに「私の犬だから」と言っているが、おそらく自分でもそう納得している。それが別荘に行って花火を見ている二人を見たとき自分も竜児を好きなのだとはっきり気づいたのだろう。その後、人知れず悩んだ時期があって、最後に「それでも竜児とみのりを結びつけてあげよう」と結論をだしたってのが俺の解釈。
ちなみに、大河はイブの独り泣きで「竜児への気持ちに気づいた」と解釈している人もいるようだが、俺は違うと思う。大河は自分の竜児への気持ちにはずっと前に気づいていて「それでもいい、竜児とみのりの仲を応援しよう」と決めていた。決めていたのに、それが耐えられないことだとはっきり思い知ったのがクリスマス・イブじゃないか。
殴りこみ直後に拾われて、大河の恋心が他の生徒の知るところになったエピソード。アニメでは能登が大河と北村をくっつけようとしていたが、原作7巻では名前の出てこない生徒までも、北村の録音を渡して大河の気持ちを大事にしてやろうとしている。さりげないシーンだが、あとで竜児の「これまでの17年間を見ていた『誰か』は居なくても」につながる結構重要な場面。
で、2枚目の写真ってなんだ。
これはまぁ、竜児の写真なのかな。竜児とみのりが並んでゴールする写真の可能性も強いのだが、そうならば、あえて語らないより「知らせたい気持ち」としてあえて描いたかも。
あるいは、写真の内容そのものにはさほど意味がないのかもしれない。別荘の花火の夜に、大河の誰にも言わない竜児への恋心を知ってしまった亜美が、大河の「知られたくない」最後の一枚を守ってやった事が重要なのかもしれない。そうすると、語られない写真が語っているのは、実は作品中で「知られたくない心」の象徴として描かれる亜美自身なのだろうか。
10巻、竜児の祖父の家から大河は一人で去り、実母の元に戻る。それは話し合ってのことなのか。そうでないのか。
俺は話合ってのことだと思う。というのは、話されないことは察することが出来ないというエピソードが何度も繰り返されているから。やす子のいない部屋で絶望感に押しつぶされながら、大河の世界のためにみんなを幸せにしてやると決めた竜児が、こんな重要なことを話しあわなかったとは思えない。では、いつか。
学校からの逃亡して祖父宅に着くまでの間なんだろうな、というのが俺の解釈。大河が「泰子が幸せになること」を自分たちの未来に不可欠と位置づけたなら、大河が家族とどうあるべきかについて竜児が説教ではなく大河に気持ちを問うて気づかせるのが自然だと思う。
帰ったのが翌日だったのは、独身の進退問題を漏れ聞いた北村がメールして、電車の中で読んだってあたりだろうか。
で、その前夜。語られてないシーンで大河と竜児が結ばれたと思っているやつもいるのか。おれはそう思わない。竜児はキス以上に進まないと思う。
大河の性的な面に対して竜児が恐怖に近い感情を持っていることは、3巻の初水着シーンと10巻の大橋上のシーンではっきりと描かれている。それは大河の美しさや魅力に引きずり込まれ、おぼれることをまじめな気持ちで抑えたとも解釈できる。また、知らず知らずのうちに、どれだけ竜児が大河に惹かれているのかを表現しただけかもしれない。が、きちんとした大人にならないまま自分を宿した泰子の18年を見てきた竜児が、まだ子供の大河と体を重ねることを無意識に拒んだと解釈するのが好きだ。
イエーイ☆もみもみのチンピラ兄貴である父に対して、竜児は反感を抱いていない。単純に興味があるといっているだけ。だが、泰子と同じ苦労を大河に味あわせる気はないのではないか。無意識であれ。
どうやらこの二人は高校を卒業したら同棲するらしいが、笑いたくば笑え、俺は竜児は自分たちが大人になるまで大河と体を重ねない気がする。大河は積極的なようだが(w
祖父と竜児の間にそんな会話があるなら、いい場面だろうな。
大河が北村に告白して振られるシーン、おれの原作解釈とアニメの解釈がまったく違っていた。
アニメでは「竜児が助けてくれて、だからこうして言える、北村君が好き」と来て、竜児の独白「大河、お前はすごいよ」となる。告白にいかに勇気が必要かが強調されている。北村の「たぶん、ちゃんと正しくわかった」は、「好き」にかかっているように思える。
原作では「好き」と言った後に「でも竜児は嫌いじゃない」と続く。北村に対する気持ちより竜児への気持ちが強調され、竜児はそれじゃあまるで(自分を好きだと言っているようじゃないか、このドジ)とあわてる。大河の中で竜児はすでに大切な人へとなりつつあり、北村はそのことが「たぶん、ちゃんと正しくわかった」と言っている。
アニメのスタッフがなぜこの重要なシーンを変えたのか、よく分からない。順番の重要さに気づかずに単に告白を劇的に盛り上げるための助走として竜児への気持ちを使おうと思ったのかもしれない。あるいは、アニメは別解釈にしようと思ったのかもしれない。俺は原作至上主義じゃないからその点に関してとやかく言う気はない。
でも、「語られない気持ち」「語られない場面」がこの作品では重要で、そして北村は、いつ大河の気持ちに気づいたか語っていない。ひょっとするとそこからくるあいまいさがアニメと原作の乖離を生んでいるかもしれないと思うと、ちょっとだけ楽しい。アニメスタッフも読者なのだ。
これは増田BGMから増田さんたちへの贈り物。といっても大したものじゃないけどさ。
これまで紹介したクリスマスソング10曲をまとめてみました。
Merry Christmas Mr.Lawrence - 坂本龍一
WINTER SONG - DREAMS COME TRUE
Wonderful ChristmasTime - Paul McCartney
Happy Xmas (War Is Over) - John Lennon & Yoko Ono
All I Want For Christmas is You - Mariah Carey
最後はマライア・キャリー。
センセが英語の音楽ってことで授業中に紹介してくれたんだった。
音楽聴いてると、それを聴いてたむかしの記憶が甦ることあるよね。
あの頃は彼女いなくてモンモンとしたクリスマス・イブを家族と過ごしてたなー(T T)
でも、明けない夜はないんだぜ。たぶん。
つらいクリスマスを過ごすことになりそうな増田さんもいるかもしれないけど、
そういう人は、できる最善を尽くしてじっと待つんだ。そうすりゃつらさも紛れる。
紛れるだけじゃなくてつらい状態を乗り越える準備が整う。
チャンスの女神様は前髪しかないから彼女が訪れたときにはパッとつかまなくちゃならないとはよく言われるけど、
その時、しっかと前髪をつかめるのは、つかむ準備が事前にできてた人だけなんだぜ。
一人で一生懸命仕事したり勉強したりして過ごすクリスマスも悪くないとおれは思う。
それに…