はてなキーワード: 都市伝説とは
手から唐揚げが出てきたとか、そういう都市伝説が千年後にマジで信じられるわけもない。
例えばビル・ゲイツが後の伝説的な、いわゆる神話クラスの始祖として宗教的偶像崇拝の対象になるなんて、まずありえない。
いわゆるインターネットを介さないミームによって伝説は作られると思っているので、今日では三国志演義的な嘘は全く通じないことになる。
「じゃないミーム」っていうのは、例えばメソポタミアあたりの古代の洪水神話が世界に伝播して各地の神話になった、みたいなものなので、ある程度の地域性と知名度と、出処の不確かさが必要なわけで。
ことの起こりは去年の2月の人間ドック。出るものが出なかったんで看護師にどうするかきいたら、
「ああそれじゃいいですよ」
といわれた。
まあそういうのなら、とほったらしたのだが、今年また人間ドックの季節となって急に気になってきた。
調べるところによると検便より大腸内視鏡検査のほうが確実らしい。しかも四十過ぎると必須だとかいう。
私は小心者である。心底震え上がって週末に近所の消化器内科に行くことにした。大腸内視鏡検査もやるとこである。これが昨日までの話だ。
顔面蒼白になって医者にいうと内視鏡検査が確定した。至急とのことだが患者が多いんで月曜にしてくれという。むろん月曜に予約を入れた。有給は飛ぶ。
今、心の底から切れ痔になりたい。
癌だったらがーんだ。嫌だ。怖い。べつにたいした人生じゃないが、それだけに辛い。こんな歳なのに非正規で結婚もしてない。それなのに大腸がんで死ぬとか絶対イヤだ。
せめて正社員になってボーナスとかいう都市伝説をこの目で確かめてから老衰でベッドの上で死にたい。
がんの再発率がどうとか手術とか薬とか抱えながら生きるとか無理ゲー過ぎる。年収もたいしたことないし雇い止め食らう可能性もある。無理。無理無理無理無理。絶対。
月曜に検査して結果が分かるのが半月後だそうだ。私はいますごく願っている。
切れ痔になりたい。
切れ痔であって欲しい。
頼むから切れ痔であってくれ。
めちゃくちゃ切れ痔になりたい。おねがい。たすけて。
振られたのは去年のちょうど今頃。
寂しい夜もあったが、基本が趣味に生きる人間なのでなかなか楽しく充実した一年であった。あらゆるやってみたいことに挑戦した。こんなに遊んでくれる友達がいるとは知らなかった。恋人がいたときより幸せだった気がする。
しかし今彼氏がほしい。誰かに抱きしめてほしい。今すぐ。仕事はこっからしばらく山場だが、もう一ヶ月も待てない。二週間もきつい。今の知り合いといい感じになってデートに行って感触を確かめるには時間がかかりすぎる。そんで上手くいかなかったら辛すぎる。でも仲の深まってない恋人もどきを作るのはもっと御免だ。いきなりそこそこ私のことを知っていてその上私をちゃんと好きな男性が現れないかな。無理だ。
考えてみればここのところ女性として見られたことがない気がする。男性の照れた顔が見たい。下心が見たい。性的魅力を認めてほしい。目を合わせて笑うといい反応をくれてた男友達も今では彼女もち。もうそんなことする気にならない。すごい癒しだったのに。昨年突然男友達のリア充率が上がった。そういう年齢なんだろう。
他に道はない。仕事しよ。
「我々もそうだが、この国の人間はほとんどが信仰心を持っていない」
「そりゃあ、そうだろ。現代人の不平不満を神様に解決してもらおうなんてのは時代錯誤だ」
昔の偉い人は「神は死んだ」なんて言っていたらしいが、俺たちから言わせれば、そもそも生きていたかどうかすら怪しい。
『三種の神器』だとか言うのもあるが、あれだって世代ごとにコロコロ変わって安定しないだろう?
「人々の信仰心が薄れるのは、技術や経済が発展した国では珍しくない。資本主義の晩期は、特にそれが顕著だ」
けれども、それが何で俺たちと似ているって話になるのかが分からない。
生活教にも信者がいるらしいが、あれだって大半が面白半分ネタ半分でやっているだけだ。
「不思議だと思ってな。そんな我々が、こうして初詣といって神社に参拝するのはなぜだろう、と」
ウサクの言葉に俺たちはドキリとした。
確かに、そう言われてみると変な話だ。
そんな非合理な慣習を、俺たちは何の疑問もなく受け入れている。
「初詣に限った話ではない。夏祭りなどでは神社などの宗教施設を使い、自治体含めて多くの人間がそれを後援している」
宗教の自由があるとはいえ、いつだって“自由”はリソースとの相談だ。
俺たちはそのリソースを宗教的なことに割いているって意識が今までなかった。
「なるほどな、ある意味で俺たちは宗教にどっぷり浸かってるわけか」
「なーんか……変な感じ」
俺たちは軽く身震いした。
上手くいえないが、ゲーム画面が暗転したら自分の顔が映った時みたいな感覚だ。
「改めて考えてみると、何とも奇妙な社会だな」
ここにカジマやタイナイがいたら、陰謀論だとかに繋げるだろうな。
「ん~、確かに。アニメや漫画とかでも、登場人物たちが神社とか行くシーン多いよなあ。葬儀も大抵は仏式だし」
そう思っていたら、誰かが藪から棒に喋りだした。
バイト仲間のオサカだ。
四年ほど前に、二回目のお泊りデートの時に恋人が自分とのレズセックスの為だけに買ったローターをそのまま貰って帰った。可愛い兎のぬいぐるみポーチに入れられた、真っ黒で小ぶりなローター。おまけに温感ローションも。
そのデートの時もローターと恋人の手や口でそれはそれはもう腰が抜けるぐらいとんでもなく攻められた。人に玩具攻めをされるのがあんなに気持ちがいいものだとは思わなかった、そのぐらい。セックスが終わったあと「じゃあこの子は君が持って帰って大事にしてね」と、ティッシュや除菌シートでローターを綺麗にしてもらい、兎のポーチに入れて渡された。そして今もベッドのすぐそばにある。
ローターを貰ってから、自慰をする時や通話しながらの自慰(テレホンセックスって言い方は古いか?でもエロイプではないんだな…)は九割ローターを用いてのものだった。多い時で週に四回。稀に一日二回するが大体ローターがお供。
そんな頻度で使うものだから、ボタン部分は塗装が剥げまくりだしコードはリモコン側根元が破れてコード本体が見えている状態にまでなった。しかし電池を入れればまだまだ現役フルパワーなので、買い替えはもう少し先。
何よりエロいことで使う玩具が可愛いポーチの中にあり、しかもそれを恋人に貰って四年間使っているという状況下がもうやばい。その恋人とは今も仲良く付き合っているが、たまに「今でもあのおもちゃ使ってるの?」と聞かれる。もうめちゃくちゃ現役ですよ。
なんならこの記事はローター使った自慰の後に書いてるし、恋人との通話も繋がったままである。(所謂寝落ち通話。マイクは勿論ミュート状態)
ありがとうな恋人よ、この子は虫の息になるまで使い倒して使い倒して、役目を終えた時にはお礼とともに伝えるよ……。
余談だけど、ローター使いまくるとクリがバカになるという有名な噂があったが、ただの都市伝説であったということも併せて残しておく。
夫として妻を助けるにはどうしたら良いかな、アドバイス、書籍、そう言ったものないかなと思ってGoogle検索する。
そうすると、どうすれば母親が少ないストレスで育児ができて最後に「たまには旦那さんに甘えちゃいましょう!」みたいなサイトばかりヒットする。
「父親の育児における役割」と言う言葉、おそらくあちらのAIでは
くらいにスコアリングされてるんだろうな。
ここから予想されるのが、育児とかの検索をしてるのは母親が圧倒的に多いって事だ。
だけどだからって父親という単語を無視してるようにしか見えない挙動ってどうなんだよ。
例えば男性が本屋さんで店員に「すいません、父親にオススメな育児の本ありますか?」って聞いて、「新人ママの子育てレッスン」とかそんな本を勧める店員いないだろ。
ここまでならAIのシンギュラリティとか当面無理だろ、と言うくらいで済むんだが、問題はGoogleがお勧めするサイトはどこも「お母さんが頑張る育児、父親は使えないし手伝わない、どうやればコントロールできるか、お母さんには子供にだけでなく夫にも寛容でなくてはならない、ところであなたのキャリア大丈夫?」とかそんなんばかりになってしまう。
つまりAIによって女性は「将来が不安、子育てが不安、旦那が信用できない」と洗脳されていき、そこにふわっとフェミニズムが入り込むと言う図式になってないか。
まぁタイトル通りなんですけどオタクが風俗に行ったらレポを書かないといけないという文化はあると思うし、俺自身オタクの風俗レポは大好きなので。
なんで行ったかというと、ちょっと前にオタク友達が初めてソープ行ったレポ書いてたのを見て俺も一度行ってみるか思ったから。
あともう30代だし今後どんどん勃たなくなっていきそうだし今年中には行きたいって考えてた。
地方住みオタクだけど丁度今月出張で東京に出てきてて、しかも17時位には開放されると都合が良かったので一念発起して行ってきました。
泊まってるホテルの近くのソープを検索してどこに行くかとか、情報サイト見て流れの確認とかしてた。
VODが無料で見れるホテルだったのでなんとなくBGM代わりと予習(?)に適当なAVをつけてたら滅茶苦茶好みの女の子とシチュのAVですげー抜きたくなるが明日はソープ行くからと鋼の意志で我慢。
実は昔少しだけ付き合ってた彼女が居たんだが、その子としようとした時に上手く勃たなくて入れられずで終わってしまったことがトラウマになっているので少しでも成功率を上げていこうとする。
これは後日談というか当日談なんだけど、「昨日あれだけ我慢したんだから今日絶対行かないと報われない」という謎の決意が背中を支えてくれたのが大きかったと思う。
「そうは言っても仕事終わるの遅くなったら行けなくても仕方ないよなー(言い訳)」とかオタク特有のヘタレを発揮して仕事するもすげー順調に終わってなんと予定17時終了のところ16時には開放されてしまう。
とりあえずホテルに戻って一回お風呂に入って(今からお風呂屋さんに行くというのに)、歯磨きとかもしてからいざ出発。
「風俗行ったら有り金全部むしりとられる」みたいな都市伝説もちょっとだけ信じてたので財布には最低限のお金だけ入れて、カードとかも全部置いてきた。
※実際行ったところ危険なことは全然無かったので必要はありません。
ホテルから風俗店の多い通りに行くまでは徒歩5分くらいで途中で萎えそうになる気持ちを何度も上述の決意で上書きしてチェックしてた店の前へ。
ちなみに予約していくかは悩んだんですけど勢いで行かないと絶対ヘタれるので予約無しで行きました。
対面の居酒屋の客引きのお姉さんに声をかけられて引き返しそうになるも、ここで引いたらもう無理と固い気持ちで店に突入。
店内には40代くらいの案内?のおじさんとカウンター向こうに若い男の人が1人。
予約してないと伝えると指名するかどうかを聞かれる。
前日にHPでチェックしてて一番好みだった女の子が居たので指名することに。(俺が好きな某棋士に似てるので以降は「えりこ」ちゃんと呼ぶ)
こういう店だとさん付けするべきかちゃん付けすべきかで悩んで決意のちゃん付けで呼ぶも「えりこさんですね」と言い返されてちょっと悲しい。
50分待ちになると言われたけどまぁそんなものかと思って承諾。
40分か60分かを聞かれたがうまくできずに時間長くなるとどう考えても地獄なので40分を選択。
これは60分にしとけばよかったと後でちょっと後悔した。
料金は40分指名料込み2万円でした。
店内で待つか聞かれたけど暇つぶしできるものもあるって情報サイトで見たので店内で待つことを選択。
待合室に入ると俺一人。
待合室に入るとスラムダンクとワンピースと進撃の巨人が全巻置いてあった。
小学生からのジャンプ読者である俺は当然スラムダンクもワンピースも全話読んでいる。
進撃の巨人は途中までしか読んでなかったけど読んだらどう考えても萎えそうだったのでスルー。
ていうか確実に性行為前に読む本じゃねーだろこれ。
そうこうしているとすぐ後に待合室に若い男の人が1人、更にサラリーマン風の2人連れと1名が来て待合室が5人に。
後から来た男たちの方が次々と呼ばれていって「あ、もしかして50分待ちって普通に長いやつでは?」と思う。
ところでずっと気にしないようにしてたけど10分前くらいにもなるともう心拍数の上がり方がやばくなってきて目の前が呼吸も浅くなってきました。
期待と心配で潰されそうになりながらついに呼ばれる。
言われた部屋に入るとえりこちゃんが居て歓迎してくれる。
「今日はどうして来たんですか?」とか「結構待った?」とか話す。
40分待った(オタク特有の過少申告)と伝えると若干引かれた気がした・・・
あとついでにこういうお店は初めてなんでお任せしますと伝える。
俺は貧乳派なのでえりこちゃんは店内で一番小さかったと思う。胸で選んだわけじゃないけど好みのタイプを選んだら自然と・・・
いわゆる「パネルマジック」みたいなのも心配してたんだけどイメージどおりの子だった。なんなら写真より可愛いまであった。
体型がすげー綺麗で眺めてるだけでも幸せ。
服を脱いでお風呂に入るように促され、その間に準備。
例の椅子に座らされ、全身を洗ってもらう。
股間を洗ってもらうタイミングで俺は仮性なので剥いてもいいか聞かれたり。
ローションをまいたマットの上にうつぶせで寝転ぶように促され、そのままマットプレイ。
足をぬるぬるにされているタイミングで「おっぱいに当たってるよ」って言われてどう返答したらいいのかちょっと困りました。
プレイ中に当たるえりこちゃんのふとももや腰の肌がすごい綺麗で触れ合うだけで幸福感がおしよせてきます。
「あ、あ、足がほんと綺麗ですね(キモオタスマイル)」みたいなことを言ってみたんですけど受けはイマイチでしたね。
興奮はしているものの俺は若干の女性恐怖症だったり二次元コンプレックスだったりして半勃ちくらいしかしてなかったんだけどちゃんと入れてくれて腰を動かしてくれました。
すげーな俺が元カノとしようとした時これまともに入らなかったぞ。
ちなみに中に入れた感覚は、正直よくわかりませんでした。
萎えて抜けないようにひたすら気を使ってたような気がする・・・
その後いくつかの体位をやらせてもらうも達するほどにはならない。
「あんまり経験がないと中でいけないのは仕方ないよ」と慰めてもらう。うぅ・・・
残り時間が迫ってきたのかえりこちゃんはもうゴムを外して一心不乱に手コキをしてくれる。
俺の乳首や色んな所を攻めながらしてくれるのは正直気持ちよかった。ただやはり最後までイケない。
プロとして最後まで俺をいかせてくれようと、10分近くもひたすら手コキしてくれて正直「腕めっちゃ疲れるだろうにごめんな・・・」って感情まで湧いてくる。
俺は「本当にごめんだけど、自分でやっていい?」と言って自分の右手を使い、えりこちゃんは俺の乳首を攻めてくれる。
残り時間が迫ってる緊張もあって正直いけないかもなって思ったけど慣れ親しんだ俺の右手はわずか数秒であっと言う間に・・・
えりこちゃんがこんな頑張ってくれてもダメだったのに俺はこんな簡単に、と若干の自己嫌悪もあるもとりあえず全くいけないという最悪の事態だけは脱したのでその後は急ぎ足で体を洗って着替えてお別れ。
いかせてもらえなかったのは少し残念だったけど、全体的には気持ちよかったし、めちゃくちゃ幸福感がありました。
正直金があればまた翌日にも行きたいしハマる人の気持ちもわかった。
ただやっぱ値段がそれなりにするので気軽にってのは難しいかな。
「担当者さん。俺たちは難しいことを何一つ言っていない。機械を、ムカイさんを使い捨てるような真似はやめてくださいっていう、すごくシンプルな話なんです」
「見え透いたこと言わないでください。ムカイさんは他社から借りてきた、派遣のアンドロイドなんでしょう。そのムカイさんにリーダーの役職を与え、その割に権限は譲らない。何かあったときのスケープゴートにする気マンマンじゃないか」
「それは私の決定ではなく、上が……」
「その“ウエ”って奴が言ったら、オマエは何でも従うのか。一体、何を“タントウ”しているんだ」
交渉を俺たちに任せていたムカイさんが、ここにきて饒舌になった。
どうやら担当者の取り繕い方に苛立ち、我慢ができなくなったらしい。
「ワレは……いや“ワレワレ”は貢献してきた。人間たちができない仕事や、やりたくない仕事も区別なくやった。なのに、人間ならば当然ともいえる要求すら受け入れられないのか」
ムカイさんが口元をガクガクと動かす度、担当者の顔が歪んでいく。
「そんな要求、通るわけがないでしょう。機械を人間と同等の待遇になんて……」
「それを決めるのは“ウエ”なんだろう? オマエは言われたことを大人しく実行すればいい。ここにいる、その他の機械と同じようにな」
ムカイさんは新型のAIでも真似できないような、渾身の皮肉を言った。
それが止めとなり、平静を保とうと必死だった担当者の中で“何か”が切れてしまったようだ。
幻聴だとは思うが、嘘じゃない。
本当に、その時「プツリ」という音が聞こえたんだ。
「そんなこと! 私が一番分かってるんですよ!」
担当者の叫びは、それほどまでに俺たちを驚愕させる音圧だった。
担当者は今まで溜め込んでいたのだろうか。
「『ラボハテ』の内定を貰ったのは幸運だと思いました。大企業ですからね」
実際、最初は順調だったらしい。
しかし時が流れるにつれ、彼は自身の成長と、技術開発の進歩がどんどん離れていっていることに気がついた。
無能はもちろん、凡人では追いつけないほどの距離感が生まれていた。
「一人雇うのにだって年間数百万。福利厚生なども加味すれば、もっとかかるでしょう。その費用を開発にあてた方がいい……なんて自分で考え出したら潮時です」
それでも辞めたくない場合、『ラボハテ』は会社員を簡単に切り捨てたりはしない。
「『ラボハテ』は障害者向けに精密な義体を取り扱っていることでも有名ですが、それを推し進められるのは身体障害者を多く雇っているからでしょう」
「言い方悪いぞ、カジマ」
「いいえ、あながち間違ってもいません。私には同僚がいるのですが、彼は1年前に両目を義眼に変えました」
「え、まさか……」
当人いわく「事故で失明したから作ってもらった」らしいが、彼は疑念を振り払うことができなかった。
「本当にただの偶然かもしれません。でも同僚は以前、『ラボハテ』を辞めるかどうかで悩んでいて、そのことについて私とよく話し合っていたんです。そうなってからは、おくびにも出さないのが不気味でたまりませんでした」
『AIムール』の話が持ち上がり、異動の希望者を募っていたのだ。
「二つ返事で受けましたよ。事実上の左遷ですが、あそこでビクビクしているよりはマシだと思いましたから」
けれども、あくまでマシってだけだ。
そこで担当者となった彼は、ますます自分の無力さを思い知らされる。
「もしかしたら、この『AIムール』という会社は、いらない社員を自主的にやめさせるって意図もあるのかもしれません」
その点については俺も何も言えない。
だけど、それはそれとしてムカイさんの現状をどうにかすべきなのは変わらない。
「オマエラ、もういい」
しかし、そう言葉を続ける前に、今度はムカイさんが俺たちを制止した。
「いや、でも……」
「どうせ無意味だ。ならば、さっさと辞めるに限る」
こうしてムカイさんは『AIムール』を去り、俺たちは不本意な学びを得たまま職場体験を終えた。
それから数週間後、『AIムール』は相変わらず俺たちの学校近くに構えている。
タイナイが自分のブログで今回の件を書いてはみたものの、大した話題にはならなかった。
それでも多少の変化はあった。
あの一件後すぐ、あの担当者が俺たちの意見を具申してくれたようだ。
「即却下されたらしいがな」
それどころか、学生に現場をいいようにされた責任を問われて『AIムール』を辞めることになったらしい。
そんな簡単に辞めさせられるなんて、あの担当者もムカイさんと同じ“スペアの頭”だったってことか。
「俺たちのせいだな……」
「思い上がるなマスダ。ヤツはもとから、そのつもりだった。むしろ感謝していたぞ。“自分の尊厳を取り戻した”ってな」
「え、ムカイさん、知ってるの?」
ムカイさんによると、あの担当者は現在『256』で働いているんだとか。
「よく分からないがエージェントだとか何とか言ってたな。少なくとも『AIムール』にいた頃よりは、いい顔をしていた」
まあ、あそこは顧客からの悪評は絶えないが、給与と労働環境はいいから社員にとっては望むところだろう。
「ムカイさんは最近どうなの?」
「ワレは自宅待機だ」
「だったら久々に家に行ってもいいか? 弟のやつが、近頃ムカイさんを見ないってボヤいていたからさ」
「構わん。どうせオマエの弟は、来るなと言っても来るだろうからな」
望むと望まざるに拘わらず、周りは緩やかに変化していく。
それらの変化が良いのか悪いのか。
自分は順応できるのか、許容すべきなのか。
正直なところ良く分からない。
それでも言えることがあるならば、斜向かいには今もムカイさんが住んでいる。
今回の話で断言していいのは、そこくらいだろう。