はてなキーワード: 断熱材とは
外が暑いです。ちょっと前に導入した黒メダカの新生体。タマゴが付きません。オスばかりの気がしてきました。
今回は、メダカの卵を採取するために使っている産卵床について、語ってみます。
100円均一で購入した磨き用のスポンジシートを割いて切込みを入れ、発泡スチロールのフロートを付けたもの。固定はきつめの穴、リボンタイで固定します。浮かべておくとスポンジの部分にメダカがタマゴを付けていきます。昨年のマイヒット商品。作るのが面倒になりました。
・ウイローモス ★★★★☆
水の中で元気なコケ。美観を損なわずに使えます。増やすのに時間がかかります。
底面のマット部分が薄い「水はけがよい」と書かれたものが使いやすかった。幅1cm長さ10㎝くらいの短冊状にカットし、三角柱状に切り出したスタイロフォーム(断熱材:加工しやすい:発泡スチロールでもよい)をフロートにして、リボンタイで止めます。そのとき、芝面を外側2面と内側1面にします。3角形の空間にメダカが入ってこっそりと産み付けていきます。今季のマイヒット商品。幅1cm長さ30㎝くらいの帯状にカットして、水槽のふちに洗濯ばさみで固定する方法もありです。ウイローモスやホテイアオイの次に美観がいいです。108円で11個分の材料がとれます。
排水溝用のストッキングネットをリボンタイで束ねたもの。効果はいま一つ。
・ヤシマット ★★★☆☆
・ホテイアオイ ★★★☆☆
フロート状の浮きで浮かぶ植物。根っこの部分にタマゴが付きます。日当たりの良い場所におくと増殖していきます。ほしいタイミングに増えないことが最大の問題。もうほしくない夏の終わりに大増殖しています。冬越しするのが困難です。温室があればいいのかな。毎年、春に買い替える羽目になります。メダカたちには人気。
最後に裏技。朝、メスのメダカを捕まえると、お腹にタマゴを付けていることがあります。それを手で取ってしまう。
水槽がたくさんあるなら、1週間くらいしたところで、親メダカを別水槽に移動。しばらくすると孵化。産卵床に付かなかったタマゴまで孵化させることができます。
いろいろと試しましたが、産卵床を入れる1週間後に回収、別の水槽に入れるを1つのサイクルにしています。タマゴだけとりアグテン溶液の中で管理とか手間がかかりすぎて無理でした。産卵床と水槽はたくさん用意すると繁殖が簡単になります。産卵床は、親水槽の3倍の数を用意すると産卵と孵化のサイクルに対応できるのではないかと思います。
詳しくはココ。
→2枚のガラスの間に断熱性の高いアルゴンガスを封入したサッシ。ドイツではシングルガラスのサッシが禁止されて久しいので、もう複層の方が安い。歴史的建造物の復元とかでシングルガラスが使われるときはなかなか手に入らんで大変とか聞いた。
・外断熱というのは具体的にどういうものなのか
→簡単に言うと建物の躯体を断熱材ですっぽり覆うもの。外の気温の影響が小さくなるので躯体自体の温度の上下幅が少なくなり、夏涼しくて冬暖かくなる。躯体が雨風に晒されないので寿命が劇的に伸びる。木造日本家屋でも外張り断熱の技術が完成している。
→複層やと、アルゴンガスの断熱性で内側のガラスが冷えないので、結露しない
・湿気に強いってところ
→内断熱やと、夏に冷房で躯体の内側に結露するので、湿気がどんどんたまって、内装がカビたりダニが繁殖しやすい。外断熱やと、内外の温度差は建物の外にあるので、内側に湿度はたまらない。ただし、断熱層と躯体の間に通気層が必要
→縁側があって広くひらく開口部があって通気性を大きく取るのが日本の家屋という先入観か。外断熱は夏に弱いという誤解か。ともかく、北海道では夜のうちにストーブが切れることは凍死を意味する時代もあったわけで、チョー切実な問題やったてことやねん。と言っても、北海道ですらあんま分かってない建築士も多い。技術屋とは建築士や設備設計士のことです。
・一体日本のどこなんだ
・あとFITというのも俺は初耳で
→自然エネルギーの固定価格買い取り制度。feed in tariff。風車とかの設置費用が高くて普及しないのを解決するため、風車で作った電力をペイする金額で一定期間高く買い取ることを約束する制度。必ず儲かるのでバンバン普及→規模の経済が働いて風車が安くなる→さらに風車が増える→…。ただ、高く買い取る分を誰と誰がどんな割合で負担するか決めたりとか安くなっていく分を正確に見積って適時に買取価格を下げたりとか大変。
夏の暑さと冬の寒さについて、断熱方法と断熱材にフォーカスし過ぎるのはちょっと疑問。
現在の戸建て住宅の断熱性能は、寒冷地を除けばどれも十分だからだ。
問題は、窓と建材の熱伝導率。
夏も冬も、室内の温度環境への影響は約60~70%が窓からの熱流入だ。
夏の場合、庇の無い今の住宅は直射日光が直接室内に入ってくる。
その熱が熱伝導率の高い新建材の床を温め、夏なのに床暖房を点けている状態になる。
「ウチの家はLOW-eだから」と言う人がいるが、LOW-eはあくまでも断熱であり遮熱はしない。
ここで問題なのが、それは赤外線カットに限定されるということ。
それ以外の光は熱を持たない。
赤外線以外の光も物に当たると熱を持つ。
ここでも室内への熱の再放出が起きる。
今はそういう家は見かけない。
どうしても建ぺい率いっぱいの家を建てることになる。
冬も同じだ。
「子供たちが帰ってくる時に顔が見れる」という理由で作られたリビング階段や、
「天井が高いと広く感じる」という理由で作られた吹き抜けからは冷気が流れ込んでくる。
「昔はスリッパなんて履かなかった」と思っている人がいると思うが、
結露は断熱性能が高いほど起きる。
車に乗っている人は、窓ガラスが曇った際に、窓を開けて解決したことがあるだろう。
これを防ぐには樹脂サッシにするのが一番だが、
日本ではこれまで火災の際にガラスが落ちやすいという理由で準防火地域には使えなかった。
アルミサッシの結露を防ぐには断熱性能を落とすかサッシを暖めるしかない。
もしくは厚手カーテンかレースカーテンのどちらかだけにしておくのも手だ。
日本の木造住宅の多くは柱が3.5寸角(10.5㎝角)なので、
窓(窓枠)の奥行きも同じくらいになる。
でもこの寸法は空気層としては成立しない。
断熱しているのは厚手カーテンとレースカーテンの間の空気層だ。
どちらかを閉めないことで断熱性能を落とせばよい。
部屋は寒くなるけど。
さて、こうして長々と書いたのには理由がある。
それは「遮熱や断熱を、断熱方法や断熱材に依存しすぎじゃないかい?」ということ。
高性能の断熱材は高いし、戸建て住宅の場合、ポイントは窓と熱伝導率にあるわけだから、
そこにばかり依存するのは無理がある。
外断熱にしても、「リビングは明るく!」とか言って窓を大きくすれば夏は暑い。
木材が湿気を放出して痩せると断熱材との間に隙間が出来るという問題もある。
断熱材の数値にとらわれ過ぎず、もっと生活の知恵で出来ることを考えた方が良いと思う。
夏はオーニングを使う(下まで下げ切ってはだめ。夏を快適に過ごすキーワードは風だから)。
冬は広めの絨毯を敷き床冷房の面積を減らす、西日で部屋を暖める等々。
それ以外にも出来ることは色々ある。
そういうのを考えるのも、暮らしの楽しさだと思うよ。
月面開発に当たっては交通網の開設が将来的に必須になるが、月面の多くの場所において、十分な支持力が得られない。
鉄道か車両の設置、あるいは架線を用いたロープウェイの設置実験が必要になってくる。
まず第一に、軟弱地盤の改良についてを模索してみる必要がある。
通常、貨物も含めて総重量6トン程度の車両を想定した場合、重力は6分の1であり、なおかつ4輪で設置したとすると、一点当たりの支持力は250㎏程度を必要とする。
地球上であれば通常は軟弱地盤の除去後、砕石を敷均して十分な締め固めを行う。
岩石があり、小石があり、十分な支持を得られそうな箇所もあるが、多くの箇所では微細な(シルト、あるいは粘土に分類される)砂が多い。
月面においては、まだ砕石を作成するクラッシャーも、十分な重機もないため、建材としては砕石を使用できない。
そのため、今回は『土のう』を主に用いることとした。
土のうの形については、通常型の他に、トンパックとも呼ばれる大型土のう、更にはより支持力を得られる要に座布団型の土のうも用意した。
中詰め材には、月面で最も入手しやすい月面土砂の他に、汚水処理場の最終処分物の脱水ケーキ、発泡スチロールを使用する。
地球上では流砂において、人間よりも砂の比重が重いこともあり、丸ごと飲み込まれてしまうことはほとんどないため、同様の現象を期待した。
しかし、月面の表面部は気象や水などの締め固め作用をほとんど受けていないため、圧倒的に密度が低く、月面土砂を詰めた大型土のうは大きく沈んでしまった。
それでも大型土のうは、一箇所当たり三段ほど積み上げれば十分に支持が得られることが解った。
座布団型の土のうについては、沈み込みこそ少なかったが、結局は規定の支持力を得られるまでに積み重ねた労力と、作成の困難さを鑑みれば大型土のうに勝るものではなかった。
ただし製作、積み込みのワーカビリティに優れるのは、通常型の土のうであり、運搬及び設置も単独で行え、また、多少の陥没に対しても積み増しが容易であった。
中詰め材については一長一短があり、月面土砂は支持地盤と単位重量が近いため、十分に積み上げ、転圧を行うならば問題なく支持力を発揮する。そのうえ、現地調達が可能であり、労務と土のう袋さえ確保できれば大量の製造が可能である。一方で、転圧をかけても解消できない『柔らかさ』があり、路盤材としての使用については不安が残る。
その点、脱水ケーキは凍結している為、十分な硬度を発揮し、重量物の通過という点では十分な働きが期待できる。一方で、素材の入手に限界が有り、また、気温差の激しい月面での昼の間にどのような状況になるかが未検証である。さらに、大量に使用する場合、素材の運搬も困難が伴うものと考えられる。
発泡スチロールについては、拳大に砕いたものを利用したが、その重量故に携行性に優れ、作成、設置も容易であった。月面基地でも現在のところ断熱材として生産されているため、入手も容易である。しかしながら、結局は重量を加えることによって地盤の支持が得られずに全体的に沈み込んでしまった。しかし、土砂との比重を考慮すれば、十分な反力(むしろ浮力)を得られる見込みであり、今後の実験に期待される。
以上が現段階の実験結果であるが、結果として、月面であっても十分な支持力を得ることが可能であることが解った。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1601/18/news124.html
頑張りやの軸受け子ちゃん(仮名・以下同じ)は、芸能企画会社T○Y○TA(仮名・以下同じ)アイドルユニット「Pr○us」(仮名・以下同じ)のメンバーとして、自信と誇りを持って働いています。うまくいかないときでも投げ出さず、今までに誰もやったことのないものをたくさん作ってやってきました。「なんて言ったって、Pr○usがまだ人気が無い頃からがんばってきたんだから!」
軸受け子ちゃんは、自分はPr○usになくてはならないものだと思っていました。
「あったらしいお仕事かな~?☆」
そんな気楽なつもりで、購買センターの打合せエリアに出向き、コーヒーを飲んで一服してから、「よしっ☆」と小さくかわいく気合いを入れて、ディレクターさんに内線電話をかける軸受け子ちゃん。いつもの気のいいディレクターさん本人が出るのですが、今日は席を外しているといいます。おっかしいなあ~?、いつも約束していると必ず待っててくれるのに。そう思いながらも、出た女の人に伝言を頼む軸受け子ちゃん。
いつもなら気のいいT○Y○TAのディレクターさんと、そのアシスタントさんがくるだけのはずなのに、雰囲気の違う黒服の男が3人がついてきました。彼らは軸受け子ちゃんに、戦略調達部と名乗りました。でも、名刺はくれません。そして、オープンな打合せスペースから、物々しい警告がかかれたセキュリティゲートを超えて、いつもは絶対に使わせてもらえない少しいい会議室へと通されたのです。
軸受け子ちゃんは逃げたい気持ちを必死になって押さえ込みながら、席に座りました。つるっとした黒光りする椅子はいつものパイプ椅子などとは比べものにならないくらい座り心地は良かったのですが、体の熱を奪われて、魂まで縛り付けられている感じがします。
「(なんで私独りできちゃったんだろう)」そう思っても後の祭り。そういえば仲の良かった他の事務所の娘が、T○Y○TAさんに呼ばれる時にはできるだけ3人以上で行くようにしてる、っていってたっけ、そんな事を思い出します。
戦略調達部の黒服は、席に着くとまるでスイッチをいれるように顔に笑顔を作りました。
「おかげさまで新しいアイドルユニット・Pr○usは大変好調でして、これもみんなのおかげです。私どもとしては、さらにライブをたくさんやってファンの需要に応えたいと」
軸受け子ちゃんは、少しだけ気分が軽くなりました。なあんだ、大変なことなんて無いんだ、そう思いました。
「ですがもう軸受け子さんはスケジュールがいっぱいで対応いただくにも難しいと思います。そこで、大手芸能事務所のセカンドソースに軸受け子ちゃんによくにた娘がいるので、彼女にも軸受け子ちゃんのサポートで入ってもらおうかと思っています」
相づちを打とうにも、うまく声が出ません。首をわずかに縦に振るしかできません。
「ですから、是非、軸受け子さんには、新しい子にいろいろと教えてあげてほしいのです」
いつも一緒に仕事しているディレクターさんは、机の端の方に座って、決してこちらを見ようとしません。
「はい」絞り出すように声を上げました。きっと駄目だけど、言わなくっちゃ「でも、わたし頑張ります。私ががんばってたくさんのお仕事をこなしますから、新しい子なんていなくても」
「ええ、あなたの気持ちはわかりますよ」かぶせるように別の黒服が声を上げました「でもね、軸受け子。あなたが倒れてしまったら、Pr○usはファンのみんなに曲を届けることができなくなるでしょう?」会議室に少し耳に触る高い声が響きます「そうなるとファンも、仲間みんなに迷惑をかけることになるけど責任はとれるのかい? 今はPr○usがこれからって時なのに」
そう言われれば、いい子の軸受け子ちゃんは、たしかにそうかもと思ってしまいます。
「あなたが何かあって倒れたとして、あなたの事務所は変わりの娘を用意してくれますか?」
軸受け子ちゃんの事務所だってできる限りの事はしています。体調管理だって万全です。今までも完全に休んでしまったことだってありません。でも、同じ事ができる人を丸ごと用意するなんてできません。大手芸能事務所のセカンドソースにくらべたら…そう言われたら何にも言えなくなってしまいます。
「もちろん、軸受け子さん独自の技術まで全部教えてほしいなんて言いません。私たちT○Y○TAと一緒に作った部分だけ教えてくれればいいですよ」
それなら、仕方が無いと言う気もしました。確かに言っていることは正しい気もします。
「そう、ですよね…」
「ご理解いただけたようで何よりです」黒服3人は合図をしたかのように、同時に笑みを浮かべました。どこかで見たことがあるな、ああ、テレビでみた。ベネチアのお面みたい。こんな状況でこんなことを思う自分がなんとなくおかしくて、唇の端にわずかな笑みが浮かびます。しかしそれは引きつけをおこしているようにしか見えません。
そして黒服は書類をテーブルの上に上げると、次々とサインをすることを求めました。「いつも絶対口約束でしか仕事の話してくれないのに」さすがの軸受け子ちゃんも少し警戒して文章を読みます。
そこには、軸受け子ちゃんが自分でレッスン代を払って頑張って勉強したところも、苦労して作った曲も振り付けも教えることになっていました。軸受け子ちゃんは目の前が暗くなっていくのを感じます。
「(ディレクターさん、曲の作曲欄にちょっぴりT○Y○TAの名前をつけてくれれば今夜ご飯おごってあげる、お金はいらないからって言ってたの、こういうことなんだ…)」
軸受け子ちゃんはもう抵抗する気力なくなっていました。そして、壊れたように書類にサインをし続けました。
軸受け子ちゃんは、その日そのあと、どうやって家に帰ったか覚えていません。
次の日、それでも気持ちを入れ替えて、軸受け子ちゃんはいつものようにPr○usとして働く現場に行きました。
「私が無くてはならない存在だから、私がいなくなってもPr○usが歌えるようにすることはたいせつ」言い聞かせるようにつぶやきます「だから必要なことなんだ、相手の娘はどんな子かわからないけど、それでもしっかりお仕事しなくっちゃ」
しかし現場にはすでに、鏡で映したかのように、自分にそっくりな娘がいました。
「こんにちは!先輩」声も驚くほど似ています「今日からよろしくおねがいしますね☆」
大切にしているトレードマークのアクセサリー。お気に入りのデザイナーさんに作ってもらって世界に一つしか無いはずのアクセサリー。そんなものまで彼女は同じでした。
「それ…どこで…どこで買ったの?」
「あ~えーっと…T○Y○TAのディレクターさんが教えてくれたんです~☆ 衣装もここに行けば同じものが買えるよって。ありがとうございます先輩!教えてくれて!」
教えるはずもありません。教えてくれと言われたのは昨日だったのです。そして、軸受け子ちゃんは彼女に会うのは初めてです。
彼女は軸受け子ちゃんがまだ何にも教えていないのに、すでに軸受け子ちゃんと全く同じ踊りを踊り、同じように歌いました。Pr○usのなかで全く同じ役割を果たしました。全く違和感がありません。ユニットの他の仲間も戸惑うどころか、入れ替わっていることにも気付いてない娘もいるようです。
「(違うかも…)」軸受け子ちゃんは思います「(今までだって、私と同じように入れ替わっている娘もいたんだ。それでも、私、全然気付かなかったんだ…)」
私は、Pr○usに絶対に必要な存在ではない…。世界が音を立てて崩れていきます。それでもけなげに頑張る彼女に、お仕事の帰りに渡された出演料の封筒には、一枚の紙が入っていました。
「セカンドソースの娘はあなたよりも10%コストが安いので、あなたもできるはずです。安くする努力をしてください」
世の中でPr○usはすごく売れています。でも今では、それのほとんどは大手芸能事務所セカンドソースの娘がやっているのです。「あれは本物のPr○usじゃないのに、本物のPr○usじゃないのに」
そう思いながら、軸受け子ちゃんは、それでもT○Y○TAが自分に出してくれるお仕事をひたすらこなすしかありませんでした。
それから何年たったでしょうか。
軸受け子ちゃんの事務所はそれなりに大きくなりました。大手事務所のセカンドソースには全く歯が立ちませんでしたが、それでも仕事の、売り上げ「は」増えました。
そのために事務所も大きくなりました。前の小さいながらも過ごしやすかった、暖かな事務所に比べると、ただ新しく、ただ広い事務所を軸受け子ちゃんはあまり好きではありませんでしたが、仕方がありません。大きく広くなったものの、備品をまとめてそろえるような余裕はありません。だから備品の種類ががばらばらで、古くてよいものと、新しくて簡単なものと混ざっていて、整っているはずなのに雑然として洗練されていない感じがします。
断熱材も入っていない壁はぺらぺらで、冬になれば寒いし、夏になれば暑く、隣の部屋のレッスンの音どころか、事務のお姉さんの疲れ果てた独り言すら響き渡ります。むき出しのダクトには壁とは対照的にやたらと保温材が巻きつけられられていて、ドアが開くたびにぴらぴらと何か目に見えないものを手招きします。壁にはワープロソフトに無料でついてるポップ体でかかれたスローガンがかげられていますが、蛍光灯は間引きされ、薄暗いなかでは細かい内容まで読むことができません。
軸受け子ちゃんは自嘲気味に思います。「こんなところで最先端のエンターテイメントを作っているだなんて、悪い冗談みたいだわ」
そんな事務所で、軸受け子ちゃんは一通のメールを受け取ります。
「今までと全く違う新しいアイドルユニットを作りたいんだ。そのためにこんな感じのもっと難しいダンスと新曲を提案してほしい」
軸受け子ちゃんはすさんだ気持ちでした。もう言ってしまえ。そんな気分で電話します。
すると、ディレクターさんは困った声でこういいました。
「いや…まだ売れるかわかんないからさ。こんなことを頼めるのは君だけなんだ」
軸受け子ちゃんは、ちょっぴりやせて、ちょっぴり大人になりました。
めでたし、めでたし。
両親と夕食を囲んでいて、隣のお宅の話題になった。
そのときの話を書こうと思う。
いつの間にか沖縄の梅雨が明けたというけれど、私の住む西日本の県はこのところめちゃめちゃ渇いている。
梅雨だというのに2週間も降らない。
庭の木を見れば、ただでさえ薄い葉の端々が、潤いが足りないと言わんばかりに茶色くなってしまった。近所の山の松なんかも、もともと生育が良くないのに加えてますます立ち枯れてきた。
やっと降ったと思った翌日にはもう、忘れたかのようにカンカン照りだ。
もー、夏ってことでいいですかね?
西日もあんまり強いしで、父に頼んで、「すだれ」を買ってきてもらった。
窓に吊るして日差しを遮るアレだ。父の部屋も二階でめちゃめちゃ暑いので、自分の所にも付けたという。
それで午前中に作業をしていたら、隣家のMさん(主婦)がその様子を見かけ、父に声を掛けてきたそうだ。
「うちにも付けられたらなぁー」
父は「すだれを付ける作業は難しいことじゃないし、忙しいのかいな」くらいに思って、軽く受け流したそうなのだが、話を聞いた母が、食卓のかつおのたたきをつつきながら言った。
「あの家はどうにもならんじゃろうねー」
そういえば今日、父が私の部屋の窓を開けてホイホイと引っ掛けていたのを思い出す。
うちの家は祖父が建てた日本家屋だが、土木屋をやっていた祖父がかなり手を掛けて基礎から作り、家屋はこだわりの材木・土なんかで出来ている。
床が桜の木で出来ていて、塗りの知識がなかった祖父はリビングをペンキ塗りしてしまい、大失敗したのだけど、キッチンの床は色は塗らずにニスみたいなつや仕上げがうまく出来ていて、素足が気持ち良い。
建って35年経つが、水場の壁に几帳面に埋め込まれた四角いタイルは、一枚もひび割れずに整然と壁を飾っている。
風呂などは当初ソーラーパネルで沸かせるように作ったが、作って10年くらいでパネルが壊れてしまい、今は灯油のタンクを入れて、ボイラーで沸かしている。
屋根瓦はときどき割れるが、日本瓦なので、吹きつけなどのメンテナンスをしなくて良い。割れたら、予備と交換するだけだ。
細かいところをいろいろ言えば不便もあるが、なにせ神経質な祖父がすみずみまで目を光らせて作った家なので、やっぱり良くできている気がする。
祖父が死んでから、わたし達家族は祖母の一人住むこの家に移り住んだ。しばらくして、庭の一部を潰して増築した。
増築した別棟はあまりお金をかけずに作ったので、母屋よりは少しグレードの低い感じに仕上がった。
具体的に何で安かったのかは、当時中学生だったのでよくわからない。
母屋に比べて、というだけで、十分にいい建物だと思っていたし、都内のマンションやアパートを数件移り住んで大人になった今も、ひどく安い建物だとは思わない。
ただし、なぜか床下が白アリに食われてメンテが必要になったこともあるし、
帰省した時にいつの間にか一階の内壁に洒落た木材が貼られていたので、北欧気分で内装を変えただけかと思っていたら、カビが生えたのだということだった。
建って4年目の夏のことだ。
このとき初めて、裸の木材が湿度を調節することを知った。靴箱に活性炭を置くのと同じ要領だ。
別棟をお願いした土建屋さんは祖父の古い知り合いなのだが、仕事は毎度きっちりやっていたと思うし、手を抜いたからトラブルが起きた、というわけでもないと思う。
ただ、白アリ対策を施したはずの木材に運悪く入り込むスキがあったのだろうし、締め切った部屋の角にカビが生えるほど、断熱材やサッシの性能が良すぎたのだろうし、風通しの問題でもある、という風に家族はその件を受け止めている。
そういえば、母屋はめちゃくちゃ窓が多い。ほとんど四方にあるか、ない面は、どことなく気が遣われていて意外と通気が良い。
一軒家は窓が多くて戸締りが大変だ、なんて言うけれど、だからといって窓を少なくしないのは、やはり理由があるということかしら。
わたしの部屋はその増築したほうの二階にある。夏は当然暑いのだが、西日の入る窓に軒(のき)があるので、そこに、どうにかしてうまいこと掛けてもらった。
父は梯子も使わずに窓の外に乗り出して、手を伸ばしてフックを掛けたりしていたので、まだ若いもんだと思った。
さて、Mさんのお宅は某有名ハウスメーカーで作られた注文住宅だ。
数年前に越してくると同時に建てられ、2人の可愛らしいおにゃのこが砂場や自転車でよく遊んでいる。
道路に面した一階に大きなリビングがあり、ときどき食器の音や、子どもの無邪気な声が聞こえてきたりする。
庭というか、地面はコンクリートでまっさらに固められており、道路に向かってゆるやかなカーブを描く駐車場になっている。
パーキングブロックも置くつもりはないようで、あまりにいさぎよい面っぷりに、竹を割ったような感じ?と住人の性格を勝手に想像してしまったりしていた。
夏は照り返しが暑そうだな、と思ったこともある。
そのリビングがとても暑いのだそうで、窓を開け放すとリビングが丸見えになってしまうこともあり、毎年毎年、何とかしたいと思いつつ、実際何もできないのだそうだ。
母が言うにはどうも、リビングの窓にはすだれをかける軒がないので、よしず(縦に立てかけるすだれのようなもの)を考えるだろうけど、よしずを立てかけると風が吹いた時などに地面のカーブで倒れる具合になってしまうし、たぶん無理だと。
グリーンカーテンを作るには、やはり上方にネットを留めるところがない。
サッシに付ける金具とかで何とかなればよし、無理なら家の内側に屏風的なものを立てるか、ブラインドを付けるか…。
物干し台みたいなセットを建てるのも、安くあがるかもしれない。
毎年のことだから、きちんとやるなら外のコンクリートに穴を開けて、柱を刺し、棒を渡すしかないのでは、といった意見に落ち着いた。
家の壁に穴をあけると不都合を招きまくるので、壁改造はやはり話題にも上がらない。
もちろん、これはぜんぶ他人の勝手な意見であって、Mさんを交えた会話ではない。
昔、システム屋に勤めていた時、会社の上司が自宅を新築するということで、確かその某ハウスメーカーに発注していて、既製のユニットを組み合わせて半注文住宅に出来るんだ、それがSIerの提案のやりかたと似ていてとても参考になるんだ、と言っていたのを思い出した。
何か出来るように機能を考慮すると、料金も持ち上がる、積み木のようなシステムだと言っていた。
これはこれでコストダウンとのバランスを取った、とても革新的なビジネスアイデアだと思う。
メタボリズムって考え方は好きだし、建築の側から考えると、とてもワクワクするものを持ってるとも思う。
ただし、閉じやすい、完成された(建築家側にだけ開けた)性格を持っているので、居住者(ふぜい)がどうにかできる隙がまったくないケースもあるということだろう。
注文住宅に比べて日本家屋がとても優れている、なんてつまらないことを言いたいわけではないけれど、ハウスメーカーの提案するユニット式は、気を遣って作らなければいけないんだな、みたいなことを思った。
(前略)
「という訳で奥さん、このままだと瓦が割れちゃうんですよ」
「そんなの雨漏りしてから考えるわ」
「いや、雨漏りしてからじゃ遅いですよ」
「みんなそうやって言うわ。不安にさせようとしてるんでしょ。でも騙されませんよ。ごめんなさいね」(バタン)
奥さん、こういう話を聞いて不安になる気持ちはよーくわかります。だけど、皆さん確かに同じことを言うでしょう?なぜなら、本当だからですよ。本当のことだから皆言うことが一緒なんです。ちょっと考えてみてください。瓦の下はすぐに天井じゃないんです。瓦の下には野地板がありますし、その奥には天井裏があって、最近は断熱材もあって、それからやっと天井ですよ。そこまでいかないと雨漏りなんかしない。雨漏りがするのは本当によっぽどのことなんです。そして、雨漏りがするまでの時間をかけて、屋根はどんどん悪くなっていきます。雨漏りがする頃には屋根の柱がダメになってたって全然おかしくないんです。
不安なお気持ちはわかりますが、不安だからこそ向きあわなければならないものってやっぱりあるんです。それをわかっていただきたい。
ってことを上手く伝えられるようになれればいいなぁ。
この仕事を始めてから日は浅いけれども、全く手入れのされてない家を見るとやるせなくなります。高名なデザイナーに頼んだと思われる個性的な住まいも、一気に開発された似たり寄ったりの分譲住宅も、手入れをしないと同じように痛むんです。全く手入れをしない家の寿命は、よくても50年です。50年目にはもう立派なあばら屋です。もうどうしようもない。それが素人目に見てもはっきりわかる。そこまでいかなくても30年でもう家がかわいそうになります。これを超えちゃったら柱ごと何とかしないといけなくなります。そうなったらもう建て替えた方が早いですよ。
でも、ちゃんと10年ごとくらいに手を入れていったら、しっかり家は持ちます。終のすみか、3代の住む家、そういう家に住んでいきたいのだったら、建てたところに頼むなり何なりしてちゃんとお手入れしてあげてください。