はてなキーワード: 北斎漫画とは
ゆるっと昼ぐらいに岩手を出て、秋田に行って用事を済ませて夜帰るみたいな事はよくやってるけど、朝から行くのは初めてだった
折角だし観光してきた
反対車線だから面倒臭かった
用事の相手曰く、(相手は埼玉出身らしいが)今年は埼玉より秋田の方が暑いらしい
おっきくてかわいい
どうやら「北斎漫画」をやっているらしい
…
すごい面白かった
特段美味しくはないがそういうチープな味は嫌いじゃない
「天王温泉くらら」という公共銭湯が隣接していたので眠気覚ましに立ち寄る
すごいリーズナブル
風力発電が大量に設置されていて圧巻だった
シヴィライゼーションの終盤を思い出しながら移動する
ちょうど、「山下達郎 サンデーソングブック」が流れていて夫婦放談の回だった
着いたが秋田犬は居なかった…
道の駅で秋田犬に会える場所が載っているパンフレットを見つける
どうやら時間制らしい
他の施設でもやってるらしいが、どこも時間ギリギリだったので諦める
また次来よう
近くでダイビングをやっているらしい
値段もそこまで高くないからいつかやってみたいと思いパンフレットだけもらう
温室があったけど、外の方が暑いしな…
ただ、植物に囲まれたところにテーブルがあって時期によってはいいかもしれない
ドンキホーテやら、ブックオフやら色々回ってめぼしい物を見つける
以下、ダイジェスト
かなり遅い時間なので、後はどこにも立ち寄らず帰る
自治体がパンフレットや、展示にコストをかけている恩恵をフルで得られた気がして楽しかった
ただ、独りの長時間ドライブって運転の時間とガソリン代って無駄だよな…とも思ってしまう
尚、まんまる焼きは1個も見つからなかった…
みんな独り占めしすぎだよ…
ニコニコネット超会議2021でドワンゴ主催で春画展を社屋で行っていて、こちらが企画ページ
https://chokaigi.jp/2021/plan/shunga.html
春画の前に全年齢が見れる番組として4月24日の23時から翌26時半頃まで行われた、
半分は展示協力していただいた浦上満氏が7月に予定している北斎づくしにつながるところも大きいと思うのだけど、
(こちらはこちらで北斎漫画原本を15巻*100冊を使って全頁展示するらしくって楽しみでしかない)
北斎漫画を集めつくしていても15組しかもっていない木箱入り全巻セットから取り出した初版と、
版を重ねた後期での線の潰れや人物名の変更を見比べ、祖父江氏の気のいいおっちゃんのようで鋭い言葉で行きつ戻りつして1時間半。
LIFE誌の世界の100人に葛飾北斎の自画像として備後の三郎高徳が掲載された理由や、
西洋画への引用について、あぶな絵が見えてそうなのをアップするところを変えて対応したり。
本番は今週末5月1日なので、アカウント持ってて見れる人は見てほしい。
他の企画だと
テキストモンスター(NTT https://www.digitalcity.gr.jp/txmon/usage/)は語彙力を試せて
磁石祭(N高・S高 https://nnn.ed.jp/school_festival/)は熱量を感じられて好き。
今年のお盆は浮世絵ばかり見ていた気がする。一週間ほどの休みのうち、三日間浮世絵を見に行ったのだから、美術エンジョイ勢の私にしてはかなりの頻度だと思うし、そのすべてが浮世絵というのも、今までになかった行動パターンだ。楽しかったので、ちょっと振り返ってみる。
最初に行ったのが六本木の「おいしい浮世絵展」だ。友人に誘われて行くことになったのだけれども、食をテーマにしていたため、浮世絵の細かい歴史を知らない自分でもかなり楽しめた。加えて、江戸の町や東海道沿いの名所は今でも残っていることが多く、そこに残る名店の様子を紹介する映像も流されていたため、食欲をそそられた。美術館ではあまり味わえない気分だ。江戸時代の食事のレシピが載っている本や、当時醤油を詰めて輸出した磁器も展示してあった。
鑑賞後はお腹が空いたのと、美術館の意図したとおりに和風のものが食べたくなったので、私たちはそばの和菓子屋でわらび餅をいただいた。そこには和風のパフェもあって、抹茶好きの私としてはそれにも心惹かれたのだけれど、結局はわらび餅に落ち着いた。パフェはどう見ても夕食前に食べられる量でもなかったからだ。私たちはそこで友人の姪っ子の話だとか、仕事の苦労とかについて話した。もちろん、見たばかりの絵でどれが良かったかについてもたくさん語った。
私にとって面白かったのは、歌舞伎座を舞台にした浮世絵だ。お客さんが桟敷で弁当を食べたり酒盛りをしたり好き勝手に楽しんでいる。中には花道を横切って弁当を届ける姿もあり、なんともおおらかな世界だったらしい。それと、そこにいたのが美男美女とモブ顔の男性だけだったのが興味深かった。北斎なんかだと、いわゆる美人ではないけれども愛敬のあるおばちゃんが出てくる。なんでだろう。というか、北斎漫画、今でも普通に笑えるので好き。
次に行ったのが上野の「The UKIYO-E 2020 -日本三大浮世絵コレクション」だ。たっぷり二百点近くあるので、あっさり見ても三時間くらいかかってしまった。「おいしい浮世絵展」もそのくらいかかった気がするが、友人と一緒だったので多少は疲れが紛れた。だが、今回は一人だったので、より疲れた。私はジョギングが好きだし、友人と富士山に登ったこともあるので、体力はそこそこあるのだけれど、立ち止まっては進み、立ち止まっては進み、を繰り返す美術館では、結構ぐったりしてしまう。
とはいえ、疲れた以上に収穫があった。おおよそ年代順に並んでいたので、浮世絵がどのようにして技法を精緻にしていったのかがよくわかったし、歌舞伎俳優のグラビアみたいな雰囲気から、市井の人々も描くようになっていく様子も楽しめた。
でも、私はやっぱり北斎や広重が一番好きみたいだ。この二人はどちらかといえば風景画家で、だから他の人に比べると人物が画面に占める大きさは小さい。当たり前といえば当たり前なのだけれど、私が北斎を見たときにそれっぽいと感じる理由の一つが言語化できたので、何となく気持ちが良くなった。
浮世絵には詳しくなくても、どういうわけか心に残る作品はあるもので、以前に世田谷かどこかで見た広重の「亀戸梅屋舗」と再会できたのはうれしかった。もちろん、浮世絵だから一枚ごとに刷り具合が違うのだけれど、私が好きな雰囲気のものと出会えたので、なんだかうれしかった。企画展でよその美術館にあった作品と思いがけなく再会できると、やっぱりうれしい。
あと、驚いたのが歌麿の「娘日時計」という、女性の様子を時刻ごとに描いた作品集だ。やっていることが美人時計と全く同じではないか。
あと、思わず笑ってしまったのがこんな事件。寛政五年に幕府がモデルとなった実在の人物名を浮世絵に書くことを禁じたときに、浮世絵師が対抗して、人物名を簡単に解読できる判じ絵で表記したらしい。たとえば、歯と手と菜っ葉の絵を描いて、「はてな」と読ませるみたいな感じだ。誰がモデルにした作品なのか簡単に読めるのだけれど、幕府としては人名を書いていないのでそれで良しとしたらしい。お役所と出版社の腹の探り合いみたいだ。それか、ちょっとエッチなたとえだけれど、成人向け漫画の修正しているんだかしていないんだかわからないアソコの黒線みたい。
ところで、何の関係もないけど、上野駅の公園改札の場所が変わって、信号を渡らずとも済むようになった。あそこは人が溜まっていて危なかったし、いい変化だ。そうそう、横浜駅にも中央南改札と南改札をつなぐ通路ができて、階段を上り下りしてホームを経由しなくても移動できるようになったし、新しいエキナカのお店ができた。今度行ってみよう。
最後に行ったのが表参道の「月岡芳年 血と妖艶」。とてもよかった。女性図は、ちょっとしたしぐさからこの人はどんな性格なのかが伝わってくる。細かい動作どれ一つとして見逃せない。血みどろの絵もただ凄惨なだけではなく、今にも動き出しそうだ。たぶん、動き出す直前の瞬間をとらえているから、次にどうなるかが私に見えるのかもしれない。日本の歴史や歌舞伎に取材した作品もよかった。歌舞伎は詳しくないけれど、太田記念美術館は概して解説が細やかなので、どの話のどんな場面かがよくわかる。歌舞伎は三回くらいしか見に行ったことがないけれど、またちょっと行きたくなった。それとも、著名な歌舞伎のあらすじを勉強するのが先かな。
ここでは作品一覧の紙がもらえたのはよかった。新型コロナウイルスのせいか、以前は配っていたのに前の二つの美術館は置いていなかったので、作品の名前をメモするのが大変だった。
なお、ここは前編と後編に別れていて、今月の終わりに展示替えをするらしい。時間があったらまた行ってみたい。上野のほうも展示替えがあるけれど、また三時間じっくり見るのはちょっと大変かな。
最後に、自分でも意外だったこと。はじめのうちは、美術館はふらりと行くのがいいのであって、予約するのは面倒だな、って考えていたんだけれども、慣れたらそうでもなかった。そういう意味では、三回連続して美術館に行ったのは正解だった。それに、浮世絵のことが前よりも好きになれたので、そういう意味でもよかった。
気が向いたら九月も浮世絵見に行くかもしれない。
私は、運動嫌いでも動くことになる趣味を探した結果、美術館巡りにたどり着いて、
関西在住の身として京都国立博物館、奈良国立博物館、兵庫県立美術館、国立新美術館、神戸市立美術館、京都市立美術館、天保山ミュージアム、東洋陶磁美術館、堺市ミュシャに、
寺社仏閣の特別拝観などなど手当たり次第に見に行って、結果一日の平均歩数が1万歩を超えることができています。
さて、個人的には昨年、京都国立博物館120周年記念で行われた「特別展覧会 国宝」が、展示替えのたびに拝見させていただいたほどよかったのですが、
その開催と、展示替えに合わせて行われたニコ生が同じようによかったのです。
(多くの博物館、美術館、個人所蔵の品などを集めて行われたためか、視聴期間が会期と同じで、現在期限切れとなっています。)
その道の専門家が、目を輝かせながら担当範囲の魅力を思う存分語ろうとするものの、
時間不足で押され、先輩の圧で揉まれながらねじ込んだ結果大幅に時間が過ぎる、
映像はテレビと比べたら荒いけれど、それは実物を見ればいいわけで、現地で貸し出される音声解説をはるかに超える深い話、
なつやすみ子供科学相談のようにさらっと、今の研究ではそうなっているんですがと言い出したりするのを聴けるすごい番組だったわけです。
そして今年は、「京のかたな」が開催されます。今週末、9月29日からです。
こちらも今までになかった刀に集中した展覧会で、かなりの国宝、重文、作刀が少なく格を定められていないだけの希少で優れたな作品などがたくさん出展されます。
現在は、6月に行われた展示予定の記者発表のニコ生がアーカイブで残っていますが、
この時点でもどの時代のだれの作品がなぜ重要で、どのように技術がつながって、どの博物館から集めたのかが語られていて、
すでにわくわくしながら前売り券を二枚準備しています。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv313659246
【出品刀剣 発表】京都国立博物館 特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」記者発表会 生中継
当時はまだ固まっていませんでしたが、現在は公式ホームページに、展示替えの時期を含めて掲載されています。
ここまでは前段、京都博物館の皆様ありがとうございますというPRですので、読み飛ばしてもらって結構です。
解説のようなことも書いていますが、全て素人目線、ただの高卒おっさんの感想を書いているだけですので、
的外れなことが書かれていた場合は突っ込みを頂けるとありがたいです。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv296737289
みんなで巡ろう「ミュシャ」展 【niconico×国立新美術館】
ミュシャさんのお名前が、日本一有名な錬金術師兄弟の弟にも使われているアルフォンスで、それきっかけで私は見に行きました。
アルフォンス・ミュシャで検索してみてください。絶対に見たことがある絵があるはずです。
多くの方に影響を与えていて、初期はポスター、舞台衣装と多くのデザインをされた方で、
北斎漫画が動きを抽象化して書いていたように、草木を抽象化してデザインに取り入れていて、
抽象化がうまかったのは、当時のポスターも浮世絵も複数人により量産される作品だったからかもしれないと思っています。
そして、生涯最後の大作「スラブ叙事詩」が世界初チェコ国外に出ると話題になったのが今回のニコ生の展覧会ですが、
日本が最初に選ばれた理由の1割くらいは、ミュシャ作品の世界一の所蔵数が土居君雄さんが寄贈したミュシャ美術館で、
多くの作品を丁寧に保管されてきたことで文化功労章をもらったことも影響していると思います。
こちらは500円で入館できるので、JR大阪駅からでも、先日何とか復旧した関西国際空港からでも、関空快速で乗り換えなしで約40分、堺市駅に直結ですので、ぜひお立ち寄りを。
(スペースが小さいので、展示内容は時期により異なります。季節ごとくらいのペースで展示替えあり。現在は挿絵中心の展示ですが、白い象の伝説は絶版なのが惜しいほどに美しいんですがkindleで完全収録されているようです。未見)
スラブ叙事詩はヴェレトゥルジュニー宮殿にあるので、プラハ城の聖ヴィート大聖堂のステンドグラスと一緒にチェコに見に行きましょう。写真はこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B4%E5%8F%99%E4%BA%8B%E8%A9%A9
https://www.travel.co.jp/guide/article/17165/
http://live.nicovideo.jp/watch/lv296734542
みんなで巡ろう「海北友松」展 【niconico×京都国立博物館】
カッコイイ龍が見たいなら、とにかく見てください。
龍が嫌いな男の子はまずいないと思うのですが、
わざと暗くした部屋で闇夜に浮かぶように見せるなど、
どうすれば一番格好よく見せられるのかを追及した展示で、
たらふくかっこいい龍をたくさん見られます。
最高傑作の一つは建仁寺にあった本坊大方丈障壁画の雲龍図(京博所蔵)ですが、
同じかそれ以上にと学芸員の方が絶賛している「月下渓流図屏風」が日本に帰ってきたのもすごいこと。
アメリカ・ミズーリ州のネルソン・アトキンス美術館所蔵ですので、次に日本でみられるのはいつになるか。
最後の最後の展示がこの図屏風で、思わず立ち止まって10分は呆けていました。
そのあともう一度龍を見に行ったんですが。
雲竜図は大きすぎてなかなか展示できないようですが京博所蔵ですので、他の方の龍との比較など、国内の他の企画展で展示される機会があるかもしれませんし、
迫力は万分の一ですが、高精細複製画像がWebで見られます。実物大の複製でしたら、建仁寺に展示されています。
Canonさんはほかにもいくつかこの事業をされていますので、ぜひ一度ご覧下さい。
https://global.canon/ja/tsuzuri/works/08.html
東京は実物見れてないのが多いのと、力尽きたので以下は気が向いたときに。
タイトルで検索すれば、プレミアムなら今でもご覧いただけますので。500円でも十分元は取れるはず。
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岐阜県現代陶芸美術館で開催中の「浦上父子コレクション引き継がれるコレクター魂」展に
行ってまいりましたわ。
観る順番を間違えて子のコレクションした北斎漫画を先に観てしまいました。
一度にたくさんの作品を観ることができるそうですわ。
「鯨・鮫ほか」の絵が完全にクリーチャーで、むしろ獏の方が現実の動物に見えました。
観察する機会の差なのでしょうか。
有名な「富嶽百景」では、「田面の不二」が物凄い構図で仰天しましたの。
ピンホールの原理で障子に富士山が写った場面らしき版画もありました。
他の展示では前後の漢時代の銅鏡が興味深かったですわ。こちらも息子さんのコレクションです。
「新」時代の銅鏡のひとつだけはプロパガンダが書いてありました。
単于の文字があっても居丈高な異民族政策が失敗したことはおくびにも出していませんわ。
陶器関係では地中の緑釉陶器が白っぽく変色する現象のことを「銀化」と
呼ぶことを覚えましたわ。
同じ建物の下の階では「国際陶磁器展美濃」が開催されていました。
同時開催の多治見工業高等学校専攻科の展示にも白木千華氏の作品があって、
コンセプトの説明をされる方とされない方がいて興味深かったですの。
いや、むしろ段階的に進歩することのほうが多いんじゃないかな。
先人のパクリが絵の基本。
書道とかだって、手本があってそれを真似て書くのが最初じゃん。
それをさんざんやって、延々とそのスタイルかそれをちょっとだけ踏み越えたものを作れるようになるのが普通。
スケッチする以上に、先人の絵を模写してたはずだよ。
歴史画とか宗教画が最上とされていたんだから、そこに居合わせたわけじゃないのに描けるわけがない。
デッサンだけでなくて、絵の具の調合法から、紙の秘密から、ぜんぶ門外不出だったからな。
誰でも絵を学べるわけじゃないし、短い一生では先人の殻を破るのが限界で、せいぜい踏み越えられるのは先人の積み上げプラス一歩か二歩。
先人の限界を破り、自分が確立した新たな画風をさらに自分が破りを繰り返した画家はあんまりいない。
多くの画家の若い時の作品は、コレクターズアイテム的な価値はあっても、アートとしての価値はないゴミみたいな絵がほとんどなわけで。
それだって、その絵を描いた人が革新的だったわけじゃなくて、その工房のプロデューサーやディレクター、あるいは下請けのなにかの工程を担う職人のアイディアかもしれない。(というか、そういう場合のほうが多いと思う)
あらゆる流派の画法を独学でマスターして(異国の文書を読みあさり、死体のスケッチやら整体師への弟子入りまでして)、普通は門外不出であるためのスケッチ集(北斎漫画)やら画法の解説やら西洋画の画材の作り方まで出版して世間に発信した北斎はレアキャラ中のレアキャラだが、天才じゃない。
デビューも遅いし、初期の作品は平凡で、天才型じゃなくて努力型。
凡人が道無き道をひたすら突き進んでいるうちに、世界を変えることが出来た稀有な例。
デビューから死ぬまで最初から最後までトップシーンを走り続け変革し続けた。
では、無宗教なあなたにオススメしたいのだが、浮世絵をみたらどうだろう。
まず、復刻版を数枚買え。復刻版で十分だ。いや、むしろ復刻版のほうがいい。美術館にある江戸時代のものは色は褪せてるし紙は黄ばんでしまっているから。
なんという、なんという躍動感。
なんでも、例のあの富士山をバックに巨大な波の絵、神奈川沖浪裏ってんだけど、あの水しぶきは1/5000秒のシャッタースピードで撮った写真と酷似らしい。
そうだよな、たしかにHD画質をよいしょしてた頃の、スローで水泳を写したりする映像が流れまくってたけど、あんな感じだよな。
どんな絵より、躍動感があるんだよ。
ドガのエトワールなんかより、北斎漫画の雀おどりのほうが躍動してる!
あんな線描なのに!!陰影もつけてなければパースも狂ってるに!信じられない!
もう、描いて描いて描きまくって辿り着いた境地なんだろうな。
富嶽百景っていう絵本、本編よりあとがきが有名なんだけど、「110歳までの絵を上達してみせる」っていう人生設計を宣言してる凄まじさ。
実際、90歳まで長生きしてたのに、その臨終の際の言葉も、「あと10年、せめて5年、」っていうまだ描き足りないという未練を残してるそうな。
そういう人格面は話が逸れるからさておき、画家はここまで、こんなにまで時間を切り取れるのかと。
一瞬を永遠にすることができるのかと。
カメラというものを知ってる僕らには、驚きは薄いのかもしれない。
はっきり言って、当時の人たちからしたらとんでもないよ。
プロゴルファー猿でショットの時の効果音が「ギャンギャンギャン」だったり、ジョジョでキスの時の効果音が「ズキューン」だけど、北斎を見た時の効果音ときたら、そんな幹事だよ。
で、広重もすげぇ。
北斎より後の時代の人だけど、北斎が長生きで現役時代が異常に長かったから、活躍してる時期はけっこうかぶってるんだけどね、これまた凄い。
絵の中で時間が流れてるの。
数々の発明を残してるんだけど、一番わかりやすい例だと、雨を線で描くっていう発明かな。
雨が線だよ?当たり前のようだけど、逆だろ?
絵がその瞬間を時間を止めて描くものだったら、雨は空中に浮かぶ粒でしかない。それが線!
1/5000秒のシャッタースピードの逆、露光時間を長くしてる!
なんなの?北斎という天才の仕事を全否定して、新しいワザを繰り出す。
色彩といい、視覚効果といい、もう語り尽くせないほどの発明をしちゃってるわけ。
来る日も来る日も描いて描いて描いて描いて、それこそ花が咲く瞬間から虫、天候に至るまで、ただただ描く。
なんのために?芸術のために?いや違う、芸術とは、もっと個人主義的でワガママなものだ。
自らの心の内から溢れ出るものであり、自己表現であり、俺が一番と叫ぶものだ。
だって、浮世絵は絵師と彫師と摺師と、言うなら版元と共同作業なんだ!
絵師の下絵は、版木に貼り付けられ、その線をなぞり彫られてしまう。紙くずとなり、版木からでた木くずとともにこの世から消えてしまう!
そんな下賎な商業印刷が、芸術としても芸術の分野で第一線の作品の遥か上のレベルなのはなぜか?
いや、商業印刷だからこそ、私の表現のための絵ではなく、絵のために自らを捧げるという境地に辿り着いたがため、そうなったんじゃないかと思う。
浮世絵師は、いや、彫師は、摺師は、版元は、売れるだけ摺った!売った!
即ち、それが世界に美しいものを広めること、ひいては美しいものであふれた世界になることを知っているから!
海を超え、時代を超え、人々を感動させている。
宗教だ!
もう一度浮世絵を見てみよう。
描かれているのは、喜びや楽しみだけではない。憂いや悲しみも描かれている。しかし、見た人が自分なんか死んだほうがいいと思わせるものはあろうか?
ない。
武士、すなわち役人も、飛脚や輿を担ぐ労働者も、老人も子供も、体を金で売る遊女でさえも描く、根底にあるのは人間賛歌!
人間だけではない!虫けらや一本の雑草に至るまで、生きとし生ける物への賛歌!
帰依しよう。