はてなキーワード: 歯科衛生士とは
先日、勤めていた歯医者をやめた。
私は歯科技工士と歯科助手業務、カウンセラーを何年かやっていた。
以前話題になった育児中の社員の仕事を巻き取ることに私も疲れていたけど、歯科医院で働くという事がシンプルに嫌いになってしまったからで、どこの歯医者もきっと同じなのでもう二度と歯科業界では働かないと思う。
フェイクを若干入れるので辻褄合わないこともあるけど、愚痴ともう歯科で働かないぞという決意固めがてら書いていこうと思う。
歯科業界には専門のコンサルが多数存在する。それはきっとどの職種も同じかもしれないけど、コンビニより多い歯科医院はそれだけ競争は激しく、年々「治療だけ」ではご飯を食べていけないのが現状だ。なのでコンサルとしてはいい市場なんじゃないかな、と個人的に思ってる(この辺は多分だけど)歯科医院も今はちょっと街を歩けば2、3軒探さなくても見つかるくらいなので、私が勤めていたような中途半端な田舎町は、患者さんの取り合いに必死だったりする。
私は他院との差別化要員みたいなもので、初め来院した人のカウンセリングや、治療計画を伝える役割をしていた。これに関しては全ての患者さんに行っていた。日本語がわからない方にもだし、歯を折ってしまって急患できた人にも行っていた。
そこで想像してほしいのだが、歯がめちゃくちゃ痛くてどうにかしてほしい時に、カウンセラーを名乗る小娘から「理想のお口の状態をお聞かせください」と言われたらどんな気分になるだろうか。治療を早くしてほしい時に、予防の重要性を説かれたらどうするだろうか。
そう、どんな患者でもブチギレる。 じゃあ聞かなきゃいいじゃん。と言われると思うけど、聞かなかったらドクターからは
「それは努力不足。 患者さんにもなりたい自分があるはず!〇〇出版の▲▲って本がいいからそれを読んで。答え聞くまで治療できない」
と言ってくる。案の定怒って患者さんは帰るし私はヒヤリハット報告書を書く。
ちなみにこれは全てコンサルの受け売り。おそらく歯科界でまあまあな知名度のあるコンサル会社は「そんなフルコンボなことある?」というくらい宗教じみたやりがい搾取を植え付けてくる。働けているだけでありがたい。とかそんな感じのやつ。
年に何回かのセミナーがあって、新人向けには新人が休日に全員参加し、カウンセラーにはカウンセラー向けのセミナーなど、他にも細かく枝分かれしていて、その全てに「宿題」がある。
この「宿題」というのは職場内で改善したことやったことをレポートにして数十枚提出、数冊分の読書感想文の提出などで、提出してコンサル会社でいいなと思ったものはセミナー毎に配られるクソデカい冊子に掲載される。掲載数が多ければ多いほどその歯科医院が優れている、という指標になる。ただ書いただけじゃ選ばれないので写真や絵を入れて長めに書く。これが本当に大変で、もちろん業務中にできないので業務後にやる。行くのを断ることもできるが、断る前にこのセミナーの素晴らしさと尊さを終業後に部屋に集められて熱弁されるので1年目の子で断れるハートの強さがある人はそういない。断った人もいたがその後のあまりの上からその人への当たりの強さに断ろう…ってなる人はいなくなった。(断っても大丈夫だった顔の可愛い子もいた)
そして、それらのレポートが優れてるとそのコンサルが主催する表彰セレモニーで表彰されてプレゼントをもらえる。みんな表彰台に上がりたくて仕事が終わってから課題をこなし、次回のセミナーの冊子で載った載らないで一喜一憂するのだ。
ただこの賞、別に貰えるのは1人だけじゃない。
コンサル会社にもやっぱりお得意様みたいなのがあって、そのお得意様用のオマケみたいな賞もある。私が知ってる限り私が働いてた歯科医院は“先代から代が変わるの成功したで賞”とかをもらってたような記憶がある。 そんなん該当するのうちだけだろと思いつつ、このコンサル会社を利用してる歯科医院にとって「賞を得る」というのはステータスなので院長はじめ幹部スタッフは喜ぶし来年も何か賞をもらえるようにとスタッフを送りこむのだ。詳細は伏せるけどことあるごとに握手とかグータッチみたいなのとかを求めるし大体地下会議室でやる。
正直歯科の仕事は好きだったけどこの部分が嫌いすぎてやめた。え、それで?と思うかもしれないけど本当に大変なんだよ。あとセミナーのたびに拍手して笑い合う時間があるの、昔無理やり連れられて行ったねずみ講のセミナーでしか見たことないよ。
それでも4年頑張れたのは職場の後輩たちが頑張ってたり、仲良い職場の人たちもいたからだ。まあ、そんな人たちもある日突然退職代行から電話がかかってきて来なくなっていったので、最後の年はなるべく仲良くしないようにしていたが。
このコンサルの掲げるキラキラに毒された職場と患者さんに「え?こんなこと必要?」って言われながらカウンセリングしてるうちに適応障害になってしまい、先輩に相談したところ「ネガティヴに考えすぎるのが良くない。毎日よかったことを日記に書いてみるといいよ!」と言われた時は「あーコンサルのセミナーで言ってたやつだ」なんて思いつつもうダメだもう嫌いだ全部。ってなったので辞めた。
私は結構歯科の仕事が好きだった。歯科技工士だって薄給だブラックだなんて言われてたけどやりたかったから専門学校に通って資格まで取った。技術職だからまあブラックはそうでしょ、とか思ってたし。患者さんと距離が近いから技工所じゃなくて歯科医院を選んだ。でもそれ以外の部分でどうしてもダメになってしまった。諦めきれずに別の歯科医院に転職活動をした。でもどこでも聞くのはあのコンサルの名前だったし、院長先生以外はやつれた顔したスタッフばっかりだった。勤めてた歯科医院みたいに朝礼で信念をデカイ声で読み上げてハイタッチをするところばっかりだった。
どこだってそうとは言わない。
私が住んでるのはちょっとだけ田舎だからそうなだけできっと都会はいろんな歯科医院がある。……と思う。
今歯科衛生士の学校に通ってたり、希少となった歯科技工士の学校に通っている人たちを止めたいわけじゃない。技工士は技工所だってあるから歯科医院だけが職場じゃない。歯科助手やろっかなーって思ってる大学生もいると思う。
言いたいことがまとまらなくてぐちゃぐちゃだけど、これを読んだ歯科関係以外の人たちは、歯をしっかり磨いててくれて、虫歯予防をしてくれたらちょっと嬉しいよ。
歯科衛生士の資格を持ってることをウリにしてるタイプのモデルならいいけど、関係ないとこで「歯科衛生士の資格を持つモデルの」って挟まると「う~ん、えっちな女医さん的イメージ付加」したかったんやろか」と勘ぐってしまう
アラフォーのおじさん。
よく言えばクールでミステリアス。悪く言えばコミュ障で社会人としてどうなの?というレベル。
マスクをしていると本当にかっこいい。身長や雰囲気も相まって佐藤健みたい。
でもマスクを外すと思わず「うっ…」と胸の奥から何かが込み上げてくるくらい不細工だった。雑に剃られた髭で漫画みたいに青いアゴ。何よりもガタガタの歯は歯科衛生士がぶっ倒れてしまいそうなほど。
でも不思議なことに、顔の上半分だけで惚れたはずなのに致命的な顔の下半分を知った上でとても惹かれた。
話したこともなかったのに、おじさんは頻繁にこちらを見てきた。はじめは気のせいと思っていたけど、視界の隅で堂々とコチラを見ている。キモイ。
そのうち話すようになり、あの視線は話しに入りたい合図だと判明した。
直接話してない話でも、詳細に覚えてくれている。
「あのとき言っていたよね」と。聞き耳を立てるのが趣味なのかと思っていたけど、シャイなだけなんだ。
目をじっと見て話してくる。複数人で話していても、その目が私から逸れることはない。
作業の手を止めて、こちらをじっと見つめて言う。「好きな食べ物はカントリーマアムです。好き。」「大好きです。」…カントリーマアムに対するコメントにしては少し重い。不二家も泣いて喜ぶだろう。
のちに、おじさんは他の人と話すとき、あまり人の目を見て話さないと知った。
なるほど。
でも、不思議と嫌じゃなかった。だって気のせいかもしれない。そう思うのは私には好意があるから。そうでなければ、この事実は恐ろしいことのようだけど。
私はおじさんがどういう人間なのか1ミリも知らなかった。モテそうな雰囲気。年が近い女性社員と仲が良くて、女性社員からのアプローチを冷たくあしらっているのを目の前で見たこともある。だから、女慣れして遊びまくっているから今もバツイチなのだろうと思い込んでいた。そうさせるほど色気があった。
でもそうじゃなかった。
おじさんの本性は、マスクの下に見たものが答えで…魔法使いらしい。そして、異性よりもゲイにモテる。
できればその事実を知って幻滅したかった。それどころかおじさんのことをもっと知りたくなった。
飲み会の夜、二次会に行くところをなぜかおじさんと2人で歩くことに。酔っ払っていた私はもう、好きで好きでたまらなかったから、自然に腕がくっつくほど近づいて、無理だったあの顔をニコニコしながら見上げて、好きなだけ話しかけた。
おじさんは、私が話しかけるといつもデレデレと溶けるように笑った。他の人と話すとき、いつもクールでポーカーフェイスだったのに、そのおじさんはどこにもいない。
でもそれがピークだった。
私はそれ以降、おじさんの顔をまともに見ることすらできなくなった。話しかけられなくなった。急に何もできなくなってしまった。
決定的なのは、おじさんからも何かあるわけでもなかったから。確信したのだ。「全部気のせいだ」。あれから何日たっても、そう。
気のせいでした。
でも勝手に好きでいよう。
顔を見るたびにえずくけど、こうして寂しい夜になると、ふとその顔が浮かんでくるから。
そのうち冷めるよ❗️
アラフォーのおじさん。
よく言えばクールでミステリアス。悪く言えばコミュ障で社会人としてどうなの?というレベル。
マスクをしていると本当にかっこいい。身長や雰囲気も相まって佐藤健みたい。
でもマスクを外すと思わず「うっ…」と胸の奥から何かが込み上げてくるくらい不細工だった。雑に剃られた髭で漫画みたいに青いアゴ。何よりもガタガタの歯は歯科衛生士がぶっ倒れてしまいそうなほど。
でも不思議なことに、顔で惚れたはずなのに致命的な顔の下半分を知った上でとても惹かれた。
話したこともなかったのに、おじさんは頻繁にこちらを見てきた。はじめは気のせいと思っていたけど、視界の隅で堂々とコチラを見ている。キモイ。
そのうち話すようになり、あの視線は話しに入りたい合図だと判明した。
直接話してない話でも、詳細に覚えてくれている。
「あのとき言っていたよね」と。聞き耳を立てるのが趣味なのかと思っていたけど、シャイなだけなんだ。
目をじっと見て話してくる。複数人で話していても、その目が私から逸れることはない。
作業の手を止めて、こちらをじっと見つめて言う。「好きな食べ物はカントリーマアムです。好き。」「大好きです。」…カントリーマアムに対するコメントにしては少し重い。不二家も泣いて喜ぶだろう。
のちに、おじさんは他の人と話すとき、あまり人の目を見て話さないと知った。
なるほど。
でも、不思議と嫌じゃなかった。だって気のせいかもしれない。そう思うのは私に好意があるから。そうでなければ、この事実は恐ろしいことのようだけど。
私はおじさんがどういう人間なのか1ミリも知らなかった。モテそうな雰囲気。年が近い女性社員と仲が良くて、女性社員からのアプローチを冷たくあしらっているのを目の前で見たこともある。だから、女慣れして遊びまくっているから今もバツイチなのだろうと思い込んでいた。そうさせるほど色気があった。
でもそうじゃなかった。
おじさんの本性は、マスクの下に見たものが答えで…魔法使いらしい。そして、異性よりもゲイにモテる。
できればその事実を知って幻滅したかった。それどころかおじさんのことをもっと知りたくなった。
飲み会の夜、二次会に行くところをなぜかおじさんと2人で歩くことに。酔っ払っていた私はもう、好きで好きでたまらなかったから、腕をくっつけて、無理だったあの顔を見上げて、好きなだけ話しかけた。
おじさんは、私が話しかけるといつもデレデレと溶けるように笑った。他の人と話すとき、いつもクールでポーカーフェイスだったのに、そのおじさんはどこにもいない。
周りのアラサー女性に聞いても「本当は専業主婦になりたい」と言ってる人結構居る
そのたびに「さすがに暇じゃね?」って言うんだが
多いというのは男性に比べてで、徐々に改善はしているみたいな話はある
アメリカで女性に人気がある職業も調べてみたけど、日本と大差なかった
教師、保育士、歯科衛生士、言語聴覚士、秘書、事務、栄養士、美容師
こういうの見ると、結局女性がフェミニストや労働需要からの社会圧によって男性化を迫られているだけで
もちろん、男性よりも社会に出たいという女性も居るし、昔のように家のことをしたい女性も居る
これって単純に考えると、社会に出て平等を勝ち取るほど男性依存しなくていいけど、男性依存した方が楽な場合もある
と考えるとトレードオフで、どっちかが100%になることは殆どないんじゃないかと思える
昔の人間のことを考えると、男は外で働き、女は家を守るというのは殆どの文化や民族でそうなっていて
それじゃあ今の男女平等圧って、それぞれ慣れないことをさせているんだろうなというのは想像に難くなく
ちょっと可愛そうだよなとも思う
ただ一方で、現代社会における主婦って子育て以外は楽すぎない?という感想もある
なぜ今になって総労働社会になってきているかと考えれば、家電の発達も影響が大きそうだよね
_____
もっとがんばれよ。
歯は「オレ、噛むしか能がないんです。自分で磨けないんです」って甘えてるんだよ。
噛んだら汚れるだろ?そこはもっと考えておけよ。
キレイになる細菌とかと仲良くなって虫歯菌やっつけるようにしとけよ。
歯って生えてしまえばそれでおしまいって面して、怠け者なんだよ。
それくらいやれよ。生きてるんだろ?自分の体だろ?自分で治せよ。
皮膚とかみろよ。傷ができても自分で治してるぞ??
お前は皮膚未満だよ。硬いだけが取り柄で、進化しようとしない。学ぼうとしない。
「誰か磨いてくださーい」じゃないんだよ。こっちの手を煩わせるなよ。
親知らずだっておかしいだろ?ちゃんと生えてこいよ。なんで横に生えたりするんだよ。
歯並びだっておかしいだろ?なんでこっちが矯正しなきゃならんのよ。
黄色くなるのも腹が立つ。白さを保てよ。自浄作用を備え付けろよ。
あと歯と歯の間にものが詰まるのもなんとかしろよ。間もっと詰めろよ。
毎日歯間ブラシやるの面倒なんだよ。どれだけこっちが毎日お前のために時間かけてるか分かる??
病院だって、「歯医者」って、歯の専門病院があるんだぞ?お前がたるんでるからそうなっちゃうんだよ。
3ヶ月に一回歯科検診して歯石取らなきゃいけないのもどれだけ面倒か分かる?その度に3000円かかるんだよ。
歯科衛生士って職業まであるんだぞ?本当にどれだけ迷惑かけるんだ。
歯ブラシだってたくさんあり過ぎて意味わかんないだぞ。仕方ないから、俺は10000円超えの電動歯ブラシ使ってるぞ。
お前のためだぞ??お前のために1万円越えの歯ブラシ使ってんだぞ?ありがたく思ってるのか?思ってるならもっとがんばれよ。
歯磨き粉だって、オレはシュミテクト使ってるぞ。知覚過敏だからな。知覚過敏?なんでそんなに過敏なんだよ。弱々か?耐えろよ、もっと。
そもそも何でお前は代えがきかないんだ?もっとどんどん生えてこいよ。皮膚を見ろ。何度だって再生するんだぞ?皮膚に土下座して教えてもらってこいよ。
でもな、いつもお前のおかげで美味しいもの食えてる。それは感謝してる。だからお前が成長するまでケアはするから、もっとがんばってくれよな。
じゃあ今からシュミテクトと電動歯ブラシで磨いて歯間ブラシしてモンダミンするから。特別だぞ。もっと喜べ。なんだお前?泣いてるのか?分かった、分かったから今は休め。愛してる。
私が高校時代から憧れていて大好きだたった彼女が、オタクになって一緒にいるのが不快な、縁を切りたいと思う女になってしまった。彼女のLINEを非表示にし、インスタとTwitterのフォローを外したら無性に悲しくて、この文章を書いている。
高校時代、彼女は輝いていた。バトミントン部所属で、小柄で可愛らしい顔立ちに明るい性格の彼女はクラスでも人気者だった。両親共に歯医者さんの家の娘さんで、本人も頭も良くて、制服の着こなしも持ち物も垢抜けていた。私たちはたまたま席が隣になったのがきっかけで仲が良くなった。マクドナルドでポテトを食べながら栓もないことを喋り続けたり、道でナンパされれば二人して手をつないでダッシュして逃げた(走りながらゲラゲラ笑った)。毎日が輝いていた。私たちは無敵だった。
彼女は歯医者さんになるための大学、私は普通の文系大学と進学先は別だったけど、私たちは相変わらず仲良しだった。大学に入って髪を金に近い茶髪に染めて、明るい色のギャル服を着た彼女が眩しかった。彼女には当時、同じ大学の同級生だという彼氏がいて、彼はおとなしそうな男の子だった。彼女の持つ溌剌とした雰囲気や勝気な態度に夢中になっているようだった。分かるなあ、と思った。
四年経って私は就職し、彼女はまだ学校に通っていた。私は社会人になってなかなか生活のペースが掴めず、苦労していた。たまに彼女に会うと、その明るさに救われた。ただ、話の内容が学生と社会人なので、微妙に噛み合わなくなって来た。彼女の実習期間を忘れてシフトを立てたバイト先の店長に腹を立てて、彼女が休憩室に張り出されたシフト表に、真っ赤なマッキーで「無理です」とだけ書いておいたというエピソードを聞いた時、学生時代のように笑えなかった。アルバイトとはいえその態度はどうなの?と真顔でたしなめそうになった。
彼女は一回国試に落ちて、専門学校に通った。そこでできた友人の影響と、現役生に比べるとやることが少なかったとのことで、彼女はアニメとコスプレにハマり出した。26歳だった。遅咲きである。ただ、この頃も彼女にはお金がなかったので、就職したらあれも買う、このコスをする、と嬉しそうに語る姿は可愛かった。早く思う存分遊べるようになるといいねえ、と、社会人4年目で後輩もできて仕事も面白くなって来た私は、話半分に聞いた。
彼女は27歳で歯医者さんになった。実家で働くのかと思ったが、まずは別のクリニックで働き始めた。歯科衛生士や助手の女の子たちを見下し、愚痴ばかりいう彼女に、やや辟易しながらもまあ就職一年目なんてそんなもんだ、とやり過ごした。代わりにオタク趣味の話を振って愚痴を封じた。彼女は嬉々として好きなアニメ、声優、ゲームの話をした。この頃から、彼女は話しながらもスマホから手を離さなくなったし、すぐにTwitterやソシャゲを立ち上げて、指をひらめかせながら会話を続けるようになった。ちょっと態度悪いな、と思ったけど、何かいうほどではないかな、とスルーしていた。
彼女は30歳になった。実家の歯科医院で働いている。上司が親という状況のため、休みの融通をつけては好きなアニメのイベントで全国を飛び回り、髪には推しの色だというグリーンのインナーカラーを入れて、白衣の下には好きなアニメとコラボしたワンピースを着ながら楽しそうに働いていた。
一緒にホテルのランチに行った時、彼女はずっとTwitterをしていた。何してるの?と聞くと、グッズやチケットの交換相手を探しており、これは刻一刻と状況が変わるため、優位に取引するにはずっとTwitterを見ていないといけないと言った。料理が来たら、彼女は徐に鞄からぬいぐるみを取り出して、写真を撮り始めた。それから、自撮りも何枚か。何となく食べにくくて、彼女が写真を撮り終わるのを待っていた。
彼女は食事をしながら写真を加工し、それもすぐにTwitterに載せていた。見せて、と言ったら当該写真を見せてくれた。ぬいぐるみの方は、彼女の向かいに座った私の胸から下が背景になっていた。顔は写ってないとはいえ、ちょっとやだな、と思ったし、写真をアップロードするなら一言言って欲しかった。彼女の自撮りは、真っ白い肌に緑の目の、漫画じみた女の子に加工されていた。感想が言えずにいると、「今日○○ってキャラ意識の化粧と服なんだよね〜」と彼女は説明してくれた。今時見ないくらいに真っ黒なアイラインや目の下の真っ赤なアイシャドウはそのせいか、と思った。それに、お人形みたいなフリルとレースのついたワンピースも、普通の服ではなくコスプレの衣装的なものらしい。
ずっと行きたかったランチだけど、一人で行った方がずっとマシだった、と、今度はソシャゲを2台のスマホでやり出した彼女をみて思った。
私たちは32歳になった。私は春に結婚する。昨日はその報告を彼女にしたくて、お茶に誘った。何となく疎遠になっていたので、会うのは一年ぶりくらいだった。彼女は11月なのにピンクの薄手のカーディガン一枚に、プリーツのミニスカート姿だった。前にあった時より、みちみちに太っていた。二つ結びにされた髪は、今度は裾だけ濃いピンク色になっていた。薄いピンクのカーディガンも、ミニスカートも、長い髪を耳の下で二つに結んだスタイルも、高校時代の彼女が好んだ、そして、私が憧れていたスタイルだった。眩暈がした。あ、私の好きだった彼女は死んだんだ、と思った。私たちはドトール(本当は行きたいカフェがあったが、この奇妙な服装の太った女と、素敵なカフェにはとてもじゃないけど行きたくなかった)に行き、彼女が旅行した話(相変わらず、好きなアニメや声優のイベントのために飛び回っているらしい)を聞いて、小一時間で解散した。結婚の話はできなかった。したくなかった。それに、そもそも彼女は相変わらずスマホに釘付けのまま、私の目を見ることも近況について聞くこともなかった。
そして私は家に帰り、彼女のLINEを非表示にし、何となくフォローしていたインスタもTwitterもフォローを外した。失恋した時よりも辛くて、ちょっと泣いてしまったため、婚約者が喧嘩でもしたのか、と心配していた。喧嘩の方がマシだったな、と思った。
えり、見てる?(見てるわけないだろうけど)。私はずっとあなたに憧れていて、あなたが好きだったよ。時間を巻き戻せるなら26歳のあの一年に戻って、もっとあなたの話を聞いて、あなたが漫画やアニメに没頭する時間を減らしたいよ。27歳のあなたのところに行って、オタクの話をして誤魔化すんじゃなくて、仕事の辛さについてもっとちゃんと聞いてあげたいよ。30歳のあなたのところに行って、私といる時はTwitterやめて、私とちゃんと話して、って怒りたいよ。
あなたがオタクになって、楽しくて幸せなのは分かるけど、私はまだ明るくて可愛いあなたと過ごす未来を諦められないよ。えり、寂しいよ。でも絶対結婚式には呼ばないし、もう会わないよ。だって、あなたと並ぶと恥ずかしいし、惨めになるから。さよなら、えりな。